【お!いしい けんぶんろく】 Vol.40
麺究者への道/チーズについて研究してみる
先日、石井製麺所のお客様に「乾平うどん」のDMをお届けさせていただいたのですが、「乾平うどん」のご評価も色々いただくことができ、忙しくも嬉しい日々を過ごしております。
今だけの「小豆島カレーうどんセット」も販売しております。
宝食品様の「オリーブ牛ビーフカレー」のレトルトと、丸島醤油様の「味醤油」と「乾平うどん」をセットにした、まさに小豆島のカレーうどんのために集めたセットです。
セットを考える中で、色々と試食もしてみましたが、美味しくいただけるセットになっていると思いますので、こちらもぜひお試しください。
詳しくはブログを最後までご覧ください。
さて、現在、「発酵」や「熟成」の技術を活用した新麺開発を考えているため、「発酵・熟成」について色々調べているところですが、本当に「発酵・熟成」というジャンルは奥が深いですね。
前々回のブログ「麺究者への道」では、日本の食文化において「発酵・熟成」には欠かせない、日本酒について調べてみましたが、今回は打って変わって、「チーズ」です。
素麵とチーズでは、食べ方も全然違いますし、和と洋で世界観も異なります。
チーズは「発酵・熟成」の申し子とも言えるのではないでしょうか。
科学的な技術や知識など無かったときから「菌」や「酵母」といった、そのままではほとんど目に見えないものを活用するって、一体誰が始めたんでしょうか。
素麵づくりでは目に見えて、しかも手に取れる「小麦粉」「水」「塩」といった組合せを一日で麺に仕上げていきますが、気温や湿度、気圧など様々な要因と組合せながら安定した品質に仕上げていくことは、大変なことです。
「菌」のように目に見えない不確定なものを活用して、味わい、色、形、匂いなどなど均一に仕上げるのですから、膨大な経験知の集積だと思います。
コラムのネタを調べていると、その技術や製造方法など本当に興味深いものが多く、なにより産地というものが大変重要視されていることに気付きます。
以前にもブログで書きましたがGIといわれる産地を守る規格で、その製造方法はもちろん品質や味わいも守られています。
小豆島手延べ素麵も小豆島を代表する特産品で、日本三大素麵に数えられる産地です。
この産地としての誇りだけでなく、島の製麺所のみなさんと小豆島の手延べ素麵を守り、続け、そして進化させていきたいなと、改めて感じる回となりました。
今回も素麵からは少しお話が離れてしまいますが、一緒にチーズの世界を勉強してみませんか。
最後までお付き合いをお願いいたします。
【目次】
① 世界各地で発展するチーズ、始まりはメソポタミア地域
② 重要なのは発酵と熟成!チーズの定義と製法
③ ナチュラルチーズの7つのタイプとは?
④ 地理的表示(GI)で保護されるEU産チーズとは?
⑤ 産地由来が多い!世界のチーズの名前
⑥ 日本のチーズ「蘇」とは?「醍醐」もチーズ?
