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石井製麺所通信

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2024年8月26日 【Vol.42】麺究者への道/ビールについて研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.42

麺究者への道/ビールについて研究してみる

 

 

 

 

夏の終わりが近づくにつれ、台風の接近や不安定な天候に悩まされます。

そして、この夏一番の悩みと言えば…

 

今年は、本当にたくさんのご注文を頂戴しました。

暑さが厳しかったことや、暑い日が続いたせいか、今年は8月中旬頃までご注文を多くいただき、製造と発送を交互におこなう日々でした。

その出荷のピークも過ぎた8月中旬頃、なんとか今年も乗り切れたと安堵し、今後の製造に向けて設備の見直しや製造環境の改善など、検討し始めた矢先、なんと、肝心要の乾燥用のボイラーが故障…

 

製造のピークを見計らったように、まったく言うことを聞いてくれなくなったボイラー。

手延べ麺を乾燥させるのになくてはならない存在です。

年々暑さが厳しくなり、また不安定な天候が続くことから、製造環境の改善に経費がどれくらい掛かるかと考え、「ボイラーはもう少し頑張ってくれるかな?」と思ったのが悪かったのかどうか、一番はじめに根を上げてしまいました。

 

さあ、困りました。

 

知り合いの方にお聴きしたり、さらにそのお知り合いの方に修理ができる方をご紹介いただいたり…

色々なツテを頼って、見ていただいたところ、どうやら故障ということでなく、ボイラーの煙を排出する煙突(正確には煙道(えんどう))が詰まってしまっていて、そのせいでボイラーが不完全燃焼していたようです。

原因が分かれば、まずは煙突掃除です。

なんといっても、少なくとも30年選手のボイラーですので、型が古く、メンテナンス用の開口部は設けられていません。ボイラーと煙突の接続部のボルトを一本一本外し、煙突を取り外すところから…

硫黄と煤の塊をなんとか除去。

何とか作動するところまでは回復していただきました!

業者さんと一緒に、みんな煤で真っ黒になりながら頑張ったのは、ある意味いい経験となりました(笑)。

一安心ではありますが、内部の部品には劣化も見られるようで、新しいボイラーへの入替は避けられないようです。設備の見直しを図らなければいけない、今日この頃です。

これが目下、一番の悩みの種です。。。

 

さて、先日のブログでご紹介したマンガ「もやしもん」でも、ビールについてのお話があります。

とっても良いお話で、思わずビールを飲みたくなりました(笑)。

小豆島にもクラフトビールの醸造所があり、こちらはとても近くなのですが、車社会の小豆島。

車で行ったら飲めなくなってしまいますので、見学に伺い、お土産を買って今回のブログで調べたうんちくを読み返しながら自宅で味わってみたいと思います。

 

言われてみればビールも発酵食品のひとつなんですね。

(大)麦を発酵熟成させてつくるのですから素麺づくりに活かせる部分は無いかと色々と調べてみました。

今回も楽しい内容になったと思いますので、最後までご覧いただけると幸いです。

 

 

【目次】

① ピラミッド建設の報酬だった!ビールの歴史

② 鎖国中にもたらされ、冷蔵庫の普及により消費が増えた日本のビール

③ ビールの味わいや香りを決める、原料について

④ つくり方により個性を生み出す!ビールの製法

⑤ ビールの種類は世界に100以上!日本のビールの定義とは?

⑥ 《美味しい手延べ素麵》ビールのおつまみにふし麺のおやつ 編

 

 


 

① ピラミッド建設の報酬だった!ビールの歴史

 

ビールは麦芽・ホップ・水を主原料とした醸造酒で、アルコール度数が低く、炭酸ガスを含み、ホップ独特の香りや苦味を持つのが特徴です。

ビールの誕生は紀元前8000~4000年までさかのぼるとも言われています。

人類最初の文明とされるメソポタミアで、放置してあった麦の粥に酵母が入り込んで自然発酵したのが起源と考えられています。

 

紀元前3000年頃のシュメール人が、ビールづくりの模様をくさび形文字で粘土板に残しています。

当時は、まず麦を乾燥させて粉にしたものを焼いてパンをつくり、それを砕いて水を加え自然発酵させていたようです。

 

