天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

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2023年8月

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三代目ブログ

2023年8月28日 【Vol.20】麺究者への道/パスタを研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.20

麺究者への道/パスタを研究してみる

 

 

 

 

先日、弊社の工場見学にもお越しいただいたShunくんがテレビ出演された「イキスギさんについてった」で、VTR出演ですが三代目も少し出演しコメントさせていただきました。

その放送も拝見いたしましたが、コンセプトを持って製品開発するShunくんの姿に感嘆と共感を覚えました。

素麺が好きすぎて…だけでなく、手延べ素麺業界で生産者さんが減っていく現状を危惧して、小学生のShunくんが手延べ素麺の認知度を上げようとするその姿、本当に勉強になりました。

石井製麺所でも、手延べ素麺の新しい形として、さまざまな新麺開発に取り組んでいます。

中にはOEMによる新麺のご相談や製造の委託をいただいています。

この世にあるいろいろな麺が食文化や食卓の変化に伴って進化したように、現代のライフスタイルに合う手延べ素麺を追い求めていきたいと思います。

今回の「麺求者への道」はパスタについてです。
パスタとは、小麦粉と水を練り合わせてつくられた麺食品を総称するイタリア語です。
 
ひと昔前まではミートソーススパゲティやナポリタン、マカロニサラダくらいしか知らなかったものですが、イタリア料理が日本での市民権を得て、今や本格的なイタリアンから和製パスタまで幅広いメニューが浸透している印象です。
しかも人気は衰えることなく、お店も専門店をはじめ居酒屋やレストラン、ファミリーレストランの業態でもイタリア料理は拡大しています。
 
パスタも素麺と同様に乾麺をはじめ、つくりたてを食べる生パスタもあり、奥が深く、幅も広い麺類を代表するものです。
パスタが嫌い…という人を見たことがありません。老若男女に愛される麺類のひとつですね。

今回は、パスタの製法や種類、日本でこれほど普及した背景や、食べ方などについて調べてみました。

今なお拡大するその人気の秘密に迫り、手延べ素麺の新しい方向性に活かせればと考えています。

今回もお付き合いの程よろしくお願いいたします。

 

 

 

【目次】

① パスタに適した性質の「デュラム小麦」が主原料

② 長さや太さ、形状は千差万別!

③ パスタの起源は古代ローマのおかゆ?

④ パスタとソースの組み合わせは無限!?

⑤ 所変われば料理も変わる!パスタ入りスープ

⑥ 《美味しい素麺》手延べレモン素麺 編

 

 


 

 

① パスタに適した性質の「デュラム小麦」が主原料

 

パスタに使われる小麦粉は、素麺やパン、天ぷら粉などに使われるものとは種類が異なるそうです。

「デュラム小麦」というグルテン含有量が多い硬質の小麦をセモリナ状(粗びき)にした、鮮やかな黄色の「デュラムセモリナ粉」で、良質のタンパク質を多く含み、弾力性に富むため生地を形成しやすく、ゆでても形がくずれにくいコシの強さが特徴です。

このデュラムセモリナ粉に水を加えてよく練り、生地をつくります。

穴の開いた金型(ダイス)から高い圧力をかけて押し出し、さまざまな太さや形のパスタに成形します。

これを適当な長さに切断し、高温の熱風で水分を取り除いて乾燥させます。

ロングパスタは乾燥させてから切断するそうです。

こちらは素麺の製法に似ていますね。

乾燥パスタに茶色や白の斑点が見えるのは、デュラム小麦の胚乳の硬い部分や皮の一部などのためとのこと。

 

生地にイカスミ、トウガラシ、ホウレン草、トマトなどを練り込んで、風味や彩りを添える場合もあります。

本場イタリアでは、乾燥パスタはデュラムセモリナ粉と水で作ることが法律で義務付けられているそうです。

一方、生パスタは普通の小麦粉を使い、卵を加えることも多く、家庭で手打ちすることもあるようです。

生パスタは製造過程で加熱しないため小麦本来の香りや旨みが残りやすい、ゆで時間が短い、食感がもちもちしている、などの特長があります。

 

 

<参考サイト>

・Wikipedia「パスタ」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%B9%E3%82%BF#%E5%A4%96%E9%83%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF

・パスタを知る 日本パスタ教会

https://www.pasta.or.jp/knowledge

・パスタを知る 日清製粉グループ

https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/pasta/

・生パスタとは?乾燥パスタ麺との違いは?作り方・茹で時間や料理レシピなども紹介!

https://chisou-media.jp/posts/2880

 

 

 

 


 

 

② 長さや太さ、形状は千差万別!

