天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

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2023年6月

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三代目ブログ

2023年6月26日 【Vol.16】麺究者への道/ラーメンを研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.16

麺究者への道/ラーメンを研究してみる

 

 

 

 

素麺をつくり続ける製麺会社として、素麺づくりに携わる者として、食べる方に喜んでいただける素麺をつくることは何よりの幸せだと感じます。

逆に言えば、お客様に喜んでいただけることはなんなのか、どういう素麺が喜ばれるのか…自問自答の(ほぼ)毎日です。

そこで、「まずは、素麺づくりに携わる者として最低限の他産地の知識を持っていたい」と考え、様々な産地を調べブログに書いてきました。

恥ずかしながら、他の産地について詳しく考えたことがなく(一般的な知識くらいは持ち合わせているつもりですが)、新製品開発を考えていく上でも先人の知恵や他産地の動向、商標や販路など様々な点で知識不足を痛感し、ブログを続けるほどに「もっともっと素麺について知りたい!」そう考えるようになりました。

また、今回は「そうめんサミット」を機に多くの方との交流やSNSでの繋がりからヤル気と刺激をいただくことができました。

 

ですが、ふと、他の麺類ってどうなの?ということが気になり、ちょっと視野を広げてみる意味でも他の麺類・麺料理について調べてブログに残したいなと考えています。

これまでのブログとは少し方向性が変わるかも知れませんが、よろしくお付き合いください。

思い出したように前のブログの形式を持ち出したりするかも知れませんがご容赦ください。

 

 

じゃあ、まずはどの麺類・麺料理から考える?

 

私たちの食生活に無くてはならない存在といえる麺類。

その種類は多く、素麺と同じく小麦粉を原料とする麺を数えただけでも、うどん、ラーメン、スパゲティなど実にたくさんの種類が思い浮かぶのではないでしょうか。

 

子どもから大人、歳を重ねて嗜好が変わっても麺料理への欲求は大きいものをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

麺類はその調理方法や提供方法で変化し、食べる時間や環境によって手軽な食事や、〆の一品、究極の一杯など、価値も変わってくるのではないでしょうか。

 

暑い日には冷たい麺をツルツルッと食べたいですよね。

ちょっと贅沢に食べるなら具材を盛り付けてつゆやスープにこだわったり、あっさり食べるなら薬味にこだわったりとポイントも人それぞれではないでしょうか。

寒い日には熱いスープに浸かった麺をフーフー言いながら食べたいですし、

たくさんの仲間や家族と一緒にお鍋の具材にすることもできますよね。

麺料理は、私たちの様々な生活シーンに溶け込んでいます。

 

そこで今回は素麺以外で身近な麺類、なかでもラーメンについて掘り下げてみたいと思います。

数ある麺類のなかでも、ラーメンは中国がルーツと言われ、素麺と同様に(素麺もルーツは中国と言われる)日本で独自の発展を遂げた麺料理ではないでしょうか。

今や世界中で日本のラーメンが食べられており、海外からの観光客が日本食としてラーメンを食べる光景もよく見られます。

先日も香港から来た友人が、日本のラーメン屋さんに並んで食券を買っている姿を見て、不思議に感じたのを思い出しました。

 

今回は、ラーメンの歴史や日本での進化、海外への広がりなどについてご紹介したいと思います。

 

 

 

【目次】

① 麺類の起源は2世紀頃の中国にあり?!

② ラーメンは料理として日本で独自の進化を遂げる

③ 日本と中国のラーメンの違いとは?

④ 日本のラーメンは5つの要素で成り立つ!

⑤ 日本のラーメンは海外でも大人気!

⑥ 《美味しい素麺》夏限定セット『瀬戸凪(せとなぎ)』編

 

 


 

 

① 麺類の起源は2世紀頃の中国にあり?!

 

今や日本の国民食とも言えるラーメン。その原型となっているのは中国の麺料理「拉麺(ラアミエン)」です。

そもそも、小麦を原料とした麺類が生まれたのは、中国北部の黄河流域だったそうです。

 

メソポタミアで栽培されていた小麦が紀元前3000年ごろに中国に伝わり、華北平野で盛んに栽培されるようになりました。

当時はまだ麺の状態ではなく、小さくちぎったスイトンや平たいワンタンの皮のような形状で食べていたようです。

 

2世紀頃の「四月月令」という文献に、初めて麺の名前が出てきます。

スイトンやワンタン状の「煮餅」と、ひも状の「水引餅」というものです。

550年頃に書かれた「斉民要術」という書物には水引餅が登場。

これが麺の祖先と考えられています。

そのつくり方は、小麦粉をよくふるい、肉の煮出し汁でよくこねて、箸の太さほどの棒状(30センチ)にし、水を張った器の中で指でもみ押さえながら引きのばす、というものです。

「餅」というのは中国では小麦粉を使用した食品全般を指し、調理法により「水で煮る」「蒸してつくる」「焼いてつくる」「油で揚げる」の4つの系統に分けられます。

日本で言う「麺」は水で煮る系統に入るようです。

アジアの麺料理はここから派生していったと考えられるそうです。

 

