天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

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石井製麺所通信

お!いしい けんぶんろくブログ

2023年4月23日 【Vol.12】手延べ素麺三大産地のひとつ・小豆島について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.12

手延べ素麺三大産地のひとつ・小豆島について

 

 

 

 

素麺の産地・香川県小豆島は、瀬戸内海に浮かぶ島です。

穏やかな海に囲まれ、風光明媚な景勝地や食にまつわる施設など、見どころいっぱいの観光地でもあります。

お出かけに最適なこれからの季節、足を延ばしてみてはいかがでしょうか?

6月3日・4日には、小豆島で「全国そうめんサミット」が開催される予定。

兵庫県播州、奈良県三輪につぐ第3回となり、関係者だけでなく一般の方にも楽しんでいただける食べ比べなどのイベントが盛りだくさんだそうです。

今回は、小豆島の観光情報や特産品についてご紹介します。

 

三代目:今回は、夏の需要期を迎える前に今一度、三大産地として整理してみたいと考えました。

そのきっかけは、「全国そうめんサミット」です。

基本的には、小豆島手延素麺組合様が仕切ることになりますが、小豆島で製麺に携わる者として、全く無関係ではありませんし、もちろん、準備や出店でお手伝いもしてまいります。

何よりも楽しみにしているのは、これまでブログでも触れてきた産地の方々にリアルにお会いできることです。

きちんと胸を張って、小豆島手延べ素麺の製麺所三代目として、ご縁をいただく皆さまにご挨拶できるように振り返りの意味も含めてブログに書いてみました。

「全国そうめんサミット」に向けて、小豆島にお越しになる皆さまのご参考になれば幸いです。

 

<参考サイト>

・第3回全国そうめんサミット2023in 小豆島 公式サイト

https://somen-summit-2023.com

 

※写真はphotoAC「オリーブ公園の風車から見える風景」より

 

【目次】

① 小豆島でおすすめの観光スポット

② 食の特産品が豊富な小豆島

③ 小豆島が素麺づくりに適している理由

④ 小豆島手延べ素麺と讃岐うどんの違い

⑤ 《産地紹介》富山県・大門(おおかど)素麺

⑥ 《美味しい素麺》手延べレモン素麺 編

 

 


 

① 小豆島でおすすめの観光スポット

 

小豆島と聞いてどんなイメージを思い浮かべますでしょうか?

島には自然や文化、グルメなど、様々な魅力があふれています。

そんな小豆島の魅力を存分に体感できるおすすめスポットを、厳選してご紹介します。

※営業状況など詳細については、各施設にお問い合わせください。

 

【道の駅 小豆島ふるさと村】

遊ぶ・体験する・泊まる・食べる・買う、の5つを楽しむことができる公共の施設。

「手延べそうめん館」では、素麺の製造工程を見学することができます。箸分け作業の体験(有料)や試食も。

「全国そうめんサミット」の会場にもなります。

 

【醬の郷(ひしおのさと)】

小豆島の地場産業である醤油と佃煮の工場が集中するエリア。

明治時代に建てられた醬油蔵の漆喰の白壁が、風情ある景観を生んでいます。

醬の郷にある「マルキン醤油記念館」では、小豆島独自の醬油の製法が紹介されており、醤油を使ったグルメも堪能できます。

 

※写真はphotoAC「醤の郷」より

 

【かどや製油 資料展示室「今昔館」】(現在は休止中)

安政5年(1858年)の創業以来、発祥の地である小豆島でごま油をつくり続けるかどや製油さんの工場内にある資料展示室。

ごま油の製造工程や歴史を学んだり、テイスティングを体験したりできます。

 

【オリーブ園】

全国で最初にオリーブ栽培に成功した、日本のオリーブ栽培発祥の地。

3ヘクタールの敷地には、日本最古のオリーブの原木を含む約2,000本のオリーブが植えられています。

世界各国のオリーブオイルをブレンドしてオリジナルオイル作り体験も。

 

【エンジェルロード】

1日2回、引き潮の間だけ現れる、島から島へ歩いて渡れる砂浜の道。

大切な人と手をつないで渡ると幸せになれるという言い伝えがあるそうです。

 

※写真はphotoAC「小豆島エンジェルロード(道が出現する前)」より

 

【寒霞渓】

国立公園で、日本三大渓谷美のひとつ。

ロープウェイから、美しい溪谷と瀬戸内海の素晴らしい景色を一望できます。

秋の紅葉シーズンは、全国各地からたくさんの観光客の方がお越しになります。

 

※写真はphotoAC「秋の寒霞渓」より

<参考サイト>

・小豆島観光マップ

https://www.shodoshima-kh.jp/enjoy/map.html

・自然もグルメも楽しめる小豆島のおすすめ観光スポット11選

https://www.knt.co.jp/travelguide/kokunai/052/

・ここは押さえておきたい!小豆島のおすすめ観光スポット22選

https://www.ikyu.com/kankou/arealist8428/

・小豆島ふるさと村 素麺工場・見学体験

https://www.shodoshima.jp/expelience/taiken/visitor/567.html

・醤の郷(ひしおのさと)

https://shodoshima.or.jp/sightseeing/detail.php?id=270&c=2

・マルキン醤油記念館

https://marukin.moritakk.com/kinenkan/

・ごま油資料展示室見学 -かどや製油-

https://shodoshima.or.jp/sightseeing/detail.php?id=163&c=2

・かどや製油の資料展示室 今昔館のご案内

https://www.kadoya.com/enjoy/page04.html

・小豆島オリーブ園

https://www.1st-olive.com/guide/

・エンジェルロード

https://www.shodoshima-kh.jp/angel/

・寒霞渓の魅力

https://www.kankakei.co.jp/miryoku/

 

 

 


 

 

② 食の特産品が豊富な小豆島

 

小豆島には、素麺の他にもいろいろな特産品があります。

「オリーブオイル」「醤油」「佃煮」の3品目には、地域食品ブランドの表示基準である「本場の本物」に認定されている商品もあります。

小豆島の素麺づくりに欠かせない「ごま油」も、島の特産品です。

 

【オリーブオイル】

日本のオリーブ栽培は香川県が95%を占め、オリーブオイルの生産量も日本一。

小豆島オリーブオイルは、精製油や添加物をまったく加えず、オリーブの実を搾っただけのフレッシュな香りと風味が特徴です。

地元で丁寧に手摘みした新鮮な果実を、すぐさま地元の工場に運び、非加熱でつくっています。

明治41年(1908年)、試験的に植樹されたオリーブが、温暖で雨の少ない小豆島の気候風土で根付き、定着しました。

宮内庁御用達の品目に選ばれたり、世界規模のオリーブオイル品評会で好成績を収めたりしたこともあるそうです。

5月頃にオリーブの花が咲き、6月頃から小さな実を付け、徐々に大きくなり9月の下旬には収穫が始まります。

10月10日に「オリーブの新漬け」が解禁され、いよいよオリーブの旬の季節になります。

農家さんは毎日のように収穫に追われ、翌年の1月頃にはだいたいの収穫が終わり、オリーブオイルの搾油作業を行っているようです。

日本の気候で育つオリーブで作られたオイルはとてもマイルドで、和食にとても良く合い、発酵食品にもピッタリだと言われます。

そうめんつゆに数滴垂らして召し上がっていただければ、清々しい香りとめんつゆのコクが相まって、上質なそうめんを味わっていただけるのではないでしょうか。

 

 

【桶(こが)仕込醤油】

小豆島は江戸時代から約400年つづく醬油の産地。

日本の4代醬油産地のひとつでもあります。

色やコク、香りがよい島の醬油は、昔から桶(こが)と呼ばれる巨大な杉の桶を使って醸造(発酵・熟成)されてきました。

桶(こが)の大きさは、上部の直径が約2.2メートル、深さ約1.7メートル、容量約32石(5800リットル)。

古いものは100年以上、新しいものでも50年ほど使いこまれており、100~200種類もの酵母菌や乳酸菌といった微生物が棲み着くことで、味わいやうま味を引き出せるそうです。

化学調味料、合成保存料、合成着色料などは一切使用せず、1~2年かけてゆっくり発酵・熟成させてつくられるものや、一度仕込んだ醤油を基にさらに仕込む「再仕込み醤油」などもあります。

小豆島の醤油蔵では、昔ながらの桶仕込みだけでなく、最先端の技術を活用して効率良く醤油をつくる技術も持っています

「グルテンフリーの醤油」や「オリーブ酵母で仕込む醤油」など、バラエティに富んだ様々な醤油もつくられています。

また、醤油をベースに、出汁の素やめんつゆ、ポン酢、ドレッシングなど家庭になくてはならない調味料の開発も行っておられます。

 

 

【佃煮】

太平洋戦争後の昭和20年(1945年)、特産品である醤油を活用した島の経済復興を目的として、佃煮がつくられ始めました。

食糧難の時代に芋のつるを醤油で煮込んだ佃煮を開発したところから始まったそうです。

現在、佃煮の素材は島で数百以上もあるとされますが、「本場の本物」認定品は、30年以上にわたり使われ続けている昆布、のり、わかめ、しいたけ、おじゃこちりめん、きゃらぶきの6品目だけとされています。

具材へのこだわりはもちろん、製造技術に多くの特徴を持つ会社もあります。

最近では、「宇宙食」としての佃煮製造技術を持つ会社から、化学調味料・合成保存料・合成着色料を一切使用せず、自然そのままの味わいにこだわり、心から安心して楽しむことができる佃煮の製造にこだわる、昔ながらの佃煮工場もあります。

 

【ごま油】

江戸時代末期の安政5年(1858年)、小豆島で創業したのが、ごま油の国内シェア50%以上を占めるかどや製油さんです。

小豆島の手延べ素麺づくりにごま油が使われるからこそ、小豆島で創業されたといえるでしょう。

国内流通する量のほとんどを小豆島にある大規模工場で生産しておられます。

工場は土庄港の近くにあり、風向きによってはごまのよい香りが町中に漂います。

 

<参考サイト>

・本場の本物  現在の認定品目

https://honbamon.com/product/index.html/page/2

・小豆島ってどんな島?(産業)

https://shodoshima.or.jp/what/industry/

・小豆島町の特産品 本場の本物

https://www.town.shodoshima.lg.jp/gyousei/kakuka/shokokanko/4/899.html

・産業について

https://www.town.shodoshima.lg.jp/kanko/other_info/specialty/3410.html

・「かどや製油」ごま油一筋で159年栄える秘密

https://toyokeizai.net/articles/-/178988

・食の原点 小豆島

http://shodoshima-food.com/?page_id=38

・日本一の生産量「ごま油」

https://furusato-tonosho.furusato-basic.com/features/detail/27

 

 


 

 

③ 小豆島が素麺づくりに適している理由

 

小豆島の特産品として忘れてはならないのが、手延べ素麺。

小豆島が素麺の名産地になったのには、いくつかの理由があると考えられます。

ひとつは気候。

瀬戸内海に位置する小豆島は、気候が穏やかで雨が少なく、素麺づくりの最盛期である冬も雪が降ることはほとんどなく乾燥しているため、天日干しでの素麺づくりが行われています。

また、瀬戸内海でとれる塩、以前では讃岐平野で栽培されていた小麦(現在は手延べ素麺作りに合う海外産の小麦を国内で精麦して使用している場合もあります)、良質な清水などの原料が調達しやすかったことも理由のひとつといえるでしょう。

小豆島手延べ素麺づくりに欠かせないごま油や、素麺にベストマッチの醬油が小豆島の特産品であることも、何らかの因果関係がありそうです。

 

 

<参考サイト>

・小豆島ってどんな島?(基本・地勢・気候)

https://shodoshima.or.jp/what/

 

 


 

 

④ 小豆島手延べ素麺と讃岐うどんの違い

 

小豆島のある香川県にはもうひとつの有名な麺、讃岐うどんがあります。

素麺とうどんはどちらも小麦粉でつくる麺なので、違うのは太さだけと思っている方がおられるかもしれません。

実際は製法が大きく異なるため、それに伴って使う原料や食感なども変わってきます。

具体的にどんな違いがあるか、ご紹介します。

(讃岐うどんにも手延べ製法でつくられたものがありますが、ここでは手打ちうどんと手延べ素麺を比較してご紹介します。)

 

・油を使うか使わないか

まずは原料について。小麦粉・塩・水は共通ですが、素麺はそれに加えて食用油が必要です。

小豆島手延べ素麺ではごま油を使用しています。

油がえしという製造工程で、麺の表面の乾燥を防ぎ、生地同士がくっつかないように油でコーティングします。

手打ちうどんでは油は必要ありません。

 

・生地をのばすか切るか

手延べ素麺は、練り合わせた生地に油を塗ってよりをかけ、のばしては重ねて…を繰り返しながら細長くしていきます。

この工程により、小麦粉に含まれるグルテンが一定方向に、重なった地層のように組織されます。

これをさらによりをかけながら細くのばすことで、断面が丸くなり、なめらかな食感とコシ、つるつるとした喉越しが生まれるのです。

時間が経ってものびにくいのも特徴のひとつです。

 

同じ素麺でも手延べではなく、機械で生地を薄くのばし、細く切って乾燥させる「機械製法」で作られた素麺は、断面が四角く、大量生産に向き比較的安価でできますが、手延べ麺のようなツルツル感はありません。

手打ちうどんの場合は、小麦粉・水・塩を混ぜた生地をこねては熟成し…を繰り返して生地を鍛えます。

それを麺棒で薄くのばして、包丁で切ります。原料から麺に仕上がるまでの時間は、手延べ製麺よりはるかに短いです。

グルテンの組織を包丁で断ち切るため、麺の断面は四角く、しこしこした食感が生まれます。

 

・太さの違い

素麺とうどんの乾めんについては、日本農林規格(JAS)により、直径1.3ミリメートル未満のものが素麺で、1.7ミリメートル以上がうどん、と太さの規格が定められています。

石井製麺所では、冬季限定で「手延べ半生うどん」を販売しております。

小豆島手延べ素麺の製法で仕上げた、角のないツルツル、モチモチした食感が好評いただいております。

また賞味期限の長い「手延べ乾うどん」は通年販売。

素麺と食べ比べていただける「手延べ太さくらべセット」もご用意しております。

太さによる味わいの違いを、ぜひ実感してみてください。

 

三代目:よく勘違い?されるのが、讃岐うどんと小豆島手延べ素麺を同じもの?に思われることです。

うどんがあるから素麺がある(うどんを細くして素麺を作っている)と思われる方もいらっしゃいますし、実際にそうだと思っていたというお話をよくお聞きします。

ですが、太さは置いておいて、製法はかなり異なる物です。

どちらが簡単と言うことではないのですが、素麺の場合、細く伸ばす分だけどうしても時間がかかる物だと思います。

また、讃岐うどんは“打ちたて”を味わうのが一番ですが、素麺は完成後も(保存状況はしっかりと管理する必要はありますが)、さらに寝かせることで“古物(ひねもの)”と言われる希少な高級素麺になります。

同じような地域で似て非なる食品が発展するのは、離島である地理的な特徴(ガラパゴス的)なのかも知れませんね。

 

 

<参考サイト>

・手打ちと手延べの違いまとめ|麺の原料や製法に食感の秘密があった!

https://mlb-nff-nba.com/%E6%89%8B%E6%89%93%E3%81%A1%E3%81%A8%E6%89%8B%E5%BB%B6%E3%81%B9%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%EF%BD%9C%E3%82%88%E3%82%8A%E6%89%8B%E9%96%93%E3%81%8C%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B/

・うどんとそうめんの違い

https://www.flour.co.jp/news/article/070/

 


 

 

⑤ 《産地紹介》富山県・大門(おおかど)素麺

 

庄川の扇央部から少し下がったところにある、砺波市大門(おおかど)地区で伝統的につくり続けられている手延べ素麺。

「丸まげ素麺」とも言われるユニークな形状が特徴です。

古風な和紙の包み紙ひとつひとつには、製造者の氏名が記されています。

初冬から晩春にかけ、清流庄川の水を使ってつくられる素麺は、鉢伏山から吹きおろす寒風で乾燥させることで、よくしまったコシのあるなめらかな麺に仕上がります。

細くて長い麺が完全に乾かないうちに丸めて仮包装し、さらに10日間かけて本乾燥する、手間ひまかけた素麺です。

天気が変わりやすいこの地で、外干し作業中に雪が降ってきてもすぐ屋内に運べるよう、麺を丸めるようになったといわれています。

ゆでる時には、丸まげ状の麺を2つに割らないと、とても長い素麺になってしまうとのこと。

丸い形状が鍋にすっぽりとおさまるのでゆでやすいそうです。

 

大門素麺の起源は江戸時代後期にさかのぼります。

大門村の売薬行商である田守三石衛門が加賀藩の御用素麺を持ち帰ったことから、中島次兵衛という村人が加賀に行ってその製法を習得したそうです。

そして村の有志で農閑期の副業として素麺づくりを行うようになったのが始まりといわれています。

最盛期の昭和初期には60数軒の農家で取り組んでいたという記録があるそうですが、現在では12軒前後の農家が素麺づくりに従事しているとのことです。

 

 

<参考サイト>

・砺波市じまんの特産品 大門素麺

http://www.tapc.jp/tokusan/tokusan_somen.html

・古来より伝わる手法をそのままに江戸時代から作り続けられている丸まげ素麺

https://www.corezo-mall-tokusyu.com/ookadosoumen

・JAとなみ野 大門素麺

https://www.ja-tonamino.jp/tokusan/ookado?pcview=true

・大門素麺

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%96%80%E7%B4%A0%E9%BA%BA

・大門素麺について

https://kakizato.jp/noodles/

 

 


 

 

⑥ 《美味しい素麺》手延べレモン素麺 編

 

昨年、大変ご好評をいただいた「手延べレモン素麺」が5月1日から販売を再開いたします!

