天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

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石井製麺所通信

石井製麺所通信

2023年10月26日 【Vol.24】麺究者への道/うどんを研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.24

麺究者への道/うどんを研究してみる

 

 

 

 

先日、香川県を代表する讃岐うどんメーカー「石丸製麺株式会社」様を訪ね、石丸社長様とお話をさせていただく機会がありました。

最近では、様々なメーカー様を訪ね見知を拡げているところですが、今回は香川県を代表する讃岐うどんメーカーであり、社長様直々のご対応もあり恐縮しっぱなしでした。

工場見学も石丸社長自らのご説明と共に隅々まで拝見し、大変貴重な時間を過ごさせていただきました。

石丸社長様から伺うお話からは、「うどん愛」はもちろん、「郷土愛」「食べる方への思いやり」「共同開発するお会社様へのリスペクト」「日本全国の産地への思いやり」を感じっぱなしで、ただただ感動しておりました。

 

石井製麺所も規模は違いますが、「素麺愛」「郷土愛」「食べる方への思いやり」「産地との協同」には取り組んでいますので、大変勉強になりました。

同じ麺をつくる者同士、規模は違っても同じ志を持って歩んでいきたいと考えております。

 

今回は、石丸製麺様への訪問や、弊社冬季限定の「手延べ半生うどん」の販売再開ということもあり、“うどん”を深掘りしてみたいと考えました。

うどんといっても、地域やご家庭によっても好みの分かれるところだと思います。

また、小麦粉からつくられる食品ですから素麺との違いは、どういった所にあるのでしょうか。

香川県は「うどん」と「素麺」の産地。

といっても製法は全く異なりますから、私は全く別の食べ物として考えています。

 

とはいえ一般的に、うどんは素麺同様、小麦粉と塩と水を主な原料とした麺ですから、その点は素麺と同じです。

農林水産省による日本農林規格では、乾麺類はその太さにより「うどん」「ひやむぎ」「そうめん」「きしめん」などに分類されており、直径1.7㎜以上のものが「うどん」と定義されています。

のどごしが良く多彩なアレンジも可能なうどんは、年齢性別を問わず好まれており、消化も良いので体調不良の時や離乳食にも活用される身近な食材です。

今回は、その“うどんの価値”について迫ってみたいと思います。

その主原料となる小麦の歴史や品種、製法や食べ方、地域性などについても調べてみましたので、今回もお付き合いの程よろしくお願いいたします。

 

この工場見学の後日、石丸社長様から直筆のお手紙まで頂戴しました。

<参考サイト>

・石丸製麺株式会社

https://isimaru.co.jp/

・ひやむぎとそうめんの違い 全国乾麺協同組合連合会

https://www.kanmen.com/topic/04_chigai.html

 

【目次】

① 製粉技術の発達が、小麦の食用を広める

② 国産小麦の開発に歴史あり!うどん用国産小麦生産の取り組み

③ 目的や産地のこだわりなど、製法や流通形状による分類

④ うどんを侮ることなかれ!多彩な料理方法やトッピング

⑤ うどんは地域によって、食感・味付けなどが違う?!

⑥ 日本三大うどん?!各地のご当地うどんをリサーチ

⑦ 《美味しい手延べ麺》手延べ半生うどん 編

 

 


 

① 製粉技術の発達が、小麦の食用を広める

 

野生の麦は、今から1万年ほど前の西アジアやイラクあたりの山岳地帯の草原で生えていたことが分かっています。

1万年〜8500年前頃には、野生の麦に加え栽培した麦も食べていたようです。

小麦と大麦はまだ区別されず、石と石の間に挟んで粗く砕き、焼いて食べていたとのこと。

 

紀元前6500年頃、小麦よりも大麦の方が栽培や収穫が容易であったことから、多く栽培されるようになりました。

大麦は、臼で粗挽きして土器で煮たお粥のような形状で食べられていたそうです。

小麦は、山岳地帯からメソポタミア平原や地中海沿岸、エジプトにまで広がりました。

 

