【お!いしい けんぶんろく】 Vol.32
麺究者への道/納豆について研究してみる
Vol.28のブログから「発酵」「熟成」について調べています。
前回は、「醤油」について色々な角度から学びを深めてみましたが、今回は、素麺とは少し離れた立ち位置(?)の「納豆」についてです。
調べてみてまず驚いたのが、日本では西に行くほど納豆が食べられていないとか…(もちろん好き好きもあるかと思いますが)
石井家では、全員納豆を食べます。
小豆島ではどうなんでしょうか?
ただ、小豆島は醤油の産地ですから、納豆をつくる際の「納豆菌」は醤油をつくる際の「麹菌」「酵母」の天敵らしく、醤油蔵の見学の際には「朝、納豆を食べていませんか?」と聞かれるところもあるのだそうです。
といっても、醤油自体は納豆にかけて食べたりするので相性は良いと思いますが、原料加工の際には相性の悪い物なんだそうです。
前回調べた醤油は、素麺と同じくらいの歴史でしたが、納豆はなんと!弥生時代から食べられていたそうです。
下でも述べていますが、偶然発見されたものだと考えられていて、煮豆をわらの上に落としたら、香ばしいニオイがして食べたら美味しかった…そこから納豆の製造方法が確立されて今日もつくり食べ続けてられているのだそうです。
そう考えるとスゴいですよね。
良いニオイがしたからと言っても、糸を引く食べ物をよくぞ口にしたなと思います。
今では当たり前かも知れませんが。
また、納豆は昔から、栄養価のある物、
現代でこそ科学の力で、何が良いのか調べることができますが、当時はそんな知識も無く、実体験で体に良い物として食べられてきたんだと思います。
そういった食品の良さを引き出す「発酵・熟成」について、今回は「納豆」というテーマで掘り下げてみたいと思います。
最後までお付き合いの程、どうぞよろしくお願いいたします。
【目次】
① 偶然生まれた?謎に包まれる納豆の起源と、その歴史
② 発酵の過程で健康成分を増やす&生み出す納豆菌
③ 発酵と熟成の温度管理がカギ!納豆のつくり方
④ 糸を引かないものもある!?納豆の種類あれこれ
⑤ 意外な組み合わせも!納豆と相性の良い食材とは?
⑥ 順当?意外?納豆とかかわりの深〜い地域
⑦ 地域が違えばこんなに違う!納豆の食べ方あれこれ
⑧ 納豆は万国共通!?世界の大豆発酵食品いろいろ
⑨ 《美味しい素麺》手延べ山芋素麺 編
① 偶然生まれた?謎に包まれる納豆の起源と、その歴史
納豆は、煮たり蒸したりして柔らかくした大豆を発酵させた食べ物です。
日本人が納豆を食べるようになった時期ははっきりとは分かりません。
ですが、米や大豆の栽培が普及し、野菜の煮炊きが行われるようになった弥生時代と推測されています。
当時の竪穴式住居の床には、納豆菌の格好の住みかとなる稲わらが敷かれていたそうです。
煮た大豆が稲わらの上に落ちたのか、稲わらでくるんで保存したのかで、納豆菌が大豆に偶然付着したのがきっかけという説があります。
納豆の発祥には他にもいろいろな説があります。
飛鳥時代、聖徳太子が愛馬にエサとして与えていた煮豆の残りをわらに包んで、数日後に開けてみると糸を引き、美味しい豆になっていた、という説。
平安時代、源義家という武将が地元の農民に緊急の食糧供出を命じ、慌てた農民が大豆を煮てすぐわらに包み供出。
数日後、香ばしい匂いにわらを開けてみると、糸を引き美味しい豆になっていたという説。
ちなみに源義家の伝承は、水戸納豆でおなじみの茨城県や、秋田県など各地にあるそうです。
他にも、時期や地域もさまざまな説があるようです。
「納豆」という言葉が確認できる最古の書物は、平安時代の「新猿楽記(しんさるがくき)」とのことですが、これは糸を引かない「塩辛納豆」のことだったとも言われています。
南北朝時代には、光厳法皇という人が村人に「藁包納豆」の製法を伝えたという記録が残っているそうです。
室町時代には糸引き納豆が広く知られるようになり、日常的に食されるようになりました。
「納豆」の語が糸引き納豆を指していることが明らかな、現存する最古の史料は、15世紀の「精進魚類物語」という御伽草子だそうです。
戦国時代においては、栄養価が高く保存性が良い納豆は、重要な兵糧のひとつとして武士のタンパク源やスタミナ源となりました。