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島のカレーうどんといったらコレ? 編
① 世界各地で発展するチーズ、始まりはメソポタミア地域
チーズが生まれたのは紀元前4000年頃で、人類最古の食品の1つと言われています。
古代エジプトの壁画にチーズの製造法が描かれていたそうです。
紀元前6000年頃から、人類は家畜化した山羊や羊の乳を搾り食用とするようになっていました。
自然界に存在する乳酸菌の働きにより乳が固まり水分が分離するのを発見したのが、チーズづくりの起源とされています。
乳は水分が多く栄養豊富で傷みやすく、搾りたてでなければ飲むことができなかったため、乳を保存する方法の1つとしてチーズが生まれたようです。
紀元前4000年頃、メソポタミア地域(チグリス川、ユーフラテス川流域)から東西に広がっていき、世界各地でそれぞれの気候風土や生活様式に根差したチーズが生み出されてきました。
ヨーロッパへはトルコ・ギリシャを経て伝わり、ローマ時代には平民や兵士たちも毎日チーズを食べるほど広く普及していたようです。
チーズづくりは大切な産業になり、紀元前36年以後には詳細なチーズの製造法の記録があるとのことです。
品質が改良され種類も増え、裕福な階層では少なくとも13種類のチーズが食べられていたそうです。
現存するヨーロッパ最古の料理書を書いた美食家マルクス・ガビウス・アピシウスも、チーズ料理について書き残しています。
ローマのヨーロッパ制覇に伴いチーズはヨーロッパ全土に広がりました。
チーズの製法は秘伝のような形で伝えられ、中世の修道院や封建領主によっても守られ、それぞれの地方で多彩な種類のチーズが生まれました。
メソポタミア地域からシルクロードに沿って、パキスタン、インド、モンゴル、中国へ伝わったルートもあります。
インドでは紀元前3000年のものとされる「ベーダの賛歌」に、チーズを勧める歌があるそうです。
また、紀元前2000年頃のアラビアに、チーズ誕生にまつわる民話があります。
アラビアの商人が、羊の胃袋でつくった水筒に乳を入れラクダの背にくくりつけて旅に出ました。
1日の終わりに乳を飲もうとすると黄色っぽい液体と白い塊になっており、その固まりを食べてみると非常に美味しかった、というものです。
羊の胃袋にある「レンニン(キモシン)」という酵素が乳を凝固させ、歩いている間に揺られてチーズになるという原理は、今でもチーズ製造に利用されているものです。
日本へは、飛鳥時代に中国を経て百済(くだら)から伝わったとのことです。
6~7世紀頃、仏教とほぼ同時期に、乳牛を飼うことが伝えられ、チーズの原型「蘇」が日本にもたらされました。
牛乳を煮詰めて固めたもので、栄養価が高いことから珍重され、身分の高い貴族しか口にすることのできない貴重なものでした。
平安時代には蘇を天皇に献上する制度ができ、盛んにつくられるようになりました。
その後、権力が武家に移るにつれてこの制度もなくなり、蘇もつくられなくなっていったとのことです。
江戸時代、八代将軍徳川吉宗はオランダ人の勧めにより、1727年にインドより白牛を輸入し、現在の千葉県南房総市に牧場をつくり、その牛の乳から「白牛酪(はくぎゅうらく)」をつくり始めました。
牛乳を煮詰め乾燥させて団子状に丸めたもので、バターという説もありますが、よりチーズに近いものと考えられています。
疲労、衰弱、栄養不足からの回復のため、削って食べたり、湯に溶かして飲んだりしていたそうです。
現在私たちが食べているような西洋型のチーズは、1875年に、北海道の開拓庁の試験場で、アメリカのエドウィン・ダンが、チェダーチーズの製法を指導したことが始まりとされています。
1904年頃から函館のトラピスト修道院でもつくられるようになりました。
昭和初期までチーズの消費量はごくわずかで、ほとんどが輸入品でした。
日本で本格的につくられるようになったのは、1933年、北海道製酪販売組合連合会(現在の雪印メグミルク株式会社)が、北海道の遠浅にチーズ専門工場をつくってからだそうです。
ゴーダチーズの生産を本格的に開始し、1934年には「雪印北海道チーズ」(プロセスチーズ)が発売されました。
戦争によりチーズ生産の一時中止を経て、戦後、食生活の洋風化や生活水準が向上した1950年後半からチーズの消費は急激に伸びました。
