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お!いしい けんぶんろくブログ

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2024年12月16日 【Vol.49】麺究者への道/発酵飲料について研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.49

麺究者への道/発酵飲料について研究してみる

 

 

 

 

師走も半ば、小豆島もようやく真冬の寒さになりました。

おかげさまで半生うどんの売れ行きが好調です!

鍋の〆にもおすすめ半生うどんは、 リニューアルから4年目を迎え、石井製麺所の冬の主役になりました。

 

たくさんのお客様から嬉しいお声もいただき、益々ヤル気になっています!

 

「こんなつるつるモチモチのうどんは初めてです」

 

「会社の同僚や友人への鉄板土産とさ せていただいております。また、営業 のツールとしてお客様に渡すと100% の確率で喜ばれるので大変重宝して おります」

 

「野菜たっぷり入れた(人参、大根、里芋、しめじ、小松菜等)煮こみうどん?を…味付けは母の里愛媛県伊予市から取り寄せる味噌で味付けました😋半生うどんと合いますね😋👌身体も温かくなりました😊」

 

「半生うどんの美味しさに感動しました!」

 

「我が家の子供たちも美味しくいただきまして、おかわりの声がとても大きく注文させていただきました(^^)」

 

などなど、お電話やわざわざお手紙でご連絡いただいたりして、本当に嬉しく感じております。

自分自身が、美味しかったり感動したときに、相手に伝えたり、連絡をとったりした記憶が無いので、こうして伝えることの大切さや、お相手様にとっての必要性を痛烈に感じています。

できればこれからは、感動したときの声などはお伝えできれば良いなと思います。

日々感謝の気持ちを忘れずにこれからも手延べ素麺づくりに邁進してまいります。

 

 

さて、12月のブログですが、半生うどんのご注文が絶好調ということもあり、製造にかなりの時間を頂いていまして、今月はこの1本となってしまいました。

テーマの「発酵飲料」を考えてみると、今は飲んでいませんが、子どもの頃を振り返ると、冷蔵庫にヤクルトが常備されていました。

親から説明された記憶はないのに、「一日一本」の健康習慣という意識はすでにあったように思います。

乳酸菌のイメージ、およびヤクルトという商品の商品設計はすごいなととても感心させられました。

 

今回は、発酵飲料ながらアルコールを含まない様々な飲料について調べています。

冬の健康づくりや、これから受験など大切な時期を控える皆さまにもお役立ていただける情報だと思います。

私も冬の繁忙期を家族みんなで元気に乗り越えられるように、今一度、発酵飲料のチカラを借りてみたいなと思います。

ぜひ最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

半生うどんの製造が佳境に入ってきました。

 

【目次】

① 健康的で美味しい!発酵飲料の歴史

② 縁起が良くて栄養豊富な“飲む点滴”⽢酒

③ お茶の種類は発酵の度合いにより決まる!

④ 爽やかな酸味の健康ドリンク・乳酸菌飲料

⑤ 効率よく栄養が摂れる酵素ドリンクとは?

⑤ バラエティ豊か!世界の発酵飲料

⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》オリーブサーモン昆布巻き 編

 

 


 

① 健康的で美味しい!発酵飲料の歴史

 

発酵食品には、食べ物、飲み物、調味料などがあります。

発酵飲料には、日本酒やビール、ワインなどのアルコール飲料以外にも、甘酒や、紅茶やウーロン茶などのお茶、乳酸菌飲料などがあります

人類が最初に出会った発酵食品は、お酒か、ヨーグルトのような発酵乳と言われています。

 

甘酒は日本独特の発酵飲料で、アルコールをわずかに含むものと含まないものがあります。

古来、縁起の良い飲み物として扱われてきました。

その歴史は古く、720年の「日本書紀」に登場する、神様に供えられた「醴酒(こさけ)」、「天甜酒(あまのたむさけ)」がそのルーツと言われています。

 

室町時代の国語辞書「易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)」には「醴」と「甘酒」は同じであるという記述があります。

 

江戸時代には料理本や辞典、俳句などに多く見られるようになりました。

料理やお菓子づくりなどにも活用されるようになり、市中で多く販売され、夏バテ防止の栄養ドリンクとしても飲まれるようになったとのことです。

 

お茶の歴史が最も古いのは中国です。

神話の時代から薬用されていたと伝えられており、唐の時代の「茶経」には、「茶の飲たるは神農氏に発す」(茶を飲み始めたのは、神農氏からである)と記されています。

神農氏は、中国神話上でも農業神・医薬神として信仰を集める、中国太古の伝説的な帝王。

神農氏が解毒に用いたのが「荼(と)」という植物で、これが茶の意味で書かれているという説もあるとのことです。

 

茶葉は摘んだ後放置すると、茶葉自体が持つ酵素の働きにより酸化発酵を始めます。

お茶はその働きを利用してつくられます。

中国のお茶は1000種類以上とも言われ、発酵度合いを調整することにより多種多様なお茶が生み出されます。

ちなみに緑茶は加熱により発酵を止めてつくられます

 

17世紀、ヨーロッパにお茶がもたらされました。

当時は緑茶でしたが、中国のウーロン茶系のお茶が人気を集め、その流れから強く発酵した紅茶が誕生したと考えられています。

1662年にイギリスのチャールズ2世のもとに嫁いできたポルトガルの王女キャサリンが、中国茶と、当時は貴重だった砂糖を大量に持参したことをきっかけに、喫茶の習慣が宮廷から貴族社会、大衆へと広まりました。

 

ヨーグルトのような発酵乳は古くから食されていました。

最初に発酵乳を利用したのは中央アジアの人々で、腐敗菌などが比較的少なく乳酸発酵した食品が生まれやすい環境だったと考えられます。

乳酸発酵について本格的に研究されたのは19世紀以降のこと。

フランスの科学者パスツールが、発酵や腐敗が微生物によるものであると科学的に明らかにしたそうです。

 

日本で乳製品が一般的になったのは明治時代からで、ヨーグルトは1892年「凝乳」という名前で販売されました。

乳酸菌飲料としては「カルピス」や「ヤクルト」が製品化されました。

 

1908年、三島海雲という人が内モンゴルを訪れた際に体調を崩し、現地の遊牧民に勧められ、家畜の乳を乳酸菌で発酵させた「酸乳」を飲んで回復したのをきっかけに、帰国後、研究や試行錯誤を重ね、1919年に「カルピス」を発売しました。

 

1930年、医学博士の代田稔先生は乳酸菌が腸の中の悪い菌を抑えることを見出し、胃液や胆汁などの消化液に負けず生きたまま腸内に達して、有益な作用を発揮する乳酸菌の強化培養に世界で始めて成功しました。

この「乳酸菌シロタ株」を健康に役立ててもらうため、乳酸菌飲料として製品化し、1935年に「ヤクルト」の商標で発売。

乳酸菌を手軽に摂れる飲料として、現在では日本を含め世界40カ国で、毎日4000万本以上が飲まれているそうです。

 

 

<参考サイト>

・発酵のなかまたち

https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/

・発酵飲料で健やか長寿の人生を

https://www.hakko-biyori.com/foundation-116

・発酵食品の歴史と未来

https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail34/

・甘酒からみる発酵食文化(1)江戸時代から愛される栄養ドリンク「甘酒」の歴史

https://haccomachi.jp/column/277/

・第3話 茶の歴史

https://museum.kirinholdings.com/history/tea/story3a.html

・紅茶の歴史

https://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_history/

・乳酸菌飲料の働き|プロバイオティクスの効果で腸内環境を改善

https://magokoro-care-shoku.com/column/lactic-acid-bacteria-beverage/?srsltid=AfmBOopPZyddvCaC7JAQf7pu3qASnVPQbRigYlcZ6h_zsyLz_JWkqcDg

・カルピス®のきほん

https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/08.html#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%9D%E3%81%AE%E4%B9%B3%E9%85%B8%E8%8F%8C%E9%A3%B2%E6%96%99,%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80

・ヤクルトの願い

https://www.yakult.co.jp/eighty_anniv/hope/index.html

 

 

 

 


 

② 縁起が良くて栄養豊富な“飲む点滴”⽢酒

 

甘酒には、原料の違いによりアルコールあり・なしの2種類があります。

酒粕が原料の甘酒は、搾った日本酒の粕に砂糖と水を加えたもので、アルコールがわずかに残っています。

砂糖を加えているのでカロリーが高めの場合も。

 

米麹が原料の甘酒は、炊いたご飯に米麹と水を混ぜて発酵させてつくるもので、アルコールを含みません。

米麹と水だけでつくるものもあり、麹菌の割合が高いので栄養価も高めで、すっきりした自然な甘さが特徴です。

 

甘酒はその成分の20%以上がブドウ糖です。

ブドウ糖は、脳がエネルギーとして利用できる唯一の栄養素で、分子が小さいため体内に吸収されやすく、すばやいエネルギー補給が可能です。

さらに麹菌や麹菌の酵素の働きによりつくり出される必須アミノ酸が9種類すべて含まれており、疲労回復に役立つビタミンB群や、腸内環境を整えるオリゴ糖、食物繊維なども含まれます。

栄養価が高く、病院で使われる点滴の成分と似ていることから“飲む点滴”とも言われます。

 

お正月に、新年の無病息災や長寿を願って飲む「お屠蘇(おとそ)」の代わりに甘酒を飲む風習がある地域もあります。

米農家が前年の収穫への感謝と新年の豊作を願い、収穫したお米でつくられた甘酒を神様にお供えしたのが由来と言われています。

近年では新年の神社などでふるまわれることも。

また「桃の節句」とも呼ばれる3月3日の、女の子の健やかな成長と幸せを願う「ひな祭り」では、ひし餅やひなあられ、ハマグリのお吸い物やちらし寿司とともに甘酒でお祝いする風習があります。

中国では桃は邪気を払い長寿をもたらす力があるとされ、桃の花びらを浸したお酒を飲む伝統がありました。

これが日本に伝わり、子どもでも飲めるようアルコールの入っていない甘酒が出されるようになったと考えられています。

 

 

<参考サイト>

・甘酒のきほん

https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/06.html

・日本の伝統的な発酵飲料 甘酒

https://oh-hanno.jp/Page/Feature/amazake.aspx

 

 

 


 

③ お茶の種類は発酵の度合いにより決まる!

 

お茶には様々な種類がありますが、これらはすべて同じ「チャノキ」の葉からつくられます。

その違いは、発酵の度合いによるものです。

大きくは「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」「後発酵茶」の4つに分類され、緑茶は不発酵茶です。

半発酵茶の代表的なものがウーロン茶で、発酵茶の代表的なものが紅茶です。

 

一般的には「発酵」とは、有機物質が微生物により分解されることを言いますが、お茶における「発酵」とは、茶葉に含まれる酸化酵素の働きにより、葉の中のカテキン類が酸化することを意味します。

通常、酸化酵素とポリフェノールは別々に存在していますが、茶葉を揉んだりしおれさせたりすることにより混ざり合うと、酸化酵素の働きが促進され、茶葉の色や香味が徐々に変化していきます。そのため、発酵させない緑茶は緑色で、発酵が進んだウーロン茶や紅茶は赤っぽい茶色になっていくとのことです。

 

茶葉を発酵させる工程においては、生の茶葉を放置してしおれさせる「萎凋(いちょう)」という作業が行われます。

これにより茶葉の中の成分が変化しやすくなり、酸化酵素の働きを促進するそうです。

萎凋した茶葉は、「萎凋香(いちょうか)」と呼ばれる、花や果実を思わせる香りを発します。

 

ウーロン茶と紅茶の製法を調べてみました。

 

【ウーロン茶】

日干しで10〜20分程度萎凋した後、室内で数時間、茶葉を数回かく拌しながら萎凋を進め特有の香気を引き出す。

萎凋がある程度進んだら茶葉を高熱で炒り、発酵を止める。発酵の度合いにより、多くの種類がある。

 

 

【紅茶】

風通しのいい室内で、網や麻布でできた棚に茶葉を広げ、15〜18時間程じっくり萎凋を行う。

機械を使う場合には8〜10時間程度。

そして酸化酵素が活性化した茶葉に圧力をかけながら揉んで酸化を促進し、酸化反応が均一に進むようにする「揉捻(じゅうねん)」という工程を経て、特有の華やかな香りや色合いが生み出される。

 

「後発酵茶」は、茶葉を加熱して酸化酵素の働きを止めた後、乳酸菌や酵母などの微生物の働きを利用して発酵させてつくるもので、中国のプーアール茶が有名です。

 

【プーアール茶】

中国雲南省が原産地。

いったん完成した緑茶の茶葉に微生物を繁殖させ、発酵させてつくられる。

熟成された香りと味わいが特徴で、お茶を淹れた際の水色は濃厚。

脂肪分解作用があるとしてダイエットに役立つと期待される。

長期保存ができ、年代物にはヴィンテージワインのように高い価値が付けられる。

 

※写真はPhoto ACより「プーアール茶」

 

世界的にも珍しい後発酵茶ですが、日本では4種類が伝統的につくられており、そのうち3つが四国を産地としています。

微生物で発酵させた後、再び発酵させる二段発酵茶は、世界でも碁石茶と石鎚黒茶の2例しか確認されていないとも言われています。

 

【阿波晩茶】(徳島)

山間にある上勝町で、古くから農家が自家用につくってきた。

新芽ではなく、夏の暑い時期にしっかり厚みの出た葉を摘み取ってつくる。

釜茹でした茶葉を樽の中で2週間から1カ月ほど漬け込み発酵させる。

比較的軽い口当たりで、さっぱりとした酸味が特徴。

家庭により発酵度合いが異なり、味や香りにバラエティがある。

2021年に国の重要無形民俗文化財に指定。

 

※写真はPhoto ACより「阿波番茶」

 

【碁⽯茶】(高知)

山間にある大豊町で、400年以上受け継がれてきた伝統製法によりつくられる。

茶葉を蒸してカビを付け、数日間寝かせて漬け込む。

カビと乳酸菌の二段発酵で、渋みがあり酸味が強め。

最盛期は年間100トンもの生産量があったが、昭和50年代には生産者が1軒のみに。

近年の健康ブームで再注目され、現在は生産者組合により管理や研究が行われている。

 

【⽯鎚(いしづち)⿊茶】(愛媛)

西条市小松町の石鎚地区に古くから伝わる“幻のお茶”。

茶葉を蒸して最初の発酵をさせ、もみ込みという作業を経て、空気を抜き2度目の発酵をさせ天日干ししてつくる。

渋みがあり酸味が強め。

過疎化による生産者の減少で1996年には最後の1軒が自家用につくるのみとなっていた。

2023年に石鎚黒茶の製造技術が国の重要無形民俗文化財に指定され、広く知られるようになった。

 

【バタバタ茶】(富山)

山村の朝日町で、真夏の一番暑い時期に約1カ月かけてつくられる。

茶葉を加熱した後、室(むろ)に入れ、2~3日に1回切り返しを行いながら発酵させ、天日干しして乾燥させ発酵を止めてつくる。

お茶を茶筅で泡立てて飲む動作が慌ただしいことからその名が付いた。

1977年までは福井県若狭町で、1991年までは富山県小杉町でつくられていた文化を伝承しようと、30年前に朝日町商工会が製造に取り組み始め、技術を受け継いでいる。

 

※写真はPhoto ACより「バタバタ茶」

 

<参考サイト>

・お茶の発酵とは?緑茶・紅茶・烏龍茶の違いをもたらす発酵の正体

https://shop.senchado.jp/blogs/ocha/20210329_11?srsltid=AfmBOorgriLGqLCwQPd8nQMuQeV5eED02sqwdYiYdW2rz8Wj7Bx8-xYb

・お茶の違いは、「発酵」の違いです

https://www.ochalabo.com/knowledge/knowledge20141205.html

・中国茶の種類 普洱茶(プーアールチャ)

https://www.ocha.tv/varieties/chinesetea_varieties/puaru/

・プーアール茶

https://himitsu.wakasa.jp/contents/puerh-tea/

・どこから来たのか、誰も知らない発酵茶【四国に伝わる伝統、後発酵茶をめぐる旅 VOL.01】

https://haccola.jp/2018_05_16_7070/

・空海が関係している? 研究者・堀江祐範さんに聞いた「後発酵茶」を巡る乳酸発酵ミステリー

https://shop.senchado.jp/blogs/staff-column/220222_fermentation_tea?srsltid=AfmBOop4SLHkI1VF28xwq09etoRa08fwGJrdhzMTj1P1ptElD9PGpVMW

・次代に伝える、阿波晩茶

https://www.east-tokushima.jp/feature/detail.php?id=189

・手と自然が作り続けて400年。日本で唯一の伝統発酵茶〈碁石茶〉

https://kurashinohakko-tsushin.jp/article/12450/

・世界でも珍しい二段発酵茶 奇跡の復活を遂げた石鎚のおばあちゃん達

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00266/020900017/

・山村で続く暮らしの文化バタバタ茶

https://www.asahi-tabi.com/sanpo/2023/11/21/2312/

 

 

 


 

④ 爽やかな酸味の健康ドリンク・乳酸菌飲料

 

腸活などで乳酸菌をドリンクから毎日摂取している人も多いのではないでしょうか?

乳を乳酸菌で発酵している飲料は、乳に豊富に含まれる良質なタンパク質や乳糖が分解され、またカルシウムも体内に吸収されやすくなっています。

これらは「発酵乳」「乳酸菌飲料」の大きく2つに分類できます。

「発酵乳」は、乳酸菌・酵母数1000万以上、無脂乳固形分が8.0%以上のもので、ヨーグルトや飲むヨーグルトです。

「乳酸菌飲料」は、乳酸菌・酵母数100万以上、無脂乳固形分が8.0%未満のもの。

そのうち無脂乳固形分が3%以上のものを「乳製品乳酸菌飲料」と呼び、ヤクルトやカルピスなどが有名です。

それぞれの製法について調べてみました。

 

【ヨーグルト、飲むヨーグルト】

牛乳などの乳を乳酸菌や酵母の働きで発酵させてつくる。

発酵の過程で、乳酸菌が乳糖を分解して生成した乳酸により、乳に含まれるカゼインというタンパク質が固まってできる。

原料をタンクで発酵させてから容器に詰める「前発酵」と、原料を容器に詰めてから発酵させる「後発酵」があり、「前発酵」は飲むタイプのヨーグルト、「後発酵」は食べるタイプのヨーグルトとなる。

飲むヨーグルトは液糖や果汁などを加えて飲みやすくしたものが多い。

 

 

【カルピス】

生乳から脂肪分を取り除いた脱脂乳に、乳酸菌と酵母からなる微生物集団の「カルピス®菌」を加えて一次発酵を行い、さらに砂糖を加え二次発酵させてつくる。

100年以上ほぼ変わらない製法で、カルピス菌も受け継がれているとのこと。

 

 

【ヤクルト】

粉ミルクをお湯で溶かして仕込乳をつくり、加熱殺菌して、培養タンクに「乳酸菌シロタ株」と一緒に入れて培養し、シロップ液を混ぜて調合。容器に入れて密封する。

 

 

<参考サイト>

・【乳酸菌飲料を比較!】乳酸菌飲料と発酵乳の違いとは?

https://nutriworks.jp/post/columns/785

・乳酸菌の機能性~ヨーグルト・乳酸菌飲料でおいしく健康!~

https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002972.html

・「ヤクルト」ができるまで

https://www.yakult.co.jp/visit/make/

 

 

 


 

⑤ 効率よく栄養が摂れる酵素ドリンクとは?