2022年5月の発売から夏季限定品として発売し、8月末日までに約4000袋も販売させていただきました。

本当にありがとうございます。

その人気の「手延べレモン素麺」が帰ってきます。

当社独自製法により、小麦と一緒に瀬戸内産レモン果皮を練り上げていますので、麺を口に運ぶたび、ふわっとレモンの香りが拡がります。

食欲の落ちる暑い日でも、食欲をかき立てる優しいレモンの香り。

暑い夏に、ぜひおすすめしたい素麺です。

もちろん、香料・着色料・保存料は一切使用していませんので安心してお召し上がりください。

 

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2023年4月10日 【Vol.11】各地の特産品や健康への想いを練り込んだ素麺について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.11

各地の特産品や健康への想いを練り込んだ素麺について

 

 

 

 

素麺は、小麦粉・水・塩といったシンプルな食材で作られています。

しかしながら、長年にわたる素麺の製造の歴史において、産地ごとの特性アピールの必要性の高まりや、製麺所独自の開発などにより、さまざまな素麺が作られるようになってきたのではないでしょうか

スープや具材の添付、特徴的なパッケージなどで差別化が図られているものもありますが、今回は製造する過程で別の食材を生地に練り込むことにより、独自の色あいや味わいを生み出しているものを調べてみました。

食材を加えることで見た目の変化だけでなく、その食材が持つ風味や健康効果を素麺にプラスすることができます

思い通りの商品を完成させるまでには、配合量や製法などさまざまな試行錯誤が必要ですが、全国各地でバラエティ豊かな練り込み素麺が数多く生み出されています。

素麺を使ったさまざまなメニューも魅力的ですが、素麺自体の特色を楽しんでいただくきっかけになればと思います。

今回は、いろいろな食材を練り込んだ素麺について調べた結果をご紹介します。

 

※以下にご紹介する素麺は、2023年4月10日現在の当社調べになります。ご紹介した地域以外でも同様の商品を扱っておられるかもしれませんのでご了承ください。

また、これ以外にもこんな食材を練り込んだ素麺がある、という情報をお持ちの方は、ぜひお知らせください。

 

三代目:インターネットで調べただけですので、産地に行けばもっと色々な素麺があると思いますが、それでも本当にたくさんの素麺が見つかりました。実際に石井製麺所でも、さまざまな素材を加えて製麺していますが、思った通りの色が出なかったり、素麺の細さにまで伸ばせなかったりとひとつの麺を作るのも本当に大変です。

様々な産地の製麺所が独自性を出すために多種多様な素麺を作られていることを知ると、「負けていられない!」と“製麺者魂(?)”に火が付きます。

年々、色々な原料メーカーや販売店様から新麺開発のご相談もいただきます。

今後もノウハウをしっかりと蓄積しながら、美味しい素麺を作り続けていきたいものです。

 

 

【目次】

① 各地の特産品や想いを練り込んだ魅力的で独特な素麺たち

② 《産地紹介》岩手県・卵麺(らんめん)

③ 石井製麺所の新しい素麺への想い・これからの素麺作り

④ 《美味しい素麺》手延べ 小豆島オリーブオイル素麺 編

 

 


 

① 各地の特産品や想いを練り込んだ魅力的で独特な素麺たち

 

国内のさまざまな素麺の産地や製麺所では、多種多様な食材を練り込んだ素麺(麺)が開発されているようです。

インターネットでざっと調べただけでも、60種類以上が確認できました。

中には、味の想像がつかないようなものも。

大まかに分類してご紹介します。

 

 

まずは、海産物を使った素麺から。日本は海に囲まれているので、色々なものができそうですね。

<海藻>

素麺につきものの海苔や、だしに欠かせない昆布などの海藻は、素麺と相性が良いようです。

粉末にして練り込むことで、磯の風味が加わったり、独特の粘りが弾力を生んでのど越しが良くなったりといった相乗効果が得られます。

佐賀県有明海の海苔や、岩手県三陸産の昆布やメカブ徳島県鳴門のワカメ宮城県のアカモク(新潟県ではナガモと呼ばれているそうです)、新潟県のフノリなどを使った素麺が作られています。

 

<魚介類>

魚介類を練り込んだ素麺は、麺自体からだしが出るので、より旨みが増すようです。

熊本県甲佐町で育てたウナギの白焼きを練り込んだもの。

タイのエキスを入れた縁起の良い素麺。

ウニを練り込んだ風味豊かなもの。

オキアミの一種であるイサダを使ったピンク色の素麺や、イカスミを入れた真っ黒な素麺もあります。

 

※写真はphotoAC「小豆島エンジェルロード(道が出現する前)」より

 

小麦以外のものを使用した麺や穀物・豆類・芋などを練り込んだ珍しい素麺たち。

<穀類>

山形県のブランド米「はえぬき」「どまんなか」、それぞれの米粉を使用した素麺もあります。

岩手県一関市では古代米の「黒米(紫黒米)」を、山形県西川町では発芽胚芽米を練り込んだ素麺も。

 

岩手県軽米町で作られる稗(ひえ)を使った素麺は、胡桃に似た甘味とシコシコした食感が特徴だそうです。

長崎県には、雑穀16種類(小豆・もちきび・もち麦・もち玄米・ハト麦・もち赤米・黒豆・丸麦・稗・青大豆・発芽玄米・もち黒米・とうもろこし・もちあわ・胚芽押麦・黄大豆)を練り込んだ素麺が。

ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な、体に良い素麺とのことです。

 

<ごま、芋、豆類>

石井製麺所でも販売している黒ごまの粉末を練り込んだ素麺は、兵庫県播州や長崎県島原といった素麺の産地でも作られていますが、熊本県に本社のあるごま食品製造販売会社・オニザキさんの「黒胡麻そうめん」は、なんとごまの粒をそのまま生地に練り込んでいるそうです。

ごまの風味と食感がしっかり味わえる素麺ですね。

 

新潟県では五泉産のえごまの葉を練り込んだ素麺があります。

九州産の紫芋や、山口県柳井でとれた自然薯を入れたものも。

京都府丹波市や岡山県美作市では、それぞれの地域で生産した黒豆を使った素麺を作っています。

 

 

食材として練り込みやすいのは野菜や薬草など。キレイな色の麺に仕上げることもできます。

<野菜>

全国各地で、それぞれの地域の特産品である野菜を練り込んだ素麺が開発されているようです。

なじみ深いものでは、ニンジンカボチャホウレン草オクラトマトタマネギゴボウレンコンシソ小松菜など。

他にも、岐阜県大垣市では地域で苗から育てた明日葉が、石川県金沢市では能登野菜の中島菜が、それぞれ素麺に使われています。

 

<果物>

石井製麺所ではオリーブオイルを練り込み、表面にも塗って仕上げたオリーブオイル素麺がありますが、同じく小豆島でオリーブの果実を練り込んだ素麺を作っておられる生産者さんもいます(ちなみにオリーブは野菜ではなく果物に分類されるようです)。

や、カボス伊予柑ユズミカンなどの柑橘類は、その酸味が素麺と相性ばっちりですね。

これらの果物の産地で、練り込み素麺が作られているようです。

驚いたのは、甘い果物を練り込んだ素麺の種類の多さです。

栃木県のイチゴ「とちおとめ」山形県のサクランボ千葉県市川の梨大分県清川の桃なども、その果汁を使用した素麺が販売されています。

他にブルーベリーメロンブドウネーブルなどの素麺もあるようです。

小豆島でもスモモの素麺があります。

ユニークなのは福岡県香春町の柿の皮を使った素麺。特産品である干し柿の製造過程でできる渋柿の皮を練り込んでいるそうです。

味はほんのり甘みがあり、モチモチとした食感とのこと。

食材を無駄にせず有効活用する、素敵な取り組みですね。

 

<葉>

植物の葉にも、食物繊維が豊富なものや健康への効果が期待できるとして食用されるものがいろいろあります。

素麺の産地である徳島県半田では、稲の若葉山形県月山では、桜の葉千葉県市川では、国産の赤松の葉を粉にして練り込んだ素麺があります。

徳島県の特産品である阿波藍の産地・上勝町では、手摘みした藍の葉を天日乾燥して粉にし、素麺に練り込んでいます。

 

<薬味>

素麺にピッタリの薬味が、あらかじめ練り込まれた素麺もあります。

奈良県三輪市、栃木県栃木市、千葉県市川市では、ショウガ徳島県上勝町ではワサビが、粉末にして素麺に練り込まれています。

熊本県には、ニンニクを練り込んだ素麺もあるそうです。

 

<その他植物>

他にも、その地域ならではの植物を使った素麺が各地で販売されているようです。

素麺発祥の地といわれる奈良県三輪では、これまた特産品である吉野葛を加えた素麺が。

葛特有のつるみと弾力が味わえるそうです。

熊本県八代市は、畳の原料として知られるい草の産地。い草の粉末を入れた素麺が、学校の給食などにも採用されているそうです。

素麺の生産量第2位の長崎県島原では、昔から薬草を栽培していたそうで、4種類の島原薬草(オオバコ・ウイキョウ・ナズナ・タンポポ)を練り込んだ素麺があります。

 

 

輸出品としても人気のある、日本ならではの特産品を練り込んだ素麺たち。

<お茶、酒>

緑茶の粉末や抹茶を練り込んだ素麺は、長崎県島原市、奈良県三輪市、静岡県菊川市など、素麺やお茶の名産地で作られているようです。

岩手県北上市には、桑の葉の茶粉末を使った素麺があります。

兵庫県播州は、素麺とともに日本酒の産地としても有名。清酒を加えて作った素麺は、旨みが増し、のどごしがぐっと滑らかになるそうです。

 

 

<番外編>

【お!いしい けんぶんろく】Vol.6「冬が手延べ素麺づくりに最適な理由」でご紹介した、愛媛県の五色(ごしき)素麺。

もち麦・蜜柑・梅・抹茶などを練り込んだ色とりどりの素麺が特産品となっています。

 

三代目:こうしてみると本当に多種多様な素麺があることに驚かされます。

実際に試してみて断念したもの、まだ挑戦していないものなどもあるので参考にできれば。

特に難しいのが“伸ばし”に影響を受ける糖分や酸を含んだ食材を利用するときです。

カリウムが多いものなども影響を受けるようです。

産地の方々と交流しながら、自分たちの特色を出せる素麺開発に取り組めればよいなと思います。

 

<参考サイト>

・肥後そう川×甲佐養鰻場コラボ「くまもと うなぎ麺」

https://www.47club.jp/45M-000092mvx/goods/detail/10168401/

・軽米町産業開発の公式ショッピングサイト 稗そうめん

http://www.karumaisan.jp/shop/products/detail.php?product_id=41

・ごまのオニザキ 黒胡麻そうめん

https://www.onizaki.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=24&category_id=14

・上石津の特産品 明日葉そうめん

https://ogaki-tokusanhin.jp/product/product-52/

・【のと野菜使用】中島菜手延そうめん

https://www.umai-mon.com/user/product/24470

・手延べオリーブそうめん

https://www.saegusaseimen.com/item/OSS-1/

・福岡県香春町の特産品【柿皮そうめん】ドン‼

https://kawarakanko.thebase.in/items/30030013

・阿波藍そうめん

https://gin-sato.jp/SHOP/4580280300473.html

・【イナダ有限会社】栄養が凄いと話題の”食べるイ草”を専門店で堪能してきた

https://8246renraku.net/archives/inada-igusa.html

・島原手延べ薬草麺のスープカレーそうめん

https://www.yamaichi-shop.jp/SHOP/NYK-02.html

・日本盛 手延酒そうめん

https://shop.nihonsakari.co.jp/shop/g/g05477-0-0/

 

 

 

 


 

 

② 《産地紹介》岩手県・卵麺(らんめん)

 

岩手県では、盛岡冷麺・じゃじゃ麺・わんこそばなどたくさんの種類の麺が製造販売されています。

それらに比べて全国的な知名度は高くないようですが、岩手県の名産品のひとつとして地域に根付いているのが「卵麺」で、「鶏卵素麺」ともいわれます。

県南部の奥州市江刺区周辺でよく食されているそうです。

小麦粉と塩に、新鮮な卵をふんだんに使って練り上げる素麺は、黄色でほんのり卵の風味が感じられ、水分をあまり使わないためシャキッとした歯ごたえがあり、ゆでのびしにくいのが特徴とのこと。

 

今から約300年前、松屋十蔵というキリシタン信者が遠く長崎県から岩手県へ逃れてきました。

そしてオランダ人から伝授されたという鶏卵を使った麺を「蘭麺」として売り出したのが始まりと言われています。

卵と小麦粉を合わせるのは、カステラの製法から生まれたアイデアのようです。

明治時代になり、岩手を訪れた板垣退助がこの麺を大変気に入って「蘭麺」や「鶏卵素麺」より短く分かりやすい「卵麺」という名を提案した、というエピソードが伝えられています。

 

※写真はAdobe Stock「岩手県奥州市 春と明治記念館」より

<参考サイト>

・郷土料理|ほんのり香る卵と歯ごたえがおいしい 卵めん(岩手県)

https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/753

・江刺岩谷堂 吉田製麺「卵めん」

https://www.umai-mon.com/user/collection/929

・卵めんの吉田製麺

https://ranmen.co.jp/item-detail/81000

 

 

 


 

 

③ 石井製麺所の新しい素麺への想い・これからの素麺作り

 

素麺は夏の食べ物というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、冷やしても温かくしても美味しく、一年を通して食べていただける食材です。

より多くの機会に、いろんな楽しみ方で食べていただけるよう、石井製麺所では厳選された食材を練り込んだ素麺の商品開発に積極的に取り組んでいます。

『食べて美味しいだけではなく、体にもうれしい、皆さんに喜んでいただける素麺を』

その想いで、健康に良い食材や、小豆島の特産品を練り込んだ素麺を開発しています。

 

こだわりの素麺をご紹介します。

 

<しょうどしま長命草素麺>

「1株食べると、1日長生きする」と言われるほど高い栄養価を持つとされる、小豆島の新しい健康食材「長命草」100%の粉末を練り込んでいます。

翡翠色で抹茶風味の中太麺で、温かいおだしともよく合います。

 

<楽々膳・黒>

「黒」の食材にこだわった健康麺シリーズ。

「薬膳」では黒い食べ物は冬に食べるとよいと言われているそうです。

小豆島産ひじき、香川県産きくらげ、黒ごまをそれぞれ練り込んだ素麺です。

 

<小豆島オリーブオイル素麺>

健康的なオイルとして注目される、貴重な小豆島産のオリーブオイルを生地に練り込み、表面にも塗って仕上げています

 

<レモン素麺>

瀬戸内産レモン果皮を使用。レモンの香りがふわっと広がり食欲をそそります。

 

<山芋素麺>

山芋パウダーを練り込み、もちもちツルンとした食感が特徴。

 

<蕎麦風味>

良質なそば粉と小麦粉、山芋パウダーを絶妙なブレンドで練り込み、オリーブオイルを表面に塗って仕上げています。

 

※写真は石井製麺所の手延べ麺 蕎麦風味の掛場のいちシーン

<参考サイト>

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

 

 


 

 

④ 《美味しい素麺》手延べ 小豆島オリーブオイル素麺 編

 

皆さんは「小豆島」といえば、何を連想されるでしょうか?

最近では新聞広告やテレビCMなどで多く見かけるオリーブ(オイル)だったりしませんでしょうか?

小豆島でのオリーブ栽培の始まりは約110年前に遡ります。

それから何度も栄枯盛衰を繰り返し、現在では小豆島の主要な特産品になっています。

しかしながら、小豆島内のオリーブ生産量は気候の影響や、農家さんの高齢化などもあり生産量は大きくなく、収穫も大変なご苦労があるとお聞きします。

そんな貴重な小豆島産のオリーブオイルを使用したちょっぴり贅沢な素麺です。

小豆島産のオリーブオイルを生地に練り込み、さらに表面にも塗って 仕上げた、ますます小豆島を感じていただける一品です。

健康的なオイルとして注目されるオリーブオイルは素麺との相性も良いので、よりなめらかで見た目にも美しい素麺ができます。

さっぱりとしてツルツルとした食感が楽しめる素麺です。

小豆島では5月頃に小さくて白いオリーブの花が見頃となりますので、観光にお越しの際はぜひご覧になってみてください。

 

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ小豆島オリーブオイル素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/12170333

 

 

 

 

三代目:次回のブログは4/23ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2023年3月27日 【Vol.10】麺類の美味しさを際立たせる薬味や具材について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.10

麺類の美味しさを際立たせる薬味や具材について

 

 

 

 

素麺やうどんなどの麺類は、他の食材と合わせることで美味しさがより際立ったり、栄養バランスがぐんと良くなったりします。

香りや彩りを添える薬味や、ボリュームを増して新たな味わいを生み出す具材は、まさに多種多様。

麺の種類や地域によっても好まれるものが異なり、バラエティに富んでいます。

今回は、麺類によく合う薬味や具材について、その働きや地域による違いなどをご紹介します。

 

三代目:私がお素麺を食べるときは割とシンプルなつもりですが、地域やご家庭によっても食べ方に違いがあると思います。

特に具材などは、嗜好にもよるので多種多様な感じではないでしょうか。

また、麺類全般に視野を拡げると、うどんと素麺のように太さが違うだけの麺類でも、全くといって良いほど食べ方や盛り付け方も変わってきます。

今回は、ブログの中で他産地について書き進める内に、具材について気になったので調べてみました。

皆さんのご家庭ではどのように素麺を食べられるのでしょうか?

今回のブログで食べ方のバリエーションが拡がれば幸いです。

 

 

【目次】

① 薬味の歴史とその役割

② いろいろな薬味とその働き

③ 麺の種類別、人気の薬味や具材

④ 各地でいろんな具材と食べられている素麺

⑤ 健康に役立つ具材や食べ方

⑥ 《産地紹介》宮城県・白石温麺(うーめん)

⑦ 《美味しい素麺》手延べしょうどしま長命草素麺 編

 

 


 

① 薬味の歴史とその役割

 

薬味は、素麺やうどんなどの麺料理に欠かせない名脇役。

漢方用語で、主となる薬に加える補助の薬のことを「加薬味」と呼んだのが語源と考えられています。

中国では昔から、自然界に存在するすべての動植物は健康維持や増進にとって重要な食べ物であるという「食医同源」「食薬同源」の思想がありました。

ここから生まれた「中医学」が発展して「薬膳」となり、日本でも「医食同源」として、現代でも栄養学や健康のための食事指導などにおいて参考にされているそうです。

日本では中世より薬味の概念が発展し始め、江戸時代になってから広く利用されるようになったそうです。

大根・ネギ・シソ・カラシ・ショウガ・ワサビ・山椒・ユズなどが、料理に香りや辛みを加えるために用いられていたようです。

薬味の作用としては、食欲増進・芳香を添える・風味を添える・季節やいろどりを出す・異臭をやわらげる・毒消しや防腐効果・消化を助ける、といった働きがあると言われています。

 

三代目:私は、彩りや味の変化のつもりで薬味を使っていることが大半でしたが、語源から考えても“薬”と切っても切れない考え方だったんですね。

「医食同源」と言われるように、食は体の健康を支える大きな要因なのですから、“薬味”という考え方はとても重要なんだと考えさせられました。

ちょこんと添えるネギや生姜にも意味があって、それは先人からの教えでもあると思います。

麺づくりの麺を考えるだけでなく、具材も含めたお客様の食べ方もイメージして、考えることが大切なんだと改めて思いました。

 

 

<参考サイト>

・“薬味”は“薬”?

https://sozairyoku.jp/%E2%80%9C%E8%96%AC%E5%91%B3%E2%80%9D%E3%81%AF%E2%80%9C%E8%96%AC%E2%80%9D

・薬味の歴史と夏の薬味

https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/joho/1307_joho01.html

・日本における香辛料の発展と歴史

https://voxspice.jp/spicestory/1108

・そうめんに薬味が必要な理由とは?薬味の役割をご紹介

https://delishkitchen.tv/articles/483

・そばのあいうえお「や 薬味(やくみ)」

https://www.nichimen.or.jp/know/aiueo/ya/

 

 

 


 

② いろいろな薬味とその働き

 

麺料理などによく用いられる薬味について、期待される働きをご紹介します。

 

<ネギ>

アリシンという物質が含まれ、胃腸の働きを高める、血行を良くする、新陳代謝を活発にする、疲労物質である乳酸を分解する、などの作用があるとされます。

ビタミンなども多く含まれています。

 

<ショウガ>

辛み成分ショウガオールに強い殺菌作用があり、生で食べると解毒作用も。

香り成分シオネールには食欲増進作用が期待されます。

また、胃液や唾液の分泌を促して消化を良くしたり、加熱すると新陳代謝を促して、体を温め冷えを改善すると考えられています。

 

 

<ミョウガ>

香り成分アルファピネンに、食欲増進や消化促進、抗菌作用があるとされます。

血行を良くして発汗を促したり、ホルモンバランスを整えたりする働きもあると言われています。

 

<ワサビ>

アリルイソチオシアネートという辛み成分に、抗菌・抗虫作用や、食欲増進、血栓予防、免疫力向上などの働きがあるとされます。

 

<シソ>

香り成分ぺリルアルデヒドやシアニジンに殺菌・防腐作用があり、食中毒の予防が期待できます。

胃液の分泌を促して食欲を増進させたり、神経をしずめイライラを抑えたりする働きもあるとされています。

 

<三つ葉>

クリプトテーネンという香り成分に、食欲を増進させ消化を促したり、気持ちをリラックスさせイライラを解消させたりする働きがあるとされます。

 

<ゴマ>

栄養価が高く、血中コレステロールを下げる働きのある不飽和脂肪酸や抗酸化物質も豊富に含みます。

そのままよりすりゴマにしたほうが栄養成分が吸収されやすいそうです。

 

<大根おろし>

ビタミンCやジアスターゼという消化酵素が多く含まれており、消化を助け、胃腸の働きを整える働きが期待されます。

辛み成分には、殺菌作用や臭みを消す働きもあると言われます。

 

<梅干し>

強い抗菌作用があり、食あたり予防に使われてきました。

クエン酸が豊富に含まれ、疲労回復にも期待されます。

血液をサラサラにしたり胃腸や肝臓の働きを高めるとも言われています。

 

<ユズ>

ビタミンCとクエン酸が豊富に含まれ、疲労回復に役立つとされます。

食欲増進や胃腸の働きを整える作用も期待できます。

 

<海苔>

食物繊維やビタミンB1、B2を多く含みます。

特にビタミンB1、B2は糖質を効率良くエネルギーに変えてくれるので、食欲が無いときや疲れやすいときに食べると疲労回復にも効果的。

 

三代目:麺料理ではないのですが、以前、台湾旅行で「酸菜白肉鍋」というお鍋料理を食べた時の話です。

たくさんの調味料や薬味、付け合わせが並べられていて、それを自分好みに“調合”してお鍋をいただくのですが、そのときの食べ方は同席した人それぞれでした。

食べるメニューは同じなのですが薬味で個性が出るというか、変化を付けることでそれぞれの味になるのは面白いなと感じたことがあります。

今思えば、その時の体調で食べたい味を無意識に調整していたのかも知れません。

具材を人それぞれに合わせて変えるというのは大変ですが、薬味や付け合わせなら対応できそうですよね。

素麺はそういった意味で、たくさんの方に受け入れられやすい土壌があるのかなと感じます。

 

 

<参考サイト>

・飲食店なら知っておきたい薬味の役割!効果・効能も紹介!

https://www.inshokuten.com/kitchen/magazine/47

・薬味の種類|それぞれの効能や特徴

https://www.kurashiru.com/articles/2166dab3-e54d-4d62-8b53-2a2774a5b98a

・薬味の効能と健康パワーを知っていますか?

