天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

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2024年1月

2024年1月

石井製麺所通信

2024年1月28日 【Vol.29】栄養成分の機能性について/ポリフェノール

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.29

栄養成分の機能性について/ポリフェノール

 

 

 

 

ちょっと堅いテーマなのですが、以前から新しい手延べ麺の開発をおこなっていく上で、「健康づくりに役立つ」ような手延べ麺ができないかと模索しています。

手延べ素麵や手延べ麺にそこまでを求められていないかもしれませんが、「素麵」の起源は健康を願うものであり、お中元やお歳暮でも相手様の健康などを願って贈るものとして、重宝されてきたと思います。

石井製麺所でも、その“起源”に立ち返り、新しい麺を、健康に良い食べ物を、皆さんに笑顔をお届けできる美味しい手延べ麺を考えていきたいと思っています。

 

昨年の夏には東京の食品展示会にも参加し、さまざまな企業様が健康に良い麺の開発や食品の提供を考えていらっしゃいました。

興味のあるブースには立ち寄り、より詳しいお話を伺ったりしています。

現在は、県の施設や小麦粉の製粉メーカー様にもご協力をいただきながら、新商品開発を続けています。

 

その中で、「健康に良い」とはなんだろう?と、ふと考えることがあります。

美味しさはもちろんですが、化学調味料や香料、着色料を入れたり、栄養剤を入れたりすることは違うと考えています。

ただ、世の中で健康に良いと言われているものや、人気のある食べ物などを研究することは大切かなと考え、これまではさまざまな産地の手延べ麺やいろいろな種類の麺料理について調べてきました。

今回からはちょっと焦点を絞って、栄養素についてきちんと整理してみたいなと考えました。

調べてみると知らなかったと言うよりも、認識が間違っていたことや、新しい気づきもありました。

 

今回は特に、昨今よく耳にする「ポリフェノール」についてです。

皆さんはご存じですか?

言葉は知っていますが、その必要性や働きについてはあまり詳しくは知りませんでした。

そのことについていろいろと調べてみましたので、良ければご参考にいただけましたら。

今回もお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

 

 

【目次】

① 注目の抗酸化物質・ポリフェノールとは?

② 活性酸素を“除去”するポリフェノール

③ ポリフェノールの構造の違いにより働きも多種多様

④ ポリフェノールが豊富な食品・食材とは?

⑤ 効率的なポリフェノールの摂り方や食べ方の工夫

⑥ 《美味しい素麺》手延べ麺 蕎麦風味編

 

 


 

① 注目の抗酸化物質・ポリフェノールとは?

 

自然界には8,000種類以上のポリフェノールが存在すると言われています。

ポリフェノールはほとんどすべての植物に含まれている、色素や苦味の成分となる化合物で、植物が光合成を行うときにできる抗酸化物質の総称です。

紫外線や乾燥、害虫、塩分、周囲に生息する菌などのストレスから身を守るために生成されるとのことです。

ポリフェノールは、ビタミンやミネラルなどの「栄養素」には分類されていませんが、人間の体の調整役としてとても重要な役割を持つもので、健康のために意識して摂取したい成分です。

 

ポリフェノールが注目されるようになったきっかけは、1992年にフランスの科学者であるセルジュ・ルノー博士が発表した「フレンチ・パラドックス」に関する研究です。

フランス人の食生活は、肉やチーズ、バターなどの高カロリーなものが多く、心臓系の病気を発症する人が多くても不思議ではありません。

しかし実際には、他の欧州諸国に比べて心臓病による死亡率が低いことが分かりました。

この矛盾の要因が、フランス人が日常的に赤ワインを飲んでいることによると考察したのがセルジュ・ルノー博士です。

この発表により、赤ワインに豊富に含まれるポリフェノールが健康に役立つと考えられ、世界的に赤ワインブームが起こったそうです。

日本でポリフェノールが注目されるようになった背景のひとつとしては、食生活の変化が挙げられます。

高度経済成長期の1960年代、食の多様化が進みインスタント食品なども開発されました。

1980年代には食べ過ぎや生活習慣が問題となり、栄養学界では、栄養や嗜好に次ぐ食品の第三の働きとして「体調調節面での働き」の研究が進んだそうです。

 

その対象とされた成分が、ポリフェノールやカロテノイドなどの非栄養素成分だったとのことです。

 

ところで…知ってるようで知らないのが、「活性酸素」と「抗酸化」というワード。

「抗酸化」というのが、健康に良いというのは知っているつもりですが、なぜ、「抗酸化」が体に良いのでしょうか?

「活性酸素」が体に悪いのでしょうか?

このあたりを正しく理解して、「抗酸化」作用のある食べ物や栄養素を健康のために上手に摂取したいですよね。

 

 

<参考サイト>

・ポリフェノールの力

https://www.minamitohoku.or.jp/up/news/konnichiwa/201102/navi.html

・ポリフェノールの種類と効果と摂取方法

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/polyphenol.html

・ポリフェノールとは?体への効果と摂取できる食品・飲み物を解説!

https://medipalette.lotte.co.jp/bodycondition/979

・ポリフェノール

https://himitsu.wakasa.jp/contents/polyphenol/

・ポリフェノールの種類と効果を解説!最適な1日の摂取量とは?

https://zenb.jp/blogs/column/polyphenol01

 

 


 

② 活性酸素を“除去”するポリフェノール

 

「ポリフェノール」の「ポリ」は「たくさんの」の意味とのこと。

「フェノール」は、ベンゼン環(炭素原子6つで構成される平面六角形の構造のこと)に、水酸基(OH)が結合した化合物です。

水酸基には、活性酸素をとらえて除去する能力=抗酸化力があるため、ポリフェノールは抗酸化作用を持つ成分と言えるそうです。

活性酸素は人間の体内に存在している物質で、外界から侵入してきた細菌やウイルスを撃退する役目を担っていますが、ストレスや喫煙、紫外線などの様々な要因により、体内で必要以上に増加してしまいます。

増えすぎた活性酸素が体内のタンパク質や脂質、DNAなどを傷つけることにより、老化や生活習慣病などの原因になったり、肌を酸化させることでシミやしわを引き起こしたりすると考えられています

