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2023年3月

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2023年3月27日 【Vol.10】麺類の美味しさを際立たせる薬味や具材について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.10

麺類の美味しさを際立たせる薬味や具材について

 

 

 

 

素麺やうどんなどの麺類は、他の食材と合わせることで美味しさがより際立ったり、栄養バランスがぐんと良くなったりします。

香りや彩りを添える薬味や、ボリュームを増して新たな味わいを生み出す具材は、まさに多種多様。

麺の種類や地域によっても好まれるものが異なり、バラエティに富んでいます。

今回は、麺類によく合う薬味や具材について、その働きや地域による違いなどをご紹介します。

 

三代目:私がお素麺を食べるときは割とシンプルなつもりですが、地域やご家庭によっても食べ方に違いがあると思います。

特に具材などは、嗜好にもよるので多種多様な感じではないでしょうか。

また、麺類全般に視野を拡げると、うどんと素麺のように太さが違うだけの麺類でも、全くといって良いほど食べ方や盛り付け方も変わってきます。

今回は、ブログの中で他産地について書き進める内に、具材について気になったので調べてみました。

皆さんのご家庭ではどのように素麺を食べられるのでしょうか?

今回のブログで食べ方のバリエーションが拡がれば幸いです。

 

 

【目次】

① 薬味の歴史とその役割

② いろいろな薬味とその働き

③ 麺の種類別、人気の薬味や具材

④ 各地でいろんな具材と食べられている素麺

⑤ 健康に役立つ具材や食べ方

⑥ 《産地紹介》宮城県・白石温麺(うーめん)

⑦ 《美味しい素麺》手延べしょうどしま長命草素麺 編

 

 


 

① 薬味の歴史とその役割

 

薬味は、素麺やうどんなどの麺料理に欠かせない名脇役。

漢方用語で、主となる薬に加える補助の薬のことを「加薬味」と呼んだのが語源と考えられています。

中国では昔から、自然界に存在するすべての動植物は健康維持や増進にとって重要な食べ物であるという「食医同源」「食薬同源」の思想がありました。

ここから生まれた「中医学」が発展して「薬膳」となり、日本でも「医食同源」として、現代でも栄養学や健康のための食事指導などにおいて参考にされているそうです。

日本では中世より薬味の概念が発展し始め、江戸時代になってから広く利用されるようになったそうです。

大根・ネギ・シソ・カラシ・ショウガ・ワサビ・山椒・ユズなどが、料理に香りや辛みを加えるために用いられていたようです。

薬味の作用としては、食欲増進・芳香を添える・風味を添える・季節やいろどりを出す・異臭をやわらげる・毒消しや防腐効果・消化を助ける、といった働きがあると言われています。

 

三代目:私は、彩りや味の変化のつもりで薬味を使っていることが大半でしたが、語源から考えても“薬”と切っても切れない考え方だったんですね。

「医食同源」と言われるように、食は体の健康を支える大きな要因なのですから、“薬味”という考え方はとても重要なんだと考えさせられました。

ちょこんと添えるネギや生姜にも意味があって、それは先人からの教えでもあると思います。

麺づくりの麺を考えるだけでなく、具材も含めたお客様の食べ方もイメージして、考えることが大切なんだと改めて思いました。

 

 

<参考サイト>

・“薬味”は“薬”?

https://sozairyoku.jp/%E2%80%9C%E8%96%AC%E5%91%B3%E2%80%9D%E3%81%AF%E2%80%9C%E8%96%AC%E2%80%9D

・薬味の歴史と夏の薬味

https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/joho/1307_joho01.html

・日本における香辛料の発展と歴史

https://voxspice.jp/spicestory/1108

・そうめんに薬味が必要な理由とは?薬味の役割をご紹介

https://delishkitchen.tv/articles/483

・そばのあいうえお「や 薬味(やくみ)」

https://www.nichimen.or.jp/know/aiueo/ya/

 

 

 


 

② いろいろな薬味とその働き

 

麺料理などによく用いられる薬味について、期待される働きをご紹介します。

 

<ネギ>

アリシンという物質が含まれ、胃腸の働きを高める、血行を良くする、新陳代謝を活発にする、疲労物質である乳酸を分解する、などの作用があるとされます。

ビタミンなども多く含まれています。

 

<ショウガ>

辛み成分ショウガオールに強い殺菌作用があり、生で食べると解毒作用も。

香り成分シオネールには食欲増進作用が期待されます。

また、胃液や唾液の分泌を促して消化を良くしたり、加熱すると新陳代謝を促して、体を温め冷えを改善すると考えられています。

 

 

<ミョウガ>

香り成分アルファピネンに、食欲増進や消化促進、抗菌作用があるとされます。

血行を良くして発汗を促したり、ホルモンバランスを整えたりする働きもあると言われています。

 

<ワサビ>

アリルイソチオシアネートという辛み成分に、抗菌・抗虫作用や、食欲増進、血栓予防、免疫力向上などの働きがあるとされます。

 

<シソ>

香り成分ぺリルアルデヒドやシアニジンに殺菌・防腐作用があり、食中毒の予防が期待できます。

胃液の分泌を促して食欲を増進させたり、神経をしずめイライラを抑えたりする働きもあるとされています。

 

<三つ葉>

クリプトテーネンという香り成分に、食欲を増進させ消化を促したり、気持ちをリラックスさせイライラを解消させたりする働きがあるとされます。

 

