【お!いしい けんぶんろく】 Vol.30
麺究者への道/醤油について研究してみる
前々回のVol.28のブログでは「発酵」「熟成」について調べてみました。
その時のブログでも書いたのですが、手延べ素麵の進化を考えたときに、天然の美味しさを引き出してくれる「発酵」「熟成」はとても重要なキーワードだと捉えています。
そこで今回のブログからは、古来から「発酵」「熟成」の機能的な部分を活かしつくられるさまざまな食品について調べてみたいと考えました。
その第一弾が「醤油」です。
「発酵」「熟成」の歴史の順番で行くと、他のものもあるかと思いますし、醤油よりも先にできた味噌から取りあげるべきかも知れませんが、そこは、小豆島の製麺所です。
小豆島と言えば、醤油!!
石井製麺所の近くには、大小の醤油工場(蔵元)が数多く並ぶ「醤の郷」という観光スポットもあります。
日本中を見まわしても、この距離感にこれだけの醤油会社が並ぶことは珍しいのではないでしょうか。
「醤の郷」を車で通り過ぎる際にも、醤油工場独特の香りを感じることができ、“小豆島を感じる香り”のひとつだと思います。
さらにすごいのは、
また、各会社・蔵の特徴を活かした商品も多く、小豆島を長年支える産業のひとつです。
さらに、素麵と切っても切れない関係の“そうめんつゆ”も各社で特徴があります。
香り、味、色、バリエーション、活用方法などもさまざまで、
近代的な醤油工場だけではなく、小豆島の醤油づくりの特徴のひとつ「木桶(こが)醤油」も多く見られます。
ある醤油会社の社長様にお聞きしたお話によると「木桶でつくる醤油は全国にもあるが、その醤油をつくる木桶の約半数は小豆島にある」そうです。
小豆島の醤油の歴史も小豆島手延べ素麵と同じく約400年間、伝統を守り続けて今日に至ります。
その中で、醤油会社は進化し、次の世代へ残す醤油や調味料を開発されています。
私も見習って、次の世代に残す手延べ素麵をつくっていきたいと思います。
今回、「発酵」「熟成」の勉強のためのブログを書いていますが、私三代目は島に戻ってから、実はまだ醤油会社を(きちんと)見学したことがありません。
まずは予備知識として、醤油について調べてみて、その次は自分の目で確かめてみたいと思います。
今回は素麵もそうですが、小豆島の産業のひとつ、「醤油」について深掘りして、ご覧いただく方と共有できれば幸いです。
最後までお付き合いの程、どうぞよろしくお願いいたします。
【目次】
① 日本の食の歴史と共に進化してきた醤油の歴史
② 知ってるようで知らない?!醤油の三大産地
③ 醤油の色や味わいは発酵・熟成により生まれる
④ 醤油づくりに活躍する微生物とは
⑤ 昔ながらの「木桶仕込」と近代的な「タンク仕込」の違いとは
⑥ 醤油の仲間?世界にもある「魚醤」
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》 丸島醤油株式会社『味醤油』
① 日本の食の歴史と共に進化してきた醤油の歴史
醤油のルーツは、紀元前700年頃の中国の古文書「周礼(しゅうらい)」に記述のある「醤(ひしお)」と言われています。
「醤」とは当時の塩蔵品の総称だったようです。
原料別に「草醤(くさびしお)」「肉醤(ししびしお)」「穀醤(こくびしお)」の3種類に分けられ、「草醤」は漬物、「肉醤」は塩辛類で、「穀醤」が現在の醤油や味噌の原型と考えられています。
日本では飛鳥時代のものと思われる木簡に、「醤」の文字が見られます。
大宝律令によると、宮廷の料理を司る「大膳職(だいぜんしき)」に属する「醤院(ひしおつかさ)」で、大豆を原料とする醤がつくられていたとされます。
奈良時代から平安時代の宮中宴会では、膳の上に「四種器(よぐさもの)」という4種類の調味料「塩・酒・酢・醤」が乗っていたという記録があり、醤の形状が固形から液状へと変化したのもこの頃のようです。
大豆が日本で広く生産されるようになってきた鎌倉時代には、醤の一つである味噌の製造過程において、味噌桶の底に溜まった液体を「溜(たまり)」として利用していたそうです。
これが醤油の原型とされています。
室町時代の中頃には、現在の醬油に近いものがつくられるようになりました。
1597年(慶長2年)の日常用語辞典である「易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)」に、「醤油」の文字が登場しています。
室町時代の末頃から、関西を中心に醤油の醸造が盛んになりました。
江戸時代の中期には、大阪・堺、和歌山・湯浅、兵庫・龍野などの産地で醬油の量産化がすすみ、製法が進化して品質も向上したと言われ、醬油が庶民にも広く普及した時期であったようです。