紀元前3000年頃の古代エジプトで、「サドルカーン」と呼ばれる粉挽き専用の平らで大きな石がつくられ、小麦の外皮を取り除いた粉ができるようになりました。

この小麦の粉に水を加えてこねると弾力と粘りのあるかたまりができます。

これをオーブンで焼くと、比較的やわらかくおいしいものができたそうです。

その後、手で回転させながら粉を挽く石臼が発明されました。

大麦の粉よりも小麦の粉の方が美味しいパンをつくれるため、大麦ではなく小麦が主に食べられるようになったとのこと。

 

紀元前400年頃にはギリシアで、その100年後にはローマで「水車」を使った製粉工場がつくられました。

600年頃には、オランダやイギリスの東海岸で「風車」を使った製粉工場が広がりました。

 

日本では、弥生時代の中末期には小麦や大麦が栽培されていたことから、麦を何らかの形で食べていたと考えられます。

4世紀には米とともに麦、粟、稗なども主食とされ、8世紀には朝廷が小麦や大麦の畑作を奨励したそうです。

「麦」は万葉集にも登場しています。

“うどんのもと”となる料理は飛鳥時代に中国から伝来しましたが、現代のものとはかなり違っていたようです。

 

室町時代には僧侶の間食だったものが、茶の湯の普及とともに一般の人も食べるようになり、安土桃山時代にかけて日本の風土や人々の嗜好に合うよう変化し、日本独特のめん類へと発展したと考えられます。

 

世界の製粉の発展に話を戻すと、動力が水車や風車になっても、17世紀頃までは小麦を一回挽いて粉と外皮を分けるだけのものでした。

17世紀のフランスで、石臼で挽いた小麦をふるいで分けることを繰り返す、今日の製粉技術と同じ考え方の段階式製粉方法が始まりました。

1833年に、回転する二本のロールの間を通して小麦を潰す「ロール式製粉機」がスイスで初めて実用化。

品質の良い小麦粉が大量に生産できるようになりました。

日本では1872年(明治5年)に政府が石臼式製粉機をフランスから購入し、東京の浅草蔵前に、水車を動力とした官営の機械製粉工場が建設されました。

明治20年代以降、現在に続く大手製粉会社の前身となる会社が相次いで創立され、機械製粉が本格化していきました。

 

 

<参考サイト>

・小麦・小麦粉の歴史

https://www.seifun.or.jp/pages/92/

・小麦粉の歴史・文化

https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_03.html

 

 


 

② 国産小麦の開発に歴史あり!うどん用国産小麦生産の取り組み

 

うどんの生産量1位を誇る香川県のホームページ「県産小麦のあゆみ」によると、小麦の栽培品種として優先される条件は、安定して多くの量が収穫できることに加えて、近年は、製粉や製麺への適性が良好であることが品種選定の大きなポイントだそうです。

香川県の小麦の生産量と栽培面積は、ともに1961~1962年頃が戦後のピークだったとのこと。

その後、高度経済成長に伴う小麦の生産意欲の低下や、収穫期の長雨による大被害などにより、1973年の栽培面積は1962年のわずか2%となりました。

 

オイルショックを機に世界的な食糧危機が叫ばれ、日本の食糧自給率の低さが問題視されるようになると、輸入に依存していた小麦についても、国・県・農業団体等が麦作振興の各種施策や推進運動を展開するようになったそうです。

これにより麦作の収益性が向上し、小麦の作付け面積も回復していったとのこと。

 

1970年代からオーストラリア産の小麦がうどんの原料に使われはじめました。

現在では年間約70万トンものうどん用小麦がオーストラリアから輸入されており、日本で消費されるうどんの原料の大半を占めています

オーストラリア産小麦は、小麦粉生地の安定性、うどんの黄白色の色調、適度な弾力の食感、ゆでた後の麺の劣化の遅さなどの優れた特性により、高く評価されてきました。

手延べ素麺の原料としても、オーストラリア産の小麦が適しているとされ、多くの素麺製麺所が使用しています。

 