<ゴマ>

栄養価が高く、血中コレステロールを下げる働きのある不飽和脂肪酸や抗酸化物質も豊富に含みます。

そのままよりすりゴマにしたほうが栄養成分が吸収されやすいそうです。

 

<大根おろし>

ビタミンCやジアスターゼという消化酵素が多く含まれており、消化を助け、胃腸の働きを整える働きが期待されます。

辛み成分には、殺菌作用や臭みを消す働きもあると言われます。

 

<梅干し>

強い抗菌作用があり、食あたり予防に使われてきました。

クエン酸が豊富に含まれ、疲労回復にも期待されます。

血液をサラサラにしたり胃腸や肝臓の働きを高めるとも言われています。

 

<ユズ>

ビタミンCとクエン酸が豊富に含まれ、疲労回復に役立つとされます。

食欲増進や胃腸の働きを整える作用も期待できます。

 

<海苔>

食物繊維やビタミンB1、B2を多く含みます。

特にビタミンB1、B2は糖質を効率良くエネルギーに変えてくれるので、食欲が無いときや疲れやすいときに食べると疲労回復にも効果的。

 

三代目:麺料理ではないのですが、以前、台湾旅行で「酸菜白肉鍋」というお鍋料理を食べた時の話です。

たくさんの調味料や薬味、付け合わせが並べられていて、それを自分好みに“調合”してお鍋をいただくのですが、そのときの食べ方は同席した人それぞれでした。

食べるメニューは同じなのですが薬味で個性が出るというか、変化を付けることでそれぞれの味になるのは面白いなと感じたことがあります。

今思えば、その時の体調で食べたい味を無意識に調整していたのかも知れません。

具材を人それぞれに合わせて変えるというのは大変ですが、薬味や付け合わせなら対応できそうですよね。

素麺はそういった意味で、たくさんの方に受け入れられやすい土壌があるのかなと感じます。

 

 

<参考サイト>

・飲食店なら知っておきたい薬味の役割!効果・効能も紹介!

https://www.inshokuten.com/kitchen/magazine/47

・薬味の種類|それぞれの効能や特徴

https://www.kurashiru.com/articles/2166dab3-e54d-4d62-8b53-2a2774a5b98a

・薬味の効能と健康パワーを知っていますか?

https://story.ajinomoto.co.jp/health/004.html

・実はすごい海苔の健康効果!日本人だからこそ享受できる海苔のパワー

https://marche.onward.co.jp/shop/pages/appetizers121.aspx

 

 


 

③ 麺の種類別、人気の薬味や具材

 

素麺やうどん、ラーメンなど、麺の種類別に、どんな薬味や具材が好んで合わせられているか調べてみました。

同じ小麦粉から作られる麺でも、それぞれの個性が表れる興味深い結果となりました。

 

<素麺>

「あなたがそうめんに必ず入れる薬味はどれ?」という2021年のインターネット調査によると、トップ5は、ネギ、ショウガ、ミョウガ、ワサビ、シソという結果でした。

以下は薬味というより具材に入りそうなものですが、錦糸卵、キュウリ、納豆、シーチキン、オクラ、メカブ、トマト、明太子、などの回答もありました。

素麺に入れる具材の人気ランキングも探しましたが、見当たりませんでした。

 

 

<うどん>

少し古いですが、2013年のインターネット調査「好きなうどんの具材ランキング」では、トップ5は天ぷら・かき揚げ、油揚げ、卵、わかめ、肉となっていました。

以下、山菜、とろろ、大根おろし、とろろ昆布、もち、と続きます。

 

<ラーメン>

「ラーメンの具材で好きなものを選んでください(複数回答可)」という2017年のインターネット調査によると、トップ5はチャーシュー、煮玉子、ネギ、メンマ、もやし、となっていました。以下、炒め野菜、海苔、ワンタン、キクラゲ、肉味噌とのことです。

 

<パスタ>

具材というとバリエーションが豊富すぎるのでしょうか、人気の具材ランキングは見つけられませんでしたが、「一番好きなパスタの味」という2022年のインターネット調査がありました。

トップ5はたらこ・明太子、カルボナーラ、ボロネーゼ、ポモドーロ・トマトソース、ペペロンチーノとなっています。

以下、ジェノベーゼ、ナポリタン、ミートソース、和風パスタ、アラビアータ、と続きます。

 

 

三代目:ラーメンと素麺は形状だけでなく製法や原料も異なりますが、素麺とうどんは全く同じ原料で太さが違うだけ。

薬味はほとんど同じでも、うどんは盛り付けの具材を色々と選ぶことで“食事”として成立しているような気がします。

最近では、素麺の専門店が増えていると言われますが、そちらでは“食事”としての素麺を味わえるようなメニューやレシピの工夫があるようです。

石井製麺所では白い素麺だけでなく毎日食べていただけるような、食べ続けるからには体に負担が少なく栄養価の良いものになればと…例えば『長命草素麺』のように健康面へ配慮した素麺もご用意しております。

そういう意味では、毎日の食事にお楽しみいただけるような具材や食べ方を合わせたご提案も考えていきたいと思います。

 

<参考サイト>

・「そうめんに必ず入れる薬味」ランキングTOP34!第1位は「ネギ」に決定!

https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/364344/

・好きなうどんの具材ランキング 1位は「天ぷら、かき揚げ」で61%

https://news.nifty.com/article/item/neta/12225-130515002272/

・ラーメンの具材、トップに君臨するのは!?