ポリフェノールは抗酸化作用を持ち、活性酸素を除去することにより、さまざまな病気に対抗する力やアンチエイジングの働きが期待されています

 

詳しく分かっていなかった点ですが、「活性酸素」が悪いわけでなく、抗酸化防御機構と呼ばれるものを正常に保つために、食べ物などから抗酸化物質を上手く摂取していくことが大切だということですね。

石井製麺所でも、「健康に良い素麺とは何か?」を常に考え、化学物質や栄養剤に加え香料や着色料などを混ぜた商品ではなく、自然由来の抗酸化物質(ポリフェノール)を一緒に摂取できるような手延べ麺は、これからの食生活でも必要性が高まるのではないかと考えています。

 

 

 

 


 

③ ポリフェノールの構造の違いにより働きも多種多様

 

ポリフェノールは、その構造の違いによりいくつかのカテゴリーに分けられます。

中でも研究が進んでいるのがフラボノイド類で、食品の機能性研究の対象とされています。

「フラボノイド」は、狭義では化学構造の違いにより、「フラボン」「フラボノール」「フラバノン」「フラバノール」「フラバン」「イソフラボン」などに分類されます。

広義では、化学構造で2つのベンゼン環が炭素3つで結合された基本構造を持つものを「フラボノイド系」と言い、赤ワインやブドウの果皮に含まれる「アントシアニン」や、緑茶に含まれる「カテキン」ごまに含まれる「セサミン」も、フラボノイド系に分類されるそうです。

フラボノイド類以外でも、コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」カレーの色素である「クルクミン」などは一般にも知られており、食品の機能性研究の対象にもなっています。

 

ポリフェノールの代表的なものを調べてみました。

抗酸化作用の他にも、種類によりさまざまな健康効果が期待できるようです。

 

【イソフラボン】

主に大豆に含まれるフラボノイド。ほとんどは胚芽部分に含まれ、種皮には含まれないことが分かっている。

油揚げや豆腐、納豆、きな粉などからも摂取できる。

女性ホルモンに似た働きをするため、更年期症状の緩和に役立つとされる。

また、骨からカルシウムが流れ出るのを防ぎ骨粗しょう症予防にも期待される。

 

【アントシアニン】

ブルーベリーや赤シソ、紫キャベツなどに含まれる赤~紫色の色素成分。

目の網膜に存在するロドプシンというタンパク質の再合成を促進する働きがあり、視力回復が期待できる。

 

【カテキン】

緑茶の渋み成分で、「タンニン」とも呼ばれる。

緑茶には8種類のカテキンが含まれ、その重さの約15〜20%を占める。

殺菌作用や、体内の活性酸素やウイルスの働きを抑制し、免疫機能をアップさせる作用で、風邪などの予防に役立つ。生活習慣病予防にも期待される。

 

【セサミン】

ごまの種子に含まれるゴマリグナンというリグナン類の一種。

ごま1粒に1%未満しか含まれない希少な成分。

肝臓の機能を高める働きがあり、二日酔いや悪酔いの予防に期待できる。

コレステロール値や血圧を正常に保つ働きもあるとされる。

 

【フラボノール】

天然に多く存在し、野菜や果物、穀類のほとんどに含まれるフラボノイド。

タマネギやエシャロットに含まれる「ケルセチン」、ニラやブロッコリーに含まれる「ケンフェロール」が知られている。

 

【ルチン】

蕎麦に多く含まれ、イチジク、トマト、アスパラガスなどにも含まれる。

毛細血管を強くし、血流改善に役立つと考えられている。

全身の血行が良くなることで、冷えや肩こりの改善にも期待される。

 

【フェルラ酸】

玄米に多く含まれる。

アミノ酸の一種であるチロシンに似た構造で、メラニンの生成を抑制し、シミやしわ予防が期待できる。

 

【クルクミン】

カレー粉の主成分であるターメリック (ウコン) に含まれる黄色の色素。

スパイスや着色料として利用されている。肝機能の強化や、アセトアルデヒドを分解して二日酔いや悪酔いを予防する働きがある。

 

【カカオポリフェノール】

チョコレート(カカオ豆)に含まれる。血管を広げ血圧を低下させる作用、LDLコレステロールの酸化を抑え動脈硬化予防、アレルギーの改善などが期待される。

 

【クロロゲン酸】

コーヒーの生豆中の約5〜8%を占め、レギュラーコーヒーやインスタントコーヒーにも含まれることが分かっている。

ゴボウ、サツマイモ、ジャガイモなどにも含まれる。

脂肪の消費量がアップし、内臓脂肪を低減するとされる。

長命草にも多く含まれるポリフェノールです。

 

 

<参考サイト>

・No.127 今さら聞けないシリーズ ポリフェノール

https://www.tanaka-cl.or.jp/aging-topics/topics-127/

・フラボノイドの種類と効果と摂取量

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/flavonoid.html

・セサミン

https://himitsu.wakasa.jp/contents/sesamin/

 

 

 


 

④ ポリフェノールが豊富な食品・食材とは?

 

人にはもともと抗酸化防御機能が備わっていて、体内でも抗酸化作用を持つ物質を生み出し、余分な活性酸素の除去をおこなっています。

しかしながら体内で抗酸化物質を生産する力が足りなくなるため、食品から食べて補う必要が出てきます。

そのため、厚生労働省でもポリフェノールの摂取やポリフェノールを多く含む食べ物の飲食を勧めています。

ポリフェノールを多く含む、食べ物や飲み物を知って上手に生活に取り入れていくのも良いですね。

ただし、積極的に摂りたい成分ですが、健康リスクもあるので過剰摂取には気をつけましょう。

 

【赤ワイン】

100gあたり230mg、500種類以上のポリフェノールを含む。

抗酸化作用で動脈硬化を予防し、心臓病のリスクを低下させる働きが知られるが、アルコールの摂りすぎには注意が必要

 

 

【緑茶】

100gあたり115mg、乾物として15%前後、渋みのもととなるカテキンが豊富に含まれる。

日照量が多いほどカテキンの合成が進むので、春に摘む一番茶より、夏に摘む二番茶や三番茶の方がカテキンの含有量が高くなる。

また葉が成熟するにつれカテキン含有量は低くなる。

茶葉中には形の違う4種類のカテキンが存在し、製造工程において加熱処理を行うことで形が一部変化するため、合計8種類のカテキンが存在する。

抗菌・抗ウイルスや体脂肪低減などの作用が知られている。

 