https://story.ajinomoto.co.jp/health/004.html

・実はすごい海苔の健康効果!日本人だからこそ享受できる海苔のパワー

https://marche.onward.co.jp/shop/pages/appetizers121.aspx

 

 


 

③ 麺の種類別、人気の薬味や具材

 

素麺やうどん、ラーメンなど、麺の種類別に、どんな薬味や具材が好んで合わせられているか調べてみました。

同じ小麦粉から作られる麺でも、それぞれの個性が表れる興味深い結果となりました。

 

<素麺>

「あなたがそうめんに必ず入れる薬味はどれ?」という2021年のインターネット調査によると、トップ5は、ネギ、ショウガ、ミョウガ、ワサビ、シソという結果でした。

以下は薬味というより具材に入りそうなものですが、錦糸卵、キュウリ、納豆、シーチキン、オクラ、メカブ、トマト、明太子、などの回答もありました。

素麺に入れる具材の人気ランキングも探しましたが、見当たりませんでした。

 

 

<うどん>

少し古いですが、2013年のインターネット調査「好きなうどんの具材ランキング」では、トップ5は天ぷら・かき揚げ、油揚げ、卵、わかめ、肉となっていました。

以下、山菜、とろろ、大根おろし、とろろ昆布、もち、と続きます。

 

<ラーメン>

「ラーメンの具材で好きなものを選んでください(複数回答可)」という2017年のインターネット調査によると、トップ5はチャーシュー、煮玉子、ネギ、メンマ、もやし、となっていました。以下、炒め野菜、海苔、ワンタン、キクラゲ、肉味噌とのことです。

 

<パスタ>

具材というとバリエーションが豊富すぎるのでしょうか、人気の具材ランキングは見つけられませんでしたが、「一番好きなパスタの味」という2022年のインターネット調査がありました。

トップ5はたらこ・明太子、カルボナーラ、ボロネーゼ、ポモドーロ・トマトソース、ペペロンチーノとなっています。

以下、ジェノベーゼ、ナポリタン、ミートソース、和風パスタ、アラビアータ、と続きます。

 

 

三代目:ラーメンと素麺は形状だけでなく製法や原料も異なりますが、素麺とうどんは全く同じ原料で太さが違うだけ。

薬味はほとんど同じでも、うどんは盛り付けの具材を色々と選ぶことで“食事”として成立しているような気がします。

最近では、素麺の専門店が増えていると言われますが、そちらでは“食事”としての素麺を味わえるようなメニューやレシピの工夫があるようです。

石井製麺所では白い素麺だけでなく毎日食べていただけるような、食べ続けるからには体に負担が少なく栄養価の良いものになればと…例えば『長命草素麺』のように健康面へ配慮した素麺もご用意しております。

そういう意味では、毎日の食事にお楽しみいただけるような具材や食べ方を合わせたご提案も考えていきたいと思います。

 

<参考サイト>

・「そうめんに必ず入れる薬味」ランキングTOP34!第1位は「ネギ」に決定!

https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/364344/

・好きなうどんの具材ランキング 1位は「天ぷら、かき揚げ」で61%

https://news.nifty.com/article/item/neta/12225-130515002272/

・ラーメンの具材、トップに君臨するのは!?

https://www.kinrei.com/fan/news/kokumen/201801/15095535.php

・好きなパスタの味ランキングTOP15!千票以上から選ばれた人気の種類は?

https://macaro-ni.jp/108527

 

 

 


 

④ 各地でいろんな具材と食べられている素麺

 

素麺の具材について調べてみると、地域ごとにさまざまな具材や味付けで食べられていることが分かりました。

ぜひ、素麺アレンジの参考にしてみてください。

 

<具材いろいろ>

・冷やし中華風

関西では、キュウリ、錦糸卵、ハム、カニカマなどを素麺のうえにトッピングして食べる習慣があります。

 

・ナスそうめん

石川県金沢市では、ナスと素麺を一緒にだしで煮て、醤油や味噌で味付けする郷土料理があります。

また香川県では、ナスを油で炒めて砂糖と醬油で味付けしたものに、ゆでた素麺を加えます。

どちらも家庭料理として一般的に食べられているようです。

 

・サバそうめん

甘辛いだしで煮たサバの切り身を、その煮汁にからませた素麺に乗せる、滋賀県長浜市の郷土料理。

ご当地グルメとして飲食店でも提供されています。

かつて日本海から京都を結ぶ「鯖街道」と呼ばれるルートがあり、サバが入手しやすかったそうです。

 

・鯛そうめん

タイをのせた素麺は、お祝いの料理として供される地域が多く見られ、「鯛麺」とも呼ばれています。

香川県では、ゆでた素麺を大皿に盛り、その上にタイの姿煮をのせます。

広島県や愛媛県の瀬戸内海沿岸地域ではさらに、木の芽やキュウリ、錦糸卵、シイタケの煮たものなどを添えます。

愛媛県松山市では五色素麺を用いることが多いそうです。

熊本県では、上益城地域でタイの姿煮をのせる形のほか、天草地域ではタイのアラを炊いて、煮汁を素麺にかけるそうです。

徳島県牟岐町には、れんこ鯛を甘辛く煮付け、その煮汁で素麺を食す「島そうめん」と呼ばれる料理があります。

素麺は錦糸卵やかまぼこ、ネギなどで飾り付け。れんこ鯛とともにお祝いごとの席で供されます。

 

<味付けにひと工夫>

・酢味噌そうめん

静岡県や愛知県の一部では、めんつゆではなく酢味噌を素麺にかける食べ方があるそうです。

赤味噌に、酢、みりん、砂糖を混ぜた酢味噌のさっぱりとした酸味が、食欲の落ちやすい夏にぴったりです。

 

・白エビ素干だしのそうめん

富山県の名産品である白エビは夏が旬ですが、素干しにすることで長期保存が可能になります。

白エビの素干しでとった、旨みが凝縮されただしに、醤油や砂糖を加えてつゆをつくります。

 

<あたたかくして>

・にゅうめん

素麺発祥の地とされる奈良県や、三大産地のひとつである兵庫県播磨地方では、素麺は夏は冷やして、冬はあたたかいつゆに入れて「にゅうめん」として、と一年を通して食されています。

・ばち汁

兵庫県播磨地方や岡山県浅口地方には、手延べ素麺をつくる過程で出る麺の端の部分を使った汁ものがあります。三味線のばちに似た形状から「ばち」と呼ばれ、素麺よりコシが強く塩気が多いのが特徴。野菜をだしで煮てばちを入れ、醤油で味をととのえる「ばち汁」が、家庭や給食で食されています。

 

<炒めて>

・油ゾーメン

鹿児島県奄美地域の郷土料理で、豚肉と野菜、素麺を炒めたもの。

沖縄の「そうめんチャンプルー」に似ていますが、炒める時にだし汁を入れるためのど越しが良いのが特徴です。

手軽に作れるので家庭で食べられているほか、飲食店でも提供されています。

 

・ソーミンタシヤー

素麺と野菜やツナなどを、塩や醬油で炒めてシンプルに仕上げる、沖縄県の家庭料理。

ちなみによく知られている「チャンプルー」は、炒めた豆腐が入るものを指すそうです。

 

 

<参考サイト>

・そうめんの薬味や、つけつゆは関東と関西では違うものなの?

https://kenkoubaizou.com/k2k0000282-post/

・そうめんの地域別の食べ方まとめ!飽きずに美味しく食べる工夫も公開

https://shop.ninben.co.jp/blog/?p=3799

・地域別そうめんの食べ方ランキングTOP10!みんなが試したいアレンジは?

https://macaro-ni.jp/111998

・うちの郷土料理 種類検索 麺料理

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/type/noodles.html

 


 

⑤ 健康に役立つ具材や食べ方

 

いろんな具材と相性の良い素麺を、毎日の食生活でもっと上手に活用してみませんか?健康に役立つ具材や食べ方を、調べてみました。

<消化を促進する>

おなかの調子が良くないなど、胃に負担の少ない食事を心がけたいときに。素麺は短い時間で消化できる食材です。

100gあたりの消化時間は約2時間。同量の白米やうどん、そばは約2時間30分、パンは約3時間だそうです。

柔らかくて脂質や刺激の少ない素麺は、胃にやさしい食べ物といえます。

あたたかくして食べるとより良いようです。

合わせる具材としては、繊維のやわらかい茹で野菜、例えば、大根、タマネギ、キャベツなど。

また、豆腐や鶏ささみ、大根おろし、梅干しなどもおすすめです。

 

<糖質や脂質の吸収を穏やかにする>

ダイエット中など、糖質や脂質の取りすぎが気になる方に。

素麺は、うどんやパスタ、中華麺と比べると、1食あたり10gほど糖質量が少ないそうです。

合わせる具材としては、食物繊維が豊富なものがおすすめです。

具体的には、野菜、きのこ類、海藻類、豆類など。

食物繊維は、消化吸収を穏やかにして血糖値の上昇を抑えるため、糖質の吸収を抑える働きがあるそうです。

 

<塩分の排出を促す>

素麺はつくる過程で塩を使いますが、食べるときにゆでる、また水洗いすることにより、塩分の多くは抜けます(【お!いしい けんぶんろく】Vol.9「人体にも手延べ素麺にとっても欠かせない塩について」参照)。

塩分の取り過ぎが気になる方は、めんつゆの塩分量に注意が必要です。

出汁を強めに利かせたり、薬味を工夫したりと味に変化を持たせることで、体への負担を減らして美味しく召し上がっていただけます。

また、カリウムが豊富に含まれる食材を合わせてとるとよいでしょう。

具体的には、アボカド、ホウレンソウ、小松菜、枝豆、ワカメ、海苔など。長命草にも多く含まれます。

カリウムには塩分の排出を促す働きがあります。

 

三代目:もっとライフスタイルに合わせた素麺・麺の開発が必要だなと感じました。

 

 

<参考サイト>

・体調不良の時におすすめ!消化に良い食材「そうめん」

https://www.handamen.com/blog/somen_digestion/

・そうめんは消化に良い食べ物?消化時間の比較と消化を良くするおすすめレシピ

https://gourmet-note.jp/posts/19180

・【管理栄養士監修】糖質の吸収を抑える夏の麺類レシピ!

https://sixthsenselab.jp/puravida/articles/1808_01/

・そうめんは塩分が多い?すぐに使える塩分を摂りすぎない減塩レシピ

https://dime.jp/genre/1405923/

 

 

 


 

⑥ 《産地紹介》宮城県・白石温麺(うーめん)

 

宮城県白石市の特産品である「温麺(うーめん)」は素麺の一種ですが、油を使わないでつくるのが特徴です。

一般的な手延べ素麺は、麺と麺がくっついたり乾燥したりするのを防ぐため、油を塗っています。

白石温麺は油を使わず、長さも9cmと短いことから、消化が良くて食べやすいと言われています。

太さは素麺より0.3㎜ほど太めで、食べごたえがあります。

白石温麺の歴史は約400年前、江戸時代にさかのぼります。

白石の城下町にいた鈴木味右衛門という青年は、胃腸が弱く病弱な父親が元気になる食べ物を日々探し回っていたそうです。

ある日彼は、旅の僧侶から油を使わず麺を作る方法を教えられ、苦心の末つくった麺を温めて父に食べさせました。

その美味しさと食べやすさから食が進み、父親は回復したそうです。

この麺を献上され、誕生秘話を聞いた白石城の城主・片倉小十郎が、味右衛門の父への想いに感銘を受け、「人を思いやる温かい心を持つ麺」という意味を込めてこの麺を「温麺」と名付けたと言われています。

さっぱりと上品な味わいで、仙台藩主の伊達家から大名・公家への贈答にも用いられたそうです。

白石地方は、蔵王連峰から流れる白石川の清流や温和で乾燥した気候に恵まれ、小麦粉が豊富に採れることから、良質な温麺の産地となりました。

温麺は一年を通して食されており、醤油や味噌でつくった汁につけて食べるのが一般的だそうです。

その扱いやすさと食べやすさから、離乳食や高齢の方の食事にも重宝されているとのことです。

 

 

<参考サイト>

・白石うーめん(温麺) の優しいおいしさ|歴史と名店をご紹介

https://shiroishi.ne.jp/feature/1802

・白石温麺|歴史が育んだ伝統の味

https://shiroishi.ne.jp/feature/4256

・白石うーめん(温麺) の歴史

http://www.u-men.co.jp/shiroishi_u-men/

・うーめん(白石温麺)とは?そうめんとの違いや食べ方をご紹介

https://delishkitchen.tv/articles/1493

・Wikipedia「温麺」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A9%E9%BA%BA

 

 

 


 

⑦ 《美味しい素麺》手延べしょうどしま長命草素麺 編

 

「素麺で始める 新しい健康習慣」をコンセプトに開発した健康麺です。
大切なお客様のために、からだに嬉しい素麺を作りたい。
そう考えていたときに出会ったのが「しょうどしま長命草」でした。
「1株食べると、1日長生きする」と言われるほど、高い栄養価と、強い生命力を持つ長命草。
小豆島の特産品である醤油を製造するときにできる醤油粕を肥料として、無農薬で栽培された「しょうどしま長命草」は、小豆島生まれの新しい健康野菜です。

石井製麺所では手延べ製法にこだわり、小豆島で初めて、「手延べ製法による長命草素麺」を商品化しました。
無添加・無着色にもこだわり、安心してお召し上がりいただける、ツルツル食感が自慢の一品です。

石井製麺所では、「しょうどしま長命草」栽培を応援しています。

石井製麺所の所有する畑の一部を「しょうどしま長命草」栽培に活用いただき、一緒に島の食について考えています。

大切な方への贈り物にピッタリなお素麺です。

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べしょうどしま長命草素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/29007893

 

 

 

 

三代目:次回のブログは4/10ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2023年3月13日 【Vol.9】人体にも手延べ素麺にとっても欠かせない塩について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.9

人体にも手延べ素麺にとっても欠かせない『塩』について

 

 

 

 

素麺は、小麦粉を塩水で練り合わせて作ります。

調べると小麦粉を使った麺づくりに塩が用いられるようになった歴史は古く、平安時代中期の書物「延喜式」には、素麺のルーツとされる「索餅」の材料として塩の記述が見られます。

今回は、人体にも不可欠な塩の働きやその歴史、手延べ素麺における塩の役割などをご紹介します。

 

三代目:石井製麺所では、午前3時30分頃から練り作業を行っています。

天候や温度・湿度を観て、小麦粉と食塩水の最適な配合量を量り、30分~40分ほど丁寧に練り合わせます。

この工程をしっかりおこなわないと、この後のすべての工程が台無しになってしまいます。

ただ小麦粉に食塩水を加えるのではなく、上手く混ざるように食塩水を流し込む場所とタイミングを選んでいます。

こまめに手を加えながら、グルテンがしっかり形成された麺生地をつくるためにムラなく、無駄なく練り上げます。

 

 

【目次】

① 人体に不可欠な塩の働き

② 手延べ素麺の原料としての塩の役割

③ 素麺を食べても塩分取り過ぎにならない理由

④ 奥が深い塩の歴史《世界編》

⑤ 知っていそうで知らない?!塩の歴史《日本編》

⑥ 《産地紹介》三重県・大矢知(おおやち)素麺

⑦ 《美味しい素麺》小豆島便り〈冬〉(ギフトセット) 編

 

 


 

① 人体に不可欠な塩の働き

 

塩は、人間が生きていくうえで大切な働きをしています。

体内の塩分量は、大人で体重の0.3~0.4%、子供では約0.2%とされています。

例えば体重60kgの人の体内の塩分量は約200gということになります。

塩は体内でナトリウムイオンと塩化物イオンに分かれて存在しており、いろいろなシステムの働きを守り、維持する役割を果たしています。

 

<細胞を正常に保つ>

人間の体を構成する細胞は、細胞外液という液に囲まれています。

塩はイオンの状態で細胞外液に多く含まれ、細胞外液の量を維持しています。

このことにより、全身の細胞に酸素や栄養分が運ばれたり、二酸化炭素や老廃物が肺や腎臓に運ばれ排出されたりします。

また、細胞外液の濃度を調整し、バランスを一定に保つことで、細胞の働きを支えています。

 

<消化や吸収を助ける>

体内の塩化物イオンは胃酸の主成分となり、胃で食べ物を殺菌したり、消化を助けたりしています。

ナトリウムイオンは小腸で、アミノ酸やブドウ糖などの吸収を助けています。

 

<情報を脳や体に伝える>

神経細胞は、ものを触ったときなどの刺激を脳に伝える、脳から体を動かすように筋肉に命令を伝える、などの働きをしています。

神経細胞が刺激や命令を伝えるときに必要となるのがナトリウムイオンです。

 

以前は塩の取り過ぎが高血圧の原因と考えられていましたが、近年では、塩の摂取と血圧の上昇は必ずしも結びつかないことが明らかになってきているそうです。

 

三代目:私、実は3月の前半に体調を崩して入院しておりました。

術後経過も順調で、復帰して現在は元気にしております。

いわゆる病院食というと、「味気がない」といったイメージがあり、「手術後は重湯だった」というお話も聞いたことがありました。

もちろん、病気の内容や重さによって食事の内容は変わるのだと思いますが、意外にも手術翌朝の朝食から「ふりかけ」が付いていたり、栄養バランスが考えられた食事ながらも、ちゃんと塩気があるものが出されました。

今になって振り返ると、この塩気がとても美味しく、ありがたく感じられました。

「傷ついた体に染み渡る」といった感じでしょうか。なんとなくですが、回復しようとする体が塩気を求めていたように思います。

どうやら「塩気がある食事が出るようになると、不思議と食欲が湧いてきておかわりが欲しくなった」という患者さんもいらっしゃるようです。

食欲がわいてきたからではなく、塩気を取ると美味しく感じ、おかわりが欲しくなったみたいですね。

人間は塩味の刺激により、美味しいと感じる正常な味覚が保たれるんでしょうね。

大学生の時分にも、アーチェリー部で活動をしていたときは、熱中症や脱水症状を起こさないように、塩分(ミネラル分)補給はとても気をつけていました。

激しい発汗や下痢などで体内の塩分が足りなくなると、脱水症状、血圧低下、立ち眩み、倦怠感、精神不安定、眠気、脱力感など、さまざまな症状が現れるそうですから、闇雲に塩分を拒否するのでは無く、上手に向き合っていく必要がありますね。

 

 

<参考サイト>

・塩と健康の関係

https://www.nihonkaisui.co.jp/small_customer/learning_salt/health

・体内の塩

https://www.shiojigyo.com/siohyakka/about/human/inside.html

・塩とからだの大事な関係

https://www.shiotokurashi.com/life

 

 


 

② 手延べ素麺の原料としての塩の役割

 

素麺やうどん、ひやむぎなどの麺は、小麦粉と水だけではなく塩を加えて作られます。

塩を入れる理由としては、科学的根拠のあるものがいくつかあります。先人達のアイデアや知恵は本当に素晴らしいものです。

この手延べ素麺作りの叡智を活かし、さらなる美味しい素麺作りを続けたいものです。

 

<グルテンを引き締める>

麺のコシの元となるグルテンは、小麦粉のたんぱく質が水と合わさることで形成されます。

生地をこねて引きのばすことにより、グルテンが何層にも重なった地層のように組織されます。

塩には、このグルテンを強く引き締める働きがあります。

夏は気温が高く、生地がだれやすくなるので塩を多くし、逆に冬は生地が硬くなるので塩を減らす、といったように、季節や天候などにより塩分濃度の微調整が必要です。

まさに、良い塩梅が美味しい素麺に不可欠なのです。

 

<酵素の活性を抑制する>

塩が小麦粉に含まれるたんぱく質分解酵素の働きを抑えることで、生地がじっくり熟成され、より弾力が増します。

 

<保存期間を長くする>

水分活性が小さくなるため雑菌が繁殖しにくくなり、保存性が向上します。

 

<乾燥を防ぐ>

塩には吸水性があり、水分を蓄えようとします。

熟成を繰り返しながら麺を細く延ばしていく手延べ製法において、塩は急激な乾燥によるひび割れを防ぎ、表面をなめらかに仕上げるのに役立ちます

 

<ゆで時間を短縮する>

ゆでる時に、麺に含まれている塩がお湯の中に溶けだし、お湯が麺の中に入り込んで、でんぷんが糊化します。

塩を多く含んでいれば、それだけ早くゆで上がることになります。

 

<味を良くする>

ゆでることで塩分の多くは溶け出しますが、わずかに残った塩味が、麺の風味や旨みを引き立てます。

 