同じ頃エジプトでも、肥沃なナイル河畔で収穫される大麦を原料にビールがつくられ、広く飲用されていたとのことです。

ピラミッドを建造する労働者にビールが配られていたとも言われています。

当時のビールはホップは使用されず、薬草やはちみつなど様々な原料が使われていました。

栄養食品としてや、神様へのお供え物としても用いられていたそうです。

 

 

紀元前1700年代に制定された初めての成文法「ハムラビ法典」にも、ビールに関する法律が制定されているそうです。

この頃には各所に醸造所がつくられ、ビアホールのような店もあったようで、その取り締まり規則や罰則などが公布されました。

 

ギリシャやローマでは、麦類が生育しにくい気候風土のためか、ワインが主流となっていました。

 

北ヨーロッパでは、古代ゲルマン人が定住生活に入った紀元前1800年頃すでにビールがつくられていた記録が残っているそうです。

ゲルマン人やケルト人は、麦類を麦芽に加工する、現代にも通じる製法でビールをつくっていたようです。

 

ビールづくりにホップが使われるようになった時期については諸説ありますが、紀元前1000年頃、コーカサスに住んでいた民族から始まったという説が有力とのことです。

 

中世に入ると、ゲルマン民族の大移動によりヨーロッパ各地にビールが広がりました。

「ビールは液体のパン」「パンはキリストの肉」と考えられ、教会や修道院でビールづくりがさかんになりました。

当時のビールは、栄養補給や医療にも利用されていたようです。

 

11世紀後半になると、ビールづくりにホップを使用すると品質が飛躍的に向上すると分かってきて、ホップのビールが次第に広まりました。

技術の進歩もあり、一般庶民にも飲まれるようになって、15世紀以降には民間でもつくられるようになりました。

 

中世まではビールが腐敗しないように、9月~3月ごろの涼しい時期にビールづくりがおこなわれていました。

しかし気温が低すぎると発酵がうまく進まないなどのトラブルもあったそうです。

15世紀にドイツのミュンヘンで、下面発酵のビールが誕生します。

当時のビールは、高温で短時間、貯蔵と発酵を行う上面発酵のビールが主流でした。

低温で長時間、貯蔵と発酵を行う下面発酵ビールはその後のビールづくりを大きく変え、現在も世界の主流となっています。

 

1516年ドイツで「ビール純粋令」が交付されました。

「大麦・ホップ・水の3つの原料以外は使用してはならない」と定めることにより、その後ドイツビールの品質維持向上に貢献しました。

現在でもドイツでは下面発酵ビールの製造においてこの法律が守られています。
19世紀後半、ドイツのリンデが冷却機を発明し、下面発酵ビールが四季を通してつくれるようになりました。

またフランスの細菌学者パスツールが発明した低温加熱殺菌法により、ビールの長期保存が可能になって市場が拡大しました。

一方、デンマークのハンゼンが発見した酵母の純粋培養法により、ビールづくりに適した酵母だけを分離できるようになり、近代的な大量生産への道が開かれたとされています。

 

 

<参考サイト>

・ビールの豆知識|ビールの歴史

https://www.brewers.or.jp/tips/histry.html

・ビールの歴史をわかりやすく解説|ビールの発祥から現在までを説明

https://www.sakesen.com/blog/history-of-beer/

・ビールの歴史を教えてください。

https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001716.html

 

 

 


 

② 鎖国中にもたらされ、冷蔵庫の普及により消費が増えた日本のビール

 

日本にビールが入ってきたのは江戸時代です。

鎖国政策のもと、唯一開港していた長崎県の出島でオランダからビールがもたらされ、蘭学者たちが試飲や試作をしたと言われています。

日本で初めてビールを醸造したのは幕末の蘭学者・川本幸民で、物理・化学分野の翻訳もしていた中で、ビールの醸造実験にも取り組んだとされています。

日本にビール醸造所が初めて設立されたのは1869年、横浜の外国人居留地で開設された「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」です。