古代から京都のお寺でつくられていた「塩辛納豆」が浜名湖畔などに伝わって「浜納豆」として名産品になり、足利義勝や今川義元、豊臣秀吉などの武将などにも好まれたそうです。特に徳川家康は「浜納豆」がお気に入りで、江戸幕府の歴代将軍に献上されていたとも言われています。
江戸時代には一般庶民にも広く食べられるようになり、京都や江戸では「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩きました。
ざるにわらを敷いて納豆を盛り、天秤棒にぶら下げて、量り売りしていたとのこと。
またこれとは別に、漬物店などの店頭でわらに包んだ納豆も売られていたそうです。
明治維新以降、清潔志向の高まりなどから、わらに包んだ納豆が一般化されていきました。
大正時代には、包装形態が経木(きょうぎ)や紙の箱などに変わっていきます。
その後、納豆の製造方法などの研究が進み、1960年代以降の冷蔵輸送技術の発展と普及によって全国的に広く流通するようになり、その健康機能性の高さが注目され、人気の食材となっています。
昭和50年代には製造工程がオートメーション化され、包装も現在のようなフィルムパッケージが主流となりました。
<参考サイト>
・納豆のまめ知識
https://www.mizkan.co.jp/natto-information/
・納豆の話
https://hakkousyoku.com/natto/
・納豆の豆知識
https://www.takanofoods.co.jp/fun/nattomame/
・Wikipedia 納豆
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%8D%E8%B1%86
・名物・浜納豆
https://ymy.co.jp/hamanatto.php
② 発酵の過程で健康成分を増やす&生み出す納豆菌
納豆をつくる時に欠かせない「納豆菌」は、「枯草菌(こそうきん)」という細菌の一種です。
納豆菌は、田んぼや畑、枯れ草など身近なところに存在し、特に稲わらに多く生息しています。
煮大豆に納豆菌を加えると、発酵する過程で大豆のタンパク質を分解して吸収しやすくなり、納豆特有の香りや味、ネバネバが生まれます。
この粘性物質は、旨み成分の一種であるグルタミン酸が結合した「ポリグルタミン酸」というもので、昆布の旨み成分と同じものです。
糸を引けば引くほど、旨み成分が増します。
納豆菌は非常に高い繁殖力を持ち、乾燥や熱にとても強いため、取り扱いに注意が必要な場合があります。
酒蔵や味噌・醬油蔵、パン工房などに納豆菌が入り込むと、それぞれの食品の発酵に必要な麹菌や酵母などに良くない影響を与えてしまいます。
また熱湯消毒したり石鹸で洗ったりしても完全に殺菌できないため、納豆菌を持ち込んではいけないとされています。
納豆菌は胃酸にも強いため、生きたまま腸内にたどり着いてもともといる善玉菌を活性化させたり、悪玉菌を抑制して腸内環境を改善したりする働きがあります。
納豆菌は食物繊維があると腸内での働きが盛んになるため、食物繊維も豊富な納豆を食べることで整腸を促進します。
また大豆に納豆菌を加えて発酵させる過程で、タンパク質分解酵素である「ナットウキナーゼ」を生成します。
ナットウキナーゼは、血栓を溶かし、血液をサラサラにする働きが知られています。
納豆を食べるときに25回以上混ぜてより粘りを出すことで、ナットウキナーゼが胃酸で溶けるのを防ぎ、腸で効率良く吸収されやすいという説もあるそうです。
さらに納豆菌は、骨の形成促進に深く関わる「ビタミンK2」を多く生み出します。
納豆菌の発酵により、増加する成分もあります。
原料の大豆が持つ「大豆イソフラボン」は、増加して腸から吸収しやすい「アグリコン型イソフラボン」の形に変化します。
女性ホルモンと似た働きを持つことから、ホルモンバランスを整え、更年期症を改善することが期待できます。
また、アンチエイジング作用が注目される「ポリアミン」は、私たちの体内でもつくられている、細胞の新陳代謝を正常に行うために必要不可欠な成分です。
大豆発酵食品にはポリアミンが多く含まれ、特に納豆は納豆菌による発酵によりとりわけ多く含まれているそうです。