 

【紅茶】

100gあたり96mg。

赤い色や渋みのもととなるテアフラビンやテアルビジンが豊富。

これらは、カテキンが化学反応を起こしたもの。

紅茶の製造工程で、茶葉をもむことにより葉の中の細胞が壊れると、カテキン同士が酵素によって酸化し、カテキン類が複数結合したこれらのポリフェノールになるとのこと。

虫歯菌を抑える、インフルエンザウイルスの感染力を奪うなどの作用があると言われる。

 

【コーヒー】

100gあたり200mg。

褐色や苦味、香りのもととなるクロロゲン酸が豊富に含まれる。

血糖値の上昇抑制や血圧改善、脂肪の吸収抑制などの作用があり、生活習慣病予防が期待できる。

カフェインも含むため、摂りすぎや摂取する時間帯には注意が必要。

 

【トマトジュース、野菜ジュース】

100gあたり69mg。

トマトにはリコピンが含まれている。

 

【チョコレート、ココア】

原料のカカオに、フラバノールが豊富に含まれる。

心血管系の機能を健康に保つ作用や、ストレス軽減、認知機能改善などの働きが報告されている。

糖分の摂りすぎに注意が必要。

 

【大豆】

イソフラボンが豊富。

大豆以外の食品に含まれるイソフラボン類とは組成が異なるため、働きも異なると考えられる。

大豆由来のイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに構造が似ており、似たような働きで更年期症状の軽減に役立つとされる。

 

【蕎麦】

蕎麦の実にはルチンが豊富で、特に「韃靼(だったん)そば」と呼ばれる品種は、一般的なそばの100倍以上ルチンを含むとされる。

高血圧予防や、毛細血管を強くする作用があるとのこと。

 

【ショウガ】

ショウガオール、ジンゲロール、ジンゲロンという3つのポリフェノールを含む。

胃の働きを助ける、血行を促進して体を温める、殺菌などの作用があり、古くから漢方としても使われてきた。

 

【ブルーベリー】

果皮の濃い青紫色の色素成分であるアントシアニンが豊富。

視覚情報を脳に伝えるために重要なロドプシンという成分の再合成を促進する働きがあり、目の健康に役立つ。

 

【モロヘイヤ】

生100gあたり640mg。ケルセチンを豊富に含む。

 

【ゴボウ】

生100gあたり340mg。クロロゲン酸を多く含む。

 

【ホウレン草】

多くの種類のフラボノイドが含まれる。

 

【長命草】

機能性に注目が集まる「クロロゲン酸」を多く含んでいることが分析結果でも明らかになっている。

 

 

<参考サイト>

・【飲み物と食べ物別】ポリフェノールが多い食品ランキング

https://www.marine-bio.co.jp/polyphenol/article53/

・お茶の成分と健康性カテキン

https://www.ocha.tv/components_and_health/benefits_greentea/catechin/

 

 


 

⑤ 効率的なポリフェノールの摂り方や食べ方の工夫

 

人はポリフェノールの約8割を水分から、残りを食べ物から摂取しているそうです。

健康のためにポリフェノールを効率よく摂取するには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

水に溶けやすいため、まとめて摂取しても余った分は尿と一緒に排出されてしまうとのことです。

ポリフェノールの持続効果は摂取してから約3~4時間ほどなので、毎日こまめに摂るのが良いそうです。

熱には強く、加熱調理による損失は少ないとのこと。

色の濃い植物の実、特にその皮や種に多く含まれるので、捨ててしまいがちな皮や種を意識的に取り入れると良いようです。

野菜から摂る場合は、生で食べるのが一番効果的だそうですが、難しい場合は皮ごとゆでただし汁やスープを活用するのも良いとのことです。

大豆にも多く含まれるため、日本人の食生活では無意識のうちに豆腐や味噌、醬油などからポリフェノールを摂取しているそうです。

またポリフェノールは、緑茶やコーヒーなどの飲み物に多く含まれるので、食事の合間に飲み物から摂取すると効率的です。

タンパク質と結合して変性するので、コーヒーや紅茶のポリフェノールを最大限に活かしたい場合は、ミルクを入れずに飲むのが良いそうです。

また砂糖を入れる場合は糖分の摂りすぎに気を付ける必要があります。

1日のポリフェノール摂取基準量に厳密な基準はありませんが、1000~1500mg摂取するのが良いとされています。

積極的に摂りたいポリフェノールですが、過剰摂取は逆に健康被害につながる場合もあるそうです。

たとえば、ワインの摂りすぎはアルコール中毒、コーヒーの摂りすぎはカフェイン中毒などに注意が必要です。

 

特定の食品ばかり食べるのではなくバランスの良い食生活を心がけることが大切と言えるので、例えば、素麵などの麺類なら、トッピングや食べ合わせなど、いろいろ工夫することでいろいろなポリフェノールが摂れそうですね。

 

 

<参考サイト>

・ポリフェノールの効果と摂り方

https://www.karadacare-navi.com/foods/08/

・ポリフェノール

https://www.stroke-rehabfacility.com/eating-habit/polyphenol.html

・ポリフェノール摂取のコツ お茶・コーヒーでこまめに

https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXKZO21365040R20C17A9W10601/

・ポリフェノールの健康価値

https://www.kao.com/jp/healthscience/report/report066/report066_01/

 

 

 


 

⑥ 《美味しい素麺》手延べ麺 蕎麦風味 編

 

ポリフェノールと聞くと、なんだかワインやカカオなどを思い浮かべたりするかも知れませんが、蕎麦にも多く含まれているそうです。

上述しましたが蕎麦に含まれる「ルチン」には、「毛細血管を強くし、血流改善に役立つと考えられている」や「全身の血行が良くなることで、冷えや肩こりの改善にも期待される」とありました。

温かいお蕎麦を食べるだけでもホッとして、元気になれた気がしますが、栄養的にもそうだったんですね。

 

さて、なぜお蕎麦の紹介かというと、このブログをアップする頃には、かなり間際になりますが、節分蕎麦として石井製麺所の「手延べ麺 蕎麦風味」をご紹介したかったからです。

節分蕎麦をご存じですか?