こうした状況の中、讃岐うどんを地元産小麦でつくろうという強い想いのもと、2000年に開発されたのがうどん用の小麦「さぬきの夢」。

香川県の農業試験場が品種交配・選抜を繰り返し、10年がかりで開発しました。

「さぬきの夢」はもっちりした食感や旨みには定評がありますが、タンパク質の量が少なくもろい性質のため、生地にした際の弾力が弱く、うどんにすると切れやすいなどの扱いにくさが課題でした。

弾力の弱さを克服しようと新品種の開発が進められ、小麦特有のたんぱく質「グルテン」に着目。

数万の個体から最もバランスのとれたグルテンを持つ新しい品種が選抜されました。

グルテンの切れやすさを比較した実験では、今の品種の3倍以上の時間が経っても新品種は切れなかったとのこと。

2024年秋から本格的な栽培が始められる予定だそうです。

 

 

<参考サイト>

・県産小麦のあゆみ

https://www.pref.kagawa.lg.jp/seiryu/sanukinoyume/menpaku/03_ayumi.html

・讃岐うどん 支える小麦 産地オーストラリアと日本の開発最前線

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230510/k10014062521000.html

・「さぬきの夢2000」小麦開発ストーリー

https://flour-net.com/column/sanukinoyume/sanuki2000_story/

・うどん用小麦「さぬきの夢」

https://www.flour.co.jp/knowledge/sanuki-no-yume/

 

 


 

③ 目的や産地のこだわりなど、製法や流通形状による分類

 

「手打ちうどん」という言葉を目にすることはよくあると思いますが、うどんにも、素麺同様「手延べ製法」でつくられたものもあります。

弊社の「乾うどん」「半生うどん」も手延べ製法で製麺しています。

また販売されている形状も、生麺や乾麺など様々あるので、それらの分類を整理してみました。

 

<製法による分類>

【手延べ製法】

基本的に手延べ素麺をつくるときと工程は同じですが、太さや長さが異なるため、実際には作業の時間や手間のかけ方が異なります。

弊社の場合は、生地づくりから麺の完成までに、乾うどんで約30時間かかります。半生うどんは、天日乾燥と室内乾燥、その後の熟成を経て、適切な半生状態を見極め、その日のうちに袋詰めします。このへんは、製麺所ごとに異なるかも知れません。

手延べですので、麺を平らにして切るのではなく、簡単に言うと引っ張って伸ばしていくため麺の断面は丸になります。

特に素麺と違うのは、乾燥時間でしょうか。

素麺は細いので、天日干しした際に表面と内部の乾燥差は大きく出ませんが、うどんは太いため表面と内部の乾燥(水分量)具合に差が生まれます。基本的には、ゆっくり乾燥させるのが重要で、急に乾燥させると表面が割れてしまったり、茹で上げたときに麺が裂けるなど影響が出ます。

 

石井製麺所での「半生うどん」の製造現場。「箸分け」の様子。

 

【手打ち製法】

手打ち製法をウリにするうどん屋さんが店先で、デモンストレーションしているのをよく見かけられるのではないでしょうか。

生地を練り上げて寝かせたら、よく踏んで(力強く練ることで)、麺棒で平たく伸ばし、包丁で麺の形に切ります。

よく踏むことでグルテンのつながりが形成され、コシが強くなります。

平たく伸ばし包丁で切るので、麺の断面は四角になります。

生地づくりから麺の完成までに約2~3時間かかります。

 

 

【機械製麺】

鉄製のロールの間を数段階通して生地をのばし、ロールカッターという切り刃で麺の形に切ります。

生地から形になるまで約20分で完成するそうです。

 

<流通形態による分類>

【干しうどん】

製麺したあと乾燥させ、保存しやすくしたもの。細うどんに多いそうです。

 

