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石井製麺所通信

石井製麺所通信

2024年4月29日 【Vol.34】麺究者への道/味噌について研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.34

麺究者への道/味噌について研究してみる

 

 

 

 

今、このブログを仕上げているのは、催事真っ最中の長野の空の下です。

ブログ自体は、少しずつ書きためているのですが、ブログの導入部分は最終仕上げなので、いつも後回しになっています。

催事のための準備にも追われ、なかなか仕上げが出来ず、逆に、催事中のホテルの中で、作業をおこなっています。

まあ、他にすることもないので、のんびりと書いています。

 

さて、今回のブログでは発酵食品の代表格である、味噌について調べた物を綴りました。

醤油や素麺よりも遙か昔から日本人に愛用されてきた食品のためか、本当に多様性に富み地域に根付いた“らしさ”のある味噌が多く見受けられました。

中でも気になったのは、愛知県の「八丁味噌」。

ご存じでしたか?

「八丁味噌」については、GIという商標的な認可で、近代的な製法をおこなう組合に所属する会社と古くからの製法を続ける会社との間で、「どちらが、八丁味噌ブランドなのか?」という点でトラブルとなり、古くからの製法を守り続ける会社が負けるというショッキングなニュースが、まさに最近ありました。

 

この事件があったから味噌を調べたわけではありませんが、ある意味、小豆島手延べ素麺でも、起こりえる問題だなと考えさせられるニュースでした。

 

今回のブログでは、いつものように味噌の歴史やその広がり、種類や地域性について調べてみました。

調べる内に味噌はとても優れた健康食で、こんなにも愛される食品なんだと、改めて気付かされました。

その味噌の良さを皆さまにお伝えすることが出来れば幸いです。

 

今回も最後までお付き合いの程、どうぞよろしくお願いいたします。

 

◎4月24日(水)ながの東急様地下1階の催事場から、催事の準備を終えて。

 

【目次】

① 高級品から、武将に重宝され、庶民の味へ

② 味噌の味と熟成の関係とは?

③ JAS規格ができたばかりの味噌。麹・味・色による分類とは?

④ シンプルな原料で、発酵・熟成を経てつくられる味噌

⑤ 地域特性の多様さが多彩な味噌をつくる

⑥ 味噌問題勃発?!

⑦ 発酵過程で栄養価アップ!味噌の健康作用

⑧ ご当地味噌を使った郷土料理も多種多様

⑨ なめ味噌や、海外の味噌に似た調味料とは?

⑩ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺 編

 

 


 

① 高級品から、武将に重宝され、庶民の味へ

 

味噌は、大豆や麹、塩などを発酵・熟成させてつくる日本の古来からの発酵調味料です。

そのルーツについては、中国もしくは朝鮮半島経由で伝わったという説と、弥生時代から日本独自の塩蔵を経て発展したという説があるそうです。

中でも有力なのが、中国で生まれた、肉や魚を塩で漬けて発酵させた「醤(ひしお)」や、大豆や雑穀と塩を合わせて発酵させた「豉(くき)」が、日本に伝わり独自の発展を遂げたという説です。

 

奈良時代、701年に完成した「大宝律令」に「未醤」という文字が書かれており、「みしょう」 から 「みしょ」 、「みそ」へと変化していったと考えられています。

 

平安時代に初めて「味噌」という文字が文献に現れ、「延喜式(えんぎしき)」という法典では貴族の給与や贈答品として使われていたという記述があります。

当時は寺院や貴族階級のみが食することのできる貴重な高級食材で、おかずとしての「なめ物」だったようです。

 

鎌倉時代には、中国からの僧の影響ですり鉢が広まり、粒味噌をすりつぶしたものを使った味噌汁が誕生したとされています。

これにより、禅宗の質素倹約の食事である「一汁一菜」の形態が、鎌倉武士の食事の基本として確立されたそうです。

 

室町時代には大豆の生産量が増え、農民が自家製の味噌をつくるようになり、保存食として庶民にも浸透しました。

味噌汁以外の料理も、室町時代に生み出されたそうです。

 

戦国時代には武将たちが戦陣食として味噌を用いました。

貴重なタンパク源として、干したり焼いたりして携帯しやすくしていたそうです。

 