以前にもご紹介させていただきましたが、“本来”の「年越し蕎麦」はというと、節分に食べる「節分蕎麦」が「年越し蕎麦」だったそうです。

節分とは、季節の変わり目のことで、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれ前日でしたが、今では特に立春の前日を指して節分と呼ばれるようになっています。

立春の前日の節分は“大寒”の最終日で、冬から春への節目の日です。そのため江戸時代には、大晦日ではなく節分を本当の年越しと言う考え方があったそうです。

ですので、研究家の方によれば“本来”の「年越し蕎麦」は、「節分蕎麦」と言うことになるそうですよ。

 

「節分蕎麦」とは、節分の日に食べる豆や恵方巻きのように縁起がよいメニューと言われていますが、江戸時代の頃には節分料理の元祖として全国に広まっていたそうです。
 
「節分蕎麦」をあまり聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、今年の節分には「節分蕎麦」を石井製麺所の「手延べ麺 蕎麦風味」で召し上がってみるのはいかがでしょうか。
 

石井製麺所のオリジナル手延べ麺手延べ麺 蕎麦風味は、小麦粉8に対して、蕎麦粉2を混ぜ、手延べ製法でつくった麺です。

蕎麦の風味を感じながら、手延べ麺独特のツルッとした食感が楽しめると冬に人気の商品です。

ぜひ一度、お試しください。

 
 
 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ麺 蕎麦風味》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801499

 

 

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

新着情報

2024年1月11日 『小豆島福箱』発売&新春プレゼント企画のご案内 → 当選発表

 

新春のお慶びを申し上げます。

おかげさまで石井製麺所一同、新しい年を迎えることができました。

 

年始より私たちの仕事について、あらためて考える毎日です。

小豆島のイチ製麺所として、変わらず美味しい手延べ麺をつくり続けるとともに、

私たちが思う島の魅力も、どんどん発信していきたいと思います。

 

お客様に「美味しい!」と喜んでいただけるように、毎日に磨きをかけて参ります。

本年も何卒、宜しくお願い申し上げます。

 

『小豆島福箱』のお買い求めはこちらから→【新春特別価格】小豆島福箱 | 石井製麺所 (thebase.in)

 

日頃のご愛顧に感謝をこめて、今年も2つの新春特別企画をご用意しました。

 

一、【新春特別価格】『小豆島福箱』発売

 

恒例の福袋企画、今年も『小豆島福箱』を限定20箱でご用意しました!

「もっと小豆島の美味しいものを皆さんに食べていただきたくて…」

今年は半生うどんはもちろん、小豆島の美味しいものを厳選して詰め合わせました。

 

セット内容
◯手延べ半生うどん×2袋
◯手延べきくらげ麺6束×1袋
◯小豆島のお米(2kg)×1袋
◯釜めしの素×1袋
◯新漬けオリーブ×1袋
◯干し椎茸×1袋
◯味醤油(360ml)×1本

 

小豆島のお米『安田の郷』は、数量が少なく、島外にはあまり出回っていませんが、

実は地元で美味しいと評判のお米なんです。

飲食店でも重宝されており、観光のお客様にも好評とのこと。

 

手延べ麺とお米が美味しく楽しめるお得なセットですので、

ぜひこの機会にお買い求めくださいませ。

 

 

 

二、新春プレゼントくじ(こちらは昨年ご利用いただいたお客様が対象となります。)

 

本ページにて、「新春プレゼントくじ」の当選番号を発表します。

ささやかではございますが、新年のお祝いとしてお楽しみいただけると幸いです。

お手元の「寒中お見舞いハガキ」のお年玉くじ番号の「下4桁」の番号を使用します。

石井製麺所の独自抽選で当選番号を決定するプレゼント企画です。

 

令和6年1月17日(水) 更新

大変お待たせをいたしました。

本日抽選を行いまして、下記の通り当選番号が決定いたしました。

 

当選番号

3225(3名)

4565(3名)

6244(4名)

 

ご当選された皆様、おめでとうございます!

プレゼントは順次お届けいたしますので、今しばらくお待ちくださいませ。

惜しくも抽選に漏れたお客様も、300円の割引券がございますので、ぜひご利用くださいませ。(下記に詳細がございます。)

 

抽選発表日:令和6年1月17日(水)

有効期限:令和6年 3月  末日

 

プレゼントの詳細は下記の通りです。【条件】をご確認くださいませ。

※プレゼントは自動適用いたします。

 

☆特等(大当たり) 『小豆島福箱』1箱(10名様)

【内容】:手延べ半生うどん×2袋、手延べきくらげ麺6束×1袋、小豆島のお米(2kg)×1袋、釜めしの素×1袋、新漬けオリーブ×1袋、干し椎茸×1袋、味醤油(360ml)×1本

【条件】:下4桁が一致

当選者の発表は、プレゼントの発送をもってかえさせていただきます。

 

☆特別賞(おしくも特等が当選しなかった方)『300円の割引券(1回限り)』

次回ご購入時(お電話、ご注文書、FAXでご注文の場合)に300円の割引をいたします。

 

◎ネットショップをご利用のお客様へ

誠に申し訳ございませんが、次回ご購入時の割引適用ができません。

次回ご購入時に、その次のご注文でご利用いただける割引クーポンをお知らせいたしますので、ぜひご利用くださいませ。

 

ご不明な点がございましたら、いつでも石井製麺所までご連絡ください。

【特別賞】の適用は、3月末日までのご注文に限らせていただきます。

予めご了承くださいませ。

 

TEL:0120-274-039

FAX:0879-82-6014

MAIL:141seimen@gmail.com

 

石井製麺所通信

2024年1月10日 【Vol.28】麺究者への道/「発酵」「熟成」「腐敗」はどう違う?

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.28

麺究者への道/「発酵」「熟成」「腐敗」はどう違う?