【生うどん】

小麦粉に対して26~35%の水(食塩水等)を加えて製麺したものが生めんと考えられます。

製麺後そのまま、もしくは表面に粉をまぶして包装されます。

麺の熟成度が時間とともに変化するため、長期保存には向いていません。

 

【半生うどん】

生麺を作る工程に、常温または加熱空気や湿熱空気などにより乾燥する工程を加え、最終的な水分含有率を減らし、酸化を抑えた状態のもの。

干しうどんよりも高水分の段階で乾燥を止めることで、常温で1~2カ月ほど日持ちします。

密閉された袋に入れる、脱酸素材を入れるなどにより、さらに酵素活性を抑えるのが一般的です。

 

石井製麺所(手延べ素麺所がつくるものは恐らくほとんど同じですが)では、生うどんをつくる工程での水分量の変化ではなく、乾麺の製法を改良して「半生」にしています。

同じ「半生」でも、生麺からの発想の製法と、乾麺からの発想の製法では考え方も工程も異なりますね。

 

【うどん玉(ゆでうどん)】

冷蔵麺(チルド麺)。ゆでた麺を加熱殺菌後、袋に入れて完全密封し、10℃以下で冷蔵保存したもの。

すでに一度ゆでているため、簡単に調理できるのが特徴です。

 

【冷凍うどん】

麺をゆでて冷水で締めた直後に、短時間で凍結させる急速凍結技術が用いられます。

打ちたて、ゆでたての最もおいしい状態を長期間保つことができます。

 

石井製麺所での「半生うどん」の製造現場。

 

<参考サイト>

・製法による麺の違い

https://kamote.co.jp/college/course_03.php

・Wikipediaうどん

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%A9%E3%82%93

・うどんの種類

https://www.tablemark.co.jp/udon/udon-univ/lecture02/index.html

・生うどん、半生うどん、乾燥うどんの違い

https://www.kijoan.com/staffb/namaudonhannamaudonkansoudonhikaku.html

 

 


 

④ うどんを侮ることなかれ!多彩な料理方法やトッピング

 

江戸時代初期までうどんは味噌味で食べられていましたが、醤油の発達に伴い、元禄年間には出汁と醤油を合わせたつゆで食されるようになったそうです。

主なうどん料理についてご紹介します。

 

<料理方法や食べ方による分類>

【かけうどん・すうどん】

温かいつゆにゆでたうどんを入れて、具は薬味程度。麺本来のおいしさを味わいます。

 

※写真はPhotoACの『すうどん』より

【釜揚げうどん】

釜でゆでた麺を、ゆで汁と一緒に器に移し、つけ汁につけながら食べます。

讃岐うどんでは、うどんを入れた器に生卵を割り入れ醤油をかけた「釜玉うどん」も人気です。

讃岐うどんの名店「山越うどん」がメニューの略称として「釜玉」と呼んだのが始まりとのこと。

 

※写真はPhotoACの『釜玉うどん』より

【ぶっかけうどん】

ゆであがった麺を冷水で締め、濃いめのつゆを麺に直接かけて食します。ネギや大根おろしなどのトッピングをかき混ぜて食べるのも美味。

 

【ざるうどん】

ゆでた麺を冷水で締め、ざるに盛ってつけ汁につけながら食べます。天ぷらなどを添える場合も。

 

【煮込みうどん】

うどんを他の具材とともに鍋で煮込み、熱々を食します。

 

※写真はPhotoACの『味噌煮込みうどん』より

【うどんすき】

だし汁で野菜や魚介肉類とともにうどんを煮て食べる鍋料理で、大阪の郷土料理。

1960年に「美々卯」が「うどんすき」を商標登録していましたが、1988年に「杵屋」が「杵屋うどんすき」を売り出し、1991年にその商標権が認められ、1997年には、すでに普通名称化しているという判決が出されました。現在は誰でも「うどんすき」の名称を用いることができます。