1870年にはアメリカ人の醸造師ウィリアム・コープランドが、現在のキリンビールの前身となる「スプリング・バレー・ブルワリー」を創設しました。

1872年、大阪で渋谷庄三郎が日本人では初めてビールの醸造・販売を本格的に開始したのを皮切りに、各地にビール会社が誕生します。

北海道に設置された開拓使により1876年「開拓使麦酒醸造所」が開業され、開拓使の廃止後に設立された「札幌麦酒会社」が、現在のサッポロビールです。

1889年に設立された「大阪麦酒会社」は、後にアサヒビールとなっています。

明治20年代に入ると近代化が進み、日本のビール総生産量が輸入量を超え、ビール産業は著しく成長していきました。

1899年、ビアホールが銀座にオープンしました。

当時ビールを提供するレストランは高級店であったため、ビールだけを気軽に飲める業態として発案されたビアホールは庶民に大人気となり、一時期の東京には約2,000軒のビアホールがあったそうです。

1950年代後半~1970年代にかけての高度経済成長期には、ビールの消費量が爆発的に増えました。

ビールはお店で飲むのが主流でしたが、家庭用冷蔵庫の普及により自宅での消費が急増したためです。

昭和40年代には全国で10のビール工場が新設され、製造量は10年間で2倍に増えました。

しかし1994年に過去最高の製造量を記録したのをピークに、飲酒人口の減少や消費者の嗜好の多様化・個性化により、ビールの製造量は減少傾向が続いています。

一方、1994年にビール製造免許に係る最低製造数量基準が年間2,000キロリットルから60キロリットルに引き下げられたことにより、各地に小規模なビール醸造所が登場し、独自のビールをつくり始めました。

1990年代後半には「地ビール」ブームが巻き起こりましたが、価格が高いこともあり、ブームは数年で衰退してしまいます。

そんな中、2000年代にアメリカで「クラフトビール」が人気を集めるようになるのに伴い、日本の小さな醸造所でつくられた地ビールも「クラフトビール」と呼ばれ、注目されるようになりました。

大手メーカーのビールとは異なる個性的で多様な味わいが好まれ、さらなる広がりを見せています。

 

 

<参考サイト>

・つい話したくなるビールの歴史と豆知識。ビールは常にイノベーションとともにあった

https://nf-startup.jp/report/details/3067/

・日本のビールの歴史と国内の大手ビールメーカーを知ろう!

https://tanoshiiosake.jp/9219

・クラフトビールと地ビールの違いとは?歴史や人気の理由も解説!

https://yonasato.com/column/guide/detail/craft_beer/jibeer/

・意外と知らなかった!「地ビール」と「クラフトビール」の違いとは

https://www.fujizakura-beer.jp/craft-beer-difference/

 

 

 


 

③ ビールの味わいや香りを決める、原料について

 

ビールの主な原料は、麦芽・ホップ・水、そして酵母です。

その組み合わせや量、使うタイミングや温度などにより、味わいや香りが変わります。

ビールの原料について、詳しく調べてみました。

 

【麦芽】

発芽した大麦の芽と根を取り乾燥させ、さらに熱風に当てながら焙燥(ばいそう)したもので、「モルト」とも呼ばれます。

大麦には、穀粒の実り方が二列の「二条大麦」と、六列の「六条大麦」があります。

ビールづくりに使われるのは、粒が大きく均一で、アルコールの原料となるデンプンの含有量が多い二条大麦で、別名ビール大麦とも呼ばれます。

小麦やライ麦、オーツ麦が使われるビールもあるそうです。

麦を発芽させることで、種子中の糖化酵素(アミラーゼ)が活性化し、麦芽に含まれるデンプンを糖に変えます。

その糖分を酵母が食べる、つまり発酵することにより、アルコールと炭酸ガスができるのです。

 

 

【ホップ】

多年生のつる性の植物で、松ぼっくりに似た花のような形をしためしべの「毬花(まりはな)」という部分が使われます。

ビールに苦味と香りを付けたり、泡のもちを良くしたり、腐敗を防いだりする役割を果たします。

北半球の涼しい地域で多く栽培され、8~9月頃に収穫されます。

香りの良い「アロマホップ」と、苦み成分の多い「ビターホップ」の2種類があります。

 

 

【水】

ビールの約90%を占める原料である水は、地域ごとに成分が異なり、その地でのビールの味わいに大きな影響を与えます。

日本で多く飲まれている淡色のビールには、カルシウムやマグネシウムなどの含有量が比較的少ない軟水が適しています。

硬水は、発酵も旺盛になりやすいことや、麦芽から多くの成分を溶け出させることなどから、濃色のビールづくりに向いているそうです。

 