 

 

 

 

新年ひとつめのブログになります。

今年もお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

年末は、新しいお取引様からのご要望や新製品開発など、本当にありがたいお話で忙しくしておりました。

おかげさまで新しいことにチャレンジさせていただける機会もあり、今年はワクワクドキドキなことが待っているんだろうなと期待でいっぱいです。

 

さて、昨年来、色々なテーマでブログ(私としては自分の勉強や新製品開発のデータベースとして)を書いてまいりましたが、今年も色々と勉強しながら記していきたいなと思います。

何年か後に振り返ったときに、このブログのために色々勉強したことが役立ったと言えるように、しっかりと調べていきたいと思いますので、もし内容にお気づきの点がございましたらご連絡ください。

 

今年の一つ目のテーマですが…

実は最近、新製品開発や島の中での事業者さんとの会話の中で当たり前のように耳にする「発酵」「熟成」という言葉が気になっています。

小豆島は「醤油」の産地であり、島には県立の「発酵食品研究所」があります。

日本酒の酒蔵さんもありますし、無添加でお味噌をつくる方もいらっしゃいます。

最近ではクラフトビールに取り組む方などもおられ、「発酵」「熟成」を活かしたさまざまな産業や食品を目にするようになりました。

実は、手延べ素麵も「発酵」「熟成」というキーワードを使用しますし、その働きを活かした工程もあります。

ただ、言葉として知っていても、実はなにが「発酵」でどうすることが「熟成」なのか…

「発酵」させることで、素麵に何が起きていて、「熟成」するということはどのような影響があるのか、実はよくは分かっていません。

 

もちろん、素麺をつくる工程では、その前と後で違いは分かりますし、必要なことは分かります。

ですが、その仕組みや働きなどについて理解している訳でなく、「そうしてきたからそうする」感じで製造工程を守り続けてきました。

 

「発酵」「熟成」は品質に大きく影響します。

例えば味や香り、いわゆる風味ということに大きな影響を及ぼします。

ということは、食品にとってとても重要なことを、「前からやっているからこれからも続ける」ということになり、もしかしたら美味しい素麵をつくる大切なポイントをスルーしているのかもしれない…そう思うと、もっとなにか、できることがあるんじゃないかと思えてきて、色々なことを知りたくなりました。

これまでに取り組んできている新製品開発にも関わっていくことですし、開発の方向性にも繋がります。

また、もしかしたら「発酵」「熟成」を活かすことで素麺づくりの製法も変化・進化させることができるかも知れません。

そんな可能性を感じましたし、信じています。

 

そこで、今年は「発酵」「熟成」について少し勉強し、さまざまな食品についても勉強したいと思います。

できれば島内の事業者さんを訪ね、新しい繋がりを広げていきたいと考えています。

自分自身のためであり、このブログをご覧いただく方のお役に立てればと思います。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

写真は、12月に小豆島一番の観光地、寒霞渓から見下ろした写真です。

標高も600メートルくらいあるので、空気も冷たくて身もシャンと引き締まります。

 

 

【目次】

① 知ってるようで知らない「発酵」「熟成」「腐敗」の違い

② 発酵には欠かせない微生物のチカラと理解

③ 先人の知恵はすごい!発酵のパワー

④ 発酵で生まれた多くの食品たち

⑤ 熟成の3つの技法とは?

⑥ 味・栄養・食感など、熟成のメリットいろいろ

⑦ 熟成で美味しくなるメカニズム

⑧ 【新春特別価格】『小豆島福箱』発売中

 

 


 

① 知ってるようで知らない「発酵」「熟成」「腐敗」の違い

 

味や栄養の面で注目されている「発酵」と「熟成」は、どちらも食材が一定期間を経て変化することを表す言葉ですが、具体的にはどういう意味なのでしょうか。

人間に有害な変化である「腐敗」も含めて、調べてみました。

 

「発酵」とは

「発酵」とは、食材に付着した菌やカビなどの微生物がタンパク質や糖質を分解して、旨味の素となるアミノ酸やアルコールなどをつくり出すことにより、人間にとって有益な状態に変化させることだそうです。

旨味や風味、栄養価が増したり、保存性が高まったりします。

 

発酵には微生物の働きが不可欠で、麹菌や乳酸菌、酵母菌といった微生物によって、味噌、醤油、ヨーグルト、チーズ、ワインなどの発酵食品がつくり出されます。

 

 

 

「熟成」とは

「熟成」は、近年話題の熟成肉を例にとると、肉がもともと持っている酵素がタンパク質などを分解することで柔らかくなり、アミノ酸が増加することで美味しくなります。

 

また、清酒、ウイスキーなど酒類の熟成は、保存・貯蔵中に起きる化学的変化とのことです。

 

発酵と熟成は線引きが難しいところもあり、例えば味噌は、米に麹菌をつけて発酵させ、発酵の段階が終わると麹菌由来の酵素により熟成の段階に入るので「発酵熟成させた食品」と呼ばれるそうです。

 

 

 

「腐敗」とは

「腐敗」は発酵と同じ原理で微生物の働きによるものですが、人間にとって有益ではないものに変化してしまうことです。

においや見た目、味などが劣化し、食べられなくなります。

 

話は変わりますが、バナナなどの果物の場合、熟成と腐敗の区別は分かりにくいですよね

「腐りかけが美味しい」とは言われますが…

 

 

<参考サイト>

・「発酵」と「熟成」は何が違うのか?

https://ajibana.jp/trivia/465/

・発酵と熟成の違いとは?

https://www.mizkan.co.jp/osu-information/base/difference.html

・発酵と腐敗・熟成の違いって何?

https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20181025/10134/

 

 

 

 


 

② 発酵には欠かせない微生物のチカラと理解

 

発酵に欠かせない微生物は、「細菌」「酵母」「カビ」の3種類に分けられます。

それぞれにどんなものがどんな発酵食品を生み出しているかを分けて整理してみました。

 

【細菌】

細菌は、カビや酵母に比べて最も小さな単細胞の微生物で、細胞分裂を繰り返して増殖します。

 

腸内環境を整えることで知られる「乳酸菌」は、糖類を分解して乳酸に変える働きがあります。

牛乳に乳酸菌を加えるとヨーグルトやチーズができます。

 

また、ぬか漬けやキムチなどの漬物は、原料の野菜に含まれるブドウ糖や果糖などを乳酸菌が分解して発酵したものです。

 

