天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

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2023年9月

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三代目ブログ

2023年9月25日 【Vol.22】麺究者への道/蕎麦を研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.22

麺究者への道/蕎麦を研究してみる

 

 

 

 

暑さ寒さも彼岸まで…とはよく言ったもので、小豆島も彼岸を過ぎ朝晩が涼しくなってきました。

秋の虫の音も一気に秋めいて、冷たいお素麺の時期から、温かいお出汁が恋しい季節となりました。

(このブログを書いている日中は、まだまだ暑いのですが…)

皆様のお住まいの地域ではいかがでしょうか。

 

さて、秋といえば新蕎麦の季節!

と当たり前のように思っていたのですが、蕎麦について調べると、なんと新蕎麦の季節は2回あるそうですね。

関東方面で勤めていた頃には、秋になると蕎麦が食べたくなるな〜と思っていましたが、違いは蕎麦の産地の差だとか。

「新蕎麦」と麺類で「新」が付くのは蕎麦だけ(だと思うのですが)。

原料になる蕎麦の季節感というか、旬のものという感じがして、表現が日本人らしいですね。

 

蕎麦と言えば一般的に、穀物の蕎麦の実を使った蕎麦粉を加工した麺のことを指します。

中華そばとの対比で「日本そば」と呼ばれることも。

全国製麺協同組合連合会では、原料において蕎麦粉30%以上・小麦粉70%以下の割合で混合したものを「日本そば」と呼んでいるそうです。

現在食べられている麺状の蕎麦は「蕎麦切り」と言うそうです。

蕎麦切りの技術が取り入れられるまでは、粒のままお粥のようにして、また蕎麦粉を熱湯でこねて餅状にした「そばがき」や、蕎麦粉を水で溶いて焼いた「そばやき」として食べられていたようです。

今回は、いわゆる「蕎麦」について、その歴史や製法、全国各地での食べられ方や世界の蕎麦事情などを調べてみました。

 

時代劇やドラマを見ていると、蕎麦やうどん(特に関西とか?)を食べるシーンは出てきますが、素麺の出演のチャンスは見かけません。

きっと、それだけ愛されるには秘密があるはずです。

その“蕎麦の秘密”に迫ってみたいと思いますので、今回もお付き合いの程よろしくお願いいたします。

 

 

 

【目次】

① 秋の季語でもある「新蕎麦」、実は年2回味わえる!

② 日本三大蕎麦をはじめ、多彩なご当地蕎麦がある!

③ 蕎⻨の歴史は稲作より古い!参勤交代で全国へ普及!

④ 粉の挽き方、製粉の度合い、つなぎの割合などによって多様!

⑤ 年越し、節分、引越し…行事食としての蕎麦

⑥ 蕎麦に合わせる具材や薬味はバラエティ豊か!

⑦ 「蕎麦切り」以外の形状で食べる風習が各地に!

⑧ 世界中で愛される蕎麦を使った料理

⑨ 《美味しい手延べ麺》手延べ麺 蕎麦風味 編

 

 


 

 

① 秋の季語でもある「新蕎麦」、実は年2回味わえる!

 

「新蕎麦」は、蕎麦の実の収穫から提供までの期間が約1~2カ月の蕎麦をさす言葉。

蕎麦ならではの風味が楽しめる新蕎麦は、歳時記では秋の季語ですが、実は夏蕎麦と秋蕎麦の2種類あるそうです。

 

【夏蕎麦】4月上旬~8月中旬

長野県の「しなの夏蕎麦」が有名で、種まきから収穫が約50日間と短い。

別名「夏新(なつしん)」。

香りは淡く、秋蕎麦より清涼感のある味わいが特徴。

 

【秋蕎麦】10~12月

茨城県の「常陸(ひたち)秋蕎麦」や群馬県の「上州秋蕎麦」などが有名。

別名「秋新(あきしん)」。

芳醇で豊かな香りとほんのりとした甘さがあり、きれいな緑色が特徴。

 

蕎麦の生産量1位でシェア4割以上を占める北海道では、年に一度しか収穫されないため、夏蕎麦と秋蕎麦の区別はないそうです。

ちなみにシェア2位は長野県、3位栃木県、4位茨城県となっています。

 

 

<参考サイト>

・日本そば

https://zenmenren.or.jp/raw_noodle_iroiro/japanese_soba/

・新蕎麦は「秋蕎麦・夏蕎麦」の年2回!時期や味わい・産地など特徴の違いを比較して紹介!

https://chisou-media.jp/posts/3852

・【都道府県】蕎麦(そば)の産地・生産量ランキング

https://urahyoji.com/crops-soba/

 

 

 


 

 

② 日本三大蕎麦をはじめ、多彩なご当地蕎麦がある!

 

全国各地で食べられている蕎麦ですが、「日本三大蕎麦」と言われるものをご存知でしょうか。

どれも歴史があり知名度の高いもので、その地の名物となっています。

 

【わんこそば】(岩手県)

蕎麦を少量ずつ椀に入れて提供します。

客の近くに給仕人がいて、蕎麦を食べたら即座に蕎麦を継ぎ足していく、独特の提供方法が有名です。

温かい蕎麦を、あらかじめ濃いめの麺つゆにくぐらせてあるそうです。

 

わんこそばの起源には2つの説があります。

安土桃山~江戸時代初期の大名・南部利直が花巻で漆の器に入った蕎麦を食べたのが起源という説と、大正時代の内閣総理大臣・原敬が盛岡に帰省した際「蕎麦はわんこ(お椀)に限る」と言ったことが起源という説だそうです。

 

 

【出雲そば】(島根県)

蕎麦の実を丸ごと挽いてつくった蕎麦粉を用いるため、香りや風味が強い蕎麦。

やや黒っぽい色あいで、コシが強くのどごしがしっかりしています。

冷たい「割子そば」と、温かい「釜揚げそば」の2通りで食べられています。

江戸時代の大名・松平直政が1638年に島根県を訪れた際、信州の「蕎麦切り」を出雲に伝えたのが発祥とされています。

 

 

【戸隠そば】(長野県)