 

※写真はPhotoACの『うどんすき』より

【おだまきうどん】

茶碗蒸しの材料にうどんを入れたもの。

 

【カレーうどん】

和風出汁にカレー粉を加えデンプンでとろみを付けた汁にうどんを入れたもの。1904年(明治37年)東京の蕎麦屋が提供したのが由来という説が有力だそうです。

 

※写真はPhotoACの『カレーうどん』より

【焼きうどん】

野菜や肉などとうどんを炒め、ソースなどで味付けします。戦後、福岡県北九州市の食堂街で、そばの代用としてうどんで焼きそばをつくったのが発祥と言われます。

 

※写真はPhotoACの『焼きうどん』より

 

<トッピングによる分類>

【天ぷらうどん】

エビなどの天ぷらや、かき揚げをのせたもの。地域によってはさつま揚げをのせたものも。

 

※写真はPhotoACの『天ぷらうどん』より

【きつねうどん】

甘く煮た油揚げをのせたもの。

 

※写真はPhotoACの『きつねうどん』より

【たぬきうどん】

関東では天かすをのせたもの。京都では、細切りの油揚げをのせてくずあんをかけ、おろしショウガを添えたものを指すそうです。大阪では天かすをのせたうどんを「はいからうどん」と呼びます。

 

【きざみうどん】

細く刻んで油抜きした油揚げをのせたもの。

 

※天ぷらうどん、きつねうどん、たぬきうどんの解説については、「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.22 麺究者への道/蕎麦を研究してみる」の項目で「蕎麦に合わせる具材や薬味はバラエティ豊か!」を参照。

 

【肉うどん】

牛肉や豚肉を甘辛く煮てのせたもの。

 

※写真はPhotoACの『肉うどん』より

【力うどん】

餅をのせたもの。

 

※写真はPhotoACの『力うどん』より

【月見うどん】

かけうどんに生卵を落としたもの。

 

※写真はPhotoACの『月見うどん』より

【とじうどん】

卵とじうどん。丼の表面を半熟卵でとじたもの。

 

※写真はPhotoACの『玉子とじうどん』より

【山かけうどん・とろろうどん】

山芋などをすりおろしてのせたもの。

 

※写真はPhotoACの『とろろうどん』より

【かやくうどん・五目うどん・おかめうどん】

なると、ホウレン草、鶏肉など数種類の具をのせたもの。

 

※写真はPhotoACの『かやくうどん』より

<参考サイト>

・【うどん】の種類と特産地を紹介。おすすめの食べ方は?

https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/03/post-10116.html

・うどんの種類

https://www.tablemark.co.jp/udon/udon-univ/lecture02/index.html

・うどんのカルボナーラ??人気の「かまたまうどん」はどうやって誕生したのか

https://kagawakenudon.com/wiki/531/

・杵屋うどんすき事件

https://www.eonet.ne.jp/~sobakiri/frame-2/ki20.html

・Wikipedia うどんすき

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%99%E3%81%8D#%E8%AA%BF%E7%90%86%E3%83%BB%E5%85%B7%E6%9D%90

・カレーうどんの歴史

https://curry-udon.jp/about/

 

 


 

⑤ うどんは地域によって、食感・味付けなどが違う?!

 

うどんは日本全国で食べられていますが、好まれる麺の食感やつゆの味付けなどは地域により様々です。

うどんの本場・香川ではコシの強いかためのうどん九州ではやわらかいうどん東京や大阪ではその中間が好まれます。

 

つゆは大きく関東風と関西風に分けることができます。

関東風のつゆはカツオ節をベースに、みりんや砂糖、濃口醬油などでととのえた濃いめの味付けで、黒っぽい見た目です。

関西風のつゆは昆布ベースのだし、またはイリコやカツオ節との合わせだしで、淡口醬油や塩による薄めの味付けです。

 

 

関東風のつゆは黒っぽく(上写真)、関西風はうっすら黄金色した色合いです(下写真)。

 