<参考サイト>
・納豆菌とは
https://www.hakko-blend.com/study/b_05.html
・「納豆の発酵による機能性」納豆菌
https://natto.or.jp/kenkou/nattokin/nat09.html
・納豆の健康効果 納豆の発酵と健康成分
http://www.natto-science.jp/effect02.html
・ 女性にうれしい成分 女性にうれしい納豆の健康成分と発酵効果
http://www.natto-science.jp/woman03.html
・【医師監修】納豆菌とは?特徴・効果・効能を説明。腸内環境にいい理由や「強い」といわれる理由を解説
・みそ・醤油・酒など食品工場で納豆を食べてはいけないのはなぜ?|食品工場で気を付けるべき細菌
https://www.exseal.co.jp/blog/taxonomy-07/8944/
③ 発酵と熟成の温度管理がカギ!納豆のつくり方
納豆の基本的な材料は、大豆と納豆菌のみです。
納豆の発酵はおよそ20~24時間程度と、味噌や醤油と比べて短時間です。
伝統的な製法は、まず大豆を蒸して冷まします。
煮沸消毒した稲わらでつくった「わらづと」に入れ、40℃前後の環境で発酵させると、わらにすみついた天然の納豆菌が繁殖して、20〜24時間ほどで納豆が出来上がります。
現在、一般的なのは、培養された納豆菌を用いた製法です。
まず、きれいに洗浄した原料の大豆を水に浸します。
この工程を「浸漬(しんせき)」と呼びます。
大豆に水をしっかり吸収させると、もとの2~2.3倍くらいの重さになります。
こうすることで、煮る工程での熱の通りを良くして、煮豆の風味や固さなどを均一にできるそうです。
浸漬時間は水温や大豆の品種、粒の大きさなどによって調節されるそうです。
水を吸わせた大豆を、高圧の圧力釜で蒸し上げます。
これを「蒸煮(じょうしゃ)」と呼びます。
蒸煮によってやわらかくふっくらとした煮豆になり、納豆菌が栄養を取りやすく増殖しやすい環境になります。
また納豆菌がつくり出す様々な酵素類が浸透して大豆の成分を分解しやすい状態にします。
蒸煮の時間や温度は、各メーカーが大豆の品種や産地により工夫しています。
次に、蒸煮した煮豆に純粋培養した納豆菌を噴霧して、表面に付着させます。
雑菌の混入を防ぐため、煮豆の温度が70~90度くらいで接種するのが理想的とのことです。
これを販売用の容器に小分けして、「室(むろ)」と呼ばれる発酵室に入れ、38~42度で16~24時間ほど発酵させます。
その後、発酵室から出して冷却し、5度以下の低温で24時間ほど熟成して発酵で増えた納豆菌を休眠させて完成です。
大豆と市販の納豆を使えば、自宅でも納豆をつくることができるそうです。
乾燥大豆にしっかり吸水させてじっくり茹で上げ、市販のひきわり納豆と混ぜて納豆菌をいきわたらせます。
保温バッグで発酵、冷蔵庫で熟成、などを経て自家製納豆ができるとのことです。
<参考サイト>
・納豆はどうやって作られる?納豆の製造工程を解説
https://sonomono.jp/natto-hakase/natto-hakase-1/
・納豆ができるまで
https://natto.or.jp/make/index.html
・材料たったの2つ!大豆の存在感抜群な「納豆」のつくり方
https://www.hakko-blend.com/food/challenge/09.html
④ 糸を引かないものもある!?納豆の種類あれこれ
納豆は、糸を引く「糸引き納豆」と、糸を引かない「塩辛納豆」の2種類に分けられます。
糸引き納豆はさらに「丸大豆納豆」「ひきわり納豆」「五斗納豆」の3種類に分類されます。
納豆の種類とそれぞれの特徴について、調べてみました。
【糸引き納豆】
私たちが日常よく目にする、大豆を発酵させてつくるネバネバ糸を引く納豆です。
<丸大豆納豆>
大豆を丸ごと煮て納豆菌で発酵させた、もっともポピュラーな納豆。
使用する大豆の大きさにより、大粒・中粒・小粒・極小粒に分類されます。
大豆を皮つきのまま使っているので、歯ごたえを感じられます。
<ひきわり納豆>