 

健康に良い飲料として「酵素ドリンク」というものを見たり聞いたりされたことがあるかと思います。

酵素ドリンクとは酵素を摂取できるドリンクではなく、野菜や果物を発酵させた飲料で、酵素の働きによりつくられた植物発酵エキスのことを指します。

酵素ドリンクの発酵に用いられる微生物の代表的なものは、乳酸菌、酵母菌、酢酸菌、麹菌です。

発酵の過程で微生物の酵素によって原料の栄養素が分解され消化・吸収しやすい状態になっており、内臓への負担を軽減しながらエネルギー源となる糖を効率よく摂取できるとされています。

また発酵させることにより栄養価アップ、香りや風味が増す、保存性が高まるなどのメリットもあります。

 

 

<参考サイト>

・【徹底比較】酵素ドリンクのおすすめ人気ランキング【2024年11月】

https://my-best.com/47

・酵素ドリンクってどんなもの?飲むなら朝と夜どっちがいい?

https://www.esthepro-labo.com/column/inner-beauty/enzymedrink2312/

・酵素と発酵の違いって何?酵素ドリンクを発酵させると何がどう良くなる?

https://www.esthepro-labo.com/column/intestinal-activity/fermentation2402/

・人気の酵素ドリンクおすすめ21選!酵素ドリンクの正しい飲み方は?【ダイエット中の栄養補給や市販品も紹介】

https://www.ozmall.co.jp/healthcare/drink/article/29793/#:~:text=%E9%85%B5%E7%B4%A0%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%A4%8D%E7%89%A9,%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E6%8C%87%E3%81%99%E3%80%82

 

 

 


 

⑥ バラエティ豊か!世界の発酵飲料

 

世界で飲まれている発酵飲料にはどのようなものがあるか、調べてみました。

 

【酒醸(チューニャン)】(中国)

蒸したもち米に米麹と水を加え発酵させてつくる、アルコールを含む飲料。

甘酒に似てトロトロした液体の中に米粒が残っている。

甘味調味料としてエビチリや酢豚に加えたり、お湯で溶いて白玉団子を入れてデザートにしたりする。

 

【カオマーク】(タイ)

蒸したもち米に麹菌を加え発酵させてつくる、微量のアルコールを含む飲料。

常温発酵で初期の段階で乳酸発酵が起こるため軽やかな酸味がある。

おかゆ状でフルーティーな香りが特徴で、スイーツとして食べられている。

 

【ルイボスティー】(南アフリカ共和国)

南アフリカで自生しているルイボスというマメ科植物の葉を発酵してつくる発酵茶。

現地での歴史は長く、数世紀にわたり“奇跡のお茶”として飲み続けられてきたとのこと。

 

※写真はPhoto ACより「ルイボスティーの茶葉」

 

【コンブチャ】(モンゴル)

モンゴル発祥の紅茶キノコ。

砂糖を加えた紅茶や緑茶などのお茶に、スコビーと呼ばれる酵母由来の発酵菌と酢酸菌を入れて発酵させた飲み物。

 

※写真はPhoto ACより「コンブチャ」

 

【ケフィア】(コーカサス地方)

長寿地域として世界的に有名なコーカサス地方(黒海とカスピ海に挟まれたエリア)で、昔から常食されてきた、ヨーグルトに似た発酵飲料。

一般的なヨーグルトは乳酸菌のみで発酵させるのに対し、ケフィアは乳酸菌と酵母で、主に牛乳を発酵させた発酵乳。

 

【テパチェ】(メキシコ)

パイナップルの皮や芯、果肉などに、水、スパイス、黒砂糖を入れて発酵させた飲料。

メキシコでは伝統的な飲料として古くから親しまれてきた。

 

【クワス】(ロシア)

ライ麦と麦芽を発酵させたロシアの伝統的な飲み物で、わずかにアルコール分を含む。

コーラに似た色で、ライ麦でつくる黒パンをジュースにしたような、爽やかなのどごしと、独特の甘酸っぱさが特徴。

 

 

<参考サイト>

・【発酵文化から学ぶvol.2】こんなにあった!知られざる世界の発酵食

https://www.has710.com/blog/2023/03/24/column_hakko-vol2-world/

・アメリカ発酵飲料市場 スタバもコカ・コーラも注目する、モンゴル発祥の“コンブチャ”とは!?

https://diamond-rm.net/overseas/44396/

コンブチャの一人勝ちがついに終了?発酵飲料「テパチェ」が海外で突如トレンド入り

https://front-row.jp/_ct/17563942

・ロシア伝統の微炭酸飲料クワス 夏の風物詩1缶40円

https://www.nikkei.com/article/DGXKZO49237350Q9A830C1H96A00/#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E3%81%AF%E8%A6%8B%E6%85%A3%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E9%A3%B2%E3%81%BF%E7%89%A9,%E3%81%8C%E6%A0%B9%E5%BC%B7%E3%81%84%E6%94%AF%E6%8C%81%E3%82%92%E9%9B%86%E3%82

 

 


 

⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》オリーブサーモン昆布巻き 編

 

石井製麺所では、小豆島のおいしいものをお届けしたいと考えて、今年も「(株)瀬戸の香」さんの特製佃煮を期間限定ですが販売させていただいております。

老舗の職人がつくる特製佃煮「オリーブサーモン昆布巻き」は、香川県特産のオリーブサーモンを使った昆布巻です。

釧路産一等級の昆布と、栃木県産かんぴょうを使い、手作業でひとつずつ丁寧に巻いて製造されています。

味は甘めの薄味ですが、小豆島の木桶仕込み醤油を使い、直火釜でコトコトと柔らかくとろけるように煮込まれています。

 

お正月のおせち料理にはもちろん、普段のお食事やおつまみにいかがでしょうか。

 

使用されているのは、香川県の新特産品「オリーブサーモン」。

オリーブサーモンとは、香川県産を主とした“オリーブ葉”の粉末を添加した飼料で一定期間以上養殖したサーモントラウトのことをいいます。

オリーブ葉には、ポリフェノールの一種「オレウロペイン」が豊富に含まれています。
オリーブ葉粉末を添加した飼料でサーモントラウトを飼育すると、適度な脂のノリで、さっぱりとした味わいと歯切れの良い食感への肉質改善が期待されているそうです。

  

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

《オリーブサーモン昆布巻き<(株)瀬戸の香>》 https://141seimen.thebase.in/items/94974914

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年11月22日 【Vol.48】麺究者への道/⿂介を使った発酵⾷品について研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.48

麺究者への道/⿂介を使った発酵⾷品について研究してみる

 

 

 

 

今回のブログは、これまでの単一テーマから外れて「魚介系の発酵食品」がテーマです。

発酵熟成にこだわって、いろいろとブログを書いてきましたが、ちょっと視点の違ったお話です。

 

魚介系の発酵食品と言えば、香川県では「いかなご醤油」が有名なんだそうですね。

恥ずかしながら、知りませんでした。

同じように魚醤と呼ばれるものは世界にもあり、多種多様な魚介系の発酵食品があることを知りました。

というか、気付きました。

 

身近なカツオ節や塩辛なども発酵食品だということを知って、今更ながらですが合点のいくところがあります。

素麺との関連性で言うと、間接的ではありますが出汁を取るカツオ節でしょうか。

においの強いものは得意ではありませんので敬遠しがちですし、これまでも接点は少なかったように思います。

 

小豆島は海に囲まれているので、海産物の加工品を目にすることがあります。

先日は、鰯の削り節「いりこぶし」というものに出会いました。

冬のギフト商品用として魚介系の商品を探していたときに「これはおいしくてクセになるよ!」とおすすめいただいたのが、「いりこぶし」でした。

ブログの後半でも詳しくご紹介いたしますが、結構、三代目好みの味で、試食用にいただいた物は、気がつけば一人でおやつ代わりに食べてしまっていました。

それぐらい(?)旨みがあって、鰯の風味が生きた加工食品でした。

 

ブログを書くために色々と調べているのですが、こういった新しいものに出会ったとき、前向きに抵抗感無く捉えられるのは、ブログを書いて少なからず予備知識があるおかげかも知れません。

大事な出会いを上手く活かすためにも、やはり知識というのは大切ですね。

 

今回のブログでは、世界の魚介系発酵食品から、日本の魚介系発酵食品の種類や歴史なども調べています。

なぜ、昔の人はこれを食べようと思ったんだろう?思いついたんだろう?というものあったりして、疑問がいろいろと出てくるのですが、人類が魚介系の発酵食品を口にするようになったそのターニングポイントを想像しながら色々と調べてみました。

ぜひ最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

製麺工場から徒歩30秒ほどからの風景です。

ダイナミックな景色が広がっています。

秋を感じますね。

 

【目次】

① 塩辛、魚醤、なれずしのルーツとは?

② 水産発酵食品の種類と特徴とは?

③ 水産発酵食品の製造方法について

④ 日本各地でつくられている水産発酵食品とは?

⑤ 世界で食されている水産発酵食品

⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》いりこぶし 編

 

 


 

① 塩辛、魚醤、なれずしのルーツとは?

 

水産発酵食品は考古学的遺物として残らないため、その起源を明らかにするのは難しいそうです。

一説には、東南アジアのメコン川流域や、それに接する中国の西南部で水田の稲作が始まったことから、水産物を塩漬けにした「塩辛」や、塩辛を液体状にした調味料である「魚醤」ができたと考えられています。

川や湖から水田に小魚が大量に入ってきて繁殖し、米の収穫時に水が抜かれると大量に漁獲されます。

それを保存するために塩漬けして発酵させたのが始まりで、さらに米を加えて乳酸発酵させたものが「なれずし」のルーツということだそうです。

腐敗を防ぐために食材を塩漬けにしていたところ、元の味とは異なった風味を持つことがあると分かり発酵の技術が発展したと考えられます。

 

古代中国では、魚に塩だけでなく麹も加えて発酵を促し魚醤をつくっており、肉を使った肉醤もつくられていましたが、漢の時代頃から大豆や穀物を原料とするようになり、これが味噌や醤油のルーツとされています。

現代でも東南アジアは魚醤の食文化、中国や朝鮮半島、日本の東アジアは大豆や穀物を原料とした穀醤の食文化が主流となっています。

 

日本へは弥生時代、水田稲作とともに、塩辛や魚醤、なれずしの原型が伝わったと考えられています。

694~710年の藤原京跡から「フナのししお」(フナを原料とした塩辛)と読める木簡が出土しているのが最初の文字記録だそうです。

平安時代にはシカやウサギを原料とする塩辛の記録も残されています。

かつて塩辛はおかずとして食べられたり、野菜と一緒に煮たり、汁を味付けに使ったりしており、魚醤は日本各地でつくられていたそうです。

 

なれずしは酸っぱい味がするので「酢し」と言われたのが「すし」の語源という説があります。

特定の漁期に集中して漁獲される魚を保存するため、かつては日本各地でつくられていました。

8世紀前半の「養老記」に「鮓」の文字が現れるのが最初の記録とのこと。

「すし」といえばなれずしのことだったそうです。

海産魚介類のほか、アユ、フナ、アメノウオ(サケ目サケ科に属する淡水魚。別名「ビワマス(琵琶鱒)」といい、琵琶湖にのみ生息する固有種)という淡水魚のなれずしが平安時代の記録に残っています。

 

室町時代には、ご飯も食べられる「生なれ」ずしが出現しました。

それまでなれずしは、酸っぱくてベトベトするご飯を取り去って食べていましたが、漬け込んで3~4日、遅くとも1~2カ月で消費するようになり、魚とご飯を一緒に食べるようになりました。

 

江戸時代中頃には、魚やご飯に酢を加える、発酵を経ないすしがつくられるようになり、握りずしや海苔巻きが登場しました。

これに伴い、伝統的なすしが「馴れずし」「熟れずし」と呼ばれるようになったそうです。

 

 

<参考サイト>

・農林水産省 水産発酵食品

https://traditional-foods.maff.go.jp/bunrui/suisanhakkoushokuhin

・石毛直道の発酵コラム 第3回「水産発酵食品」

https://wb.kirinholdings.com/about/activity/ferment/fishery/column_03.html

・魚醤とナレズシ

https://www.syokubunka.or.jp/publication/gallery/ishige/archives/fishsauce/chapter10.html

・アジアの発酵、日本の発酵#1

https://cuisine-kingdom.com/takashi-morieda/

 

 

 


 

② 水産発酵食品の種類と特徴とは?

 

水産発酵食品は、発酵に関わる微生物の種類や製造法などから、「塩蔵型発酵食品」「漬物型発酵食品」の2つに大きく分けることができます。

 

【塩蔵型発酵食品】

塩辛、魚醤、くさやが代表的。

「塩辛」は、食塩で魚介類の身や内臓の腐敗を防ぎながら、素材そのものが持つ消化酵素の作用により生臭さが消えて特有の風味が醸成される。

イカやウニの塩辛の他にも、カツオの内臓を使った「酒盗」、ナマコの内臓を使った「このわた」、アユの内臓を使った「うるか」、サケ・マス類の内臓を使った「めふん」などが各地で食されています。

 

「魚醤」は、魚介類を高濃度の食塩とともに1年~数年熟成させてつくる液体調味料。

かつて日本の広い地域でつくられていましたが、大豆醤油の広がりとともに減少しました。

現在では、秋田県の「しょっつる」、石川県の「いしる」、香川県の「いかなご醤油」が日本三大魚醤とされています。

 

伊豆七島の新島や大島などに伝わる干物「くさや」は、発酵した魚汁にムロアジやトビウオなどの魚を一晩漬け、乾燥させます。

汁の中の細菌により抗菌作用が付与され、また強烈なにおいが発生します。

 

※写真はPhoto ACより「イカの塩辛」

 

【漬物型発酵食品】

なれずし、ぬか漬けが代表的。

「なれずし」の中でも最も古い形をとどめているとされるのが、滋賀県の「ふなずし」。

強烈なにおいが特徴で、乳酸菌が多く含まれ、味はチーズに似たところがあります。

フナの他にウグイやハス、モロコ、アユなども使われます。

 

なれずしの材料としては、サバ、ブリ、サケ、ニシン、ハタハタなども使われます。

「ぬか漬け」は、塩蔵したイワシやサバ、ニシン、フグなどを、麹とともにぬかに漬け込み熟成させてつくります。

猛毒を持つフグの卵巣を微生物の発酵により数年かけて無害化した、石川県の「フグの子ぬか漬け」が有名です。

塩漬けした魚介類を発酵調味料に漬け込む「酢漬け」や「醤油漬け」があります。

酢漬けは、塩漬けした魚介類を食酢に漬け込むことにより、抗菌作用と香味を有します。

福井県の「こだいの笹漬け」、富山県の「ますずし」、岡山県の「ままかりの酢漬け」など。

 

※写真はPhoto ACより「鮒寿司」

 

醤油を使った魚介類の漬物としては、北海道と東北地方の「松前漬け」が代表的です。

 

カツオ節も発酵食品です。

カツオ節には「荒節」「枯節」「本枯節」という種類がありますが、そのうちカビ付けの工程がある「枯節」「本枯節」は、微生物の力を借りてつくられる食品であることから発酵食品の定義に該当します。

脂肪の分解力を持ち良い香りを引き出すカビを付けることにより、特有の美味しさを引き出し、より高品質なカツオ節をつくることができるそうです。

脂肪は品質低下の原因となるため、カビ付けをして分解することで、焙乾香や酸味がやわらぎ上品な風味とうま味が際立つとのこと。

カビを付けていない「荒節」と比べ、まろやかな出汁が取れます。

 

 

<参考サイト>

・かつお節は発酵食品!?魅力や活用術をご紹介!

https://www.yamaki.co.jp/katsuobushi-plus/news/202310_hakkou/

 

 

 

 


 

③ 水産発酵食品の製造方法について

 

いくつかの代表的な水産発酵食品について、製造方法を調べてみました。

 

【しょっつる】

原料としてはハタハタだけでなく、イワシなど様々な魚種でつくられます。

高塩分濃度で腐敗を抑えながら、魚介の持つ自己消化酵素により、タンパク質を徐々に分解してペプチドが生成され、さらにアミノ酸まで分解されます。

魚介のタンパク質の構成アミノ酸としては、うま味系のアスパラギン酸やグルタミン酸が多いため、うま味の強い液体ができます。

 

つくり方は、原料に対して約20~40%の食塩をまぶし、汁が浸出したら、脱水した魚を他の桶に移し、さらに塩をかけます。

浸出液を煮沸ろ過して魚を入れ重しをして、1年~数年漬け込むと魚は液化します。

これを煮沸後、数回ろ過して瓶詰めします。

 

※写真はAdobe Stockより「発泡スチロールに入ったハタハタ」

 

【ふなずし】

フナを丸ごと漬け込み、発酵中に産生する乳酸により骨がやわらかくなり、骨まで食べることができます。

増えた乳酸菌による整腸作用もあり、栄養価も高いそうです。

フナのうろこやえら、浮き袋、内臓を除去し、えら部と内臓部に塩を詰めて桶に詰め、重しをして2カ月以上漬けます。

フナを取り出して洗い、半日ほど日干ししたら、桶に冷ました白米とフナを交互に漬け込んで重しをします。

桶の水が下から上がってきたら、空気と遮断するため上に水を張り、時々水を交換しながら半年~2年ほど漬けます。

 

【カツオ節(枯節、本枯節)】

3枚におろしたカツオの身を煮て薪でいぶし、数日かけてじっくり乾燥させます。

こうしてできたものが「荒節」で、さらに天日で数日乾かし、カビ付け室に入れると、約2週間でカビが表面を覆います(1番カビ)。

表面の胞子を払い、再度天日干しをしてカビ付け室に戻し、4~6カ月ほどかけて2番カビ、3番カビ、4番カビと付けていき、最後に充分乾燥させます。

カビ付けを2回以上繰り返したものが「枯節」です。

さらに、厳密な定義はありませんがカビ付けを枯節よりも多く行ってつくられるものは「本枯節」と呼ばれ、カツオの風味がより豊かになります。

カビ付け=発酵により、酸味や渋味、雑味が削ぎ落とされてうま味が前に出てきます。

さらに水分が飛んでうま味が凝縮されるそうです。

付着した麹カビが水分を吸い取るため、他の微生物が繁殖できなくなるほど乾燥することで保存性が高まり、世界一硬い食品とも言われるほどの硬さになります。

 

※写真はPhoto ACより「たくさん陳列された鰹節」

 

<参考サイト>

・しょっつる

https://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/syottsuru/index.html

・ふなずし 滋賀県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/funa_zushi_shiga.html

・鰹節(かつおぶし)|世界でもっとも硬い発酵食品?

https://www.hakko-biyori.com/dictionary-43

・世界一固い発酵食品「かつお節」の種類や作り方、栄養成分や美容・健康効果、使い方・食べ方、保存法をチェック

https://haccola.jp/2021_10_22_12088/

・「本枯鰹節」は手間暇かけた最上級のかつおぶし!おすすめの理由とは!

https://shop.ninben.co.jp/blog/katsuobushi/282/

 

 

 


 

④ 日本各地でつくられている水産発酵食品とは?

 

日本各地の水産発酵食品にはどのようなものがあるか、調べてみました。

 

<塩辛>

【切り込み】(北海道ほか)

北海道や東北地方でつくられる魚の塩辛。

ニシンやサケ、ヒラメ、エビなど様々な魚を材料につくられている。

昔は常温で保存できるよう、塩分高めでつくられていたとのこと。

 

【めふん】(北海道)

サケの腎臓を使った塩辛。

その名は、せわたを指す「メフヌ」「メフン」という北方アイヌ語からきているとのこと。

新巻鮭をつくるときに取り除く腎臓(せわた)の部分を塩漬けにし熟成させてつくる。

1年以上置くとトロトロになり原型をとどめなくなる。

 

※写真はPhoto ACより「アイヌ料理 めふん 北海道」

 

【このわた】(石川県ほか)

塩辛の一種で、カラスミ、ウニとならぶ三大珍味の1つとされる。

干しナマコをつくる過程で不要となる腸を海水で良く洗い、水を切って約2~3割の塩を合わせてよく混ぜる。

水分を取り一昼夜置き、密封して熟成させる。

 

※写真はPhoto ACより「このわた ナマコ 塩辛 石川県」

 

【黒づくり】(富山県)

イカの塩漬けに肝臓と墨袋をすり混ぜて発酵・熟成させ、独特の香味を加えた塩辛。

江戸時代、加賀藩主の参勤交代の際に献上品として納められたとも言われる。

 

【うるか】(岐阜県ほか)

アユの塩辛で、アユの獲れる各地でつくられている。

様々な種類があり、内臓に細切りにした身をまぜた「切り込みうるか」、内臓だけを使った「苦うるか(渋うるか、土うるかとも)」、内臓と身の全体がペースト状になった「身うるか」などがある。

 

【カツオの酒盗】(高知県ほか)

高知県や静岡県、鹿児島県などカツオ節の産地でつくられている。

カツオ節をつくる過程で不要となる内臓を水でよく洗って水気を切り、3割程度の塩に漬け込んで熟成させる。

土佐藩主の山内豊資がその美味しさに“酒を盗んででも飲みたくなる”という意味で名づけたと言われる。

 

※写真はPhoto ACより「かつおの酒盗とクリームチーズ」

 

【がん漬け】(佐賀県)

有明海の干潟にすむシオマネキという小さなカニの塩辛。

シオマネキを丸ごと臼やすり鉢でつき砕き、2割ほどの塩と唐辛子を入れ、かめや瓶に詰めて1カ月ほど発酵させる。

 

※写真はPhoto ACより「郷土料理 がんづけ」

 

【すくがらす】(沖縄県)

アイゴという魚の稚魚(沖縄方言で「スク」または「シュク」)を使った塩辛(沖縄方言で「カラス」)。

スクに3割ほどの塩を混ぜて重しを乗せ数日置いて、上がってきた水分にさらに塩を加えて沸騰させ、元のスクと一緒にかめや瓶に入れ、3カ月~1年かけて熟成させてつくる。

 

※写真はPhoto ACより「スクガラス」

 

<日本三大魚醤>

【しょっつる】(秋田県)
ハタハタやイワシを生のままかめなどに入れて塩漬けし、1~3年ほど発酵させ、自然にしみだしてきた水分を濾して使う。

その名は「塩汁」がなまったものと言われており、「塩魚汁」とも表記する。

秋田の代表的な郷土料理「しょっつる鍋」や「きりたんぽ鍋」の味付けに使われる。

 

【いしる】(石川県)
イワシやイカの内臓を塩漬けし、1年ほど熟成させてから煮沸し、上澄みを濾して使う。

能登の代表的な調味料で、地元ではイカの内臓を原料とする「いしる」、イワシを原料とする「よしる」と使い分けているとのこと。

「いしり」「よしり」とも呼ぶ。

塩分は強く個性的な香りながら、慣れると普通の醤油代わりに使えるほど地元では定着している。

 

【いかなご醤油】(香川県)
イカナゴ(スズキ科の小魚)を塩漬けし、表面を松葉で覆って3~4カ月発酵・熟成させ、汁を布で濾して使う。

醤油が多く出回るようになると衰退してほとんどつくられなくなったが、近年、讃岐の味わいとして復活を遂げた。

 

<調味料>

【ととのみそ】(大分県)

魚などの水産物と米麹でつくられる発酵調味料。

別府大学と津久見市観光協会などでつくるプロジェクトチームにより、新しく開発された。

 

<なれずし>

【ハタハタずし】(秋田県)

新鮮なハタハタを水にさらしてよく血抜きをし、1日酢漬けにして、刻んだニンジン、カブ、ユズなど彩り豊かな野菜と一緒に、重石をかけてご飯と麹で2~3週間ほど漬け込んでつくる。

お正月料理として昔から食されてきたとのこと。

 

【くさりずし】(千葉県)

九十九里浜に伝わる伝統的な保存食。

イワシやサバ、サンマなどでつくるなれずし。

風味付けにショウガと赤唐辛子を漬け込んでいるのが特徴。

 

【かぶらずし】(石川県)

野菜のカブにブリを挟み、麹で漬けこむすし。

江戸時代、豊漁祈願の儀式の際に出された料理とされ、現在でもお正月などに食される。

塩漬けしスライスしたカブに、塩漬けしたブリを挟み、1週間~1カ月ほど麹で漬け込む。

富山県では、ブリではなくサバやサケでかぶらずしがつくられる。

 

※写真はPhoto ACより「かぶら寿司 アップ」

 

※写真はPhoto ACより「北陸名産「サバの大根ずし」」

 

【ニシンずし】(福井県ほか)