https://www.kinrei.com/fan/news/kokumen/201801/15095535.php

・好きなパスタの味ランキングTOP15!千票以上から選ばれた人気の種類は?

https://macaro-ni.jp/108527

 

 

 


 

④ 各地でいろんな具材と食べられている素麺

 

素麺の具材について調べてみると、地域ごとにさまざまな具材や味付けで食べられていることが分かりました。

ぜひ、素麺アレンジの参考にしてみてください。

 

<具材いろいろ>

・冷やし中華風

関西では、キュウリ、錦糸卵、ハム、カニカマなどを素麺のうえにトッピングして食べる習慣があります。

 

・ナスそうめん

石川県金沢市では、ナスと素麺を一緒にだしで煮て、醤油や味噌で味付けする郷土料理があります。

また香川県では、ナスを油で炒めて砂糖と醬油で味付けしたものに、ゆでた素麺を加えます。

どちらも家庭料理として一般的に食べられているようです。

 

・サバそうめん

甘辛いだしで煮たサバの切り身を、その煮汁にからませた素麺に乗せる、滋賀県長浜市の郷土料理。

ご当地グルメとして飲食店でも提供されています。

かつて日本海から京都を結ぶ「鯖街道」と呼ばれるルートがあり、サバが入手しやすかったそうです。

 

・鯛そうめん

タイをのせた素麺は、お祝いの料理として供される地域が多く見られ、「鯛麺」とも呼ばれています。

香川県では、ゆでた素麺を大皿に盛り、その上にタイの姿煮をのせます。

広島県や愛媛県の瀬戸内海沿岸地域ではさらに、木の芽やキュウリ、錦糸卵、シイタケの煮たものなどを添えます。

愛媛県松山市では五色素麺を用いることが多いそうです。

熊本県では、上益城地域でタイの姿煮をのせる形のほか、天草地域ではタイのアラを炊いて、煮汁を素麺にかけるそうです。

徳島県牟岐町には、れんこ鯛を甘辛く煮付け、その煮汁で素麺を食す「島そうめん」と呼ばれる料理があります。

素麺は錦糸卵やかまぼこ、ネギなどで飾り付け。れんこ鯛とともにお祝いごとの席で供されます。

 

<味付けにひと工夫>

・酢味噌そうめん

静岡県や愛知県の一部では、めんつゆではなく酢味噌を素麺にかける食べ方があるそうです。

赤味噌に、酢、みりん、砂糖を混ぜた酢味噌のさっぱりとした酸味が、食欲の落ちやすい夏にぴったりです。

 

・白エビ素干だしのそうめん

富山県の名産品である白エビは夏が旬ですが、素干しにすることで長期保存が可能になります。

白エビの素干しでとった、旨みが凝縮されただしに、醤油や砂糖を加えてつゆをつくります。

 

<あたたかくして>

・にゅうめん

素麺発祥の地とされる奈良県や、三大産地のひとつである兵庫県播磨地方では、素麺は夏は冷やして、冬はあたたかいつゆに入れて「にゅうめん」として、と一年を通して食されています。

・ばち汁

兵庫県播磨地方や岡山県浅口地方には、手延べ素麺をつくる過程で出る麺の端の部分を使った汁ものがあります。三味線のばちに似た形状から「ばち」と呼ばれ、素麺よりコシが強く塩気が多いのが特徴。野菜をだしで煮てばちを入れ、醤油で味をととのえる「ばち汁」が、家庭や給食で食されています。

 

<炒めて>

・油ゾーメン

鹿児島県奄美地域の郷土料理で、豚肉と野菜、素麺を炒めたもの。

沖縄の「そうめんチャンプルー」に似ていますが、炒める時にだし汁を入れるためのど越しが良いのが特徴です。

手軽に作れるので家庭で食べられているほか、飲食店でも提供されています。

 

・ソーミンタシヤー

素麺と野菜やツナなどを、塩や醬油で炒めてシンプルに仕上げる、沖縄県の家庭料理。

ちなみによく知られている「チャンプルー」は、炒めた豆腐が入るものを指すそうです。

 

 

<参考サイト>

・そうめんの薬味や、つけつゆは関東と関西では違うものなの?

https://kenkoubaizou.com/k2k0000282-post/

・そうめんの地域別の食べ方まとめ!飽きずに美味しく食べる工夫も公開

https://shop.ninben.co.jp/blog/?p=3799

・地域別そうめんの食べ方ランキングTOP10!みんなが試したいアレンジは?

https://macaro-ni.jp/111998

・うちの郷土料理 種類検索 麺料理

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/type/noodles.html

 


 

⑤ 健康に役立つ具材や食べ方

 

いろんな具材と相性の良い素麺を、毎日の食生活でもっと上手に活用してみませんか?健康に役立つ具材や食べ方を、調べてみました。

<消化を促進する>

おなかの調子が良くないなど、胃に負担の少ない食事を心がけたいときに。素麺は短い時間で消化できる食材です。

100gあたりの消化時間は約2時間。同量の白米やうどん、そばは約2時間30分、パンは約3時間だそうです。

柔らかくて脂質や刺激の少ない素麺は、胃にやさしい食べ物といえます。

あたたかくして食べるとより良いようです。

合わせる具材としては、繊維のやわらかい茹で野菜、例えば、大根、タマネギ、キャベツなど。

また、豆腐や鶏ささみ、大根おろし、梅干しなどもおすすめです。

 