三代目:今、新麺開発を行っているのですが、塩の重要性を特に感じます。

麺の伸びをよくするのにも、止めるのも塩加減ひとつです。

入院中は、新麺開発を進めることができず、体がウズウズしていましたが、ここはグッと我慢の日々でした。

新麺開発のための理論を整理するために色々とまとめ直していましたが、やはり塩加減というのが肝心で、これから暖かくなるにつれ、また塩分量も変化させないといけません。

“麺は生き物”と感じることが多々ありますが、塩によってコントロールする技術や経験を積み、麺づくりと上手に付き合っていきたいものです。

そのためにも今回の『塩』というテーマは、今の時分にピッタリなのだと感じます。

 

 

新麺を試作で伸ばす様子。

今回は、想像以上に伸びてしまい、塩加減の難しさを痛感しました。

これはこれで美味しく食べましたが、皆さまにお届けするのはもう少し先になりそうです。

 

<参考サイト>

・うどんに塩を入れる理由

https://www.flour.co.jp/news/article/111/

・手延べそうめん、うどんの副原料

https://www.shimabara-soumen.com/article/14245881.html

・うどんと塩

https://www.nichimen.or.jp/know/zatsugaku/19/

 

 


 

③ 素麺を食べても塩分取り過ぎにならない理由

 

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩摂取の目標量(食塩相当量として)は、成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。

文部科学省の食品成分データベースによると、手延べ素麺(乾麺)の1人前100gに含まれる塩分の量は5.8gですが、ゆでるとお湯に溶けだすため、塩分量は0.3gにまで減少します。

さらに水洗いすることでも塩分が抜けます

このように、素麺はけして塩分の多い食品ではありません。

 

 

三代目:塩分の取り過ぎが気になる方は、たっぷりのお湯でゆでてしっかり水洗いすることを心掛けてみてください。それだけでも随分変わります。

また、一番肝心なのは、食べる際にめんつゆの塩分量に気を付けられることだと思います。

出汁を強めに利かせたり、薬味を工夫したり味に変化を持たせることで美味しく、ぐっと体に負担が少なく召し上がっていただけます。

最近ではオリーブオイルを数滴垂らして召し上がっていただくこともおすすめしています。

特に私がおすすめしているのは、和風出汁に合うオリーブオイルです。

コクが出て、清々しい香りがして、つるんっと召し上がっていただけますよ。ぜひお試しください。

 

 

<参考サイト>

・厚生労働省 e-ヘルスネット「ナトリウム」

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-024.html#:~:text=%E3%80%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E9%A3%9F%E4%BA%8B%E6%91%82%E5%8F%96,%E6%9C%AA%E6%BA%80%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

・文部科学省 食品成分データベース

https://fooddb.mext.go.jp/search.html

・そうめんは塩分が多い?すぐに使える塩分を摂りすぎない減塩レシピ

https://dime.jp/genre/1405923/

・「そうめん」の塩分量はどれくらい?管理栄養士が教える減塩のコツ3つ

https://macaro-ni.jp/109133?page=2

 

 


 

④ 奥が深い塩の歴史《世界編》

 

地球の表面積の70%は海で、海水には塩が約3%の濃度で溶けています。

人類は大昔から、生活に欠かせない塩を手に入れるため、各地でそれぞれの環境に応じてさまざまな製塩を行ってきました。

現在、世界中で1年間に約1億8千万トンの塩が生産され、そのうちの約4分の1が海水から、残りは岩塩や塩湖などから採られているそうです。

古代文明の塩の歴史について、記録を記したものがあったので3つの時代についてご紹介します。

 

<古代中国>

山西省運城市の運城塩湖では、紀元前6000年には製塩所ができ、湖面に浮かぶ塩の結晶を採っていたとされています。

紀元前450年頃には、塩を煮詰めるために鉄鍋を使ったという記録が残っているそうです。塩づくりに鉄を使ったことが分かる最初の資料と考えられています。

唐の時代、塩の製造や販売は国が取りしきっており、王朝は財政状況に合わせて塩の値段を操作することで、万里の長城の建造費を捻出することができたと言われています。

 

<古代ローマ>

ローマ帝国では、塩は誰にでも与えられるべき、多くの人に行きわたらせたいものと考えられており、庶民の食卓にも塩が置かれていたそうです。

イタリアやローマから広がる領土には多くの製塩所がつくられ、その周辺に都市が築かれました。

塩を各地に運ぶためにつくられた「塩の道」が世界へと広がり、ローマ勢力はその勢力を拡大していったとされます。

給料を意味する「サラリー」、兵士を意味する「ソルジャー」という言葉は、ラテン語で塩を意味する「サル」が由来とされています。

 

<古代エジプト>

古代エジプトでは、ナイル川の先に広がるアフリカの砂漠の干上がった湖から塩を入手することが容易だったようです。

塩を調味料の材料にしたり、肉や魚、野菜を塩漬けにしたりしていたという記録が、パピルスや壁画で残っているとのことです。

葬儀のお供え物として、塩漬けの魚と食卓塩入れがあったという話もあります。

 

※写真はAdobe Stock「Pamukkale, natural pool with blue water, Turkey」より

<参考サイト>

・世界の塩・日本の塩

https://www.tabashio.jp/collection/salt/s4/index.html

・塩の歴史

https://www.shionavi.com/salt/history

 

 


 

⑤ 知っていそうで知らない?!塩の歴史《日本編》

 

日本で塩づくりが始まったのは、縄文時代の終わり頃と考えられているそうです。

狩猟生活を送っている時代は、海から取れる魚貝類には塩味がついており、動物の肉にも塩分が含まれているため、人体はそれほど塩分を必要としなかったようです。

稲作をはじめとした農耕生活に変わり、食生活が穀物主体のものになると、ナトリウム不足になりがちなため、塩分を摂取する必要が生じてきたと言われます。

日本は岩塩などの塩資源に恵まれておらず、多雨多湿のため天日だけで塩を作ることも難しく、海水を煮詰めて塩の結晶を取り出すしかなかったようで、それぞれの時代で知恵と工夫を凝らした製塩法が生み出されたようです。

四方を海に囲まれた日本は簡単に塩が採れると考えてしまいますが、岩塩などから塩が採れる国と比べ、人力で海水をくみ上げたり、海水を煮詰めたり、精製も必要で時間も手間も掛かることから、日本で塩は長い間、大変貴重なものだったということがうかがえます。

以下に、日本での古来からの塩の製法を調べてみました。

 

<縄文・弥生時代>

海水をそのまま煮詰める「直煮(じきに)製塩」。全国各地で、製塩用の土器が出土しているそうです。

煮詰める途中で土器が割れるなど、一筋縄ではいかなかったと想像されます。

 

<弥生時代>

ホンダワラなどの海藻を積み重ねた上から、海水をかけては乾かす作業を繰り返していたようです。

塩の結晶が付いた海藻を焼き、できた灰を釜に入れて海水を加え濃い塩水にし、その上澄みを煮詰めて塩をつくる「藻塩焼(もしおやき)製塩」を行っていたとされます。

海藻は乾燥しにくく燃えにくいので少しの塩しか採れなかったそうです。

 

<室町時代中期>

「揚浜式(あげはましき)塩田製塩」が行われるようになりました。

粘土板の上に砂を敷き詰め、水が染み込まないように固めた塩田に、人力で汲み上げた海水を繰り返しまいて天日乾燥させ、砂に塩分を付着させます。

砂が乾いたら海水で洗い流してかん水を採り、釜屋と呼ばれる小屋で煮詰めて製塩をおこなったようです。

 

<江戸時代>

潮の干満差を利用して塩田に海水を引き込み、毛細管現象によって砂を湿らせる「入浜式(いりはましき)塩田製塩」が行われ、海水を汲み上げる労力が要らなくなったそうです。

それ以外の作業は「揚浜式塩田」と同様でした。

瀬戸内海沿岸の10カ国(長門、周防、安芸、備前、備中、備後、播磨、伊予、讃岐、阿波(現在の兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県))を中心に大規模な「入浜式塩田」が築造され、「十州塩田」と呼ばれました。

「入浜式塩田」という方法は、塩の干満差が大きい瀬戸内海沿岸で開発・発展してきたとされ、現在でも塩のメーカーが瀬戸内海沿岸に多いのは、ここに由来しているそうです。

昭和30年頃までの約400年にわたり、日本独特の製塩法として盛んに行われたそうです。

 

<1953年~1971年>

昭和30年頃から「流下式枝条架併用(りゅうかしきしじょうかへいよう)塩田製塩」が主流となりました。

ポンプで汲み上げた海水を、緩やかな傾斜をつけた塩田に流し、水分を蒸発させて濃い海水にします。

これを竹の枝を組んだ「枝条架」の上からしたたらせ、太陽と風で水分を飛ばしてさらに濃縮させ、煮詰めて塩をつくります。

これまでの「入浜式塩田」と比べ、生産量は2.5~3倍に増加し、労力は約10分の1 になったそうです。

 

<1972年~>

イオンの性質を利用して海水中の塩分を集める「イオン交換膜製塩」に、全面的に切り替えられました。

塩の主成分・塩化ナトリウム(NaCl)は、海水中では電気を帯びたイオン(Na+とCl-)になっています。

陽イオンだけを通す陽イオン交換膜と、陰イオンだけを通す陰イオン交換膜を交互に並べ、電気を流すことで、濃い(Na+とCl-が多い)塩水と、薄い(少ない)塩水ができます。

こうしてできた濃い塩水を煮詰めて塩が作られています。

「イオン交換膜」による製塩法が開発されるまで、日本では実に1000年以上も塩田による製塩が続いてきたのです。

 

<1997年~>

1905年から「塩専売法」という法律のもと、塩の製造・販売は国により管理されてきました

1997年、新しい法律に変わったことで「イオン交換膜製法」以外でも塩をつくることができるようになりました。

2002年には塩の製造・輸入・流通が完全に自由化されたことで、塩製造者が増え、様々な方法で塩づくりが行なわれています。

 

三代目:塩が大変貴重だったということから、手延べ素麺作りが発達したのは、塩が比較的身近にあった海に近いエリアであるのが納得できます。

まあ、海に囲まれている日本ですから海に面していること自体は珍しくも無いのでしょうが、海に面していない奈良県桜井市の三輪素麺が発祥となったのは、少し不思議な感じがしますね。この辺は、機会があればまた調べてみたいと思います。

 

※写真はPhotoAC「香川県宇多津町 うたづ臨海公園にある復元塩田」より

<参考サイト>

・日本の塩 世界の塩

http://www.tokyosalt.co.jp/woldsolt

・世界の塩造り、日本の塩造り

https://www.nihonkaisui.co.jp/small_customer/learning_salt/Japanese_salt

・日本の塩づくりの歴史

https://www.shiojigyo.com/siohyakka/made/history.html

・日本の塩つくりの歴史

https://www.hakatanoshio.co.jp/salt/history/

・株式会社天塩「塩とは」

https://www.amashio.co.jp/shio/#h-anker2

 

 


 

⑥ 《産地紹介》三重県・大矢知(おおやち)素麺

 

大矢知素麺は、三重県四日市市大矢知地区で作られる素麺です。

今から約200年前の江戸時代末期、1人の旅の僧侶が大矢知の農家に一夜の宿を請い、人々の親切なもてなしに大変喜んで、そのお礼として素麵の作り方を授けたのがその始まりとされています。

 

朝明川の清流と、鈴鹿おろしと呼ばれる乾燥した北西の季節風という気候風土に加え、北勢地域が小麦の産地であったことなど、素麺づくりに適したこともあり、農閑期である冬の副業として、素麺づくりが盛んになったと言われています。

 

明治時代には近代的な手延べ製法が伝わり、昭和初期の最盛期には生産者が300軒を超え、手延べ製法を用いてひやむぎやきしめん、うどんも生産されるようになったそうです。

機械生産への移行などにより生産者は急速に減少し、現在は10件ほどの事業者が伝統的な手延べ製麺の技術をつないでいるとのことです。

 

大矢知素麺は少し太めの麺で、手延べならではの強いコシやなめらかな舌触り、歯切れの良さが特徴です。

農林水産省の統計(平成21年)によると、手延べ素麺の都道府県別生産量において、三重県は全国第9位となっています。

 

 

<参考サイト>

・Wikipedia「大矢知素麺」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%9F%A2%E7%9F%A5%E7%B4%A0%E9%BA%BA

・四日市市広報2022年2月上旬号

https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1643956619284/simple/202202joujun0205.pdf

・大矢知手延べそうめんの歴史

http://soumen-guide.net/archives/140

・大矢知手延べそうめんの特徴

http://soumen-guide.net/archives/143

・乾めん類の都道府県別生産量

https://www.shimabara-soumen.com/article/14800426.html

 

 


 

⑦ 《美味しい素麺》小豆島便り〈冬〉(ギフトセット) 編

 

小豆島民にとって“馴染み深い品々”を集めました。

小豆島には手延べそうめんのほかにも、 醤油やオリーブといった歴史ある食品産業があります。

当店自慢のそうめん・うどんと、 小豆島を代表する食品をセットでお届けします。

数ある醤油蔵、オリーブオイルメーカーのなかでも、 古くから島民の食卓に欠かせない二品を選びました。

濃縮タイプで大きめサイズの万能つゆと、 さらっとクセのない味わいのオリーブオイルは、 色々な料理にお使いいただけます。

本文でも書いたように、素麺に含まれる塩分は茹でたり、水ですすいだりしている内に自然と流れ落ちていきますが、めんつゆなどに含まれる塩分が多いと結局同じことになってしまいます。

山芋の粉を練り込んだ「手延べ山芋素麺」や「手延べオリーブオイル素麺」など、普通の素麺とはまた違った味わいやお料理にお使いいただける素麺をセットにしています。

ですから、濃く味付けしたり濃いつゆにつけたりしなくても美味しく召し上がっていただけるのではないでしょうか。

また、石井製麺所の素麺を美味しく召し上がっていただくのにおすすめなつゆ「マルキンデラックスつゆ」もセットにしています。

6倍濃縮タイプなので、塩分が気になる方は少し薄めるなどお好みの濃度でお召し上がりいただけます。

さらに、オリーブオイルもセットしていますので、めんつゆに少し垂らしてお召し上がりいただければ、コクが出て美味しくなると思います。

石井製麺所の人気の素麺とおすすめ商品をセットにしたギフトセットですので、ご自宅用はもちろん、大切な方への贈り物にいかがでしょうか。

春先のお祝い事にもピッタリですよ。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《小豆島便り<冬>》 https://141seimen.thebase.in/items/55454413

 

 

 

 

 

三代目:次回のブログは3/27ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2023年2月26日 【Vol.8】小豆島手延べ素麺ならではのごま油について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.8

小豆島手延べ素麺ならではの『ごま油』について

 

 

 

 

「手延べ素麺」とは一般的に、小麦粉に食塩と水を混ぜこねて生地を作り、食用植物油を塗りながら手を使って細く伸ばし麺に仕上げたもので、その太さにより素麺、ひやむぎ、うどんなどと規定されています(お!いしい けんぶんろく】 Vol.4「素麺の規格は太さにより決まっている」参照

今回のブログでは、手延べ素麺づくりの工程では欠かせない食用植物油、今回は小豆島独自とも言える『ごま油』について掘り下げてみたいと思います。

なぜ小豆島だけで素麺づくりにごま油が使われるようになったのか…実は、はっきりしたことは分かっていないそうです。

ですが、美味しさや機能性の面で多くのメリットがあり、ごま油を使うことは理にかなっていると言えます。

今回は、ごま油の歴史や栄養価、素麺に適している理由などについてご紹介します。

 

三代目:昨年12月、小豆島土庄町にあるごま油で有名な『かどや製油』様へ工場見学に行ってきました。

圧倒的な国内シェアを誇り、海外への輸出も積極的に行うお会社様ですから、緊張して伺ったのですがご対応頂いたご担当者様はじめ、研究部門のご担当者様含め多くの方にお迎えいただき、アットホームな雰囲気で一気に和んでしまいました。

工場で働くほとんどの方が小豆島ご出身とのことで、とても身近にも感じました。

恥ずかしながら、そういったことが全く分かっていませんでした。

ですが、今回の訪問を通じて『ごま油』の良さや、その理にかなった小豆島手延べ素麺の美味しさの秘訣などに触れることができたと思います。

『かどや製油』様へのリスペクトと感謝の気持ちを込めて、色々と調べてみましたので、よければ皆さまもご一緒に『ごま油』の魅力にお付き合いください。

 

今回、快く訪問を受け入れてくださった『かどや製油』の皆さまです。

 

【目次】

① 古代文明の時代から重用されてきた『ごま』と『ごま油』

② 日本で奈良時代から使われている『ごま油』

③ 『ごま油』の栄養と健康や美容への効果

④ 素麺作りに『ごま油』を使うメリットとは

⑤ 『かどや製油』の『ごま油』について

⑥ 《産地紹介》愛知県・和泉素麺

⑦ 《美味しい素麺》手延べ素麺 太麺 編

 

 


 

① 古代文明の時代から重用されてきた『ごま』と『ごま油』

 

『ごま』はアフリカのサバンナ地帯が原産地とされています。今から約6000年前、アフリカの人々が原生の『ごま』を食用に改良したのが始まりで、そこから中東やヨーロッパに伝わり、さらにシルクロードを経由して、中国や日本に伝来したと考えられています。

 

古代エジプトでは、搾った『ごま油』を灯火や香料などにするほか、卵や蜂蜜と合わせて滋養強壮の妙薬として使っていたそうです。

あのクレオパトラがボディオイルとして愛用していたという説も。

またミイラを保存するための防腐剤として活用されたという記述もあるそうです。

 

世界最古の文明であるメソポタミアでは、天地創造の神話において、神が人間の世界を作る時、ごま酒を飲んだと伝えられているそうです。

『ごま』は、菓子、軟膏、儀式用の燈明など、さまざまな場面で利用されていたとのこと。

粘土板に『ごま』と銀貨の交換レートが記載されていた記録も残っているそうです。

 

2500年ほど前のギリシャでは、医学の父と呼ばれるヒポクラテスの書に、『ごま』が薬用として利用されていた記録があるそうです。

 

インダス文明を代表するモヘンジョダロ遺跡やハラッパ遺跡でも、『ごま』が多数出土しています。

代表的な利用方法として、人類最古の医学といわれる健康法「アーユルヴェーダ」では、『ごま油』が薬剤として用いられるそうです。

 

中国では、紀元前3000年頃の浙江良渚遺跡から『ごま』が出土しているとのことです。

世界最古と言われる医薬書「神農本草経」には、黒ごまは「気力を増し、脳髄を補い、飢えず、老いず、寿を増す」不老不死の薬効があると記されているとのこと。

宋の時代の医薬学書「経史証類大観本草」では、練りごまと蜂蜜を混ぜて丸めた「精神丸(せいしんがん)」という薬が、よろずの病を治すとして紹介されているそうです。

 

 

<参考サイト>

・【ごまの豆知識①】ごまはどこから来たの?ごまの歴史について

https://www2.katagi.co.jp/blog/2017/07/blog2.html

・「ごま」にまつわるよもやま話。起源と歴史、日本伝来について

https://www.kenkodojo.com/column/knowledge/detail174/

・ごまのはじまり(ごまの起源)

https://www.kuki-info.co.jp/learn-enjoy/stories.html

 

 


 

② 日本で奈良時代から使われている『ごま油』

 

日本では紀元前1200年頃、縄文時代末期の遺跡で『ごま』の種子が発見されています。

その後、仏教伝来とともに大陸から『ごま』の搾油技術が伝わり、灯油が作られるようになったそうです。

奈良時代には栽培が始まり、食用文化も広がり始めたようです。

正倉院文書には、米や麦の粉を蜜でからめて『ごま油』で揚げた、かりんとうのような菓子があったという記述があるそうです。

平安時代の辞書「倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」には、「油飯(あぶらいい)」という料理の解説として「ごま油にて飯を炊く」との旨が書かれていて、ご飯を炊くときに水と一緒にごま油を入れていたと推測できるとか。

食べることができたのは貴族だけで、『ごま油』は庶民にはまだまだ手の届かないものだったようです。

 

鎌倉時代に中国から伝わったすり鉢が普及したことから、室町時代には『ごま』料理の幅が広がったと言われます。

室町時代の書とされる「大草家料理書」には、鯛南蛮焼の作り方に『ごま油』の記述が見られるそうです。

江戸時代の初期に黄檗宗の開祖である隠元禅師が中国から伝えた「普茶料理(ふちゃりょうり)」という精進料理には、『ごま油』を用いた揚げ物などのメニューがあり、現代でも親しまれている南部胡麻煎餅や、ごま和え、ごま豆腐などの料理も誕生したようです。

明治時代になると、料亭やてんぷら店の広がりに伴い、『ごま油』が一般に普及していったようです。

 