大豆を炒ってあらく挽き、皮を取り除いてから煮て納豆菌で発酵させてつくります。
青森、秋田、岩手などでは江戸時代以前からつくられていたとのことです。
大豆の表面積が大きいため納豆菌の旨みを強く感じられ、また皮がないので食感がやわらかく消化しやすいそうです。
<五斗納豆>
ひきわり納豆に麹や食塩をまぜて熟成させたもの。
山形県米沢地方に昔から伝わる郷土食で、以前は冬の保存食として重宝されたそうです。
五斗(約90リットル)も入る大樽で仕込んだのがその名の由来とのこと。
現在では塩分を減らし「雪割り納豆」の名で売られているそうです。
【塩辛納豆】
奈良時代に中国から伝わったもので、お寺でつくられることが多く「寺納豆」とも呼ばれるそうです。
精進料理を食する禅寺で、不足しがちなタンパク質を補える食べ物として広まったと考えられます。
京都の大徳寺で保存食として今もつくり続けられている「大徳寺納豆」や、静岡の浜名湖畔に伝わる「浜納豆」も、同じ種類です。
大豆と小麦と麹菌を塩水に漬け込んで熟成させるため、つくるのに数カ月~1年かかります。
出来上がると黒褐色の半分乾燥したものになり、糸引き納豆のようなネバネバはなく、塩辛く、たまり醤油や八丁味噌のような独特の風味があります。
お茶請けなどで少しずつ食べたり、調味料として使ったりするそうです。
ちなみに「甘納豆」は発酵食品ではなく、砂糖で煮詰めた小豆などにグラニュー糖をまぶし、乾燥させたお菓子で、遠州名物の塩辛納豆「浜納豆」に似ていることがその名の由来だそうです。
※写真はPhotoAC「大徳寺納豆」より
<参考サイト>
・大徳寺納豆とは
https://www.honke-isoda.com/contents/category/about/
・納豆の種類と特徴│おすすめの選び方やおいしく食べる豆知識も
https://www.shufoo.net/plus/shopping_tips/440
⑤ 意外な組み合わせも!納豆と相性の良い食材とは?
納豆に薬味などの食材を加えて食べる人も多いと思います。
味はもちろん、栄養面で相性の良い食材にはどんなものがあるか、調べてみました。
【ネギ・ニラ・ニンニク】
納豆に含まれるビタミンB1の吸収を促進する「硫化アリル」が豊富な食材です。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労回復にも役立つ成分です。
【しらす・ちりめんじゃこ】
カルシウムが補えます。
【キムチ】
キムチは乳酸菌による発酵食品です。
納豆に含まれるオリゴ糖が、キムチの乳酸菌のえさとなり、相乗効果で腸内の善玉菌を活性化することが期待できます。
【ヤマイモ】
ジアスターゼやアミラーゼなどの消化酵素が豊富です。
【チーズ】
同じ発酵食品で、味の相性も良いです。ビタミンAが豊富に含まれます。
【トマト】
納豆にあまり含まれないビタミンCやビタミンAを補えます。
【アボカド】
食物繊維やオレイン酸、カリウムが多く含まれています。
納豆におすすめの調味料は、醤油やたれ以外にもいろいろあるようです。
【酢】
納豆のにおいが軽減し、ふわふわした食感になります。
【砂糖】
砂糖の保水力で粘りが増します。北海道や東北では定番の食べ方という地域もあるそうです。
【マヨネーズ】
コクが出て、まろやかになります。
逆に、気をつけたい組み合わせや食べ方も調べてみました。
僕も知らず知らずの内にやっていました。
【生卵(卵白)】
卵に含まれる「アビジン」という成分が、納豆に含まれる「ビオチン」の働きを抑制します。
ビオチンはビタミンBの一種で、私たちの皮膚や粘膜の維持、爪や髪の健康に深く関わる成分です。
アビジンは卵白のみに含まれ、熱に弱いので、納豆に混ぜる場合は半熟卵や卵黄のみにすると良いようです。
【熱々のごはん】
ナットウキナーゼは50度を超える熱で効果が弱まってしまうため、ごはんを少し冷ましてから納豆を乗せたり、別々に口に運んだりすると良いようです。
【一部の薬】
食材ではありませんが、「ワーファリン」という経口抗凝固剤を服用している人は納豆を食べてはいけないそうです。
納豆に含まれるビタミンKには血液を凝固させる作用があり、また納豆菌が腸内でビタミンKを産生するため、血液をサラサラにするワーファリンの効果を妨げてしまいます。