<糖質や脂質の吸収を穏やかにする>

ダイエット中など、糖質や脂質の取りすぎが気になる方に。

素麺は、うどんやパスタ、中華麺と比べると、1食あたり10gほど糖質量が少ないそうです。

合わせる具材としては、食物繊維が豊富なものがおすすめです。

具体的には、野菜、きのこ類、海藻類、豆類など。

食物繊維は、消化吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑えるため、糖質の吸収を抑える働きがあるそうです。

 

<塩分の排出を促す>

素麺はつくる過程で塩を使いますが、食べるときにゆでる、また水洗いすることにより、塩分の多くは抜けます(【お!いしい けんぶんろく】Vol.9「人体にも手延べ素麺にとっても欠かせない塩について」参照)。

塩分の取り過ぎが気になる方は、めんつゆの塩分量に注意が必要です。

出汁を強めに利かせたり、薬味を工夫したりと味に変化を持たせることで、体への負担を減らして美味しく召し上がっていただけます。

また、カリウムが豊富に含まれる食材を合わせてとるとよいでしょう。

具体的には、アボカド、ホウレンソウ、小松菜、枝豆、ワカメ、海苔など。長命草にも多く含まれます。

カリウムには塩分の排出を促す働きがあります。

 

三代目:もっとライフスタイルに合わせた素麺・麺の開発が必要だなと感じました。

 

 

<参考サイト>

・体調不良の時におすすめ!消化に良い食材「そうめん」

https://www.handamen.com/blog/somen_digestion/

・そうめんは消化に良い食べ物?消化時間の比較と消化を良くするおすすめレシピ

https://gourmet-note.jp/posts/19180

・【管理栄養士監修】糖質の吸収を抑える夏の麺類レシピ!

https://sixthsenselab.jp/puravida/articles/1808_01/

・そうめんは塩分が多い?すぐに使える塩分を摂りすぎない減塩レシピ

https://dime.jp/genre/1405923/

 

 

 


 

⑥ 《産地紹介》宮城県・白石温麺(うーめん)

 

宮城県白石市の特産品である「温麺(うーめん)」は素麺の一種ですが、油を使わないでつくるのが特徴です。

一般的な手延べ素麺は、麺と麺がくっついたり乾燥したりするのを防ぐため、油を塗っています。

白石温麺は油を使わず、長さも9cmと短いことから、消化が良くて食べやすいと言われています。

太さは素麺より0.3㎜ほど太めで、食べごたえがあります。

白石温麺の歴史は約400年前、江戸時代にさかのぼります。

白石の城下町にいた鈴木味右衛門という青年は、胃腸が弱く病弱な父親が元気になる食べ物を日々探し回っていたそうです。

ある日彼は、旅の僧侶から油を使わず麺を作る方法を教えられ、苦心の末つくった麺を温めて父に食べさせました。

その美味しさと食べやすさから食が進み、父親は回復したそうです。

この麺を献上され、誕生秘話を聞いた白石城の城主・片倉小十郎が、味右衛門の父への想いに感銘を受け、「人を思いやる温かい心を持つ麺」という意味を込めてこの麺を「温麺」と名付けたと言われています。

さっぱりと上品な味わいで、仙台藩主の伊達家から大名・公家への贈答にも用いられたそうです。

白石地方は、蔵王連峰から流れる白石川の清流や温和で乾燥した気候に恵まれ、小麦粉が豊富に採れることから、良質な温麺の産地となりました。

温麺は一年を通して食されており、醤油や味噌でつくった汁につけて食べるのが一般的だそうです。

その扱いやすさと食べやすさから、離乳食や高齢の方の食事にも重宝されているとのことです。

 

 

<参考サイト>

・白石うーめん(温麺) の優しいおいしさ|歴史と名店をご紹介

https://shiroishi.ne.jp/feature/1802

・白石温麺|歴史が育んだ伝統の味

https://shiroishi.ne.jp/feature/4256

・白石うーめん(温麺) の歴史

http://www.u-men.co.jp/shiroishi_u-men/

・うーめん(白石温麺)とは?そうめんとの違いや食べ方をご紹介

https://delishkitchen.tv/articles/1493

・Wikipedia「温麺」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E9%BA%BA

 

 

 


 

⑦ 《美味しい素麺》手延べしょうどしま長命草素麺 編

 

「素麺で始める 新しい健康習慣」をコンセプトに開発した健康麺です。
大切なお客様のために、からだに嬉しい素麺を作りたい。
そう考えていたときに出会ったのが「しょうどしま長命草」でした。
「1株食べると、1日長生きする」と言われるほど、高い栄養価と、強い生命力を持つ長命草。
小豆島の特産品である醤油を製造するときにできる醤油粕を肥料として、無農薬で栽培された「しょうどしま長命草」は、小豆島生まれの新しい健康野菜です。

石井製麺所では手延べ製法にこだわり、小豆島で初めて、「手延べ製法による長命草素麺」を商品化しました。
無添加・無着色にもこだわり、安心してお召し上がりいただける、ツルツル食感が自慢の一品です。

石井製麺所では、「しょうどしま長命草」栽培を応援しています。

石井製麺所の所有する畑の一部を「しょうどしま長命草」栽培に活用いただき、一緒に島の食について考えています。

大切な方への贈り物にピッタリなお素麺です。

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べしょうどしま長命草素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/29007893

 

 

 

 

三代目:次回のブログは4/10ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

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2023年3月13日 【Vol.9】人体にも手延べ素麺にとっても欠かせない塩について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.9