「乳酸菌」が生成する乳酸により、pHを下げること(酸性)で食中毒細菌などの増殖を抑え、保存性が高まります

また乳酸菌はアミノ酸を生み出すことで、発酵食品に独特の風味が生まれます。

 

 

「納豆菌」は、田んぼや畑、枯れ草、稲わらなどに生息する細菌です。

煮大豆に納豆菌を加えると、発酵の過程でタンパク質を分解し、旨味成分であるアミノ酸を生成して納豆ができます。

納豆菌は生きたまま腸内にたどり着き、善玉菌を活性化させ悪玉菌を抑制して腸内環境を改善したり、「ナットウキナーゼ」というタンパク質分解酵素が血液をサラサラにする働きがあるそうです。

 

 

「酢酸菌」は、アルコールを酢酸に変える、酢をつくるのに欠かせない細菌です。

酢酸によりpHを低下させて他の微生物を近寄らせない環境をつくり、防腐や静菌・殺菌の働きをするとのこと。

また酢の強い酸味と刺激臭も、酢酸によるものです。酢酸菌は腸内の免疫スイッチを刺激して活性化させ、花粉症やアレルギーを抑制する作用があると言われます。

 

 

【酵母】

酵母による発酵は、主にアルコール発酵で、ブドウ糖をアルコールと二酸化炭素に分解します。

大麦を発芽させてつくった麦芽からの麦汁にビール酵母を加え、アルコール発酵させるとビールができます。

ブドウの果汁にワイン酵母を加え、アルコール発酵させるとワインができます。

 

 

また酵母から出る炭酸ガスは、パンの発酵に利用されています。

パンづくりに使われる酵母は大きく分けて「イースト」と「天然酵母」の2種類。

イーストはパン専用の酵母として基本的に1種類の酵母を培養させたものです。

天然酵母は穀物や果物など自然にある酵母を育てたもので、乳酸菌など他の菌も混ざっているそうです。

 

 

【カビ】

カビは糸状細胞の微生物で、胞子を飛ばして拡散し、菌糸と呼ばれる糸状の細胞を伸ばして広がります。

カツオ節をつくるのに使われる「カツオブシカビ」や、ブルーチーズで知られる「青カビ」などのほか、「麹菌」もカビの一種です。

 

 

麹菌は、味噌や醤油、みりん、米酢、甘酒、日本酒、焼酎、漬け物など、日本由来の発酵調味料や発酵食品をつくるのに使われるカビです。

そのまま使うのではなく、お米、麦、大豆などに加えて培養させた「麹」にして使用します。

菌を繁殖させた食材により、「米麹」「麦麹」「大豆麹」など麹の種類が変わります。

麹菌が生み出す酵素の働きで、食材の体内での消化・吸収の効率が良くなったり、腸内の善玉菌が活性化して腸内環境が良くなったりします。

また麹菌は、豊富なビタミンやミネラルなどの栄養素をつくるそうです。

 

 

<参考サイト>

・発酵食品にはどんな種類があるの?主な発酵食品一覧

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/hakkou-table

・発酵のきほん

https://www.hakko-blend.com/study/

 

 

 

 


 

③ 先人の知恵はすごい!発酵のパワー

 

食材は発酵させることにより、人間に有益な変化が起こります。

その主な働きや作用について3つありますが、よくぞこんな発見ができたものだと驚きます。

そして、それが現代にでも役に立ち、今まさに健康や食問題の解決に繋がるんですから、本当に素晴らしいことですね。

 

【食品の保存性向上】

ある環境のなかに特定の微生物が一定数以上いる場合、他の微生物は繁殖することができないそうです。

発酵を促す微生物が増えることにより、腐敗菌を寄せつけないようにするため、食品の保存性が高まります。

また発酵によって生まれる乳酸や酢酸、アルコール自体にも殺菌効果があるので、雑菌の増殖を抑え、食品のおいしさが保たれるとのことです。

 

【味わいや香りアップ】

食材が微生物により分解され発酵する過程で、アミノ酸やイノシン酸、グアニル酸などの旨味成分が生まれます

また発酵食品の独特な香りについても、発酵過程で微生物の作用によって生成される香気成分によるものだそうです。

 

【栄養価や健康機能が高まる】

発酵の過程で、微生物がビタミン類などさまざまな栄養成分をつくり出します

元の食材よりも栄養価が高まったり、新しい栄養成分が加わったりします。

また、栄養成分が体内に吸収されやすくなる、腸内環境を整え免疫力が高まる、活性酸素の発生を抑え酸化を防ぐ、などのメリットもあります。

 

 

<参考サイト>

・発酵食品って何がいいの?

https://www.hakko-blend.com/study/whats/01/

 

 

 


 

④ 発酵で生まれた多くの食品たち

 

私たちが普段口にしている食べ物や飲み物の中にも、発酵の力によりつくられているものがたくさんあります。

 

【発酵食品】

<大豆系>

代表的な納豆は、納豆菌で発酵させた「糸引き納豆」と、麹菌で発酵させた糸を引かない「塩辛納豆」の2種類に分けられます。

「糸引き納豆」はさらに、大豆を丸ごと蒸してつくる「丸大豆納豆」、大豆を炒ってひき、皮を取り除いた後に納豆菌をつけて発酵させた「ひきわり納豆」、ひきわり納豆に米麹と塩を加えて、発酵・熟成させた「五斗納豆」に分けられるそうです。

 

インドネシアの「テンペ」など、海外にも納豆に似た食品があります。

 

※写真はPhotoAC「テンペ」より

<野菜系>

野菜などを漬け込んで風味と保存性を高める漬物には、つくる過程で発酵させる「発酵漬物」があります。

塩分を含む漬け床に漬け込むことで、野菜から出た水の中で乳酸菌が育ち、その働きによって漬物ができます。

野菜にもともと付着している乳酸菌が、糖類などを分解して乳酸を生成することによりpHが低下することで酸性になるそうです。

そのため酸味が出て、また酸に弱い腐敗菌の働きが抑えられることで保存性が高まるとのこと。

空気中などから付着した酵母も増殖することで、漬物特有の風味が生まれます。

 