ピザやチーズケーキの広まり、ワインブームや健康機能への注目などもあり、チーズは日本人の食生活に定着しています。
<参考サイト>
・世界のチーズの歴史
https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/history/world/index.html
・チーズの歴史
https://www.j-milk.jp/findnew/chapter3/0101.html
・【Milk Knowledge】世界のチーズこぼれ話
https://www.j-milk.jp/knowledge/products/hn0mvm0000005mj6.html
・チーズの歴史
https://www.qbb.co.jp/enjoy/cheese/history
・日本のチーズの歴史
https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/history/japan/
② 重要なのは発酵と熟成!チーズの定義と製法
チーズは、乳酸菌や酵素の働きにより、乳のタンパク質(カゼイン)を固めたもので、原料となる乳の種類や発酵形式により様々なチーズができます。
「FAO/WHO(国連食糧農業機関/世界保健機関)」による定義では、チーズとは、フレッシュまたは熟成した、固形または半固形の製品で、以下のいずれかの方法でつくられたものです。
(a)凝乳酵素(レンネット)または微生物や植物由来の凝固剤の作用により、乳、脱脂乳、部分脱脂乳、クリーム、ホエイクリーム、バターミルク、またはこれらの混合物を凝固させ、この凝固物より分離する乳清(ホエイ)を部分的に流出させてつくるもの。
(b)乳および、乳から得られる原料を用い、凝固を引き起こす加工技術により、(a)に限定されている製品と同じ化学的、物理的、官能的な特徴を持つ製品。
凝乳酵素とは、反芻動物の第4胃から抽出した酵素のことで、微生物からつくるものもあります。
チーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2つに分けることができます。
【ナチュラルチーズ】
牛や山羊、羊などの乳に乳酸菌や凝乳酵素を加え、乳のタンパク質を凝固させて凝乳(カード)をつくり、そこから乳清の一部を取り除いたものです。
ナチュラルチーズは、時間の経過に伴いワインのように熟成変化していき、複雑な風味を持ちます。
原料や製法、風土の違いなどにより、世界中で1000種類以上あるそうです。
【プロセスチーズ】
1種類または数種類のナチュラルチーズを砕き、タンパク質を溶かす働きのある乳化剤を加えて加熱・溶融・乳化し、再び成形して冷却したものです。
加熱することにより熟成に関与する微生物や酵素の働きを止めるため、保存性に優れ、品質が安定しています。
スライス、キャンディ、ブロックなど様々に形状を変えられ、幅広い料理に利用されています。
日本で多く消費されているのがプロセスチーズです。
チーズの製造には乳酸菌が欠かせません。
搾った乳を温かいところに置いておくと、乳酸菌の働きにより乳糖が乳酸に変わるため酸っぱくなります。
これが乳酸発酵という、チーズづくりの基本的な工程の1つです。
乳酸発酵によりpHを下げることで有害微生物の繁殖を防いだり、チーズ特有の味や香りをつくり出したりします。
チーズがどのようにつくられているか、種類や産地により異なる部分もありますが、一般的な製法について調べてみました。
【ナチュラルチーズ】
<加熱殺菌>
原料となる生乳を加熱殺菌します。牛乳は食品衛生法により、「保持式により摂氏63度で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と規定されています。チーズ製造の場合は、63℃で30分の低温長時間殺菌か、72~75℃で15秒の高温短時間殺菌が一般的です。
もともと乳の中にいた乳酸菌は他の雑菌とともにいなくなってしまうため、次の工程で改めて純粋培養した乳酸菌を加えます。
<凝固>
乳酸菌や凝乳酵素を加えると、タンパク質が固まりプリン状になります。
固まったものを凝乳と呼びます。
<カード切断>
