天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

電話:0879-82-2740

FAX:0879-82-6014

Twitter
Facebook

新着情報

新着情報

2023年4月10日 【Vol.11】各地の特産品や健康への想いを練り込んだ素麺について

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.11

各地の特産品や健康への想いを練り込んだ素麺について

 

 

 

 

素麺は、小麦粉・水・塩といったシンプルな食材で作られています。

しかしながら、長年にわたる素麺の製造の歴史において、産地ごとの特性アピールの必要性の高まりや、製麺所独自の開発などにより、さまざまな素麺が作られるようになってきたのではないでしょうか

スープや具材の添付、特徴的なパッケージなどで差別化が図られているものもありますが、今回は製造する過程で別の食材を生地に練り込むことにより、独自の色あいや味わいを生み出しているものを調べてみました。

食材を加えることで見た目の変化だけでなく、その食材が持つ風味や健康効果を素麺にプラスすることができます

思い通りの商品を完成させるまでには、配合量や製法などさまざまな試行錯誤が必要ですが、全国各地でバラエティ豊かな練り込み素麺が数多く生み出されています。

素麺を使ったさまざまなメニューも魅力的ですが、素麺自体の特色を楽しんでいただくきっかけになればと思います。

今回は、いろいろな食材を練り込んだ素麺について調べた結果をご紹介します。

 

※以下にご紹介する素麺は、2023年4月10日現在の当社調べになります。ご紹介した地域以外でも同様の商品を扱っておられるかもしれませんのでご了承ください。

また、これ以外にもこんな食材を練り込んだ素麺がある、という情報をお持ちの方は、ぜひお知らせください。

 

三代目:インターネットで調べただけですので、産地に行けばもっと色々な素麺があると思いますが、それでも本当にたくさんの素麺が見つかりました。実際に石井製麺所でも、さまざまな素材を加えて製麺していますが、思った通りの色が出なかったり、素麺の細さにまで伸ばせなかったりとひとつの麺を作るのも本当に大変です。

様々な産地の製麺所が独自性を出すために多種多様な素麺を作られていることを知ると、「負けていられない!」と“製麺者魂(?)”に火が付きます。

年々、色々な原料メーカーや販売店様から新麺開発のご相談もいただきます。

今後もノウハウをしっかりと蓄積しながら、美味しい素麺を作り続けていきたいものです。

 

 

【目次】

① 各地の特産品や想いを練り込んだ魅力的で独特な素麺たち

② 《産地紹介》岩手県・卵麺(らんめん)

③ 石井製麺所の新しい素麺への想い・これからの素麺作り

④ 《美味しい素麺》手延べ 小豆島オリーブオイル素麺 編

 

 


 

① 各地の特産品や想いを練り込んだ魅力的で独特な素麺たち

 

国内のさまざまな素麺の産地や製麺所では、多種多様な食材を練り込んだ素麺(麺)が開発されているようです。

インターネットでざっと調べただけでも、60種類以上が確認できました。

中には、味の想像がつかないようなものも。

大まかに分類してご紹介します。

 

 

まずは、海産物を使った素麺から。日本は海に囲まれているので、色々なものができそうですね。

<海藻>

素麺につきものの海苔や、だしに欠かせない昆布などの海藻は、素麺と相性が良いようです。

粉末にして練り込むことで、磯の風味が加わったり、独特の粘りが弾力を生んでのど越しが良くなったりといった相乗効果が得られます。

佐賀県有明海の海苔や、岩手県三陸産の昆布やメカブ徳島県鳴門のワカメ宮城県のアカモク(新潟県ではナガモと呼ばれているそうです)、新潟県のフノリなどを使った素麺が作られています。

 

<魚介類>

魚介類を練り込んだ素麺は、麺自体からだしが出るので、より旨みが増すようです。

熊本県甲佐町で育てたウナギの白焼きを練り込んだもの。

タイのエキスを入れた縁起の良い素麺。

ウニを練り込んだ風味豊かなもの。

オキアミの一種であるイサダを使ったピンク色の素麺や、イカスミを入れた真っ黒な素麺もあります。

 