【酵母】

ビールのもとである麦汁を発酵させてビールにする微生物

麦汁に含まれる糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する役割を持ち、発酵の副産物としてエステルという香り成分を生み出します。

ビールづくりに用いられるビール酵母は、上面発酵酵母と下面発酵酵母の2系統に分けられます。

上面発酵酵母は20℃前後で発酵し、発酵終期には酵母が液体の表面に浮いてきます。

味も香りも個性的なものが多く、多様性があります。

ヨーロッパなどでは上面発酵ビールが根強く飲まれています。

下面発酵酵母は10℃前後でゆっくりと発酵し、発酵終期には酵母が底に沈みます。

さっぱりした味わいですっきりしたのど越しが特長です。

15世紀に南ドイツで登場し、低温で発酵するため寒い時期にもビールづくりが可能なことや微生物の汚染リスクが低いことなどから19世紀にはビールづくりの主流となり、今や世界のビールの生産量の約9割を占めています。

 

主原料以外の副原料には様々なものがあり、アルコールのもとになるものと、香味付けに使われるものの2つに分けられます。

【アルコールのもとになる副原料】

米やトウモロコシからとったデンプン(スターチ)や、糖類があります。

これらの使用比率が高いと、酒税法では「発泡酒」とされます。

 

【香味付けに使われる副原料】

ラズベリーやチェリー、イチゴやリンゴなどの果物や、シソやハーブなどがあります。

これらの原料を使用すると、酒税法では「発泡酒」となります。

 

 

<参考サイト>

・ビールの原料って??

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/seminar/r5/2305/material.htm#:~:text=%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%80%81%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%80%81%E9%BA%A6%E8%8A%BD,%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%82%82%E3%

・ビールの豆知識|ビールの造り方

https://www.brewers.or.jp/tips/production.html

・ビールの原料|4つの原材料の組み合わせで味わいが変わる!クラフトビールメーカーが解説

https://yonasato.com/column/guide/detail/craft_beer/material/

・これからビール通になりたい方へ

http://www.ji-beer.co.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/43

 

 

 


 

④ つくり方により個性を生み出す!ビールの製法

 

ビールはどのようにつくられているか、調べてみました。

 

【製麦(せいばく)】

まずは麦を発芽させて麦芽をつくります。

デンプンやタンパク質を分解する酵素が生成されたり、大麦の成分を分解しやすい状態にしたりする工程で、ビールの色や香りはこの過程で特徴づけられます。

製麦は大きく3つの工程に分けられます。

<浸麦(しんばく)>

大麦を約15℃の水に2日間ほど浸すことで、発芽を促し、生育に必要な水分を吸わせます。

この間に水を入れ替えることで、大麦に含まれる雑味が溶け出し、また粒についているほこりも洗い流されます。

<発芽>

発芽室で15℃前後に保たれるよう冷風を送り、定期的に大麦を混ぜて発芽を促します

硬い大麦の粒が発芽によりやわらかくなります。

<焙燥>

発芽した大麦を熱風で乾燥させて発芽を止めます。

約50℃から約80℃まで徐々に温度を上げます。

大麦は香ばしく仕上がり、雑菌が繁殖できないほど乾くため長期保存が可能になります。

またビールの色や香りの成分もつくり出されます。

焙燥の温度や時間を調整することで、多様な味わいが生まれます。

焙燥が終わったら、大麦から渋味や雑味のもとである伸びた根っこを取り除きます。

 