凝乳をカットすることで表面積を大きくし、水分(乳清)を出しやすくします。
柔らかく仕上げるチーズは乳清をあまり抜かず、硬く仕上げるものはカードを細かく切って乳清をより多く分離します。
<攪拌・加熱>
カード全体を静かに攪拌し、徐々に温度を上げていくと、カードが収縮して弾力のあるカード粒となります。
<型詰・プレス>
カード粒を型に詰めて圧搾し、さらに水分を出します。
熟成しないフレッシュタイプのチーズはここで完成です。
<加塩>
雑菌の繁殖を抑え風味を良くするため、塩を加えます。
表面に塩を擦りこむか、または塩水に浸します。
白カビタイプやウォッシュタイプのチーズでは、この後周囲から微生物を付けていきます。
<熟成>
熟成庫に置き、各チーズに適した温度、湿度、期間で熟成させます。
チーズに存在する微生物や酵素の働きで、タンパク質が分解されアミノ酸になり、香りや旨みがどんどんつくられます。
【プロセスチーズ】
<粉砕>
原料となるナチュラルチーズを細かく粉砕します。
1種類の場合から数種類の場合まで様々です。
<加熱・溶融・乳化>
75~120℃で加熱しながら乳化剤である溶融塩(リン酸ナトリウムなど)を加え、溶かします。
加熱により発酵熟成が止まるので、風味や品質が安定し、長期保存が可能になります。
<型詰・成型>
熱いうちに型に流し込み、いろいろな形に成型します。
<冷却>
冷やして固めます。
ナチュラルチーズの多種多様な風味や香りを特徴づけるのに重要な工程が、熟成です。
ヨーロッパなどにはチーズの熟成を専門に行う「チーズ熟成士」という職業があり、チーズの本場フランスでは、職人にとって最高の栄誉である「M.O.F(フランス最優秀職人)」の称号の対象となっているそうです。
熟成士は生産者からチーズを買い入れ、独自の熟成庫で温度や湿度の管理、反転(チーズを均等に熟成させたり形を整えたりするための作業)やブラッシング(外側のカビや微生物の量を調節する作業)などをしながら、丁寧にチーズを熟成して市場に送り出しているとのことです。
<参考サイト>
・チーズの定義
https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/teigi/
・チーズの作り方
https://www.chesco.co.jp/cheese/dictionary/make/
・チーズの製造方法
https://www.j-milk.jp/findnew/chapter3/0303.html
・チーズができるまで
https://cheese-fun.jp/basic/process/
・牛乳はどのように殺菌されているのですか?
https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_012_463/
・LTST殺菌
https://www.cheese-professional.com/article/news/detail.php?KIJI_ID=1240
・チーズ学
https://www.j-milk.jp/knowledge/nutrition/berohe000000efu5.html
・チーズの熟成について
https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/made/mature/
・チーズ熟成士
・チーズ熟成士
https://www.order-cheese.com/content/category/fromager-affineur
・「熟成士 Affineur ~アフィナー~」とは
https://www.lecomptoir.co.jp/blogs/about-cheese/cheese-affineur
③ ナチュラルチーズの7つのタイプとは?
ナチュラルチーズは、さらに7つのタイプに分けられます。
【フレッシュタイプ】
熟成させないため、他の6タイプに対して「非熟成タイプ」とも呼ばれます。
水分が多くてやわらかく、ミルクの香りとさわやかな酸味があり、つくりたての風味を楽しむチーズです。
代表的なものは、モッツァレラ、リコッタ、カッテージ、クリームチーズ、マスカルポーネなど。
モッツァレラは、熱湯の中で固まった凝乳を練るという製造工程が一般的だそうです。