日清食品「めんの系譜研究会」の麺の系譜図では、麺を伝統的な製造方法で5系列に分類しています。

 

【手延べラーメン系列】

水引餅の直系にあたる、練った小麦の生地を手でのばす製法で、モンゴルや中央アジアに伝わりました。

中央アジアでよく食べられている麺料理の「ラグマン」は、中国の「拉麺」が語源と考えられています。

棒状にのばした生地を渦巻きの形に巻いて少し寝かせ、油をコーティングしながら手でのばしていく中細麺で、食べる直前につくるのが特徴。

羊肉または牛肉とトマトをベースにしたスープに、季節の野菜をたっぷり入れて煮込みます。

地方によって食べ方が異なり、大きくは汁麺タイプ、汁なし麺タイプ、炒め麺タイプに分けられるそうです。

 

【素麺系列】

日本の手延べ素麺と同じで、練った生地をひも状にのばし、表面に植物油を薄く塗って、2本の竹の棒にかけさらに引きのばす製法。

元の時代の文献に見られる「索麺」が日本に伝わり、素麺になったと考えられます。

現在中国では、福建省を中心に「線麺」「麺線」と呼ばれるものがつくられているそうです。

 

【切り麺系】

練った小麦粉の生地を麺棒でのばし、包丁で細く切ります。

小麦粉以外にそば粉など様々な原料を使った麺づくりに生かされている製法で、日本ではうどんやそばなどがこれにあたります。

 

【押し出し麺系列】

生地をトコロテンのように押し出して細長くする製法。

粘り気のある小麦粉の生地ではなく、緑豆やそば、米などの生地から麺をつくるために考えられたようです。

 

【河粉(ホーフェン)系列】

うるち米を水に漬け吸水させて、回転式の石臼でひき、ペースト状になったものを蒸したり煮たりして、刃物で切る製法。

 

 

<参考サイト>

・麺の起源、系譜 ~麺はどこからきたのか?~

https://world-noodle-dictionary.com/roots/origin.html

・麺の伝播経路

https://world-noodle-dictionary.com/roots/spread.html

・麺類の起源:麺の歴史は小麦の歴史でもある。多彩な文化を紐解くと食したくなる。

https://kz-pe.com/noodle/

・NATIONAL NOODLE DAY特別企画!麺の歴史と世界の麺を紹介します。

https://www.myojousa.com/ja/blog/national-noodle-day/

・世界の麵の文化史

https://www.syokubunka.or.jp/gallery/ishige/archives/noodle/chapter3.html

 

 

 


 

 

② ラーメンは料理として日本で独自の進化を遂げる

 

ラーメンの料理としての変化を調べてみました。

 

ラーメンを日本で初めて食べたのは誰でしょうか?

1665年に徳川光圀(水戸黄門)が、中国から招いた儒学者の朱舜水のつくった「汁そば」を食べた、これがラーメンのことだという説が長く信じられてきました。

しかし近年、室町時代の1488年に京都の僧侶たちが「経帯麺」という、現在のラーメンと同じく「かん水」を使った麺を食べたという記録が見つかり、これが日本で初めて食べられたラーメンである可能性があるそうです。

 

明治時代になると、開国に伴い海外の食文化が多く伝わるようになり、横浜や神戸、長崎などの港町に中国人が進出して中華街が生まれました。

そこでできた中国料理店から、麺料理を含めた中華料理が広がっていったそうです。

函館の「養和軒」にて1884年に提供された「南京そば」というメニューが塩ラーメンだったとされ、これが現在のラーメンのルーツという説があります。

 

1910年、浅草に開業した「来々軒」で提供されたのが醤油ラーメンの元祖と言われます。

来々軒の成功を機に、ラーメンを提供する店が増え、庶民の味として広がっていったようです。

 

1923年の関東大震災により、ラーメン店を営んでいた人たちが東京周辺から日本各地へ散らばり、全国でラーメン店が増えたそうです。

 

福岡県久留米市の「南京千両」というお店では、1937年にとんこつラーメンを開発。

当初は澄んだスープだったそうですが、1947年に誤ってとんこつを沸騰させたことがきっかけで、白濁したスープが生まれたそうです。

 

第二次世界大戦後には、中国から引き揚げてきた人たちが中国で覚えたラーメンの製法を活かし、各地の闇市で屋台を開業。

安くて美味しくて栄養もとれるラーメンが人気を集めたようです。

 

1954年には北海道札幌市の「味の三瓶」というお店で、味噌ラーメンが誕生しています。

 

「ラーメン」という呼称が広まるきっかけとなったのが、1958年、初のインスタントラーメンである「日清チキンラーメン」の発売。

それまで「支那そば」「中華そば」と呼ばれていたそうですが、CMなどで人気商品となり、「ラーメン」という名前が全国的に認知されるようになりました。

 

1960~70年代になると日本各地でご当地ラーメンがつくられ、観光資源のひとつになったと言われます。

その後、何度となくブームが起こり、多様化し洗練されていった日本のラーメン。

2015年には巣鴨の「Japanese Soba Noodles 蔦」が、ミシュランガイドでラーメン店として世界初の1つ星を獲得したそうです。

 

※上記は独自調べです。諸説あるものや、「うちが元祖!」ということもあるかと思いますがご容赦ください。

 

 

<参考サイト>

・日本のラーメンの歴史

https://www.raumen.co.jp/rapedia/study_history/

・日本のラーメンの起源と歴史とは?中国のラーメンとの違いは?

https://jpnculture.net/ramen/

・ラーメンっていったい何だろう? 要素と歴史を押さえればラーメンの“今“が見える!

https://www.myojousa.com/ja/blog/what-is-ramen/

 

 

 


 

 

③ 日本と中国のラーメンの違いとは?