人体にも手延べ素麺にとっても欠かせない『塩』について

 

 

 

 

素麺は、小麦粉を塩水で練り合わせて作ります。

調べると小麦粉を使った麺づくりに塩が用いられるようになった歴史は古く、平安時代中期の書物「延喜式」には、素麺のルーツとされる「索餅」の材料として塩の記述が見られます。

今回は、人体にも不可欠な塩の働きやその歴史、手延べ素麺における塩の役割などをご紹介します。

 

三代目:石井製麺所では、午前3時30分頃から練り作業を行っています。

天候や温度・湿度を観て、小麦粉と食塩水の最適な配合量を量り、30分~40分ほど丁寧に練り合わせます。

この工程をしっかりおこなわないと、この後のすべての工程が台無しになってしまいます。

ただ小麦粉に食塩水を加えるのではなく、上手く混ざるように食塩水を流し込む場所とタイミングを選んでいます。

こまめに手を加えながら、グルテンがしっかり形成された麺生地をつくるためにムラなく、無駄なく練り上げます。

 

 

【目次】

① 人体に不可欠な塩の働き

② 手延べ素麺の原料としての塩の役割

③ 素麺を食べても塩分取り過ぎにならない理由

④ 奥が深い塩の歴史《世界編》

⑤ 知っていそうで知らない?!塩の歴史《日本編》

⑥ 《産地紹介》三重県・大矢知(おおやち)素麺

⑦ 《美味しい素麺》小豆島便り〈冬〉(ギフトセット) 編

 

 


 

① 人体に不可欠な塩の働き

 

塩は、人間が生きていくうえで大切な働きをしています。

体内の塩分量は、大人で体重の0.3~0.4%、子供では約0.2%とされています。

例えば体重60kgの人の体内の塩分量は約200gということになります。

塩は体内でナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれて存在しており、いろいろなシステムの働きを守り、維持する役割を果たしています。

 

<細胞を正常に保つ>

人間の体を構成する細胞は、細胞外液という液に囲まれています。

塩はイオンの状態で細胞外液に多く含まれ、細胞外液の量を維持しています。

このことにより、全身の細胞に酸素や栄養分が運ばれたり、二酸化炭素や老廃物が肺や腎臓に運ばれ排出されたりします。

また、細胞外液の濃度を調整し、バランスを一定に保つことで、細胞の働きを支えています。

 

<消化や吸収を助ける>

体内の塩化物イオンは胃酸の主成分となり、胃で食べ物を殺菌したり、消化を助けたりしています。

ナトリウムイオンは小腸で、アミノ酸やブドウ糖などの吸収を助けています。

 

<情報を脳や体に伝える>

神経細胞は、ものを触ったときなどの刺激を脳に伝える、脳から体を動かすように筋肉に命令を伝える、などの働きをしています。

神経細胞が刺激や命令を伝えるときに必要となるのがナトリウムイオンです。

 

以前は塩の取り過ぎが高血圧の原因と考えられていましたが、近年では、塩の摂取と血圧の上昇は必ずしも結びつかないことが明らかになってきているそうです。

 

三代目:私、実は3月の前半に体調を崩して入院しておりました。

術後経過も順調で、復帰して現在は元気にしております。

いわゆる病院食というと、「味気がない」といったイメージがあり、「手術後は重湯だった」というお話も聞いたことがありました。

もちろん、病気の内容や重さによって食事の内容は変わるのだと思いますが、意外にも手術翌朝の朝食から「ふりかけ」が付いていたり、栄養バランスが考えられた食事ながらも、ちゃんと塩気があるものが出されました。

今になって振り返ると、この塩気がとても美味しく、ありがたく感じられました。

「傷ついた体に染み渡る」といった感じでしょうか。なんとなくですが、回復しようとする体が塩気を求めていたように思います。

どうやら「塩気がある食事が出るようになると、不思議と食欲が湧いてきておかわりが欲しくなった」という患者さんもいらっしゃるようです。

食欲がわいてきたからではなく、塩気を取ると美味しく感じ、おかわりが欲しくなったみたいですね。

人間は塩味の刺激により、美味しいと感じる正常な味覚が保たれるんでしょうね。

大学生の時分にも、アーチェリー部で活動をしていたときは、熱中症や脱水症状を起こさないように、塩分(ミネラル分)補給はとても気をつけていました。

激しい発汗や下痢などで体内の塩分が足りなくなると、脱水症状、血圧低下、立ち眩み、倦怠感、精神不安定、眠気、脱力感など、さまざまな症状が現れるそうですから、闇雲に塩分を拒否するのでは無く、上手に向き合っていく必要がありますね。

 

 

<参考サイト>

・塩と健康の関係

https://www.nihonkaisui.co.jp/small_customer/learning_salt/health

・体内の塩

https://www.shiojigyo.com/siohyakka/about/human/inside.html

・塩とからだの大事な関係

https://www.shiotokurashi.com/life

 

 


 

② 手延べ素麺の原料としての塩の役割

 

素麺やうどん、ひやむぎなどの麺は、小麦粉と水だけではなく塩を加えて作られます。

塩を入れる理由としては、科学的根拠のあるものがいくつかあります。先人達のアイデアや知恵は本当に素晴らしいものです。

この手延べ素麺作りの叡智を活かし、さらなる美味しい素麺作りを続けたいものです。

 