 

パスタの種類は500種類以上とも言われています。

イタリアでは地方によって同じ種類でも違う呼び方の場合もあり、明確に分類することは困難なようです。

その形状から、大きくロングパスタとショートパスタの2つに分けられますが、そのほかにも板状や団子状、詰め物入りのものなどもあります。

 

【ロングパスタ】

スパゲティ:太さ約1.7〜2.0mm、断面は円形

「ひも」を意味するイタリア語が語源。

日本で一番なじみが深いパスタ。

 

 

スパゲッティーニ:太さ約1.6mm(スパゲティより少し細め)

あっさりしたシンプルなソースによく合う。

 

カペッリーニ:太さ約1.2mm未満、断面が円形(パスタの中で最も細い)

「髪の毛」を意味するイタリア語が語源。

冷製やスープの具に良く使われる。

 

 

リングイーネ:断面が、短径1mm、長径3mmほどの楕円形

もちもちした食感で、ソースがよく絡む。

 

 

タリアテッレ(フェットチーネ):幅4〜8mm前後の平打ちパスタ

北部ではタリアテッレ、南部ではフェットチーネと呼ばれる。

ホウレン草などの野菜を練り込んだものも。

 

 

パッパルデッレ:幅10〜30mmの平打ちパスタ

「食いしん坊」を意味するイタリア語が語源。

 

【ショートパスタ】

ペンネ

先が尖った円筒形で、「ペン先」が語源。

トマトソースと相性が良い。

表面に波状の筋が入ったものはペンネリガーテと呼ばれる。

 

 

フジッリ

らせん状にねじれた形状。

ソースが絡みやすく、グラタンやサラダなどにも使われる。

 

 

マッケローニ

日本ではマカロニでおなじみ。

直径3〜5mmの円筒形。

「素晴らしい」が語源。

 

 

リガトーニ

直径8〜15mmの円筒形。

「線を引く」が語源。

表面に波状の筋が入っていて、もちもちした食感。

 

 

ファルファッレ

真ん中をつまんだリボンのような形状。

「蝶」が語源。

サラダやスープの具材に使われる。

 

 

コンキリエ

巻貝のような形状

「貝」が語源。

大型のものはコンキリオーニといい、中に具材を入れることも。

 

 

オレキエッテ

丸い生地を親指の腹で押してくぼみをつくった、ドーム型の形状

「赤ちゃんの耳」が語源。

 

 

【その他】

ラザニア

板状の平打ちパスタ。

ゆでたラザニアにホワイトソースとミートソースを重ね、チーズをのせてオーブンで焼き上げる調理法が一般的。

 

 

ニョッキ

小麦粉にジャガイモ、ホウレン草、カボチャなどを混ぜてつくる団子状のパスタ。

ショートパスタの元祖とも言われている。

 

 

ラビオリ

小さな袋状の生パスタで、中に肉や野菜、チーズなどの具材が入っており、ゆでたものにバターやハーブをからめる、ソースをかけてオーブンで焼く、などの調理法がある。

 

 

<参考サイト>

・パスタの種類を解説!特徴に合わせたおすすめレシピもご紹介

https://www.kurashiru.com/articles/c9a1a093-9680-4ef2-9023-6e2a7862d8ef#183782

 

 

 


 

 

③ パスタの起源は古代ローマのおかゆ?

 

パスタの起源については、主に2つの説があるそうです。

1つは、紀元前4世紀のヨーロッパ。

エトルリア人の遺跡からパスタをつくる道具が出土しています。

古代ローマのパスタは、焼いたり揚げたりして食べられていたようです

また、小麦やキビなどの穀物を粗挽きにして煮込んだ「プルス」というおかゆのような食べ物が元祖とも言われています。

これを板状に伸ばして焼いたものが、ピッツァやラザニアの原型に近いとのこと。

 

もう1つの説は、1500年前に麺類の始まりとされた中国の「湯餅(たんぴん)」が、マルコ・ポーロによってイタリアに伝えられたというものです。

 

中世になると、パスタをスープに入れたり、ゆでてソースと和えたりしていたと考えられ、15世紀にはスパゲティの元祖ともいえる棒状の乾燥パスタがつくられるようになったそうです。