 

中華料理の「拉麺」は、日本で独自に進化したラーメンとどう違うのでしょうか。

「拉」は引きのばすという意味で、小麦粉にお湯を入れよくこねて長くのばし、たたんでさらに伸ばして細長くしていく手延べ製法でつくられます。

「かん水」を使っていないため、コシが弱くやわらかくてもちもちした食感です。

日本の麺はコシが強くて食べごたえがあり、太さや硬さの種類が選べるお店もありますよね。

日本のラーメンのスープは、肉・魚介・野菜などのだしに醬油や味噌を合わせるなど、複合的な味わいでバラエティに富んでいますが、中国では牛肉・豚肉・魚介からとるようです。

味へのこだわり方も違っていて、日本の優先順位は(1)スープ(2)麺(3)具材中国は(1)具材(2)麺(3)スープなんだそうです。

例えば日本のラーメンは、とんこつ・醤油・味噌といったスープの味わいにより分類できますが、中国では「牛肉」「五目」など、上に乗せる具材で選ぶとのことです。

 

 

<参考サイト>

・日本のラーメンと中国のラーメンは違う食べ物だった

https://www.ko-cho.com/blog/contents/1509-02/

・日本のラーメンと中国のラーメン(拉麺・拉面)の違い・特徴

http://chugokugo-script.net/shoku-bunka/ramen.html#%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AB%E9%80%B2%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%9F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3

・中国の麺料理(ラーメン、拉麺)

https://world-noodle-dictionary.com/asia/china/

・「あれ?中国ラーメンって日本のラーメンと違うかも」中国のラーメンと日本のラーメンの違いとは!?

https://minnanomen.com/%E3%80%8C%E3%81%82%E3%82%8C%EF%BC%9F%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%81%A3%E3%81%A6%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%81%A8%E9%81%95%E3%81%86

・日本と中国のラーメンの違いは?ラーメンの発祥・歴史を徹底解説

https://tokyo-ramen-mania.com/ramen-history/

 

 

 


 

 

④ 日本のラーメンは5つの要素で成り立つ!

 

ラーメンは、麺・だし・タレ・脂(油)・具の5つの要素を組みあわせることで無限のレシピを生み出すことができるとも言われています。

 

【麺】

ラーメンに使用する中華麺の特長は、「かん水」を使用すること。

かん水により、独特のコシや黄色がかった色味が生まれます。

縮れ・ストレート・手もみといった製麺方法や形状、小麦の種類、太さ、加水率(麺に加える水分の割合)、形状などを変化させることによって、オリジナリティを出すことができます。

 

【だし】

ラーメンのスープはだしとタレ、さらには脂(油)の組み合わせによってつくられます。

主なだしの原料としては、豚骨・鶏ガラ・牛骨などの動物素材、昆布・煮干し・エビ・タイなどの海鮮素材、タマネギ・長ネギ・生姜・ニンニクなどの野菜素材。

まただしのとり方として大きくは、強火で長時間煮込む、濃厚な味と風味の「白湯出汁」(とんこつラーメンに多い)と、濁りを出さないように沸騰寸前の温度以下で仕込む「清湯出汁」(醤油ラーメンに多い)とに分けられます。

 

【タレ】

基礎となる調味料に、香辛料や肉・魚介のエキスなどを凝縮させてつくります。

醤油ダレ、塩ダレ、味噌ダレが一般的です。

 

【脂(油)】

旨みを加えるとともに、スープが冷めないようふたをする役割も果たします。ネギ油、マー油、辛味油、ラード、焼きラード、鶏油、エビ油などが使われます。

 

【具】

チャーシュー、メンマ、ネギ、煮玉子、海苔、キクラゲ、モヤシ、なると、ホウレン草、ワンタン、バター、糸唐辛子、挽肉、白髪ネギ、三つ葉、コーン、角煮など、多種多様です。

 

 

<参考サイト>

・ラーメンの歴史と現在

https://artsandculture.google.com/story/CAVxS5QL1jNFKw?hl=ja

 

 

 

 


 

 

⑤ 日本のラーメンは海外でも大人気!