江戸幕府が開かれたことに伴い、経済や文化も江戸を中心として発展していきます。
江戸初期には、関西で生産された味や品質の良い「下り(くだり)醤油」が大量に江戸へ送られたという記録が残っています。
江戸時代中期になると関東でも様々な産業が栄え、今の千葉県の銚子や野田が醤油の一大産地となり、江戸の人々の嗜好に合わせた「濃口醬油」が、関東で普及したようです。
江戸時代後期になると、寿司・天ぷら・蕎麦などの日本的な食文化が形成され、醤油は庶民の調味料として定着しました。
明治時代中期から大正時代にかけて、醤油製造の機械化や企業設立など近代化が進み、大量生産体制に移行していきました。
現在、多くの醤油が自動化された工場でつくられています。
その一方で、消費者の本物志向や自然志向の高まりにより、伝統製法でつくられる「天然醸造(本醸造)醤油」の価値が見直されています。
<参考サイト>
・しょうゆの歴史を紐解く
https://www.kikkoman.co.jp/soyworld/subete/history.html
・しょうゆを知る 歴史
https://www.soysauce.or.jp/knowledge/history
・日本食文化の醬油を知る
http://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/mame01-a.html
② 知ってるようで知らない?!醤油の三大産地
醤油の代表的な三大産地として知られているのが、「千葉県(銚子・野田)」・「兵庫県(龍野)」・「香川県(小豆島)」です。
それぞれの成り立ちや特色について、調べてみました。
【千葉県】
「キッコーマン」や「ヤマサ醤油」などの大手醤油メーカーが本社を置く千葉県。
銚子と野田は、江戸川と利根川の水運を利用し、原料の入手や大消費地である東京への運搬にも都合がよく、醤油の産地として発展しました。
千葉県の醬油の生産量は、日本全体の3分の1を占めています。
千葉でつくられる醬油の多くは、濃口醬油です。
※写真はPhotoAC「関宿城(野田市)」より
【兵庫県】
日本の醤油生産量の約15%を占めます。
兵庫県西部に位置する龍野市は、淡口(うすくち)醬油の一大産地です。
播磨平野の豊かな小麦、山間部でとれる良質の大豆、赤穂の塩、清らかで鉄分の少ない川の水が、淡口醤油づくりに適しているとのことです。
「ヒガシマル醤油株式会社」は龍野市の企業です。
※写真はPhotoAC「播磨の小京都・龍野の町並み」より
【香川県】
小豆島では、約400年前から伝統的な木桶(こが)仕込みで醬油がつくられてきました。
明治時代末頃には約400軒の蔵元があったとのことです。
現在、日本にある木桶のうち半数にあたる約1000本が小豆島にあり、約20軒の醤油会社(蔵元)が密集しているそうです。
海に囲まれておりもともと製塩業が盛んでしたが、瀬戸内の各地で塩が生産されたため、過剰となってしまった塩を原料として活かせる醤油づくりが始められたとされています。
小豆島の醤油づくりの起源は諸説あるそうですが、大阪城を築城するための石材を切り出す部隊が持っていたのが醤油の前身となる調味料で、小豆島の人がその製法を学んだことが始まりだそうです。
穏やかな気候が醤油づくりに不可欠な麹(こうじ)の発酵に適していること、天下の台所である大阪に近いこと、大豆や小麦などの原料の運送にも便利な立地であることなどから、醬油の産地として発展を遂げたと考えられています。
話が少しそれますが、小豆島には「香川県産業技術センター発酵食品研究所」という組織があります。
明治38年に約400軒存在した醤油の蔵元と地元自治体が、連携して醸造技術の向上を目指すために設立した「組合立小豆島醤油醸造試験場」が始まりで、現在は香川県に移管されています。
醤油調味料だけでなく、佃煮などの加工品、手延べ素麵、オリーブなど、小豆島の地域食品産業全体の新商品開発や品質管理に関する支援を行っています。
また勉強会を実施し、大学や他の研究機関から仕入れた最新の情報の提供や、醤油製造に携わって日が浅い人向けの講習などを行っているそうです。
現在は、石井製麺所も大変お世話になっています。
地域密着型で地域における課題に取り組み成果を挙げている、住民との関わりが見える、などが評価され、平成24年度には「地域づくり総務大臣表彰」を受賞されています。
小豆島にはこうした、醤油などの技術をしっかりと残す・伝える・科学する心強い味方があるのです。
※写真は「香川県発酵食品研究所」
<参考サイト>
・【醤油】歴史と日本の三大名産地の特徴を知ろう!