<グルテンを引き締める>

麺のコシの元となるグルテンは、小麦粉のたんぱく質が水と合わさることで形成されます。

生地をこねて引きのばすことにより、グルテンが何層にも重なった地層のように組織されます。

塩には、このグルテンを強く引き締める働きがあります。

夏は気温が高く、生地がだれやすくなるので塩を多くし、逆に冬は生地が硬くなるので塩を減らす、といったように、季節や天候などにより塩分濃度の微調整が必要です。

まさに、良い塩梅が美味しい素麺に不可欠なのです。

 

<酵素の活性を抑制する>

塩が小麦粉に含まれるたんぱく質分解酵素の働きを抑えることで、生地がじっくり熟成され、より弾力が増します。

 

<保存期間を長くする>

水分活性が小さくなるため雑菌が繁殖しにくくなり、保存性が向上します。

 

<乾燥を防ぐ>

塩には吸水性があり、水分を蓄えようとします。

熟成を繰り返しながら麺を細く延ばしていく手延べ製法において、塩は急激な乾燥によるひび割れを防ぎ、表面をなめらかに仕上げるのに役立ちます

 

<ゆで時間を短縮する>

ゆでる時に、麺に含まれている塩がお湯の中に溶けだし、お湯が麺の中に入り込んで、でんぷんが糊化します。

塩を多く含んでいれば、それだけ早くゆで上がることになります。

 

<味を良くする>

ゆでることで塩分の多くは溶け出しますが、わずかに残った塩味が、麺の風味や旨みを引き立てます。

 

三代目:今、新麺開発を行っているのですが、塩の重要性を特に感じます。

麺の伸びをよくするのにも、止めるのも塩加減ひとつです。

入院中は、新麺開発を進めることができず、体がウズウズしていましたが、ここはグッと我慢の日々でした。

新麺開発のための理論を整理するために色々とまとめ直していましたが、やはり塩加減というのが肝心で、これから暖かくなるにつれ、また塩分量も変化させないといけません。

“麺は生き物”と感じることが多々ありますが、塩によってコントロールする技術や経験を積み、麺づくりと上手に付き合っていきたいものです。

そのためにも今回の『塩』というテーマは、今の時分にピッタリなのだと感じます。

 

 

新麺を試作で伸ばす様子。

今回は、想像以上に伸びてしまい、塩加減の難しさを痛感しました。

これはこれで美味しく食べましたが、皆さまにお届けするのはもう少し先になりそうです。

 

<参考サイト>

・うどんに塩を入れる理由

https://www.flour.co.jp/news/article/111/

・手延べそうめん、うどんの副原料

https://www.shimabara-soumen.com/article/14245881.html

・うどんと塩

https://www.nichimen.or.jp/know/zatsugaku/19/

 

 


 

③ 素麺を食べても塩分取り過ぎにならない理由

 

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩摂取の目標量(食塩相当量として)は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。

文部科学省の食品成分データベースによると、手延べ素麺(乾麺)の1人前100gに含まれる塩分の量は5.8gですが、ゆでるとお湯に溶けだすため、塩分量は0.3gにまで減少します。

さらに水洗いすることでも塩分が抜けます

このように、素麺はけして塩分の多い食品ではありません。

 

 

三代目:塩分の取り過ぎが気になる方は、たっぷりのお湯でゆでてしっかり水洗いすることを心掛けてみてください。それだけでも随分変わります。

また、一番肝心なのは、食べる際にめんつゆの塩分量に気を付けられることだと思います。

出汁を強めに利かせたり、薬味を工夫したり味に変化を持たせることで美味しく、ぐっと体に負担が少なく召し上がっていただけます。

最近ではオリーブオイルを数滴垂らして召し上がっていただくこともおすすめしています。

特に私がおすすめしているのは、和風出汁に合うオリーブオイルです。

コクが出て、清々しい香りがして、つるんっと召し上がっていただけますよ。ぜひお試しください。

 

 

<参考サイト>

・厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-024.html#:~:text=%E3%80%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%91%82%E5%8F%96,%E6%9C%AA%E6%BA%80%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

・文部科学省 食品成分データベース

https://fooddb.mext.go.jp/search.html

・そうめんは塩分が多い?すぐに使える塩分を摂りすぎない減塩レシピ

https://dime.jp/genre/1405923/

・「そうめん」の塩分量はどれくらい?管理栄養士が教える減塩のコツ3つ

https://macaro-ni.jp/109133?page=2

 

 


 

④ 奥が深い塩の歴史《世界編》

 

地球の表面積の70%は海で、海水には塩が約3%の濃度で溶けています。

人類は大昔から、生活に欠かせない塩を手に入れるため、各地でそれぞれの環境に応じてさまざまな製塩を行ってきました。

現在、世界中で1年間に約1億8千万トンの塩が生産され、そのうちの約4分の1が海水から、残りは岩塩や塩湖などから採られているそうです。

古代文明の塩の歴史について、記録を記したものがあったので3つの時代についてご紹介します。

 

<古代中国>

山西省運城市の運城塩湖では、紀元前6000年には製塩所ができ、湖面に浮かぶ塩の結晶を採っていたとされています。

紀元前450年頃には、塩を煮詰めるために鉄鍋を使ったという記録が残っているそうです。塩づくりに鉄を使ったことが分かる最初の資料と考えられています。

唐の時代、塩の製造や販売は国が取りしきっており、王朝は財政状況に合わせて塩の値段を操作することで、万里の長城の建造費を捻出することができたと言われています。

 

