【お!いしい けんぶんろく】 Vol.35
栄養成分の機能性について/多量ミネラル
早いもので、長野での催事から約1カ月。
普段、自社工場内で作業をしています(地域の寄り合いや近くのお店や会社への配達はあります)が、催事で直接お客様と相対して販売の機会を得ることは大きな学びと、マーケティング戦略に繋がる気づきがあると感じます。
例えば今回の催事でも勝手に、「信州の方は美味しい『蕎麦』を食べておられるので、『素麵』にはご興味が薄いのではないか」と不安を感じておりましたが、「外で食べるなら『蕎麦』、家で食べるなら『素麵』」という方も多く、とてもホッとしたのを思い出します。
何事も向かい合って、きちんとお話をお聴きしてみないと分からないものですね。
これからも思い込みを持たずに、しっかりお客様とお話しさせていただきたいと思いました。
さて、GWも明けていよいよ本格的な夏が近づいてまいりました。
現在は定期的に雨の恵みがある小豆島ですが、オリーブの木も花を付け、まさに今が見頃です。
この時期が来ると、石井製麺所でも益々忙しさが増してきます。
いつもはGW明けに夏の素麺のご案内をお客様へお出ししていますが、今年は催事もあり、少し出すタイミングが遅くなりました。
古くからのお客様からは、「今年の案内はまだですか?」とお声もいただきながら、家族総出で封筒にご案内を詰めて準備させていただきました。
ただ、まだ石井製麺所を知って間もないお客様に対しては、少し早いのではないかなと感じる部分もあります。
やはり暑さを実感する気候になってからが、お客様にも喜ばれるでしょうか。。。
そのあたり、ご意見ございましたらぜひお聞かせください。
暑さで汗がしたたり落ちるくらいの季節に皆さまには、弊社の素麺を美味しく召し上がっていただけることを願っております。
ところで、暑くなって汗をかく季節には熱中症対策としても、塩分やミネラルの補給など注意が必要といわれます。
でも、塩分は「血圧が気になるから」と摂取を控える方もいらっしゃると思います。
素麵をつくる際にも塩は欠かせないのですが、その塩分を気にされる方もいらっしゃいました。
しかしながら素麵の場合は、茹でる際に塩分はほとんどがゆで汁に溶け出してしまうため、素麵自体に含まれる塩分量はほとんど無くなってしまいます(とはいえ、一緒に付けるめんつゆの塩分はあるので漬け過ぎには注意が必要ですが)。
夏場は特に(?)身近で、よく聞く「ミネラル」という言葉ですが、食事と切っても切り離せない大切なもののようです。
この季節、気になるミネラルについて調べてみましたので、今回も最後までお付き合いただけましたら幸いです。
【目次】
① 身体に必要な栄養素・ミネラルとは?
② 「多量ミネラル」それぞれの働きについて
③ 人体に不可欠な「塩」の働き
④ 熱中症を防ぐためにも欠かせない「水分」と「ミネラル」補給
⑤ 手延べ素麵作りに欠かせない「塩」の役割とは
⑥ 素麺を食べても塩分の取り過ぎにならない理由
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》毎日の健康を考えた長命草セット 編
① 身体に必要な栄養素・ミネラルとは?
