【お!いしい けんぶんろく】 Vol.45
栄養成分の機能性について/食物繊維
最近、石井製麺所の製品を使ったギフトのお話や、イベントへの出店、新商品開発のご相談を多くいただくようになりました。
大変ありがたいお話で、石井製麺所では一年を通じてさまざまな手延べ素麵・手延べ麺の製造をおこなっています。
先日、島内でご依頼をいただくお客様の元へ配達に行った際、車を停めて眺めた景色は日中の気温とは裏腹に、とても秋めいた空でした。
紅葉にはまだ早く、ときどき暑さが顔をのぞかせますが、日が陰ってくると暑さも和らぎとても気持ちの良い空気感です。
日常的に素晴らしい景色に出会い癒やされる小豆島は、とても有り難いなと思う今日この頃です(下写真)。
10月に入り「手延べ半生うどん」の製造も再開したのですが、半年ぶりの製造はドキドキしながらの作業でした。
「昨シーズンと同じように美味しくできますように」と念じながら手延べたうどんは、我ながらとても美しい見栄えでした。
試食でももちろん美味しく、昨シーズン同様自信を持ってお届けさせていただきます。
うどんと言えば、素麵とは少し異なり、トッピングや料理方法も幅が広がり、お一人お一人好きなメニューが違うのではないでしょうか。
石井製麺所のおすすめの食べ方は、(今はまだ少し早いかも知れませんが)やはり鍋焼きうどんでしょうか。
手延べうどんの良いところは、少々鍋で炊いても煮崩れしないところです。
たくさんの具材とお好みの出汁で味付けされた鍋に、軽く茹でた「手延べ半生うどん」を投入して具材と一緒に炊いていただければ、出汁の味が麺に染み込んで美味しく召し上がっていただけます。
色とりどりの具材だけでなく、栄養もしっかりと摂れるお食事で、冬も元気にお過ごしいただければと思います。
これから受験シーズンも始まりますし、しっかりと栄養を摂って、しっかり勉強も頑張ってください!
さて、今回のブログは“第6の栄養”と言われる「食物繊維」についてです。
「食物繊維」と聞くと「お通じ」に良いというイメージが強いですが、食物繊維にもいろいろあってその働きも少し差があるようです。
日本の昔の食事では自然と摂れていた栄養素ですが、最近の食事ではとても不足してしまっているそうです。
そういった体に良いものが手延べ麺と一緒に美味しく摂れるようになれば良いなと思います。
今回も健康に役立つ内容となりましたので、最後までぜひお付き合いください。
小豆島土庄(とのしょう)方面への配達途中での1枚。
【目次】
① “無益な成分”から“第6の栄養素”へ!⾷物繊維とは?
② ⾷物繊維の分類<不溶性・⽔溶性とは?>
③ ⾷物繊維の分類<発酵性・非発酵性とは?>
④ 整腸作用だけじゃない!食物繊維の働きとは
⑤ 食物繊維を多く含む食品、効率的なとり方とは?
⑥ 《美味しい手延べ麺》販売再開!小豆島手延べ半生うどん 編
① “無益な成分”から“第6の栄養素”へ!⾷物繊維とは?