福井県や、北海道、東北地方でつくられ、「ニシン漬け」「大根のニシン漬け」とも呼ばれる。

下処理したニシンを、薄切りのダイコン、ニンジン、ショウガなどの野菜と一緒にご飯で漬け込んでつくる。

焼いて食べてもおいしいとのこと。

 

【サバのなれずし】(福井県など)

へしこ(魚のぬか漬け)を使ったなれずしで、正月などハレの日の料理。

ぬか漬けの香ばしさと、なれずしの酸味とうま味が合わさった風味で“海のチーズ”とも呼ばれる。

 

※写真はPhoto ACより「なれずし 早なれずし サバ 和歌山県」

 

【アユのなれずし】(岐阜県ほか)

岐阜県、滋賀県、福井県、和歌山県、栃木県など、アユの獲れる日本各地で保存食としてつくられてきた。

地域によっては「アユのくされずし」とも呼ばれている。

地域によっては大根を一緒に漬けることも。

 

※写真はPhoto ACより「鮎のなれずし 岐阜県」

 

 

【ふなずし】(滋賀県)

昔ながらの製法でつくる、日本のなれずしの代表格。

琵琶湖周辺でとれたフナを数カ月塩漬けにしてから、1~3年ご飯で漬け込む。

お正月やおもてなしの料理として食されたり、神社で神餞として供えられたりしている。

 

【サンマのなれずし】(和歌山県)

新鮮なサンマを開いて、数カ月~1年塩漬けにし、塩抜きをしてご飯と合わせ重石をかけて桶に漬け込み、1カ月ほど熟成させてつくる。

30年以上熟成させた「本なれずし」もあるとのこと。

最近では、酢を使い数日間でつくるものもある。

 

※写真はPhoto ACより「和歌山のなれずし」

 

<その他>

【山漬け】(北海道)

鮭のえらと内臓を取り除いて塩をもみ込み、箱に仕込んで何段も重ねて重石を乗せ、数日~10日ほど熟成させ、塩を洗い乾燥させる。

アイヌの人々がつくっていた鮭の干物と、江戸時代に和人が持ち込んだ塩の文化が合体してできたとされている。

 

【あざら】(宮城県)

気仙沼市周辺の漁師の料理。

メヌケという深海魚のアラと、長期間漬け込んで発酵が進み酸味が増した白菜の古漬けを、酒粕で煮込む。

 

【くさや】(東京都)

400年ほど前、伊豆七島の新島で生まれたとされ、「くさいや」が語源と言われている。

マアジやムロアジなどの腹を裂いて内臓を取り水洗いしてから、長年受け継がれているつけ汁に2時間ほど漬けてから天日干し、を繰り返してつくる。

 

※写真はPhoto ACより「くさや」

 

【潮かつお】(静岡県)

西伊豆町の田子地区に伝わり、カツオ節の原型とも言われる。

カツオの内臓を取ってよく洗い3週間ほど塩漬けにして、塩を洗い、3週間~1カ月ほど屋内で陰干ししてつくる。

新年を祝う縁起物として、正月に神棚に供えられる。

 

【フグの卵巣ぬか漬け】(石川県)

白山市美川地区周辺に伝わる珍味。

猛毒をもつフグの卵巣を1年ほど塩漬けにして、さらに1年以上ぬか漬けにする。

江戸時代にはすでにつくられていたと伝わるが、無毒化のメカニズムは解明されていないとのこと。

 

【へしこ】(福井県ほか)

福井県、石川県、富山県などでつくられてきた、魚のぬか漬け。

サバやイワシ、ニシン、フグなどの魚をよく洗って水気を切り塩をまぶし、下漬けしたものを塩と米のとぎ汁で練ってつくったぬか床に漬け込んでつくる。

 

※写真はPhoto ACより「発酵食品 魚 鯖のへしこ」

 

【ままかりの酢漬け】(岡山県)

ママカリという小さな青魚の頭と内臓を取って塩でしめ、塩を洗って数日間酢漬けにしてつくる。

そのままで食したり、酢飯と握って寿司として食したりする。

 

※写真はPhoto ACより「ままかり寿司 ~岡山の郷土料理~」

 

【いずみや】(愛媛県)

おからを酢飯に見立て、酢でしめた青魚を乗せた握り寿司。

コノシロやサヨリなどが用いられる。

 

【辛子明太子】(福岡県)

スケトウダラの卵巣(卵を含む)を塩漬けにして、醤油や酒、唐辛子を使った調味液に漬け込んでつくる。

 

※写真はPhoto ACより「博多名産 辛子明太子」

 

【松浦漬け】(佐賀県)

クジラの脂を搾った後の上あごの軟骨(かぶら骨)の使い道として、江戸時代から昭和30年代まで捕鯨地として栄えた呼子町で考案されたもの。

かぶら骨を酒粕に漬け込んでつくる。

 

<参考サイト>

・発酵食品名鑑

https://wb.kirinholdings.com/about/activity/ferment/fishery/

・生で食べきれない魚介類を有効活用した”海の発酵”【前編】《ニッポン全国発酵食品名鑑》

https://discoverjapan-web.com/article/66048

・生で食べきれない魚介類を有効活用した”海の発酵”【後編】《ニッポン全国発酵食品名鑑》

https://discoverjapan-web.com/article/66566

・大豆ではなく「魚で作った」味噌とは? 実は各地に存在する発酵魚介食材

https://tsurinews.jp/185909/

 

 

 


 

⑤ 世界で食されている水産発酵食品

 

東南アジアを中心に広く使われている魚醤は、古代ローマ時代のヨーロッパでも日常的に使われていたそうです。

魚醤のような調味料の他にも、世界各地で多様な水産発酵食品が食されています。

主なものを調べてみました。

 

<調味料>

【ガルム】(古代ヨーロッパ)

古代ローマ時代、ヨーロッパではアンチョビの内臓を原料とする魚醤「ガルム」が日常的に使われたと伝えられる。

ウスターソースも、もとは小魚を発酵させた魚醤が起源。

最近は現代人の味覚に合わせ、小魚や小エビを塩漬けにした新しいガルムがつくられ、イタリアの味として人気を集めているとのこと。

 

【コラトゥーラ・ディ・アリーチ】(イタリア)

南イタリアのアマルフィ海岸で手づくりされるアンチョビの魚醤。

塩漬けにしたカタクチイワシを4~5カ月間熟成させ、壺の底にたまった液体と熟成したイワシを漉してつくられる。

 

【ナンプラー(ナムプラー)】(タイ)

タイ料理に欠かせない魚醤。

塩漬けしたカタクチイワシを発酵させて生じる液体で、発酵にかかる期間は1年ほど。

つくり手によって味わいに違いがあるのも特徴。

 

【カピ】(タイ)

小エビを塩漬けにして発酵させペースト状にした調味料。

グルタミン酸含有量が多く、加熱すると香りが広がり、凝縮したエビのうま味を料理に加える。

カレーペーストの原料としても使われる。

 

【ニョクマム(ヌクマム)】(ベトナム)

ベトナム南部のフーコック島などでつくられる魚醤。

木樽にカタクチイワシなどの小魚と塩を漬け込み、4カ月~1年ほど発酵・熟成させてつくる。

アミノ酸含有量が豊富で、うま味がたっぷり感じられる。

ナンプラーに似ているが、ナンプラーより魚に対する塩の割合が少なく発酵期間が短い。

 

【ユイルウ(魚露)】(中国)

カタクチイワシやムロアジを塩漬けし、熟成・発酵させてつくる魚醤。

 

【サーチャージャン】(台湾)

干しエビやカレイ、ニンニク、トウガラシが原料の、魚介のうま味が凝縮した台湾版バーベキューソース。

台湾では牛肉の炒め物や火鍋、水餃子のつけだれ、魚介料理のコク出しなどに使われる。

 

【エクジョ】(韓国)

イワシを塩漬けし熟成・発酵させてつくる魚醤。

生臭さや独特な風味は抑えらえており食べやすい。

キムチの隠し味としても使われる。

 

 

<魚の加工食品>

【シュールストレミング】(スウェーデン)

その強烈な匂いから「世界一臭い食べ物」と呼ばれる。

ニシンの塩漬けを缶に入れて発酵させた保存食で、缶の中でずっと発酵を続けるため、常温保存できない。

パンや茹でジャガイモと一緒に食べるのが一般的。

 

※写真はPhoto ACより「シュールストレミング」

 

【アンチョビ】(イタリア)

イタリア料理でおなじみ。

内臓を取り除いたカタクチイワシを塩漬けにして発酵させ、オリーブオイルを加える。

 

【スモークアンチョビ】(スペイン)

スペイン・バレンシア地方でつくられる。

新鮮なヒシコイワシの腹ワタを取り除き2日間塩漬けにした後、ブナの木で軽くスモークしてオイル漬けにする。

塩分控えめで、燻製の香りが料理を引き立てる。

 

【ハカール】(アイスランド)

サメを発酵させてから水分を飛ばし、干物のようにした食品。

サメの身にはアンモニアが多く含まれており、口に含むと強烈な刺激臭が鼻に抜けていくと言われる。

味としてはチーズのような風味。

伝統的に製造されており、スーパーなどでも普通に売られているとのこと。

 

【ピクルド・グラミーフィッシュ】(タイ)

「プラー・ラー」と言われる、タイ版の「へしこ」。

グラミーフィッシュという魚を塩や米ぬかに漬けて発酵させたもの。

独特の香りが特徴で、青パパイヤのサラダなどに使う。

 

【ホンオフェ】(韓国)

切り身にしたエイを壺の中で数日間発酵させたもので、シュールストレミングに次ぎ、世界で2番目に臭い食べ物と言われる。

エイの身にはアンモニアが多く含まれており、食べると強烈な刺激臭が喉から鼻に抜ける。

またアンモニアはアルカリ性のため、はやく飲み込まないと口の中がただれてしまうという危険性もある。

韓国の一部地域では冠婚葬祭に欠かせない高級料理として親しまれている。

 

【ジョッカル】(韓国)

オキアミの塩辛で、韓国料理に欠かせないもの。キムチを漬ける時に使用し、乳酸発酵を促し、うま味を増進させる。その他、チゲ鍋や炒め物の隠し味にも使われる。

 

<参考サイト>

・日本が誇る伝統の発酵食品「魚醤」の豆知識

https://www.maruichi.com/delicious/file/post-24.php

・日本で買って使える発酵食品図鑑

https://cuisine-kingdom.com/fermentedseasoning/

・【発酵文化から学ぶvol.2】こんなにあった!知られざる世界の発酵食

https://www.has710.com/blog/2023/03/24/column_hakko-vol2-world/#co-index-1

・世界の料理は微生物であふれている!|世界の発酵食品10選

https://micsmagazine.com/basic/2438/post

・ベトナム料理に欠かせない調味料「ヌクマム」とは?

https://tripping.jp/asean/vietnam/33959

 

 

 


 

⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》いりこぶし 編

 

おやつに、おかずに、トッピングに鰯のうま味が詰まった削り節はいかがでしょうか?

 

導入部分でも触れましたが、冬のギフト品、小豆島のおいしい逸品として「池田漁業協同組合」様へお邪魔して、小豆島の海産物についていろいろとお話を伺ってきました。

「池田漁業協同組合」様には、常日頃からお世話になっていて、催事やイベントなどでも一緒に参加させていただいたりしています。

今回も「ぜひ小豆島のおいしいものを、石井製麺所からご紹介させていただきたい」とお願いしたときにご紹介いただいたのが「いりこぶし」でした。

 

いりこってご存じですか?

煮干しと言った方がご理解いただけるでしょうか。

瀬戸内海、特に香川県では初夏の風物詩として“いりこ漁”がおこなわれています。

「いりこ」=「イワシ(カタクチイワシ)」を茹でて干したものです。

小豆島から少し離れた香川県の「伊吹島(いぶきじま)」というところでは、いりこがつくりやすいように島を囲むように加工場があります。

当然、島の特産品がいりこです。

 

※写真はイメージ

 

今回ご紹介する「いりこぶし」は、瀬戸内から九州五島列島にかけて水揚げされた鰯を、大正時代から受け継がれた技法で一尾一尾手間暇かけて骨ごと削り濃厚な味を凝縮した削り節です。

脂分の少ない良質の鰯煮干しを使用し昔ながらの手法で丁寧に削られ、とても贅沢な削り節に仕上げています。

旨さたっぷり、栄養もたっぷりで、お料理のバリエーションも広がる逸品です。

おひたしや豆腐をはじめ、お好み焼きなどに、そのままふりかけるのも良し、簡単に上品で香り高い「だし」もとれるのでおすすめです。

もちろん、素麺や釜玉うどんなどのトッピングにもぴったりです。

 

試食用に初めていただいたとき、「濃い!」が第一印象でした。

私が知る一般的なかつお節と比較して、そのままつまんで、おやつ代わりになる削り節で、試食用の一袋は、ほとんど私がおやつとしてつまんでしまいました。

かつお節より厚めに削られた印象で、鰯の味(魚の旨み)が濃く感じられました。

卵かけご飯にかける(混ぜる)と、醤油との相性がよく、おかわりしてしまうくらいおいしかったです。

 

この機会にぜひお召し上がりください。

 

  

 

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

《いりこぶし<池田漁業協同組合>》 https://141seimen.thebase.in/items/94882496

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年11月11日 【Vol.47】栄養成分の機能性について/糖

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.47

栄養成分の機能性について/糖

 

 

 

冬にお届けするDMがようやっと完成し、順次発送させていただいています。

今回も、「小豆島のお“いしい”逸品」と題し内容を充実させて、ギフト品などのご案内をお届けさせていただいています。

まもなくネットショップでも公開していきたいと考えていますので、今しばらくお待ちいただけましたら幸いです。

 

今回は、例年になく遅い発送となってしまいました。

毎年楽しみにしてくださるお客様もいらっしゃるので、申し訳なく思っております。

 

その原因のひとつが(言い訳ですが)、10月はまだしも、11月に入っても暑い日が続き、どうにも冬のイメージが湧かず、悪戦苦闘しておりました。

楽しみにお待ちいただく方もいらっしゃるので、そんなことも言っておられず、いろいろとご用意させていただきました。

「小豆島のお“いしい”逸品」の商品については、12月のブログでもご紹介させていただきたいと思いますので、詳しいご紹介はまた後日。

 

11月に入り、石井製麺所も新しい年を迎えることができました!

石井製麺所も会社法人ですので決算月というものがあり、それが10月ですので11月は新年度になります。

ここからが2025年のスタートです。

 

小豆島での手延べ素麺づくりは、ほとんどがそうだと思うのですが、「秋始まりの夏終わり」な感じです。

ようは、涼しくなる秋頃から手延べ素麺の製造が始まり翌年の春過ぎまで製造し、夏前から販売が始まり7月上旬に販売のピークを迎えます。

これがいわゆる手延べ素麺の製麺所の「ビジネスモデル」というものです(当社だけかも知れませんが)。

 

とはいえ、製麺所も継続できるように稼いでいかなければならず、石井製麺所の冬のメイン商品は「手延べ半生うどん」になります。

この他にも温かいお出汁などにピッタリな太麺は冬場に人気が高く、手延べ素麺(太麺)をはじめ、《楽々膳・黒》シリーズや山芋素麺(太麺)などが人気です。

また、石井製麺所では様々なOEM手延べ素麺・手延べ麺の製造から、自社独自の手延べ麺なども製麺性(つくりやすさ)の観点から涼しい時期に集中して製造しています。

素麺のシーズンが終わった製麺所ですが、実は今からが製麺で忙しい時期になっていくんですよ。

家族全員で健康には充分に留意して、新年度の製麺をおこなっていきたいと考えております。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、今回のブログは「糖」についてです。

「糖」と聞くと甘いような気がしますが「糖」の中にも「糖質」や「糖類」と呼ばれるものがあり、それぞれに働きが違います。

「糖質」=「糖類」ではないいんですね。

何となく同じようなイメージでしたが、中身は全く異なるようです。

 

今回も健康に役立つ内容でお届けできていると思いますので、最後までぜひお付き合いください。

 

写真は先日の製麺風景。

一日の気温の上昇度などを予想しながら塩加減を考えるのですが、この日は予想より暖かい一日で、塩が少し足りなかったかも知れません。

天気予報だけではなかなかわからないところもあり、まだまだ経験値を上げていかねばいけません。

 

 

【目次】

① ⽢いだけじゃない!?糖とは?

② 糖の種類と性質について

③ 糖は発酵に⽋かせない成分

④ ⼈類に⽋かせない成分・糖の働き

⑤ 糖を多く含む食品とは?

⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》しょうどしま長命粒塩 編

 

 


 

① ⽢いだけじゃない!?糖とは?

 

糖は、タンパク質・脂質と並ぶ、食品の三大栄養素のひとつである炭水化物に分類されます。

炭素と水素の化合物で、消化されてエネルギー源となります。

炭水化物は、消化吸収されやすい「糖質」と消化吸収されにくい「食物繊維」で構成されています。

「糖質」と「糖類」は混同されがちですが、「糖質」とは「炭水化物から食物繊維を除いたもの」の総称で、デンプンやオリゴ糖などがこれに含まれます。

「糖類」とは「糖質から多糖類・糖アルコールを除いたもの」のことです。

ブドウ糖や果糖、砂糖など甘いものは「糖類」です。

糖は自然界に多く存在しており、サトウキビには砂糖、牛乳には乳糖、シイタケにはトレハロース、りんごの蜜部分にはソルビトール、焼き芋にはマルトース(麦芽糖)が含まれています。

最近では、コーンシロップや高フルクトースコーンシロップ(異性化糖)といった工業的に作られた糖類が、炭酸飲料、果実缶詰、アイスクリームなどに多く用いられています。

 

糖は、甘みをつけるだけでなく、食品の様々な物性をコントロールし、質感や日持ちに影響します。

・風味や色をつける

・水分を保持しツヤを出す

・脂質の酸化を抑える

・デンプンの老化を抑えやわらかさやしっとり感を保つ

・タンパク質を熱から守り変性を抑える

・腐りにくくする

など様々な役割を果たしています。

 

<参考サイト>

・e-ヘルスネット 炭水化物/糖質

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html

・糖の基礎知識

https://www.nagase-foods.com/jp/library/knowledge/sugar/

・炭水化物と糖類について

https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/download_files/other/topics_02.pdf

・知って得する糖尿病講座「糖質」と「糖類」について」

https://www.hoyukai.or.jp/class/files/142.pdf

 

 

 

 


 

② 糖の種類と性質について

 

糖の性質や物性を予測するのに最も役立つのが、大きさ(分子量)による分類です。

糖には、単糖類から少糖類、多糖類まで様々な大きさのものが存在します。

素麺の主成分である小麦粉に含まれる糖質の大部分は、多糖類の1つであるデンプンです。

 

【単糖類】

それ以上分解されない、一番小さな糖の単位。

ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースがあります。

 

【少糖類】

単糖が2個以上10個未満程度結合した糖。

オリゴ糖とも呼ばれますが、定義はややあいまいだそうです。

砂糖の主成分であるショ糖(ブドウ糖+果糖)や、麦芽糖(マルトース=ブドウ糖+ブドウ糖)、乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)などは、二糖類です。

 

【多糖類】

10個以上の単糖が結合した糖で、単糖の結合数は数千個におよぶことも。

消化性多糖類と難消化性多糖類に分かれ、消化性多糖類にはデンプン、グリコーゲンなどがあります。

難消化性糖類は食物繊維の仲間とされます。

 

糖の性質は、小さいほど浸透性に優れ着色性が高くて甘く、大きくなるにつれて浸透性や着色性が低くなり、粘度が上昇し、ツヤを出す機能が高くなります。

 

糖に関する指標について、調べてみました。

「甘味度」は、人が食べたときに感じる甘さを数値化した指標で、砂糖の甘味を基準に調べたい糖と比較することにより算出します。

甘味度と似た言葉に「糖度」がありますが、これは糖を水に溶かした時の濃度を表す、全く別の意味の言葉です。

一般に糖度が高いと食品が安定であり、低ければ水分が多く不安定になります。

糖度とほぼ同じように使われる数値に「Brix値」があります。

水溶液の溶質濃度が上昇すると屈折率も上昇するという原理を用い、屈折計を利用して測定します。

油脂を多く含む食品は屈折率に影響が出るため、測定には注意が必要とのことです。

 

 

糖が関わる、香ばしい香りや色が付く反応は、大きく分けて2つあります。

 

「カラメル化反応」

糖を高温で加熱した際に、複雑な反応を経て褐色物質ができる反応。

プリンのカラメルやべっ甲あめなど。

 

「メイラード反応」

糖とタンパク質を合わせて加熱した際に、糖の還元基とタンパク質のアミノ基が反応して褐色物質などができる反応。

パン、ステーキなど。

 

糖は浸透圧を上げ、微生物が食品中で利用できる水(自由水)を少なくし、腐敗しにくくします。

同じ濃度でも分子量が小さいほど防腐効果は高くなるそうです。

 

 

<参考サイト>

・食物繊維とは

https://www.nisshin-seifun.com/wheat-power/dietary-fiber.html

 

 

 


 

③ 糖は発酵に⽋かせない成分

 

発酵とは、食物に含まれる糖質やタンパク質を、微生物が分解してアミノ酸やアルコールなどをつくり出すことにより、うま味や風味、栄養価が増したり、保存性が高まったりと、人間にとって有益な状態に変化させることです。

 

アルコール発酵は、微生物の中でも主に酵母による発酵で、ブドウ糖をアルコールと二酸化炭素に分解します。

酵母は単糖や二糖のような小さい糖しか吸収することができません。

そこで、お酒づくりの場では「糖化」と呼ばれる、多糖を小さな単糖や二糖に分解する工程を必要とします。

 

 

主なアルコール飲料製法における、発酵や糖化について調べてみました。

 

<ワイン、ブランデー>

ブドウに含まれる糖の発酵によりつくられる。

スパークリングワインは、瓶に詰めて二次発酵させる際に酵母と砂糖を加えることで、酵母が砂糖を分解しアルコールと炭酸ガスを発生させる。

 

※ワインの詳しい説明については「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.46 麺究者への道/ワインについて研究してみる」もご覧ください。