 

独自の味付けとしては、愛知では「味噌煮込みうどん」が有名です。

他にも、埼玉ではすったゴマや白みそをすり潰し、だし汁で伸ばしてつゆにする「すったて(冷汁うどん)」、長野県では大根のしぼり汁をつけつゆにする「おしぼりうどん」などがあります。

各地のご当地うどんについては、次の段落で色々と調べたものを見比べてみます。

 

<参考サイト>

・地域によって異なる麺の嗜好

https://gyoumuyou-men.com/usefulinfo/399/

・さまざまな味付けでうどんを楽しもう!うどんの地域性やおすすめアレンジレシピをご紹介

https://www.yamaki-shop.com/shop/pages/udon.aspx

 

 


 

⑥ 日本三大うどん?!各地のご当地うどんをリサーチ

 

全国各地にご当地うどんがあり、「讃岐うどん」、「稲庭うどん」はその代表格として「日本三大うどん」と呼ばれています。

3つめについては意見が分かれており、「水沢うどん」「五島うどん」「氷見うどん」などが挙げられます。

これらの5つを合わせて「日本五大うどん」と呼ばれる場合もあるそうですよ。

 

【讃岐うどん】(香川県)

香川県はその気候や土壌が小麦の栽培に適しており、塩や醤油の生産も盛んで、うどんのだしに使うイリコの一大産地でもあったことから、うどんの生産量・消費量ともに日本一となっています。

弘法大師・空海が現在の中国である唐からうどんの製法を持ち帰ったのが始まりという説があるそうです。

手打ち製法でつくられ、生地を手でこね足で踏むことで生まれる強いコシが特徴。

甘い風味のイリコ出汁が基本で、シンプルなかけうどんや釜揚げ、釜玉、ぶっかけなど、うどんを主役とした食べ方が好まれます。

 

【稲庭うどん】(秋田県)

秋田県の稲庭地区は奥羽山脈に囲まれた豪雪地帯で、半年もの間、雪があるそうです。

厳しい冬を乗り切るために小麦の栽培が始められ、冬の保存食になるようにと考えられたものが稲庭うどんにつながったとされています。

手延べ製法で手間ひまかけてつくられ、独自のコシとなめらかな舌ざわり、つるつるしたのどごしが特徴です。

植物油を使わず、打ち粉としてデンプンを使います。幅2~3mmと細めで平べったい形状で、ゆでると透明感のある薄い黄色。

カツオと昆布の出汁を使ったすっきりとした味わいのつゆで食します。

 

※写真はPhotoACの『稲庭うどん』より

【水沢うどん】(群馬県)

飛鳥時代、群馬県伊香保町の水澤寺の創建に力を注いだ高麗の渡来僧がうどんの製法を伝授。

その後、上州産の小麦と水沢山から湧き出た名水でつくったうどんを、水澤寺の参詣客にふるまったのが始まりと言われます。

手打ち製法でつくられる、やや太めで透明感がある麺は、つるっとしたのどごしの良さとしっかりしたコシの強さが特徴。

冷たいざるうどんとして、醬油だれやゴマだれなどのつけ汁で食べるのが一般的です。

 

※写真はPhotoACの『水沢うどん』より

【五島うどん】(長崎県)

五島の特産である食用の椿油を塗布しながら生地を引きのばし、細い麺に仕上げる手延べ製法でつくられます。

生地には上五島で製造された塩が練り込まれています。

直径2mmで断面は丸く、しっかり熟成を重ねるためコシが強くて切れにくいのが特徴です。

アゴ(トビウオ)を炭火で焼いて乾燥させた「焼きアゴ」を使った風味豊かな出汁のつゆで食します。

 

※写真はPhotoACの『五島うどん』より

【氷見うどん】(富山県)

江戸時代中期、高岡屋創業の弥三右衛門が、能登門前の総持寺のうどんをつくり、能登輪島から素麺の技術などを取り入れて「糸うどん」の製法を編み出したのが始まりとされています。