蕎麦の実の甘皮を除かず、麺棒1本で丸延ししてつくられる蕎麦。

「ぼっち盛り」という提供方法が特徴で、水をほとんど切らず、一口大にして円形のざるに盛り付け、薬味に辛み大根を添えます。

1709年におもてなしのための特別な料理としてふるまわれたという記録が残っています。

 

 

日本三大蕎麦以外にも、ご当地蕎麦として知られるものがたくさんありますので、いくつかご紹介します。

 

【深大寺そば】(東京都)

調布市の深大寺で来客用に振る舞われたのが起源。

良質な湧き水が豊富で蕎麦の栽培に適していた。

温かい蕎麦に醤油ベースのつゆがかけてあるもの、冷たい蕎麦を濃いめのつゆにつけながら食べるもの、冷たい蕎麦に冷たいつゆがかけてあるものがある。

 

 

【へぎそば】(新潟県)

小千谷市や十日町市の名物。

「へぎ」と呼ばれる木の器に、「手繰り・手振り」という方法で、一口サイズで盛り付けられている。

布海苔(フノリ)という海草をつなぎに使い、コシの強さとのど越しの良さが特徴。

 

 

【更科そば】(長野県)

激しい寒暖差や澄んだ山水から、蕎麦の栽培に適しており、地域によって色や風味が異なる。

様々な味わいを楽しめる信州蕎麦の中でも「更級そば」は、白っぽい色とさっぱりした風味、つるつるしたのどごしの良さが特徴。

 

 

【越前おろしそば】(福井県)

やや太めで黒っぽく、コシの強い蕎麦に、辛味大根おろし、ネギ、鰹節をたっぷり乗せ、直接出汁をかけて食べるのが一般的。

つけ汁に大根おろしを入れて食べるスタイルもあるとのこと。

 

 

【にしんそば】(京都府・北海道)

温かいかけそばの上に、骨まで柔らかく煮た身欠きニシンの甘露煮をのせる。

北海道では、汁は関東風で濃い色をしていて出汁も濃いのが特徴で、京都は薄い味付けの出汁が特徴。

ニシンの脂と旨味が溶け出し、食べ進めるとコク深い味わいへの変化が楽しめる。

京都市民は年越し蕎麦として「にしんそば」を食べることも多いのだとか。

 

※写真はPhotoACの「にしん蕎麦 京都 神護寺にて」より

【出石そば】(兵庫県)

「出石皿そば」とも呼ばれる。

お皿に盛られた蕎麦を、ネギやゴマ、ショウガなどの薬味をたっぷり入れたつゆにつけて食べる。

 

 

【瓦そば】(山口県)

下関市豊浦町で生まれた郷土料理。

熱々の瓦の上に、茶蕎麦と錦糸卵、牛肉、レモン、ネギなどの具材をのせ、温かいつゆにつけて食べる。

 

 

【祖谷そば】(徳島県)

つなぎなしで仕上げた素朴な味わいで、一般的なものよりも短く太い形が特徴。

祖谷は良質な蕎麦の産地で、麺としてだけでなく「そば米」として実のまま食す文化もあるとのこと。

 

 

<参考サイト>

・日本三大そばの歴史を紹介!蕎麦が全国に広まった理由も考察

https://www.sobahonda.co.jp/blog/japan-soba-history/

・本場で食べたい!わざわざ食べに行きたい日本全国のご当地そば10選

https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/68a9C

 

 

 

 


 

 

③ 蕎⻨の歴史は稲作より古い!参勤交代で全国へ普及!

 

蕎麦の実の原産地は、中国の江地と呼ばれる東チベット、四川省、雲南省の境界領域と言われています。

日本では、高知県の遺跡から9300年前の蕎麦の花粉が出土しており、埼玉県の遺跡からは3000年前の蕎麦の種子が発見されています。

稲作より古くから蕎麦が栽培されていたと考えられます。

初期の蕎麦は、現在のような麺状ではなく、粒のまま粥として食べられていたようです。

殻が硬く脱穀が難しかったことから、稲のように主食にはならなかったと考えられています。

蕎麦はやせた土地でも育つ強い植物なので、奈良時代の「続日本紀」によると、飢饉を防ぐために栽培が推奨されていたそうです。

 

鎌倉時代には中国から石臼(いしうす)の技術が伝わり、蕎麦粉を大量に挽くことができるようになりました。

「そばがき」と呼ばれる団子やもちのような蕎麦を、箸でちぎり汁につけて食べていたそうです。

 

室町から江戸時代初期、麺状の「蕎麦切り」が生まれました。

長野県の「定勝寺文書」という書物に、戦国時代の天正2年(1574年)に「蕎麦切り」が振る舞われたという記録が残っています。

 

 

江戸時代には、蕎麦は各諸大名から将軍家へ献上されるほどの高価な食べ物となりました。

江戸時代の前半までは蕎麦よりうどんが主流だったらしく、また当時醤油は高価だったため、一般的に出回るようになるまで蕎麦つゆは味噌でつくられていたようです。

18世紀中頃から、江戸中に3千軒とも言われるほど蕎麦屋が増え、屋台の蕎麦も登場します。

江戸時代後期には、蕎麦粉と小麦粉を混ぜた「二八蕎麦」などが広く出回り、現在のように茹でる蕎麦が主流となったそうです。

それに対して、蕎麦粉だけで打った「十割蕎麦」はつなぎにくく切れやすいので、当時は蒸籠にのせて蒸し、そのまま提供していたようです。

現在も「盛りそば」を「せいろそば」と呼ぶのはその名残だそうです。

 

各地の大名が、参勤交代で江戸から領地に戻る際に「蕎麦切り」の技術を持ち帰ったことで、全国に普及し、土地ごとの特色が反映されてご当地蕎麦が発展していったと考えられます。

蕎麦は東日本でのイメージがありますが、決してそうではないことが分かります。

ただ、元々は寒冷地でも育つ蕎麦が東日本で盛んになり、その食文化も深く根付いたと考えられます。

産地で有名な出雲や出石は西日本に位置しますが、山陰や山間部の雪の多い地帯で、上述の参勤交代にあわせて寒冷地でも育つ食物として持ち込まれ盛んになっていったのでしょう。