 

今や日本のラーメンは海外でも高い人気を誇ります。

2015年のある記事では、海外にあるラーメン店は2,000店舗以上とのこと。

ニューヨークでは2000年代にラーメンブームが起き、以降も年々人気が高まっているそうです。

 

基本の味は醤油、味噌、塩、とんこつなど、日本と同じ。

中でもラーメンでしか味わえないとんこつが人気とのことです。

 

驚くほど異なるのは、その食べ方。

日本ではラーメン店でゆっくり食事を楽しむイメージはあまりないですが、海外では時間をかけて食べるのだとか。

まずお酒と前菜を楽しみ、メインディッシュとしてラーメンをゆっくり味わうそうです。

おしゃれなディナーとして予約して訪れる客も多く、値段も日本の倍以上するようです。

 

海外でのラーメン人気は、「チキンラーメン」「カップヌードル」などのインスタントラーメンから始まったと考えられています。

さらに日本の映画やアニメがきっかけとなりラーメンに興味を持ったという人も多いそうです。

 

ラーメンは日本が誇る食文化として、世界中で愛されているようですね。

 

今回は、麺(生地)というよりも、ラーメンという料理全体についてクローズアップしてみました。

さて、次回はどんな麺を調べてみようかな。。。

 

 

<参考サイト>

・海外のラーメン事情|ラーメンが世界的に人気な理由や味・価格の違いを解説

https://iekeikokuramen.com/ja/archives/2937

 

 

 


 

 

⑥ 《美味しい素麺》夏限定セット『瀬戸凪(せとなぎ)』編

 

夏の贈り物 「瀬戸凪(せとなぎ)」 こだわりの手延べ麺3種を、 小豆島のおだやかな海と、瀬戸内の多島美をデザインしたパッケージで贈る、 石井製麺所特製の夏限定ギフトです。

400年の手延べ製法を受け継ぐスタンダードな「手延べ素麺」と、 小豆島産の健康野菜“しょうどしま長命草”を練り込んだ「手延べしょうどしま長命草素麺」、 瀬戸内レモンがふわっと香る「手延べレモン素麺」をセットにしています。

古くから相手の健康を気づかって贈り物として重宝されてきた素麺の在り方を大切に、 無添加、着色料不使用にこだわった素麺ギフトです。

届いてすぐに食べられるように、めんつゆ(希釈タイプ)もセットしています。

 

セット内容: ●手延べ素麺×6束  ●手延べしょうどしま長命草素麺×6束  ●手延べレモン素麺×6束  ●めんつゆ(アルミパック)×10袋

※めんつゆは希釈タイプです。1袋で1人前になります。

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《夏限定セット『瀬戸凪(せとなぎ)』》 https://141seimen.thebase.in/items/62463374

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

新着情報

2023年6月18日 【Vol.15】(番外編)『第3回 全国そうめんサミット2023 in小豆島』レポート 2日目

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.15(番外編)

『第3回 全国そうめんサミット2023 in小豆島』レポート

 

 

 

 

6月3日と4日の2日間、『第3回 全国そうめんサミット2023 in小豆島』が開催されました。

台風の接近で、サミットまで気が気でない1週間でしたが、本番は素晴らしいお天気、そうめんに相応しい晴れ空となりました。

 

今回はそうめんサミットの2日目レポートをお届けしたいと思います。

 

 

【2日目】

 

この日は、そうめんをテーマにしたエンターテインメントな1日。

 

2日目は「そうめんと遊ぶ日」となっており、前日の「そうめんを学ぶ日」とは打って変わり、“そうめんをテーマにしたエンターテインメント”な1日になっています。

「流しそうめん」、『そうめん落語』、大道芸、キッチンカーやイベントブースの出店などとても賑やかな一日でした。

1日目は鑑評会や公開討論会など緊張感のあった内容でしたが、この日も天気良く屋外でのイベントも多かったので、多くの人に小豆島ならではの楽しい一日をお過ごしいただけたのではないでしょうか。

 

 

 

オリーブ公園のイベント広場(屋外ステージ)で、流しそうめんが行われました!

小豆島では夏になると、時々、所々で流しそうめんを見ることはありましたが、本当に久しぶりに流しそうめんを見たように思います。

オリーブ公園から望む内海湾は、私も大好きな小豆島の景色のひとつです。

流しそうめんにピッタリなロケーションではないでしょうか。

 

今回は紙製のトングを用いるといった対策がされていました。

たしかに、この方法であればリスクを軽減することができます。

午前と午後、2回行われた流しそうめんですが、すごい行列であっという間に完食となりました!

来場者が目を丸くするほどの盛況ぶりで、流しそうめんの人を惹きつける力に驚かされます。

 

もしかすると、流しそうめんはもっと早く、たとえば4月~5月くらいに行うのがいいかもしれません。

「そうめんの季節がやってきた」ことを伝えるのに最適なイベントだと思います。

弊社の工場には、そうめんを天日干しするスペースがあるのですが、ここで毎年、流しそうめんイベントをするのもおもしろそうです。

 

 

次に足を運んだのは、『そうめん落語』。

香川県ご出身、FM香川「WEEKEND SHUTTLE」でメインパーソナリティとしても活躍されている落語家、桂こけ枝さんの落語です。

披露されたのはもちろん、そうめんにちなんだ落語。

開演には間に合わず、途中からの観覧でしたが、ホールは立ち見が出るほどの満員御礼でした。

『そば清(そばせい)』の蕎麦をそうめんに置き換えて、そうめんならではのアレンジがされた、おそらくこの日のための特別な演目だと思われます。

 

食べ比べでお金をせしめる主人公。

何杯でも箸が進み、思った以上に食べてしまえる、そんな“そうめんらしさ”満載の落語でした!