三代目:こうやって見ると、小豆島に手延べ素麺が伝わってきたときには、まだ『ごま油』はとても貴重なものだったと推測できます。

『かどや製油』様に伺ったところ、「小豆島に手延べ素麺が伝わったのが先か、『ごま油』の製造が先なのか」は、よく分かっていないそうです。

また、『かどや製油』様も昔から今のように大きかったわけではなく、たくさんの製油所が統合されて大きくなっていったそうなのですが、「なぜ『かどや製油』に統合されたのか」も、よく分かっていないそうです。

小豆島でも『ごま』の栽培は行っていたのでしょうが、『ごま油』を作るとなると相当な量の『ごま』が必要だったのではないでしょうか。

しかも、手延べ素麺発祥の地の三輪素麺でも使わない物であり、希少で高価な『ごま油』を誰が使ってみようと思ったのでしょうか。

 

※写真はAdobe Stock「朱雀門広場の遣唐使船」より

<参考サイト>

・ごま油の豆知識

https://www.nisshin-oillio.com/goods/goma/knowledge/import.php

・ごま油のお話し

https://www.oil.or.jp/info/59/page01.html

 

 


 

③ 『ごま油』の栄養と健康や美容への効果

 

特有の芳ばしい香りが特徴の『ごま油』には、ここまでで調べたように「美味しさ」はもちろん、「健康」「美容」「薬」「長寿」などの特徴があり、「抗酸化作用」をはじめとした健康効果をもたらす体にうれしい成分が多く含まれています。

こうした作用が小豆島手延べ素麺の美味しさの秘訣になっているのだと考えられます。

ここでは『ごま油』の主な栄養成分について調べてみたので、ご紹介したいと思います。

 

<ゴマリグナン>

ポリフェノールの一種で強い抗酸化作用があり、老化予防などに役立つと言われています。

また活性酸素を取り除く働きもあり、生活習慣病の予防にも期待されています。

ゴマリグナンの中で最も多く含まれているセサミンには、アルコールの分解促進、コレステロールの減少、血圧上昇の抑制、肝機能の改善、免疫力を高めるなどの働きが期待できます。

またセサモリンは、『ごま油』の製造過程でセサミノールやセサモールに変化します。これらには、油の酸化を抑制する効果もあるとされています。

 

<リノール酸>

不飽和脂肪酸のひとつで、体内で合成することができないため、食事から摂取する必要がある成分です。

『ごま油』は、全食品の中でも上位に入るほどリノール酸を豊富に含みます。

血中の総コレステロール値を低下させ、動脈硬化を予防する効果があるとされています。

 

<オレイン酸>

不飽和脂肪酸のひとつ。

悪玉コレステロール値を下げる働きや、腸の働きを活性化して便秘の解消に役立つ働きがあると言われています。

 

<ビタミンE>

強い抗酸化作用があり、体をストレスから守り老化を抑える働きがあります。

不飽和脂肪酸の酸化を防いでシミやしわの増加を予防、悪玉コレステロールの酸化を防いで動脈硬化予防、毛細血管を広げて血行を改善し冷え性を解消、などの効果が期待できます。

日本人が摂取するビタミンEの約30%は、植物油から摂取しているそうです。

 

<セレン>

ミネラルの一種で、活性酸素に対抗する酵素を作る働きがあり、老化防止やがんの発症リスクの軽減が期待されています。

ビタミンEと一緒に摂取することで相乗的な作用が期待できます。

 

これらの成分は、『ごま』の堅い皮の内側にあり、皮つきのまま食べると体に良いとされる成分も吸収されずにそのまま体外に排出されてしまうそうです。

そのため、吸収の良い食べ方には、

煎りごま」よりも「すりごま」「ねりごま」「液状」の状態の方が、栄養成分が消化・吸収されやすくなるそうです。

 

三代目:自分よりも強い立場の人へ取り入ろうとする際に「ごまをする」という表現がありますが、「ごますり」は栄養価の吸収を助けるためですから、本来、相手を思いやる行為なのかも知れませんね。

 

 

<参考サイト>

・スーパーフード・ごまで健康生活

https://www.kadoya.com/enjoy/page06.html

・アンチエイジング効果にも期待!ごま油の栄養

https://magokoro-care-shoku.com/column/nutrition-of-sesame-oil/#%E2%97%86%E3%81%94%E3%81%BE%E6%B2%B9%E3%81%AE%E4%BF%9D%E5%AD%98%E6%96%B9%E6%B3%95

・ごま油の健康効果・効能・栄養|上手な選び方と使い方

https://kawashima-ya.jp/contents/?p=12301

 

 


 

④ 素麺作りに『ごま油』を使うメリットとは

 

手延べ素麺では、麺の生地の表面に油を塗りながら引き伸ばし巻いていく「油がえし」という工程があります(【お!いしい けんぶんろく】 Vol.2 「手間を惜しまない伝統の製法・手延べ素麺」参照)。

麺の表面の乾燥を防ぎ、生地同士がくっつかないように油でコーティングする工程です。

他の産地では綿実油を使って行いますが、小豆島では100%純正の『天然ごま油』を使います。

抗酸化作用の強い『ごま油』を使うことで、素麺の酸化が抑えられるため、油臭さを取り除く工程が必要ありません。

 

素麺は熟成させることでコシが強くなり、ゆで伸びしにくくなります。

適切に管理された倉庫で貯蔵された素麺は、高温多湿の梅雨を越すことで熟成し、麺質が変化します。

梅雨を1回越したものを「新物」、2回越したものを「古物(ひねもの)」、3回越したものを「大古物(おおひねもの)」と言い、古いものほど貴重とされる産地もあります。

小豆島素麺で使われる『ごま油』は、油の酸化を抑える働きのあるゴマリグナンやγ-トコフェロール(ビタミンEの一種)を含んでいるため、麺の劣化が抑制され、美味しさや風味を保ったまま長持ちさせることができると考えられています。

 

小豆島手延べ素麺に『ごま油』を使用することで、麺にできる『ごま油』のコーティングが酸化を防ぎ、ゆっくりと麺を熟成させることができ、またそれが特有の芳ばしい風味や黄味がかった色合いを生み、小豆島の手延べ素麺の特長のひとつとなっていると言えます。

 

三代目:『かどや製油』様で、様々な油の酸化度合いを比較した図を拝見させていただきましたが、『ごま油』が大変優れていることが一目瞭然でした。乾麺を保存するのに、まさにピッタリな『ごま油』が身近にあったからこそ、小豆島手延べ素麺はここまで発展したのだと感じます。

先人たちの、美味しくしようとするその知恵や努力が、今まさに、産地の大きな特徴ともなっています。

 

 

<参考サイト>

・小豆島はそうめんの町

https://shodoshima.npnp.jp/about/somen/

・「そうめん」も熟成がおいしい?

https://www.educe-shokuiku.jp/news/food/somen/

・手延べそうめんの「厄(やく)」とは

https://www.shimabara-soumen.com/14662419348225

・そうめんは古いもののほうがおいしいって本当!?

https://www.olive-hitomawashi.com/column/2018/08/post-2913.html

 

 


 

⑤ 『かどや製油』の『ごま油』について

 

石井製麺所がある小豆島町と反対側にある小豆島のもうひとつの町、土庄町に『かどや製油』様はあります。

土庄町には高松や岡山から港にフェリーが入ってくる航路がありますが、着岸前には目の前に大きく拡がる工場を見ることができます。

時間帯によって(風向きによって)、『ごま』の芳ばしい香りが町中に漂うのも、小豆島ならではのこと。

 

『ごま油』の国内シェア約50%を占める『かどや製油』様は、小豆島発祥の企業です。

江戸時代末期の安政5年(1858年)に創業。

店舗と工場が交差点の角にあったことから「かどや」の名が付いたそうです。

小豆島の素麺づくりに欠かせない『ごま油』を扱い、関西で広く知られるようになりました。

昭和32年(1957年)、東日本地区の代理店である小澤商店と共同で出資して、東京の品川に本社を置き、全国に事業を拡大しました。

今でも小豆島で大規模工場を稼働しています。

 

『ごま油』には、『ごま油』100%の「純正ごま油」と、大豆や菜類などの食用油をブレンドして作った「調合ごま油」の2種類があるそうです。

現在は、「特定保健用食品」の許可を得た「トクホのごま油」も販売しておられます。

 

かどやの「純正ごま油」の原料は、『ごま』100%。

良質な『ごま』ならではの香りや味、栄養価の高さが特徴です。

もちろん、石井製麺所では、『かどや製油』様の『ごま油』を使って手延べ素麺を作っています

 

三代目:これだけすごいお会社様ですから、本当に感心しきりなのですが、最後に。

日本全国、世界のあちこちに『ごま油』を供給されているので、見学をしていても気になったのは油を搾った残りかす…。

とんでもない量が出て困っているのでは?と思ったのですが、それは全て動物用飼料として再利用されているそうです。

そんな『ごま』を知り尽くした『かどや製油』様に負けないように、小豆島手延べ素麺をもっとたくさんの方に食べていただけるように精進してまいります。

 

 

<参考サイト>

・かどや製油株式会社

https://www.kadoya.com/specialty/pure/

・日本を代表するごま油!小豆島のかどや製油の歴史

https://humoto.jp/skanko/page-279/

・「かどや製油」ごま油一筋で159年栄える秘密

https://toyokeizai.net/articles/-/178988

 

 


 

⑥ 《産地紹介》愛知県・和泉素麺

 

今回は、手延べ麺を製造する8産地目をご紹介します。

和泉素麺は、愛知県安城市和泉町に江戸時代中期から伝わる手延べ素麺です。天明の大飢饉(1782年~1788年)の頃、麦を生産していた和泉地区で、貧困に苦しむ農民が副業として素麺作りを覚え、広まったと言われています。

和泉素麺の特徴は、日本一とも言われるその長さ。麺を約3メートル60センチの長さまで伸ばして作り、長いまま商品としています。

その昔、木造家屋に使用される「貫(ぬき:柱などに通す水平材のこと)」という木材を、麺をつくる時に用いて長く伸ばすようになったそうです。

この貫の長さが、昔の尺度で二間分(一間=約1メートル80センチ)あったことから、日本一長い素麺ができたと言われています。

和泉素麺のもうひとつの大きな特徴は、半生麺であること。

多くの手延べ素麺の産地では乾燥している冬に素麺を作りますが、和泉素麺は夏に作られます

日中の暑い日差しで乾燥させた麺を、夕方頃から吹く三河湾の湿った南東の風、通称「そうめんの風」によって半生の状態に戻します。

これにより、麺はしんなりと柔らかく絹のような風合いになり、表面はなめらかでのど越しもよく、もちもちの食感が生み出されるそうです。

一度乾燥させているので、日持ちもするとのこと。

この独特の半生戻し製法を生み出したのも、和泉村の人々の知恵ではないかと考えられています。

文化5年(1808年)和泉村庄屋の都築孫助が、重原藩(刈谷)への暑中見舞品として素麺を贈っていたと言われています。

この素麺が好評で、それから毎年、陣屋の暑中見舞いに贈ったり、藩内の庄屋連中にも素麺料理をふるまったりしていたそうです。

昭和の初めには天皇陛下への献上品となったこともあるようです。

ピーク時には和泉地区を中心に60~70軒の製麺所があった時期もあるそうですが、食糧事情が緩和された昭和40年頃には、生産戸数は2~3軒までに激減し、現在では、古来からの伝統的な製造方法を継承して製造している生産業者は数軒のみだそうです。

 

※写真はPhotoAC「愛知県安城市の安城七夕まつり」より

<参考サイト>

・もっちもちで長~~い半生そうめん!愛知「和泉そうめん」の魅力とは?

https://icotto.jp/presses/11264

・和泉手延長そうめん

https://www.masugiseimen.com/izumi.php

・和泉そうめん(安城和泉手延べめん)の歴史

https://www.fukurokuju-gift.com/hpgen/HPB/entries/14.html

・私たちのこだわり | うどん 通販は半生手延べ一丈麺「和泉そうめん丈山の里」

https://www.izumi-somen.co.jp/p_process/

・和泉の長そうめんの由来

http://www.miyakoseimen.com/jp/business/

 


 

⑦ 《美味しい素麺》手延べ素麺 太麺 編

 

「小豆島400年の伝統」と「石井製麺所のこだわり」の基本といえる手延べ素麺の太麺をご紹介いたします。

小豆島の穏やかで雨の少ない気候の中で、400年を超える伝統を持つ手延べ素麺。
石井製麺所では「天日干し」と「屋内干し」のバランスにこだわり、日々最適な乾燥具合を目指して、素麺に寄り添いながら心を込めてつくっています。

こちらは一般的な素麺より、少し太めに仕上げた「太素麺」です。
2日間かけてじっくり乾かすことで、太めでありながらよく締まった麺に仕上げています。

太めの麺はにゅうめんなど、温かい食べ方によく合います。
サラダ、パスタなど洋風アレンジもできます。
一度お召し上がりいただくとリピートされる方の多い一品です。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ素麺 太麺》 https://141seimen.thebase.in/items/29006413

 

 

 

 

 

三代目:次回のブログは3/13ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2023年2月10日 【Vol.7】めんつゆの歴史と地域性について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.7

めんつゆの歴史と地域性について

 

 

 

 

めんつゆは、醤油と砂糖やみりんなどを煮て作る「かえし」に、だしを合わせた混合調味料です。

素麺やそば、うどんなどの麺料理だけでなく、家庭料理の味付けにも広く使われており、いまや購入金額は醤油を上回っています。

今回は、素麺と相性の良いめんつゆの歴史や地域性についてご紹介します。

 

三代目:ブログのネタとして、「めんつゆ」って切口が新しいのではと考え、歴史などを少し調べてみました。

素麺にとって「めんつゆ」は切っても切れない大切なもののひとつだと思います。

どんなに美味しい素麺も、めんつゆが美味しくなければ台無しになってしまいますし。とても大切ですよね

美味しい素麺と自信があるからこそ、美味しいめんつゆについても考えてみたいと思いました。

 

 

【目次】

① 醬油の歴史と三大産地

② めんつゆの起源は室町時代

③ 地域による味の違い<醬油>

④ 地域による味の違い<だし>

⑤ 《産地紹介》岡山県・備中(びっちゅう)素麺

⑥ 《美味しい素麺》手延べ半生うどん 編

 

 


 

① 醬油の歴史と三大産地

 

めんつゆの主な材料である醬油は、大豆と小麦、塩を発酵熟成させたものです。

まずはその醤油について深掘りしてみます。

 

そのルーツは、紀元前700年頃の中国の古文書「周礼(しゅうらい)」に記述のある「醤(ひしお)」と言われています。

「醤」とは当時の塩蔵品の総称だったようです。

原料別に「草醤(くさびしお)」「肉醤(ししびしお)」「穀醤(こくびしお)」の3種類に分けられ、「草醤」は漬物、「肉醤」は塩辛類で、「穀醤」が現在の醤油や味噌の原型と考えられています。

日本では飛鳥時代のものと思われる木簡に、「醤」の文字が見られます。

大宝律令によると、宮廷の料理を司る「大膳職(だいぜんしき)」に属する「醤院(ひしおつかさ)」で、大豆を原料とする醤が作られていたとされています。

奈良時代から平安時代の宮中宴会では、膳の上に「四種器(よぐさもの)」という4種類の調味料「塩・酒・酢・醤」が乗っていたという記録があり、醤の形状が固形から液状へと変化したのもこの頃のようです。

 

大豆が日本で広く生産されるようになってきた鎌倉時代には、醤の一つである味噌の製造過程において、味噌桶の底に溜まった液体を「溜(たまり)」として利用していたそうです。

これが醤油の原型とされています。

室町時代の中頃には、現在の醬油に近いものが作られるようになりました。

1597(慶長2)年の日常用語辞典である「易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)」に、「醤油」の文字が登場しています。

室町時代の末頃から、関西を中心に醤油の醸造が盛んになりました。

江戸時代の中期には、大阪・堺、和歌山・湯浅、兵庫・龍野などの産地で醬油の量産化がすすみ、製法が進化して品質も向上したと言われ、醬油が庶民にも広く普及した時期であったようです。

江戸幕府が開かれたことに伴い、経済や文化も江戸を中心として発展していきます。

江戸初期には、関西で生産された味や品質の良い「下り(くだり)醤油」が大量に江戸へ送られたという記録が残っています。

江戸時代中期になると関東でも様々な産業が栄え、今の千葉県の銚子や野田が醤油の一大産地となり、江戸の人々の嗜好に合わせた「濃口醬油」が、関東で普及したようです。

 

現在、醤油の代表的な産地として知られているのが、千葉県・兵庫県・香川県です。

千葉県の銚子と野田は、江戸川と利根川の水運を利用し、原料の入手や消費地への運搬にも都合がよく、醤油の産地として発展しました。

千葉県の醬油の生産量は、日本全体の3分の1を占めています。千葉で作られる醬油の多くは、濃口醬油です。

日本の醤油生産量の約15%を占める兵庫県。

その西部に位置する龍野市は、淡口醬油の一大産地です。

播磨平野の豊かな小麦、山間部でとれる良質の大豆、赤穂の塩、清らかで鉄分の少ない川の水が、淡口醤油作りに適しているとのことです。

香川県の小豆島では、木桶仕込みで醬油が作られてきました。

海に囲まれておりもともと製塩業が盛んでしたが、瀬戸内の各地で塩が生産されたため、過剰となってしまった塩を原料として活かせる醤油作りが始められたとされています。

温暖な気候が醤油作りに不可欠な麹の発酵に適していること、天下の台所である大阪に近いこと、原料の運送にも便利な立地であることなどから、醬油の産地として発展を遂げたと考えられています。

 

 

<参考サイト>

・しょうゆの歴史を紐解く

https://www.kikkoman.co.jp/soyworld/subete/history.html

・しょうゆを知る 歴史

https://www.soysauce.or.jp/knowledge/history

・日本食文化の醬油を知る

http://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/mame01-a.html

・【醤油】歴史と日本の三大名産地の特徴を知ろう!

https://thegate12.com/jp/article/172#content-2

 

 


 

② めんつゆの起源は室町時代

 

醬油を使ったかえしができる以前の室町時代頃は、うどんを「たれみそ」と呼ばれるものにつけて食べていたそうです。

みそに水を加えて煮つめ、布袋に入れて吊るして漉したもので、これがめんつゆの原型と考えられています

江戸時代初期、そばが食品として普及しました。

当初はたれみそにつけて食べていましたが、作るのに手間がかかる、絞りかすが出るなどの点から、醤油ベースのそばつゆができたようです。

1751年(寛延4年)の「蕎麦全書」という書物には、たれみそを使ったつゆと醤油を使ったつゆの2種類の作り方が記述されています。

江戸時代後期には、醤油にみりんやだしを合わせたものが流通するようになりました。

明治時代になると甘味の強いつゆが好まれるようになり、砂糖を加えたものが主流となりました。

女性や子供もそばを食べるようになり、その嗜好に合わせたからと考えられています。

 

商品としてのめんつゆは、1952年に中京の食品メーカーが販売したものが最初と言われています。

1997年制定のJAS規格では、めん類等用つゆは「しょうゆに糖類及び風味原料(かつおぶし、こんぶ、乾しいたけ等)から抽出しただしを加えたもの又はこれにみりん、食塩その他の調味料を加えたもの」と定義されています。

1980年代以降、日本人1人当たりの醤油の消費量は減少傾向にありますが、めんつゆは需要が高まり消費量が伸び、1994年にはつゆ・たれ類の世帯当たりの年間支出金額が醬油を上回り、2012年にはその差が2倍以上に拡大しています。

 

三代目:めんつゆって、比較的新しい物と思い込んでいましたが、歴史のある食べ物だったんですね。

そう考えると、めんつゆにつけて食べる今のスタイルは、実はもう何百年も続いているということなんですよね。

小豆島出身なのでお醤油にはこだわりがありましたが、これからはめんつゆにももっと想いを巡らせて、手延べ麺の食べ方や味わい方も研究していきたいですね。

 

 

<参考サイト>

・めんつゆについて

https://food-drink.pintoru.com/mentsuyu/about-mentsuyu/

・めんつゆの躍進

https://www.foodwatch.jp/daizu039

・ウィキペディア「めんつゆ」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%81%E3%82%93%E3%81%A4%E3%82%86

 

 


 

③ 地域による味の違い<醬油>

 

めんつゆの味を決める2大要素、醬油とだし。それぞれ地域ごとに、好まれる味や素材が異なるようです。

醬油は、その製造方法から3つに分けることができます。

<本醸造方式>

大豆と小麦を、麹菌や酵母、乳酸菌など微生物の力により時間をかけて発酵熟成させる、昔ながらの醸造法。深い旨みと、芳醇な香りが特徴。生産量全体の約9割を占めています。