 

ちなみに、西日本でうどんや素麺のイメージがあるのは、温暖な地域であり、米の二毛作として小麦栽培が盛んになったためと考えられます。

こういった、気候や食物の栽培の拡がりが日本の食文化の拡がりや分布に影響するのは、当然のことなのかも知れませんね。

 

もうひとつちなむと、現在の蕎麦屋には必ずと言っていいほど日本酒が置いてありますが、その起源は江戸時代にあります。

豊島屋十兵衛門という人が、商人や武士などをターゲットにした食事処兼酒場を生み出しました。

そこで提供されていたのが蕎麦です。

注文を受けてから切って茹でるので、提供するまでに時間がかかります。

それを待っている間に焼き海苔や蕎麦味噌などをつまみにして日本酒を飲み、お酒がなくなる頃に蕎麦がちょうど出来上がり食べる、という流れが一般的になりました。

現在でも“蕎麦屋と言えば日本酒”というのはその名残のようです。

 

 

<参考サイト>

・蕎麦のルーツと歴史

https://sobadou.com/sobanorekisi/

・蕎麦屋になぜいつも日本酒が置いてあるの?実は深い日本酒と蕎麦の関係

https://www.sakebayashi.com/sake-ryori-soba

 

 

 

 


 

 

④ 粉の挽き方、製粉の度合い、つなぎの割合などによって多様!

 

私たちが食べている蕎麦は、どのように製粉、製麺されるのでしょうか。

収穫した状態の、硬い皮(そばがら)がついたままの蕎麦の実を「玄そば」と言います。

玄そばを乾燥させ、付着している不純物を取り除き、表面をピカピカに磨きます。

そしてそばがらを割って中の実を分離させ、製粉します。

蕎麦粉の挽き方は大きく2通りに分けられます。

 

【石臼挽き】

上下の石の間に溝が掘ってあり、そこを通らせることにより製粉する。

熱を持ちにくい製法なので、風味が残りやすいのが特徴。

 

【ロール挽き】

回転する2本のロールの間に蕎麦の実を通して製粉する。

比較的短時間で大量に製粉できる。

 

 

蕎麦粉は製粉の度合いによって、香りと風味が変化します。

一般的に4通りに分けられるようです。

 

【更科蕎麦】

製粉する際、最初に出てくる胚芽や内層粉は「1番粉」、1番粉だけで打った蕎麦は「更科蕎麦」と呼ばれ、真っ白に仕上がる

香りは強くないがのどごしが良く、甘みがある。

 

【藪蕎麦】

次に出てくる中層粉は「2番粉」、「藪蕎麦」と呼ばれ、蕎麦らしい灰色を帯びていて、香りや甘み、つるりとした食感のある麺になる。

製菓用や韓国冷麺の素材としても用いられる。

 

【田舎蕎麦】

最後に出てくる外層粉は、甘皮ともいい「3番粉」と呼ばれる。

栄養が凝縮されており、蕎麦らしい香りも楽しめるのが特徴。

1〜3番粉を使用した「田舎蕎麦」は色もぐんと濃くなり、黒っぽい麺になる。

 

【挽きぐるみ】

甘皮を残した蕎麦の実を挽いたものと、「玄そば」を引いたものの2種類がある。

「出雲そば」には「玄そば」が使われており、より黒っぽい麺に仕上がる。

 

蕎麦粉はデンプンが少なく切れやすいため、小麦粉などをつなぎとして使うことが多いです。

蕎麦粉とつなぎの割合を示す名称には下記のようなものがあります。

 

【二八蕎麦】

つなぎの小麦粉が2割・蕎麦粉が8割の割合でつくられた蕎麦のこと。

 

【十割蕎麦】

100%蕎麦粉でつくられた蕎麦のこと。

 

蕎麦の打ち方は、大きく5段階に分けられます。

【①回 し】 粉に水を何回かに分けて加え、混ぜ合わせながら生地をまとめていく。

【②こ ね】 こね鉢に押し付けるようにして、蕎麦玉の表面がつるつるになるまでこね上げる。

【③延ばし】 のし台に打ち粉を振り、蕎麦玉を手のひらで押し広げ、打ち粉を振って麺棒で広げる。

【④たたむ】 均一に伸ばした生地を、蕎麦切り包丁の刃の幅より短くなるようにたたむ。

【⑤切 る】 できるだけ同じ厚さ・太さになるよう、垂直に切っていく。

 

おいしい蕎麦の三つの条件「3立て」をご存知でしょうか?

「挽きたて=製粉してすぐの粉を使い、「打ち立て」=打ったばかりの生地を包丁で切り、「茹でたて」=ゆで上げて素早く水切りして提供。

さらに新蕎麦の季節は「採れたて」を加えた「4たて」とも言われています。

 

 

<参考サイト>

・美味しい手打ちそばができるまでの過程を紹介します

https://sobashin.jp/211/

・そばを学ぶ ~そば粉の種類~

https://matsuyaseifun.co.jp/soba/study/type/

・そばの製粉で風味や香りが全く異なる!よく聞く「挽きぐるみ」とは?

https://www.sobahonda.co.jp/blog/soba_hikigurumi/

・そばの散歩道 めんの数字あれこれ

https://www.nichimen.or.jp/know/number/04/

・そば打ち初心者でもわかる!手順を理解すればそば通の仲間入り。《そば打ち編》

https://www.sobahonda.co.jp/blog/sobauchi-2/

・16. そばは三たてでいただくべし

https://www.nikkoku.co.jp/entertainment/sobajiten/016.php

 

 

 

 


 

 

⑤ 年越し、節分、引越し…行事食としての蕎麦

 

蕎麦は日常的に食べられる料理ですが、年中行事や引っ越しなどの際に食べる行事食としての一面もあります。

いくつかご紹介します。

 

【年越しそば】

大晦日に食べる蕎麦は、「晦日(みそか)そば」と呼ばれていました。

また、正月を迎えると数え年で一歳年をとるとされていたことから「年取りそば」とも呼ばれました。

蕎麦は長く伸びることから長寿への願いや、災厄を断ち切る意味あい、また「打つ」ものなので、相手を討つ、つまり勝つ、という意味もあるそうです。

 