心配な方は医師や薬剤師に必ず相談してください。
<参考サイト>
・納豆と相性のいい・悪い食べ合わせ食材とは?プラスワンして栄養効果を高めよう
https://www.food-joint.shop/column/20200531/
・納豆と相性が良い・悪い食材の組み合わせ
https://www.medifoods.jp/blog/post-887.html
・納豆の栄養は最強?期待できる効能や食べ合わせ・薬飲み合わせなどの疑問を管理栄養士が解説
https://tokubai.co.jp/news/articles/5884
⑥ 順当?意外?納豆とかかわりの深〜い地域
納豆の購入金額は東高西低と言われます。
「納豆に関する調査」(全国納豆協同組合連合会納豆PRセンター・2021年6月)によると、「納豆を全く食べない」という回答が、中国地方と四国地方で22.1%と最も多く、ついで近畿地方が17.4%、九州地方が13.8%だったそうです。
一方、東北地方は5.0%、関東地方は7.9%、北海道が8.1%とのことで、東西で好き嫌いが大きく分かれているようです。
大手納豆メーカーでは、地域ごとにたれの味付けを変えたり、西日本ではにおいを抑えた商品を販売したりなどの工夫で、売り上げを拡大しているそうです。
納豆の生産や消費が多い地域について、調べてみました。
【茨城県水戸市】
茨城県は納豆の生産量が全国1位。
大豆づくりに適した地で、古くから小粒大豆の名産地でした。
農家などで自家製の納豆づくりが盛んで、1889年(明治22年)に初代笹沼清左衛門という人が商品化したのが「水戸納豆」の始まりだそうです。
これが水戸土産として人気となり、全国に広まったとのこと。
※写真はPhotoAC「水戸駅前の水戸黄門像 助さん像 格さん像」より
【福島県福島市】
納豆購入額ランキングで2019年~2022年と4年連続日本一だったそうですが、特に納豆に関する歴史は知られていないとのこと。
山間部で越冬のために貴重なタンパク源だったのではないか、また、学校給食で頻繁に納豆が出されるため小さい頃から納豆を食べる習慣ができているのではないか、などの理由が考えられるそうです。
※写真はPhotoAC「会津若松城」より
【熊本県】
納豆の消費量は西に行くほど少ないと言われるなか、熊本は関東並みの消費量だそうです。
熊本の武将・加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち込んだ煮大豆が納豆の起源という説があり、それ以来納豆を食べる文化が根付いたとも言われています。
※写真はPhotoAC「熊本城天守閣」より
<参考サイト>
・西日本に“納豆嫌い”が多い理由とは?北海道「牛乳納豆茶漬け」に鳥取県「スタミナ納豆」…納豆の地域性に迫る
https://www.walkerplus.com/article/1108597/
・納豆の歴史|源義家がはじまり?納豆の発祥から現在まで
https://tempe-oneface.com/plant_based/14944/
・納豆のきほん
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/03.html
・「納豆」購入額“4年連続”福島市が日本一!「モモ」も断トツ、意外なものも・・・
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/318457?display=1
⑦ 地域が違えばこんなに違う!納豆の食べ方あれこれ
納豆について色々調べていくうちに、地域によって食べ方のバリエーションが様々であることが分かりました。
気軽に試せそうなものもありますね。
【砂糖醤油納豆】(北海道)
北海道の一部の人は、納豆に砂糖、醤油を混ぜて食べるのを好むそうです。
【納豆もち】(山形県)
醤油やたれを混ぜた納豆をもちにからめ、ネギをまぶします。砂糖を入れることもあるそうです。
【ひっぱりうどん】(山形県)
村上地方では、サバ缶・納豆・鰹節でつけだれをつくり、うどんを入れて食べるそうです。
※写真はPhotoAC「ひっぱりうどん」より
【おみ漬け納豆】(山形県)