 

 

<ビール、ウイスキー、日本酒>

デンプンの糖化によりつくられる。

ビールは、麦芽に含まれる酵素(アミラーゼ)により糖化。

日本酒は、麹カビにより糖化した後、酵母によりアルコール発酵。

ウイスキーは、麦芽の中のデンプンを麦芽糖と呼ばれる二糖まで分解する。

 

※ビールの詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.42 麺究者への道/ビールについて研究してみる」もご覧ください。

※日本酒の詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.38 麺究者への道/日本酒について研究してみる」もご覧ください。

 

パンも、アルコール発酵を利用してつくられています。

パン専用の酵母であるイーストは、糖を栄養にして発酵し、ガスを発生させることにより生地をふくらませます。

パンの材料として加える砂糖が、酵素の働きでブドウ糖と果糖に分解され、イーストの栄養となって発酵を促進させています。

フランスパンなどのように砂糖を加えない場合は、小麦粉に含まれるデンプンが分解されて麦芽糖になり、さらにブドウ糖に分解されてからイーストの栄養になるため、発酵管理が非常に難しいそうです。

砂糖は発酵を促進する以外にも、パンづくりに様々な役目を果たしています。

吸水性や保水性のある砂糖を加えることで、やわらかい状態が長く続き、日持ちが良くなります。

焼きあがった時の焼き色や香ばしい香りも、砂糖のカラメル化やメイラード反応によるものです。

 

※パンの詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.36 麺究者への道/パンについて研究してみる」もご覧ください。

 

 

 

乳酸菌は、糖類を分解して乳酸に変える働きがあります。

乳酸発酵食品にはヨーグルトやチーズ、発酵漬物(ぬか漬け、キムチなど)などがあります。

 

<ヨーグルト、チーズ>

乳酸菌が牛乳の中の乳糖を分解して取り込む過程で乳酸をつくり出し、それにより牛乳のタンパク質が固まってできる。

 

※チーズの詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.40 麺究者への道/チーズについて研究してみる」もご覧ください。

※乳酸菌の詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.31 栄養成分の機能性について/乳酸菌」もご覧ください。

 

 

<発酵漬物>

野菜にもともと付着している乳酸菌が、野菜の糖類などを分解して乳酸を生成。

酸味が出ると同時に、保存性が高まり独特の風味が生まれる。

 

代表的な発酵食品のひとつである味噌は、酵母によるアルコール発酵や乳酸菌による乳酸発酵によりつくられます。

麹菌が大豆のデンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に、脂質を脂肪酸とグリセリンにそれぞれ分解して、それらと酵母や乳酸菌が作用して味噌になります。

 

※漬物の詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.44 麺究者への道/漬物について研究してみる」もご覧ください。

 

 

<参考サイト>

・Wikipedia アルコール発酵

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%99%BA%E9%85%B5

・【発酵の基礎】糖からエタノールへ、偉大な酵母のちから

https://whiskylabo.com/alcoholic-fermentation/

・甘くするだけじゃない?パンを作るときの「砂糖」の役割

https://seika.oda.ac.jp/column/1474/

・発酵を促進する砂糖

https://www.pearlace.co.jp/know-and-fun/tips/post-82.html

・発酵ってどういうこと?

https://www.pearlace.co.jp/know-and-fun/tips/post-147.html

・漬物のきほん

https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/04.html

 

 

 


 

④ ⼈類に⽋かせない成分・糖の働き

 

糖質がエネルギーとして使われる仕組みはどのようなものか、調べてみました。

食事から糖を摂取すると、口から胃、十二指腸を通過しながら、様々な消化酵素の働きによりブドウ糖同士の結合が切られていきます。

そしてようやく小腸で、最小単位であるブドウ糖にまで分解、吸収されて、血液中に取り込まれ、全身に運ばれます。

「血糖値」とは、このようにして血液中に取り込まれたブドウ糖の濃度を表すものです。

 

全身に運ばれたブドウ糖は、主に体や脳を動かすエネルギー源として使われます。

脂質やタンパク質に比べて早くエネルギーに変換されるため、即効性が期待できるそうです。

人体の司令塔であり、全エネルギーの18%と非常に多くのエネルギーを消費する脳が、エネルギーとして利用できる物質はブドウ糖だけなので、しっかり補給することが大切だそうです。

余分なブドウ糖は、筋肉や肝臓でブドウ糖がたくさん結合したグリコーゲンに変換されてから一時的に貯蔵され、必要に応じて様々な活動のエネルギー源として利用されるとのことです。

 

糖の働きとしては、他にも様々なものがあります。

「特定保健用食品」としてその機能の表示が認められているものをいくつか調べてみました。

<オリゴ糖> お腹の調子を整える

<キシリトール> むし歯の原因にならない

<マルチトール> 歯の健康保持、むし歯になりにくい

<パラチノース> むし歯の原因にならない

<L-アラビノース> 砂糖の消化・吸収を穏やかにする、血糖値が気になる方の生活改善

 

糖を摂りすぎたり、不足したりすると、健康にどのような影響があるのでしょうか。

世界保健機構(WHO)の 2015年のガイドラインでは、肥満や虫歯予防を目的に、1日の遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満に減らすことが強く推奨されています。

日本では、どれくらいの糖類を摂取すると健康に影響が出るのか、また、現在日本人がどのくらいの糖類を摂取しているのかについてほとんど明らかになっていないことから、目標量は設定されていないそうです。

 

糖が不足すると血液中のブドウ糖が足りなくなり、貯蔵していたグリコーゲンがブドウ糖に分解されてエネルギー源となります。

しかしグリコーゲンがない場合は、筋肉などのタンパク質を分解し、アミノ酸をブドウ糖に変換してエネルギーを補うようになるため、筋肉の減少につながる可能性もあるそうです。

また、エネルギー不足による疲労感や集中力の減少が見られます。

また脳や神経で供給不足が起こると、意識障害を起こすこともあります。

 

過剰な場合は、エネルギーとして消費されなかったブドウ糖は中性脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病の原因となります。

また、糖類の摂取量と虫歯との関連も、多くの研究で明らかになっているそうです。

 

 

<参考サイト>

・糖質は体と脳のエネルギー源

https://www.nisshin.com/welnavi/knowledge/detail_010.html

・一番身近な活力の素

https://www.seikagaku.co.jp/ja/glycoscience/10theme/theme03.html

・糖の種類と可能性

https://www.kanro.co.jp/RandD/basic/type/

・炭水化物と糖質の違いとは?それぞれの役割について解説

https://www.suntory-kenko.com/column2/article/6137/

・糖質とは?糖類との違いや適切な摂取量、糖質が少ない食品を紹介

https://wellness.nichirei.co.jp/contents/detail/_38

・糖分(糖質)の働きとは?不足・摂りすぎた場合の症状について解説

https://www.suntory-kenko.com/column2/article/7630/

 

 

 


 

⑤ 糖を多く含む食品とは?

 

糖質は、体内で1gあたり4kcal産生する、体のエネルギー源です。

厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、糖質としての適正摂取量は設定されていませんが、炭水化物としての基準が定められています。

また、総エネルギー摂取量のうち、タンパク質と脂質が占めるべき割合を差し引いた50~65%が、炭水化物の目標値となっています。

例えば1日に摂取するエネルギーが2000kcalの場合、1日に250~325gの炭水化物を摂取することが望ましいということになります。

 

糖質は、ご飯・パン・麺類などの穀類、イモ類などに多く含まれています。

野菜の中では西洋カボチャ、トウモロコシ、レンコンなどにも多く含まれます。

果物には、ブドウ糖、果糖、ショ糖が含まれ、中でもブドウやカキ、パイナップル、マンゴーなどに多く含まれます。

 

また、砂糖や甘味類、果物類などの甘いものにも多く含まれています。

穀物と砂糖を多く使っている和菓子やケーキ、ポテトチップスなどは糖質が多い食品です。

 

近年、ダイエット法の1つとして糖質コントロールが注目されていますが、極端に糖質の摂取を制限するのではなく、適正量を知り、他の栄養素もバランスよく摂ることが大切です。

 

<参考サイト>

・糖質(炭水化物)の多い食べ物とは?食品の種類と一日の摂取目安量を紹介

https://www.suntory-kenko.com/column2/article/6005/

・三大栄養素の炭水化物の働きと1日の摂取量

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tansuikabutsu.html

 

 

 


 

⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》しょうどしま長命粒塩 編

 

 

あの「しょうどしま長命草」がお塩になった?!

11月下旬からお届けする「お“いしい”逸品」で取り扱う「しょうどしま長命粒塩」をご紹介させていただきます。

「糖」がテーマなのに、真逆(?)の塩のご案内になります。

 

「一株食べれば、一日長生きする。」

そう言い伝えられ、古くから人々の健康を支える野菜として親しまれてきた長命草(ちょうめいそう)。

その名前のとおり、食べる人の健康長寿を支える可能性を秘めた“パワーベジタブル”です。

「しょうどしま長命草」は、小豆島の特産品である醤油の絞り粕を肥料に、農薬を使わずに栽培された、小豆島育ちの健康野菜です。

その長命草を収穫してすぐに乾燥し、低温殺菌粉砕加工を施しパウダー化することで、栄養素をほとんど損なうこと無く、生葉とほぼ同様にビタミン、ミネラル、食物繊維やポリフェノールなどの有用な栄養成分が多く含まれています。

その長命草とブレンドされているのが、天然の小豆島海塩

ミネラルが豊富で結晶化するまで平釜で炊き上げられ、海塩の旨さがぎゅぎゅっと詰まった特別な塩で、てんぷらや肉料理など油との相性が良い粒塩です。

 

小豆島の長命草と天然小豆島海塩を独自製法でブレンドした、ほのかに抹茶のような香りがする、ちょっと良い料理の時に使える調味塩です。

 

健康を気づかう毎日の食事に、ぜひ長命粒塩はいかがでしょうか。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《しょうどしま長命粒塩<LINKFAMILY>》 https://141seimen.thebase.in/items/94817820

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年10月21日 【Vol.46】麺究者への道/ワインについて研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.46

麺究者への道/ワインについて研究してみる

 

 

 

 

今回のブログは、「ワイン」がテーマです。

発酵熟成にこだわって、いろいろとブログを書いてきましたが、ワインは奥が深いとのことで書くことを躊躇していたのと、折角ならボジョレーヌーヴォーの解禁日(2024年は11月21日(木)の午前0時)に合わせようと考え、このタイミングとなりました(あと1ヵ月ありますが)。

前々回ではオリーブの新漬けの紹介もさせていただいたので、ワインとオリーブの新漬けで味わってはいかがでしょうか。

 

実は小豆島にもワイン用のブドウを栽培される方が、小豆島の土庄町、小豆島町それぞれにいらっしゃいます。

小豆島では、日本酒、クラフトビール、そしてワイン醸造家もいらっしゃるんですよね。

みなさん独自の工夫をされていて、地元産の穀物や農作物を使ったものを製造されています。

 

石井製麺所は小豆島手延べ素麺の技術を受け継ぎ、製法にこだわり、白い素麺をつくり続けています。

しかしながら三代目の私は、素麺は“嗜好品”だと捉えています。

暑い夏、夏らしさを感じる食事として皆さまから愛されて召し上がっていただいている素麺ですが、単純に暑いから食べるのでなく、「夏」という季節の中で味わい楽しんでいただく食文化のひとつではないかと感じています。

実際、10月に入っても暑さを感じる日が続きますが、やはり素麺は7月、8月ほどは売れません。

昔は、農家さんの冬の副業として始められた素麺づくりですが、現代では専門の製麺所が素麵をつくり続けています。

昔ながらの製法では、秋から翌春にかけて素麺を製造し、夏に販売するのが、いわゆるビジネスモデルでした。

ですが、他の麺類では、現代のライフスタイルに密着し進化を続け、一年中愛されるメニューとなっているものあると思います。

 

羨ましいなと感じます。

 

素麺もライフスタイルに合わせて、日常的に食卓に昇る食材でありたいと考えています。

今はどうすれば“嗜好品”から“日用品”として、より多く皆さまに召し上がっていただけるかを考える毎日です。

 

そういう意味でも、島での新しい産業や食品には大変興味があり、こうしてブログや「石井製麺所通信」として取材をさせていただき、見聞を広めているところです。

7月に参加した県産品コンクールでは、他社様のたくさんのアイデアや“想い”を感じることができました。

日々の気付きと、学びから、発酵、熟成の知識を活かして新しい手延べ麺をつくり続けていきたいです。

 

これまでも「日本酒」「ビール」と調べてみてきた発酵・熟成に関するお話ですが、今回は知らないことも多く産地の広がりや品種の開発などとても興味深いもので、技法だけでなく取り組みなどの参考になればと考えています。

今回も最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

 

 

 

【目次】

① ローマ軍やキリスト教により世界に広まったワイン

② 日本のワイン醸造は明治時代に始まった

③ ワインは世界三大醸造酒の1つ!その発酵方法とは?

④ 意外とシンプル!ワインの製法

⑤ ワインの製法による4つの分類とは?

⑥ ワインと土壌の関係とは?

⑦ 世界のワインの産地とその特徴

⑧ 《美味しい手延べ素麺》手延べ小豆島オリーブオイル素麺 編

 

 


 

① ローマ軍やキリスト教により世界に広まったワイン

 

ワインの原型は、野生のブドウが自然発酵したものと考えられています。ブドウ栽培やワインづくりの起源は、紀元前6000年頃のコーカサス地方(現在のジョージア周辺)との説があります。

ワイン醸造に使用されていたとみられるつぼ型の土器とブドウの痕跡が発見されています。

ワインは次第に近隣諸国へ伝わり、紀元前3500年~紀元前3000年頃には古代メソポタミアでワイン生産を目的としたブドウ栽培が始まったようです。

その時代の出来事を書いた「ギルガメッシュ叙事詩」では、大洪水に備えた船を建造した際に水夫にふるまったとあり、これがワインに関する最古の記録とのことです。

ブドウの果汁を採る石臼や、ブドウ畑の痕跡も発見されています。

 

※写真はPhoto ACより「ジョージアのシグナギの町並み」

 

古代エジプトでは、紀元前3000年頃の壁画に、ワインづくりに必要な圧搾機やつぼが描かれています。

 

古代ギリシャでは紀元前4000年には自生していたブドウでワインづくりが行われていたとされ、紀元前3000年には、世界最古の圧搾機や容器が出土しています。

紀元前1000年頃、都市国家の市民たちは、毎晩、酒宴(シュンポシオン)を開いて水で割ったワインを飲み交わしながら学問・芸術について議論したそうで、これが「シンポジウム」の語源とされています。

 

紀元前8世紀頃イタリア南部に伝わり、ローマ帝国でワインの生産が盛んになります。

紀元前1世紀にローマ軍が領土拡大した土地にブドウを植えたため、フランスやドイツなどにもワインづくりが広まっていきました。

フランスでは貴族階級がより上質のワインを求め、また宮廷文化の発展などによりワインづくりがさかんになりました。

中世から近世にかけて、ワインづくりが広まっていった大きな理由はキリスト教の布教活動にあります。

ワインは「キリストの血」として神聖で貴重なものとされ、ミサの際にふるまわれるようになったため需要が増え、修道院によるワインの醸造がさかんになりました。

当時の修道院は学校や研究所としての機能も兼ねていたため、ブドウ栽培から醸造にいたるまでの技術をより高めることにつながりました。

またブドウ畑や技術などを持つことが権力の象徴となっていたため、王族や貴族階級の人々もワインづくりに力を入れるようになりました。

 

15世紀末以降の大航海時代には、キリスト教の宣教師たちが南米や北米、南アフリカ、オーストラリアに移民し、新天地でブドウ栽培とワインづくりをすることにより、世界中に広まりました。

アメリカ、チリ、アルゼンチンなど、現在「ニューワールド(新世界)」と呼ばれているワイン生産地のほとんどは、この時期に開拓された場所だそうです。

 

ブドウ栽培に適した土地を探して試行錯誤したことにより、産地ごとに味わいの異なるワインが生まれ、品質向上にもつながりました。

17世紀末にはガラス瓶とコルク栓が使われるようになったため、長期間の貯蔵・熟成ができるようになりました。

19世紀後半、品種改良のためアメリカから持ち込まれたブドウについていたフィロキセラ害虫の発生などにより、ヨーロッパ中のブドウ畑の3分の1が枯れてしまったそうです。

しかしアメリカ原産のブドウはフィロキセラ害虫の影響を受けないことから、アメリカ系のブドウの台木に、ヨーロッパ系のブドウを接ぎ木する方法が考え出されました。

これによりヨーロッパ系のブドウの実は守られ、ワインが復興したそうです。

今では一部地域を除いて、世界中のブドウのほとんどでこの方法がとられているとのことです。

 

※写真はPhoto ACより「発見のモニュメント(リスボン)」

 

<参考サイト>

・世界のワイン史

https://www.kirin.co.jp/alcohol/wine/wine_academy/knowledge/region/history.html

・長くて深いワインの歴史とは?

https://www.adv.gr.jp/blog/history/

・ワインの歴史を紐解く。なぜワインは世界中に広まったのか?

https://www.mottox.co.jp/column/wine/wine-history

・ワインの歴史をわかりやすく解説|文明や人々によって世界各地に広がる魅力

https://www.sakesen.com/blog/wine-history/

 

 

 


 

② 日本のワイン醸造は明治時代に始まった

 

日本におけるワインに関する文献は、古くは1466年の「蔭凉軒日録」に「南蛮酒を飲んだ」と書かれており、これがワインのことと考えられています。

1483年の「後法興院記」には、関白近衛家の人間が「チンタ」を飲んだという記述があり、これは赤葡萄酒のことと言われています。

 

戦国時代、フランシスコ・ザビエルは本国から持参したワインを自身が布教を望む地域の大名に献上し、また豊臣秀吉も九州征伐で博多に立ち寄った際、ポルトガル船でワインを饗されたと言われています。

ポルトガルなどからの輸入品として徐々に浸透していったワインは、一部の特権階級には飲まれるようになっていったとのことです。

日本でワインの本格的な醸造が始まったのは明治時代です。

政府は殖産興業政策の一環として、ヨーロッパやアメリカからブドウ苗木を輸入し、全国各地でブドウ栽培やワイン醸造を奨励しました。

特に山梨はすでに江戸時代から生食用ブドウの名産地になっており、1874年には甲府の山田宥教と詫間憲久がワイン醸造を始めました。

これが産業としての国産第一号のワインでした。

1877年には、祝村(現在の山梨県甲州市勝沼町)に日本初の民間ワイン醸造場「大日本山梨葡萄酒会社」が設立されました。

政府主導のもと多くの先人たちがワイン醸造に取り組みましたが、醸造技術の未熟さや日本の食生活に受け入れられなかったことからうまくいかなかったそうです。

 

1880年、政府はブドウ栽培・醸造試験を目的として、兵庫県加古郡に「播州葡萄園」を開設しました。

1888年に農商務省の前田正名に払い下げられ、その数年後に閉園となりましたが、国営持代の遺構や異物が数多く発見された播州葡萄園跡は、国指定の史跡となっています。

 

1881年、東京の神谷傳兵衛が、ワインにはちみつや漢方薬を加えて飲みやすくした甘味ワインを考案し、好評を博しました。

その後、養子の神谷傳蔵をフランスへワイン留学に派遣し、自身は現在の茨城県牛久市にあたる稲敷郡で、119ヘクタールの原野を開墾してブドウの苗木6000本を移植。

1903年に「牛久醸造場」(現・牛久シャトー)を完成させました。

傳蔵の知識をもとに、ワインの醸造、貯蔵、瓶詰出荷まで一貫した製造工程を有する、日本初の本格的なワイン醸造場を築き上げ、大規模生産を実現しました。

 

1912年、甲州市に宮崎光太郎が自宅にワイナリー「宮光園」を開設。

醸造場の見学、ブドウやワインの飲食や購入ができる、今では当たり前となったワイナリーのスタイルを確立したそうです。

また地元のブドウ農家との共存繁栄を図り、勝沼を一大ワイン産地へと押し上げたとのことです。

明治から大正にかけて、首都圏への大量輸送体制が確立されるとともに、牛久産ワイン、甲州産ワインが大量に出荷されたそうです。

 

1964年の東京オリンピックの頃からワインは着実に消費量を伸ばし、1970年の大阪万博を契機とした高度経済成長期には1回目のワイン・ブームを迎えます。

日本人の食生活の洋風化によりワイン消費は増大し、1975年には甘味果実酒を上回りました。

 

その後、1978年には千円ワイン・ブーム、1981年には一升瓶ワイン・ブーム、1987年にはボージョレ・ヌーヴォー・ブーム、1997年には赤ワイン・ブームなどを経て、2010年以降は家飲みやワインバルが定着するなど、今やワインは日本人の生活に溶け込んでいます。

 

質の良い輸入ワインが手軽に買えるようになり、また国内の醸造技術の向上や、日本の風土に適したブドウ栽培などにより、日本のワインも世界から注目されるまでになっています。

 

※写真はPhoto ACより「ワイン用葡萄畑と甲府盆地」

 

<参考サイト>

・酒・飲料の歴史 ワインと日本人

https://museum.kirinholdings.com/history/cultural/07.html

・日本ワイン140年史

https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story086/

・日本ワインの基礎知識

https://www.winery.or.jp/basic/knowledge/

・播州葡萄園跡(国指定史跡)稲美町ホームページ

https://www.town.hyogo-inami.lg.jp/0000000366.html

・播州葡萄園跡 文化遺産オンライン

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/192692

・国史跡 播州葡萄園跡

https://www.inami.or.jp/more/page9.html

 

 

 

 


 

③ ワインは世界三大醸造酒の1つ!その発酵方法とは?