https://thegate12.com/jp/article/172#content-2
・醤油と聞いて思い当たる地域といえば
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0408
・小豆島醤油の歩み
https://shima-shoyu.com/history/
・香川県産業技術センター発酵食品研究所(動画ですので音量などご注意ください)
https://www.youtube.com/watch?v=iQtjaoQwpY0
③ 醤油の色や味わいは発酵・熟成により生まれる
醬油は、大豆と小麦、塩を発酵熟成させたもので、その製造方法から3つに分けることができます。
大きな違いは「アミノ酸液」を入れているかどうかで、さらに入れるタイミングによって分類されます。
アミノ酸液は、大豆などの穀物を分解させた旨味成分を凝縮した液体です。醤油の3つの製法をご紹介します。
【本醸造方式】
昔ながらの伝統的な製法で、醤油の生産量全体の約8割を占めています。
アミノ酸液を入れず、麹菌本来の力を利用してつくる醤油で、原材料費と時間がかかります。
深い旨みと、芳醇な香りが特徴。
蒸した大豆と炒った小麦に「種麹(たねこうじ)」を加えて麹をつくります。
これを食塩水と一緒にタンクに仕込んで「諸味(もろみ)」をつくります。
攪拌を重ねながら約6~8カ月寝かせると、麹菌や酵母、乳酸菌などが働いて、分解・発酵・熟成され、醤油特有の色・味・香りが生まれます。
麹菌の働きにより、大豆のタンパク質は分解されて旨味成分のアミノ酸に変わり、小麦のデンプンは分解されて甘味のあるブドウ糖に変わります。
【混合醸造方式】
本醸造方式でできた諸味にアミノ酸液などを加えて、1カ月以上撹拌しながら発酵熟成させる製法。
アミノ酸液特有の旨みを生かした醤油になります。
化学的につくられた必要成分を添加することで、短期間で効率よく製造することができます。
アミノ酸液や、大豆などにタンパク質分解酵素を加えて分解させた「酵素分解調味液」、小麦グルテンなどを麹により発酵・分解させた「発酵分解調味液」などを加えることにより、旨味が添加されます。
また、砂糖や果糖ブドウ糖液糖、水あめなどの糖類、またはステビアや甘草などの甘味料を加えることにより、甘味を添加する場合もあります。
【混合方式】
本醸造形式でつくられた「生揚げ(きあげ)醬油」に、アミノ酸液などを混ぜる製法。
混合醸造方式と同様、化学的につくった必要成分を添加することで、短期間で効率よく製造することができます。
醤油は日本農林規格(JIS)により5種類に分類されています。
色の濃さは熟成期間に比例しており、①濃口醬油に比べて②淡口醤油や③白醤油は熟成期間が短めで、旨みは少なめで塩分濃度は高め。
④再仕込醤油や⑤たまり醤油は熟成期間が長く、旨みが多く濃厚な味わいです。
それぞれの製法や特徴について紹介します。
①【濃口醬油】
全国の醤油出荷量の約84%を占める、最も一般的な醤油。
コクのある味、食欲をそそる芳ばしい香り、透明感のある明るい赤橙色が特徴です。
塩味のほか、深い旨味、まろやかな甘味、さわやかな酸味、味をひきしめる苦味を合わせ持っています。
調理用にも卓上でも幅広く使える万能調味料です。
②【淡口醤油】
醤油出荷量の約13%を占める、関西発祥の色の淡い醤油。
基本的な製法は濃口醤油と同じですが、色を淡くするために仕込みの段階で、発酵・熟成をゆるやかにさせる食塩を、濃口より約1割多く使用しています。
また味をまろやかにするため、米を糖化させた甘酒を使います。
素材の色を美しく仕上げる炊き合わせやふくめ煮などの調理に使われます。
③【白醤油】
愛知県碧南市で生まれた、淡口醤油よりさらに淡い琥珀色の醤油。
味は淡白ですが甘味が強く、独特の香りがあります。
脱皮・精白した小麦を主原料に、炒った後皮をむいた大豆を少量使い、約3カ月なるべく低温を保ってつくられます。