<古代ローマ>

ローマ帝国では、塩は誰にでも与えられるべき、多くの人に行きわたらせたいものと考えられており、庶民の食卓にも塩が置かれていたそうです。

イタリアやローマから広がる領土には多くの製塩所がつくられ、その周辺に都市が築かれました。

塩を各地に運ぶためにつくられた「塩の道」が世界へと広がり、ローマ勢力はその勢力を拡大していったとされます。

給料を意味する「サラリー」、兵士を意味する「ソルジャー」という言葉は、ラテン語で塩を意味する「サル」が由来とされています。

 

<古代エジプト>

古代エジプトでは、ナイル川の先に広がるアフリカの砂漠の干上がった湖から塩を入手することが容易だったようです。

塩を調味料の材料にしたり、肉や魚、野菜を塩漬けにしたりしていたという記録が、パピルスや壁画で残っているとのことです。

葬儀のお供え物として、塩漬けの魚と食卓塩入れがあったという話もあります。

 

※写真はAdobe Stock「Pamukkale, natural pool with blue water, Turkey」より

<参考サイト>

・世界の塩・日本の塩

https://www.tabashio.jp/collection/salt/s4/index.html

・塩の歴史

https://www.shionavi.com/salt/history

 

 


 

⑤ 知っていそうで知らない?!塩の歴史《日本編》

 

日本で塩づくりが始まったのは、縄文時代の終わり頃と考えられているそうです。

狩猟生活を送っている時代は、海から取れる魚貝類には塩味がついており、動物の肉にも塩分が含まれているため、人体はそれほど塩分を必要としなかったようです。

稲作をはじめとした農耕生活に変わり、食生活が穀物主体のものになると、ナトリウム不足になりがちなため、塩分を摂取する必要が生じてきたと言われます。

日本は岩塩などの塩資源に恵まれておらず、多雨多湿のため天日だけで塩を作ることも難しく、海水を煮詰めて塩の結晶を取り出すしかなかったようで、それぞれの時代で知恵と工夫を凝らした製塩法が生み出されたようです。

四方を海に囲まれた日本は簡単に塩が採れると考えてしまいますが、岩塩などから塩が採れる国と比べ、人力で海水をくみ上げたり、海水を煮詰めたり、精製も必要で時間も手間も掛かることから、日本で塩は長い間、大変貴重なものだったということがうかがえます。

以下に、日本での古来からの塩の製法を調べてみました。

 

<縄文・弥生時代>

海水をそのまま煮詰める「直煮(じきに)製塩」。全国各地で、製塩用の土器が出土しているそうです。

煮詰める途中で土器が割れるなど、一筋縄ではいかなかったと想像されます。

 

<弥生時代>

ホンダワラなどの海藻を積み重ねた上から、海水をかけては乾かす作業を繰り返していたようです。

塩の結晶が付いた海藻を焼き、できた灰を釜に入れて海水を加え濃い塩水にし、その上澄みを煮詰めて塩をつくる「藻塩焼(もしおやき)製塩」を行っていたとされます。

海藻は乾燥しにくく燃えにくいので少しの塩しか採れなかったそうです。

 

<室町時代中期>

「揚浜式(あげはましき)塩田製塩」が行われるようになりました。

粘土板の上に砂を敷き詰め、水が染み込まないように固めた塩田に、人力で汲み上げた海水を繰り返しまいて天日乾燥させ、砂に塩分を付着させます。

砂が乾いたら海水で洗い流してかん水を採り、釜屋と呼ばれる小屋で煮詰めて製塩をおこなったようです。

 

<江戸時代>

潮の干満差を利用して塩田に海水を引き込み、毛細管現象によって砂を湿らせる「入浜式(いりはましき)塩田製塩」が行われ、海水を汲み上げる労力が要らなくなったそうです。

それ以外の作業は「揚浜式塩田」と同様でした。

瀬戸内海沿岸の10カ国(長門、周防、安芸、備前、備中、備後、播磨、伊予、讃岐、阿波(現在の兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県))を中心に大規模な「入浜式塩田」が築造され、「十州塩田」と呼ばれました。

「入浜式塩田」という方法は、塩の干満差が大きい瀬戸内海沿岸で開発・発展してきたとされ、現在でも塩のメーカーが瀬戸内海沿岸に多いのは、ここに由来しているそうです。

昭和30年頃までの約400年にわたり、日本独特の製塩法として盛んに行われたそうです。

 

<1953年~1971年>

昭和30年頃から「流下式枝条架併用(りゅうかしきしじょうかへいよう)塩田製塩」が主流となりました。

ポンプで汲み上げた海水を、緩やかな傾斜をつけた塩田に流し、水分を蒸発させて濃い海水にします。

これを竹の枝を組んだ「枝条架」の上からしたたらせ、太陽と風で水分を飛ばしてさらに濃縮させ、煮詰めて塩をつくります。

これまでの「入浜式塩田」と比べ、生産量は2.5~3倍に増加し、労力は約10分の1 になったそうです。

 

<1972年~>

イオンの性質を利用して海水中の塩分を集める「イオン交換膜製塩」に、全面的に切り替えられました。

塩の主成分・塩化ナトリウム(NaCl)は、海水中では電気を帯びたイオン(Na+とCl-)になっています。

陽イオンだけを通す陽イオン交換膜と、陰イオンだけを通す陰イオン交換膜を交互に並べ、電気を流すことで、濃い(Na+とCl-が多い)塩水と、薄い(少ない)塩水ができます。