16世紀に押し出し製法の圧力機が発明され、量産が可能になったことで、飢饉に備える非常食として富裕層以外にも広まりました。

また、大航海時代に新大陸から持ち込まれたトマトが17世紀頃からナポリ地方を中心に食用として栽培が盛んになり、パスタとトマトの組み合わせが広く普及したそうです。

1770年代、それまで手づかみで食べる庶民の食べ物だったスパゲティを、ナポリ国王のフェルディナンド2世が宮廷で食べるために考案されたのが、先が4本に分かれたフォークと言われています。

18世紀後半には産業革命により、パスタ製造の機械化が急速に進みました。

 

日本に初めてパスタが持ち込まれたのは、幕末の横浜の外国人居留地だったと言われています。

国内で作られたのは明治16年(1883年)頃、フランス人宣教師が長崎にマカロニ工場をつくったのが最初だそうです。

パスタが一般化したのは昭和30年(1955年)以降、イタリアから本格的製造機が輸入されてからのこと。

その頃は複数の小麦粉をブレンドして日本人の好みに合わせていたそうです。

昭和61年(1986年)頃から、デュラムセモリナ100%の国産パスタが家庭にも浸透していきました。

 

メニューの変遷としては、戦後、ミートソーススパゲティやナポリタンがデパートの食堂や喫茶店で定番となり、1970年代にはファミリーレストランのメニューとしても登場。

1980年代には本格的なイタリアンレストランが開業され、1990年代には「イタめし」がブームとなり、パスタの存在感が拡大してきたということです。

 

 

<参考サイト>

・起源は紀元前4世紀!?知られざるパスタの歴史

https://food-drink.pintoru.com/pasta/history-of-pasta/

・【知っておきたい食の豆知識】パスタの歴史と種類について

https://cuisine-kingdom.com/historyofpasta/

 

 

 

 


 

 

④ パスタとソースの組み合わせは無限!?

 

パスタをゆでる時は、水に対して1%の塩を入れます。

下味をつけてソースとの味なじみを良くする、パスタを引き締めてコシを出す、デンプンの糊化を遅らせて表面がぬるぬるするのを防ぐ、などの役割があるそうです。

ゆで加減は「アルデンテ」がベストとされています。

アルデンテとはイタリア語で「歯ごたえのある」という意味で、少し歯ごたえが残る程度のゆで加減ということ。

一般的に「髪の毛1本分の芯が残る程度」などと言われます。

表示されているゆで時間より少し早めに1本引き上げて、硬さを確かめるとよいようです。

アルデンテでゆで上げ、ソースと和えたり炒めたりすることで、食べる時にちょうど良い硬さになるそうです。

 

冷製パスタの場合は、表示時間より少し長めにゆでて、氷水で急速に冷やしてパスタをしめると歯ごたえが良くなります。

ゆで上がったパスタはソースと組み合わせて食べられます。主なソースの種類とその特徴などをご紹介します。

 

【トマト】

トマトの酸味や甘み、旨みを生かしたソース。

トマトを煮詰めることで酸味が程よく飛び、濃厚な味わいが引き出される。

「ポモドーロ」や、辛い「アラビアータ」、魚介類を使った「ペスカトーレ」や「マリナーラ」、アサリを使った「ボンゴレ・ロッソ」など。

 

【オイル】

オリーブオイルをメインに、ニンニクや唐辛子を合わせたシンプルなソース。

素材そのものの味や香りをダイレクトに味わえる。

「ペペロンチーノ」や、アサリの「ボンゴレ・ビアンコ」など。

 

【クリーム】

バター、生クリーム、牛乳を使用したまろやかなソース。

平打ちパスタのフェットチーネと相性が良いとされる。

キノコとベーコンの「ポルチーニクリーム」や、トマトソースと合わせた「トマトクリーム」など。

 

【バジル】

イタリア料理で定番のハーブであるバジルの葉をペースト状にしたソース。

バジルの香りが独特の味わいを生む。

「ジェノベーゼ」など。

 

【ミート】

ひき肉と細かく刻んだタマネギなどをトマトで煮込み、ウスターソースやケチャップ、砂糖などで甘く味付けした、アメリカ発祥のソース。

ワインで具材を煮込んだ「ボロネーゼ」など。

 