韓国の「キムチ」や、ドイツの「ザワークラウト」、欧米の「ピクルス」なども発酵漬物です。

 

 

<肉系>

生ハムは、豚肉を塩水や塩で漬けて乾燥させ、燻製などの加工をせず、発酵・熟成させてつくられます。

ドライソーセージは、豚肉とアルコール、塩を混ぜて腸詰めにし、乳酸菌により発酵させつくられます。

 

※写真はPhotoAC「熟成サラミ」より

<魚介系>

魚介類にはもともとイノシン酸が多く含まれており、さらに発酵する過程でアミノ酸類が増え、イノシン酸も増えるそうです。

カツオ節は、カツオブシカビを何度もつけて燻したり乾燥させたりしてつくられます。

寿司の原型とも言われるなれずしは、魚を塩とご飯で発酵させたものです。

塩辛は、魚やイカの身・内臓などを塩漬けにして、発酵・熟成させています。

 

 

<その他>

乳製品であるヨーグルトやチーズ、また、パンやチョコレートも発酵食品です。

ヨーグルトは、牛乳に含まれる乳糖を乳酸菌で分解させてつくられます。

チーズは乳酸の発酵により酸化させた後に、加熱したり、酵素を添加して凝固させたりしてつくられます。

 

【発酵飲料】

<アルコール>

日本酒は、米に清酒酵母や麹を加え、発酵させてつくります。

ビールは、麦芽のでんぷんを糖化し、ビール酵母を加えて発酵させます。

ワインは、原料のブドウにワイン酵母を加えてつくります。

焼酎や泡盛も、発酵の力でつくるアルコール飲料です。

 

<発酵茶>

お茶の葉には酸化酵素が含まれており、摘んだ後そのままにしておくと徐々に発酵していくそうです。

発酵が進むと茶葉の色や香りが変化します。

発酵の方法や度合により「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」「後発酵茶」の4種類に分けられるとのことです。

緑茶や煎茶は発酵をさせずにつくられます。

ウーロン茶は、葉の周辺部の色が茶色に変色し始めたら火を入れ、発酵を止める半発酵茶です。

紅茶は、発酵の途中で揉む工程を入れて茶葉を傷つけることにより発酵を促進し、最後まで発酵させる発酵茶です。

プーアール茶は、茶葉を摘んですぐに火を入れて発酵を止めますが、その後、麹菌などの微生物によって発酵させる後発酵茶です。

 

 

<その他>

甘酒(麹甘酒)は、炊いたご飯に米麹を加えてつくられます。

麹菌や麹菌の酵素の働きにより、ブドウ糖や必須アミノ酸、ビタミンB群などの栄養素がつくり出されます。

麹甘酒はノンアルコールですが、酒粕に砂糖と水を加えた酒粕甘酒はアルコールを含みます。

 

 

【発酵調味料】

「醤油」は、麹菌の酵素で大豆のタンパク質を分解してつくられ、醤油乳酸菌や酵母などの働きにより熟成が進みます。

「味噌」は、大豆と麹、塩が原料です。麹の種類により、米味噌や豆味噌、麦味噌などがあります。

「酢」は、酒に酢酸菌を加えてつくります。原料の種類により、米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーなどがあります。

「みりん」は、もち米と米麹、焼酎が原料です。麹菌の酵素がでんぷんを糖化することでつくられます。

 

他にも塩麹や醤油麹、中国の豆板醤、韓国のコチュジャンなどがあります。

魚醤は魚と塩を発酵させた調味料で、タイのナンプラーもその一種です。

 

 

<参考サイト>

・ゆたかな食文化を支えるさまざまな発酵・発酵食品

https://www.hakko-blend.com/study/

・発酵食品の一覧を紹介!効果や食べ方のポイントとともに確認しよう

https://www.u-can.co.jp/course/data/in_html/1473/column/column01.html

・主な発酵食品を一覧でチェック!効果・効能を高める健康レシピで豊かな食生活を

https://brunofans.jp/2023/05/post-709.html

・食べておいしく、カラダにやさしい発酵食品!

https://www.nissui.co.jp/recipe/fish-kitchen/featured/c00004/index.html

・乳酸菌 乳酸菌が含まれる食品はこれ!

https://www.nutrilite.jp/magazine/lactic-acid-bacteria/content32.html

・製法の違いで分けるお茶の種類

https://shop.chanoma.co.jp/column/kind/kind.html

 

 

 

 


 

⑤ 熟成の3つの技法とは?

 

発酵と並ぶ食材の変化である熟成には、日本古来の技法から新しく生まれたものまで、3つの技術があるそうです。

これらの技術について、熟成肉の例が分かりやすいと思うので整理してみます。

 

【枯らし熟成】

肉を枝肉のまま吊るし、3~4週間かけて熟成させる、かつて日本のお肉屋さんでよく見られた方法

骨のまま吊るすことで、肉に負担がかかりにくいそうです。

冷蔵庫内で肉に最適な菌が自然に付着し、水分がゆっくり引き出されることで旨味が凝縮するとのこと。

表面のカビをそぎ落とす必要があるなど効率が良くないことから、真空技術の発達や流通の発展などにより、あまり活用されなくなったそうです。

 

【ドライエイジング】

管理された環境で乾燥させながら熟成する、ニューヨークから伝わった方法

専用の貯蔵庫の中で湿度・温度を調整し、風を循環させながら水分を抜き、2週間~2カ月かけて熟成させます。

熟成の過程で自然に微生物がつきます。

こちらも表面のカビをそぎ落とす必要があります。

 

【ウェットエイジング】

真空にして、0℃~1℃の貯蔵庫で1~2週間寝かす技法です。

元々は、輸送の際に肉の劣化を防ぐため真空にしていたところ、数日寝かせると肉の酵素の働きにより柔らかくなり、旨味も増すことが分かったそうです。

他の技法に比べて管理がしやすいですが、旨味や香りはあまり増えないとのことです。

 

 

<参考サイト>

・熟成とは?発酵との違いと熟成することで食材が美味しくなる理由

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/jyukuseitoha

・大ブームの「赤身肉」&「熟成肉」を詳しく知ろう!【熟成肉編】

https://ourage.jp/column/healthy_gohan/38302/

 

 

 

 


 