江戸時代、江戸の人口が増え、三河や仙台から味噌が江戸に送られるようになりました。味噌汁が庶民の味となり、味噌が生活に根付いていきました。

 

昭和時代、味噌の容器が樽からカップへ変化し、だし入り味噌が登場するなど、社会変化に合わせて進化していきました。

 

 

<参考サイト>

・味噌のきほん

https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/02.html#:~:text=%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%AB%E3%82%82%E3%80%8C%E8%B1%86%E6%9D%BF,%E3%81%9F%E8%AA%BF%E5%91%B3%E6%96%99%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

・マルコメ 味噌のこと

https://www.marukome.co.jp/miso/

・味噌 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター

https://www.umamiinfo.jp/richfood/foodstuff/miso.html

・みそ(味噌)を知る イチビキ

https://www.ichibiki.co.jp/enjoy/knowledge_miso/

・みその豆知識 かねこみそ

https://kanekomiso.co.jp/knowledge/knowledge-of-miso/#section1

・味噌 ひかり味噌

https://www.hikarimiso.co.jp/enjoy-miso/encyclopedia/type.html

 

 


 

② 味噌の味と熟成の関係とは?

 

味噌の旨味は、大豆タンパクが分解されてできるアミノ酸(主にグルタミン酸)に影響され、熟成の進んだものほど旨味が強くなります。

さらに塩味や酸味、甘味が調和し、良い香りと適度な粘度が加わって形成されるそうです。

また熟成が進むと舌に感じる刺激が和らいで伸びとコクのある味わいになるとのことです。

 

味噌は仕込み初期には塩辛く感じられ、熟成するにつれて、塩分濃度は同じですが塩辛味が減少します。

この現象を「塩なれ」といい、乳酸やペプチド、アミノ酸など、酸味や旨味成分の影響を受けた結果起こるものだそうです。


味噌の甘味は、麹が多いほど強くなります。

これは、米や麦のデンプンが麹のアミラーゼにより糖に分解されるからとのことです。

熟成期間が長くなると、糖分は酵母や乳酸菌により消費されるため減少するそうです。

 

 

 

 


 

③ JAS規格ができたばかりの味噌。麹・味・色による分類とは?

 

味噌にはとても多くの種類があり、その多様性に対して規格を設けるためのグループ分けが困難といった理由により、「日本農林規格(JAS)」でも明確な基準がありませんでした。

 

2022年3月、味噌の海外市場における競争力の強化や日本からの輸出拡大などを目的としてJAS規格が制定されました。

日本独自の伝統的な生産方法として、①こうじ菌は「Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼー)」に限定②こうじは「ばらこうじ」または「豆こうじ」に限定、という、主に2つの基準を定めています。

 

味噌は「麹の種類」「味」「色」により大きく分類することができます。

 

【麹の種類による分類】

味噌は大豆と塩、そして麹でつくられます。主に3種類の麴が使われています。

 

<米味噌>

「米麹」を原料に使用した味噌で、国内生産量の約80%を占める。「赤味噌」や「白味噌」も、米味噌の一種。塩味と酸味があるのが特徴。

 

 

<麦味噌>

大麦やハダカムギを使った「麦麹」でつくる味噌。田舎味噌とも呼ばれ、熟成期間が短い。麦特有の香ばしさがあり、さっぱりとした甘味が特徴。生産量は全国の約5%で、主に九州・四国・中国地方でつくられている。

 

 

<豆味噌>

蒸した大豆に麹菌を付けた「豆麹」を使用する味噌。

赤黒い色で、渋みや酸味の強い個性的な味わい。生産量は全国の約5%で、主に愛知県、岐阜県、三重県でつくられている。

 

 

<調合味噌(合わせ味噌)>

米味噌、麦味噌、豆味噌を混ぜたものや、醸造段階で米麹と麦麹を合わせてつくるものなど、2種類以上の味噌を組み合わせた味噌。生産量は全国の約10%。

 

【味による分類】

塩味の強さにより分けられます。また塩分が一定なら、「麹歩合」(原料の大豆に対する米や麦の比率)が高いほうが、甘味が強くなります。

 

<甘味噌>

塩分濃度5~7%程度。関西地方で食べられる「白味噌」や、東京の伝統的な「江戸甘味噌」など。

 