【節分そば】

“本来”の「年越しそば」は、実は節分に食べる「節分そば」が「年越しそば」だったそうです。

江戸時代中頃から、江戸市中では毎月の晦日(月末)や節分(立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日)に蕎麦を食べる風習があったそうですが、今では特に立春の前日を指して節分と呼ばれるようになっています。

立春の前日の節分は“大寒”の最終日で、冬から春への節目の日です。

そのため江戸時代には、大晦日ではなく節分を本当の年越しと言う考え方があったそうで、研究家の方によれば“本来”の「年越しそば」は、「節分そば」と言うことになるそうですよ。

今でも東京・調布市の深大寺などでは、節分(立春の前日)に「節分そば」を食べるイベントが行なわれています。

 

【引越しそば】

江戸時代中頃、江戸の庶民が引越しの挨拶として蕎麦を配るようになりました。

これには、安価で喜ばれる、「末永くおそばに」「蕎麦のように細く長いお付き合いを」の意味がある、などと言われています。

大正時代には「そば切手」という、蕎麦店が発行する食事券や商品券のようなものを配るようになりました。

その後、引越しの挨拶用に「そば切手」を購入するついでに、新居で自分たちが食べる蕎麦を注文する人が増え、自分たちのために新居で食べるものという考えが広まったと考えられています。

 

 

<参考サイト>

・年越しそばをなぜ年末に食べるのか、その理由と由来について【日本料理研究家が回答します】

https://www.gnavi.co.jp/dressing/article/21329/

・引越しそばを配ったり、食べたりする理由と由来とは?食べるタイミングはいつ?

https://jpnculture.net/hikkoshi-soba/

 

 


 

 

⑥ 蕎麦に合わせる具材や薬味はバラエティ豊か!

 

素麺やうどんと同様、蕎麦にもいろいろな具材や薬味を組み合わせることで、味わい方が広がります。

主なものをご紹介します。

 

<具材>

【天ぷら】

「天ぷらそば」といえばエビの天ぷらが定番、かき揚げやイカ天、ちくわ天なども合う。

蕎麦屋が天ぷらそばをメニューの主流にしたのは1827年〜1837年頃、江戸時代、蕎麦の屋台が増えたのと同時期に天ぷらの屋台も増えたとのこと。

天ぷらの屋台で天ぷらを購入した客が、蕎麦屋の屋台の蕎麦にトッピングして食べたのが始まりと考えられているそうです。

 

冷たい蕎麦と天ぷらを組み合わせた「天ざる」「天もり」「天せいろ」などのメニューでは、蕎麦と天ぷらが別々に提供され、温かい天ぷらそばの場合は、別々に提供される店と、かけそばの上に天ぷらがのっている店の2通りあるようです。

前者の天ぷらは衣が薄く、後者の天ぷらは衣が厚い傾向にあるようで、やはりきちんと美味しく食べる工夫がされているようです。

 

天ぷらを揚げる時に出た天かすをのせたそばを、関東では「たぬきそば」と呼ぶそうで、その語源は天ぷらのタネを入れない「たねぬき」が転じて「たぬき」になったという説が有名なようです。

 

【油揚げ】

さて、関西でよく聞く「きつね」と「たぬき」問題をご存じでしょうか。

分かるような分からないようなメニュー名なので整理してみます。

関東圏では、『きつね』というと甘辛く炊いた油揚げがのった蕎麦やうどんを指し、一方、『たぬき』といえば天かすをのせた蕎麦やうどんのことを指すそうです。

ところが、大阪では、『きつね』は、油揚げがのったうどんを指し、『たぬき』は、油揚げがのった蕎麦を指します

つまり、大阪では『きつね=うどん』と『たぬき=蕎麦』と定義が違うようです。

正直、知らなかったです(苦笑)

 

【玉子】

かけそばの上に落とした生卵を月に見立てた「月見そば」も、定番メニュー。

 

【山菜】

春の味覚である山菜のほろ苦さが、味のアクセントに。

 

【肉】

甘辛く炊いた肉をのせる。肉の種類は牛・豚・鶏とさまざま。鴨肉とネギをのせたものを「鴨南蛮そば」と呼ぶ。

 

【とろろ】

かけそばにすりおろした長イモをのせると、出汁にとろみがついて麺に絡みやすくなる。冷たい蕎麦にも相性抜群。とろろと山菜やなめこ、オクラ、納豆などのネバネバ食材を組み合わせても。

 

<薬味>

【ネギ】

関東では白ネギ、関西では青ネギが一般的。白ネギをぶつ切りにして焼き、具材として合わせても。ネギに含まれるアリシンが、ビタミンB1の吸収を高めてくれる。

 

【ワサビ】

冷たい蕎麦に欠かせない、鼻から抜ける香りと辛みがたまらない薬味。辛み成分シニグリンが、ビタミンB2の働きを助けてくれる。

 

【大根おろし】

江戸時代初期には辛味大根のおろし汁に蕎麦をつけて食べていたそう。ジアスターゼが消化を助けるので、冷たい蕎麦をよりさっぱりと食べたい時に最適。

 

【唐辛子】

ピリッとした辛みが味のアクセントに。カプサイシンが消化吸収を高めてくれる。

 

【海苔】

ざるそばに欠かせない刻み海苔。柔らかい食物繊維が含まれ、穏やかな整腸作用を促してくれる。

 

【梅干し】

さっぱりとした口当たりで、二日酔いや胃腸が弱っている時に最適。

 

【ごま】

香り高く、リノール酸やオレイン酸、ビタミンEなどの栄養も豊富。

 

【ショウガ】

味を引き締めてくれるショウガは、体を温める働きがある。

 

【ミョウガ】

独特な香りはアルファピネンという成分で、血行促進や発汗作用が期待できる。

 

【大葉】

千切りやみじん切りにして、爽やかな香りを加える。β-カロテンに抗酸化作用や免疫を高める働きがあると言われる。

 

 

<参考サイト>

・そば屋の天ぷらそばの特徴。どっちが好きですか?(北松戸 そば・うどん 手打ちそば長幸)

https://teuchisoba-nagayuki.jp/?p=5997

・そばに合う具材のトッピングはこれ!温、冷に分けて紹介するよ

https://magickitchen.blog/soba-ingredients/

・【栄養士監修】蕎麦に合う薬味はこれだ!定番から意外なものまで30選

https://sobar.jp/2018/03/30/%e8%95%8e%e9%ba%a6%e3%81%ab%e5%90%88%e3%81%86%e8%96%ac%e5%91%b3%e3%81%af%e3%81%93%e3%82%8c%e3%81%a0%ef%bc%81%e5%ae%9a%e7%95%aa%e3%81%8b%e3%82%89%e6%84%8f%e5%a4%96%e3%81%aa%e3%82%82%e3%81%ae%e3%81%be/

 

 

 


 

 

⑦ 「蕎麦切り」以外の形状で食べる風習が各地に!