そうめんの大食い勝負なら、私もそれなりに勝負できるかもしれません。

 

 

広場にもどると、大道芸が行われていました。

私は存じ上げていなかったのですが、「吉田さんちの大道芸」はテレビにも出演され、SNSの総再生回数が1億回を超える、親子で活動されている大道芸人さんなのだそうです。

 

大道芸はこれまでも、ときどき目にすることはありましたが…感動して涙が出た大道芸は初めてでした。

お父さんと3人姉妹による、息の合った芸の数々に拍手が起こります。

高校卒業で引退(?)となる長女さんの、幼い頃から磨かれたであろう芸がすごかった!

おそらく、親子でひとつの舞台を作り上げる様に、私は尚更、感動したのだと思います。

 

この年齢になって、跡継ぎとなって、両親と日々仕事をしていますが、親子ならではの良さと難しさがあることを知っていますので…勝手な想像で、申し訳ないですが…

 

この日のために、三重の鈴鹿市からお越しいただいたとのことです。

ありがとうございました!

ブログを拝見したところ、三女さんは初フェリーだったようで、とても喜んでいらっしゃったとのこと。

小豆島での公演が、いい思い出になっていると嬉しいですね。

 

 

「OH!HAPPY MORNING」の公開録音。

私は残念ながら観覧できませんでしたが、やはりすごい人気でした。

終演後に写真撮影会があったようで長い行列ができていました。

翌日の6月5日と6日の放送を聴きまして、全国からリスナーの方がいらっしゃっていたことを知りました。

300人以上が集まったそうです!

 

 

 

キッチンカーや、地元の企業の皆様が出店。

出店されていたブースももちろん拝見してきました。

イベントを中心に見て回ったので、いろいろと食べて回る時間はなかったのですが、こちらもにぎわっておりました。

 

どうやら、そうめんを使った特別メニューも出ていたそうで、後で知ってもったいないなと思った次第です。

魚のスープで味わう、そうめんのジェノベーゼ風アレンジだったとか…そうなんです。

そうめんはスープにして食べるとすごく美味しいんです!

たとえば朝食に「スープそうめん」は、もっと試してくれる人が増えるといいなと思っています。

 

 


 

そうめんの可能性と美味しさを満喫できた2日間でした!

 

ということで、そうめんサミットのレポートは以上となります。

ひとりでは回り切れなかったイベントもありましたが、ひとりの“そうめん好き”として、そうめん尽くしの2日間を満喫できました。

 

会場の雰囲気を少しでも共有できましたら…

 

もし心残りをあげるとするならば…

島外の生産者、全国のそうめん製造者の方々と、あまり交流できなかったことでしょうか。

特に、若い世代の生産者と話をしてみたいと考えていたのですが、そもそも会場を見回したときに、私と同世代と思われる方を見つけることができませんでした。

冷静に考えれば、そうめんシーズン真っ只中のこの時期に、小豆島まで足を運べる生産者さんは少ないと思います。

 

その中にあって、淡路島の手延べそうめん生産者の方と、わずかな時間ではありましたが交流できたのは貴重な時間でした。

同じ瀬戸内海に浮かぶ、隣同士の二つの島。

しかし、私の知る限り、交流があるという話は聞いたことがありませんでした。

帰ってから調べてみると、淡路島も天日干しのそうめんがつくられていて、小豆島そうめんと共通した製造風景が見られるようです。

一方で、初めて見る製造機械があったり、家族の連携の仕方、役割分担が違っていたり、勉強になります。

特産品のわかめや玉ねぎを練り込んだそうめんもあるので、「製造方法など情報交換がしたい」といった話にもなりました。

 

「協同」という話は、原料メーカーや機械メーカーといった、いわゆるステークホルダー的な関係だけでなく、同業他社という関係においても大事になるのでは?と考えています。

 

 

後継者問題について考えた時…

作業の負担軽減、製法の改善も重要ですが、実はそれよりも先に、「仲間づくり」が大事なのでは?と…

遠く離れていても、がんばっている同世代の生産者がいることは、勇気づけられるように思うのです。

そうめんそのものが進化していくためにも、皆で意見を出し合い、助け合うネットワークがあってもいいのではないでしょうか。

 

 

このサミットをきっかけとして…

ますますそうめん業界のためにがんばっていきたいと気持ちを新たにしました。

そうめん業界の道筋を示し、そうめんサミットを成功に導いた、小豆島手延素麺協同組合の皆様をはじめとする実行委員会の皆様、業界関係者の皆様、当日イベントを盛り上げていただいた皆様に感謝を申し上げます。

当日ご来場いただきました皆様、そうめんファンの皆様にも御礼を申し上げます。

 

これからツイッターでつながった各地の生産者の方々を訪ねてみたいと思っています。

いつか、全国の生産者の方々が集まるサミットが開催できるとおもしろそうです。

若手のコミュニティもつくっていきたいですね。

 

小豆島そうめんの、そして日本のそうめんのこれからに、ご期待をいただけると幸いです。

 

 


 

場外サミットも開催!