【チーズ】

チーズを溶かし込んだソース。

濃厚なチーズの旨みをパスタに絡めて楽しめる。

ベーコン、卵、チーズにコショウをきかせた「カルボナーラ」、4種類のチーズを組み合わせた「クアットロ・フォルマッジョ」など。

 

【和風・その他】

醬油や麺つゆ、納豆、梅、キノコなどを使った日本独自のソースや、大葉やネギ、海苔などのトッピング、日本発祥のメニューも。

「たらこパスタ」はたらこをそのまま、もしくは生クリームやバターと絡める。

「ナポリタン」は、タマネギやピーマンを炒め、ケチャップを絡めてつくる。

 

パスタとソースの相性については、細いものや小さいもの、表面に凹凸があるものはソースが絡みやすいので、オイルなど軽いソースと合います。

逆に、太いものや大きいもの、表面がつるつるしているものは、ミートやチーズなど濃厚なソースと合わせるのが基本だそうです。

 

 

<参考サイト>

・パスタをゆでるときに塩を入れるのはなぜ?適切な分量も解説

https://delishkitchen.tv/articles/760

・全部知ってる?パスタソースの種類と特徴一覧

https://food-drink.pintoru.com/pasta/type-of-pasta-sauce/

・パスタソースの種類と特長を解説!あなたはいくつ知っている?

https://nishikiya-shop.com/column/220

 

 

 


 

 

⑤ 所変われば料理も変わる!パスタ入りスープ

 

日本には、ソースがサラッとしたスープ状の「スープパスタ」があり、パスタ料理のひとつとして認識されています。

イタリアにはスープにパスタを入れた料理がありますが、それはあくまでもスープという位置づけなのだそうです。

 

イタリアのスープには「ズッパ」と「ミネストラ」というものがあり、どちらも野菜たっぷりのスープです。

これらを明確に区別することはイタリア人でも難しいようですが、「ズッパ」はパンが添えられたり具として入っていたりするもの。

「ミネストラ」は、パスタやお米が入ったスープを指す言葉のようです。

 

日本では「ミネストローネ」という言葉をよく聞きますが、こちらはジャガイモや豆類が入っているスープで、イタリアではあまり聞かれない言葉とのこと。

他に「ミネストリーナ」というものもあり、これはブロードというだし汁に小さいパスタが入っているシンプルなスープで、おかゆや雑炊のように体調の悪い時などに食べられるものだそうです。

 

 

<参考サイト>

・イタリア版おかゆ?パスタ入りスープ!ミネストリーナ

https://itagiappo.com/minestrina-27

・おすすめレシピ付き!イタリアの食べるスープ「ズッパ」とは?

https://tabicoffret.com/article/78691/#1.2

・ズッパとミネストラ

http://blog.tre-panche.ciao.jp/?eid=272

 

 


 

 

⑥ 《美味しい素麺》手延べレモン素麺 編

 

後味すっきり、夏に食べたいレモン風味の手延べ素麺です。

実は9月30日までの期間限定素麺ですので、この機会にぜひお求めください。

レモン素麺には、瀬戸内レモンの果皮粉末を練り込み、ふわっとレモンの香りを楽しめる素麺に仕上げています。
手延べ製法ならではのツルツル感と、すっきりとした味わいで、暑い夏でもどんどん箸が進むお素麺になっております。

レモンの果実は、果皮に香りが、果汁に酸味が含まれています。
めんつゆに果汁を加えることで酸味をプラス。
さらにレモン感あふれる素麺をお楽しみいただけます。

夏の思い出の〆に手延べレモン素麺はいかがでしょうか。

写真は、塩焼きそば風レモン素麺です。

 

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べレモン素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/62424747

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

新着情報

2023年8月15日 【Vol.19】メンコレ②/魚介を練り込んだ素麺の旨さの魅力

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.19

メンコレ②/魚介を練り込んだ素麺の旨さの魅力

 

 

 

 

8月2日〜4日に東京国際展示場で開催された「和麺産業展」に行ってまいりました。

既存の麺の進化形はもちろん、弊社も参考になるようなさまざまな食材を練り込んだ麺などを拝見しお話を伺いました。

驚いたのは、製麺所・製麺会社が新麺を開発しているだけでなく、異業種からの参入が多いことでした。

原料の輸入会社さんが乾麺をつくられたり、医療器販売会社さんが地域の健康に繋がる製品を開発したいと米粉麺をつくられたりと、そのチャレンジ精神はとても勉強になりました。