 

お酒はその製造方法により、醸造酒・蒸留酒・混成酒の3つに分けられます。

ワインは醸造酒で、ビール・日本酒とともに「世界三大醸造酒」とも呼ばれています。

醸造酒・蒸留酒・混成酒について、それぞれの違いや特徴を調べてみました。

 

【醸造酒】

米や麦などの穀物や、ブドウなどの果実に含まれているデンプンや糖を、酵母菌を使って発酵させるお酒。

ワインはブドウ、ビールは麦芽、日本酒は米を発酵させる。原料を発酵させたあとは、そのまま飲むことができる。

 

 

【蒸留酒】

原料を発酵させた液体を蒸留させ、そのまま、もしくは水を加えアルコール度数を調整して飲むお酒。醸造酒を加熱してつくるため、アルコール度数が高いのが特徴。

焼酎は穀物などの発酵液、ウイスキーは麦芽などの発酵液、ブランデーは果実酒を、それぞれ蒸留させる。

そのほか、ウォッカ、ラム、ジンなど。

 

 

【混成酒】

醸造酒や蒸留酒に、果実や薬草、ハーブ、香辛料などを加えた飲み物。

日本の分類では、リキュールや甘味果実酒なども含まれる。

焼酎や日本酒に梅を添加した梅酒、蒸留酒にコーヒーや香料を添加したカルーア、そのほかベルモット、ペパーミントなど。

 

 

醸造酒は、原料に含まれる糖を、酵母菌と呼ばれる微生物が食べ、アルコールと炭酸ガスに分解します。

発酵で得られるアルコール度数にはある程度の限界があり、ビールでは約5~10%、ワインでは約12~14%、日本酒では約18%だそうです。

醸造酒の発酵方法は3つに分けられ、ワインは単発酵、ビールは単行複発酵、日本酒は並行複発酵です。

それぞれどのようなものか調べてみました。

 

【単発酵】

ワインは原料となるブドウに糖が多く含まれているので、その搾り汁に直接酵母菌を加えて発酵させる。

 

【単行複発酵】

ビールの原料である大麦に含まれているデンプンは、そのままでは大きすぎて酵母菌が分解することができまないため、まずは大麦を発芽させ、その発芽過程で生まれる酵素の力でデンプンを糖へと分解(糖化)し、その糖を酵母菌がアルコール発酵させる。

「糖化」と「発酵」の2つのプロセスを別の容器で行うことを「単行複発酵」と言う。

 

【並行複発酵】

日本酒は、原料となる米に含まれるデンプンを麹の働きで糖に分解し、その糖を酵母菌がアルコール発酵させる。

これらは同じの容器の中で同時進行している。

「糖化」と「発酵」の2つのプロセスを同じ容器の中で同時に行うことを「並行複発酵」と言う。

 

 

<参考サイト>

・醸造酒とはどんなお酒? 蒸留酒との違いや種類、起源について解説!【醸造酒の基礎知識】

https://www.ienomistyle.com/sakeguide/20220310-5622

・世界の酒の大分類(醸造酒・蒸留酒・混成酒)発酵形式のちがいによる醸造酒の3分類

https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/industry/world/world02.html

・「醸造酒」ってどんなお酒?蒸留酒や混成酒との違いとは

https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/000912.html

 

 

 

 


 

④ 意外とシンプル!ワインの製法

 

昔のワインづくりは、熟したブドウを大きな桶に入れ、足で踏んで果汁を搾ることから始まりました。

その醸造の過程は他のお酒と比べてとてもシンプルで、現在もほとんど変わっていないと言われているそうです。

よく知られているワインの分け方に、赤、白、ロゼ、スパークリングというものがあります。

基本的な製造工程は赤ワインが原型となっています。

それぞれの一般的なつくり方について、調べてみました。

 

【赤ワイン】

黒ブドウを原料に、果汁だけでなく果皮や種を一緒に漬け込んでつくることにより、赤い色合いや独特の渋味のある深い味わいになる。

収穫した黒ブドウを破砕して、果汁と果皮と種が混ざった状態でタンクに入れ、5~15日かけてアルコール発酵させる。

果皮や種から色素や渋味、香りが抽出されたら、乳酸菌の働きにより酸味を和らげる発酵を行う。

ワインと果皮や種などの固形部分とを分離し、固形部分を圧搾機にかけ搾り取る。

その後、樽やタンクで熟成させ、ワインの濁りを除くためろ過して瓶に詰める。

 

 

【白ワイン】

白ブドウを原料に、果汁のみを発酵させてつくる。

種や表皮の渋味や苦味を抽出しないため、フルーティで飲みやすいものが多い。

ブドウを圧搾して採れた果汁を低温で数時間置き、不純物を沈殿させ、上澄みの果汁に酵母を加えてアルコール発酵させる。

この発酵後に乳酸発酵を行う場合や、熟成中に撹拌して澱(おり)に含まれる旨味成分を抽出する場合もある。

 

 

【ロゼワイン】

赤ワインと白ワインの中間のピンク色が特徴。

製造方法はいくつかあり、代表的なものは以下の3つ。

 

<セニエ法>

赤ワイン用の黒ブドウの果汁を果皮や種とともにタンクに入れ、薄く色づいたところで上澄みの果汁のみを発酵させる。

赤ワイン同様、果皮とともに発酵を行い、ある程度色がついた段階で果皮を取り除き、果汁だけで発酵を継続する場合もある。

 

<直接圧搾法>

赤ワイン用の黒ブドウを使い、白ワインのように果汁だけで発酵させる。

搾汁の際に果皮のアントシアニンが果汁に若干混ざることによりロゼの色がもたらされる。

 

<混醸法>

黒ブドウと白ブドウが混ざった状態で赤ワインと同様に発酵させる。

 

 

【スパークリングワイン】

国や地域によって様々な製法があり、大きくは、ワインに糖分と酵母を加え二次発酵させて生じた炭酸ガスを瓶内に封じ込める方法と、炭酸ガスをワインに直接吹き込む方法の2種類。

 

 

<参考サイト>

・【ワインの造り方】意外とシンプルなワイン造りの工程を解説

https://tanoshiiosake.jp/6049

・ワインとは

https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/wine/know/wine/#making

・ワインはこのように造られる

https://www.fwines.co.jp/knowledge/manufacture.html

・各種ワインの製造工程

https://www.jetlc.co.jp/wine/red_wine/

・ワインはこのように造られる!赤ワインの醸造方法とは?

https://www.enoteca.co.jp/article/archives/3238/

・赤ワインの作り方をわかりやすく解説|製造工程を詳しく説明

https://www.sakesen.com/blog/how-to-make-red-wine/

 

 

 

 


 

⑤ ワインの製法による4つの分類とは?

 

ワインには、製法による4つの分類があり、赤・白・ロゼはすべて「スティルワイン」に分類されるとのことです。

4つの種類とはそれぞれどのようなものか、調べてみました。

 

【スティルワイン】

非発泡性、つまり泡立ちのないワイン。

一般にワインと言えばスティルワインを指す。

ブドウの品種や醸造の方法により赤・白・ロゼに分けられるほか、糖度の高いデザートワインもスティルワインに含まれる。

 

【スパークリングワイン】

スティルワインに炭酸ガスを加えた発泡性ワインの総称。

赤・白・ロゼのスパークリングワインもある。

シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方でつくられる厳しい基準を満たしたもののみの名称なので、スパークリングワイン=シャンパン、ではない。

 

【フォーティファイドワイン】

スティルワインやブドウ果汁に、アルコール発酵中あるいは発酵前のタイミングで、ブランデーなどアルコール度数の強いお酒を加えたもので、酒精強化ワインとも呼ばれる。

ブドウの糖分が残ったまま発酵がストップし、甘みとして残る。

代表的なものは、シェリー、ポートワイン、マデイラなど。

 

【フレーヴァードワイン】

果汁や果実、薬草、香草などを加え、独特な風味を添えたワイン。

代表的なものは、サングリア、ベルモット、レッチーナなど。

 

 

<参考サイト>

・ワインの種類には何があるの?製法によって4つに分けられる

https://www.adv.gr.jp/blog/types-of-wines/

・ワインの基礎知識

https://wine-link.net/dictionary/basic/

・ワインの種類をソムリエが徹底解説!味わいや製法の違いを知ろう

https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/lifestyle/detail/001390.html

・ワインの分類を知って、ワイン選びに役立てよう!

https://tanoshiiosake.jp/6048

 

 

 

 


 

⑥ ワインと土壌の関係とは?

 

世界中で収穫されるブドウの約8割が、ワイン用なのだそうです。

ワインは製法がシンプルなだけに、原料であるブドウがその出来を大きく左右します。

それぞれの産地で、気候や土壌に合った栽培品種を選び、製造方法を工夫して、より高品質なブドウをつくる努力をしています。

ワイン用のブドウ栽培に適した環境はどのようなものか、調べてみました。

 

<年間平均気温>

10~20℃(10~16℃が最適)。北緯30~50度の地域と、南緯30~50度の地域がこれに該当する。

<日照>

ブドウの開花から収穫までの約100日間の照射時間が約1000~1500時間。

<年間降雨量>

理想は約500~900mm。春と冬には雨が多く降り、夏は適量の雨とともに光合成に欠かせない熱を得られることが望ましい。

<土壌条件>

一般にブドウ栽培には、水はけに優れ、根が深く成長できる通気性に優れた土壌がよいとされる。

また土壌の構成によって、同じ品種でもワインの個性が大きく変わってくる

 

フランス語に「テロワール」という言葉があります。

「土壌」という意味のほか、ワインに関して使われる場合は、その産地の環境や地理的条件などのことを指すようです。

中でも土壌は重要な要素で、ワインの味わいに大きく影響するそうです。

 

土壌について調べてみました。

 

土壌を構成する成分は、海に堆積した火山灰などの鉱物質、草花、動物の死骸、微生物を含む有機物です。

鉱物と有機物は長い年月を経て腐食します。

こうして生まれた土壌には、菌類や微生物、ミミズなどの様々な生き物が存在しており、生きるために必要な無機物(ミネラル分)を、微生物が根まで運ぶことでブドウも生育していきます。

ワインの味わいを決める健康な土壌とは、微生物が働きやすい環境を意味しています。

 

一般的に野菜や果物などを育てる場合は、栄養豊富な肥沃な土壌が好まれますが、ワイン用ブドウは、栄養素の過剰な土壌では出来が悪くなってしまうそうです。

やせた土地であるほど、ブドウの木は地中深くまで根を張り巡らせ、地中の様々な栄養を吸収して実に送ります。

また虫や乾燥などのストレスから自らを守るため、タンニンというポリフェノールの一種を多くため込むようになり、これがワインの味に深みを与えているそうです。

栄養豊富な土地では、地中深くに根を張らず、地表から上へ伸びてしまい、実に栄養が充分に行き渡らないとのことです。

 

また、栽培にふさわしい土壌は水はけの良さが大事になります。

水分量が多い土地では根腐れしやすく、また果実が水っぽい味わいになります。

もちろん適度な水分は必要ですが、水分の少ない土壌で育つと、栄養分を実にできるだけ閉じ込めようとするため、ブドウの糖度は上がり皮は厚く粒が小さくなり、ワインにした時に凝縮感のあるものに仕上がるそうです。

 

ブドウが栽培される畑の土を構成する成分の違いによって、そこで高品質に育ちやすいブドウ品種が決まってくるそうです。

たとえば石灰岩の含まれる土は一般的に保水性がありながら水はけがよく、pHが高いためワイン用ブドウ栽培に最適とされていますが、「カベルネ・ソーヴィニヨン種」のブドウは育つには育つものの、その特徴を存分に発揮しきれないそうです。

逆に「ピノ・ノワール種」は上質なブドウが育つとのことです。

 

※写真はPhoto ACより「ブルゴーニュ ブドウ畑」

 

<参考サイト>

・よく耳にするワイン用語、ちゃんと知っておきましょうシリーズ②「テロワール」って何??その1:土壌

https://firadis.net/column/wine-column-no058/

・テロワール(terroir)について

http://www.worldfinewines.com/terroir.html

・ワインと土壌の関係性について徹底解説

https://sukoruni.wine/blogs/wine-column/a-thorough-explanation-of-the-relationship-between-wine-and-soil?srsltid=AfmBOooTO9BLv2Ljg_Hp03A0hgW34o-fxElbXKWFd_f889lKfpQU6wg8

・テロワールって何?ブドウ栽培やワインの味を大きく左右する土壌について テロワールの特徴を反映したおすすめのワイン5選

https://wsommelier.com/note/2024/08/23/post-2712r/

・ワインにおける土の世界(バイヤー 山田篤典)

https://firadis.net/column_pro/202210-2/

・テロワール要素の1つ「土壌」について解説!

https://www.sake-ya.jp/blogs/article_wine/wine-dojyou-ajiwai?srsltid=AfmBOooD1vWa_eMEkUutnOYgC6tqR_YOj_-xmiiJcrYfHXWMkUPoh_Tv

・ワインの個性に大きな影響を与えるのは土中の微生物―研究で

http://www.worldfinewines.com/news15/150328microbiome.html

・嗜好品は土から生まれる。微生物と植物の「創発活動」の結晶——土壌学者:藤井一至

https://digthetea.com/2024/03/kazumichi_fujii/

 

 

 

 


 

⑦ 世界のワインの産地とその特徴

 

ワインには産地による分類もあります。

古くからワインをつくってきたヨーロッパ諸国のワインを「旧世界(オールドワールド)」、大航海時代以降にワインづくりが始められたアメリカやチリ、ニュージーランド、オーストラリアなどを「新世界(ニューワールド)」と分けることもあります。

ワイン生産量の多い国を中心に、その特徴を大まかに調べてみました。

 

【フランス】2023年の生産量第1位。

高級ワインを多く生み出している。ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ローヌなど、地方単位でブランドが確立している。

「AOC(原産地統制呼称法)制度」というワインの法律で醸造が管理されており、品質が保たれている。

 

【イタリア】2023年の生産量第2位。

年によってフランスと1位が入れ替わるワイン大国。

温暖で日照時間が長くブドウ栽培に適した環境に恵まれ、すべての州でワインをつくっており、多種多様なワインがある。

ピエモンテ州やトスカーナ州、シチリア島などが有名な産地。

 

【スペイン】ブドウの栽培面積は世界第1位。

果実味豊かながら酸味や渋味も高く、力強いフルボディの赤ワインが有名。

 

【ドイツ】

ワイン生産国のなかでも緯度が高く冷涼な気候で、美しい酸と芳香が魅力の良質なワインを生み出している。

 

【ポルトガル】

約250種ものブドウの固有品種があり、多彩なワインが生み出されている。

 

【アメリカ】

生産量の8割はカリフォルニア州に集中しているが、他の多くの州でもつくられている。

単一品種や一つの品種が主体としてつくられるワインが多い。

 

【チリ】

日本への輸入本数がフランスと並んでもっとも多い。

地中海性気候でブドウの病気のリスクが少なく、土地に余裕があることが、手頃な価格につながっていると考えられる。

 

【オーストラリア】

南側の海岸沿いで多くブドウが栽培されている。

輸出を意識したワインづくりがされている。

 

【日本】

国産ブドウを国内で醸造したものを「日本ワイン」と呼び、輸入したブドウを原料に含むワインを「国産ワイン」と呼ぶ。

有名な産地の筆頭は山梨の甲府盆地で、昼夜および夏と冬の気温差が大きく、雨が少ない盆地気候がブドウ栽培に適している。

日本固有種の甲州ブドウ、マスカット・ベリーAといった品種を中心にワインがつくられている。

大阪府柏原市では、1878年、甲州ブドウの苗が移植されたことをきっかけにワイン製造が広まった。

昭和初期には全国一のブドウ栽培面積を誇ったそうで、歴史あるワイナリーが現在にも続いている。

そのほか長野や北海道、山形など各地でワインづくりが広がっている。

 

 

<参考サイト>

・ワインの生産量ランキング一覧 産地とワインの特徴を簡単に解説

https://cocos.co.jp/blog/terroir/wine-production/

・ワインの産地ごとの特徴を知ろう!

https://tanoshiiosake.jp/9148

・これが世界の主なワイン産地!産地で選ぶ高島屋おすすめワイン

https://www.takashimaya.co.jp/shopping/gift/story/food/FA18941/

・ワイン産地を知ろう!日本

https://www.enoteca.co.jp/article/archives/2743/

・大阪ワインについて

https://www.the-kansai-guide.com/ja/article/item/16186/

 

 

 


 

⑧ 《美味しい手延べ素麺紹介》手延べ小豆島オリーブオイル素麺 編

 

実は…石井製麺所の建物のお隣は、小豆島でも有名な「アグリオリーブ小豆島」さんです。

オリーブの収穫時期の9月以降、オイルを搾ったり加工されたり、採ってきたオリーブ実を選別したりされている様子がうかがえる声や機械の音が壁越しに聞こえてきます。

正に今が一番の繁忙期でしょうね。

その、「アグリオリーブ小豆島」さんの小豆島産エクストラバージンオリーブオイルを使ってつくるのが「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」です。

 

 

従来の小豆島の手延べ素麺は、小麦粉を練り細く伸ばしていく過程でごま油を使用していてごまの香りと小麦粉の芳ばしい香りが特長です。

「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」では、そのごま油の代わりに「小豆島産オリーブオイル」を練り込み、何度も何度も生地を重ね合わせ、細く細く麺状に“より”をかけ、表面にも塗布して仕上げています。

ごま油を使う麺とは違い、オリーブオイル独特の清々しい香りと真っ白な麺が印象的で、発売から大変人気をいただく手延べ素麺です。

 

 

その食感は、従来の手延べ素麺よりもさらにツルツルッとして、しっかりとしたコシのある素麺です。

白く細い麺は、とてもキレイで冷やし素麺だけでなく、温麺としてお出汁の中でも栄える麺で、他にもさまざまなお料理にぴったりな逸品です。

 

GW前の長野県ながの東急さんでの催事販売では、実は普通の手延べ素麺に次いで「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」が人気でした。

他にも「オリーブ素麺」はありますが、正真正銘、小豆島産のオリーブオイルを練り込んだちょっと贅沢な手延べ素麺です。

小豆島の味覚の集大成ともいえるような「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」を、ぜひ一度お召し上がりください。

 

 

 

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

《手延べ小豆島オリーブオイル素麺》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801497

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年10月14日 【Vol.45】栄養成分の機能性について/食物繊維

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.45

栄養成分の機能性について/食物繊維

 

 

 

最近、石井製麺所の製品を使ったギフトのお話や、イベントへの出店、新商品開発のご相談を多くいただくようになりました。

大変ありがたいお話で、石井製麺所では一年を通じてさまざまな手延べ素麵・手延べ麺の製造をおこなっています。

先日、島内でご依頼をいただくお客様の元へ配達に行った際、車を停めて眺めた景色は日中の気温とは裏腹に、とても秋めいた空でした。

紅葉にはまだ早く、ときどき暑さが顔をのぞかせますが、日が陰ってくると暑さも和らぎとても気持ちの良い空気感です。

日常的に素晴らしい景色に出会い癒やされる小豆島は、とても有り難いなと思う今日この頃です(下写真)。

 

10月に入り「手延べ半生うどん」の製造も再開したのですが、半年ぶりの製造はドキドキしながらの作業でした。

「昨シーズンと同じように美味しくできますように」と念じながら手延べたうどんは、我ながらとても美しい見栄えでした。

試食でももちろん美味しく、昨シーズン同様自信を持ってお届けさせていただきます。

 

うどんと言えば、素麵とは少し異なり、トッピングや料理方法も幅が広がり、お一人お一人好きなメニューが違うのではないでしょうか。

石井製麺所のおすすめの食べ方は、(今はまだ少し早いかも知れませんが)やはり鍋焼きうどんでしょうか。

手延べうどんの良いところは、少々鍋で炊いても煮崩れしないところです。

たくさんの具材とお好みの出汁で味付けされた鍋に、軽く茹でた「手延べ半生うどん」を投入して具材と一緒に炊いていただければ、出汁の味が麺に染み込んで美味しく召し上がっていただけます。

色とりどりの具材だけでなく、栄養もしっかりと摂れるお食事で、冬も元気にお過ごしいただければと思います。

 

これから受験シーズンも始まりますし、しっかりと栄養を摂って、しっかり勉強も頑張ってください!

 

さて、今回のブログは“第6の栄養”と言われる「食物繊維」についてです。

「食物繊維」と聞くと「お通じ」に良いというイメージが強いですが、食物繊維にもいろいろあってその働きも少し差があるようです。

日本の昔の食事では自然と摂れていた栄養素ですが、最近の食事ではとても不足してしまっているそうです。

そういった体に良いものが手延べ麺と一緒に美味しく摂れるようになれば良いなと思います。

今回も健康に役立つ内容となりましたので、最後までぜひお付き合いください。

 

小豆島土庄(とのしょう)方面への配達途中での1枚。

 

 

【目次】

① “無益な成分”から“第6の栄養素”へ!⾷物繊維とは?

② ⾷物繊維の分類<不溶性・⽔溶性とは?>

③ ⾷物繊維の分類<発酵性・非発酵性とは?>

④ 整腸作用だけじゃない!食物繊維の働きとは

⑤ 食物繊維を多く含む食品、効率的なとり方とは?

⑥ 《美味しい手延べ麺》販売再開!小豆島手延べ半生うどん 編

 

 


 

① “無益な成分”から“第6の栄養素”へ!⾷物繊維とは?