 

前回のブログでも書きましたが、そうめんサミットをきっかけに、すごく嬉しい出会いもありました。

手延べそうめんが大好きな小学6年生のSHUNくんが、サミット前日に工場見学にお越しくださいました!

 

台風の接近が心配された6月2日、お父様と飛行機に乗って、遠路はるばる小豆島まで…

 

製造体験のため、これから延ばすそうめんを用意していたところ、SHUNくんが到着。

シャッターを開けて、工場の中でそうめんがつくられている様子を見た瞬間のSHUNくんの笑顔が忘れられません。

両手を広げて、喜んでくれました。

 

 

SHUNくんは、手延べそうめんを盛り上げる活動をされています。

きっかけは、とあるお店で大好きなそうめんメニューがあったそうですが、生産者の廃業によって、そのメニューが食べられなくなってしまったこと。

自分の好きなそうめんが、後継者不足もあってどんどん生産量が減っている現状を知り、何かできることがないか、と活動を開始。

お父様と二人三脚で、全国のそうめんを食べたり、イベントに出店したり、そしてこの度、初めて手延べそうめんの製造現場を見学することになったそうです。

 

 

初めて見る手延べそうめんがつくられる様子に、興味津々。

お土産にとプレゼントした、そうめんを捌く箸を両手に、箸分け作業を体験していただきました。

箸分けはなかなか力のいる作業でもあるのですが、どんどんチャレンジ。

すぐにコツをつかんで、いろんな作業にも挑戦していました。

 

 

最後は、そうめんを結束する機械を見ていただき、実際に束ねたそうめんを箱に詰める作業を体験してもらいました。

そうめんの重さを計り、箱に詰めて、中身をそろえるため最後に箱を両側から、ポンポンっと叩く姿は、すごく様になっていました。

 

私の両親は、まるで孫ができたかのように喜んでおり、短い時間ではありましたが、私たち家族にとっても思い出となる出会いになりました。

 

 

サミット当日もご一緒させていただき、弊社がお世話になっている小田象製粉(株)の研究開発担当の方とのお話の場も設けさせていただきました。

実は、SHUNくんに会うことを担当者の方も大変楽しみされていまして、この場を「場外サミット」と仰っていました。

 

SHUNくんの夢は、そうめんのお店を開くことだそうです。

手延べそうめんを応援してくれているSHUNくんに、生産者としてしっかり応えていきたい。

手延べそうめんがなくなってしまっては、お店ができなくなってしまいます。

 

そうめんを応援してくれる小学生がいることが、どれだけ喜ばしいことなのか。

SHUNくんと出会えたことも、今回のサミットが小豆島で開催されてよかったと思うことのひとつです。

 

最後まで、「また工場に行きたい!」と言ってくれていました。

ぜひまた、小豆島に遊びに来てください。

小豆島そうめんは、いつでも歓迎ですよ!

 

 

 

小豆島のいち生産者が、いち参加者として楽しませていただいた「そうめんサミット」。

貴重な出会いと、これからの“やり甲斐”もいただけた、とても貴重な体験でした。

これからも小豆島手延べ素麺をどうぞよろしくお願いいたします。

もちろん、石井製麺所もよろしくお願いいたします!

 

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

新着情報

2023年6月12日 【Vol.14】(番外編)『第3回 全国そうめんサミット2023 in小豆島』レポート 1日目

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.14(番外編)

『第3回 全国そうめんサミット2023 in小豆島』レポート

 

 

 

 

6月3日と4日の2日間、『第3回 全国そうめんサミット2023 in小豆島』が開催されました。

台風の接近で、サミットまで気が気でない1週間でしたが、本番は素晴らしいお天気、そうめんに相応しい晴れ空となりました。

 

今回はそうめんサミットのレポートをお届けしたいと思います。

 

 

【1日目】

 

スタートは『日本三大そうめん食べ比べ』から。

 

兵庫の播州そうめん、奈良の三輪そうめん、そして香川の小豆島そうめん。

それぞれのそうめんを食べたことはありますが、一度に3種類のそうめんを食べるのは初めての体験です。

 

             

 

まずは見た目の比較。

器に盛られたそうめんを見比べると、三輪そうめんが一番細いことがよく分かります。

播州そうめんと小豆島そうめんの違いは僅かですが、若干、小豆島そうめんが太いような気がします。

手延べ製法の性質上、太さに多少のバラつきが生じるので個体差はあると思いますが、見た目だけでも産地を判断できそうでした。

 

太さが異なれば、食感が変わります。

三輪そうめんは細いので、軽い食感になりそうですが、意外にも食べ応えがある印象でした。

これはおそらく、他のそうめんと同じ感覚で箸に取ると、細い分、より多くの本数のそうめんを取ることになるからかもしれません。

播州そうめんは、はっきりとコシが強いと感じました。

そうめんの一本、一本に存在感があります。気持ちよくのどを通る感じで、噛んだ時にプチっと歯切れのよい感覚も特徴でしょうか。

小豆島そうめんは、こればかりは食べ慣れているところもありますが、ツルツルっと軽やかなのど越しの良さを感じます。

違いを感じたのは歯ごたえ。

芯というほどはっきりしたものではないものの、最初はやわらかく、最後にプチっと切れるような、極端に言えば2段階の噛み応えでした。

 