ミネラルは、身体にとって重要な役割を担っている五大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)の1つで、身体にごく微量に存在しています。
「無機質」とも呼ばれます。
人体の約95%は主要4元素(酸素、炭素、水素、窒素)で構成されており、残りの約5%はミネラルで構成されます。
ミネラルは自然界に100種類以上存在しており、その中でも体内でさまざまな働きをする栄養素で通常の食事からでは不足しがちなものを「必須ミネラル」と言います。
現在、必須ミネラルは16種類とされ、このうち13種類について厚生労働省が摂取基準を定めています。
ミネラルは体内で合成できないため食物として摂る必要があります。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、
◎1日の推奨量や目安量が約100mg以上のミネラルを「多量ミネラル」
種類:ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン
◎1日の推奨量や目安量が100mg未満のミネラルを「微量ミネラル」
種類:鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン
と分類しています。
ミネラルが不足すると欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。
<参考サイト>
・身体の調整に欠かせない栄養素~ミネラル~
・e-ヘルスネット ミネラル
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html
・ミネラルの種類とそれぞれの働きを解説!ミネラルを含む食べ物も紹介
・ミネラルとはどのような栄養素?種類別の働きについて解説
https://www.suntory-kenko.com/column2/article/6010/
・ミネラル類
https://himitsu.wakasa.jp/contents/minerals/
② 「多量ミネラル」それぞれの働きについて
5つの「多量ミネラル」それぞれの働きや過不足による影響について、調べてみました。
【ナトリウム】
食塩の成分でもあり、体内では主に細胞外液に存在し、体液の浸透圧を調節して、胆汁・膵液・腸液などの材料となる重要な成分のひとつです。
ですが、古くから日本人の食事は食塩を含む醤油や味噌などの調味料で味付けしてきており、日本人はWHOが示す食塩摂取量1日5gよりも多く摂取する傾向があるそうです。
食塩などのナトリウムを摂りすぎると、血液中のナトリウム濃度が高くなり、それが中枢神経に働いてのどが渇き、人は水分を摂ります。
水分を摂ると血管に流れる血液量が増え、血圧が高くなるため、高血圧につながります。
またナトリウムの摂りすぎは胃がんなどのリスク上昇の要因となるため、摂取量に注意が必要です。
ナトリウムは、塩、しょうゆ、みそなどの食塩(塩化ナトリウム)を含む調味料の他、ハム、ウインナー、練り製品、即席めんなどの加工食品や野菜の漬け物などにも多く含まれています。
また、うま味調味料などの食品添加物の多くには、グルタミン酸ナトリウムなどのナトリウム塩の形でナトリウムが含まれているそうです。
【カリウム】
野菜、芋、果物などの植物性食品に多く含まれます。
細胞内液の浸透圧のバランスを保つ、神経や筋肉の興奮伝導を調節する、などの働きがあります。
ナトリウムを体外に排出する働きがあり、血圧を正常に保つ働きが期待される一方で、腎機能が低下している場合など、カリウムの摂取量に注意が必要な場合もあるそうです。
カリウムは、ほとんどの細胞の中に存在することから広く食品に含まれますが、特にバナナ、メロン、アボカドなどの果実類、ほうれん草などの野菜類、さつまいもなどのいも類、大豆や小豆などの豆類、魚類、肉類に多く含まれています。
【カルシウム】
乳製品や小魚などに多く含まれ、骨や歯を構成する成分。
また一部のカルシウムは、血液や神経、筋肉内で「カルシウムイオン」として存在し、心筋の収縮作用を増やして筋肉の興奮を抑制する、血液を凝固させする、などの働きを持ちます。
不足すると、骨粗しょう症やイライラの原因の1つとなります。
日本人の食生活では不足しがちなので、積極的に摂りたい栄養素です。
カルシウムは、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や海藻などに多く含まれます。
なかでも、牛乳や乳製品は、他の食品に比べてカルシウムの吸収率が高いうえに、1回の摂取量も多いので、効率よくカルシウムが摂れるそうです。
【マグネシウム】