 

蕎麦と言えば麺状の「蕎麦切り」を思い浮かべますが、麺以外の形状の蕎麦料理が伝わる地域もいろいろあります。

こう見ると、東日本で蕎麦文化が大切にされてきていることが分かるような気がします。

 

【そばかっけ】(青森県・岩手県)

青森県南部から岩手県北部にかけて伝わる。

「欠片(かっけ)」とは、切れ端またはかけらの意味、「はっと」とも言われる。

蕎麦生地を延ばして三角形に切り、大根と豆腐を煮た鍋の中に入れ、浮き上がったらネギ味噌またはニンニク味噌をつけて食する。

 

【うちわ餅】(秋田県・岩手県)

蕎麦粉を熱湯でこねて握りこぶしの大きさに分け、平串に刺して棒状に延ばし、さらにうちわのような丸い形に成型して茹でる。

すりつぶしたエゴマに味噌砂糖を加えまぜて混ぜたものを塗り付けて焼くが、クルミ味噌をつける場合も。

お客様をもてなすお菓子としてつくられた。

 

【ほど焼き】(岩手県)

「火床焼き」と呼ぶ地方も。

蕎麦粉を水で溶いてつくった団子の中に、小豆餡や黒砂糖とミルクを入れて包み、柏の葉で包んで囲炉裏の熱い灰の中で蒸し焼きにする。

 

【柳ばっと】(岩手県)

遠野周辺で、軽いおもてなしに用いられた。

「柳葉」または「てこすりだんご」とも。蕎麦粉を水でこねて寝かせ、小さくちぎり、親指で平らに延ばして柳の葉の形にする。

大根、舞茸、鶏肉などと合せて味噌仕立ての具にしたり、茹でてネギ味噌や酢味噌をつけたりして食べる。

 

【梁越(はりこ)しまんじゅう】(長野県)

南佐久郡川上村周辺に伝わる蕎麦焼き餅。

蕎麦粉を振り入れた椀の中に、ネギ味噌を混ぜた蕎麦玉を入れ、上からも蕎麦粉を入れてお手玉のように放り上げながら丸め、丸くなったら柏の葉で包み、囲炉裏の熱い灰の中で蒸し焼きにする。

 

【そばおやき】(長野県)

蕎麦焼きもちのひとつ。

「そばがき」をそのまま丸い形にしたものや、その中に漬け物や小豆餡を包んで焼いたものがある。

 

【そばすべし】(徳島県)

三好市東祖谷山地区でつくられる。

イリコ出汁で人参、豆腐、鶏肉、大根の葉などを煮込み、汁をかき混ぜながら蕎麦粉を振り入れ、汁にとろみをつけて仕上げる。

 

【そば米(ごめ)雑炊】(徳島県)

祖谷地方の保存食品。「玄そば」を茹でて、乾燥・脱穀してそばがらを取り除き、おかゆの要領で炊く。

 

 

<参考サイト>

・日本と世界のそば料理

https://sobadou.com/sobaryouri/

 

 

 


 

 

⑧ 世界中で愛される蕎⻨を使った料理

 

いわゆる蕎麦は日本食の代表的なものですが、穀物の蕎麦で言えば、実は世界中の各地で蕎麦料理は食べられています。

いくつかの国の蕎麦料理について、調べてみました。

正直、知っているのはフランスの「ガレット」くらいでした。

 

【フランス】

蕎麦粉の「クレープ」や「ガレット」が食べられている。

 

【スロベニア】

一人あたりの蕎麦の消費量は日本より多い。日本の玄そばにあたる、外皮を取った「カーシャ」と呼ばれるものを、日本の米のように料理して食べる。また、粉にしてミルクに入れる、団子にする、そばがきのようなものにバターをつける、など多様な食べ方がある。

 

【イタリア】

きしめんのような形状の「ピツォケリ」という蕎麦粉のパスタがある。また、水でこねた軟らかいそばがきにグラッパという蒸留酒を少し入れ、スプーンですくって中にチーズを入れ素揚げにした「シアット」という料理も。

 

【ポーランド】

米のように蕎麦米として食べるのが一般的。蕎麦米を詰めたソーセージやマトン料理、豚料理などがある。

 

【チェコ】

蕎麦米を詰めたソーセージや、蕎麦ハーブ茶などが食されている。

 

【スイス】

「シュベッレ」というパスタ料理や、トウモロコシと蕎麦セモリナ粉からつくる「ボレンタ」という料理がある。

 

【ヒマラヤ諸国】

フライパンや直火で焼く、パインケーキやクレープ風のものが多い。ニンニクや唐辛子を入れたタレをつけて食べるのが一般的。

 

【ロシア】

「カーシャ」が主流。蕎麦粉を使ったパンケーキ「ブリヌイ」なども。

 

【中国】

内モンゴルや少数民族の間では日常的にそばが食べられてきた。

 

【南北朝鮮】

蕎麦粉を使った冷麺のほか、「ムー」と呼ばれる羊羹状の伝統的な料理がある。

 

 

<参考サイト>

・日本と世界のそば料理

https://sobadou.com/sobaryouri/

・【日本より蕎麦を多く食べる国は?】蕎麦の歴史がスゴかった!

https://muccarana.com/soba_history

 

 


 

 

⑨ 《美味しい手延べ麺》手延べ麺 蕎麦風味 編

 