※写真はphotoAC「小豆島エンジェルロード(道が出現する前)」より

 

小麦以外のものを使用した麺や穀物・豆類・芋などを練り込んだ珍しい素麺たち。

<穀類>

山形県のブランド米「はえぬき」「どまんなか」、それぞれの米粉を使用した素麺もあります。

岩手県一関市では古代米の「黒米(紫黒米)」を、山形県西川町では発芽胚芽米を練り込んだ素麺も。

 

岩手県軽米町で作られる稗(ひえ)を使った素麺は、胡桃に似た甘味とシコシコした食感が特徴だそうです。

長崎県には、雑穀16種類(小豆・もちきび・もち麦・もち玄米・ハト麦・もち赤米・黒豆・丸麦・稗・青大豆・発芽玄米・もち黒米・とうもろこし・もちあわ・胚芽押麦・黄大豆)を練り込んだ素麺が。

ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な、体に良い素麺とのことです。

 

<ごま、芋、豆類>

石井製麺所でも販売している黒ごまの粉末を練り込んだ素麺は、兵庫県播州や長崎県島原といった素麺の産地でも作られていますが、熊本県に本社のあるごま食品製造販売会社・オニザキさんの「黒胡麻そうめん」は、なんとごまの粒をそのまま生地に練り込んでいるそうです。

ごまの風味と食感がしっかり味わえる素麺ですね。

 

新潟県では五泉産のえごまの葉を練り込んだ素麺があります。

九州産の紫芋や、山口県柳井でとれた自然薯を入れたものも。

京都府丹波市や岡山県美作市では、それぞれの地域で生産した黒豆を使った素麺を作っています。

 

 

食材として練り込みやすいのは野菜や薬草など。キレイな色の麺に仕上げることもできます。

<野菜>

全国各地で、それぞれの地域の特産品である野菜を練り込んだ素麺が開発されているようです。

なじみ深いものでは、ニンジンカボチャホウレン草オクラトマトタマネギゴボウレンコンシソ小松菜など。

他にも、岐阜県大垣市では地域で苗から育てた明日葉が、石川県金沢市では能登野菜の中島菜が、それぞれ素麺に使われています。

 

<果物>

石井製麺所ではオリーブオイルを練り込み、表面にも塗って仕上げたオリーブオイル素麺がありますが、同じく小豆島でオリーブの果実を練り込んだ素麺を作っておられる生産者さんもいます(ちなみにオリーブは野菜ではなく果物に分類されるようです)。

や、カボス伊予柑ユズミカンなどの柑橘類は、その酸味が素麺と相性ばっちりですね。

これらの果物の産地で、練り込み素麺が作られているようです。

驚いたのは、甘い果物を練り込んだ素麺の種類の多さです。

栃木県のイチゴ「とちおとめ」山形県のサクランボ千葉県市川の梨大分県清川の桃なども、その果汁を使用した素麺が販売されています。

他にブルーベリーメロンブドウネーブルなどの素麺もあるようです。

小豆島でもスモモの素麺があります。

ユニークなのは福岡県香春町の柿の皮を使った素麺。特産品である干し柿の製造過程でできる渋柿の皮を練り込んでいるそうです。

味はほんのり甘みがあり、モチモチとした食感とのこと。

食材を無駄にせず有効活用する、素敵な取り組みですね。

 

<葉>

植物の葉にも、食物繊維が豊富なものや健康への効果が期待できるとして食用されるものがいろいろあります。

素麺の産地である徳島県半田では、稲の若葉山形県月山では、桜の葉千葉県市川では、国産の赤松の葉を粉にして練り込んだ素麺があります。

徳島県の特産品である阿波藍の産地・上勝町では、手摘みした藍の葉を天日乾燥して粉にし、素麺に練り込んでいます。

 

<薬味>

素麺にピッタリの薬味が、あらかじめ練り込まれた素麺もあります。

奈良県三輪市、栃木県栃木市、千葉県市川市では、ショウガ徳島県上勝町ではワサビが、粉末にして素麺に練り込まれています。

熊本県には、ニンニクを練り込んだ素麺もあるそうです。

 