 

食物繊維とは、食べ物の中に含まれ、小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する成分です。

国によってその定義は異なり、日本では「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。

 

炭水化物・タンパク質・脂質などは、消化管の中で消化酵素によって分解(消化)され、小腸から体の中に吸収されていきます。

食物繊維は、この消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して、大腸まで達します。

便の体積を増やす材料となるとともに、大腸内の環境を改善する腸内細菌に利用され、これらの菌を増やすことが明らかとなっており、整腸作用をはじめ様々な有用な働きをすることが注目されています。

炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素に次ぐ、第6の栄養素と言われることもあります。

特定保健用食品で「おなかの調子を整える食品」として認められている成分の多くが食物繊維です。

 

 

食物繊維は、草食動物であれば消化・吸収して利用することができますが、人間では、体の構成成分やエネルギー源としての働きが期待できないため、以前は無益な成分とされていました。

 

古代ギリシャの頃から、小麦ふすま(小麦粒の表皮部分)が便秘予防に良いことは知られていたそうですが、食物繊維は“食べ物のカス”だと考えられ、また食物繊維が多く含まれていると食感が損なわれるとして、人々の嗜好に合わせやわらかくて食感のよい食品がつくられてきたそうです。

 

1930年代、アメリカの医学博士ケロッグが小麦ふすまの便秘患者・大腸炎患者への影響を確認しました。

 

1953年にはオーストラリアの医師ヒップスレーが、食物中の繊維成分に妊娠中毒を予防する効果があるという仮説を公表した際に、「ダイエタリーファイバー(食物繊維)」という言葉を初めて使用しました。

 

1960年代、西欧諸国に多くみられる大腸疾患などの病気がアフリカで少ないのは食生活の違いが原因ではないかと考えられ、さらに研究が進められました。

 

1970年代、イギリスのバーキット博士は、食物繊維の摂取量が少ないと大腸がん発生のリスクが高くなるという「食物繊維仮説」を発表。

それ以後、食物繊維への関心が急速に高まり、食物繊維は、体に不可欠な第6番目の栄養素であると位置づけられたとのことです。

 

日本では、1997年の「五訂日本食品標準成分表」で、それまで炭水化物のうちの「繊維」としてきたものを、新たに「食物繊維」として独立させ、それぞれの食品ごとに「総量」「水溶性」「不溶性」を明示することになったそうです。

 

※写真はPhotoACより「ふすま」

<参考サイト>

・e-ヘルスネット 食物繊維

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html

・e-ヘルスネット食物繊維の必要性と健康

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html

・食物繊維を摂ろう!

https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/fiber/

・わかさの秘密 食物繊維

https://himitsu.wakasa.jp/contents/dietary-fiber/

・豆の主な機能性成分

https://www.mame.or.jp/eiyou/kinou.html

 

 

 


 

② ⾷物繊維の分類<不溶性・⽔溶性とは?>

 

食物繊維は大きく分けると、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維の2種類があり、それぞれ特徴や多く含まれる食品が異なります。

 

不溶性食物繊維は、穀類や野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、甲殻類の殻などに多く含まれます。

代表的なものは、ゴボウなど繊維の多い野菜の細胞壁を構成する非デンプン性多糖類である「セルロース」、植物の細胞壁に含まれる高分子フェノール性化合物である「リグニン」、カニなどの殻やキノコなどの細胞壁を構成する多糖類である「キチン」など。

繊維状のものや、蜂の巣状、へちま状のものがあり、ボソボソ、ザラザラとした食感が特徴とのことです。

 

水溶性食物繊維は、ネバネバ系とサラサラ系があります。

昆布やわかめ、果物、サトイモ、大麦、オーツ麦などに多く含まれます。

代表的なものは、果物に多く含まれ細胞を接着している粘性のある複合多糖類の「ペクチン」、コンニャクに含まれる粘性のある多糖類の「グルコマンナン」、キノコ類や酵母類に含まれる「β-グルカン」、昆布など褐藻類に含まれる粘性のある多糖類の「アルギン酸」、褐藻類の粘質物を構成する多糖類の「フコイダン」、テングサなど紅藻類に含まれる寒天の主成分の「アガロース」など。

また、不足しがちな食物繊維を補う目的でトウモロコシのデンプンからつくられた「難消化性デキストリン」や、グルコース・ソルビトール・クエン酸を混合してつくられ、血糖値の上昇やコレステロールを減らす作用のある「ポリデキストロース」は、人工的につくられる水溶性食物繊維です。

 

 

<参考サイト>

・食物繊維とは

https://www.nisshin-seifun.com/wheat-power/dietary-fiber.html

 

 

 


 

③ ⾷物繊維の分類<発酵性・非発酵性とは?>

 

また近年注目されているのが、腸内での発酵のしやすさによって発酵性食物繊維と非発酵性食物繊維に分ける方法です。

発酵性食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、非発酵性食物繊維は腸内細菌に利用されず便のカサを増し排便を促します。

 

腸内に生息する腸内細菌は、体に有用な働きをする善玉菌、悪い働きをする悪玉菌、どちらにも属さない日和見菌の3つに分類され、バランスを取りながら腸内環境を保っています。

善玉菌は、発酵性食物繊維をエサとすることで増殖し、腸内細菌が代謝・分解される過程で短鎖脂肪酸という成分をつくり出します。

短鎖脂肪酸には、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの種類があり、腸内環境を弱酸性にすることで悪玉菌の過剰な増殖を抑えたり、腸管のバリア機能を高めたり、腸のぜん動運動を促進して便通を改善したりする働きがあるとされています。

 

発酵性食物繊維には、多くの水溶性食物繊維と一部の不溶性食物繊維があり、それぞれ腸内で発酵する場所や、食べてから発酵するまでの時間が異なるそうです。

繊維の長さによって、善玉菌のエサになり分解される速度が異なるため、大きく3つのグループに分けられます。

 

長さが短く発酵速度が早い水溶性食物繊維は、ゴボウなどの根菜類に含まれる「イヌリン」や、大豆、あずき、ひよこ豆などに含まれる「難消化性オリゴ糖」などで、腸の入り口付近で発酵します。

長さが長い水溶性食物繊維は、オーツ麦、玄米、大麦、全粒小麦などの穀類に多く含まれる「β-グルカン」や、キウイ、ミカン、プルーンなどの果物類に含まれる「ペクチン」などで、腸の中央付近で発酵します。

不溶性食物繊維で発酵速度が非常に遅いのは、穀類に多く含まれる「アラビノキシラン」や、豆類、イモ類に含まれる「難消化性デンプン(レジスタントスターチ)」で、腸の最も奥まで届いて発酵するとされています。

 

腸内環境をバランス良く保つためには、様々な種類の発酵性食物繊維を毎日摂ることが大切で、特に朝食で摂取すると、1日を通じて腸内細菌のエサとなり、健康効果が期待できるとのことです。

 

発酵性食物繊維は、もともと人の腸内にいる善玉菌のエサになるもので、「プレバイオティクス」とも呼ばれます。

これに対して、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、食材に含まれている善玉菌を腸に届けるもので、「プロバイオティクス」と呼ばれます。

どちらも健康づくりに大切で、併せて取り入れることでさらに腸内環境の改善に役立つそうです。

<参考サイト>

・発酵性食物繊維とは?

https://shop.mizkan.co.jp/blogs/fiber/fermentable-dietary-fiber

・発酵性食物繊維の摂取方法は?

https://shop.mizkan.co.jp/blogs/fiber/how-to-intake-fermentable-dietary-fiber

・発酵性食物繊維で無理のない腸活を

https://kenko.sawai.co.jp/healthy/202407-2.html

 

 

 


 

④ 整腸作用だけじゃない!食物繊維の働きとは

 

食物繊維は、便通を整えて便秘を防ぐ整腸作用がよく知られています。

また、脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して身体の外に排出する働きがあるため、これらを摂り過ぎることによって引き起こされる肥満や脂質異常症(高脂血症)・糖尿病・高血圧といった生活習慣病の予防・改善など、多くの生理機能が明らかになっています。

 

不溶性食物繊維は、飲み込んだ時の形をほぼ変えずに腸まで到達するそうです。

保水性が高いため胃や腸で水分を吸収して数倍にもふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にすることに加え、便が結腸や直腸で容積が増大するとともにやわらかくなり、便通を促進する働きがあります。

また、大腸の中の発がん物質の濃度を薄め、体外への排出を早めて腸内での滞留時間を短縮することから、大腸がんになる可能性が低下すると考えられています。

不溶性食物繊維を多く含む食品は、口の中でよく噛む必要があるため、早食いによる食べすぎを防ぐ効果があるとされます。

そしゃく回数が増えることで唾液の分泌量が増え、満腹感が得られやすくなります。

また消化されず胃の中で長く滞在するため満腹感が長時間続き、肥満予防につながります。

 

水溶性食物繊維は、水分を吸収してドロッとした粘性を持つゲル状になり、粘着性を高め胃腸内をゆっくり移動するため、空腹になりにくく、食べすぎを防いだり、糖質の吸収をゆるやかにして食後血糖値の急激な上昇を抑えたり、血糖を抑制するホルモンであるインスリンの急速な消費を防ぎ、インスリン不足から生じる糖尿病を予防したりする働きがあります。

また、胆汁酸やコレステロールを吸着し、体外に排泄してくれます。胆汁酸とは、脂肪の消化・吸収に関わり、肝臓でコレステロールを原料につくられるものです。

水溶性食物繊維の中でも特にアルギン酸は、高血圧予防に役立つそうです。

アルギン酸は食品中ではカリウムなどのミネラルと結合していますが、胃酸の影響を受けカリウムを放し、小腸でナトリウムと結び付いて排泄されます。

胃でアルギン酸から離れたカリウムは腸から吸収され、血液中のナトリウムを体外へ排出する役割を持つため、血圧を下げて高血圧を予防する働きがあります。

<参考サイト>

・わかさの秘密 アルギン酸

https://himitsu.wakasa.jp/contents/alginic-acid/

 

 

 


 

⑤ 食物繊維を多く含む食品、効率的なとり方とは?

 

厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、一日あたりの食物繊維摂取の目標量(生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上だそうです。

日本人の平均摂取量は、1950年頃には一人あたり一日20gを超えていましたが、穀類・いも類・豆類の摂取量の減少などに伴って減少傾向にあり、最近の報告によれば、平均摂取量は一日あたり14g前後と推定されています。

 

食物繊維は、体の健康に深く関与する食品成分であり、積極的な摂取が必要です。

食物繊維は、魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれず、植物性食品に多く含まれます。

また水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、1:2の割合で摂取するのが理想とされています。

 

食物繊維を手軽にとりたい場合は、一日のうち1食の主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えるなど、主食の穀類からとる方法がおすすめだそうです。

また、食物繊維を豊富に含む、豆類、野菜類、果実類、キノコ類、藻類などの食材を毎日の食事の中に上手に取り入れると効率的に摂取できます。

野菜は皮の部分に多く含まれているので、皮ごと食べるのも良いとのことです。

1食あたり摂取する量の中に食物繊維が2~3g含まれる食品は、そば、ライ麦パン、しらたき、サツマイモ、切り干し大根、カボチャ、ゴボウ、タケノコ、ブロッコリー、モロヘイヤ、糸引き納豆、インゲン豆、あずき、おから、シイタケ、ひじきなどだそうです。

 

野菜を乾燥粉末にした野菜パウダーは、加熱処理の工程を短時間で行う技術の革新もあり、元の栄養素がほぼ失われていないものもあるそうです。

料理に混ぜたりかけたりすれば、手軽に食物繊維やビタミン、ミネラルを補えます。

 

日本人の通常の食生活では食物繊維を摂り過ぎることはほとんどありませんが、いわゆるサプリメントなどで多量に摂り過ぎると、ミネラルなどの吸収を妨げることもあるので注意が必要です。

 

 

<参考サイト>

・食物繊維の多い食べ物・食品!効果や食物繊維の種類(水溶性・不溶性)も解説

https://www.kikkoman.co.jp/homecook/tsushin/tips0032/

・【小児科医が教える】便利な「市販の野菜パウダー」。本当に栄養ある? 実はあまり無い?

https://diamond.jp/articles/-/351461

・粉末技術で廃棄野菜を救え! グリーンエースの粉末野菜「Vegemin」が広げる食と農の可能性

https://weeeat.tokyogas-com.co.jp/column/interview/c-00081.html

 

 

 

 


 

⑥ 《美味しい手延べ麺》販売再開!小豆島手延べ半生うどん 編

 

 

「手延べ半生うどん」ファンの皆さま、大変お待たせいたしました。

石井製麺所の冬の人気商品、「手延べ半生うどん」の販売を再開いたします。

今年は10月に入っても例年以上に暑さが残り、朝夕に涼しさを感じるようになったといっても日中の温度はまだまだ30℃近くになり、製造現場でも大変な日々が続きます。

製造に気を配りながらですが、「手延べ半生うどん」の製造を再開いたしました。

 

石井製麺所では、「手延べ半生うどん」のためだけに、無添加といえる特別な小麦粉をこだわって使用し、独自の製法を取り入れ、冬季限定(10月〜翌年4月)の販売としております。

 

4月末に出店したながの東急での催事では、出店を知ったお客様がわざわざ長野までお買い求めにお越しいただいたり、小豆島の手延べ素麺やうどんのお話に関心を持ってくださったお客様がお買い求めいただいたりと、持参した「手延べ半生うどん」がすぐに完売するほど人気を頂戴しました。

「美味しかった」のお声を励みにして、今シーズンも美味しく手延べてまいりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 

年末のギフト用に「手延べ半生うどん」と「味醤油」をセットにしたお得なセットも予定しておりますので、大切な方への贈り物やイベントの景品、イベントごとのプレゼントとしていかがでしょうか。

予算やご要望に合わせてセット組などもできますので、ぜひぜひご検討ください。

 

 

石井製麺所での「半生うどん」の製造現場。「天日干し」の様子。

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《手延べ半生うどん》 https://141seimen.thebase.in/categories/2325454

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年9月22日 【Vol.44】麺究者への道/漬物について研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.44

麺究者への道/漬物について研究してみる

 

 

 

 

今回のブログは、「漬物」をテーマにしてみました。

「漬物」?

素麺には全然関係ないよね?薬味として使うの?というお声が聞こえてきそうですが、そうです、全く関係がありません(笑)。

ですが、現在勉強中の発酵食品の代表格ですので、しっかりと調べてみたいと思います。

ただ調べてみると、漬物は全てが発酵食品ではないそうです。

当たり前のような気がしますが、目からウロコの事実でした。

 

皆さんは普段、漬物を召し上がられますか?

私は普段食べることは少ないのですが、カレーの時に福神漬けや焼肉の時にキムチなどを一緒に食べるくらいでしょうか?

あとは、おにぎりの具材の梅干しや、お土産物などでお漬物をいただいた際には夕食時に並ぶことはあるなという程度の記憶です。

ですが、飲食店や旅先で美味しいぬか漬けを食べたときにはどことなく「懐かしいな」と感じるのは、日本人のDNAなのでしょうか。

 

漬物とはそもそもが、長期保存が可能な食品としての加工品ですよね。

長期の保存のためにさまざまな工夫が施されて、乳酸発酵させる手法や酢や塩に漬けることで雑菌の繁殖を抑えるなど、自然の恵みを活用した人の叡智の結集だと言えるのではないでしょうか。

それくらいよくできていますし、これは日本だけに限ったことでなく、世界中でも見られるものです。

その進化の形としては、国や食文化、気候などによりさまざまなものがあるようですが、調べてみるとそれもまた大変興味深いものです。

 

近年は漬物の塩分が敬遠され、お米の食習慣も減ってきたことから、漬物の需要も減っているそうです。

昔は、各家庭でも漬物がつくられていましたが、石井家でもそうですが、今はなかなか見られないようになったのではないでしょうか。

また、農家さんが自家製の野菜などを使って漬物を製造販売されていましたが、現在は製造に関する決まりが厳しくなり、手づくりの味が減ってきてもいるそうです。

時代の流れかも知れませんが、寂しく感じてしまいます。

これからは漬物もしっかりと味わって食べていきたいと思わせる、きっかけとなりました。

 

「発酵とは、なに?」という原点に立ち返るテーマにもなったと思いますので、漬物好きな方もそうでなかった方にも、ぜひご覧いただければ幸いです。

お気づきの点などあれば、お話をお聞かせいただけると嬉しいです。

 

 

【目次】

① 発酵⾷品と⾔えば漬物!?漬物とは

② 保存食から茶の湯、そして健康食へ!漬物の歴史

③ 日本に600種類以上もある漬物、その分類について

④ 個性豊かな日本の漬物をご紹介

⑤ 世界中に広がっている!漬物文化

⑥ 家庭でチャレンジ!漬物をつくってみませんか?

⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》10月10日解禁!!新漬けオリーブ 編

 

 


 

① 発酵⾷品と⾔えば漬物!?漬物とは

 

漬物とは、野菜などの食材を、塩や醤油、味噌、酢、麹、米ぬか、酒粕などに漬け込むことで、風味と保存性を高めた食品です。

水分が抜けるため、旨みや栄養分が凝縮されています。

肉や魚を漬けたものも広義では漬物に入りますが、一般的には野菜を漬けたものと認知されています。

漬物と言えば発酵食品、というイメージがありますが、実はつくる過程で発酵させる「発酵漬物」と、発酵させない「無発酵漬物」の2つに大きく分けられます

 

ぬか漬けやたくあん、しば漬けなどの発酵漬物は、野菜にもともと付着している乳酸菌が、野菜の糖類などを分解して乳酸を生成することにより野菜のpHが低下することで酸性になります。

そのため酸味が出るとともに、酸に弱い腐敗菌の働きが抑えられ、保存性が高まります。

また空気中などから付着した酵母も増殖することにより香気成分がつくられ、漬物特有の風味が生まれます。

塩分を含む漬け床に野菜を漬け込むことにより、野菜から出た水の中で乳酸菌が育成し、その働きにより完成するそうです。

漬物に関与する乳酸菌は高い塩分濃度でも生育することができ、また酸素がない環境を好む(嫌気性)ため、食材を塩で漬けて重石をして空気を遮断すると、他の雑菌は死滅し、乳酸菌だけが増殖するのだそうです。

 

 

浅漬けや甘酢漬け、梅干し、福神漬けなどは無発酵漬物です。

数時間だけ塩に漬ける浅漬けは、つくる過程で微生物が関与していません。

甘酢漬けは、酢に含まれる酸により、微生物が生育できません。

梅干しは一般的には梅と塩だけでつくられる無発酵漬物ですが、塩分濃度が高く、またクエン酸などの成分が強い殺菌作用を持っており微生物が生育できないため、長期間保存することができるとのことです。

 

ちなみに、麹漬けや酒粕漬け、味噌漬けといった、漬け床自体に発酵食品を使った漬物は、食材を直接的に発酵させるわけではないため、一般的に無発酵漬物に分類されるそうです。

ですが発酵由来の風味が食材に移ることで、味わい深い漬物になります。

 

 

<参考サイト>

・漬物のきほん

https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/04.html

・発酵漬物と無発酵漬物について。

https://tomarino.jp/tags/27/311

・【やさしい発酵図鑑vol.13】漬物の種類と違いを解説! 自宅でできる「三五八漬け」レシピも

https://www.amanofoods.jp/regular/mano/22724/

 

 

 


 

② 保存食から茶の湯、そして健康食へ!漬物の歴史

 

日本では古くから塩水を使って食品を塩漬けにして保存する工夫がされてきました。

縄文時代には野菜の皮を塩漬けにしていたと考えられています。

 

世界最古の漬物の製造方法に関する文献とされるのが、6世紀中頃の中国最古の農業書「斉民要術(せいみんようじゅつ)」で、野菜の塩漬け方法などが見られるそうです。

 

日本では、奈良時代の天平年間の木簡に、ウリや青菜の塩漬けについて記されていました。

この頃大陸から文化が伝わり、酒や味噌、醤油などの調味料がつくられるようになったことから、塩の他、酒粕やもろみなどに野菜を付けて保存する方法が登場します。

奈良時代には主に貴族や寺院の僧侶の食用として、野菜の他にモモなどの果物も塩漬けされていたそうです。

漬物は庶民にはあまり食べられない高級品だったようです。

 

平安時代には庶民にも広まっていきます。

「延喜式」には、酢漬け、醤(ひしお)漬け、粕漬け、また現代のたくあんの原形ともみられる「須々保利(すずぼり)」などの記録が残っています。

春にはワラビ、フキ、ウリなど14種類、秋にはナス、ショウガ、カキ、ナシなど35種類とバリエーション豊富な漬物が記されているとのことです。

 

鎌倉~室町時代頃には、茶の湯や香道文化が発展し、お香の香りを楽しむ「聞香(もんこう)」の際に、香りの強い漬物を口にして嗅覚をリセットするため、漬物が「香の物」として盛んに食されるようになったとされています。

 

江戸時代には、料亭や飯屋の増加に伴い、江戸や京都、大阪に漬物専門店「香の物屋」が生まれ、大繁盛しました。

貯蔵目的だけでなく、短期間漬けて食べる当座漬けや一夜漬けなどが研究されたそうです。

ぬか漬けもこの頃出現し、漬け床が繰り返し使えることから一般家庭での漬物づくりが広まるのに一役買いました。

江戸時代には漬物のつくり方が載った書物も発行されています。

1836年に江戸の漬物問屋が著した「四季漬物塩嘉言」には、たくあん漬や京糸菜漬、タケノコ塩漬など64種類のつくり方が解説されており、その漬け方は現在とほとんど同じだそうです。

 

明治時代初期には、東京など都市部近郊の農家で、たくあん漬けや奈良漬けが副業としてつくられるようになりました。

 

大正~昭和時代には漬物製造業が発展しました。

戦後はライフスタイルの変化により、家庭で漬物をつくることが少なくなり、気軽に買える市販品が流通していきます。

1960年頃からは健康志向の高まりにより、減塩漬物なども見られるようになりました。

 

平成時代になると食生活の多様化が進み、お米の消費量の低下とともに、漬物の需要は縮小しているとされています。

しかし2013年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて日本の食文化が世界から注目され、また発酵漬物に含まれる植物性乳酸菌の健康効果が再認識されていることなどもあり、漬物の評価が見直されています。

 

 

<参考サイト>

にっぽん伝統食図鑑 漬物

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/bunrui/tsukemono.html

・日本独自のつけものの歴史をひもとく

https://tomarino.jp/categories/11/332

・漬物とは?日本の漬物の歴史 

https://tsukemonojiten.com/history/

 

 

 


 

③ 日本に600種類以上もある漬物、その分類について

 

日本には全国各地に多種多様な漬物があり、その種類は600以上とも言われています。

漬物の分類の仕方には、前述した発酵の有無の他にも、漬け床の種類や、漬け込む期間などいろいろあります。

期間による分類は、数時間~数日漬ける「浅漬け」と、最低でも1カ月以上漬ける「古漬け」に大別されます。

漬け床による分類について、代表的なものを調べてみました。

 