中でも、原料メーカーさんでは、その原料を活かせる場として乾麺をつくられている(製造委託)ということで話が弾み、弊社にも依頼があるなど思ってもみない収穫もありました。

食材を練り込んだ麺は、手延べ製法でも色々あると思いますが弊社でも独自の製法を開発しています。

新しい麺開発に色々な方々と取り組んで新しい方向性に繋がれば嬉しく思います。

 

さて今回のブログでは、「Vol.17 メンコレ①/海藻を練り込んだ素麺の新しい価値」に引き続き、生地に食材を練り込んだ素麺について調べてみました。

テーマは、「魚介を練り込んだ素麺」です。

魚介そのものは素麺に合わせる具材として相性が良く、「鯛そうめん」や「サバそうめん」など、各地の郷土料理にもなっていますね。

つゆやだしの原料にも使われることから素麵との関連性は深いものがあります。

また、素麵自体はシンプルな味わいで、つゆやだしの美味しさに大きく左右されますから切っても切れない関係ですね。

 

今回は、素麺自体に魚介を練り込むという、ちょっと珍しい麺について深掘りしてみました。

素麺自体に魚介を練り込むことで麺自体からだしが出るので、より旨みが増すようですし、小麦粉や胡麻油の芳ばしさの風味だけでなく、魚介と合わせた旨い麺づくりに繋がれば。

小豆島も海に囲まれ海産物の活用は比較的取り入れやすいと思うので、素麵として新しい方向性のひとつかなと注目しております。

 

ブログを進めるにあたって色々調べてみたのですが、5種類の素麺が特徴的かなと思ったのでブログでご紹介させていただきます。

もちろん他にもあるかもしれませんが、今回はこれらの素麺について、開発の経緯や製法など分かる限りでまとめてみました。

またお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

※以下にご紹介する素麺は、2023年8月15日現在の当社調べになります。

ご紹介した地域以外でも同様の商品を扱っておられるかもしれませんのでご了承ください。

また、これ以外にもこんな食材を練り込んだ素麺がある、という情報をお持ちの方は、ぜひお知らせください。

 

 

 

【目次】

① イカスミを練り込んだ「漆黒の素麺」

② 岩手に春を告げるイサダを練り込んだ「ピンク色の素麵」

③ ウニの風味と旨みが味わえる「黄色の素麺」

④ ウナギの白焼きを練り込んだ「滋味深い素麺」

⑤ おめでたい贈答品にピッタリの鯛を練り込んだ「めでタイ素麵」

⑥ 《美味しい素麺》新しい麺へのチャレンジ(試作) 編

 

 


 

 

① イカスミを練り込んだ「漆黒の素麺」

 

長崎県島原の手延べ素麺に、特殊製法でイカスミを練り込んだ麺があります。

手延べならではのコシの強さと、なめらかな口当たりが特徴。

口の周りや歯が黒くなってしまうことなく、イカスミの風味を満喫できます。

和風だけでなく中華風や洋風にアレンジするなど、パスタ感覚で楽しめるそうです。

実際に南島原で食べてみましたが、手延べ独特のツルツルッとした食感はそのままに、旨みを感じた記憶があります。

ただ、真っ黒な麺が出てきたときは衝撃を受けましたが…。

 

こちらの商品開発のきっかけは、高知県産の魚介類を一次加工し販売している企業に、長崎県の製麺工場から電話がかかってきたことだそうです。

長崎の素麺と高知のイカスミのコラボ商品といったところでしょうか。

 

イカスミはパスタやパエリヤなどでも活用され美味しさは証明されていますよね。

イカスミはイカが敵から逃げる時に吐き出す墨で、タウリンという旨味成分が豊富に含まれており、まろやかなコクと甘みがあります

ペプチドグリカンという成分に、免疫力を高めてくれる働きがあると期待されています。

また色素成分のメラニンには、花粉症や食物アレルギーを引き起こす細胞の活性化を抑える作用があるという研究結果も。

そのほか、細菌の増殖を抑える肌の水分量や弾力を維持する、などの働きも注目されるそうですよ。

 

また、沖縄には、沖縄県産モズクとイカスミを練り込んだ素麺があり、モズクの加工・販売を手掛ける企業が販売されています。

 

 