<その他植物>

他にも、その地域ならではの植物を使った素麺が各地で販売されているようです。

素麺発祥の地といわれる奈良県三輪では、これまた特産品である吉野葛を加えた素麺が。

葛特有のつるみと弾力が味わえるそうです。

熊本県八代市は、畳の原料として知られるい草の産地。い草の粉末を入れた素麺が、学校の給食などにも採用されているそうです。

素麺の生産量第2位の長崎県島原では、昔から薬草を栽培していたそうで、4種類の島原薬草(オオバコ・ウイキョウ・ナズナ・タンポポ)を練り込んだ素麺があります。

 

 

輸出品としても人気のある、日本ならではの特産品を練り込んだ素麺たち。

<お茶、酒>

緑茶の粉末や抹茶を練り込んだ素麺は、長崎県島原市、奈良県三輪市、静岡県菊川市など、素麺やお茶の名産地で作られているようです。

岩手県北上市には、桑の葉の茶粉末を使った素麺があります。

兵庫県播州は、素麺とともに日本酒の産地としても有名。清酒を加えて作った素麺は、旨みが増し、のどごしがぐっと滑らかになるそうです。

 

 

<番外編>

【お!いしい けんぶんろく】Vol.6「冬が手延べ素麺づくりに最適な理由」でご紹介した、愛媛県の五色(ごしき)素麺。

もち麦・蜜柑・梅・抹茶などを練り込んだ色とりどりの素麺が特産品となっています。

 

三代目:こうしてみると本当に多種多様な素麺があることに驚かされます。

実際に試してみて断念したもの、まだ挑戦していないものなどもあるので参考にできれば。

特に難しいのが“伸ばし”に影響を受ける糖分や酸を含んだ食材を利用するときです。

カリウムが多いものなども影響を受けるようです。

産地の方々と交流しながら、自分たちの特色を出せる素麺開発に取り組めればよいなと思います。

 

<参考サイト>

・肥後そう川×甲佐養鰻場コラボ「くまもと うなぎ麺」

https://www.47club.jp/45M-000092mvx/goods/detail/10168401/

・軽米町産業開発の公式ショッピングサイト 稗そうめん

http://www.karumaisan.jp/shop/products/detail.php?product_id=41

・ごまのオニザキ 黒胡麻そうめん

https://www.onizaki.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=24&category_id=14

・上石津の特産品 明日葉そうめん

https://ogaki-tokusanhin.jp/product/product-52/

・【のと野菜使用】中島菜手延そうめん

https://www.umai-mon.com/user/product/24470

・手延べオリーブそうめん

https://www.saegusaseimen.com/item/OSS-1/

・福岡県香春町の特産品【柿皮そうめん】ドン‼

https://kawarakanko.thebase.in/items/30030013

・阿波藍そうめん

https://gin-sato.jp/SHOP/4580280300473.html

・【イナダ有限会社】栄養が凄いと話題の”食べるイ草”を専門店で堪能してきた

https://8246renraku.net/archives/inada-igusa.html

・島原手延べ薬草麺のスープカレーそうめん

https://www.yamaichi-shop.jp/SHOP/NYK-02.html

・日本盛 手延酒そうめん

https://shop.nihonsakari.co.jp/shop/g/g05477-0-0/

 

 

 

 


 

 

② 《産地紹介》岩手県・卵麺(らんめん)

 

岩手県では、盛岡冷麺・じゃじゃ麺・わんこそばなどたくさんの種類の麺が製造販売されています。

それらに比べて全国的な知名度は高くないようですが、岩手県の名産品のひとつとして地域に根付いているのが「卵麺」で、「鶏卵素麺」ともいわれます。

県南部の奥州市江刺区周辺でよく食されているそうです。

小麦粉と塩に、新鮮な卵をふんだんに使って練り上げる素麺は、黄色でほんのり卵の風味が感じられ、水分をあまり使わないためシャキッとした歯ごたえがあり、ゆでのびしにくいのが特徴とのこと。

 