手延べ麺 蕎麦風味は、実は、石井製麺所で素麺以外の手延べ麺、第一号なんです。

夏の素麺以外に、お客様にお喜びいただきたくて、先代の社長(父)と母が苦労して開発した手延べ麺だそうです。

今では、秋から冬、特に年末年始に人気の手延べ麺で、「年越し蕎麦にしています」というお客様もいらっしゃって、私どもも一生懸命手延べております。

 

手延べ麺で小麦粉の比率が高いことから、手延べ素麺の良いところを受け継ぎつつ、蕎麦の風味をお楽しみいただけます。

ツルツルッとしたのど越しに、もちもちっとした食感が普通の蕎麦とは違うところでしょうか。

暑い日には冷たくして「冷やし蕎麦」に、寒い日には温かいお出汁と甘辛い醤油だしのしみた油揚げをのせて「きつねそば」をいただきたいものです。

 

これから朝夕の寒暖も大きくなり、晩ご飯には温かい汁物も登場する機会が増えますね。

そんな時には、ぜひ石井製麺所の「手延べ麺 蕎麦風味」はいかがでしょうか。

 

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ麺 蕎麦風味》 https://141seimen.thebase.in/items/12170119

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2023年9月11日 【Vol.21】メンコレ③/薬草を練り込んだ素麺の健康への期待

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.21

メンコレ③/薬草を練り込んだ素麺の健康への期待

 

 

 

 

石井製麺所の“食材を練り込んだ手延べ麺開発”の一番のきっかけは、「しょうどしま長命草」を使った素麵でした。

召し上がってくださる方に、美味しさはもちろん、健康づくりにもお役立ていただける素麵を考えていたところ、小豆島の長命草生産者さんから「長命草を練り込んだ素麵ができないか」とご相談をいただき、石井製麺所が考える新しい麺の開発に繋がりました。

薬草ではありませんが、小豆島を代表するオリーブを使った素麵も、美味しさと食べやすさ、それに“健康価値の高い”食材であることを活かした手延べ素麵として、開発・販売してまいりました。

 

ご存じの通り、手延べ素麵は小麦粉と塩と水だけで製造をしています(必要に応じて食用油を表面に塗ります)。

「手延べ製法」は、そのシンプルな素材の特性を活かし、組み合わせて、美味しさを創り出す“究極の製法”(だと私は考えています)として受け継がれ、時に見直され、今日まで繋がっています。

白い素麵に食材・素材(食品粉末など)を混ぜてつくることは、これまで培ってきた製造方法そのままでは非常に難しくなることが多く、素材によっては柔らかくなり過ぎたり、途中で伸びすぎたり、逆に伸びなかったりと大きく製法に影響してしまいます。

石井製麺所では何度も失敗を繰り返し、食材を練り込んで美味しい手延べ麺に仕上げる独自製法を編みだすことができました。

もちろん、無添加、無着色、無香料のこだわりは大切にしています。

また、様々な手延べ麺にチャレンジすることで、必然的に各工程を見直すことになり、これまでの白い手延べ素麵のクオリティ向上に繋がったと感じています。

 

その甲斐あってか、現在、日本全国より、各地自慢の食材を練り込んだ素麵の製造依頼を頂戴するようになりました。

現在も独自の新麺開発に取り組みながら、独自性のある、新しい麺をお考えの皆さまのお役に立てればと精進しております。

 

今回は、「メンコレ」第3弾として、生地に薬草(健康に良いと考えられる食材)を練り込んだ素麺について調べてみました。

昔から、人々はいろいろな植物を薬として用いてきました。

何がどんな症状に効くのか試行錯誤を重ね、民間療法として伝承してきたのです。

漢方の用語に「医食同源」という言葉があります。

食べるものと薬になるものの源は同じ、という意味だそうです。

昔の人々が経験として薬用していた植物で、近年その健康への効果が改めてクローズアップされる、といったこともよくあるように思います。

そういった健康効果が大きく期待される植物を「薬草」ととらえ、それらを生地に練り込んだ素麺について、特徴的なものを調べてみましたので、今回もお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

※以下にご紹介する素麺は、2023年9月11日現在の当社調べになります。

ご紹介した地域以外でも同様の商品を扱っておられるかもしれませんのでご了承ください。

また、これ以外にもこんな食材を練り込んだ素麺がある、という情報をお持ちの方は、ぜひお知らせください。

 

 

<参考サイト>

・身近な生活にある薬用植物 医薬品の原料となった植物

https://www.eisai.co.jp/museum/herb/familiar/medicine.html

・医食同源とは?食事も薬も源は同じ!? 健康を維持するには毎日の食事から

https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/eat/?p=9795

 

 

【目次】

① 食べると長生きできる!?「長命草」の素麺

② 無病息災を願って食べたい「月桃」の素麺

③ 和ハーブの女王の異名を持つ「ヨモギ」の素麺

④ 漢方にも使われる!青と赤が鮮やかな「シソ」の素麺

⑤ 翌日には芽吹く生命力の強さ「明日葉」の素麺

⑥ 植物繊維が豊富!食べる「い草」の素麺

⑦ 薬草の栽培地でもある島原の「薬草」の素麺

⑧ 《美味しい素麺》しょうどしま長命草素麺 編

 

 


 

 

① 食べると長生きできる!?「長命草」の素麺

 

長命草は、「1株食べると、1日長生きする」と言われるほど高い栄養価を持つとされる、香川県小豆島の新しい健康食材。

四国、九州、沖縄などの海岸に自生する、セリ科の多年草です。

潮風が吹き付ける過酷な自然環境でもたくましく育つ塩生植物で、沖縄などでは古くから健康に良い野菜として食されてきました。

ポリフェノールや食物繊維を多く含み、ビタミンやミネラルもバランスよく含んでいます。

 

長命草には苦味がありますが、素麺にすることで食べやすく、手延べならではのツルッとした食感で美味しく召し上がっていただけます。

翡翠色で抹茶風味の中太麺で、温かいおだしともよく合います。

 

力を入れて取り組まれる与那国島や南さつま市でも、長命草を使った麺をつくられているそうです。

石井製麺所でも、他産地に負けない美味しい「長命草素麵」をつくり続けてまいります。

 