【仕込み】

麦芽やホップ、またビールの味を変化させるオレンジピールや果実などの副原料を使用して、糖やアミノ酸を含んだ麦汁をつくります。

仕込みは大きく5つの工程に分けられます。

<粉砕>

麦芽を細かくすることで、デンプンを糖化させやすくします。

ただし細かくしすぎるとろ過しにくくなり、また、穀皮と呼ばれる大麦の表面にある苦み成分が麦汁に溶けだしてしまうため、細かくなりすぎないように粉砕します。

<もろみづくり>

粉砕された麦芽をお湯と一緒に仕込み樽に投入し、これを撹拌しながら適度な温度に保ちおかゆのような状態にします。

<糖化>

麦芽に含まれるデンプンを酵素によって糖に分解します。

この工程を「糖化」と言います。

同時にタンパク質はうま味成分のアミノ酸に分解されます。

糖化が最も進む約65℃を維持することで、おかゆ状から透き通った色のサラサラな状態へと変化します。

<濾過>

穀や麦芽の粒などの固形物を、大きなざるのようなろ過装置で取り除き、透き通った状態にしていきます。

この時、一番最初に搾り出された麦汁は「一番麦汁」と呼ばれ、すっきりとして渋みのない飲みやすい味わいになります。

さらにこの後、残った固形分にお湯をかけてエキス分を抽出したものが「二番麦汁」で、多くのビールはこれも使用しています。

<煮沸>

ろ過された麦汁を煮沸釜に移し、ビールの苦味や香りを付けるホップを添加して煮沸します。

加熱によりタンパク質が凝集して、徐々に透き通った麦汁に変化します。

煮沸する時間によって、苦みや香りの付き方が変わります。

また煮沸は、好ましくない香りを飛ばしたり麦汁を殺菌したりする効果も期待できます。

ホップは煮沸の序盤に入れると苦味が出ますが香りが付きにくく、終盤に入れると苦味はあまり出ず、香りが残ります。

ホップを投入するタイミングや量により、ビールの風味に個性が生まれます。

 

【発酵】

仕込み段階で糖化してつくられた糖を酵母により分解し、アルコールと炭酸ガスをつくります。

まず麦汁を冷却機で発酵に適した温度まで冷やします。

発酵方法は主に、約10℃前後で6~10日間ほどの「下面発酵」と約20℃前後で3~6日間ほどの「上面発酵」の2つに分けられます。

適温になった麦汁に酵母を加え、同時に酸素を供給することで、酵母が増殖して発酵が進みます(主発酵)。

約1週間程度で「若ビール」と呼ばれる状態になりますが、これはまだ味にコクや深みのないものです。

 

【熟成】

若ビールを貯酒タンクへ移し、数日間熟成します。

熟成することで、好ましくないにおいの成分が別の物質に変換されます。

また熟成中も発酵が進み(後発酵)、炭酸ガスが発生します。

 

【熱処理・濾過】

不純物や固形物を除去するために熱処理やろ過をして、ビールの風味を保つため酵母を死滅させ、濁りの原因となる物質を取り除きます。

熱処理には、ビールを容器に詰める前に殺菌する方法と、詰めてから容器ごと殺菌する方法があります。

熱処理していないビールは「生ビール」と呼ばれます。

熱処理はかつてはビールづくりに不可欠な工程でしたが、醸造技術が発達し、現在日本で流通しているビールの多くが生ビールです。

また最近では、あえてろ過をせず酵母が生きたままの「無ろ過ビール」もあり、濃厚なコクとフルーティな香りの独特な味わいが楽しめます。

 

【充填】

完成したビールを缶や瓶、樽などの容器に詰めてしっかりと密封し、出荷します。

 

 

<参考サイト>

・ビールの作り方をわかりやすく解説|製造工程を詳しく説明

https://www.sakesen.com/blog/how-to-make-beer/

・ビールのつくり方を分かりやすく解説!工程から発酵や熟成の方法、豆知識まで

https://yonasato.com/column/guide/detail/craft_beer/process/

・ビールの製造方法とは? 工程ごとに詳しく解説

https://tanoshiiosake.jp/9571

・ビールの豆知識あれこれ! 雑学でビールをもっとたのしく

https://tanoshiiosake.jp/7026

 

 

 


 

⑤ ビールの種類は世界に100以上!日本のビールの定義とは?

 

ビールの種類のことを「ビアスタイル」と呼び、その数は100種類とも150種類とも言われています。

製法の紹介でも触れたように、発酵方法による分類では大きく2つに分けられます。

「上面発酵ビール」は「エール」とも呼ばれ、豊かな香りと豊潤な味わいの傾向があります。

「下面発酵ビール」は「ラガー」とも呼ばれ、すっきりとした味わいの傾向があります。

この他、自然界に存在する野生酵母を使って自然発酵させる、ベルギーの「ランビック」などのビールもあり、「ワイルドエール」として上面発酵に分類されることもあります。

「エール」と「ラガー」それぞれの、代表的なビールについて調べてみました。

 