食物繊維とは、食べ物の中に含まれ、小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する成分です。
国によってその定義は異なり、日本では「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。
炭水化物・タンパク質・脂質などは、消化管の中で消化酵素によって分解(消化)され、小腸から体の中に吸収されていきます。
食物繊維は、この消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して、大腸まで達します。
便の体積を増やす材料となるとともに、大腸内の環境を改善する腸内細菌に利用され、これらの菌を増やすことが明らかとなっており、整腸作用をはじめ様々な有用な働きをすることが注目されています。
炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素に次ぐ、第6の栄養素と言われることもあります。
特定保健用食品で「おなかの調子を整える食品」として認められている成分の多くが食物繊維です。
食物繊維は、草食動物であれば消化・吸収して利用することができますが、人間では、体の構成成分やエネルギー源としての働きが期待できないため、以前は無益な成分とされていました。
古代ギリシャの頃から、小麦ふすま(小麦粒の表皮部分)が便秘予防に良いことは知られていたそうですが、食物繊維は“食べ物のカス”だと考えられ、また食物繊維が多く含まれていると食感が損なわれるとして、人々の嗜好に合わせやわらかくて食感のよい食品がつくられてきたそうです。
1930年代、アメリカの医学博士ケロッグが小麦ふすまの便秘患者・大腸炎患者への影響を確認しました。
1953年にはオーストラリアの医師ヒップスレーが、食物中の繊維成分に妊娠中毒を予防する効果があるという仮説を公表した際に、「ダイエタリーファイバー(食物繊維)」という言葉を初めて使用しました。
1960年代、西欧諸国に多くみられる大腸疾患などの病気がアフリカで少ないのは食生活の違いが原因ではないかと考えられ、さらに研究が進められました。
1970年代、イギリスのバーキット博士は、食物繊維の摂取量が少ないと大腸がん発生のリスクが高くなるという「食物繊維仮説」を発表。
それ以後、食物繊維への関心が急速に高まり、食物繊維は、体に不可欠な第6番目の栄養素であると位置づけられたとのことです。
日本では、1997年の「五訂日本食品標準成分表」で、それまで炭水化物のうちの「繊維」としてきたものを、新たに「食物繊維」として独立させ、それぞれの食品ごとに「総量」「水溶性」「不溶性」を明示することになったそうです。
※写真はPhotoACより「ふすま」
<参考サイト>
・e-ヘルスネット 食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
・e-ヘルスネット食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・食物繊維を摂ろう!
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/
・わかさの秘密 食物繊維
https://himitsu.wakasa.jp/contents/dietary-fiber/
・豆の主な機能性成分
https://www.mame.or.jp/eiyou/kinou.html
② ⾷物繊維の分類<不溶性・⽔溶性とは?>
食物繊維は大きく分けると、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維の2種類があり、それぞれ特徴や多く含まれる食品が異なります。
不溶性食物繊維は、穀類や野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、甲殻類の殻などに多く含まれます。
代表的なものは、ゴボウなど繊維の多い野菜の細胞壁を構成する非デンプン性多糖類である「セルロース」、植物の細胞壁に含まれる高分子フェノール性化合物である「リグニン」、カニなどの殻やキノコなどの細胞壁を構成する多糖類である「キチン」など。
繊維状のものや、蜂の巣状、へちま状のものがあり、ボソボソ、ザラザラとした食感が特徴とのことです。
水溶性食物繊維は、ネバネバ系とサラサラ系があります。
昆布やわかめ、果物、サトイモ、大麦、オーツ麦などに多く含まれます。
代表的なものは、果物に多く含まれ細胞を接着している粘性のある複合多糖類の「ペクチン」、コンニャクに含まれる粘性のある多糖類の「グルコマンナン」、キノコ類や酵母類に含まれる「β-グルカン」、昆布など褐藻類に含まれる粘性のある多糖類の「アルギン酸」、褐藻類の粘質物を構成する多糖類の「フコイダン」、テングサなど紅藻類に含まれる寒天の主成分の「アガロース」など。
また、不足しがちな食物繊維を補う目的でトウモロコシのデンプンからつくられた「難消化性デキストリン」や、グルコース・ソルビトール・クエン酸を混合してつくられ、血糖値の上昇やコレステロールを減らす作用のある「ポリデキストロース」は、人工的につくられる水溶性食物繊維です。
<参考サイト>
・食物繊維とは
https://www.nisshin-seifun.com/wheat-power/dietary-fiber.html
③ ⾷物繊維の分類<発酵性・非発酵性とは?>
また近年注目されているのが、腸内での発酵のしやすさによって発酵性食物繊維と非発酵性食物繊維に分ける方法です。
発酵性食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、非発酵性食物繊維は腸内細菌に利用されず便のカサを増し排便を促します。