<甘口味噌>

塩分濃度7~11%程度。流通している多くの味噌がこれに分類される。文字通り甘いものから、甘じょっぱいと感じるものまで幅広い。

 

<辛口味噌>

塩分濃度11~13%程度。もっとも塩味が強く、すっきりした味わいが特徴。かつては主流だったが、現在では主に北の地域でつくられている。

 

【色による分類】

味噌は主に熟成期間によって色が変わります。

短いと白っぽく、長くなるにつれて淡色、赤色になり、長期熟成になると黒っぽく変化していきます。

発酵・熟成中に、原料の大豆などに含まれるアミノ酸が糖と反応して褐色に変化する「メイラード反応」が起こることにより色が変化します。

完成してからも熟成が進むため、時間が経つにつれて味噌の色は濃くなっていきます。

 

<白味噌>

熟成期間約1カ月。甘味の強い白味噌が一般的で、塩分が高めのものもある。

 

<淡色味噌>

熟成期間約4~8カ月。全国的に流通しており、スーパーなどでよく見かける味噌。

 

<赤味噌>

熟成期間1年以上。色が濃く、中には黒色に近いものもある。

 

<参考サイト>

・味噌をもっと楽しもう~味噌の分類~

https://misovation.com/blogs/journal/types-miso#link3

いろいろなJAS認証 みそ

http://jascert.or.jp/veriousjas/miso/

 

 


 

④ シンプルな原料で、発酵・熟成を経てつくられる味噌

 

味噌がどのようにつくられているか調べてみました。

最も多く食べられている米味噌を例にご紹介します。

 

【大豆を洗い、水に浸す】

乾燥させた大豆をよく洗い、一晩以上水に浸漬させる。水をたっぷり含んだ大豆の水を切り、温める。

 

【蒸したり煮たりして、冷ます】

水で戻した大豆を、高温・高圧で、短時間で蒸し上げてやわらかくし、しっかり冷ます。

 

【米を蒸して種麹を付ける】

洗って水に浸漬した米を蒸し上げ、広げて少し冷ます。種麹をまんべんなく振りかけ、温度・湿度管理をしながら麹菌を繁殖させる。

 

【原料を混ぜ合わせ、仕込む】

大豆を細かくつぶし、米麹と塩、水を加えてよく混ぜ、容器に仕込む。

 

【発酵・熟成させる】

仕込んだ味噌を発酵・熟成させることにより、風味豊かな味噌が出来上がる。

 

<発酵>

麴菌が持つアミラーゼが米のデンプンを分解してぶどう糖(グルコース)に、プロテアーゼは大豆のタンパク質を分解してペプチドやアミノ酸にする。

 

<熟成>

発酵過程でできたブドウ糖から、酵母によるアルコール発酵や乳酸菌による乳酸発酵により酸味や香り成分がつくられる。

 

※写真はPhotoACより「味噌蔵」

 

 

 


 

⑤ 地域特性の多様さが多彩な味噌をつくる

 

味噌の発酵・熟成は微生物の働きによるもので、微生物の働き方は気候風土、環境、水質などさまざまな条件によって変わり、蔵によっても違いがあります。

また、それぞれの地域の原料事情や食習慣、嗜好に合わせて、多彩な味噌がつくられています。

各地で食べられている個性豊かな味噌について、調べてみました。

※各味噌紹介でのお料理写真は、必ずしも地域の味噌を使用した物かどうかは分かりませんが、その地域の味噌を使ったお料理をご紹介しています。なお、次の項目でも地域に根付く味噌を使った郷土料理をご紹介しています。予めご了承ください。

 

【北海道味噌】(北海道)

さっぱりとした味わいで、食材の風味を活かしてくれる。昔から新潟や佐渡との結びつきが強かったことから、越後味噌や佐渡味噌と似ている。

※写真はPhotoACより「北海道の味噌ラーメン」

 

【津軽味噌】(青森県)

麹歩合が低く塩分が高めの長期熟成の赤色辛口味噌で、「津軽3年みそ」と言われる。かつて凶作が頻発することから、ききんに備えて長期保存できるみそづくりが盛んになったと言われている。

 

※写真はPhotoACより「青森貝味噌焼き」

 