【エール】

<ペールエール>

「ペール」とは「淡い」を意味し、イギリスで誕生した当時に飲まれていた他のビールより淡い色合いだったことが名前の由来と言われる。

モルトのコクを感じられる「イングリッシュ・ペールエール」と、ホップの香りがふんだんに感じられる「アメリカン・ペールエール」の大きく2つに分けられる。

<IPA(アイピーエー/インディア・ペールエール)>

イギリス発祥で、多彩な派生スタイルを持つ、アルコール度数高めのビール。

ホップを大量に使用してつくるため、ホップ由来の香りと苦味が際立つ印象的な味わい。

<ポーター>

18世紀初頭のロンドンで、「古くなった酸味のあるブラウンエール」と「つくりたての若いブラウンエール」、「ペールエール」の3種類を混ぜたものが始まりとされる。

茶系の色味とコクが特徴の「ブラウンポーター」と、より濃色でコーヒーやチョコレートを思わせる香ばしい風味を持つ「ロブストポーター」がある。

<スタウト>

アイルランド発祥で、「ポーター」から派生した、コーヒーのようなロースト香が特徴のビール。

「ドライスタウト」や「スイートスタウト」「フォーリンスタイルスタウト」「オイスタースタウト」など、様々な種類がある。

<ヴァイツェン>

小麦麦芽を使ったドイツ伝統の白ビールで、「ヴァイス」とも呼ばれる。

酵母をろ過した透明で澄んだ「クリスタルヴァイツェン」、無ろ過で白く濁った「ヘーフェヴァイツェン」などがある。

ホップ由来の苦味が少なめで、バナナやクローブのような香りが感じられる。

<アルト>

デュッセルドルフで18世紀頃に発展した、下面発酵なみの低温で熟成される銅褐色のビール。

「アルト」はドイツ語で「古い」の意味。麦芽由来の焙煎香と、まろやかなコクが感じられる味わい。

<ケルシュ>

ドイツのケルン地方の限られた醸造所で厳格なルールのもとにつくられたビールだけが名乗れる、ビールとしては珍しく原産地統制呼称が認められた、伝統的なビアスタイル。

淡い色と酵母由来のフルーティーな味わいが特徴で、なめらかな口当たり。

<ベルジャンホワイト(ベルギーホワイトビール)>

ベルギー発祥で、中世から親しまれている、麦芽にしない小麦と大麦麦芽でつくられる白ビール。

煮沸時にコリアンダーシードとオレンジピールを加えるため、柑橘系の甘くさわやかな香りとスパイシーな風味が楽しめる。

苦味が少なく、フルーティーで飲みやすい。

<アンバーエール>

アメリカ西海岸発祥の、琥珀色のエールビール。

「アメリカンアンバーエール」「アメリカンスタイルアンバーエール」とも呼ばれる。

焙煎モルトによるカラメルのような香りと濃厚なコク、ホップ由来の苦味が特徴で、肉料理とよく合う。

 

【ラガー】

<ピルスナー>

19世紀、チェコのピルゼン発祥。

現在、世界のビールの主流となっており、日本の大手メーカーがつくるビールの大半はこの「ピルスナー」と言われる。

アルコール度数は低めで、透き通るような黄金色とキレのあるさわやかなのどごし、ホップの苦味が特徴。

<シュヴァルツ(シュバルツ)>

ドイツ発祥の黒ビール。

ロースト麦芽の、ビターチョコを思わせる香ばしさや甘み、ほろ苦さが特徴。

シャープでスッキリとした味わい。

<ボック>

ドイツのアインベック発祥。

アルコール度数の高さが特徴で、14%を超えるものも。

苦味は少なめで、香りや味わいはモルトの個性により異なる。銅色から黒色と比較的濃い色合い。

<アメリカンラガー>

爽快なのどごしと軽い飲み口で、苦味やクセの少ないスッキリとした味わいが特徴。

淡い黄金色。

 

 

ビールの定義は国によって異なるそうです。

日本では酒税法により、麦芽・ホップ・水と、その他政令で定める物品(麦・米・トウモロコシ・デンプン・糖類など)を用いて発酵させた、アルコール分20度未満のお酒で、麦芽の比率が50%以上のものと定義されており、この定義から外れたものは「発泡酒」とされます。

外国から輸入されたビールに「発泡酒」と表示されている場合がありますが、原料に小麦麦芽や果実などを使っており「ビール」の定義に当てはまらない、といった理由からとのことです。

 