シンプルな味わいで、弾力と食べ応えがあります。
リコッタは、モッツァレラをつくる際の乳清を加熱してつくるそうです。
カッテージはやわらかいそぼろのような口当たりが特徴。
クリームチーズは原料にクリームを使用しており、脂肪分が高めでこってりとした濃厚な味わいです。
マスカルポーネは原料のクリームを加熱しクエン酸を加えたものを凝固させてつくります。
ややクリーム色で、口当たりなめらかでほのかな甘みがあります。
【白カビタイプ】
白カビを表面に植え付け、乳酸菌とともに熟成させます。
外側から内側へと熟成していき、熟成が進むにつれ中がクリーム色になり、とろりとして味や香りも変化します。
表皮に分厚い白カビをまとい、中身はやわらかく食べごたえのあるカマンベールや、ブリー、バラカなどが代表的です。
【青カビタイプ】
ブルーチーズとも呼ばれます。
内部に青カビを植え付け、乳酸菌とともに熟成させます。
内部は大理石のような美しい青い模様になり、青カビが独特の香りと風味を生みます。
イタリアのゴルゴンゾーラ、フランスのロックフォール、イギリスのスティルトンは世界3大ブルーチーズとされています。
他に、ババリアブルー、ダナブルーなどがあるそうです。
ゴルゴンゾーラには、やわらかくてマイルドな味わいの「ドルチェ」と、青カビの風味がしっかりしている硬めの「ピカンテ」の2種類があります。
ロックフォールは、原料である羊の乳の独特な甘味と、洞窟で熟成させることで生まれる複雑な風味が特徴の個性的なチーズです。
スティルトンは、塩味が聞いたシャープな味わいとのことです。
【ウォッシュタイプ】
熟成の際に表面を塩水やビール、ワイン、ブランデーなどで何回も洗いながら、内部を熟成させます。
独特の強い香りがする個性的なチーズ。
表面はオレンジ色で、内部はクリーム色です。
代表的なものは、マロワル、エポワス、ラングル、リヴァロ、ポン・レヴェックなど。
エポワスは地酒であるマール・ド・ブルゴーニュで洗うため、香ばしさと複雑な風味があります。
【シェーブルタイプ】
「シェーブル」とはフランス語で山羊の意味。
濃厚でコクのある山羊の乳でつくられます。
小型で乾燥熟成したものが多いそうです。
熟成が若いうちはさわやかな味わいで、熟成が進むに連れて酸味がまろやかになり、より複雑な風味に変化します。
代表的なものは、ヴァランセ、クロタン・ド・シャヴィニョル、サント・モール・ド・トゥレーヌ、バノンなど。
ヴァランセはかつてスラッとしたピラミッド型をしていましたが、エジプト遠征で敗北したナポレオンの命令により、上部が切られたピラミッド型になったと言われるチーズです。
サント・モール・ド・トゥレーヌは、薪のような細長い形をしたチーズで型くずれしないよう中心に藁を入れて熟成します。
表面は木炭がまぶされているためグレー色なのが特徴です。
【セミハードタイプ】
殺菌乳を凝乳酵素で固めた後、プレスして水分を取り除き、乳酸菌により時間をかけて熟成させます。
くせのない味わいで、食べ頃が長く続き、水分量が少なく保存しやすい硬質のチーズです。
代表的なものは、ゴーダ、マリボー、サムソーなど。
【ハードタイプ】
1〜3年と長期熟成させてつくる、水分量がとても少なく硬いチーズです。
粉状にして使われることもあります。
代表的なものは、チェダー、エメンタール、ラクレット、エダム、パルミジャーノ・レッジャーノ、コンテ、パルメザンなど。
パルミジャーノ・レッジャーノは「イタリアチーズの王様」とも呼ばれます。
最低熟成期間が12カ月と長く、旨味とコクがギュッと詰まっています。
コンテは山の中でつくられ、「山のチーズ」とも呼ばれます。
直径約55〜75cmの大きい車輪型で、マイルドで食べやすい味わいです。
雪に覆われる冬を越すために保存食として食べられていた歴史もあるそうです。
<参考サイト>
・チーズの種類
https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/know/lovable-milk/cheese/
・チーズの種類
https://www.qbb.co.jp/enjoy/cheese/type/
・チーズの種類やタイプを分類!歴史から製造方法、食べ方までプロが解説
④ 地理的表示(GI)で保護されるEU産チーズとは?