【仙台味噌】(宮城県)

戦国時代、伊達政宗は味噌を兵糧として製造したとされる。軍用だけでなく産業発展のために良質なみそづくりを続けたと言われる。当時から伝わる伝統的な長期熟成型の味噌。

 

※写真はPhotoACより「仙台味噌の焼きおにぎり」

 

【会津味噌】(福島県)

会津盆地の寒暖差の大きな厳しい気候の中でつくられる、300年の歴史を持つ長期熟成型の赤色辛口味噌。

 

※写真はPhotoACより「しんごろう

 

【信州味噌】(長野県)

生産量日本一で、全国で生産・消費される味噌の約40%を占める。武田信玄の時代、大豆栽培が盛んに行われ、味噌づくりに適した気候と水質もあって全域に広まったとのこと。

 

※写真はPhotoACより「信州味噌漬け

 

【江戸甘味噌】(東京都)

米麹を多く使用し、10日ほどの短期でつくられる赤色甘口味噌。どじょう鍋などにも用いられる。濃厚な甘みと光沢が特徴。

 

【東海豆味噌】(愛知県、岐阜県、三重県)

中京地方を中心につくられている豆味噌で、「名古屋味噌」「三河味噌」「三州味噌」「八丁味噌」などと呼ばれる。わずかな酸味と苦味、濃厚な旨味を持つ。

 

※写真はPhotoACより「五平餅

 

【西京味噌】(京都府)

米麹の割合が非常に高く、強い甘味があるのが特徴。懐石料理や普茶料理で必要不可欠。関西では、お正月に白味噌のお雑煮が食べられている。

 

※写真はPhotoACより「鰆の西京焼き

 

【越後味噌】(新潟県)

上越地方では、味噌汁に米麹の粒がふわっと浮かぶことから「浮麹(うきこうじ)味噌」と呼ばれる、淡い赤色でさわやかな味わいの味噌。中越・上越地方では麹歩合が低めの、赤色で華やかな香りを持つ味噌、と地域性がある。

 

【佐渡味噌】(新潟県)

麹が多く使われ、長期間熟成させるため塩なれしたコク深い旨味を感じられる味噌。

 

【加賀味噌】(石川県)

石川県の味噌は米味噌で、加賀地方では米麹を多く使い長時間熟成させたものが多く、山吹色でやや辛口。能登地方では水分が多くてやわらかく塩辛いとのこと。

 

【讃岐味噌】(香川県)

麦味噌文化圏の四国の中でも、瀬戸内に面する海沿岸地域では、濃厚な甘みがある豊かな風味の、米味噌の白色甘味噌もつくられている。白味噌仕立てであん餅を入れる雑煮が食される。

 

※写真はPhotoACより「元旦あんもち雑煮

 

【御膳味噌】(徳島県)

麹の割合が高く、豊かな旨味のある赤色甘口味噌。塩分は辛口味噌と同等ながら、中辛に位置する味わい。阿波藩主・蜂須賀公の御膳に供されたのが名前の由来とされる。

 

【瀬戸内麦味噌】(愛媛県)

米味噌圏と麦味噌圏が交差する地域で好まれる麦味噌。特に愛媛でつくられるものは麹の割合が高いため、麦独特の芳香と軽やかな甘味がある。

 

【府中味噌】(広島県)

皮を取り除いた大豆を原料とした、白やクリーム色の甘味噌。きめ細やかで豊かな風味とコクが特徴の、白色甘味噌の代表格。

 

【九州麦味噌】(九州地方)

九州では麦味噌が主流。温暖な気候のため、熟成期間は比較的短め。熊本県は「肥後味噌」、鹿児島県は「薩摩味噌」など昔の藩の名称で呼ばれる味噌が多くある。

 

<参考サイト>

・越後みその特徴

https://niigata-echigomiso.amebaownd.com/pages/3944496/page_201602191132

 

 


 

⑥ 味噌問題勃発?!