こうしてできた濃い塩水を煮詰めて塩が作られています。

「イオン交換膜」による製塩法が開発されるまで、日本では実に1000年以上も塩田による製塩が続いてきたのです。

 

<1997年~>

1905年から「塩専売法」という法律のもと、塩の製造・販売は国により管理されてきました

1997年、新しい法律に変わったことで「イオン交換膜製法」以外でも塩をつくることができるようになりました。

2002年には塩の製造・輸入・流通が完全に自由化されたことで、塩製造者が増え、様々な方法で塩づくりが行なわれています。

 

三代目:塩が大変貴重だったということから、手延べ素麺作りが発達したのは、塩が比較的身近にあった海に近いエリアであるのが納得できます。

まあ、海に囲まれている日本ですから海に面していること自体は珍しくも無いのでしょうが、海に面していない奈良県桜井市の三輪素麺が発祥となったのは、少し不思議な感じがしますね。この辺は、機会があればまた調べてみたいと思います。

 

※写真はPhotoAC「香川県宇多津町 うたづ臨海公園にある復元塩田」より

<参考サイト>

・日本の塩 世界の塩

http://www.tokyosalt.co.jp/woldsolt

・世界の塩造り、日本の塩造り

https://www.nihonkaisui.co.jp/small_customer/learning_salt/Japanese_salt

・日本の塩づくりの歴史

https://www.shiojigyo.com/siohyakka/made/history.html

・日本の塩つくりの歴史

https://www.hakatanoshio.co.jp/salt/history/

・株式会社天塩「塩とは」

https://www.amashio.co.jp/shio/#h-anker2

 

 


 

⑥ 《産地紹介》三重県・大矢知(おおやち)素麺

 

大矢知素麺は、三重県四日市市大矢知地区で作られる素麺です。

今から約200年前の江戸時代末期、1人の旅の僧侶が大矢知の農家に一夜の宿を請い、人々の親切なもてなしに大変喜んで、そのお礼として素麵の作り方を授けたのがその始まりとされています。

 

朝明川の清流と、鈴鹿おろしと呼ばれる乾燥した北西の季節風という気候風土に加え、北勢地域が小麦の産地であったことなど、素麺づくりに適したこともあり、農閑期である冬の副業として、素麺づくりが盛んになったと言われています。

 

明治時代には近代的な手延べ製法が伝わり、昭和初期の最盛期には生産者が300軒を超え、手延べ製法を用いてひやむぎやきしめん、うどんも生産されるようになったそうです。

機械生産への移行などにより生産者は急速に減少し、現在は10件ほどの事業者が伝統的な手延べ製麺の技術をつないでいるとのことです。

 

大矢知素麺は少し太めの麺で、手延べならではの強いコシやなめらかな舌触り、歯切れの良さが特徴です。

農林水産省の統計(平成21年)によると、手延べ素麺の都道府県別生産量において、三重県は全国第9位となっています。

 

 

<参考サイト>

・Wikipedia「大矢知素麺」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%9F%A2%E7%9F%A5%E7%B4%A0%E9%BA%BA

・四日市市広報2022年2月上旬号

https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1643956619284/simple/202202joujun0205.pdf

・大矢知手延べそうめんの歴史

http://soumen-guide.net/archives/140

・大矢知手延べそうめんの特徴

http://soumen-guide.net/archives/143

・乾めん類の都道府県別生産量

https://www.shimabara-soumen.com/article/14800426.html

 

 


 

⑦ 《美味しい素麺》小豆島便り〈冬〉(ギフトセット) 編

 

小豆島民にとって“馴染み深い品々”を集めました。

小豆島には手延べそうめんのほかにも、 醤油やオリーブといった歴史ある食品産業があります。

当店自慢のそうめん・うどんと、 小豆島を代表する食品をセットでお届けします。

数ある醤油蔵、オリーブオイルメーカーのなかでも、 古くから島民の食卓に欠かせない二品を選びました。

濃縮タイプで大きめサイズの万能つゆと、 さらっとクセのない味わいのオリーブオイルは、 色々な料理にお使いいただけます。

本文でも書いたように、素麺に含まれる塩分は茹でたり、水ですすいだりしている内に自然と流れ落ちていきますが、めんつゆなどに含まれる塩分が多いと結局同じことになってしまいます。

山芋の粉を練り込んだ「手延べ山芋素麺」や「手延べオリーブオイル素麺」など、普通の素麺とはまた違った味わいやお料理にお使いいただける素麺をセットにしています。

ですから、濃く味付けしたり濃いつゆにつけたりしなくても美味しく召し上がっていただけるのではないでしょうか。

また、石井製麺所の素麺を美味しく召し上がっていただくのにおすすめなつゆ「マルキンデラックスつゆ」もセットにしています。

6倍濃縮タイプなので、塩分が気になる方は少し薄めるなどお好みの濃度でお召し上がりいただけます。

さらに、オリーブオイルもセットしていますので、めんつゆに少し垂らしてお召し上がりいただければ、コクが出て美味しくなると思います。

石井製麺所の人気の素麺とおすすめ商品をセットにしたギフトセットですので、ご自宅用はもちろん、大切な方への贈り物にいかがでしょうか。

春先のお祝い事にもピッタリですよ。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《小豆島便り<冬>》 https://141seimen.thebase.in/items/55454413

 

 

 

 

 

三代目:次回のブログは3/27ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。