<参考サイト>

・濃厚な「イカスミ」にはどんな栄養がある?効果効能やおすすめレシピを紹介【管理栄養士解説】

https://macaro-ni.jp/111284

・島原そうめん イカスミ 練り込み

https://item.rakuten.co.jp/ko-yo-/1602834/

・興洋フリーズ株式会社

https://www.ko-yo-freeze.co.jp/

・モズク入りイカスミそうめん

http://www.mo19.com/shopping/2009/04/post_15.html

 

 


 

 

② 岩手に春を告げるイサダを練り込んだ「ピンク色の素麵」

 

イサダ漁の解禁は、三陸に春の訪れを告げる風物詩。

イサダは、岩手県が水揚げ量日本一を誇るオキアミの一種で、ピンク色の小さなエビのような形をしています。

その乾燥粉末を生地に練り込んだのが、「古館製麺」さんの「三陸イサダそうめん」。

「平成30年度岩手県水産加工品コンクール」において最高賞である「農林水産大臣賞」を受賞されています。

 

原材料には、有機JAS認定岩手県産ナンブコムギの小麦粉を100%使用。

食塩は震災の津波で一度は生産が途絶えましたが新たに「薪釜直煮製法」として復活を遂げた岩手県野田村の「のだ塩」だけを使用されているとのこと。

エビのような風味の、桜色の素麺で、冷やしても温めてもおいしいと評判です。

 

イサダは主に、釣りの巻き餌や養殖魚の餌として使われてきましたが、傷みやすいので食用としての有効利用が進んでいなかったそうです。

しかしながら近年は、EPAやDHA、アスタキサンチンなどの栄養を豊富に含み中性脂肪の蓄積を予防するとして注目されています

イサダを使いやすい乾燥粉末にすることで、酸化が抑えられ冷蔵保存することが可能になったそうです。

 

※写真はイメージです。写真はPhoto AC「オキアミ」より

<参考サイト>

・e地産地消 イサダ

https://www.ehealthyrecipe.com/meal/chisan_chisho/detail.php?szid=2104

・イサダ(ツノナシオキアミ)いわて食財図鑑

https://www.iwate-syokuzaiclub.com/shokuzai/data.php?n=217

・《こぼれ話23》イサダから健康によいパウダー

https://www.naro.go.jp/laboratory/brain/contents/fukyu/episode/episode_list/138907.html

・平成30年度復興シーフードショーIWATEを開催しました!(県水産加工品コンクール結果発表)

https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/suisan/suisanbutsu/suisan/1017987.html

・古舘製麺所「三陸イサダそうめん」が「農林水産大臣賞」を受賞しました

http://hattouya.com/2019/02/02/525/

・古舘製麺所 三陸イサダそうめん

https://hattouya.shop-pro.jp/?pid=113515928

 

 


 

 

③ ウニの風味と旨みが味わえる「黄色の素麺」

 

長崎県島原の「野内製麺」さんがつくっておられるのが、壱岐市から取り寄せたバフンウニを何度もこしながら生地に練り込んだ素麺。

黄色がかった美しい色の、ウニ特有の豊かな風味と旨みが味わえる手延べ麺だそうです。

 

驚いたのは「麺の中に練りウニを練り込むことで豊かな風味と旨みが味わえます。」ということで、粉末化などせず練りウニを練り込んでいるとのことですからちょっと想像がつきません。

乾麺にするから乾燥するからといっても常温以下の乾燥温度ですから、このお素麺はとても興味深いです。

乾燥粉末にせず練り込むことができるなら、食材の旨味や栄養価をそのまま取り入れることができると思うので、健康麺を考える石井製麺所ではとても参考にしたい素麵です。

 

ウニに含まれる栄養価には、抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれており、生活習慣病の予防や、血行を良くするなどの働きがあると言われます。

またカロテンやビタミンB群アミノ酸なども豊富に含まれています。

 

※写真はイメージです。写真はPhoto AC「バフンウニ」より

<参考サイト>

・野内製麺 手延べ ウニそうめん

https://nouchi-seimen.ocnk.net/product/15

・ふるさとチョイス 手延べウニそうめん

https://www.furusato-tax.jp/product/detail/42214/5534373

・ウニ/海胆/海栗/雲丹/うにの栄養価と効用

https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fish/uni3.htm#google_vignette

 

 


 

 

④ ウナギの白焼きを練り込んだ「滋味深い素麺」

 