 

<参考サイト>

・しょうどしま長命草プロジェクト

https://shodoshima-choumeisou.com

 

 

 


 

 

② 無病息災を願って食べたい「月桃」の素麺

 

月桃(げっとう)は、沖縄や台湾などの亜熱帯地方に自生している多年草です。

沖縄では古くからその葉や種子・花などを薬草として活用してきました。

旧暦の12月8日には、一年の無病息災を祈願して月桃の葉で餅を包み、蒸して食べる習慣があるそうです。

蒸した際の残り湯は玄関や家の周りにまいて、家の中に邪気が入らないようにするお清めとして使うとのこと。

 

月桃はポリフェノールが豊富で、抗酸化作用や美肌効果などが期待され、ハーブティーや化粧品などにも使われています。

「げっとう食品」さんは、そんな月桃にほれこんで月桃の葉を練り込んだ素麺をつくっておられます。

オーナーが浦添市で運営されている沖縄そば店では、月桃入りのそばを食べたり、月桃入り素麺を購入したりできるようです。

 

※写真は「琉球ガラス村」の「福地商店」で販売中の月桃そうめん

「酔処 玉川」さん/https://www.facebook.com/profile.php?id=100064378314649

「吉嶺」さん/https://www.facebook.com/Yushinmi.Okinawa

 

※写真は製造中の『月桃そうめん』

<参考サイト>

・沖縄産ハーブティーで人気の月桃について!

https://okinawa-cho-sei.easy-myshop.jp/c-fpage?fp=column21

・月桃にとことんほれ込んだ社長のすばとそーみん

https://www.urasoenavi.jp/kankou/2015043000021/

・月桃を使った沖縄そば 麺屋ちばとぉーんどー(浦添市勢理客)

https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1555983.html

 

 

 


 

 

③ 和ハーブの女王の異名を持つ「ヨモギ」の素麺

 

ヨモギは古くから日本で役立てられており、「和ハーブの女王」とも呼ばれます。

アジア・ヨーロッパ・アメリカなど世界中で生育し、その種類は250以上あるとも言われているそうです。

紫外線や潮風にさらされる海岸や荒れ地、森林など広く生息できる強い生命力があります。

 

栄養としては、骨粗しょう症を防ぐとされるビタミンK、抗酸化作用のあるビタミンEなどを豊富に含みます

 

ヨモギを使った食べ物としては、春の風物詩である草餅がよく知られていますね。

他にも天ぷらやお茶など食用されるほか、入浴剤として、またお灸のもぐさなどにも使われてきました。

 

天然のヨモギを練り込んだ素麺が、奈良県三輪、長崎県島原、福島県南会津などでつくられています。

ヨモギ独特の香りや風味が味わえるそうです。

 

 

<参考サイト>

・【和ハーブ連載】ヨモギの効果とは?身近な薬草の知られざる力

https://www.yomeishu.co.jp/health/4159/

・三輪の翁 稲垣商店 よもぎそうめん

https://miwaokina.com/products/sousaku/yomogi.html

・のうち製麺 手延べ よもぎ素麺

https://nouchi-seimen.ocnk.net/product/16

・天領よもぎそうめん

https://www.naraya-soba.com/?pid=72380562

 

 

 


 

 

④ 漢方にも使われる!青と赤が鮮やかな「シソ」の素麺

 

シソは漢方にも使われる薬草です。

大きくは青ジソと赤ジソに分けられ、薬味やてんぷらなどで目にする機会が多いのは青ジソですが、漢方に使われるのは主に赤ジソだそうです。

 

発汗作用や解熱作用、胃液の分泌を良くして胃腸の働きを整える作用、魚介類による食中毒時の解毒・予防などが期待されるため、風邪症状や胃腸の不調などに良いとされる漢方薬に用いられているとのこと。

青ジソは抗菌作用が強いとされ、刺身のツマなどに用いられています。

素麵を食べる際には、薬味として使う方も多いのではないでしょうか。

 

そのシソを、素麵に練り込んでいるものもあるようです。

大分県大分市で大葉(シソ)の栽培や加工品生産などを手掛けておられる「植木農園」さんでは、青ジソの粉末を練り込んだ緑色の素麺や、梅とシソの粉末を練り込んだピンク色の素麺をつくっておられます。

 

徳島県徳島市では、徳島県産シソの葉を手摘みし天日で乾燥させ、粉にして生地に練り込んだピンク色をした素麺をつくっておられます。

 

 

<参考サイト>

・しそが漢方に用いられる理由。どんな漢方に配合されているかを解説

https://www.yuskin.co.jp/hadaiku/detail.html?pdid=100

・植木農園(大分県)の青じそ入 手延べ素麺は美しく、この上なくおいしいそうめん。強いコシが快感です。

https://kanzo.jp/archives/34648

・植木農園オンラインショップ

https://uekifarm.jp/shop/item.html#soumenao

・阿波紫蘇そうめん

https://gin-sato.jp/SHOP/4580280300497.html

 

 

 


 

 

⑤ 翌日には芽吹く生命力の強さ「明日葉」の素麺

 

明日葉は、独特の苦みを持つセリ科の多年草。

「今日新芽を摘んでも、翌日にはまた新しい芽が出てくる」と言われるほど生命力が強いことからその名がついたとされています。

別名「八丈草」とも言われ、八丈島や大島など伊豆諸島、房総半島、三浦半島、紀伊半島など暖かい太平洋沿岸部に自生している植物です。

 

古くから食用されており、青汁の原料としても有名ですね。

ミネラルやビタミンなどの栄養を豊富に含む健康野菜で、粉末などに加工されスイーツなどにも使われているそうです。

 

明日葉を練り込んだ素麺は、八丈島だけでなく、全国各地でつくられているようです。

 

岐阜県大垣では、明日葉を地域で苗から育てて粉末にし、練り込んで素麺をつくっておられます。

 

素麺発祥の地である奈良県三輪では、自社栽培の農薬不使用の明日葉を粉末にして練り込んだ素麺をつくっておられます。

 