 

地域の特産品のブランド価値を高めるため、国が定めている制度に「地域団体商標制度」「GI(地理的表示)制度」というものがあります。

うまく活用すれば消費者に品質や信頼性をアピールし競争力を高めることができる制度で、その性格や対象範囲にそれぞれ違いがあるそうです。

 

しかしながら、味噌に関して地域性を大切にしすぎたためか、愛知県の名産である「八丁味噌」では、登録に関して、実はGIをめぐってトラブルが発生し、訴訟問題にまで発展してしまいました。

2017年12月に、愛知県全体を生産地とし、近代的製法で生産する業者組合の「八丁味噌」について、農林水産省がGIの登録を認可しました。

これに異議を申し立てたのが、愛知県岡崎の老舗味噌会社の2業者です。

両社は、他業者が八丁味噌を製造する際「木樽で2年以上熟成させる」という伝統的な製法を継承していないことなどを理由に、国にGI登録の取り消しを求めていました。

組合に加盟していない2社だけがGIマークを商品に付けられず、著しい不利益を被る、という主張です。

結論から言うと、2024年3月、最高裁は原告側の上告を棄却し、老舗側の敗訴が確定しました。

これにより老舗側は2026年2月以降は、製品に「八丁味噌」の名称を自由に使えなくなりますが、GI登録品との混同を防ぐ表示をするなど適切に対応すれば名称を使用できる、とのことです。

 

地域性(多数)を大切にするのか、昔ながらの製法(少数)を大切にするのか…今後も課題となるのでしょうね。

小豆島の手延べ素麺もまさに、そういった問題が考えられるのではないかと思います。

 

参考までにそれぞれの制度について、調べてみました。

 

【地域団体商標制度】

2005年に法制化された、特許庁が審査・登録する制度で、あらゆる商品やサービスが対象となります。

特定の地域に関連する商品やサービスに対して、例えば「地域名+商品・サービスの名称」のような地域ブランドの名称を商標として登録することで、特定の団体が地域団体商標マークおよびその名称を独占して使用することができる制度です。

農協や商工会議所など地域に根ざした団体しか利用できない制度とのことです。

(例)「有田みかん」「和歌山ラーメン」「泉州水なす」

 

【GI(地理的表示)制度】

農林水産省が管轄するもので、農林水産物と、酒類を除く飲食料品を対象とし、2015年に制度化されました。

特定の地域で生産される農林水産物や食品について、その地域と結びついた名称を表示することにより、品質や特性を保証する制度。

約25年の生産実績を有することが求められます。

GIは地域の共有財産となります。

国際的な取り決めに基づいた制度なので、海外市場での競争力を高めることにもつながるそうです。

(例)「紀州金山寺味噌」「わかやま布引だいこん」「神戸ビーフ」

 

 

<参考サイト>

・農林水産物のブランディング ~地域団体商標とGI制度

https://www.kinokapat.jp/blog-trademark-004/

・「地域団体商標マーク」と「GIマーク」との相違点

https://www.syohyo-jp.com/mame/chiikidantai_gi.html

・【解説】地域団体商標制度と地理的表示保護制度とは?何が違う?

https://www.primeworks-ip.com/tmds/33/

・「八丁味噌」のGI登録をめぐる地元での対立構造

https://www.syohyo-jp.com/mame/8miso_gi.html

・「八丁味噌」ブランド訴訟、ついに決着 岡崎市の老舗側の敗訴が確定 「混同を防ぐ表示をすれば…」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/313755#:~:text=%E8%BE%B2%E6%9E%97%E6%B0%B4%E7%94%A3%E7%9C%81%E3%81%8C%E5%9C%B0%E7%90%86,%E6%A3%84%E5%8D%B4%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

・八丁味噌、老舗の敗訴確定 表示登録訴訟、名称に制限

https://news.yahoo.co.jp/articles/2fca91696892873689b8c9f8756752a55e3a3c0a

 

 

 


 

⑦ 発酵過程で栄養価アップ!味噌の健康作用

 