⑥ 味・栄養・食感など、熟成のメリットいろいろ

 

熟成により、食材のタンパク質が分解されてアミノ酸が増えます。

このことにより、さまざまな効果が現れます。

ただし熟成と腐敗は紙一重なので、プロによる管理と見極めが必要です。

自宅で熟成させるのは難しいようです。

 

【旨味が増す】

アミノ酸は旨味成分のひとつなので、熟成が進みアミノ酸が増えることで美味しさをより感じられるようになります。

 

【芳醇な香りがする】

熟成香と言われる芳醇な香りがします。

 

【栄養分が吸収されやすくなる】

タンパク質は人の体をつくるのに必要ですが、そのままでは吸収されません。

熟成によりアミノ酸に変化することで、栄養分が吸収されやすくなります。

 

【食感がやわらかくなる】

酵素の働きにより肉の筋線維が分解され、食感がやわらかくなります。

 

 


 

⑦ 熟成で美味しくなるメカニズム

 

味噌や醤油、お酒、チーズなどの発酵食品にも、長期間熟成させるものが多いですね。

熟成により旨味が増すメカニズムについて、もう少し詳しく調べてみました。

 

タンパク質は、アミノ酸が長くつながったもので、味はほとんどありません。

食品に含まれるタンパク質が、食品自体が持つ酵素や空気中の微生物などにより分解される、つまり熟成することで、アミノ酸や、アミノ酸が複数つながったペプチドになります。

アミノ酸やペプチドは様々な味を持っているため、分解されればされるほど、旨味が強く感じられるようになります。

ペプチドは非常に種類が多く味もアミノ酸より複雑多様で、コクや濃厚感、異味異臭に対するマスキング効果などを持つものもあるとのことです。

旨味成分であるアミノ酸のグルタミン酸やイノシン酸に、ペプチドが加わることにより、相乗効果で深いコクや濃厚な味わいが生まれたり、塩味や酸味、苦味が弱くなったりして、より美味しくなると考えられています。

またペプチドは加熱処理を行うと他の物質と反応し、新たな風味が生まれます。

これにはメイラード反応と呼ばれる現象が関与しており、食品に独特の良い香りが生まれることが知られています。

ただしペプチドには苦味を持っているものなどもあり、味に良い影響を及ぼすものばかりではないそうです。

 

 

<参考サイト>

・「うま味」とともに「おいしさ」をアップさせる「熟成」…深まる「味わい」の秘密は「タンパク質」の「分解」だった!

https://gendai.media/articles/-/111803?page=2

・ペプチドは、おいしい!?

http://topics.foodpeptide.com/?eid=453628

 

 

 


 

⑧ 【新春特別価格】『小豆島福箱』発売中

 

昨年は、さまざまな形で小豆島の美味しいものをご紹介したり販売したりさせていただきました。

そこで、今回は新年のスペシャル企画として、石井製麺所の人気商品と組み合わせた「小豆島福箱」をご用意しました。

 

中身は…

・石井製麺所:手延べ半生うどん、手延べきくらげ麺

・岬工房:オリーブ新漬け

・瀬戸の香:小豆島の釜めしの素

・丸島醤油:味醤油

・箭木椎茸園:原木干し椎茸

・安田農業集団:特別栽培米

を詰め合わせた、小豆島ならではの美味しいセットをご用意させていただきました。

 

オリーブの新漬けは、何と言っても、小豆島の今だけの味覚で、日本独自のものです。

オリーブの独特のオイリーな優しい食感と、塩加減の良い塩梅が魅力な「オリーブのお漬物」です。

塩加減がご飯のおかずにも合いますし、お酒のアテにもちょうど良いようです。

知り合いの日本酒ソムリエさん、ワインソムリエさんにも「日本酒に合う!」「ワインに合う!」とお褒めをいただきました。

ぜひとも食べてみていただきたい味覚です。

 

釜めしは、きっと日本全国の地域にそれぞれの味が根付いているんでしょうね。

小豆島は醤油の産地ですから、釜飯(炊き込みご飯)には、ちょっとうるさいですよ!

そんな中、古くから佃煮の製造をおこなってきた瀬戸の香さんがつくる「おばあちゃんがつくった」優しい味わいの釜めしの素です。

具材も国産にこだわり、「あぁ〜美味しい〜」って心から言える(僕は言いました)釜飯を味わっていただけますよ。

 

味醤油は、これは本当に台所に一本、置いておいて欲しい調味料です。

これ一本で、めんつゆから、煮物の味付け、お味噌汁の隠し味、おでんや炊き込みご飯にも使えるので本当に万能な調味料です。

1本あればお料理の幅がぐんと拡がると思います。

濃縮つゆなので1本あればかなりもつので便利ですよね。

 

原木椎茸を使った干し椎茸は、島でも人気の商品です。

島の産直コーナーに毎日並べられていますが、毎日ほぼ完売で、わざわざこれをまとめて買いに来る人までいるそうです。

干し椎茸は、縁起物でも知られていますし、日本人ならではの旨みの素ですよね。

 

特別栽培米のお米は、田植えをする前にレンゲを咲かせ、それをすき込み肥料としています。

苗を植え付け栽培する際には、できるだけ農薬を減らして栽培されています。

令和5年度の収穫米で、玄米で保存し、出荷されるギリギリに精米してお届けさせていただきます。

特別なブランド米でなく、島の農家さんが丁寧につくられたお米を、セットにしてお届けさせていただきます。

 

セットで美味しく、何度も味わいたくなる「小豆島の美味しいものをセットにした福箱」はいかがでしょうか。

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《新春特別商品 小豆島福箱》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481

 

 

 

最後に…

1月1日に起きた「能登半島地震」で被災された方、影響を受けられた方に、心よりお見舞い申し上げます。

連日の報道により、お亡くなりになられた方が多くいらっしゃるとのこと。

ご遺族の皆様へ、心よりお悔やみ申し上げます。

また、救助や復興に携わられるすべての方の安全と健康を心よりお祈り申し上げます。

石井製麺所でも何かできることがないか、ボランティアで活動される方々と連携を取りながら、少しでもお役に立ちたいと考えています。

お役に立てることがございましたら、ぜひお声がけください。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。