今から約300年前、松屋十蔵というキリシタン信者が遠く長崎県から岩手県へ逃れてきました。

そしてオランダ人から伝授されたという鶏卵を使った麺を「蘭麺」として売り出したのが始まりと言われています。

卵と小麦粉を合わせるのは、カステラの製法から生まれたアイデアのようです。

明治時代になり、岩手を訪れた板垣退助がこの麺を大変気に入って「蘭麺」や「鶏卵素麺」より短く分かりやすい「卵麺」という名を提案した、というエピソードが伝えられています。

 

※写真はAdobe Stock「岩手県奥州市 春と明治記念館」より

<参考サイト>

・郷土料理|ほんのり香る卵と歯ごたえがおいしい 卵めん(岩手県)

https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/753

・江刺岩谷堂 吉田製麺「卵めん」

https://www.umai-mon.com/user/collection/929

・卵めんの吉田製麺

https://ranmen.co.jp/item-detail/81000

 

 

 


 

 

③ 石井製麺所の新しい素麺への想い・これからの素麺作り

 

素麺は夏の食べ物というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、冷やしても温かくしても美味しく、一年を通して食べていただける食材です。

より多くの機会に、いろんな楽しみ方で食べていただけるよう、石井製麺所では厳選された食材を練り込んだ素麺の商品開発に積極的に取り組んでいます。

『食べて美味しいだけではなく、体にもうれしい、皆さんに喜んでいただける素麺を』

その想いで、健康に良い食材や、小豆島の特産品を練り込んだ素麺を開発しています。

 

こだわりの素麺をご紹介します。

 

<しょうどしま長命草素麺>

「1株食べると、1日長生きする」と言われるほど高い栄養価を持つとされる、小豆島の新しい健康食材「長命草」100%の粉末を練り込んでいます。

翡翠色で抹茶風味の中太麺で、温かいおだしともよく合います。

 

<楽々膳・黒>

「黒」の食材にこだわった健康麺シリーズ。

「薬膳」では黒い食べ物は冬に食べるとよいと言われているそうです。

小豆島産ひじき、香川県産きくらげ、黒ごまをそれぞれ練り込んだ素麺です。

 

<小豆島オリーブオイル素麺>

健康的なオイルとして注目される、貴重な小豆島産のオリーブオイルを生地に練り込み、表面にも塗って仕上げています

 

<レモン素麺>

瀬戸内産レモン果皮を使用。レモンの香りがふわっと広がり食欲をそそります。

 

<山芋素麺>

山芋パウダーを練り込み、もちもちツルンとした食感が特徴。

 

<蕎麦風味>

良質なそば粉と小麦粉、山芋パウダーを絶妙なブレンドで練り込み、オリーブオイルを表面に塗って仕上げています。

 

※写真は石井製麺所の手延べ麺 蕎麦風味の掛場のいちシーン

<参考サイト>

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

 

 


 

 

④ 《美味しい素麺》手延べ 小豆島オリーブオイル素麺 編

 

皆さんは「小豆島」といえば、何を連想されるでしょうか?

最近では新聞広告やテレビCMなどで多く見かけるオリーブ(オイル)だったりしませんでしょうか?

小豆島でのオリーブ栽培の始まりは約110年前に遡ります。

それから何度も栄枯盛衰を繰り返し、現在では小豆島の主要な特産品になっています。

しかしながら、小豆島内のオリーブ生産量は気候の影響や、農家さんの高齢化などもあり生産量は大きくなく、収穫も大変なご苦労があるとお聞きします。

そんな貴重な小豆島産のオリーブオイルを使用したちょっぴり贅沢な素麺です。

小豆島産のオリーブオイルを生地に練り込み、さらに表面にも塗って 仕上げた、ますます小豆島を感じていただける一品です。

健康的なオイルとして注目されるオリーブオイルは素麺との相性も良いので、よりなめらかで見た目にも美しい素麺ができます。

さっぱりとしてツルツルとした食感が楽しめる素麺です。

小豆島では5月頃に小さくて白いオリーブの花が見頃となりますので、観光にお越しの際はぜひご覧になってみてください。

 

 

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べ小豆島オリーブオイル素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/12170333

 

 

 

 

三代目:次回のブログは4/23ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。