<混合醸造方式>

本醸造方式でできたもろみにアミノ酸液(大豆などに酸を加え加水分解して作ったもの)などを加えて発酵熟成させる製法。

<混合方式>

本醸造形式で作った生揚げ醬油にアミノ酸液などを混ぜる製法。そこから砂糖類や甘味料などを加えて旨みとのバランスを調整するなどアレンジされることもあります。

 

これらを踏まえ、地域ごとに好まれる醬油の傾向を見ていきます。

<北海道>

本醸造方式の濃口醬油に加え、共働きで農地開拓していたことから手軽に調理できる濃縮つゆが広く普及。特産品である昆布のだしを使った昆布醬油も多く使われます。

<東北>

甘口の本醸造醬油や、やや甘めの混合醬油が沿岸部を中心に好まれます。濃縮つゆやだし醬油が、醤油代わりに日常的に使われているようです。

秋田では、ハタハタやイワシを使った「しょっつる」という魚醬が作られます。

<関東>

本醸造の濃口醬油がほとんど。海に面した江戸で、魚の臭みを和らげる濃口醬油が広まったとされます。甘味料を添加せず、すっきりした味わいが特徴。

<北陸>

甘口の本醸造醬油や甘い混合方式の濃口醬油が主に使われています。北洋漁業の漁師の嗜好に影響を受けたという説も。石川では、イカの内臓やイワシを使った「いしる」という魚醬が作られます。

<中部>

本醸造方式の濃口醬油が多く使われます。

また愛知・岐阜・三重を中心とした地方では、豆味噌の製造過程で生まれた色の濃い「たまり醬油」と、小麦が主原料の色の淡い「しろ醬油」も作られています。

<近畿>

本醸造方式の濃口醬油と淡口醬油を、料理により使い分けます。淡口醬油は江戸時代に兵庫県龍野で生まれたとされます。

<中国>

九州北部の甘い醬油が入ってきたことにより、やや甘い混合醬油が多く使われます。瀬戸内に比べ、日本海に面した萩地方の醬油はより甘いと言われています。

地元産の牡蠣エキスを使った牡蠣醬油などの加工品も作っています。

<四国>

地域により特徴が分かれます。

高知や愛媛は九州の影響を受けて、甘味の強い混合醬油が好まれます。

江戸時代から醬油の産地として知られる香川県小豆島では、関東同様、甘味料を使用しない本醸造の濃口醬油が使われます。

讃岐うどんのつゆには、混合の淡口醬油が使われています。

また香川ではいかなごを使った「いかなごしょうゆ」も作られていました。

<九州・沖縄>

混合方式の濃口醬油と淡口醬油を料理により使い分けます。九州南部では強い甘味のある醬油が好まれる傾向にあります。

沖縄は、東京からの物資調達が多かった背景もあり、濃口醬油が多く使われます。

 

 

<参考サイト>

・関東は濃いめ、関西は淡め、九州は甘め…ではほかの地域は?日本各地で違う「しょうゆ文化」の謎に迫る

https://news.yahoo.co.jp/articles/9618729e58a029b78d8e1bd63c1a0e6e39b5b1b8

・しょうゆのすべて

https://www.kikkoman.co.jp/soyworld/subete/index.html

・「調味料」地域性 醬油編

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/shokuiku/library/japanesefood/03_03.html

・しょうゆと郷土料理

https://www.kikkoman.co.jp/pdf/no26_j_008_025.pdf

 

 


 

④ 地域による味の違い<だし>

 

だしの味が関東と関西で異なることは、よく知られていると思います。

関東では主にかつお節が、関西では昆布が多く使われます。

この違いの理由については、2つの説があるようです。

1つは、昆布の流通。

室町時代、北海道でとれる昆布が船で京都まで運ばれる、通称「昆布ロード」が確立しました。

江戸時代には北前船で酒田から下関を通り、大阪を経由して江戸へ向かう西廻り航路が開かれました。

関西では京都の公家文化の影響で、上質な昆布のだしを使って素材の味を引き出す京料理が誕生。

天下の台所と呼ばれ、比較的裕福な商人の町であった大阪でも、昆布だしが広まったようです。

江戸まで運ばれた昆布は関西で売れ残ったものだったので、関東には昆布だしが根付かなかった、という説です。

当時の関東では肉体労働者が多かったことから、味付けの濃いものが好まれ、濃厚なかつおだしやそれに合う濃口醬油が発展していったと考えられています。

 

もう1つの説は、水質の影響です。

関西の水は硬度が低く、昆布だしを引き出すのに適しており、関東の水は関西に比べ硬度が高いので昆布だしが出にくいと言われています。

そこで濃いだしをとるために、関東ではかつお節が多く使われるようになったという説です。

 

関東と関西だけでなく日本の各地域で、それぞれの特産品などの影響により、だしの種類は異なります。地域ごとによく使われるだしの種類を見ていきます。

<北海道>

かつお節昆布など。

くせのないさっぱりとしただしが好まれます。

<東北>

煮干し中心さば節など。

魚の香りがしっかりとした、濃いだしが好まれます。

<関東>

かつお節さば節など。

関東では江戸時代の中期頃から、カビつけした枯節が好まれるようになりました。甘味があり、上品な香りが特徴で、まろやかな味わいです。

<北陸>

昆布かつお節など。昆布の加工品も多く使われます。甘めのだしが好まれます。

<中部>

さば節むろあじ節など。味も香りも強めの濃い出汁が好まれます。

<関西>

昆布かつお節さば節煮干しなど。

関西では、カビつけをしないかつおの荒節が好まれました。昆布をメインに、煮干しやかつおなどを合わせただしが特徴。澄んだ黄金色の上品なだしを、薄口醤油に合わせます。

<中国>

煮干し焼きアゴかつお節など。

パンチのきいた濃い煮干しのだしが好まれます。

<四国・九州>

煮干し焼きアゴなど。

黒潮に乗ってイワシがたくさん獲れたことから、高級品だったかつお節や昆布の代用品として手に入りやすい煮干しが使われ、その文化が根付いたと考えられています。

<沖縄>

かつお節豚骨

沖縄はかつお節の消費量が全国1位です。中国に輸出する際の中継港であったことや、太平洋戦争時に水産業を積極的に行っていたことが理由ではないかと考えられています。

 

三代目:お醤油の違いはそれなりに分かっているつもりでしたが(今回調べて、結構知らないことが多かったですが)、だしにもこんなに違いがあるのに驚きでした。

醤油×だしの種類でめんつゆの味わいが変わるとすると、その組合せはとっても多いものになりますよね。

さらにだしを重ね合わせたりすると…そう考えると、めんつゆひとつとっても楽しみが大きくひろがりますね。

 

 

<参考サイト>

・「だし」の誕生と発達

https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/17/2.html

・地域ごとで全く違う!?日本各地の出汁文化!

https://gyoumuyo-dashi.com/2020/03/20/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E3%81%94%E3%81%A8%E3%81%A7%E5%85%A8%E3%81%8F%E9%81%95%E3%81%86%EF%BC%81%EF%BC%9F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%90%84%E5%9C%B0%E3%81%AE%E5%87%BA%E6%B1%81%E6%96%87%E5%8C%96%EF%BC%81/

・だしの話

https://shop.ninben.co.jp/blog/?cat=20

・だしを知る

https://www.e-bonito.com/know/

・「だし」の地域性 節類・煮干編

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/shokuiku/library/japanesefood/03_01.html

・「だし」地域性 昆布編

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/activity/shokuiku/library/japanesefood/03_02.html

 

 


 

⑤ 《産地紹介》岡山県・備中(びっちゅう)素麺

 

今回は、手延べ麺を製造する7産地目をご紹介します。

備中手延べ素麺は、昔の備中国にあたる岡山県浅口市鴨方町とその周辺の里庄町・矢掛町・笠岡市などで作られる手延べ素麺で「備中素麺」と呼ばれ、地元でもとても人気が高いそうです。その生産の中心となる地名からか「鴨方素麺」とも呼ばれていたり、商標名では「かも川」の名称が有名なんだそうです。

この地域では素麺を一年中常備している家庭が多く、冷やして食べるだけでなく温かいにゅうめんも日常的に食べられており、みそ汁に入れたり、赤ちゃんの離乳食にする家庭もあるそうです。

弾力があり煮崩れしにくいコシの強さと、なめらかなのど越し、歯切れの良さが特長だとか。

 

備中での麺づくりの歴史は大変古く、吉備国に「麦切(むぎきり)」という記述が古書に残っているそうです。朝廷に献上されたという記述が残っているそうです。少なくとも9世紀頃には吉備地方でうどんやそうめんの原型のようなものが作られていたと考えれています。

 

香川をはじめ、岡山、兵庫(播磨)は古くから小麦の産地で、後にその品質の高さから「三県物」と呼ばれるようにまでなった歴史があります。

備中素麺は、杉谷川の清流と、備中の大動脈とも言われる高梁川流域で栽培された小麦、瀬戸内海沿岸で作られる塩といった良質な素材が入手しやすい土地柄と晴天の多い気候からか、素麺作りが盛んになっていったと伝えれています。さらに、杉谷川には多くの水車が設置され、製粉から製麺まで一体化した素麺作りを行っていたようです。

 

江戸時代後期の文政年間に浅口郡口林村の原田敬助という人が、伊勢参りの道中、播州で素麺を食べたことをきっかけに、製麺職人を播州から村に移住させたとされています。

最初は小坂東村(現・浅口市鴨方町小坂東)の杉谷川流域に技術者が住み、そこから地元住民に製麺技術が伝わったと伝えられているので、「麦切」に見られるような小麦の加工品づくりとしての土壌は古くからあったことから、地元でも定着は早く人気が出たのかも知れませんね。

 

明治になると農家の副業にとどまらず、製麺を専業とする業者が多数生まれ、明治32年(1899年)には組合が結成されたそうです。

昭和初期にはいち早く工業化に着手し、手延べ用のこね機やイタギ機を開発。

手延べ作業の効率を上げることにより、大量生産と品質の安定化に成功したとされています。

最盛期には播磨に次いで生産量全国2位となり、約200の業者で年間約10万〜12万箱を製造していたそうです。

農林水産省の統計(平成21年)によると、手延べ素麺の都道府県別生産量において、岡山県は第6位となっています。

 

三代目:岡山県の備中素麺の名前は知っていましたが、歴史などは全く知りませんでした。小豆島での素麺づくりと共通項も多く、とても興味が湧いています。

このブログを書くたびに行ってみたい産地が増えて大変です(汗)。

まだまだブログを書いているだけなので、実際に産地や工場を見学させていただき、勉強していきたいと思います。

また、様々な産地で私のような後継者がいらっしゃれば、ぜひお目に掛かってお話を伺ってみたいと考えています。

 

<参考サイト>

・【備中手延べ麺】そうめん・うどん・ひやむぎまで。江戸時代からの名産品

https://fuuraiki.com/bitchuu-tenobemen/

・備中手延べそうめん

http://soumen-guide.net/archives/115

・乾めん類の都道府県別生産量

https://www.shimabara-soumen.com/article/14800426.html

 

 


 

⑥ 《美味しい素麺》手延べ半生うどん 編

 

小豆島には21の醤油蔵があり、独自の醤油やめんつゆを作っておられます。

すごいのは、各蔵によってそれぞれ味が異なるということ。ですから、島の方たちにも一人ひとりの“推しめんつゆ”があります。

島に来られた際には、ぜひ醤油やめんつゆなどの味の違いを楽しんでくださいね。

 

さて、今回はめんつゆのお話を書いたので、1つのめんつゆで二度美味しい「手延べ半生うどん」の食べ方をご紹介します。

 

たっぷりの水を鍋に入れ沸騰させます。

半生うどんは少し茹で時間が長いですが、焦らずじっくり茹でてください。

パッケージに記載の通りに茹で、冷たい水でサッとゆすげば麺が引き締まり、もちもちでシコシコな独特の食感を味わっていただけます。

そして、ネギやおろし生姜などの薬味を入れたお好みのめんつゆに、麺をひたして食べれば冷やしうどん(ざるうどん)として召し上がっていただけます。

器やタライなどにお湯を張って、その中に浸し麺が冷めないようにしながら、“釜揚げうどん”としてめんつゆにつけながら食べるのも、寒い日にはおすすめです。

 

もう1つの食べ方は、同じように麺を茹で冷たい水でサッとゆすぎ、しっかりと麺の水を切って薬味と一緒に器へ盛り付けておきます。

それと同時にめんつゆを火に掛け沸騰させ、器に盛ったうどんの上にバサッと掛ければ“冷やあつぶっかけうどん”のできあがりです。

お好みで温玉などを盛り付ければ“釜玉うどん”に。

めんつゆは熱々でも、麺は冷たく引き締まっているのでそのギャップが美味しいですよ。冬でもおすすめの召し上がり方です。

 

めんつゆ自体にも色々と味わいがありますが、冷たくしたり温めたり、さらに、麺を冷やしたり温かくしたり。

その組合せで色々と味わいが変わって、美味しく召し上がっていただけます。

 

石井製麺所の「手延べ半生うどん」は、冬季限定商品となっていますので、ぜひこの機会に色々と食べ方をお楽しみください。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ半生うどん》 https://141seimen.thebase.in/items/29007530

 

 

 

 

 

三代目:次回のブログは2/27ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2023年1月26日 【Vol.6】冬が手延べ素麺づくりに最適な理由

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.6

冬が手延べ素麺づくりに最適な理由

 

 

 

 

夏の食べ物というイメージを持つ方も多い素麺ですが、実は手延べ素麺作りは冬が本番です。

手延べ製法では生地を細く引きのばして作るため、気温が低く空気が乾燥した気候が適しているとされます。

冬に手延べ素麺作りが盛んに行われる理由について、調べてみました。

 

三代目:小豆島は温暖で穏やかなイメージがありますが、冬はそれなりに寒くなり(雪が降ることもあります)、季節によって風がとても強い日が続いたりします。

ただ、比較的雨は少なく(それも年によって異なりますが)、海辺に近いながら空気は乾燥しがちです。

神奈川からUターンで戻ってきて、久しぶりに感じた冬の小豆島のイメージは、思ったより温かくないな…でした。

 

 

 

【目次】

① 寒い季節に作られる“寒製素麺”

② 冬の農閑期の副業として発展

③ 早朝3時から始まる手延べ製麺(※石井製麺所の場合)

④ 《産地紹介》愛媛県・五色(ごしき)素麺

⑤ 《美味しい素麺》手延べ麺 蕎麦風味 編

 


 

① 寒い季節に作られる“寒製素麺”

 

明け方の冷え込みが厳しく、空気の乾燥している12~2月頃の厳寒期、全国の手延べ素麺の産地で素麺作りが最盛期を迎えます。

寒い季節に作られる素麺は、春先や秋口に比べて塩の量が3割ほど少なくても細く長く伸ばせるので、麺の風味を損ねないそうです。

また、乾燥した冷たい空気が程良い時間で水分を飛ばしてくれることから、コシが強くて甘みがあり、小麦粉本来の味わいを楽しめる良質な麺に仕上がると言われます。

空気中の水分を吸収しにくいため、長期の保存にも良いそうです。

逆に夏は湿気が多く、生地が湿気を吸い込んでしまうので、素麺作りにあまり適していないとされています。

寒風にさらすことで麺がしまって旨みが増し、色もより白く美しく仕上がります。

 

香川県小豆島では、自然環境の良さを活かし天日干しでの素麺作りが行われます。

昔から続く冬の風物詩ともなっており、1月にはテレビのニュースでも取りあげられています。

 

 

<参考サイト>

・冬の風物詩 寒造り「そうめん」最盛期迎える

http://www.soba-udongyoukai.com/info/2013/2013_0109_kandukuri.html

・冬風そうめん色白に 小豆島「極寒づくり」最盛期

https://www.sankei.com/article/20180115-YFMJH3VPVNOBVJJ6VZENS5KWPU/

・瀬戸内の冬空に “天日干し” 小豆島の「寒そうめん」

https://www.youtube.com/watch?v=0EhJEo70Cw8

・そうめん作りは寒い季節が最適な時期

https://www.miwa-soumen.com/blog/203080.html

・手延べそうめんづくりはなぜ冬にする?

https://miwaokina.com/knowledge/knowledge/soumen/winter.html

 

 


 

② 冬の農閑期の副業として発展

 

素麺作りは、日本の素麺発祥の地とされる奈良県三輪から、揖保乃糸で知られる兵庫県の播州や、香川県小豆島など全国各地に伝わったと考えられています(「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.1 素麺1200年の歴史と、その三大産地について」をご参照ください)。

素麺作りに適した気候風土に恵まれ、かつ、良質な原料の調達が容易であった地域で、冬の農閑期を支える副業として発展したようです。

 

小豆島では、温暖で雨が少なく日照時間が長い気候のもと、瀬戸内海で採れる天然塩や、讃岐平野で作られる小麦粉、良質な清水、島で作られるごま油などを使っての素麺作りが行われ、主要産業へと成長していきました。

「池田町史」によれば、製法の伝来当初は盛んではなかったようですが、18世紀の初め(江戸後期)に大変盛んになったと当時の販売記録や輸送船の記録に残っているそうです。

また水源豊かな中山地区では、製造効率を上げるため、牛ではなく水車を使い製粉をされていたそうです。その当時から、今で言う組合のようなやり方で、製粉した小麦粉を共有し、製造担当者が素麺を作り、それをまとめて販売するようになったそうです。切磋琢磨しながら協力して製造効率を上げ、品質を安定させた素麺が評判となり、広まっていったようです。

そのおかげもあり今もなお、伝統的な手延べの製法が受け継がれ、日本全国に出荷されています。

 

三代目:その昔、小豆島に手延べ素麺の製法が伝わったのは、当時、お伊勢参りなどで三輪(奈良県)に立ち寄った際、耕牛を使い小麦を製粉して素麺を作る様子を見て、その地で製法を学び持ち帰ったとされているそうです。

これは、小豆島の中で民俗学を研究されている方からお聞きしたことなのですが、当時のお伊勢参りには誰でもいけるわけでなく、大変お金がかかったそうです。

その地域でお伊勢参りに行く代表者を決め、みんなでお金を出し合って行かせていたそうです。

当然、長期の旅となるため農閑期におこなっていたでしょうから、三輪を訪れた際に素麺を製造していて「農閑期の副業はこれだ!」と目を付けることが出来たのでしょう。

また、同じ境遇の者同士だからこそ、その製法を教えてくださったのではないでしょうか。

兎にも角にも、お伊勢参りに行って持ち帰った方の先見の明から、現代にも続く地場産業となったのでしょうね。

 

※写真は、殿川ダム上流に今も残る「殿川水天宮」。ブログ「小豆島そうめんの歴史をたどる」もご覧ください。

 

<参考サイト>

・小豆島の風土と素麺づくり

https://shimazen.co.jp/soumen/history

・手間ひまを惜しまない職人の技 小豆島の「手延べそうめん」

https://www.inoueseikoen.co.jp/products/detail.php?product_id=430

 


 

③ 早朝3時から始まる手延べ製麺

 

冬の気候を活かした素麺作りは、丸一日かかります。

小豆島の石井製麺所の例で言えば、材料を配合してこねる作業を、早朝3時ごろには始めます(「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.2 手間を惜しまない伝統の製法・手延べ素麺)をご参照ください)。

配合量は毎日同じというわけにはいきません。

その日の天候に合わせて、塩の量や練り具合、天日干しと室内干しの時間配分を調整するなど臨機応変に対応します。

こねてのばして、帯状になった生地を半分に折るようにして丸め、麺生地同士がくっつかないように、ごま油を塗りながら巻いていきます(油がえし)。

油がえし後は、しばらく寝かせて生地を熟成させます。この時間の長さも、気候や温湿度によって変えていきます。

生地をさらにのばして重ねて、のばして重ねて…を繰り返すことで、小麦粉に含まれるグルテンが一定方向に、まるで何層にも重なった地層のように組織されます。

これを、よりをかけながら細くのばすことで断面が丸くなり、なめらかな食感とコシ、つるつるとした喉越しが生まれます。

多くの工程を経て細くのばした麺を、“はた”と呼ばれる干し台につけていきます。

その日の湿度に合わせて、手作業で箸を入れ、のばし上げた麺線のひっつきを一本一本丁寧に箸で分けていきます(はし分け)。

これを天日干しするのですが、完全に乾くまで屋外に干すのではなく、表面の水分がほどよく乾燥したのを見計らって、室内乾燥に切り替えます。

天日干しで表面をさっと乾かし余分な水分を取り、室内乾燥でじっくり時間をかけて乾かすことで、麺の一本一本がよく締まり、舌触りがつるっとした、見た目もなめらかで美しい素麺になるのです。

天日干しが上手くいかないと、乾きすぎによって締まりのない、ザラつきの気になる麺になってしまいます。

 