味噌の主原料となる大豆は、良質なタンパク質を豊富に含み「畑のミルク」とも呼ばれています。

味噌は発酵する過程で、アミノ酸やビタミン類が大量に生成されます。

生命維持に欠かせない必須アミノ酸9種類が、味噌にはすべて含まれているとのことです。

味噌に含まれるタンパク質は、分解されて消化吸収しやすい形となっており、他の食べ物の消化吸収を助ける働きも期待できます。

大豆に含まれる大豆イソフラボンは、骨の健康維持に役立ちます。

他にも、味噌に含まれるビタミンEやサポニン、褐色成分のメラノイジンなどには抗酸化作用があり、肝臓内の過酸化物質の増加を抑制することが確認されているそうです。

また、リノール酸やペプチド、レシチンなどの成分が含まれ、悪玉コレステロールを抑制する働きが期待でき、生活習慣病やがんのリスクを下げることが分かっています。

また、味噌に含まれる食物繊維が腸内をきれいにしたり、微生物が腸内の腐敗物や有害物を体外に送り出したりしてくれます。

まさに健康食の代表格とも言えるのが、日本で古くから愛されてきた味噌なのです。

 

 

<参考サイト>

・味噌が健康にいいのはなぜ?味噌汁を毎日の食卓に!

https://www.genmaikoso.co.jp/cultivate/web/detail.asp?id=161

・【管理栄養士執筆】味噌の栄養価まとめ 健康に良い味噌の選び方を解説

https://www.kusurinomadoguchi.com/column/articles/miso-nutrition

 

 

 


 

⑧ ご当地味噌を使った郷土料理も多種多様

 

全国には様々な種類の味噌があり、味噌を使った郷土料理もバラエティに富んでいます。

代表的なものや、特徴的なものを調べてみました。

 

【石狩鍋】(北海道)

古くからサケ漁がさかんな石狩川で、漁師たちが暖を取るためにつくったのが発祥とされる。脂ののったサケのあらと野菜や豆腐を昆布出汁の鍋に入れ、たっぷりの味噌で味を調える。

※写真はPhotoACより「石狩鍋 土鍋

 

【しょうが味噌おでん】(青森県)

極寒の冬に体を温めるため、おでんにショウガ入り味噌をかけたのが始まりとされる。津軽味噌に酒、みりん、だし汁を混ぜて煮立て、生のおろしショウガを加える。

 

※写真はPhotoACより「味噌おでん

 

【ばっけ味噌】(宮城県)

「ばっけ」とはフキノトウを指す宮城の方言。あく抜きしたフキノトウを茹でて刻み、クルミや味噌と合わせたもの。ごはんや肉、魚、豆腐に乗せたり、おにぎりの具にしたりして食べる。

 

※写真はPhotoACより「ご飯のお供 ふきのとう味噌

 

【じゃじゃ麺】(岩手県)

茹でたうどんを皿に乗せ、甘辛い肉味噌や刻んだ長ネギ、キュウリを盛り付ける。

中国の家庭料理「炸醤麺(ジャージャー麺)」がルーツで、第二次世界大戦時に旧満州で食べた味を、帰国後に屋台で再現したのが始まりとのこと。

 

※写真はPhotoACより「盛岡じゃじゃ麺

 

【こんにゃく味噌おでん】(群馬県)

群馬県の特産品であるこんにゃくを切って串に刺し、たっぷりの味噌と酒で煮込み、味噌だれを塗って食べる。一部の地域では、こんにゃくの水気を切るため布巾に思い切りたたきつけることから「ひっぱたきおでん」とも呼ばれている。

 

【落花生味噌】(千葉県)

千葉県は落花生収穫量が全国の8割を占める。農家の人たちが市場に出回らない規格外の落花生の活用方法として考案した料理。各家庭で好みの味噌や味付けでつくられ、酒のつまみやご飯のおかず、お茶請けとして食べられている。

 

※写真はPhotoACより「ピーナッツ味噌

 

【味噌田楽】(愛知県)

豆腐を切って串に刺して焼き、八丁味噌などの赤味噌に木の芽を乗せたり、すって混ぜ込んだりした味噌だれを付けて食べる。こんにゃくやサトイモを使ったものもあり、家庭でもつくられている。

 

※写真はPhotoACより「味噌田楽

 

【煮味噌】(愛知県)

ダイコン、ニンジン、ゴボウ、サトイモなど、四季折々の食材を味噌で煮込んだ料理で、「味噌煮」とも呼ばれる。味噌とみりんで味付けをする場合や、味噌と出汁で味噌汁風にする場合など、家庭によってバリエーションがある。

 

【味噌煮込みうどん】(愛知県)