ナッツ類や魚介類、精製していない穀物などに多く含まれ、骨や歯の形成に関わり、体内のさまざまな代謝をサポートしています。
体温・血圧を調節するほか、神経情報の伝達や筋肉の収縮などにも関わっているそうです。
不足すると、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞や筋肉のけいれん、神経過敏症などの症状を引き起こします。
また、骨粗しょう症や糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まります。
マグネシウムは海水に多く存在しているため魚介類や海藻類に多く含まれます。
その他にも穀類、野菜類、豆類などにも含まれ、香辛料などにも含まれています。
ナッツの中でマグネシウムが一番多いのはかぼちゃの種で100g中530mg含まれているそうです。
【リン】
骨や歯を構成する成分で、細胞の浸透圧やpHバランスを保つ作用などもあります。
さまざまな食品に含まれ、ハムやソーセージなどの加工品にも添加されており、一般的な食事をしていれば不足することはほとんどないそうです。
摂りすぎるとリンの濃度を調節するホルモンを分泌する器官に異常が起こることがあります。
リンは、ハムやソーセージをはじめ、練り物、インスタント麺などの加工食品にも含まれるそうです。
また、肉や魚、卵、乳製品、豆類など、たんぱく質の多い食品に多く含まれているそうです。
<参考サイト>
・減塩食について
③ 人体に不可欠な「塩」の働き
人間が生きていくうえで大切な働きをしている「塩」は、体内でナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれて存在しており、いろいろなシステムの働きを守り、維持する役割を果たしています。
体内の塩分量は、大人で体重の0.3~0.4%、子供では約0.2%とされています。
例えば体重60kgの人の体内の塩分量は約200gということになります。
【細胞を正常に保つ】
人間の体を構成する細胞は、細胞外液という液に囲まれています。
塩はイオンの状態で細胞外液に多く含まれ、細胞外液の量を維持しています。
このことにより、全身の細胞に酸素や栄養分が運ばれたり、二酸化炭素や老廃物が肺や腎臓に運ばれ排出されたりします。
また、細胞外液の濃度を調整し、バランスを一定に保つことで、細胞の働きを支えています。
【消化や吸収を助ける】
体内の塩化物イオンは胃酸の主成分となり、胃で食べ物を殺菌したり、消化を助けたりしています。
ナトリウムイオンは小腸で、アミノ酸やブドウ糖などの吸収を助けています。
【情報を脳や体に伝える】
神経細胞は、ものを触ったときなどの刺激を脳に伝える、脳から体を動かすように筋肉に命令を伝える、などの働きをしています。
神経細胞が刺激や命令を伝えるときに必要となるのがナトリウムイオンです。
<参考サイト>
・塩と健康の関係
https://www.nihonkaisui.co.jp/small_customer/learning_salt/health
・体内の塩
https://www.shiojigyo.com/siohyakka/about/human/inside.html
・塩とからだの大事な関係
https://www.shiotokurashi.com/life
④ 熱中症を防ぐためにも欠かせない「水分」と「ミネラル」補給
私たちの体は、暑い時には汗をかいて熱を放出し、体温を調整しています。
夏は汗で水分が失われがちになります。
水分不足になると、発汗機能がうまく働かず体温が急激に上昇し、血液は濃縮され流れが悪くなり、脳への血流が低下して熱中症を引き起こします。
体重の約1%の水分を失うと脱水状態になり、4~5%失うと体温上昇に加え吐き気やめまいなどの症状が現れるそうです。
脱水症状は、脳梗塞や心筋梗塞の発症を引き起こすこともあります。
血液がドロドロになり、熱を放出するために血管が拡張することで血圧が低下し、血液の流れが遅くなり、脳や心臓の血管に血栓が詰まりやすくなるそうです。
汗をかくと、水分だけでなくナトリウムやカリウムなど水溶性のミネラルが排出されてしまいます。
水分補給が大切ですが、水分を一度に大量に摂ると、体内でのミネラルバランスが崩れてしまうこともあります。
暑い時期は食欲が落ちて食事から必要な栄養素をしっかり摂れていない場合もあり、特にミネラル不足に注意が必要です。
ナトリウムが不足すると血圧低下や循環血液量の低下の原因になり、カリウムが不足すると夏バテを引き起こすとされています。
日本人はナトリウムを多く摂りすぎる傾向にあるので、汗で失われた塩分を補給する時は、ナトリウムの摂り過ぎによる血圧上昇を抑える働きのあるカリウムを一緒に摂ることを心がけると良いそうです。
<参考サイト>
・高温多湿の夏は、思わぬ“脱水症状”に注意!