常に同じ味・同じ品質を保てるよう、ただひたすら一本一本丁寧に、素麺を作り続けています。

 

三代目:石井製麺所だけではないと思いますが、厳寒期の素麺作りは大変です。

太陽が昇るずっと前、深夜の空気はキンと張りつめています。仕込みの際は当然、水も使うので朝の作業は特に寒さが厳しく感じる時間かもしれません。

それなら暖房をつければいいかと言えば、そう簡単な話ではありません。

麺生地は、特に温度の変化に敏感なため、急な温度変化は熟成のコントロールを難しくしてしまいます。

そして何より、冬の麺のよさが失われてはいけません。

石井製麺所ではあまりに寒くて熟成が進まないときを除き、ストーブの使用は最低限にしています。

伸ばしから乾燥にかけては、半屋外とも言える環境での作業になります。作業が始まるとじっとしている時間は少ないので、だんだんと体が温まってくるのですが、作業を始める前は気合いが必要になりますね。

 

 

 


 

④ 《産地紹介》愛媛県・五色(ごしき)素麺

 

五色素麺は、愛媛県松山市の郷土料理として知られる5色の素麺。

人工着色料は使わず、もち麦・蜜柑・梅・抹茶など自然のもので着色されているそうです。

その由来は江戸時代にさかのぼるといわれます。

享保7年(1722年)、寛永から続く製麺会社の八代目・長門屋市左衛門の娘が椿神社に参拝したとき、美しい五色の糸が下駄に絡みついたのを見て、父親に「そうめんに五色の色をつけてみては?」とすすめたそうです。

これを機に色麺の技術が編み出されたと伝えられています。

5色の彩りのそうめんは評判となり、参勤交代の折に献上した八代将軍徳川吉宗から「格別上品至極」と賞賛されたとのこと。

また、朝廷からも「美麗五色は唐糸の如く美し」との綸旨を賜り、「五色そうめん」の名が全国に知られるようになったと言われています。

五色素麺を愛した著名人も数多く、近松門左衛門は「味はいうまでもなく、その美しい姿はまるで冬の日に輝きながら、舞い踊っている陽炎のよう」と賞しています。

正岡子規は「文月のものよ五色の糸そうめん」という句を残しています。

また、愛媛を代表するお座敷唄である「伊予節」にも、松山の名物名所のひとつとして「おとに名高き五色そうめん」と唄われています。

 

 

<参考サイト>

・カラフルそうめんの元祖!? 松山の「五色そうめん」を地元民オススメの贅沢な食べ方で!

https://gurutabi.gnavi.co.jp/a/a_2662/

・五色そうめんの歴史

https://goshiki-soumen.co.jp/history/

・色麺300年! 愛媛の夏の味・五色そうめんの覚悟

https://www.ehime-np.co.jp/article/news202206030011

 

 


 

⑤ 《美味しい素麺》手延べ麺 蕎麦風味 編

 

石井製麺所のオリジナル手延べ麺に「手延べ麺 蕎麦風味」があります。

これは、小麦粉8に対して、蕎麦粉2を混ぜ、手延べ製法で作った麺です。

蕎麦の風味を感じながら、手延べ麺独特のツルッとした食感が楽しめるととてもご好評を得ています。

さて、なぜこの時期に蕎麦を紹介?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。

「年越し蕎麦」はあまりにも有名ですが、「節分蕎麦」ってご存じでしょうか?

 

一般的に「年越し蕎麦」といえば、12月31日にコタツに入りながら、除夜の鐘の中継を見つつ召し上がったりされていますよね。

でも、蕎麦文化を研究されている方によると、年末に食べる風習は意外と新しくて、本来の「年越し蕎麦」とは違っていたそうです。

 

では、“本来”の「年越し蕎麦」はというと、節分に食べる「節分蕎麦」が「年越し蕎麦」だったそうです。

節分とは、季節の変わり目のことで、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前日でしたが、今では特に立春の前日を指して節分と呼ばれるようになっています。

立春の前日の節分は“大寒”の最終日で、冬から春への節目の日です。そのため江戸時代には、大晦日ではなく節分を本当の年越しと言う考え方があったそうです。

ですので、研究家の方によれば“本来”の「年越し蕎麦」は、「節分蕎麦」と言うことになるそうですよ。

なるほど。。。

 

節分には、柊にイワシの頭を指して戸口に立て、炒り豆をまいて悪疫退散、招福を願ったりされる風習がありますよね(地域によって違いはあるかもしれませんが)。

この風習は中国から伝わった宮中の年末の行事だったそうで、江戸時代頃には一般に広まり、立春の前日に行う清めごとになったそうです。

「節分蕎麦」とは、節分の日に食べる豆や恵方巻きのように縁起がよいメニューと言われていますが、江戸時代の頃には節分料理の元祖として全国に広まっていたそうです。
 
「節分蕎麦」をあまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、今年の節分には「節分蕎麦」を石井製麺所の「手延べ麺 蕎麦風味」で召し上がってみるのはいかがでしょうか。
 
 
 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ麺 蕎麦風味》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801499

 

<参考サイト>

・そばの散歩道

https://www.nichimen.or.jp/know/zatsugaku/34/

・子育て情報メディア「KIDSNA STYLE」 2月3日は節分そばを食べよう。由来や意味、節分そばのレシピ
 

 

三代目:次回のブログは2/10ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2023年1月9日 【Vol.5】素麺の“味”を左右する主原料・小麦について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.5

素麺の“味を左右する主原料・小麦について

 

 

 

 

素麺は、小麦粉・塩・水などのシンプルな食材で作られます。

そのため、素材の良し悪し・向き不向きが素麺の出来を大きく左右します。

今回は、素麺の主原料である小麦について、価格決定の仕組みや産地ごとの特徴、手延べ素麺に適した小麦粉の特性などをご紹介します。

 

三代目:2021年に小麦粉の製粉会社「小田象製粉株式会社」様に訪問させていただいた際、小麦粉への情熱にとても感銘を受けたことを鮮明に覚えています。

私たちにとって、小麦粉はある意味“生命線”と言えます。

その品質や性質を熟知していないと本当に美味しい手延べ素麺を作ることはできません。

逆に製粉会社様からのアドバイスや小麦粉に対する知識を伝授いただけることは、とても大切なことだと感じました。

その良さを生かし切り、製粉会社様も驚くような美味しい手延べ素麺を作っていきたいと考えています。

(実は、「手延べ半生うどん」は小麦粉の研究開発担当の方も驚いてくださっています)

 

 

【目次】

① 小麦の価格は政府が半年ごとに決定している

② 国産・外国産、食品の産地による安全性の違い

③ 世界基準の農業認証「グローバルGAP」とは

④ 「小麦粉(国内製造)」と「国産小麦」の意味

⑤ 手延べ素麺の製法に適した小麦とは

⑥ 《産地紹介》徳島県・半田そうめん

⑦ 《美味しい素麺》手延べきくらげ麺 編

 


 

① 小麦の価格は政府が半年ごとに決定している

 

日本で消費されている小麦の約9割は外国産です。

製粉会社などが求める銘柄の小麦を、日本政府がまとめて輸入しています。

輸入小麦は政府から国内の製粉会社に売り渡され、小麦粉に加工されて食品メーカーに卸されます。

食品メーカーで素麺などの麺類やパン、菓子などの製品となり、消費者の皆さんに届くという流れになります。

 

政府が製粉会社に輸入小麦を売り渡す価格は、半年ごとに決められています。

その価格は、過去6ヶ月間に国が買い付けた価格の平均をもとに算出されるそうです。

またアメリカでもっとも取引量の多いシカゴ商品取引所での国際的な小麦相場の動向や、外国為替市場の動きにも影響を受けるため、円安が進むと輸入価格は高くなってしまいます。

 

2022年4月期の売渡価格は、前年のアメリカやカナダでの不作、世界情勢の影響などにより、その前の半年間と比べて17.3%引き上げられたそうです。

2022年10月期については、価格の急激な変動の影響を緩和するため、政府は売渡価格を据え置くことを決定しました。

小麦粉や小麦粉を使った製品の価格は、こうした政府の小麦売渡価格の改定を受けて変動しています。

ただし、製粉会社では不測の事態に備え2、3ヶ月分の小麦を備蓄することになっているそうで、小麦粉の価格変動は、政府の小麦売渡価格改定より少し後にズレてくるようです。

 

<参考サイト>

・輸入小麦の価格据え置きでどうなる?

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sakusakukeizai/20220815/519/

・小麦・小麦粉の価格のしくみ

https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_04.html

・輸入小麦の政府売渡価格の緊急措置について

https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/boeki/220909.html

 

 


 

② 国産・外国産、食品の産地による安全性の違い

 

食品を購入する際、原材料の産地を確認することがあると思います。

国産だから安全・安心」「外国産は安全性が低い」というイメージをお持ちの方もおられるかもしれませんね。

実際のところ、外国産の食品は安全なのでしょうか?

 

結論から言うと、国内で流通している食品の安全性は、国産・外国産とも同じといえるようです。

食品衛生法により、残留農薬、食品添加物、微生物などについてどちらもまったく同じ基準が適用されているためです。

食品の輸入に関しては、農林水産省・厚生労働省・財務省の3つの省庁による3重のチェック体制が構築されています。

まずは農林水産省が所管する「植物防疫法」「家畜伝染病予防法」。野菜、果物、食肉などの貨物を対象とし、輸入時に持ち込まれる可能性のある病気や害虫から、国内の農作物や家畜などを守っています。次に、厚生労働省の「食品衛生法」で、あらゆる食品の衛生規制を行っています。最後に財務省の「関税法」にしたがって税関手続きが行われます。たとえば食肉を輸入する場合、「家畜伝染病予防法」「食品衛生法」で合格しなければ通関できないしくみになっているそうです。

また主要な空港や海港に設置されている検疫所では、統計学的に貨物を評価できる検体数で食品のサンプルを採取し、非常に高度で精密な検査を行い、安全性の管理が徹底されているそうです。

 

三代目:この点は、製造者としてとても気になる点でした。お客様にとっての安全・安心は原料段階からしっかりと把握できてこそ。今後も原料製造される製粉会社様としっかりと取り組んで参ります。

<参考サイト>

・輸入食品は安全なの?-消費者として知っておきたいこと-

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000150096.pdf

・気になる輸入食品のリスクや検査、そして輸入食品との付き合い方

https://www.ajinomoto.co.jp/products/anzen/know/i_foods_01.html

・国産の食品のほうが安全・安心?

https://oishi-kenko.com/articles/shokunoanzentokenkou08

 

 


 

③ 世界基準の農業認証「グローバルGAP」とは

 

世界的な潮流として、安全性は第三者が証明する時代になってきています。

日本の大手流通企業や有名ファストフードチェーンなどがグローバルな調達基準として採用している「グローバルGAP」をご存知でしょうか?

「GAP」とは、「GOOD(適正な)」「AGRICULTURAL(農業の)」「PRACTICES(実践)」のこと。農業における労働安全や環境保全、食品安全などについて、持続可能な取り組みを実践している生産者・生産グループを認証の対象としています。世界120ヵ国以上に普及しており、ヨーロッパでは大多数のスーパーマーケットが採用している、事実上の世界基準です。

「グローバルGAP」の認証を取得するためには、数多くの適合基準をクリアしなければなりません。

例えば野菜や果樹の認証における管理点は全218項目。内訳は、食品安全99項目、トレーサビリティ22項目、作業従事者の労働安全と健康28項目、環境(生物多様性を含む)69項目となっています。

2022年、農林水産省が「2030年までにほぼ全ての産地で国際水準GAPを実施」するという推進方策を策定しているそうです。

 

三代目:先日、お会いしたグローバルGAPインデューサーという方から、「今、世界では「日本産だから安全・安心で上質」ということは通用しません」というお話を伺いました。

グローバルGAP(日本ではJ-GAPなど)の認証制度は、簡単に言えば、世界中どこの農作物でも同じ基準で安全性が分かるようにするためのしくみで、生産者もそれを販売する流通側も一緒になって考えている取り組みだそうです。こういった認証制度を知り、原料素材を選ぶことは製造者である私たちの責任でもあり、安全・安心な“食べ物という命のバトン”を繋ぐことになると考えます。

これからもイメージやブランドに左右されるのでなく、お客様の身体を第一に考えた製造をおこなっていきたいと考えています。

 

<参考サイト>

・グローバル GAPを解説!JGAPとの違いや審査基準、必要な費用は?

https://agripick.com/2608

・民間団体による第三者認証を備えたGAP(GAP認証)

https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/gap_certification.html

・GAP普及推進機構/GLOBALG.A.P.協議会

https://www.ggap.jp/?p

・国際水準GAPの推進について

https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/g_summary/index.html

 

 


 

④ 「小麦粉(国内製造)」と「国産小麦」の意味

 

麺類やパンなど、小麦粉を使った加工食品のパッケージに、「小麦粉(国内製造)」や「国産小麦」などの記載を見かけることがあります。

これらの意味を正しくご存知でしょうか?

小麦粉(国内製造)」は、原材料表示欄に記載されています。

国内で製粉された小麦粉という意味であり、原材料の小麦の産地は明記されていません。2017年に始まった加工食品の原産地表示制度により、主原料の産地表示が義務付けられました。しかし小麦粉は原料である小麦の大半が輸入であり、製粉会社が複数の種類をブレンドして加工するため、原産地の明記が難しく、最終製造地を表す「国内製造」の表示が認められています。

国産小麦」は、国産の小麦を製粉した小麦粉を使用していることを意味します。

この記載は義務ではなく、商品特長の訴求として任意で表示するものです。100%使用の場合は100%と表示するか、割合を表示しなくてもよいことになっています。

100%に満たない場合は、その割合を併せて表示するよう法律で定められています。

 

<参考サイト>

・「小麦粉(国内製造)」と「国産小麦」の表示について

https://faq.pasconet.co.jp/faq/show/73?category_id=1&site_domain=default

・進化する国産小麦

https://www.benbu.jp/?mode=grp&gid=2555817

・小麦粉の国産と国内製造の違い、そばの原料は小麦粉? わかりにくい食品表示

https://flour.empacede.co.jp/eating/labeling/

 

 


 

⑤ 手延べ素麺の製法に適した小麦とは

 

小麦は、その産地や種類により性質が異なります。私たち製造者は、作りたい製品に最適な性質や風味を持つ小麦粉を追い求めています。

石井製麺所を例に、どのような製品にどんな小麦粉を使用しているかをご紹介します。

 

  • 手延べ素麺の場合

オーストラリア産のASWという、日本向け仕様の麺用小麦から製粉された小麦粉がメイン。さらに、グルテンの力が強いカナダ産、アメリカ産の強力粉を配合した、手延べ素麺用の専用粉を使っています。小麦粉独自のタンパク質であるグルテンは、こねたり練ったりすることで出来る繊維状の組織。生地を引き伸ばす工程を繰り返す手延べ製法では、グルテンの向きが揃うことにより、つるつるしたなめらかな食感が生まれて美味しくなるのです。

ちなみに手打ちうどんは、生地にいろいろな方向から力を加えることでグルテンの弾力性を引き出す製法で、しっかりした食感を生み出します。原料の味わいが仕上がりの風味に影響しやすい製法でもあります。

 

  • 手延べレモン素麺など、食品粉末を練りこんだ麺の場合

他の食品粉末を混ぜる場合、生地が伸ばしにくくなるので、伸ばしやすくするため国産小麦粉を使用したり、上記の手延べ素麺専用粉にさらに国産小麦粉をブレンドしています。

 

三代目:文字だけでは、説明が難しいのですが、手延べ麺をつくるときに大切なのは“無理なく伸ばせる”ということ。

ですが、小麦粉以外のものを配合して練ると、麺生地が伸びにくくなります。また、国産小麦の特製は、伸びやすい(伸ばしやすい)ことです。そのため、“伸びにくくなった麺”を“伸ばしやすくする”ために、国産小麦を配合して伸ばしやすさを調整しています。この“伸ばしやすさ”は、熟成時間にも影響を及ぼし、伸ばし作業にも影響します。

ゆっくりすぎず、早すぎないようにするためです。

「早く伸びるならいいんじゃないの?」と思われるかも知れませんが、早く伸び過ぎてしまうと作業が追いつかず、製麺がコントロールできなくなります。結果、歩留まりが悪くなってしまい、麺の品質も落ちてしまいます。

石井製麺所では、新しい手延べ麺をつくる際に、国内製造小麦、配合する食品原料(例えば長命草の粉など)、そして国産小麦の配合量を品種ごとに変え、製造時の季節や気候、湿度、温度などを考慮して品質が一定に仕上がるように調整しています。

 

  • 手延べうどん(半生タイプ・乾麺タイプ)の場合

「瑞象(ずいしょう)」という、小田象製粉株式会社様のオリジナルブランド。うどんには味や食感の改良のため加工デンプンを使用するのが一般的ですが、こちらは小麦粉100%、加工デンプン不使用のうどん用小麦粉です。性質の異なる複数種類の小麦をブレンドして生まれるモチモチ食感と、小麦粉100%による豊かな香りを実現しています。

 

三代目:石井製麺所では、召し上がっていただく方の身体に負担無く、安全・安心な小麦粉であることを前提として、製品づくりで使い分けています。「外国産」か「国産」の基準ではなく、手延べ製法に合うか合わないか、美味しい“手延べ麺”にできるかできないかを考えながら、製品や製法にあわせてブレンドしたり使い分けたりしています。また、むしろ美味しい手延べ素麺のためには、小麦粉の特性的に外国産(特にオーストラリア産)のものが、美味しくできると考えています。

 

 

<参考サイト>

・うどんの話

https://flour-net.com/column/flour_udon/column_udon/post_109.html

・新時代のうどん専用粉”瑞象”(ずいしょう)新発売

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000064557.html

 

 


 

⑥ 《産地紹介》徳島県・半田そうめん

 

徳島県の西部に位置するつるぎ町半田地区で作られる素麺で、その歴史は古く、約200年の伝統があるそうです。

その起源は諸説ありますが、江戸時代の中頃、物資の運搬を担う船の船頭たちによって、奈良の磯城郡三輪町、淡路、鳴門などを経由して半田に素麺の製法が伝えられたとされています。

当初は船頭たちの家族が自給自足で作るほか、副業にする目的で生産されていたようです。

 

四国山脈から吹き降ろす冷たい風や吉野川の清水などの気候風土が素麺作りに適しているといわれています。

現在、半田地区には数多くの製麺所があるそうですが場所によっては300mの標高差があり、その標高の違いや小麦の種類、塩や水の配合、熟成や乾燥の時間などにより、製麺所ごとに独自の味わいがあるそうです。そして、その味の違いを食べ比べるのも半田そうめんの味わい方のひとつだそうです。

半田そうめんの特徴は、半田そうめん音頭で「コシの強さにノドが鳴る」と歌われるくらい、一般的な素麺よりやや太めでコシが強く人気があるそうです。

 

日本農林規格(JAS)では「ひやむぎ」に分類されますが、江戸時代から続く伝統と麺文化の地域性が認められ、特別に「そうめん」の表記が認められています。

農林水産省の統計(平成21年)によると、手延べ素麺の都道府県別生産量において、徳島県は兵庫・長崎・奈良に次ぎ、香川と同じく6%のシェアを占めています。

 

写真は霊峰剣山からの眺めで、次郎笈を望む写真だそうです。

この霊峰から吉野川に下る山間に半田そうめんの製麺所が点在しているそうですよ。

 

<参考サイト>

・半田手延べそうめん協同組合

https://handasoumen-kumiai.jp/feature.html

・あるねっと徳島

https://arunet-awa.com/?mode=f6

・農林水産省 うちの郷土料理「半田そうめん 徳島県」

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/44_4_tokushima.html

・乾めん類の都道府県別生産量

https://www.shimabara-soumen.com/article/14800426.html

 

 


 

⑦ 《美味しい素麺》手延べきくらげ麺 編

 

小豆島には、島を代表する食品産業として手延べ素麺の他に、最近人気の高いオリーブ、木桶醤油で有名な醤油、そしてその醤油を活用した佃煮会社が多くあります。

その佃煮会社でも有名な会社「宝食品株式会社」様は、価値ある佃煮づくりのためにと、香川県産のきくらげ栽培を始められ、それらを使った商品を作られています。

その、希少な香川県産きくらげを乾燥させて粉末にし、配合したのが「手延べきくらげ麺」です。

 

中華料理に欠かせない食材のきくらげ。和食でも食感のアクセントとして利用されるきくらげはキノコの一種ですが、実はビタミンDや鉄分、カルシウムなど栄養満点の食べ物なんです。

薬膳の考えでもきくらげは「黒」の食べ物として、とても珍重されていて、寒い時期に弱ると言われる部位に良いとされています。

 

ここまでにご紹介した、「手延べひじき麺」「手延べ黒ごま麺」も薬膳の考えに基づく「黒」の食物を配合した、寒い時期ならではの手延べ麺です。

毎日食べて、健康に!