熊本市の南東に位置する甲佐町の、白旗町のふもとにある養殖場で育てたウナギを練り込んだ素麺があります。

きれいな水と豊かな自然環境の中、循環式水質浄化システムを採用した完全屋内型施設で丁寧に育てられたウナギは、肉厚で脂がほどよくのり、繊細でやわらかく弾力のある肉質が特徴とのこと。

養鰻場を営む企業が地元の製麺会社である「肥後そう川」さんとコラボし、熊本県産の小麦粉を使った生地にウナギの白焼きを練り込んだ素麺が生まれました。

モチモチとした食感でのど越しがよいそうです。

 

ウナギといえば滋養強壮に良い食べ物というイメージがあり、その栄養価の高さは有名ですよね。

不飽和脂肪酸のDHAやEPAカルシウムビタミンAB1DEタンパク質コラーゲンなどが豊富に含まれており、動脈硬化や高血圧の予防、目の健康維持、疲労回復などの働きが期待できます。

 

この素麵の他にも「肥後そう川」さんは、特産品を活かしたオリジナルの手延べ麺の開発などを数多く手がけておられるようです。

企業姿勢としてとても勉強になりました。

 

※写真はイメージです。写真はPhoto AC「生鰻」より

<参考サイト>

・鰻の白焼きを練り込んだ うなぎ 手延べ麺

https://item.rakuten.co.jp/aomikan/10000969/

・うなぎ 手延べ麺 熊本産うなぎを練りこみました

https://gurusuguri.com/shop/z591800/gurusuguri_06/

・鰻屋 源八郎

https://gurusuguri.com/shop/z591800/

・商品開発 肥後そう川

https://www.sougawa.com/private-brand/

・うなぎに含まれる栄養と効果・効能|うなぎを使ったレシピを紹介

https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/30617

 

 


 

 

⑤ おめでたい贈答品にピッタリの鯛を練り込んだ「めでタイ素麵」

 

縁起物の代表格であるタイを練り込んだおめでたい素麺が、ざっと調べただけでも3つの地域でつくられています。

面白いのは、練り込むタイの状態が三者三様なことです。

 

宮崎県宮崎市の「清家商会」さんがつくっておられる「たいめん」は、九州産小麦を100%使用した生地に、タイのエキスと満潮の塩を練り込んだ素麺。

煮込むと、タイの旨みと塩の甘みが上質のだしとして溶け出すそうです。

 

福岡県福津市の地域商社である「福津いいざい」さんの素麺は「めんたい」。

玄界灘産の天然鯛の骨と皮をじっくり乾燥させて粉末にし、練り込んだ素麺です。

贅沢なのど越しとタイの濃厚な旨みが凝縮されているとのこと。

骨と皮を使うことでフードロス削減にも取り組み、環境にやさしい商品づくりをされています。

 

小豆島の「岡上食品」さんでは、生地を練る際にタイのだしを合わせ、コシと風味を活かした素麺に仕上げておられます。

小豆島に居ながら存じ上げませんでした。

ぜひ一度、タイを使った素麵の開発含め、素麺づくりについてお話を伺ってみたいと思います。

 

※写真はイメージです。写真はPhoto AC「新鮮な鯛の氷漬け」より

<参考サイト>

・たいめん

http://seikeshokai.kokage.cc/web-content/taihot.html

・ふるさとチョイス 福津発祥そうめん『めんたい』

https://www.furusato-tax.jp/product/detail/40224/5807301?query_id

・瀬戸内 鯛そうめん 2個セット

https://www.furusato-tax.jp/product/detail/37322/5379828

 

 

 


 

 

⑥ 《美味しい素麺》新しい麺へのチャレンジ(試作) 編

 

実は、何度か小豆島産や他の地域も含めて海産物を利用した新麺開発にチャレンジしたことがあります。

正直…。

とっても美味しくできました!

しかしながら、原料の安定供給が難しいものや原価の高いものがあり、現段階ではペンディング中のものもありますが、試作は済んでいるので上手くいけばぜひ販売をしていきたいと考えています。

熊本の「肥後そう川」さんのように、地域に役立つ商品開発や、素晴らしい食材をお持ちの方々とコラボ商品などどんどん進めて行きたいと思います。

 

ぜひ今後も石井製麺所の手延べ麺にご期待ください。

 

※写真は(有)石井製麺所「X」の投稿より

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。