そして、味の違い。

これが今回、一番分かりやすい違いでした。

小豆島そうめんは、言葉で表現するのは難しいですが、口に入れたとき、のどを通るときに感じる「風味」があります。

これはおそらく、使っている油が「ごま油」であることが理由だと思われます。

味に影響を及ぼすものとして原材料の違いは大きいはずで、「ごま油」の使用は小豆島ならではの特徴です。

はっきりと断定できないのは、その風味が「ごまの風味」だと言い切れないからです。

(私の舌が未熟だという可能性もありますが…)ごまの味がするとは言えないものの、鼻に抜けて感じられる風味があることは間違いありません。

これが、小豆島の島民にとっての「そうめんの味」なのだと改めて実感しました。

 

 

食べ比べてみると、たかがそうめん、されどそうめん、その美味しさには違いがありました。

「私は播州が好き」「私は三輪が一番」「やっぱり小豆島」そんな声が聞こえてくるのも当然だと思います。

繊細な味覚センサーは、その土地の気候、製造環境、職人さん独自のこだわりといった数値化できない微細な違いを感じ取っているのかもしれません。

 

 


 

次に向かったのは『式典・鑑評会結果発表・表彰式』、および『公開討論会』。

 

今回のサミットでは、「そうめんは、宇宙だ!」と題して、「そうめんを食す。そうめんを語る。そうめんを学ぶ。」ことを掲げています。

これが本サミットのメインイベントです。

サミット=首脳会議の名の通り、全国からそうめんおよび乾麺に関わる組合、企業の代表者や生産者の方々が集まりました。

 

 

業界初の試みとして、『第1回 全国そうめん鑑評会』が実施され、その結果発表と表彰式が行われました。

「業界の技術研鑽・品質向上につなげるだけでなく、縮小していくそうめん市場を上向きにし、手延べ文化の維持継承、そうめんに対する消費者の認識・心理的価値を高め、そうめん文化全体を向上させる」ことを目的としています。

全国から全16作品の応募があり、同条件のもと食味に関するブラインド審査の結果、金賞6作品、入賞10作品が選ばれました。

 

【金賞】以下、五十音順

◯静岡県浜松市 池島フーズ株式会社

◯岡山県浅口市 かも川手延素麺株式会社

◯香川県小豆郡 創麺屋株式会社

◯徳島県つるぎ町半田 半田手延べそうめん協同組合

◯兵庫県たつの市 兵庫県手延素麺協同組合

◯長崎県南島原市 島原手延素麺協同組合/平川製麺

 

【入賞】以下、五十音順

◯兵庫県南あわじ市 淡路手延素麺協同組合

◯岡山県 岡山県製粉製麺工業協同組合

◯兵庫県たつの市 カネス製麺株式会社

◯香川県坂出市 木下製粉株式会社

◯愛知県蒲郡市 株式会社金トビ志賀

◯秋田県湯沢市 株式会社後文

◯茨城県稲敷郡 茂野製麺株式会社

◯香川県小豆郡 小豆島手延素麺協同組合

◯長崎県南島原市 長崎県有家手延素麺協同組合

◯奈良県桜井市 奈良県三輪素麺工業協同組合

 

地場産の小麦粉をはじめとする国産原料を使用したそうめんや、食塩や油を使わないそうめんが出品されていました。

小麦粉以外の原料を練り込むそうめんは、今回の応募条件から除外されていたので、シンプルに、小麦粉の味や、製法や技術が評価されやすい鑑評会になったのではないでしょうか。

 

審査員の方々のコメントを聞くと、どれも美味しく、甲乙をつけるのが難しかったようです。

しかし、5項目(味/香り/コシ/のどごし/色つや)の評価基準で点数化された審査だったため、やはり金賞作品には、金賞たる理由があるのだと思います。

可能であれば、各作品について、具体的な感想を聞きたかったというのが本音ですね。

 

公開討論会では、審査員の方々と業界団体の代表者の方々が登壇され、鑑評会の結果も踏まえて議論が行われました。

生産者、販売者、飲食店、それぞれの立場から、そうめんの未来を考えます。

 

そうめんの生産量が減少している、という業界全体の課題。

原因はいくつかあるのでしょうが、食生活の多様化の影響が言及されていました。

日本三大そうめんを食べ比べただけでも分かったように、そうめんには個性があります。

最近は、都内にそうめん専門店が増えており、「そうめんの食べ方」が注目されているようで、料理に合わせて最適なそうめんを選ぶことが大事とのこと。

私も恵比寿にある専門店『そそそ』を訪ねたことがありますが、「明太クリームそうめん」といったメニューが人気を博しているそうです。

 

飲食店においては、のびにくさも重要になります。

そこで提案されていたのは、「古(ひね)」と呼ばれる熟成麺の活用です。

播州そうめんでは特に、古物(ひねもの)として、ワンランク上のそうめんとして扱われています。

冬に製造したそうめんを、ひと夏(梅雨の時期)の間、蔵の中で寝かせたものを指します。

熟成したそうめんはコシが強くなり、茹でのびもしにくくなるという特徴があります。

 