そんなことを実現できるような手延べ麺を作っていきたいと考えています。

《楽々膳・黒》シリーズをどうぞよろしくお願いいたします。

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《楽々膳・黒シリーズ》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801499

 

 

三代目:次回のブログは1/20ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2022年12月15日 【Vol.4】素麺の規格は太さにより決まっている

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.4

素麺の規格は太さにより決まっている

 

 

 

日本にはたくさんの麺文化がありますよね。素麺・うどんはもちろん、そば、ラーメン、パスタの他にも独自の呼び方・食べ方の麺がたくさんあります。

その中で少し細かく見ていくと、素麺と同様、小麦粉・食塩・水を主な原料とした麺に、「冷や麦」「うどん」「きしめん」があります。これらは日本農林規格(JAS)により、太さなどの規格が定められています。どのような規格があるのか、また、それぞれの麺がどのような特徴を持ち、どんな食べ方に適しているかをご紹介します。

 

三代目:Vol.2の《美味しい素麺》のコーナーでも触れましたが、産地の製法の違いや感覚でなく、厳格に規定で決められています。

呼び名はもちろん、茹で時間も、実は規定があったりします。

古くからあるものだけに、様々な発展や根付き方をしてきたことで、消費者の皆さんを困惑させてしまう恐れがあることから、こういう措置が取られたんでしょうね。特にパッケージの裏面などの表記に関わることなので、ぜひ皆さんも、いつも口にされている素麺やうどんの表記について見てみてください。

 

 

 

【目次】
 

① そもそも「素麺」と「冷や麦」はどう違う?

② JAS規格では麺の太さで分類している

③ 素麺の中でも太さの違いがある

④ 麺の太さで変わる食感と、おすすめの食べ方

⑤ 《産地紹介》長崎県・島原素麺

⑥ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺 編

 


 

① そもそも「素麺」と「冷や麦」はどう違う?

 
しばしば違いが取り沙汰される「素麺」と「冷や麦」ですが、もともとはその製法が異なったようです。

「素麺」は生地を手で細くのばして作り、「冷や麦」は平らな板と麺棒を使って生地を薄くのばし、刃物で細く切って作ったものです。

室町時代の記録に、素麺の起源とされる「索麺」、また冷や麦の起源とされる「切麦」という言葉が見られます。

室町中期の書物「尺素往来」に、「索麺は熱蒸(あつむし)、截麺(きりむぎ)は冷濯(ひやしあらい)」と書かれていることから、細めの切り麺のことを「冷や麦」と呼ぶようになったと考えられています。

素麺の産地が多い西日本では素麺が好まれる一方、東日本ではそばと同じ太さの冷や麦が好まれる傾向にあるという説もあります。

後の明治時代に発明された製麺機では刃の間隔を調整するだけで素麺や冷や麦、うどんが作れるようになったため、それぞれの麺の違いが曖昧になってきてしまいました。

そこで、1968年に日本農林規格(JAS)による規格が制定されたのです。

 

 

<参考サイト>

・日経スタイル

https://style.nikkei.com/

※上記サイト内「「そうめん」と「冷や麦」、違いは何なのか」のページなんですが、URLが大変長く、短縮もできなかったので、トップページのURLを入れています。ご興味のある方は、検索してみてください。

・“そうめん”と“ひやむぎ”の違いは?

https://sozairyoku.jp/%E2%80%9C%E3%81%9D%E3%81%86%E3%82%81%E3%82%93%E2%80%9D%E3%81%A8%E2%80%9C%E3%81%B2%E3%82%84%E3%82%80%E3%81%8E%E2%80%9D%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AF%EF%BC%9F

 

 


 

② JAS規格では麺の太さで分類している

 
JAS規格が制定される前までは、1寸の幅に麺線が何本あるか(例えば「ひやむぎ」は18本から22本、「そうめん」は24本以上など)により分類していました。JAS規格では、おもに太さの違いによって麺を分類しています。主原料に小麦粉と塩を使い乾燥させた「乾めん類」についての規定は、「機械製麺の場合、長径1.3ミリメートル未満が『そうめん』、1.3ミリメートル以上1.7ミリメートル未満が『冷や麦』」となっています。また、太さ1.7ミリメートル以上の麺は「うどん」、4.5ミリメートル以上では「きしめん」となります。

手延べ製麺の場合は少し異なっており、太さ1.7ミリメートル未満であれば「そうめん」「冷や麦」のどちらの名前を使ってもよいとされています。これは、200年以上の歴史を持つ徳島県の半田素麺が太さ1.7ミリメートル前後という特徴があり、「冷や麦」に分類されてしまったため、2004年に規格改定され「そうめん」と表記できるようにしたものだそうです。

 

<参考サイト>

・乾めんJAS規格による分類・太さの比較
http://himeji.jibasan.jp/kanmen/classification/index.html

・ひやむぎとそうめんの違い
https://www.kanmen.com/topic/04_chigai.html

 

 


 

③ 素麺の中でも太さの違いがある
 

太さにより分類される素麺の中でも、前述の半田素麺のように太いものもあれば、熟練した職人の手腕を活かした極細のものもあります。日本三大産地のひとつである奈良県・三輪素麺の、太さによる等級分類があるので、ここでは参考までにご紹介いたします。

 

《三輪の神杉(かみすぎ)》約600本 (1束/50gあたり)

三輪素麺を代表する、限定された生産者しか作れない超極細の最高等級品。しっかりしたコシによる食感、茹で上がりのツヤ、上品な口当たりが感じられます。

 
《三輪の緒環(おだまき)》約475~525本 (1束/50gあたり)

極細専用の小麦粉を使用し、限られた時期にのみ、限定生産者により作られています。極細ながら弾力のある歯応えが特徴です。 

 

《三輪の瑞垣(みずがき)》約400~475本 (1束/50gあたり)

厳寒期のみの生産。通常の三輪素麺より細めに作られ、指定生産者が管理された専用の蔵で熟成させてから出荷している古物(ひねもの)で、しっかりしたコシがあります。

 

《三輪の誉(ほまれ)》約350~400本 (1束/50gあたり)

三輪素麺の生産量の約90%を占めるレギュラー品。手延べ製法の基本を守り、厳選された小麦粉と塩で小麦の風味を生かし、味わい深く仕上げています。

 

 

<参考サイト>

・同じそうめんでも実は違う!?意外と知らないそうめんの太さとその違いとは

https://ikerishop.com/wp/150/

・そうめんの等級

https://www.miwasoumen-kumiai.com/kodawari/grade.html

・日本一細いそうめんと日本一太いそうめんの秘密を探る!

https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/03/post-9720.html

 

 


 

④ 麺の太さで変わる食感と、おすすめの食べ方
 

素麺と言えば、冷たいつゆにつけて食べる夏の食べ物というイメージを持つ人が多いようですが、実は温かくしても美味しく食べられます。細めのものは冷やしてつるんとしたのど越しを楽しみ、太めのものはコシがよりしっかりしているので、温かい出汁で食べるのがおすすめです。くせのない味なので、幅広いアレンジで楽しめます。

 

《冷やしてさっぱりと》

定番の麺つゆで、オリーブオイルで冷製パスタ風、野菜たっぷりでサラダ風、など

 

 

《温かくほっこりと》

鶏だしでにゅうめん、みそ汁の具に、中華だしでラーメン風、炒めてチャンプルー、など

 

 

 


 

⑤ 《産地紹介》長崎県・島原素麺

 

島原素麺は、南島原市を中心に作られています。

知名度は三大素麺(奈良県・三輪素麺、兵庫県・播州素麺、香川県・小豆島素麺)に負けず劣らず高く、その生産量は全国第二位となっています。

温暖な気候や、雲仙岳の麓から湧き出る清冽な水など自然の恵みに育まれた環境が、素麺作りに適しています。グルテンを多く含む強力粉を使うため、コシが強くツルツルした食感が特徴です。

高度な技術と品質に優れ、他産地の下請けとして発展してきた経緯があり、これまでは表に出てくる機会が少なかったようですが、今ではダントツ二位の市場シェアを持っておられます。

 

 

島原素麺のルーツは諸説ありますが、そのひとつに、島原の乱後、人口が激減したため小豆島から移住した人により製麺技術が伝えられたという説があります。

他説には、九州は古来より異文化の入り口として歴史的にも認められるところですが、その中で南蛮や中国の食文化が入り独自の発展をした…と言う説もお聞きしたことがあります。

何れにせよ、小豆島からの移住された方が多いのは事実で、今も小豆島との交流は続いているそうです。

 

 

<参考サイト>

・三大そうめんと島原素麺

https://ajinomen.jp/c-fpage?fp=soumen-best3

・島原手延そうめんの歴史

http://minamishimabara-somen.jp/somen/

・島原手延べそうめん

https://www.city.shimabara.lg.jp/page2972.html

・産地別そうめんの比較とおすすめランキング

https://kurabeta.jp/somen/

 

 


 

⑥ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺

 

小豆島には4つの有名な食品産業があります。

ひとつは、小豆島手延べ素麺

もうひとつは、オリーブ

さらにひとつは、醤油

最後に、佃煮

実はもうひとつ。世界に誇る食品メーカーとして!

小豆島手延べ素麺に欠かせないごま油の製造会社「かどや製油」さんです。

 

先日(2022年12月8日)に、かどや製油様を訪問させていただき、当たり前のように使っていたごま油について、本当に詳しくお話を伺ってまいりました。そのお話は、また後日ブログでご紹介させていただきますね。

 

さて、実は小豆島はごま油の製造(ごまの栽培はほとんどありません)でも有名な島ですから、何かごまを使用した製品はできないか…と試行錯誤の上で完成したのが『手延べ黒ごま麺』です。これは、先日のブログ(お!いしい けんぶんろくVol.3)でもご紹介した『手延べひじき麺』と同じくして発売を開始した新しい麺です。

これもまた《楽々膳・黒》シリーズの麺で、薬膳で言われる「黒」の食べ物を練りこんだ麺です。『手延べ黒ごま麺』はかなり太麺で食べ応えがあり、モチモチとした食感が美味しい麺です。茹で伸び・煮崩れしにくく、温かいお出汁とよく合います。

黒ごまは食物繊維や良質な必須脂肪酸、アントシアニン、セサミンなど健康成分を多く含みます。その黒ごまを炒って粉末化したものを練り込むことで、より香りが際立つ手延べ麺に仕上がっています。

毎日食べていただけるような麺を作りたいと、日夜研究しております。

《楽々膳・黒》シリーズをどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

三代目:次回のブログはお正月休みを挟んで1/10ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

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色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

2022年12月1日 【Vol.3】無病息災を願う宮中の行事食だった素麺

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.3

無病息災を願う宮中の行事食だった素麺

 

 

 

素麺の歴史は約1,200年の長きにわたりますが、庶民が気軽に食べられるようになったのは江戸時代頃からです。

元々は、宮中での儀式などにおける特別な食べ物という位置づけでした。

現代でも、七夕やお盆の行事食や、大切な方への贈り物に用いられる理由について、ご紹介します。

 

【目次】

① 中国の故事から生まれた、七夕に素麺を食べる儀式

② お盆には、ご先祖様との縁をつなぐ役割も

③ お中元にもお歳暮にも。高級感ある贈り物の定番

④ 《産地紹介》兵庫県・播州素麺

⑤ 《美味しい素麺》手延べひじき麺 編

 


 

 

① 中国の故事から生まれた、七夕に素麺を食べる儀式

 

素麺の起源は、奈良時代に中国から伝わった「索餅(さくべい)」という、小麦粉・米粉・塩を混ぜて細長くのばしたものとされています。

「年中行事抄」という書物に記されている中国の伝説によると、古代中国の伝説の帝である高辛氏の子が、7月7日に亡くなり、その霊が鬼神となって、瘧(おこり/マラリヤのような熱病)の流行を引き起こしました。

そこで、その子が生前好きだった索餅を命日に供えて祭ると、病の流行はおさまったそうです。

この故事により、「7月7日に索餅をお供えして食べると、一年間流行病にかからない」という言い伝えが生まれ、日本にも無病息災の願いをこめて七夕に素麺を食べる習慣が根付いたと言われています。

平安中期の法典「延喜式(えんぎしき)」には、宮中の作法と儀式として、七夕に素麺をお供えすることが記されています。また鎌倉時代の儀式書「師光年中行事」には、「正月十五日の七草粥、三月三日の桃花餅、五月五日の五色粽、七月七日の索餅、十月初餅」などを宮廷にとり入れて祭事とした、という記述があります。

 

三代目:元々、夏場に多くご注文を頂戴する素麺ですが、ただ冷たく冷やして食べれるから…だけじゃないんですよね。

健康のことを祈願して、相手のことを思いやる食べ物として昔から重宝されていると知った時に、私が三代目として事業を承継する際に大切にしたいテーマと思ったのが『優しく人に寄り添う、素麺』=『よりそうめん』です。

また、今の新製品開発のコンセプトは健康に嬉しい、体に優しい麺の開発です。この冬からも、このテーマを大切にした新製品を発売しています。

<参考サイト>

・七夕には「そうめん」。 長〜い歴史にこめられた願いとは?

https://tenki.jp/suppl/usagida/2016/07/06/13441.html

・素麺は長寿祈願やお祝いの食べもの

https://www.fukurokuju-gift.com/hpgen/HPB/entries/13.html

 


 

② お盆には、ご先祖様との縁をつなぐ役割も

 

お盆に素麺をお供えしたり、行事食として食べる風習は、日本各地にあります。その由来としては、お盆の時期の「麦の収穫祭」をかねてお供えするという説や、七夕に食べる風習から、素麺を糸に見立て、針仕事の上達を願う縁起物としてお供えするという説などがあります。

お盆に素麺を食べるのには、七夕同様、無病息災を願うことに加え、地域によりさまざまな意味があります。その細長い形状から、「幸せや喜びが細く長く続く」という縁起を担ぐ意味。

ご先祖の魂がお土産を持ち帰るための背負い紐の役割。

また、ご先祖が精霊馬に乗って帰る時の手綱の役割をするというもの、などです。

素麺の日本三大産地のひとつである小豆島には「負い縄そうめん」という風習があります。乾燥させる前の生の素麺を“のれん”のように編んで仏壇の前にかけ、ご先祖様を迎えるというものです。

また、ご先祖様がこれを風呂敷代わりにお供え物を包んで持って帰るという意味もあります。戦前には多くの家庭で行われていましたが、今では民家数軒でこの独特の風習を守り受け継いでいるそうです。

※写真は、小豆島で今もお盆に負い縄そうめんをお供えされる川﨑様からのご提供

<参考サイト>

・何故お盆に「そうめん」なの?そうめんをお供えする意味と由来

https://nadesico-magazine.jp/obon-sohmen/

・お盆にちなんだ食べ物について

https://www.h-fureai.com/column/food-named-after-obon#chapter-13

・お盆飾りにそうめん編む 消えかけた小豆島の風習を復活し、4世代で続ける家

https://news.yahoo.co.jp/articles/59b11b3a8a0c651ae631dba51d182a7031be35e1

 

 


 

③ お中元にもお歳暮にも。高級感ある贈り物の定番

 

江戸時代、素麺は宮廷に献上されるような高級品だったためか、贈り物としても古くから選ばれてきました。

一昔前でしたら夏場のお中元には欠かせない存在だったのではないでしょうか。

 

現在はお中元という習慣が少なくなってきましたが、今なお、夏の贈り物の定番として人気は高いと思います。

細くて長い形状に「細くても長いお付き合いをお願いします」といった意味が込められています。

 

今でこそスーパーで気軽に購入できる素麺ですが、職人が手間暇かけて作る手延べ素麺は高級感があり味わいも格別なので、相手への思いを伝える贈り物として、多くの人に選ばれています。

保存性に優れており日持ちするため、備蓄品にも適しています。

短時間で茹で上がり、淡白な食味でいろんな味付けに合うため、多彩なアレンジが楽しめます。

手延べ素麺はコシが強くのびにくいので、温かいおつゆや鍋物など冬の食卓でも大活躍。

お中元だけでなくお歳暮や年始の挨拶品としても最適です。

 

 

 

<参考サイト>

・お中元でそうめんを贈るのってなんでなの?その理由を教えます。

https://niko-niko-blog.com/ochugen-soumen/

・お中元の定番がそうめんなのはなぜ?

意味ってあるの?

https://www.shop.post.japanpost.jp/column/ochugen/ochugen_teiban.html

 


 

④ 《産地紹介》兵庫県・播州素麺

 

日本の素麺三大産地のひとつで、生産高国内第1位。

室町時代初期、現在の兵庫県南部・播州にある斑鳩寺(いかるがでら)の古文書「鵤庄引付(いかるがのしょうひきつけ)」に「サウメン」という記述が見られ、約600年前から播州で素麺が食べられていたことが分かります。

素麺作りが本格化したのは江戸時代。

龍野藩の許可業種として奨励され、揖保川の水や播州平野で採れる良質な小麦、有名な赤穂の塩などの原材料にも恵まれ、農家の副業として発展を遂げました。

生産量が増えるとともに、粗製乱造で産地の信用を落とす事態も発生したため、龍野藩・林田藩・新宮藩内の素麺製造業者が集まり、厳しく品質などを管理しました。

この集まりが元になり、明治時代に「揖保乃糸」ブランドが誕生しました。

現在、「揖保乃糸」ブランドは兵庫県手延素麺協同組合が一括管理しています。

揖保川流域のたつの市や姫路市、宍粟市、太子町、佐用町で毎年限られた期間に生産されており、文字通り糸のような細く美しい形状や、なめらかな舌触り、コシのある食感と風味が特徴だそうです。

三代目:皆さんはご存知でしょうか?兵庫県たつの市に「大神神社(おおみわじんじゃ)」というところがあり、こちらは、農業の守護神として祀られるのと合わせて「揖保乃糸(播州素麺)」の守り神としても祀られ、その名も『素麺神社』と呼ばれているそうです。

主祭神は国津神の大物主大神で、奈良の官幣大社、大神神社の分祀だそうですが、「おお“みわ”」とお聞きすると、三輪神社との繋がりを勝手に想像してしまいます。

三輪素麺には三輪神社、播州素麺には大神神社がありますから小豆島手延べ素麺にもそういった素麺に関連した神社がないか調べてみたいものです(実はあって、私が知らないだけかもしれませんが)。

一度、こちらにも行ってみたいなと思っております。

<参考サイト>

・姫路・西はりま地場産業紹介

http://jibasan.or.jp/jibasan/soumen/index.html

・姫路みたい

https://www.himeji-mitai.com/feature/374539.html

・農林水産省HP

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_8_hyogo.html

 


 

⑤ 《美味しい素麺》手延べひじき麺 編

 

2022年の冬の目玉商品として『楽々膳・黒』シリーズを販売させていただきました。

香川県産の「きくらげ」を使用した『手延べきくらげ麺』。

小豆島ともご縁のある「黒ごま」を使用した『手延べ黒ごま麺』。

そして、今回ご紹介するのが、小豆島産の「ひじき(茎)」を使用した『手延べひじき麺』です。

ほのかに香るひじきの香りが、海に囲まれた小豆島ならではの素麺に仕上がっていると思います。

今回はご縁があり、小豆島池田漁協様とのコラボ製品として誕生しました。

小豆島や瀬戸内のものを使った製品づくりというのは理想なのですが、今回はそれだけでなく、「ひじき」の栄養価に着目して開発をおこないました。「ひじき」とは、薬膳で言うところの「黒」の食品に属し、冬に弱る体にとって良い食べ物とされています。

美味しいから毎日でも食べたい。

そう言っていただけるのは本当に嬉しい限りですが、せっかく毎日召し上がっていただけるなら体に良い麺は作れないだろうかと試行錯誤の内にたどり着いた手延べ麺です。

冬に食べると良いと言われる「黒」の食べ物の「ひじき」の入った麺ですから、やはり温かくして召し上がって頂くのがいちばんのおすすめです。とは言え、せっかくならお出汁と一緒に召し上がっていただく煮麺風も良いですが、せっかくならちょっとアレンジして、一緒にお野菜も食べていただける「ポトフ風麺」はいかがでしょうか。

お好みの具材を煮込んだポトフのスープに、ポキポキっと折って茹でた「ひじき麺」を食べる前に合わせるだけ。腹持ちも良くて、何より体が温まりますよね。少し生姜をおろして召し上がっていただいてもいいと思います。

ぜひ寒い冬の一品に『手延べひじき麺』をお召し上がりください。

『手延べひじき麺』の開発秘話については、こちらもご覧ください。

 

 

 

三代目:次回のブログは12/15ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。