チーズはヨーロッパで多く生産・消費されており、EUでの年間生産量は1000万トン以上にも上り、その9割以上がEU域内で消費されています。
今後の販路としてEU域外での市場拡大を目指す中で、地理的表示(GI)制度で保護されるものがEU産チーズ全体の約1割あるとのことです。
GI制度は、地域特有の伝統的生産方法や生産地の自然的な要因によって、他にはない特性、高い品質、評価を獲得しているものについて、地理的表示(知的財産)を保護し、生産者と消費者の利益を守るものです。
EUと日本は、地理的表示を相互に保護しています。
例えばEUのチーズの地理的表示は日本でも保護されていて、次のような場合は規制の対象となります。
【ゴーダ・ホラント】
オランダ産でない非GIゴーダチーズにオランダの国旗等を付け、消費者に「ゴーダ・ホラント」と誤認させるような表示を行うこと。
【ゴルゴンゾーラ】
「○○県産ゴルゴンゾーラ」真正の産地を記載している場合であっても✕
「ゴルゴンゾーラへのオマージュを込めた国産ブルーチーズ」~種、~タイプ、~スタイル等の表現を伴う場合であっても✕
こうした地理的表示の保護が及ばない場合もいくつかあるそうです。
【パルメザン】
「パルミジャーノ・レッジャーノ」は日本で保護されるEUの地理的表示ですが、英語翻訳の「パルメザンチーズ」は粉チーズの代名詞として浸透しているため規制の対象から外されており、「パルメザン」や「パルメザンチーズ」は使用できるとのことです。
ただしイタリアの国旗とともに表示するなど誤認混同を生じる恐れのある表示は規制の対象となります。
【カマンベール】
「カマンベール・ド・ノルマンディ」は日本で保護されるEUの地理的表示ですが、「カマンベール」は日本ではすでに一般的な名称となっているため、規制の対象外となっており使用可能だそうです。
ただし「ノルマンディ風カマンベール」のような誤認混同を生じるおそれのある表示は規制の対象となります。
【モッツァレラ】
「モッツァレッラ・ディ・ブファーラ・カンパーナ」は日本で保護されるEUの地理的表示ですが、「モッツァレッラ」は日本では一般的な名称と考えられるため、規制の対象外だそうです。
<参考サイト>
・【レポート】地理的表示(GI)で保護されたEU産の伝統的なチーズについて
https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_001169.html
・地理的表示の相互保護-パルメザンは使える?
⑤ 産地由来が多い!世界のチーズの名前
「1つの村に1つのチーズ」と言われるほど多くの種類のチーズがあるフランスでは、昔からの伝統的な製法でつくられているチーズを「AOP(EU統一の原産地名称保護)」チーズとして認定しています。
「チーズの教本2019」という本に載っているAOP指定のチーズ46種類のうち、チーズを産出する町や村の名前が付けられているものが31種類あるそうです。
いずれも大都市ではなく小さい村や地方名です。
世界のナチュラルチーズの名前の由来について、いくつか調べてみました。
【産地の村や地方の名前に由来するもの】
<フランス>
「カマンベール」「ロックフォール」「ブリー」「フルム・ダンベール」「ボフォール」「ブルー・デ・コース」「ブルー・ドーベルニュ」「リヴァロ」「ポン・レヴェック」「ブリ・ド・モー」「クロミエ」「マンステール」「クロタン・ド・シャヴィニョル」「ラングル」「エポワス」「モン・ドール」「アボンダンス」「マリボー」
<イタリア>
「パルミジャーノ・レッジャーノ」「タレッジョ」「ゴルゴンゾーラ」
<イギリス>
「チェダー」
<オランダ>
「エダム」「ゴーダ」
<スイス>
「グリュイエール」「エメンタール」
【製造方法に由来するもの】
「モッツァレラ」引きちぎるの意味。引きちぎって成形することから。
「クラッレ・リヨネ」リヨンの平手打ちの意味。打ちつけるようにつくることから。
「リコッタ」二度煮るの意味。モッツァレラ製造時に出た乳清を加熱して固めることから。
※写真はPhoto ACより「モッツァレラチーズ トマト バジリコ」
【形状に由来するもの】
「クロシェット」鈴の意味。
「ボントン」樽の栓の意味。
「テート・ドゥ・モアン」修道士の頭形の意味。
「プロボローネ」ボール形の意味。
「テティージャ」小さな胸の意味。
「バラカ」馬蹄形の意味。
「カチョカヴァッロ」馬のチーズの意味。葦の葉でくくり、長い棒に吊るして熟成させる様子が、馬にまたがった姿に似ていることから。
※写真はPhoto ACより「カチョカヴァッロ」
【色に由来するもの】
「ダナブルー」青カビを使ったブルーチーズ。
「ババリアブルー」青カビを使ったブルーチーズ。
「フロマージュ・ブラン」フレッシュタイプの真っ白なチーズ。
【人名に由来するもの】
「サン・ネクテール」サン・ネクテール元帥がルイ14世にこのチーズを献上したと言われている。
※写真はAdobe Stockより「サン・ネクテール」
【料理名にもなっているもの】
「ラクレット」フランス語で削るという意味の「ラクレ」が由来。
切り口をあたためトロリとなったところを削いで食べるスイス料理の名前。
<参考サイト>
・チーズの名前を知れば産地が分かる
https://www.cheese-professional.com/article/column/detail.php?KIJI_ID=1475
・チーズで世界旅行
https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/world_journey/
・乳と乳製品のQ&A
https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_190_416/
⑥ 日本のチーズ「蘇」とは?「醍醐」もチーズ?