色の薄さと香りを生かした吸い物や茶碗蒸し、またせんべいや漬物などにも使用されます。
④【再仕込(さいしこみ)醤油】
山口県柳井地方で生まれ、山陰から北九州地方にかけて多くつくられてきた醤油。
麹を食塩水ではなく生揚げ醤油で仕込むため「再仕込み」と呼ばれます。
色・味・香りともに濃厚で、別名「甘露しょうゆ」とも言われます。
刺身や寿司、冷奴など、主に卓上で使われます。
⑤【たまり醤油】
主に中部地方でつくられる色の濃い醤油。とろみと濃厚な旨み、独特な香りが特徴。
大豆と少量の小麦を蒸して「味噌玉麹」をつくり、食塩水で仕込みます。
底にたまった液を汲み掛けながら約1年間発酵・熟成させます。
諸味から自然に分離されるものを「生引き溜り(きびきたまり)」、後に残った溜味噌を搾ったものを「圧搾溜り」といいます。
寿司や刺身などの卓上用に適するほか、加熱するときれいな赤みが出るので、照り焼きなどの調理用や、佃煮、せんべいなどの加工用にも使われます。
<参考サイト>
・しょうゆの製造法
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/c_propanol/soysauce.html
・しょうゆを知る 製法
https://www.soysauce.or.jp/knowledge/process
・ しょうゆを知る 種類
https://www.soysauce.or.jp/knowledge/kinds
・本醸造・混合・混合醸造/醤油の製法による3分類
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0312
・醤油の種類
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0301
④ 醤油づくりに活躍する微生物とは
醤油づくりには微生物の働きが不可欠です。
その代表格が「麹菌」「乳酸菌」「酵母菌」で、この順番で活躍します。
製法の話と重複する部分もありますが、それぞれがどのような働きをするか、整理してみます。
【麹菌】
蒸した大豆と炒った小麦に種麹を付け、3日ほどかけて繁殖させます。
これにより生み出された酵素が、大豆のタンパク質をアミノ酸に、小麦のでんぷんをブドウ糖に、それぞれ分解します。
麹は米や麦などの穀物にコウジカビを繁殖させたもので、麹菌を培養するもととなる種菌が、種麹です。
醤油の出来を左右するこの種麹を専門に生産し、醤油の製造業者に卸す「種麹屋」というものがあり、別名「もやし屋」とも呼ばれています。
米に麹菌を生やして熟成させた状態を「よねのもやし」と言う、京都の酒づくりで使われていた言葉が由来だそうです。
メーカーの要望に応じて、数多くある麹菌を単独または何種類か培養し、保存できるように乾燥させて種麹をつくります。
現在、種麹屋は日本に数件しかないとのことです。
【乳酸菌】
有機酸をつくりだす微生物で、醤油にさわやかな酸味や味の伸び、深みを与えます。
乳酸発酵が進むほど、諸味が酸性になり、酵母菌が活躍しやすい環境になります。
【酵母菌】
アルコール発酵をする微生物。
醤油にはアルコールが数%含まれていて、皿に注いだ時にアルコールが揮発することで香りが立つのだそうです。
醤油づくりでは主に2種類の酵母が働いています。
まず「主発酵酵母」が、ブドウ糖をもとにアルコールを生み出し、乳酸菌がつくった有機酸と化学反応して、複雑な香りを生み出します。
次に「後熟酵母」がゆっくり活動し、味に深みを与えます。
このことから、熟成期間が長いと深い味わいになるのだそうです。
<参考サイト>
・醤油づくりの微生物(麹菌・乳酸菌・酵母菌)
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0707
・日本酒や醤油、味噌に欠かせない「種麹」を育てる『もやし屋』をご存じですか?