翡翠の産地である新潟県糸魚川では、伊豆七島に自生する明日葉を練り込んで、翡翠のような美しい緑色の素麺をつくっておられます。

 

 

<参考サイト>

・八丈島の健康野菜あしたば

https://www.hachijo.gr.jp/specials/ashitaba/

・明日葉/アシタバ/あしたば:旬の時期と特徴

https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/ashitaba.htm

・八丈島の明日葉・くさや・島とうがらし

https://www.sp-market.biz/shopdetail/000000000589/

・明日葉そうめん

https://ogaki-tokusanhin.jp/product/product-52/

・明日葉入り手延べ三輪素麺

http://www.nishino-farm.com/ashitaba-order/soumenn.html

・明日葉入りひすい麺「姫の糸」

https://e-ee.jp/SHOP/KSHI19071.html

 

 

 


 

 

⑥ 植物繊維が豊富!食べる「い草」の素麺

 

い草は畳の原料として知られていますが、昔は薬草として使われていました。

江戸時代の文献に、い草を細かくすりおろし煎じて飲むことで、感染による炎症を抑えるなどの効果があると記述されているそうです。

近年、食用い草の栽培が進んでおり、食物繊維などが豊富なことから「和のスーパーフード」として注目されています。

健康食品やスイーツ、また入浴剤などが開発されているとのこと。

 

日本一のい草の産地・熊本県八代市にある「イナダ有限会社」さんは、食用い草の栽培から販売まで手掛けておられます。

い草の粉末を練り込んだ素麺は、レストランや病院、学校の給食などにも採用されているそうです。

ほんのり甘く、つるつる、もちもちとした食感で、ゆで伸びしにくいとのこと。

こちらの会社では、い草を使ったお茶やアイスなどもつくっておられます。

 

※写真はイメージです。写真はPhoto AC「い草畑」より

<参考サイト>

・意外と知らない畳の話 昔は薬草だったイグサのアロマセラピー効果

https://ichijoya.co.jp/news/%E6%84%8F%E5%A4%96%E3%81%A8%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E7%95%B3%E3%81%AE%E8%A9%B1%E3%80%80%E6%98%94%E3%81%AF%E8%96%AC%E8%8D%89%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%82%B5%E3%81%AE/

・【イナダ有限会社】栄養が凄いと話題の”食べるイ草”を専門店で堪能してきた

https://8246renraku.net/archives/inada-igusa.html

・もちもち食感のこだわり手延べ『藺草麺 細麺』

https://e-igusa.com/SHOP/A13044.html

 

 


 

 

⑦ 薬草の栽培地でもある島原の「薬草」の素麺

 

長崎県の島原半島には、日本三大薬園跡のひとつである国指定史跡「旧島原藩薬園跡」があり、現在でも島原では薬草を栽培しているそうです。

そんな薬草を練り込んだ素麺がつくられています。

地元の島原農業高校の生徒が、もっと手軽に、年間を通じて手延べ素麺を食べてほしいとの想いで、「めんの山一」さんと産学連携で共同開発されたのが、「薬草麺のスープカレーそうめん」という商品。

麺には、4種の島原薬草(オオバコ・ウイキョウ・ナズナ・タンポポ)が練り込まれています。

コラーゲン入りカレースープと組み合わせ、片手鍋で3分ゆでれば出来上がりという簡単調理で食べられるそうです。

 

※写真は「長崎県産品データベース」掲載の「薬草麺のスープカレーそうめんNYK-02」より引用

<参考サイト>

・島原手延べ薬草麺のスープカレーそうめん

https://www.yamaichi-shop.jp/SHOP/NYK-02.html

・薬草麺のスープカレーそうめんNYK-02

https://nagasakisanpin-database.jp/product/%E8%96%AC%E8%8D%89%E9%BA%BA%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%97%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%81%9D%E3%81%86%E3%82%81%E3%82%93nyk-02/

 

 

 


 

 

⑧ 《美味しい素麺》しょうどしま長命草素麺 編

 

きっかけは、小豆島長命草の会さんから「長命草の粉末を使って、手延べ素麵をつくれないか」でした。

 

小豆島の農業は塩害との闘い…でもあるそうで、塩に強い農産物があればと、香川大学農学部の先生方と共同で研究をされてきたそうです。

何種類かの野菜や植物が候補に挙げられましたが、「長命草」を選ばれたそうです。

 

第一に、塩害に強い…どころか、塩を吸って元気になる植物ですから島嶼部である小豆島にはぴったりと言える植物です。

第二に、健康に良い…特に高血糖の方によいと言われているそうで、香川県の(当時)ワースト記録と言われる全国糖尿病患者数を下げるためにも、その効果に注目が集まったそうです。ちなみに、香川県では子供の糖尿病予備群化も深刻で、大人も子供も食べやすく広まりやすい食べ物が求められていたそうで、長命草を練り込んだ麺はまさにぴったりと言える食べ物だと考えます。

第三に、無農薬で栽培できること。食べる方の健康面でも大きく影響が考えられますが、なにより、高齢の農家さんにとって農薬を使わずに栽培できる長命草は、栽培される方の健康にも優しいと言えます。また、農薬を使用しないことから、その分のコストも安くなり安価に提供できることもメリットとなります。

第四に、島でたくさん出る「醤油粕」を活用して、小豆島独自の長命草栽培をおこなえる点です。

「醤油粕」は島にたくさんある醤油製造工場から毎日のように大量に出てきますが、醤油を搾った後の粕は産業廃棄物として処理されていたそうです。しかし、醤油粕に含まれる栄養素が長命草にぴったりで、より栄養価が高まる事も研究で分かってきたそうです。

地域で出る醤油粕を使用して、長命草を育て、それを島の特産品である手延べ素麵に仕上げることは、まさに小豆島ならではのものと言えます。

こうした理由から石井製麺所での「長命草素麵」づくりがはじまり、試行錯誤の上、納得いく仕上がりになったと自負しています。

少しずつですが認知度も高まり、今では人気の素麵となりました。

ぜひ一度、綺麗な翡翠色をした抹茶のような爽やかな風味の「長命草そうめん」を味わってみてください。

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べしょうどしま長命草素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/29007893

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。