加賀藩前田候の御用達うどんとして献上されていました。

手打ちの工程で生地をつくり、手延べ製法で引き伸ばして麺に仕上げる、手打ちと手延べの良さを兼ね備えたうどんです。

ひも状の細めの乾麺で、強いコシと弾力、餅のような粘りある食感が特徴。

 

※写真はPhotoACの『氷見うどん』より

その他にも、いろいろなご当地うどんを北から順に調べてみました。

 

【ひっぱりうどん】(山形県)

村山市の戸沢地区に伝わる食べ方。乾麺をゆで、鍋から直接、箸でひっぱり上げて取り、納豆やサバ缶などでつくったタレにつけて食べます。

 

※写真はPhotoACの『ひっぱりうどん』より

【すったて(冷や汁うどん)】(埼玉県)

大宮市、川越市、加須市周辺で食べられる家庭料理。ゴマ、白味噌、シソの葉、砂糖などをすり鉢ですって、冷水やだし汁を加えて伸ばしたつゆに、ショウガやミョウガなどの薬味を入れて食します。

 

※写真はPhotoACの『すったてうどん』より

【耳うどん】(栃木県)

栃木県の郷土料理。小麦粉をこねて薄く伸ばし、長方形に切り分けて片側をたたんでつまみ、耳の形にします。カツオ節か煮干しの出汁に醤油とみりんを加えた濃いめの汁に、小ネギと人参を加え、下ゆでした「耳うどん」を入れます。すいとんに似たもっちりした食感が特徴。

 

※写真はPhotoACの『耳うどん』より

【ひもかわうどん・おっきりこみ】(群馬県)

桐生地方に伝わる幅広の「ひもかわうどん」。その幅は1㎝から10㎝のものも。つるんとしたのどごしで、醤油ベースのつゆに付けたり、野菜と一緒に煮込んだりして食べます。

「おっきりこみ」という郷土料理は、この麺を下ゆでせずに野菜などの具と一緒に味噌や醤油ベースの汁で煮込んだものです。

 

※写真はPhotoACの『ひもかわうどん』より

【吉田うどん】(山梨県)

富士吉田市および郡内地方の郷土料理。コシの強い太麺を、醬油と味噌を合わせた出汁に入れ、馬肉とキャベツをのせるのが定番です。

 

※写真はPhotoACの『吉田うどん』より

【ほうとう】(山梨県)

小麦粉を水で練って切った麺を、野菜と一緒に味噌仕立ての汁で煮込んだ郷土料理。地域によってはうどん状の長い麺ではなく、すいとんのようなかたまりの場合も。

 

※写真はPhotoACの『ほうとう』より

【おしぼりうどん】(長野県)

埴科郡坂城町を中心とするエリアで食べられている郷土料理で、釜揚げうどんの一種。ねずみ大根という地元の大根をすりおろして絞った汁に、味噌、カツオ節、ネギなどを入れ、熱々の釜揚げうどんをつけて食べます。

 

※写真はPhotoACの『ねずみ大根』より

【味噌煮込みうどん】(愛知県)

三河地方の郷土料理で、「名古屋めし」の代表格。岡崎地方で作られる八丁味噌を使い、煮込んでも崩れないようなかためのうどんを、鶏肉や野菜と一緒に土鍋で煮込みます。

 

※写真はPhotoACの『味噌煮込みうどん』より

【きしめん】(愛知県)

名古屋名物の平たいうどん。「ひもかわうどん」の起源という説も。ゆでた麺に熱いつゆをかけて、油揚げや鶏肉などの具を入れ、ネギやカツオ節をのせて食べるのが定番です。

 

※写真はPhotoACの『きしめん』より

【伊勢うどん】(三重県)

コシのないもっちりとやわらかい極太の麺は、1時間近くゆで上げています。たまり醤油にカツオ節やイリコ、昆布などのだしを加えてつくった、濃厚な黒いタレにうどんを絡め、青ネギをのせて食します。