https://cuisine-kingdom.com/hishiroku/
・酵母菌
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0711
⑤ 昔ながらの「木桶仕込」と近代的な「タンク仕込」の違いとは
醤油の製法の説明で「麹をタンクに仕込む」とありましたが、伝統的な製法では木桶を使っています。
木桶仕込とタンク仕込ではどのような違いがあるのでしょうか。
【木桶仕込】
木桶の内部に微生物が住み着き、何十年の時間をかけて仲間を増やし独自の生態系をつくっていきます。
「蔵付き酵母」などと言われるもので、その蔵でしか味わえない風味や味わいをつくり出します。
自然の温度変化に応じて発酵するので、仕込みの年ごとに微妙に味が変化することもあり、管理状態によっては品質にバラつきが出る場合もあります。
産地紹介にもありましたが、香川県の小豆島は江戸時代から約400年つづく醬油の産地です。
色やコク、香りがよい島の醬油は、昔から木桶(こが)と呼ばれる巨大な杉の桶を使って醸造(発酵・熟成)されてきました。
桶の大きさは、上部の直径が約2.2メートル、深さ約1.7メートル、容量約32石(5800リットル)。
古いものは100年以上使いこまれており、100~200種類もの酵母菌や乳酸菌といった微生物が棲み着くことで、味わいや旨みを引き出せるそうです。
【タンク仕込】
屋外に設置でき、大容量で大量生産に向いています。
プラスチックや鉄製の素材なので微生物は住み着かず、洗浄してまた新たに微生物を添加し、温度コントロールもできるなど管理がしやすく、常に同じ環境で安定した品質を生み出すことができます。
<参考サイト>
・木桶とタンクの違い
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0715
・小豆島ってどんな島?(産業)
https://shodoshima.or.jp/what/industry/
・小豆島町の特産品「本場の本物」小豆島桶(こが)仕込醤油
https://www.town.shodoshima.lg.jp/gyousei/kakuka/shokokanko/4/891.html
・産業について
https://www.town.shodoshima.lg.jp/kanko/other_info/specialty/3410.html
⑥ 醤油の仲間?世界にもある「魚醤」
醤油のような発酵調味料のひとつに「魚醤」があります。
魚醤は、生の魚を塩で漬け込んで発酵させ、魚の旨味成分を凝縮させた液体です。
それぞれの土地で獲れる魚が使われており、独特の濃厚な旨味とにおいがあります。
海に囲まれた日本では、古くから魚醤が使われており、日本三大魚醤と呼ばれる「しょっつる」「いしる」「いかなご醤油」が有名です。
<日本三大魚醤>
【しょっつる】(秋田県)
「塩魚汁」とも表記されます。
ハタハタやイワシを塩漬けし、発酵させたもの。
魚の頭と内臓などを取り除き、常温で1年以上漬け込むのだそう。
20世紀前半頃までは多くの家庭に自家製のしょっつるがあったそうです。
淡口醤油のような色で、くせは少なく、塩気が強いのが特徴です。
しょっつるを使い、ハタハタやセリを入れた「しょっつる鍋」は、秋田の有名な郷土料理です。
【いしる】(石川県)
能登半島でつくられる調味料。
地元では、イカの内臓を原料とし、風味が強くてくせのある味わいの「いしる」(地区によっては「いしり」)、イワシやサバなどの青魚を原料とし、臭みの少ない「よしる」と使い分けていますが、名前は混在していることもあるそうです。
煮物の隠し味や刺身、郷土料理などに使われています。
【いかなご醤油】(香川県)
イカナゴを塩漬けし、発酵させたもの。
樽の中で室温30度前後で6カ月以上熟成させてつくられます。
しょっぱさの中にもまろやかさがあり、豆腐や刺身、野菜の煮つけなどに使われることが多いとのこと。