腸内に生息する腸内細菌は、体に有用な働きをする善玉菌、悪い働きをする悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌の3つに分類され、バランスを取りながら腸内環境を保っています。
善玉菌は、発酵性食物繊維をエサとすることで増殖し、腸内細菌が代謝・分解される過程で短鎖脂肪酸という成分をつくり出します。
短鎖脂肪酸には、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの種類があり、腸内環境を弱酸性にすることで悪玉菌の過剰な増殖を抑えたり、腸管のバリア機能を高めたり、腸のぜん動運動を促進して便通を改善したりする働きがあるとされています。
発酵性食物繊維には、多くの水溶性食物繊維と一部の不溶性食物繊維があり、それぞれ腸内で発酵する場所や、食べてから発酵するまでの時間が異なるそうです。
繊維の長さによって、善玉菌のエサになり分解される速度が異なるため、大きく3つのグループに分けられます。
長さが短く発酵速度が早い水溶性食物繊維は、ゴボウなどの根菜類に含まれる「イヌリン」や、大豆、あずき、ひよこ豆などに含まれる「難消化性オリゴ糖」などで、腸の入り口付近で発酵します。
長さが長い水溶性食物繊維は、オーツ麦、玄米、大麦、全粒小麦などの穀類に多く含まれる「β-グルカン」や、キウイ、ミカン、プルーンなどの果物類に含まれる「ペクチン」などで、腸の中央付近で発酵します。
不溶性食物繊維で発酵速度が非常に遅いのは、穀類に多く含まれる「アラビノキシラン」や、豆類、イモ類に含まれる「難消化性デンプン(レジスタントスターチ)」で、腸の最も奥まで届いて発酵するとされています。
腸内環境をバランス良く保つためには、様々な種類の発酵性食物繊維を毎日摂ることが大切で、特に朝食で摂取すると、1日を通じて腸内細菌のエサとなり、健康効果が期待できるとのことです。
発酵性食物繊維は、もともと人の腸内にいる善玉菌のエサになるもので、「プレバイオティクス」とも呼ばれます。
これに対して、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、食材に含まれている善玉菌を腸に届けるもので、「プロバイオティクス」と呼ばれます。
どちらも健康づくりに大切で、併せて取り入れることでさらに腸内環境の改善に役立つそうです。
<参考サイト>
・発酵性食物繊維とは?
https://shop.mizkan.co.jp/blogs/fiber/fermentable-dietary-fiber
・発酵性食物繊維の摂取方法は?
https://shop.mizkan.co.jp/blogs/fiber/how-to-intake-fermentable-dietary-fiber
・発酵性食物繊維で無理のない腸活を
https://kenko.sawai.co.jp/healthy/202407-2.html
④ 整腸作用だけじゃない!食物繊維の働きとは
食物繊維は、便通を整えて便秘を防ぐ整腸作用がよく知られています。
また、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあるため、これらを摂り過ぎることによって引き起こされる肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧といった生活習慣病の予防・改善など、多くの生理機能が明らかになっています。
不溶性食物繊維は、飲み込んだ時の形をほぼ変えずに腸まで到達するそうです。
保水性が高いため胃や腸で水分を吸収して数倍にもふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にすることに加え、便が結腸や直腸で容積が増大するとともにやわらかくなり、便通を促進する働きがあります。
また、大腸の中の発がん物質の濃度を薄め、体外への排出を早めて腸内での滞留時間を短縮することから、大腸がんになる可能性が低下すると考えられています。
不溶性食物繊維を多く含む食品は、口の中でよく噛む必要があるため、早食いによる食べすぎを防ぐ効果があるとされます。
そしゃく回数が増えることで唾液の分泌量が増え、満腹感が得られやすくなります。
また消化されず胃の中で長く滞在するため満腹感が長時間続き、肥満予防につながります。
水溶性食物繊維は、水分を吸収してドロッとした粘性を持つゲル状になり、粘着性を高め胃腸内をゆっくり移動するため、空腹になりにくく、食べすぎを防いだり、糖質の吸収をゆるやかにして食後血糖値の急激な上昇を抑えたり、血糖を抑制するホルモンであるインスリンの急速な消費を防ぎ、インスリン不足から生じる糖尿病を予防したりする働きがあります。
また、胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外に排泄してくれます。胆汁酸とは、脂肪の消化・吸収に関わり、肝臓でコレステロールを原料につくられるものです。
水溶性食物繊維の中でも特にアルギン酸は、高血圧予防に役立つそうです。
アルギン酸は食品中ではカリウムなどのミネラルと結合していますが、胃酸の影響を受けカリウムを放し、小腸でナトリウムと結び付いて排泄されます。
胃でアルギン酸から離れたカリウムは腸から吸収され、血液中のナトリウムを体外へ排出する役割を持つため、血圧を下げて高血圧を予防する働きがあります。
<参考サイト>
・わかさの秘密 アルギン酸
https://himitsu.wakasa.jp/contents/alginic-acid/
⑤ 食物繊維を多く含む食品、効率的なとり方とは?
厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一日あたりの食物繊維摂取の目標量(生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上だそうです。
日本人の平均摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少などに伴って減少傾向にあり、最近の報告によれば、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。
食物繊維は、体の健康に深く関与する食品成分であり、積極的な摂取が必要です。
食物繊維は、魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれます。
また水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、1:2の割合で摂取するのが理想とされています。
食物繊維を手軽にとりたい場合は、一日のうち1食の主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えるなど、主食の穀類からとる方法がおすすめだそうです。
また、食物繊維を豊富に含む、豆類、野菜類、果実類、キノコ類、藻類などの食材を毎日の食事の中に上手に取り入れると効率的に摂取できます。
野菜は皮の部分に多く含まれているので、皮ごと食べるのも良いとのことです。
1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3g含まれる食品は、そば、ライ麦パン、しらたき、サツマイモ、切り干し大根、カボチャ、ゴボウ、タケノコ、ブロッコリー、モロヘイヤ、糸引き納豆、インゲン豆、あずき、おから、シイタケ、ひじきなどだそうです。
野菜を乾燥粉末にした野菜パウダーは、
日本人の通常の食生活では食物繊維を摂り過ぎることはほとんどありませんが、いわゆるサプリメントなどで多量に摂り過ぎると、ミネラルなどの吸収を妨げることもあるので注意が必要です。
<参考サイト>
・食物繊維の多い食べ物・食品!効果や食物繊維の種類(水溶性・不溶性)も解説
https://www.kikkoman.co.jp/homecook/tsushin/tips0032/
・【小児科医が教える】便利な「市販の野菜パウダー」。
https://diamond.jp/articles/-/
・粉末技術で廃棄野菜を救え! グリーンエースの粉末野菜「Vegemin」
https://weeeat.tokyogas-com.
⑥ 《美味しい手延べ麺》販売再開!小豆島手延べ半生うどん 編
「手延べ半生うどん」ファンの皆さま、大変お待たせいたしました。
石井製麺所の冬の人気商品、「手延べ半生うどん」の販売を再開いたします。
今年は10月に入っても例年以上に暑さが残り、朝夕に涼しさを感じるようになったといっても日中の温度はまだまだ30℃近くになり、製造現場でも大変な日々が続きます。
製造に気を配りながらですが、「手延べ半生うどん」の製造を再開いたしました。
石井製麺所では、「手延べ半生うどん」のためだけに、無添加といえる特別な小麦粉をこだわって使用し、独自の製法を取り入れ、冬季限定(10月〜翌年4月)の販売としております。
4月末に出店したながの東急での催事では、出店を知ったお客様がわざわざ長野までお買い求めにお越しいただいたり、小豆島の手延べ素麺やうどんのお話に関心を持ってくださったお客様がお買い求めいただいたりと、持参した「手延べ半生うどん」がすぐに完売するほど人気を頂戴しました。
「美味しかった」のお声を励みにして、今シーズンも美味しく手延べてまいりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
年末のギフト用に「手延べ半生うどん」と「味醤油」をセットにしたお得なセットも予定しておりますので、大切な方への贈り物やイベントの景品、イベントごとのプレゼントとしていかがでしょうか。
予算やご要望に合わせてセット組などもできますので、ぜひぜひご検討ください。
石井製麺所での「半生うどん」の製造現場。「天日干し」の様子。
《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in
《手延べ半生うどん》 https://141seimen.thebase.in/categories/2325454
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。