青菜を刻んで他の野菜と漬けた「おみ漬け」と納豆を混ぜて食べます。
※写真はPhotoAC「おみ漬け納豆(黒豆納豆)」より
【納豆汁】(山形県・秋田県)
すり潰した納豆を混ぜたみそ汁。山形県ではいもがら(サトイモなどの茎を乾燥させたもの)を入れた納豆汁を、1月7日に七草の代わりに食べるそうです。秋田県横手地方では、山菜類やキノコ、豆腐を入れた納豆汁を正月三が日、雑煮の代わりに食べ続ける風習があるそうです。
※写真はPhotoAC「納豆汁」より
【砂糖入り納豆】(秋田県)
納豆に砂糖を混ぜて食べます。年配の方に多い食べ方だそうです。
【納豆天ぷら】(秋田県)
シソ・ネギ・胡椒をきかせた納豆の天ぷらです。
※写真はPhotoAC「納豆揚げ」より
【納豆餃子】(福島県)
具に納豆を入れた餃子です。
【ひしょ納豆】(福島県)
喜多方市では、納豆に塩と米こうじ・米をまぜた「三五八(さごはち)」や甘酒を入れて3カ月ほどおいてから食べる料理があります。
【そぼろ納豆(しょぼろ納豆)】(茨城県)
納豆と刻んだ切り干し大根を合わせて、塩や醤油などに漬けこんだ水戸市の伝統的な料理。現在でも日常的に食べられているそうです。
※写真はPhotoAC「そぼろ納豆」より
【きりざい】(新潟県)
魚沼地方の郷土料理で、細かく刻んだ野菜や漬物と納豆を混ぜたもの。これに砂糖を入れることもあるそうです。
※写真はPhotoAC「きりざい」より
【納豆もち】(京都府)
つきたてのもちに大量の納豆を混ぜ、巨大なロール状にしたものを、正月の間食べ続ける風習があります。
【納豆茶漬け】(滋賀県)
坂本で幼少期を過ごした魯山人が広めたと言われる料理。海苔やあられなどをトッピングし、わさびなどを添えて茶漬けにします。
※写真はPhotoAC「納豆茶漬け」より
【スタミナ納豆】(鳥取県)
挽肉とニンニク、ひきわり納豆を炒めた料理で、学校給食で人気のメニューとのことです。
【納豆雑煮】(熊本県)
雑煮に入ったもちを一度取り出して、納豆とあえて食べます。雑煮の中に納豆を入れる地域もあるそうです。
【納豆味噌】(沖縄県)
ひきわり納豆やアーモンドを入れた肉みそのような料理で、学校給食で人気のメニューだそうです。
<参考サイト>
・納豆に砂糖をかけて食べる地域は? 適切な量やうれしい効果をチェック
・納豆のプロに聞いた!日本国内地域別「納豆」の食べ方
https://news.nicovideo.jp/watch/nw5922553
・【納豆アレンジ】全国各地の郷土料理やおすすめレシピを納豆大好きライターが紹介
https://thegate12.com/jp/article/668
・【これって美味しいの?】つきたて餅に“つゆだくの納豆”を…山形県の郷土料理「納豆餅」が話題に
https://maidonanews.jp/article/14394442
・納豆汁 山形県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nattojiru_yamagata.html
・そぼろ納豆/しょぼろ納豆 茨城県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/soboronatto_ibaraki.html
・郷土料理 ひしょ納豆
https://www.gimu.fks.ed.jp/plugin/databases/detail/2/18/252
・鳥取県の郷土料理、スタミナ納豆! レシピ・作り方
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1930018339/
・沖縄の学校給食でおなじみ「納豆みそ」とはなんぞや
https://www.dee-okinawa.com/topics/2023/12/nattoumiso.html
⑧ 納豆は万国共通!?世界の大豆発酵食品いろいろ
納豆は日本独自の食べ物というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実は海外でも、納豆のような大豆の発酵食品がたくさんありました。
【チョングッチャン】(韓国)