https://www.shaho-net.co.jp/healthup3/summer.html
・発汗により失われる水溶性ミネラル・ビタミンと欠乏症
https://www.kes-eco.co.jp/safety-report/269
・夏バテ防ぐミネラル補給 しっかり3食、バランス重視
https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXKZO45767350W9A600C1W10600/
・夏のミネラル補給
https://kenko.sl-creations.co.jp/column/column61.html
⑤ 手延べ素麵作りに欠かせない「塩」の役割とは
素麵は小麦粉を塩水で練り合わせてつくります。
昔は経験知から来るものだと思われますが、現代では塩を入れる理由としては、科学的根拠が証明されているようです。
特に①番は、素麺づくりの極意の部分で、小麦の種類、気温、湿度、水の量にあわせて、毎日毎回微妙に調整しながら製麺しています。
これが、もっと“見える化”させることができれば、“間違いの無い”美味しい素麺が安定してつくれると思うのですが。。。その日が来るように、今はしっかりと先代の作り方を学んでおります。
美味しい素麺をつくるために不可欠な「塩」であることを、改めて認識することができました。
① グルテンを引き締める
麺のコシの元となるグルテンは、小麦粉のたんぱく質が水と合わさることで形成されます。
生地をこねて引きのばすことにより、グルテンが何層にも重なった地層のように組織されます。
塩には、このグルテンを強く引き締める働きがあります。
夏は気温が高く、生地がだれやすくなるので塩を多くし、逆に冬は生地が硬くなるので塩を減らす、といったように、季節や天候などにより塩分濃度の微調整が必要です。
まさに、良い塩梅が美味しい素麺に不可欠なのです。
② 酵素の活性を抑制する
塩が小麦粉に含まれるたんぱく質分解酵素の働きを抑えることで、生地がじっくり熟成され、より弾力が増します。
③ 保存期間を長くする
雑菌が繁殖しにくくなり、保存性が向上します。
④ 乾燥を防ぐ
塩には吸水性があり、水分を蓄えようとします。
熟成を繰り返しながら麺を細く延ばしていく手延べ製法において、塩は急激な乾燥によるひび割れを防ぎ、表面をなめらかに仕上げるのに役立ちます。
⑤ ゆで時間を短縮する
ゆでる時に、麺に含まれている塩がお湯の中に溶けだし、お湯が麺の中に入り込んで、でんぷんが糊化します。
塩を多く含んでいれば、それだけ早くゆで上がることになります。
⑥ 味を良くする
ゆでることで塩分の多くは溶け出しますが、わずかに残った塩味が、麺の風味や旨みを引き立てます。
<参考サイト>
・うどんに塩を入れる理由
https://www.flour.co.jp/news/article/111/
・手延べそうめん、うどんの副原料
https://www.shimabara-soumen.com/article/14245881.html
・うどんと塩
https://www.nichimen.or.jp/know/zatsugaku/19/
⑥ 素麺を食べても塩分の取り過ぎにならない理由
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩摂取の目標量(食塩相当量として)は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。
素麵の製麺時に加えた「塩」は、茹でる際にその役目を果たして、最終的にゆで汁に溶け出します。
素麵の「栄養成分表示」では、食塩相当量4.1gと記していますが、ゆで上げ後の食塩相当量は0.4gとなります。
さらに水洗いすることでも塩分が抜けます。
素麺は塩分の多い食品ではないといえると思いますので、どうぞ安心してお召し上がりください。
<参考サイト>
・厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」
・文部科学省 食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/search.html
・そうめんの塩分量は多い?少ない?
https://dime.jp/genre/1405923/
・「そうめん」の塩分量はどれくらい?管理栄養士が教える減塩のコツ3つ
https://macaro-ni.jp/109133?page=2
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》毎日の健康を考えた長命草セット 編
「1株食べれば、1日長生きする。」
そう言い伝えられ、古くから人々の健康を支える野菜として親しまれてきた長命草(ちょうめいそう)。
その名前のとおり、食べる人の健康長寿を支える可能性を秘めた“パワーベジタブル”です。
「しょうどしま長命草」は、小豆島の特産品である醤油の絞り粕を肥料に、
農薬を使わずに栽培された、小豆島育ちの健康野菜です。
そのしょうどしま長命草を丸ごと粉末化したパウダーは、長命草の栄養価をそのまま摂り入れられ、さまざまなお料理にも活用できる微粒粉末です。
三代目はパン作りが趣味なので、よく食パンに混ぜて使っています。
ホットミルクに混ぜると抹茶風味に、冷たいアイスクリームや、ヨーグルトに1杯入れる健康習慣、いかがでしょうか。
しょうどしま長命草素麵は、無添加・無着色にこだわっています。
また、普通の素麵とは製法が若干異なるため、独自製法によりゆっくり丁寧に手延べ製法で仕上げています。
めんつゆで召し上がっていただいても美味しいですが、香草のような風味を生かして、コンソメスープに入れてみたり、ナンプラーで味付けをしたフォー風アレンジもオススメなんです。
暑くてあっさりしたものを食べたくなりますが、そういうときこそ、健康面を考えた健康麺で暑い夏も元気にお過ごしください。
《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in
《毎日の健康を考えた長命草セット》 https://141seimen.thebase.in/items/55455003
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。