 

※写真はPhotoACの『伊勢うどん』より

【かすうどん】(大阪府)

大阪の南部、河内地域で食べられてきたうどん。牛の小腸(ホルモン)を細切れにし脂が抜けるまでじっくり素揚げした「油かす」をトッピングして食します。

 

※写真はPhotoACの『かすうどん』より

【たらいうどん】(徳島県)

徳島県に伝わる郷土料理で、大釜でゆでたうどんをたらいに移し、大人数で食べます。山仕事をする人たちの、仕事納めのふるまい料理がルーツとされています。「ジンゾク」という川魚で出汁をとった淡泊なつゆに、コシの強いうどんを付けて食します。

 

※写真はPhotoACの『たらいうどん』より

【博多うどん】(福岡県)

太めでやわらかくもちもちとした食感のうどんを、昆布ベースに煮干、サバ節、カツオ節、アゴ(トビウオ)などを加えただしに薄口醤油を加えたつゆで食します。「ごぼう天」や「丸天」(魚のすり身の揚げ物)をのせるのが定番。

 

※写真はPhotoACの『博多うどん』より

<参考サイト>

・【日本三大うどん】香川「讃岐」・秋田「稲庭」、もうひとつは?

https://tabizine.jp/article/515033/

・日本三大うどん、讃岐と稲庭ともう一つは?実は意見割れる“第3のうどん”

https://biz-journal.jp/2022/07/post_304845.html

・日本のご当地うどん博物館!

https://udon.mu/

・本場で食べたい!わざわざ食べに行きたい日本全国のご当地うどん20選

https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/NYci8

・うどんと地域性―日本全国ご当地うどん―

https://www.tablemark.co.jp/udon/udon-univ/index.html#tab-1

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ麺》手延べ半生うどん 編

 

これまでも石井製麺所では、伝統的な手延べ製法を護り続けながら、常により良い素麺、うどんを考えてまいりました。

なかでも季節限定の手延べ「半生うどん」は、最適な乾燥の見極めなど繊細な技術が求められ、日々の素麺づくりで磨かれた勘と、製法研究の積み重ねが活きてきます。

「半生うどん」のためだけに、無添加といえるこだわりの特別な小麦粉を使用しています。

これが、製法、気候と相まってもちもち感がたまらなく美味しい「半生うどん」に仕上げることができています。

 

手延べ「半生うどん」の 独特な食感には独自の製法が活きています。

「半生うどん」は、小豆島手延べ素麺と同じく手延べ製法で製造していますが、麺の太さが違うため、乾燥方法や乾燥時間がまったく異なります。

「半生うどん」では麺の太さを活かし外側と芯部分とで乾燥具合に差を付けます。

こうすることで、芯部分の水分が時間をかけて麺全体にゆきわたり、手延べ製法ならではのツルツルなめらかな舌触りと、まるで生麺のようなもちもちした独特の食感が生まれるのです。

 

麺のもちもち感を生む小豆島の冬の気候も、美味しい「半生うどん」をつくるのに欠かせません。

優しい陽射し、吹き抜ける島風、程良い気温で冬も比較的穏やかな気候の小豆島。

絶妙な乾燥具合を実現できるこの環境こそが、美味しい「半生うどん」にとって必要不可欠な製造条件といえます。

 

しかしながら、しっかりと乾燥させる素麺と違い保存期間が短く、蒸し暑さに弱いという課題が生じてしまいました。

そこで、私どもとしては、皆さまに美味しい麺をお届けするのはもちろんですが、何よりも安全・安心な麺をお届けすることを目標としており、誠に勝手ながら「半生うどん」は季節限定の販売とさせていただいております。

 

石井製麺所での「半生うどん」の製造現場。「天日干し」の様子。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ半生うどん》 https://141seimen.thebase.in/categories/2325454

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。