一方で、新しいそうめんにも、新しいそうめんらしい良さがあり、やはり原料由来の風味が際立つのは新しい麺とのこと。

これは弊社でも大事にしている考え方になります。

ごま油を使用していたり、その風味が特徴である小豆島そうめんにとっては、できたての新しいそうめんを食べるのが合っていると思います。

そのため、小豆島では古物(ひねもの)は一般的ではないですが、麺のコシが強くなる現象は有効活用できると考えています。

たとえば、練り込み系のそうめんは、その原料によってはコシが弱くなることがあるようです。

そんなとき、数か月の熟成を経ることでコシを強くできる可能性も考えられますね。

 

後継者不足の問題にも話が及びました。

跡を継ぐ若い人がいないことは、産地を問わない共通の課題です。

小豆島そうめんの場合、平成初期には200件を超える製麺所がありましたが、今では60件ほどになっているそうです。(小豆島手延素麺協同組合の組合員数)

 

手延べそうめんは、その製法上、長時間作業が必要とされます。

弊社の場合、早朝の3時30分から、およそ15~16時間といったところでしょうか。

これは小麦粉の性質を最大限に生かし、“寝かせては延ばす”を繰り返して麺にしているからです。

美味しさのためには妥協できない、ひとつひとつの工程があります。

そうめん屋単独では、これ以上の作業時間、工程の短縮化は難しいのが現状です。

 

しかし、他産地では、小麦粉など原料メーカーや製麺機械メーカーとの「協同での技術発展」が既に行われているそうです。

製麺所が要望を出し、新しい小麦粉や機械が開発され、製麺所が実験する。その繰り返しで、作業時間が12時間まで短縮されているとのこと。

会場でお会いした機械メーカーの方から、「小麦粉を練る機械も進化しており、練り方によってその後の熟成時間を短縮できる」という話もお聞きしました。

 

小豆島のそうめん屋は、他産地と比較しても、1軒あたりの規模が小さいそうです。

(もちろん、規模だけが理由にはなりませんが)弊社もいわゆる家族経営(両親と私)の1社ですので、長年の製麺経験による経験値と技術はあっても、科学的な知見が不足しているのは間違いありません。

 

自社だけでできることに、限界があるのは明らかです。

 

討論会を聞きながら、協働での技術発展が不可欠だという理解とともに、その主導はそうめん屋(生産者)でなければならないと強く思いました。

 

そうめんを深く知り、料理へ生かすことも大切ですが、たとえば「パスタ風にアレンジしたそうめん」があったとして、それはどこまでいっても「~風」でしかなく、パスタには敵わないものだと思います。

本当に必要なのは、他の麺類に寄せていくような、そうめんのアレンジに留まることなく、そうめんそのものの進化と呼べるような、新しいそうめんの開発だと考えています。

生産者にとっても、もちろん食べる人にとっても新しい、画期的なそうめん。

業界が活気づくような、斬新な切り口のそうめん。

奇をてらうのではなく、しかし「おもしろい!」と感じていただける、そんなそうめんを創りたい。

 

幸いなことに、弊社では新商品やOEM商品の開発にあたって、製粉会社さんや地元研究機関の専門家の方にご協力をいただいております。

「協同」をこれから必要不可欠になる手段と捉えて、主体的に動く。討論会を踏まえた、自分なりの結論です。

 

 


 

1日目の最後は懇親会です。

 

遅れての参加になってしまい、会場に入ると宴もたけなわでした。近くの席には島の同業者の皆様、同じテーブルには素麺組合の皆様。

実は、素麺組合の、特に生産者の方々とお話するのは、これが初めてでした。

素麺組合には若い組合員で青年部が組織されているそうです。

小豆島において、組合員ではない、いわゆる独立した弊社のようなそうめん屋は、通称アウトサイダーと呼ばれています。

言葉だけ聞くと悪い意味に受け取られるかもしれませんが、あまり深い意味はないはずです(笑)。

「立場や所属の垣根を取り払って、技術交流ができれば…」若手の生産者としてのつながりが、これからの小豆島そうめんにとってプラスになると考えています。

 

また、ツイッターでフォローをいただきました、そうめん研究家のソーメン二郎さんと、初めてご挨拶をさせていただきました!

ソーメン二郎さん、業界で知らない人はいないでしょうし、そうめんのPRでテレビや雑誌でも大活躍されております。

そうめん発祥の地、奈良県桜井市のご出身、三輪そうめんの製麺所の家系のお生まれで、「実家に帰省するたび、製麺所の廃業を目の当たりに」されたことで、そうめん業界に対する危機感を抱いたそうです。

 

 

最近では「クラフトソーメン束の会」を主宰され、全国の小規模な手延べそうめん製造所のつくるそうめんにスポットライトを当てる活動をされています。

いつか、ソーメン二郎さんにも注目してもらえる、新作そうめんを創りたいです。

 

参考サイト:https://www.mizkan.co.jp/craft-somen/

 

2日目に続きます。。。

 

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。