【塩漬け】

浸透圧により食材の水分が引き出され、微生物が利用できる水分が少なくなり、繁殖を抑えて保存性が高まる。

元々は野菜の保存を目的として塩漬けし、野菜に付着していた乳酸菌が働いて自然発酵したのが始まりと考えられる。

京都の上賀茂地区でつくられるカブの一種のすぐき菜を漬けたすぐき漬けや、ナスを赤シソと塩で漬けたしば漬けなど。

 

※写真はPhoto ACより「すぐき」

 

【ぬか漬け】

日本ならではの漬物で、米ぬかに塩や水を加えて発酵させたぬか床に漬けてつくる。

米ぬかは、米を精米する際に出る副産物で、豊富な栄養を含んでいる。

ぬか床は、表面に産膜酵母菌、真ん中に乳酸菌、底に酪酸菌が存在しており、バランスが崩れていずれかの菌が増えすぎると、味が落ちたり、いやな臭いが発生したりする。

定期的にかき混ぜ、酸素を好む産膜酵母菌を空気にふれる表面から底へ、酸素を嫌う酪酸菌を底から表面に動かすことで、繰り返し使うことができる。

たくあんもぬか漬けの一種。

 

※写真はPhoto ACより「ぬか漬け」

 

【麹漬け】

米麹に塩や砂糖を加えた漬け床でつくる。

塩で下漬けした大根を漬けた東京のべったら漬けや、塩・米麹・お米の割合がそのまま名前になった福島の三五八(さごはち)漬けなど。

 

※写真はPhoto ACより「べったら漬け」

 

【粕漬け】

日本酒をつくる際に出る酒粕やみりん粕を漬け床にしてつくる。

シロウリなどを塩漬けにして酒粕を繰り返し替えながら漬け込んだ奈良漬け、ワサビの葉や茎を漬け込んだワサビ漬けなど。

 

※写真はPhoto ACより「奈良漬け うりの粕漬け」

 

【醤油漬け】

塩蔵した野菜を脱塩・圧搾して、醤油系の調味液に漬けたもの。

福神漬け、松前漬けなど。

 

※写真はPhoto ACより「郷土料理 松前漬」

 

【味噌漬け】

塩蔵した野菜を脱塩・圧搾して、味噌に漬けたもの。

肉や魚の味噌漬けも多くつくられる。

 

※写真はPhoto ACより「信州みそ漬 漬物」

 

【酢漬け】

酢に漬け込んだもので、微生物は繁殖できないため、発酵は起こらないのが特徴。

ラッキョウ漬け、千枚漬けなど。

 

※写真はPhoto ACより「らっきょう」

 

【もろみ漬け】

醤油のもととなるもろみに漬け込んだもの。

 

【カラシ漬け】

カラシ、酒、麹などを混ぜ合わせたものに、塩漬けした野菜を漬け込んだもの。

 

※写真はPhoto ACより「小茄子のからし漬け」

 

<参考サイト>

・全国に600種類以上あると言われるつけものの種類

https://tomarino.jp/categories/11/344

・漬物にはどんな種類があるの?代表的な漬物や野菜別・地域別の漬物の種類を紹介

https://prezo.jp/column/6316

・漬物とは?歴史や特徴、種類について解説!アレンジレシピもご紹介

https://www.kurashiru.com/articles/8ba8f566-78a4-450d-b1c3-b80e5fbef9eb

・漬物の種類一覧!代表的なものからご当地漬物まで一挙紹介

https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/001772.html

・ぬか床を育てよう

https://shop.kagome.co.jp/lp2/vegecomi/hitotema/2017/0113/index.html#:~:text=%E3%81%AC%E3%81%8B%E5%BA%8A%E3%81%AB%E3%81%AF%E4%B8%BB,%E3%81%AA%E7%B9%81%E6%AE%96%E3%82%92%E9%98%B2%E3%81%92%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

 

 

 


 

④ 個性豊かな日本の漬物をご紹介

 

数ある日本の漬物の中から、代表的なものや地域性のある特徴的なものをいくつか調べてみました。

 

【松前漬け】(北海道)

北海道の郷土料理。

乾燥させたスルメイカ、昆布、ニンジンなどを細切りにして、醤油、酒、砂糖などに漬け込んでつくる。

松前町は全国有数のスルメイカの生産地。

 

【ニンニク漬け】(青森県)

ニンニク生産量日本一の青森県では、ニンニクを丸ごと酢に漬け、さらに醤油に漬け込んだ「ニンニク漬け」が食べられている。

 

【いぶりがっこ】(秋田県)

東北など寒い地方では、冬期に貴重な食材を保存するため、昔から漬物づくりがさかんだった。

「いぶりがっこ」は、冬の間晴天が続かず屋外で大根を干すのが難しいため、室内のいろりに吊り下げて乾燥させていた。

薫煙の香りとぬか漬けの風味が合わさり独特の風味を持つ。

 

【金婚漬け】(岩手県)

青ウリの種の部分を取り除き、昆布で巻いたニンジンやゴボウなどを詰めて漬ける。

時間が経てば経つほど美味しくなることからその名が付いたと言われる。

 

【三五八漬け】(福島県)

塩、米麹、蒸したお米を混ぜた漬け床で漬けてつくる。

割合がそのまま名前になっている。

 

【野沢菜漬け・すんき漬け】(長野県)

「野沢菜漬け」は日本三大漬け菜の1つ。

「すんき漬け」は、海抜800メートルの高冷地にある木曽地域で、貴重品であった塩を使わず、赤カブの茎と根の付け根に含まれる乳酸菌を発酵させてつくられる。

 

【べったら漬け・福神漬け】(東京都)

「べったら漬け」は、ダイコンを塩漬けし、甘酒ベースのぬか床で漬け込んでつくる。

「福神漬け」は、ダイコン、ナス、カブ、ウリ、シソ、レンコン、なた豆など7種類の野菜を醤油などに漬け込んでつくる。

その名は七福神に由来する。

 

【てっぽう漬け】(千葉県)

ウリの中にシソで巻いた唐辛子を詰め込んで漬ける。

鉄砲に弾丸を詰める様子に似ていたことからその名が付いた。

 

【ひょうたん漬け】(神奈川県)
小型のヒョウタンをしば漬けにしたもの。

お祝いの席などに出される縁起物。

独特の食感がクセになる味わい。

 

【ワサビ漬け】(静岡県)

静岡県の特産であるワサビの茎や葉、根を刻んで、酒粕に漬けてつくる。

 

【守口漬け】(愛知県)

180センチメートルにもなるという細長い守口大根を、酒粕やみりん粕などでじっくり漬け込んでつくる。

 

【たくあん漬け】(三重県)

ダイコンを寒風の中に干し、米ぬかと塩、柿の皮、唐辛子などで約2年かけ乳酸発酵させてつくる。

たくあんの発祥については諸説あるが、三重県漬物協同組合では、2007年に「伊勢たくあん」を特許庁の地域団体商標として登録し、生産と消費拡大に努めている。

 

【しば漬け・すぐき漬け・千枚漬け】(京都府)

京都では、禅宗や茶の湯文化と共に漬物文化も発展してきた。

京都三大漬物と言われる「しば漬け」「すぐき漬け」「千枚漬け」は、すべて発酵漬物。

「しば漬け」は、ナスやミョウガ、キュウリを赤シソと塩で漬けてつくる。

「すぐき漬け」は、上賀茂地区の伝統野菜・すぐき菜を塩で漬け込み、暖かい室(むろ)で発酵させる。

「千枚漬け」は、聖護院かぶと昆布、塩を原料に乳酸発酵させた漬物だったが、現在は甘酢漬けが一般的。

 

【泉州水ナス漬け】(大阪府)

皮が薄く果肉に少し甘みがある泉州地域の伝統野菜・水ナスを、浅漬けやぬか漬けにしたもの。

 

【奈良漬け】(奈良県)

平城京の時代から伝わる伝統食。

白ウリ、キュウリ、ダイコン、セロリ、小型メロンなどを塩漬けして酒粕に何度も漬け替える。

 

【砂丘ラッキョウ漬け】(鳥取県)

色が白く、繊維が細かく、歯切れがよい鳥取砂丘のラッキョウを、塩で下漬けし甘酢に漬け込んでつくる。

 

【津田かぶ漬け】(島根県)

勾玉(まがたま)のような独特の形の津田かぶを、1週間寒風にさらし、天日干ししてぬか漬けにする。

 

【広島菜漬け】(広島県)

日本三大漬け菜の1つ。天日干ししてから水洗いして荒漬けし、大樽で本漬けにしてつくる。

 

【緋のかぶら漬け】(愛媛県)
カブに含まれるアントシアニンが、酢漬けにすることで、きれいな赤い色に染まる。

「緋」は、濃く鮮やかな赤の意味。

 

【からし菜漬け】(福岡県)

弥生時代に伝来したからし菜を使った漬物。

葉や茎の浅漬けはピリッとした辛みがある。

 

【高菜漬け】(熊本県)

温暖な気候の九州地方では、暑さによる腐敗を防ぐため古漬けにしたり、醤油や味噌、酒粕などに漬け込むものが多くみられる。

日本三大漬け菜の1つ「高菜漬け」は、高菜を塩にしっかりと漬け込んだ古漬け。

とんこつラーメンのトッピングとしても知られる。

 

【つぼ漬け・山川漬け・桜島漬け】(鹿児島県)

「つぼ漬け」は、干したダイコンをつぼに入れて塩漬けにし、それを刻んでさらに三杯酢に漬けてつくる。

「山川漬け」は、干したダイコンを杵でつき、つぼの中で塩漬けにし4カ月ほど発酵熟成させてつくる。

「桜島漬け」は、世界最大級と言われる桜島ダイコンを、長期間にわたり酒粕に漬け込む。

 

【島ラッキョウ漬け・パパイヤ漬け】(沖縄県)

「島ラッキョウ漬け」は、辛みと香りに特徴がある島ラッキョウを塩漬けにする。

「パパイヤ漬け」は、青パパイヤを塩漬けし、味噌や醬油などで漬け込んでつくる。

 

 

<参考サイト>

・[野菜の漬け物の種類]いくつ知ってた?全国のご当地漬け物

https://www.kagome.co.jp/vegeday/store/202007/10728.html

・北海道 松前漬(まつまえづけ)

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/matsumaezuke_hokkaido.html

・伊勢たくあん(いせたくあん)

https://traditional-foods.maff.go.jp/menu/isetakuan

 

 

 


 

⑤ 世界中に広がっている!漬物文化

 

漬物を日常的に食べているのは日本だけではありません。

世界の国のいくつかについて、漬物事情を調べてみました。

 

【韓国】

日本でもおなじみの「キムチ」は、韓国の食卓に欠かせない漬物。

その種類は200以上とも言われる。

白菜などの野菜を、唐辛子やニンニク、果物、アミ(甲殻類の節足動物)、イカ、小魚などに漬け込んで乳酸発酵させてつくる。

そのまま食べたり、炒め物やチゲに入たりする。

キムチの他、味噌を使った「チャガチ」、塩漬けした「チャンヂ」、浅漬けの「コッチョリ」などもある。

 

 

【中国】

漬物をそのまま食べるだけでなく、蒸しものや炒め物、スープに入れたり、薬味にしたりする。

日本でもよく知られる「搾菜(ザーサイ)」は、カラシ菜の茎の部分を塩漬けにして香辛料に漬け込んだ四川省の漬物。

他にも、根菜類をショウガ、唐辛子、花椒などと塩漬けにした「泡菜(パオツァイ)」や、白菜を乳酸発酵させた「酸菜(サンツァイ)」、野菜、豆腐、卵黄、肉や魚などを味噌漬けした「醤菜(ジャンツァイ)」、野菜などを甘酢で漬けた「糖醋漬菜(タンツゥージーサァイ)」などがある。

 

※写真はPhoto ACより「ザーサイ」

 

【インド】

タマネギやニンジン、キュウリ、キャベツなどの野菜を、唐辛子や香辛料、酢、マスタードオイルで漬けた「アチャール」は、カレーに添えられることも多い。

マンゴー、レモン、ライム、グーズベリーなどの果物や、鶏肉や羊肉、魚のアチャールもある。

 

※写真はPhoto ACより「スパイスカレーとアチャールのプレート」

 

【ネパール】

塩を使わない漬物「グンドルック」は、からし菜や大根菜などの菜っ葉を軽く干してしんなりさせて刻み、つぼや瓶に詰めてお湯をひたひたになるまで入れ、日当たりのよい土中に埋め、酸味が出るまで1週間ほど発酵させ、天日干しで乾燥させてつくる。

水で戻して炒めたり、スープ、カレーに入れたりして食べる。

 

※写真はPhoto ACより「グンドゥルックアチャール」

 

【タイ】

代表的なものは、高菜の仲間の菜っ葉を塩漬けしてつくられる「パッカードーン」。

野沢菜の古漬けのような酸味があり、そのまま食べるより、卵と炒めたり、スープに混ぜたりなど調味料のように使われている。

 

【ミャンマー】

発酵させた茶葉を、豆類やトマト、キャベツ、唐辛子、ニンニクと合わせ、2週間~1年くらい漬け込む「ラペソー」。

ピーナッツや揚げニンニク、豆、干エビ、ゴマなどと混ぜてお茶受けとして食べたり、ごはんのおかずにしたり、他の野菜と混ぜてサラダとして食べたりする。

他にも、青マンゴーを米のとぎ汁と薄塩で乳酸発酵させた「レイエチェ」、タケノコを塩漬けにした「ミエチェ」、モヤシを塩漬けにした「ペーピンパウチェ」などがある。

 

【ベトナム】

小ナスの塩漬け「カーファオムオイ」がよく食べられている。

小ナスのヘタを取り塩水に漬けた後、ニンニク、ショウガ、唐辛子などの香辛料と一緒に、水、塩、砂糖少々を混ぜて沸騰させ冷ました漬け液に、2~3日漬け込む。

漬け液に、魚でできた調味料・ヌクマムを入れることもある。

 

【フィリピン】

パパイヤを細切りにし、塩水に一度漬けて搾り、ニンジンやタマネギなどを細切りにしたものやショウガ、ニンニクと一緒に甘酢に漬け込む「アチャラ」。

チャーハンや肉料理に添えて食べる。

 

【欧米全域】

「ピクルス」は、英語で漬物の意味。

そのつくり方には酢漬けと自然発酵の2種類がある。

肉やチーズ、油っこい料理などの口直し的な意味合いが求められたからか、酸味がかなり強いのが特徴。

 

 

【ドイツ】

キャベツを塩漬けや酢漬けにした「ザワークラウト」は、ソーセージなどの付け合わせに食べられることが多い。

ゆでてから冷やしてサラダにしたり、バターや油で炒めて肉料理の添え物にしたり、シチューや煮込み料理の材料にしたりもする。

 

※写真はPhoto ACより「ソーセージとザワークラウト」

 

【イタリア】

花のつぼみであるケッパーを3カ月ほど塩漬けして苦味を抜き、塩抜きして酢に漬け込み乳酸発酵させてつくる「ケッパーの塩漬け」は、薬味や調味料として使われる。

 

【スペイン】

スペイン北部で栽培される青唐辛子を酢漬けにした「ギンディージャ」は、辛さは控えめで、シシトウに似たマイルドな辛味と酸味が特徴。

スペインの代表的な漬物で、バルのつまみの定番。

 

【イギリス】

カリフラワーやインゲン豆、タマネギ、キュウリなどの野菜を一口大に切って塩水に漬け、酢、砂糖、小麦粉、マスタード、ターメリックなどの香辛料を混ぜて、とろみがつくまで煮たてた漬け液に1カ月以上漬け込む、伝統的なピクルス「ピカリリ」。

ソーセージ、ハム、ベーコン、卵、チーズやサンドイッチなどの付け合わせとして食べられる。

 

【トルコ】

酸味のある漬物「トゥルシュ」。塩漬けを乳酸発酵させてつくるタイプや、酢やレモン汁を使ってつくる酢漬けタイプなどつくり方は様々で、食材もキャベツ、キュウリ、プチトマトなどの野菜や、メロン、アンズなどの果物、唐辛子、卵、チーズなど幅広い。

肉料理に合わせたり、インゲン豆のトゥルシュをタマネギと一緒に炒めて食べたりする。

 

【モロッコ】

モロッコ料理のタジンやクスクス、焼き物料理にも使われる、レモンを塩漬けにした「プリザーブドレモン」は、家庭で頻繁に手づくりされている。

そのまま食べる漬物ではなく、調味料として使われる。

 

【メキシコ】

メキシコを代表する青唐辛子「ハラペーニョ」のピクルスは、ハラペーニョをそのまま、または薄くスライスして、酢、砂糖、香辛料を混ぜて煮たてた液に漬けこんでつくる。

そのまま食べたり、サンドイッチ、タコス、ホットドッグなどのトッピングにしたりする。

 

※写真はPhoto ACより「韓国の市場(キムチ売り場)」

 

<参考サイト>

・漬物の種類一覧│定番から世界各地のローカル漬物まで紹介

https://www.shufoo.net/plus/food_recipes/462

・発酵食.com 漬物の話

https://hakkousyoku.com/tsukemono/

・世界の漬物の種類を紹介

https://tsukemonojiten.com/worldpickles/

・愉快な世界の漬物たち

https://www.kyuchan.co.jp/syokuiku/world/index.html

 

 

 


 

⑥ 家庭でチャレンジ!漬物をつくってみませんか?

 

現代の日本では様々な漬物を手軽に買うことができますが、ぬか漬けなど手づくりの良さも見直されています。

好みの食材で世界に1つしかない我が家の味をつくれる、漬物のつくり方をいくつか調べてみました。

 

【ぬか漬け】

①材料を、味噌ぐらいのかたさになるように混ぜる。

ぬか床の基本材料は、ぬか・塩・水。

さらにうま味を増すには、昆布やカツオ節、干しシイタケなどを加える。

また、唐辛子や山椒の実などを加えると香りづけや腐敗防止になる。

②発酵を促すために、捨て漬け野菜として水分の多いダイコンやキャベツなどを入れる。

③空気を抜くように表面を押さえてふたをする。

④最初の10日間は1日2回、次の10〜20日間は1日1回混ぜる。

混ぜることで菌のバランスを整え、いやな臭いを防ぐ。

⑤4〜5日に1度、捨て漬け野菜を替える。

⑥20日ほど経ち、発酵の匂いが漂いはじめたら、ぬか床のできあがり。

⑦野菜の下準備をする。

定番は、ニンジン、ダイコン、キュウリ、カブ、ナス、白菜、キャベツなど。

ニンジンやダイコンは皮をむく。

早く仕上げたい場合は、カットする。

軽く塩もみしておくと色合いが良くなり、味も入りやすくなる。水気を拭き取る。

⑧野菜をぬか床に漬ける。

野菜が空気に触れないように埋め込むのがコツ。

常温で半日~1日、冷蔵保存で2~3日が食べごろの目安。

⑨表面のぬかを軽く洗い流して、できあがり。

 

【キムチ】

①白菜は根元の軸を切り離さず、ビニル袋に入れ、たっぷりの塩でもんで水分を抜く。

②唐辛子、甘みを加えるすりおろしリンゴ、旨みを加える昆布や塩麴など、ショウガ、ニンニクを混ぜてキムチペーストをつくる。

③白菜を軽く水洗いして、水気をしっかり絞る。

④ビニル手袋をして、葉の一枚一枚にキムチペーストをまんべんなく塗る。

⑤ビニル袋に戻し入れ、しっかりもんでから口をしっかり縛り、冷蔵庫で2時間ほど置いて、できあがり。

 

【ピクルス】

①ニンジン、セロリ、キュウリを保存容器の高さに合わせて切る。タマネギはくし切りにし、ミニトマトは爪楊枝で数カ所穴をあける。

②保存容器に、酢、砂糖、塩、赤唐辛子、ローリエと、①を入れて、冷蔵庫で半日ほどおいて、できあがり。

 

 

ところで、大量生産にはない味わいのある手づくり漬物を旅先などで買う楽しみが、今や消滅の危機に瀕しているのをご存じでしょうか。

これまでは都道府県へ条例に基づく届け出をすれば漬物製造が認められたため、個人農家さんが地元の野菜を使って手づくりした漬物を、道の駅や農産物直売所などで販売することができました。

2024年6月から、食品衛生法の改正により、漬物製造が保健所による許可制になりました。

2012年に発生した白菜の浅漬けによる集団食中毒を背景に、国際的な食品衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」の考え方を取り入れたものとなっています。

漬物製造の営業許可を得るためには、HACCPに沿った衛生管理に適合する設備が必要となるため、自宅で漬物をつくる農家など小規模な業者は資金面で困難を抱え、また高齢化もあり廃業を選ぶケースが多く見られるそうです。

漬物メーカーでつくる業界団体の全日本漬物協同組合連合会によると、かつて1000程度あった加盟社が、現状約700まで減っているとのことです。

 

<参考サイト>

・初めての「ぬか床」作り。基本の作り方とお役立ち情報

https://kinarino.jp/cat4/1454

・漬け込み2時間!「自家製キムチ」の作り方。 意外なうまみ食材とは?【プロのレシピ】

https://mi-journey.jp/foodie/31981/

・ピクルスのレシピ・作り方

https://www.mizkan.co.jp/ouchirecipe/recipe/?menu_id=1071

・名物お漬物が消える日 改正食品衛生法の経過措置が5月末で終了

https://agrijournal.jp/6industry/77281/

・道の駅から漬物が消える?食品衛生法改正、猶予期間が5月末終了へ 食文化継承に危機感

https://www.sankei.com/article/20240424-25FHSGNWFBFUTOPP3GOCTYJRSQ/

・漬物製造許可制に 経過措置が終了 廃業選ぶ農家も

https://www.agrinews.co.jp/news/index/236220

 

 

 


 

⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》10月10日解禁!!新漬けオリーブ 編

 

小豆島のお漬物と言えば…もちろんいろいろありますが、今はやはり「新漬けオリーブ」!