八丁味噌仕立ての汁にコシの強いうどんを入れて煮こんでつくる、愛知県を代表する麺料理のひとつ。土鍋を使い、油揚げや鶏肉、かまぼこ、ネギを入れ、最後にひと煮立ちさせる前に卵を割り入れるのが一般的な食べ方とのこと。

 

 

※写真はPhotoACより「味噌煮込みうどん

 

【味噌カツ】(愛知県)

昭和40年代、カツに豆味噌でつくったたれをかけて提供したのが始まりという説が多数ある。豆味噌をベースに砂糖やみりんを加えて出汁で伸ばしたたれは、濃厚でコクのある甘辛い味わい。

 

※写真はPhotoACより「味噌カツ

 

【ふな味噌】(愛知県、岐阜県)

木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)ではフナなどの川魚が豊富に獲れ、重要なタンパク源として食してきた。フナを大豆と一緒に弱火で時間をかけて火を入れ、豆味噌(赤味噌)と砂糖を加えてさらに煮詰める。赤味噌により川魚特有の臭みが消え、旨味が増すとのこと。

 

※写真はPhotoACより「鮒味噌

 

【朴葉味噌】(岐阜県)

落葉広葉樹の朴の葉の上に味噌を乗せ、炭火などで焼きながら食べる。林業が盛んだった飛騨地域で、山仕事を生業とする人たちが朴葉を皿の代わりにして味噌を焼いたのが始まりと言われている。

 

※写真はPhotoACより「朴葉味噌

 

【漬物味噌煮】(岐阜県)

塩気の強い豆味噌の「郡上味噌」と煮干し出汁の鍋に、白菜の切り漬けを入れて煮込む料理。家庭料理として親しまれ、季節の野菜や肉などを入れて食べる。

 

【豆腐の味噌漬け】(熊本県)

豆腐の水気をよく絞り、塩分濃度が高めの味噌に漬けたり、砂糖をまぶして味噌に漬けたりしてつくる料理。硬めの豆腐が用いられ、豆腐を常温で長期保存できるようにしたもの。半年ほど漬けた豆腐には、ウニやチーズのような濃厚な風味があるとのこと。薄くスライスして、ご飯に乗せたりお酒の肴にしたりする。

 

※写真はPhotoACより「味噌漬け豆腐

 

【冷汁】(宮崎県)

魚のすり身に、炙った味噌とすりゴマなどを合わせて味を整え、豆腐やキュウリ、青ジソ、ミョウガなどを加える。魚の骨や昆布などでとった出汁で伸ばして冷ましたものを、熱々の米飯や麦飯にかけて食べる料理。「すったて」、「つったて」と呼ぶ地域もある。

 

※写真はPhotoACより「冷や汁

 

【地鶏の味噌ころばかし】(宮崎県)

「ころばかし」とは県西地方の方言で、鍋の中で煮転がすこと。昔から伝わる家庭料理のひとつ。一口大に切った地鶏とショウガを鍋で炒め、中火でやわらかくなるまで煮て、みそと砂糖を加え煮詰める。こんにゃくやダイコン、ゴボウ、ニンジンの乱切りを加えることも。

 

【豚味噌】(鹿児島県)

豚バラのブロック肉を湯がいて一口大にカットし、粒味噌と砂糖、カツオ節、落花生の粉と混ぜ合わせる料理。ごはんや豆腐、うどんに乗せたり、おにぎりの具にしたりして食べる。

 

出典:農林水産省Webサイトより「豚味噌」(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/butamiso_kagoshima.html

 

<参考サイト>

・うちの郷土料理:農林水産省

https://www.maff.go.jp/result.html?cx=015840603635610229114%3Ad5nyfxhiq78&ie=UTF-8&q=%E5%91%B3%E5%99%8C&sa=%E6%A4%9C%E7%B4%A2&siteurl=www.maff.go.jp%2Fj%2Fkeikaku%2Fsyokubunka%2Fk_ryouri%2Fsearch_menu%2Fmenu%2Fnimiso_aichi.html&ref=&ss=674j140506j11#gsc.ta

・全国みそ料理めぐり

https://miso.or.jp/museum/miso_culinary_tour/

・愛知ご当地グルメ図鑑 みそかつ

https://www.tabemaro.jp/gourmet/misokatsu/

・豆腐の味噌漬け

https://traditional-foods.maff.go.jp/menu/toufunomisoduke

 

 

 


 

⑨ なめ味噌や、海外の味噌に似た調味料とは?