日本に飛鳥時代に伝わった、チーズの原型とされる「蘇」は、時を超えて2020年にSNSでそのレシピが話題になりました。
古代の法典である「延喜式(えんぎしき)」によると、牛乳をごく弱火で焦げないように8時間ほど煮詰め、元の10分の1くらいの容量になるまで水分を飛ばし、木型に流し込んで冷やし固形状にするそうです。
蘇は貴族や官人などしか食べられない高級食材でした。
聖徳太子が食べていたという説もあります。
美容や健康に良いとされ、平安時代には藤原道長が51歳で大病を患った際、蘇に蜜をかけた「蘇蜜煎」を食したそうです。
また、太政大臣の位についた時の宴で、甘栗と組み合わせた「蘇甘栗」を宮中より賜ったとのことです。
「蘇」は「酥」とも書かれ、「涅槃経(ねはんきょう)」という仏教の経典には「乳より酪(らく)、酪より酥(そ)、酥より醍醐(だいご)をつくる。醍醐は最上の美味」と記されています。
中国の本草書に「醍醐は酥の精なり」という言葉もあり、「蘇」をさらに煮詰めてつくった「醍醐」は最上級の物を意味し、「醍醐味」という言葉の語源であるとされています。
「醍醐」はチーズかバターオイルのようなものと考えられています。
※写真はPhoto ACより「蘇を作っている」
<参考サイト>
・古代日本人も味わった「醍醐味」 チーズの歴史を探る
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30615860X10C18A5000000/
・古代チーズ「蘇」
http://nara-shokubunka.jp/yamato/19-04.html
・SNSでよみがえる古代チーズ「蘇」って何?60分で作る簡単レシピ
・農林水産省 蘇(そ)
https://traditional-foods.maff.go.jp/menu/so
・藤原道長も愛した古代チーズ「蘇(そ)」
https://torori.jp/cheese-trivia-so/
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島のカレーうどんといったらコレ? 編
冬にご好評をいただく「手延べ半生うどん」、その夏用として販売を開始した「手延べ乾平(かんぴら)うどん」。
「乾平うどん」は、夏にも調理しやすいように茹で時間を短くした平らな麺が特長です。
でも、「ただ平たい麺」にしたわけではありません。
折角なら、夏に美味しいうどんメニューに何かないかと、身近な方々に好みなどをお聴きしたところ、「夏はカレー」をよく食べるという声があり、そのひとつのメニューとしてカレーうどんを食べることが多いと伺いました。
そこで、平たくした麺を、今度はカレーうどんとして美味しく食べられるようにするには?と色々試した結果、平麺の厚みや幅、麺の長さなども試行錯誤して、ようやく完成したのが「乾平うどん」です。
折角できた「カレーうどんにピッタリなうどん」ですから、今度はこれを使って小豆島らしさを加えてみようと行き着いたのが今回の「小豆島カレーうどん」セットです。
人気の高い宝食品様の「オリーブ牛ビーフカレー」のレトルトパックカレーを活かして、丸島醤油様の「味醤油」をベースのだしに使うことで、カレーうどんにピッタリなカレースープを作ることができます。
できたカレースープをゆでたての「乾平うどん」に掛ければ小豆島のカレーうどんのできあがりです!
暑くて食欲の落ちる夏でも、スパイスの利いたカレーうどんを食べて元気にお過ごしいただければと考えています。
今回のテーマの「チーズ」をトッピングして召し上がっていただいても濃厚さが増して美味しいと思います!
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《小豆島カレーうどんセット》 https://141seimen.thebase.in/items/87804234
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。