また「第3のビール」や「新ジャンル」と呼ばれるビールテイスト酒類もあります。ビールは税率が高いことから、1990年代初頭に低税率の発泡酒が生まれましたが、何回かの税率改定やビールの麦芽比率の定義の改定などもあり、発泡酒よりも税率の低い第3のビールが開発されました。

第3のビールは法律上、麦以外の原材料を用いて発酵させたものは「その他の醸造酒」、発泡酒に大麦由来のスピリッツ(純度の高いアルコール)を加えたものは「リキュール」に、それぞれ分類されます。

2023年の酒税法改正により、現在は発泡酒と第3のビールは同額の酒税になっています。

また2026年10月にはビールと発泡酒の税率が一本化されるとのことです。

 

最近よく耳にする「ノンアルコールビール」は、ビールとどのような関係なのでしょうか。

ノンアルコールビールとはアルコール分1%未満の「ビールテイスト飲料」のことです。

日本の大手メーカーがつくる多くのものはアルコール度数0.00%ですが、酒税法ではアルコール分が1%未満であれば酒類にはならないため、アルコールが含まれているノンアルコールビールもあるのだそうです。

製造方法はいくつかあり、日本の大手メーカーで多く採用されているのは、抽出した麦芽エキスに糖類や香気成分などを加えて調合する、アルコール発酵をさせない方法とのことです。

他には、ビールの発酵工程においてアルコール度数が1%を超えないように、アルコールを生成しにくい専用酵母を使ったり、途中で酵母を取り除いたり、低温下においてアルコール発酵を止めたりする方法や、通常のビールからアルコール分を除去する方法などがあります。

 

<参考サイト>

・ビールのスタイルは世界に100種類以上! 人気のビアスタイルをかんたんな解説とともに紹介

https://tanoshiiosake.jp/12575

・初心者でもわかる!ビールの種類(ビアスタイル)をビールメーカーが徹底解説

https://yonasato.com/column/guide/detail/beer_style_290319/

・ビールの豆知識|ビールの種類

https://www.brewers.or.jp/tips/type.html

・ビールの基本 ビールの種類

https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/daigaku/genre/bas/bas01.html

・ビールとは、どのようなお酒ですか?

https://www.suntory.co.jp/customer/faq/005769.html

・ビール・発泡酒に関するもの

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/abc/abc-beer.htm

・なぜビールなのに「発泡酒」って書いてあるの?【ビールの定義の話】

https://www.nipponbeer.jp/column/definition/

・ビールの「定義」とは?「発泡酒」や「第三のビール」との違いって?

https://tanoshiiosake.jp/3394

・「第三のビール」の魅力を知ろう! 「ビール」や「発泡酒」との違いとは?

https://tanoshiiosake.jp/7970

・ビールと発泡酒の違いは?第3のビール、クラフトビールについても解説

https://www.shufoo.net/plus/shopping_tips/591

・ビアスタイルを知ろう!<8>【ノンアルコールビール】

https://www.nipponbeer.jp/column_tag/%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB/

・アルコール分0%でも本格的!「ノンアルコールビール」の味わい秘訣とおすすめ銘柄

https://tanoshiiosake.jp/7830

・ノンアルコール飲料って本当にアルコール0%?定義・醸造法や味わいについて解説

https://www.nihon-trim.co.jp/media/30417/

 

 

 


 

⑥ 《美味しい手延べ素麵》ビールのおつまみにふし麺のおやつ 編

 

手延べ素麵をつくるとき、素麵と一緒に生まれる「ふし麺」。

和風のクルトンのように、汁物にして食べる方が多いふし麺ですが、今回は小豆島の子どもたちには馴染み深い(?)食べ方をご紹介します。

「素麵の島」のおやつ『ふし揚げ』。

ふし麺をごま油やオリーブオイルで素揚げして、砂糖やきなこをまぶすだけで立派なおやつのできあがりです。

ポリッとした食感と、ふし麺の塩味と砂糖の甘みがほどよい、お手軽お菓子です。

揚げたてより、冷ましてから食べるのがおすすめです。

他にも醤油味やトウガラシを少し絡めたりして、お好みの味にすれば、立派な?ビールのアテにもピッタリなおつまみになりますよ。

 

数量限定で、あるときのみの販売となりますがご容赦ください。

 

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。