 

日本には、味噌汁や料理に調味料として使う味噌だけではなく、そのままおかずとして食べる「なめ味噌」というものもあります。

また海外にも、味噌に似た調味料がありますので、いくつか調べてみました。

 

【金山寺味噌】(和歌山県、千葉県、静岡県など)

なめ味噌の代表的なもの。3種類の穀物(米・大豆・ハダカムギ)に麹菌を付けて麹にし、ウリ・ナス・ショウガ・シソなどの野菜を合わせて発酵・熟成させてつくられる。和歌山では伝統的に茶粥と一緒に食べるとのこと。

 

※写真はPhotoACより「金山寺味噌

 

【そてつ味噌】(鹿児島県奄美、沖縄県粟国島)

原料は、ソテツの実から取ったデンプンと玄米を麹にしたソテツ麹と、大豆やサツマイモ、塩。ソテツの種子を主原料とするものと、玄米を主原料とするものがあり、後者はなめ味噌として食べられているとのこと。

 

【豆板醤(トウバンジャン)】(中国)

ソラマメに唐辛子と塩を加え発酵させてつくる、中国の代表的な唐辛子味噌。麻婆豆腐や担々麺などの中華料理に欠かせない調味料。生のソラマメにカビづけをしてソラマメ麹をつくり、塩漬けにして発酵後、唐辛子を加えて熟成させるのが、伝統的な製法とのこと。

 

※写真はPhotoACより「麻婆豆腐

 

【甜麺醤(テンメンジャン)】(中国)

回鍋肉や北京ダックなどに使われる中華甘味噌で、小麦粉、塩、麹を発酵させたもの。小麦本来の甘さが引き出されていて、料理にまろやかなコクと甘みを与える。日本では大豆を使ってつくる場合もあるとのこと。

 

※写真はPhotoACより「北京ダック

 

【コチュジャン】(韓国)

ビビンパやプルコギなどの韓国料理に欠かせない唐辛子味噌。甘さと辛さが調和しており、コクのある味わい。「メジュ」と呼ばれる、もち米などの穀物に煮大豆をすりつぶして納豆のように枯草菌で発酵させたものに、醤油・唐辛子を加え、さらに発酵・熟成させてつくる。

 

 

【マーマイト】(イギリス)

ビールの製造過程で発生する酵母に塩を足し、砂糖を少し入れて煮詰めてつくる発酵食品。イギリスではトーストに塗るのが一般的な食べ方で、スープや煮込み料理に入れることもあるとのこと。こげ茶色でドロッとしていて独特のにおいと味わいがある。

 

【ベジマイト】(オーストラリア)

「マーマイト」に似た食品で、さまざまな野菜をイースト菌で発酵させたもの。黒いペースト状で、八丁味噌、アンチョビ、チーズ、醤油を足したような独特の塩辛い味と、ビール酵母のような発酵臭が特徴的。

ニュージーランドには「ビタマイト」という似た食品があるとのこと。

 

<参考サイト>

・世界の料理は微生物であふれている!|世界の発酵食品10選

https://micsmagazine.com/basic/2438/post

・酵母の力で体の内側からきれいに!イギリス発の発酵食品「マーマイト」の魅力

https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20190710/11401/

・マズいのにハマる人続出!? 謎の調味料「ベジマイト」ってなんだ

https://macaro-ni.jp/33137

 

 

 


 

⑩ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺 編

 

味噌に合う手延べ麺と言えば、石井製麺所の中では、この「手延べ黒ごま麺」もそのひとつだと思います。

三代目個人の嗜好ですが、豆板醤(中国の代表的な唐辛子味噌)とにんにくを利かせた濃厚な味付けの担々麺スープで食べる「手延べ黒ごま担々麺」は美味しくてハマります。

「黒の食材」を練り込んだ“健康麺”ですので、冬におすすめしていますが、夏には汗が噴き出すほどの辛い味付けで、味わってみるのもいかがでしょうか。

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ黒ごま麺》 https://141seimen.thebase.in/items/69195918

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。