香川県では1950年代頃まで主に使用されていましたが、大豆醬油の人気により生産が途絶えてしまい、1998年頃に伝統の味として生産が再開されたそうです。
世界でも、東アジアを中心とする各国で魚醤が使われています。
世界は広いです。
<世界の魚醤>
【ナンプラー】(タイ)
カタクチイワシを使い、約1~2年熟成させてつくられます。
魚の旨みが非常に強い醤油のような味わいで、加熱して使われることが多いです。
タイ料理の定番である「トムヤムクン」や「ガパオライス」にも使われます。
【ニョクマム(ヌクマム)】(ベトナム)
イワシやアジなどの青魚を使い、半年~1年ほど熟成させます。
独特の香りが強く塩気は弱めで、生春巻きやフォーなどに少量が使われます。
【エクジョ】(韓国)
イワシが原料ですが、生臭さや独特な風味は抑えらえていて食べやすいのが特徴。
キムチの隠し味としてもよく使われるそうです。
【コルトゥーラ】(イタリア)
カタクチイワシの頭と内臓を取り除き、塩漬けにして約3~4年熟成させます。
マイルドな風味で、パスタやバーニャカウダの隠し味として親しまれています。
【ガルム】(古代ローマ)
古代ローマ時代、ヨーロッパではアンチョビの内臓を原料とする「ガルム」という魚醤が日常的に使われており、ローマ帝国の滅亡とともに衰退したとされます。
最近では現代人の味覚に合わせ、小魚や小エビを塩漬けにした新しいガルムがつくられ、イタリアの味として人気を集めているとのこと。
<参考サイト>
・魚醤は醤油なの?
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0316
・日本が誇る伝統の発酵食品「魚醤」の豆知識
https://www.maruichi.com/delicious/file/post-24.php
・魚醤とは?種類やそれぞれの特徴・レシピもご紹介
https://delishkitchen.tv/articles/1177#contents8
・料理の味を引き立たせる能登生まれの調味料
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/material/files/group/33/59isiru_yosiru.pdf
・日本三大魚醤を知って受け継ぐ食文化
https://tempe-oneface.com/kinkatsu/15179/
・世界各国のうま味文化
https://www.umamikyo.gr.jp/knowledge/culture.html
・魚醤とは?特徴や使い方、醤油・ナンプラーとの違いについても解説
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》 丸島醤油株式会社『味醤油』
若者からご年配の方まで、卵かけごはん用から煮物まで、希釈し天つゆにめんつゆにもってこいの、だし入り万能醤油です。ゆでたてうどんに3倍希釈でかけて、ぶっかけうどんをお楽しみください。
本醸造醤油にだしを加えた万能醤油です。かけ醤油、めんつゆ、天つゆ、煮物にご利用いただけます。
(丸島醤油株式会社ホームページより抜粋)
石井製麺所のギフトセットにセットさせていただいている『味醤油』は、大変人気があり、単品の販売はないのかとお問い合わせを頂戴します。
小豆島のスーパーやお土産店で、手軽に手に入りますが、ご近所にあるスーパーとは違いがあるでしょうか。
お醤油としてはもちろん、希釈によってはお出汁の香る調味料として便利な一本です。
石井家でももちろん常備。
またこの『味醤油』が、石井製麺所の麺にピッタリだと考えセットにしておりますので、ぜひ石井製麺所の手延べ麺とご一緒にお試しください。
《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/
《手延べ半生うどんセット》 https://141seimen.thebase.in/items/79953733
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。