茹でた大豆を、納豆菌に似た枯草菌で発酵させ、発酵後に塩と唐辛子粉などを加えて貯蔵性を高めたもの。日本の納豆のような糸を引く粘り気と独特の香りがあり、チゲをつくるのによく使われるそうです。
※写真はPhotoAC「チョングッチャン」より
【トゥアナオ】(タイ・ラオス)
「トゥア」=豆、「ナオ」=腐った、の意味。茹でた大豆を枯草菌で発酵させたもの。粒状やペースト状、さらにそれを薄くせんべい状に広げて乾燥させたもの、があるそうです。もち米と一緒に食べたり、炒め物などに使われたりします。
【テンペ】(インドネシア)
茹でた大豆をバナナの葉で包み、テンペ菌というクモノスカビの一種で発酵させた、ブロック状のもの。白いカビで覆われており、日本の納豆のような粘り気やにおいはないそうです。揚げ物や炒め物などに使われることが多く、ヴィーガン食材として世界的にも注目されているとのこと。
※写真はPhotoAC「テンペ」より
【豆豉(トウチ)】(中国)
中国には、北京語で「豆」(タチオ)と呼ぶ、日本の塩辛納豆に近いもので、色が黒く塩気の効いた食べ物があります。「豉」(シ)は納豆のことだそうです。そのまま食べるというよりは、調味料として使われます。
※写真はPhotoAC「豆豉」より
【キネマ】(ネパール)
粘りがあり、糸を引くもので、製法も日本の納豆と似ています。日本でいう味噌のような調味料として使われるそうです。
【リビイッパ】(ブータン)
「リビ」=大豆、「イッパ」=発酵の意味。茹でた大豆をビニル袋に入れ自然発酵させたり、バナナの葉で包んで発酵させたりするそうです。丸く平たく成形し、焼いて食べられているとのことです。
【バーリュ】(インド)
においも味も日本の糸引き納豆にそっくりだそうです。
【ペーポー】(ミャンマー)
直訳すると臭い豆という意味。糸を引かない納豆をつぶしたものを薄いせんべい状にしたり、調味料として使ったりします。
【ダワダワ】(ナイジェリア)
大豆ではなく「パルキア」という豆が原料で、炒ってから煮てひきわりにし、ヒョウタンに入れて発酵させます。スープの調味料として使われるそうです。
【ネテトウ】(セネガル)
こちらも「パルキア」からつくられます。豆の形を残した塩からい半生のものや、乾燥させたもの、スモークしたもの、粉末にしたもの、があります。スープなとの調味料に使われます。
【スンバラ】(ブルキナファソ)
「ネレ」などのマメ科の植物を原料としてつくられます。豆の形を残して球状にして保存され、調味料として使われるそうです。
<参考サイト>
・納豆まめ知識
https://www.mizkan.co.jp/natto-information/mame/
・海外にも納豆はありますか?
https://www.natto.or.jp/hyakka/ped_natto02.html
・納豆の健康秘密と世界の発酵大豆食品をご紹介:知っておきたい6つの効能!
https://kikuya0029.com/blog/2394/
・ミャンマーの発酵食品
⑨ 《美味しい素麺》手延べ山芋素麺 編
ネバネバ繋がりではありませんが、手延べ山芋素麺をご紹介させていただきます。
普通の素麺よりもモチモチとした食感が特徴で、この時期に大変人気があります。
温かい日が続いたかと思えば、急に気温が下がったり、日中は暖かくても日が沈むと肌寒さがまだまだ身に染みたり。
そんな時期だからこそ、温かいお出汁といただいても良し、麺は冷たくお出汁をアツアツにしたものをぶっかけていただく「ひやあつぶっかけ」でも良し、水洗いした麺を冷たいツユでいただいても良し…のこの時期重宝する手延べ素麺です。
石井製麺所のラインアップとしては古株ですが、現在も好評をいただき、リピーターの多い素麺です。
納豆がお好きな方は、納豆を山芋素麺にトッピングして、召し上がってみてはいかがでしょうか。
《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/
《手延べ山芋素麺》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801493
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。