小豆島ではまもなく、新漬けオリーブの解禁日を迎えます。

解禁日に向けて、オリーブ農家さんやオリーブ会社さんが一粒一粒手摘みして、病気や傷などで傷んだ実を取り除き、丁寧にアク抜きをして塩漬けにされます。

オリーブ独特のオイリーな味わいに、絶妙な塩梅の塩加減がクセになる、今だけの味覚です。

ヨーロッパで見られるピクルスとは違い、クセが全く無く、「海外のものは苦手だな」という方にも美味しく召し上がっていただけると思います。

 

新漬けオリーブの開発は、大変苦労されたとお聞きします。

その苦労話や秘話については「道の駅小豆島オリーブ公園」にある「オリーブ記念館」で紹介されているので、小豆島にお越しの際はぜひご覧ください。

また、10/20(日)〜11/30(土)の期間中、「道の駅小豆島オリーブ公園」で『オリーブ収穫祭』が開催されますよ。

10/20(日)の『大収穫祭』では、新漬けオリーブの食べ比べや他にもいろいろとイベントがあるそうですので、ぜひお楽しみいただければ。

 

石井製麺所では、この貴重な季節の味わい「新漬けオリーブ」を年末にかけてギフト品として、素麺や他の小豆島特産品と一緒にご購入いただけるよう準備をしています。

こちらもぜひお楽しみにお待ちください。

 

 

 

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年9月13日 【Vol.43】栄養成分の機能性について/タンパク質

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.43

栄養成分の機能性について/タンパク質

 

 

 

 

9月に入ってもまだまだ暑い日が続いていますね。

石井製麺所では、11月からが新年度になるのですが、9月、10月は端境期ということもあって、発送作業よりも製造に注力する時期です。

ただ、暑さが厳しく、まだまだスムーズな製麺作業ができる気候ではありませんね。

 

先日、製麺をお手伝いいただく方や石井家のメンバーで、11月以降の製麺のスケジュールなどについて打ち合わせをおこないました。

製麺をお手伝いいただく方は、超がつくほどのベテランで父と同じ歳の方です。

色々な製麺所で勤められた経験もある方で、素麺のお話をするととても楽しそうにお話しくださいます。

素麺がお好きなんだな〜と感じます。

 

そのお話しの中で、「製麺所で働く若い人がほとんどいない」という話になりました。

確かに、私三代目が石井製麺所の代表になってからは、「廃業した」というお話は毎年のように複数件、耳にしますが、若い方が製麺所を継いだ(働き始めた)というお話はほとんど聞きません。

夜中から働き始め、その日の夕方…遅い場合は夜まで掛かってしまう製麺作業。

今で言う「ブラック」な環境なのかもしれませんし、なかなかそんな大変な仕事を選ぶ方も少ないのではないでしょうか。

なんといっても素麺づくりは新規参入がしにくい事業だと感じます。

私もそうですが、家業が素麺をやっていてその跡取りとなるというのが今では主流ですが、昔は製麺所に修業に行ってその後、独立する流れだったそうです。

産地としての製麺所を増やすのであれば、生産者をまずは増やさなければいけないと考えますが、その増やす方法がほとんどないのが現状です。

この際、手延べ素麺の産地を横断して、「手延べ素麺の学校」をつくって新しい生産者を育てる仕組みをつくってはどうかなと考える今日この頃です。

 

幸い?私の同級生に家業の製麺所を引き継いだ方が2名いらっしゃったことが、とても心強く感じています。

ライバルが増えるのでなく、産地を支える仲閒がもっともっと増えると嬉しいなと思っています。

若い世代のアイデアや着眼点で、小豆島らしい手延べ素麺をご提供できるような、そんな時を楽しみにこれからも頑張っていきます。

 

さて、今回のブログでは、これまた知っていそうでよくわからない「タンパク質」について調べてみました。

タンパク質はアミノ酸の基でもありますし、栄養としては欠かせないものです。

ですが、アレルギーを起こす物質もまたタンパク質であったりします。

タンパク質って良い者?悪者?なのか、整理してみたいと思います。

 

手延べ素麺の美味しさの根幹である「グルテン」もまたタンパク質です。

そのタンパク質の性質を生かし切ってこそ美味しい手延べ素麺になると思います。

ですので、今回はちょっと幅広く「タンパク質」について調べてみましたので、今回も最後までお楽しみいただければと思います。

 

写真は、まだ家業を継ぎ、製麺所で父母の手伝いを始めたばかりの頃のものです。

なんとなく手つきがまだまだな感じがします(笑)。

 

【目次】

① タンパク質はアミノ酸でできている

② 良質なタンパク質の指標は「アミノ酸スコア」

③ 動物性タンパク質と植物性タンパク質とは?

④ タンパク質不⾜は体の機能低下につながる

⑤ ⼿延べ素麵の美味しさはタンパク質のグルテンにある

⑥ ⾷物アレルギーとタンパク質の関係

⑦ 《美味しい手延べ素麺》小豆島手延べ素麺 編

 

 


 

① タンパク質はアミノ酸でできている

 

タンパク質は、炭水化物・脂質と並んで三大栄養素の1つとされ、私たちが生きていく上で必要不可欠なものです。

「タンパク質」は英語で「protein(プロテイン)」と言い、その語源は古代ギリシア語で「第一なるもの、主要なもの」を意味する「Proteios(プロティオス)」だそうです。

古代より私たちにとって重要な栄養素であると認識されていたことが分かります。

 

「タンパク質」の表記について、栄養成分表示では「たんぱく質」「蛋白質」「たん白質」「タンパク」の表示も可能とされています。

文部科学省の学術用語では「タンパク質」と書き、厚生労働省では第六次改定日本人の栄養所要量などで「たんぱく質」としており、新聞用語などでは「たんぱく質」が多く使われているようです。

 

タンパク質は人体の重要な構成成分の1つで、体をつくる材料として必要な栄養素です。

人体は、水分を除くとその主成分がいずれもタンパク質で、男性の体の16〜18%、女性の体の14〜16%を占めているそうです。

人間の体内のタンパク質の種類は10万以上あり、それぞれが決まった固有の機能を持っているとのことです。

 

タンパク質はアミノ酸が多数結合した高分子化合物で、食事から摂取したタンパク質はそのままでは体に吸収できないため、消化酵素により分解されてアミノ酸やアミノ酸が数個つながったペプチドになります。

そして体に吸収され、筋肉や臓器、肌、髪、爪などの材料として使われます。

また、ホルモンや代謝酵素、免疫物質などになってさまざまな働きをしたり、エネルギー源として使われたりします。

 

人体のタンパク質は20種類のアミノ酸によって構成されます。

そのうち11種類は体内でつくり出すことができますが、9種類のアミノ酸は必須アミノ酸と呼ばれ、体内でつくることができません。

また体のタンパク質は合成と分解が繰り返されており、その釣り合いを取るためにも、食事からタンパク質を補うことが必要です。

 

 

<参考サイト>

・「たんぱく質」って、何だろう?

https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/know/know_milk/02/

・タンパク質について

https://humans-in-space.jaxa.jp/protein/public/about/what.html

・表示に関する疑問に回答食品表示Q&A

https://hyouji.maru-sin.net/qa/2021/01/30/1452/

・レファレンス事例詳細

https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000030260&page=ref_view#:~:text=%E3%80%8C%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81%E3%81%AE%E5%AD%A6%E8%A1%93,%E3%81%A8%E3%81%99%E3%82%8B%EF%BC%89%E3%81%A8%E8%A1%A8%E8%A8%98%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82

・タンパク質とは【タンパク質の種類、機能、働きなどを解説】

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=113&category=health

・タンパク質とは?専門的な内容をできるかぎりわかりやすく解説

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=252&category=child

 

 

 


 

② 良質なタンパク質の指標は「アミノ酸スコア」

 

「良質のタンパク質」という言葉を聞いたことがあると思いますが、具体的にはどのようなタンパク質が良質と言えるのでしょうか。

体の中で必要なタンパク質を合成するためには、体内でつくれない必須アミノ酸を食品から充分に摂取しなければなりません。

そのため、必須アミノ酸をバランスよく含む食品が、良質なタンパク質を含む食品ということになります。

その指標になるのが、食品に含まれる9種類の必須アミノ酸の量をそれぞれ0~100で数値化し、そのバランスで評価する「アミノ酸スコア」です。

その食品の中で最も低いアミノ酸の値がアミノ酸スコアとなり、例えば9種類すべてが100に達している食品は「アミノ酸スコア100」、1種類だけ80なら残りの8種類がすべて100でも「アミノ酸スコア80」となります。

アミノ酸スコアの高い主な食品には、肉や魚介類、卵、豆類、大豆製品、牛乳・乳製品などがあります。

<参考サイト>

・アミノ酸スコアとは?

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=6&category=muscle

・たんぱく質はなぜ必要?効果やメリット、 摂取量の目安を紹介

https://www.kikkoman.co.jp/homecook/tsushin/tips0031/

 

 

 


 

③ 動物性タンパク質と植物性タンパク質とは?

 

タンパク質は、動物性タンパク質と植物性タンパク質に分けられます。

肉や魚、卵、牛乳・乳製品などに含まれるのは動物性タンパク質で、豆類、大豆製品、穀物類、野菜などに含まれるのが植物性タンパク質です。

 

動物性タンパク質は必須アミノ酸を豊富に含みます。

特に牛乳・乳製品に含まれるカゼインやホエイプロテインは、必須アミノ酸のすべてを豊富に含む良質のタンパク質です。

またカゼインは柔軟な分子構造となっているため、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)による消化吸収性が極めて高いのが特徴とのことです。

動物性タンパク質は植物性タンパク質と比べて100gあたりの含有量が多く摂取しやすい一方で、脂質を含むものも多く、特に肉類は飽和脂肪酸が多いため、摂りすぎるとコレステロール値の上昇や腸内環境悪化につながるリスクもあるそうです。

 

植物性タンパク質は、食材中のタンパク質含有量がそれほど高くなく、消化吸収率が動物性タンパク質に比べて低いものが多いそうです。

また、豆類に含まれるタンパク質には必須アミノ酸は豊富に含まれていますが、小麦や米、野菜類に含まれるタンパク質では、いくつかの必須アミノ酸の含有量は低いため、アミノ酸バランスには優れません。

一方で、脂質の少ないものが多くカロリーを抑えやすい、体調を整えるための食物繊維やビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれるものが多い、などのメリットがあります。

 

様々な食材をバランスよく食べることが健康づくりに役立つと言えます。

 

 

 

 


 

④ タンパク質不⾜は体の機能低下につながる

 

「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、タンパク質推奨量は、18~64歳の男性で1日65g、女性で50gとされています。

平成29年度の「国民健康・栄養調査」によると、タンパク質の摂取目標量はほぼ達成できているそうです。

健康な状態では、体のタンパク質の合成と分解の量が釣り合っています。

しかし、過度なダイエットや不摂生、加齢などにより食事量が少なかったり栄養バランスが偏ったりするとタンパク質が不足し、合成と分解のバランスが崩れてしまいます。

これにより免疫機能が低下して抵抗力が弱くなり、さまざまな病気にかかりやすくなります。

また体重の約4割の重さを占める筋肉は、水分を除くと約8割がタンパク質でできているため、タンパク質が不足すると筋力の低下にもつながります。

タンパク質不足を防ぐには、まず自分の体格や活動量に応じた必要量を把握しておくことが大切です。

またタンパク質を一度にたくさん摂取しても、体内で使い切れなかった分は脂肪となってしまうため、3食に分けてこまめに摂取する必要があります。

目安として、「1回の食事で手のひらサイズのタンパク質のおかず」を食べることが推奨されているとのことです。

間食に乳製品などでタンパク質を補うのも方法の1つだそうです。

 

 

<参考サイト>

・三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html

・あなたは大丈夫?今すぐ気を付けたい「タンパク質不足」

https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=100&category=health

 

 

 


 

⑤ ⼿延べ素麵の美味しさはタンパク質のグルテンにある

 

素麺は主成分が小麦粉で、タンパク質は100gあたり約8.0gとあまり多くはありません。

ですが、美味しい手延べ素麺づくりにはタンパク質が重要な役割を果たしています。

 

小麦粉独自のタンパク質であるグルテンは、こねたり練ったりすることでできる繊維状の組織。

小麦粉を練ってつくった生地を、のばして重ねて、のばして重ねて…を繰り返すことで、小麦粉に含まれるグルテンが一定方向に、まるで何層にも重なった地層のように組織されます。

これを“より”をかけながら細くのばすことで断面が丸くなり、なめらかな食感とコシ、つるつるとした喉越しが特徴の手延べ素麺になります。

グルテンは日数の経過とともに劣化し、もろくかたくなって弾力が失われます。

また、ゆでる時の水分吸収率が低くなり、食感がかたくなります。

素麺では、この変化は「厄(やく)」または「厄現象」と呼ばれ、食感の変化がシャキシャキとした歯切れの良さとして好まれました。

梅雨期の高温多湿期を一回迎え越したものを「新物」、二年目以降のものを「古物(ひねもの)」と呼び、古いものほど貴重品とされている産地もあります。

しかしやはり本来の風味や旨みは失われ、グルテン独自の本来のコシは失われるという側面もあります。

長期間の保存は酸化のリスクがあるため、ご家庭では早めにお召し上がりいただくことをおすすめします。

 

 

<参考サイト>

・手延べ乾めんの疑問?について

https://www.shimabara-soumen.com/article/14646279.html

・手延べそうめんの「厄(やく)」とは

https://www.shimabara-soumen.com/14662419348225

 

 

 


 

⑥ ⾷物アレルギーとタンパク質の関係

 

子どもから大人まで幅広い世代でみられる食物アレルギーは、特定の食べ物を摂取したり触れたりすることにより、免疫システムが過敏に働いて、体に不利益な症状が現れる疾患です。

乳幼児の5~10%、学童期以降の1~3%が食物アレルギーを持っていると考えられています。

子どもの頃の食物アレルギーは、成長に伴い徐々に原因食物が食べられるようになる(耐性獲得)ことが多いそうです。

一方、大人の食物アレルギーは、耐性獲得しにくく、原因食品を継続的に除去する必要がある場合が多いと考えられています。

 

アレルギーを引き起こす物質であるアレルゲンは、主に食物に含まれるタンパク質です。

血液中には、体内に侵入したアレルゲンに対して働きかけ、身体を守る機能を持つ「IgE抗体(免疫グロブリンE)」と呼ばれるタンパク質があります。

アレルギー体質の人は、血液中に大量のIgE抗体が存在しており、食物を摂取して腸管から成分が吸収される際に、体が特定のタンパク質を異物と認識すると、血中のIgE抗体が反応してアレルギー症状が出るそうです。

例えば卵アレルギーの人は卵のタンパク質に反応するIgE抗体を、牛乳アレルギーの人は牛乳のタンパク質に反応するIgE抗体を持っており、卵アレルギーの人が牛乳で発症しないのは、その人のIgE抗体が卵だけに反応するからだそうです。

 

タンパク質は、アミノ酸が鎖状につながり、らせん状やシート状に折り畳まれた構造をしており、特定のアレルゲンに結合する「特異的IgE抗体」は、この構造の決まった場所に結合するそうです。

加熱や酸、酵素によってタンパク質の形が変化(変性)したり、消化酵素の働きでアミノ酸のつながりが切断(消化)されたりして、特異的IgE抗体が結合する場所の形が変化すると、IgE抗体が結合しにくくなり、アレルギー症状が出にくくなります。

これを「低アレルゲン化」と言うそうです。

 

 

<参考サイト>

・食物アレルギー

https://allergyportal.jp/knowledge/food/

・食物アレルギーの仕組みって?発症したらどうする?

https://www.ajinomoto.co.jp/products/anzen/know/f_allergy_01.html

・食物アレルギーとは

https://www.foodallergy.jp/tebiki/about/

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ素麺》小豆島手延べ素麺 編

 

石井製麺所を代表する「小豆島手延べ素麺」のご紹介です。

いわゆる普通の「白い素麺」です。

太さが3種類あり、「手延べ素麺」として販売しているものは「細麺(石井製麺所ではスタンダードと呼んでいます)」になります。

またそれよりも太い麺「太麺」、手延べ素麺ならではと言える「極細麺」をご用意しています。

 

秋を経て寒さが厳しくなるシーズンには「太麺」が人気となります。

「太麺」は、冷やし素麺としてももちろんですが、やはり温かいお出汁と一緒に召しがっていただくとその美味しさがさらに際立つと思います。

手延べ素麺ならではのコシとツルンとしたのど越しに加え、「太麺」ならではのモチモチ感が大変人気です。

 

カツオと昆布をベースに醤油で味付けたお出汁でも美味しいですし、味噌汁のように味噌の風味香る汁と一緒に召し上がっていただくのもおすすめです。

太麺ですので、じっくりと長い時間をかけて乾燥しています。賞味期限は1年と長いので、備蓄食にもいかがでしょうか。

「困ったときの“素麺”頼み」と言われるように皆さまの秋冬の食卓で活躍できると幸いです。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《手延べ素麺》 https://141seimen.thebase.in/categories/2325435

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年8月26日 【Vol.42】麺究者への道/ビールについて研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.42

麺究者への道/ビールについて研究してみる

 

 

 

 

夏の終わりが近づくにつれ、台風の接近や不安定な天候に悩まされます。

そして、この夏一番の悩みと言えば…

 

今年は、本当にたくさんのご注文を頂戴しました。

暑さが厳しかったことや、暑い日が続いたせいか、今年は8月中旬頃までご注文を多くいただき、製造と発送を交互におこなう日々でした。

その出荷のピークも過ぎた8月中旬頃、なんとか今年も乗り切れたと安堵し、今後の製造に向けて設備の見直しや製造環境の改善など、検討し始めた矢先、なんと、肝心要の乾燥用のボイラーが故障…

 

製造のピークを見計らったように、まったく言うことを聞いてくれなくなったボイラー。

手延べ麺を乾燥させるのになくてはならない存在です。

年々暑さが厳しくなり、また不安定な天候が続くことから、製造環境の改善に経費がどれくらい掛かるかと考え、「ボイラーはもう少し頑張ってくれるかな?」と思ったのが悪かったのかどうか、一番はじめに根を上げてしまいました。

 

さあ、困りました。

 

知り合いの方にお聴きしたり、さらにそのお知り合いの方に修理ができる方をご紹介いただいたり…

色々なツテを頼って、見ていただいたところ、どうやら故障ということでなく、ボイラーの煙を排出する煙突(正確には煙道(えんどう))が詰まってしまっていて、そのせいでボイラーが不完全燃焼していたようです。

原因が分かれば、まずは煙突掃除です。

なんといっても、少なくとも30年選手のボイラーですので、型が古く、メンテナンス用の開口部は設けられていません。ボイラーと煙突の接続部のボルトを一本一本外し、煙突を取り外すところから…

硫黄と煤の塊をなんとか除去。

何とか作動するところまでは回復していただきました!

業者さんと一緒に、みんな煤で真っ黒になりながら頑張ったのは、ある意味いい経験となりました(笑)。

一安心ではありますが、内部の部品には劣化も見られるようで、新しいボイラーへの入替は避けられないようです。設備の見直しを図らなければいけない、今日この頃です。

これが目下、一番の悩みの種です。。。

 

さて、先日のブログでご紹介したマンガ「もやしもん」でも、ビールについてのお話があります。

とっても良いお話で、思わずビールを飲みたくなりました(笑)。

小豆島にもクラフトビールの醸造所があり、こちらはとても近くなのですが、車社会の小豆島。

車で行ったら飲めなくなってしまいますので、見学に伺い、お土産を買って今回のブログで調べたうんちくを読み返しながら自宅で味わってみたいと思います。

 

言われてみればビールも発酵食品のひとつなんですね。

(大)麦を発酵熟成させてつくるのですから素麺づくりに活かせる部分は無いかと色々と調べてみました。

今回も楽しい内容になったと思いますので、最後までご覧いただけると幸いです。

 

 

【目次】

① ピラミッド建設の報酬だった!ビールの歴史

② 鎖国中にもたらされ、冷蔵庫の普及により消費が増えた日本のビール

③ ビールの味わいや香りを決める、原料について

④ つくり方により個性を生み出す!ビールの製法

⑤ ビールの種類は世界に100以上!日本のビールの定義とは?

⑥ 《美味しい手延べ素麵》ビールのおつまみにふし麺のおやつ 編

 

 


 

① ピラミッド建設の報酬だった!ビールの歴史

 

ビールは麦芽・ホップ・水を主原料とした醸造酒で、アルコール度数が低く、炭酸ガスを含み、ホップ独特の香りや苦味を持つのが特徴です。

ビールの誕生は紀元前8000~4000年までさかのぼるとも言われています。

人類最初の文明とされるメソポタミアで、放置してあった麦の粥に酵母が入り込んで自然発酵したのが起源と考えられています。

 

紀元前3000年頃のシュメール人が、ビールづくりの模様をくさび形文字で粘土板に残しています。

当時は、まず麦を乾燥させて粉にしたものを焼いてパンをつくり、それを砕いて水を加え自然発酵させていたようです。

 

同じ頃エジプトでも、肥沃なナイル河畔で収穫される大麦を原料にビールがつくられ、広く飲用されていたとのことです。

ピラミッドを建造する労働者にビールが配られていたとも言われています。

当時のビールはホップは使用されず、薬草やはちみつなど様々な原料が使われていました。

栄養食品としてや、神様へのお供え物としても用いられていたそうです。

 

 

紀元前1700年代に制定された初めての成文法「ハムラビ法典」にも、ビールに関する法律が制定されているそうです。

この頃には各所に醸造所がつくられ、ビアホールのような店もあったようで、その取り締まり規則や罰則などが公布されました。

 

ギリシャやローマでは、麦類が生育しにくい気候風土のためか、ワインが主流となっていました。

 

北ヨーロッパでは、古代ゲルマン人が定住生活に入った紀元前1800年頃すでにビールがつくられていた記録が残っているそうです。

ゲルマン人やケルト人は、麦類を麦芽に加工する、現代にも通じる製法でビールをつくっていたようです。

 

ビールづくりにホップが使われるようになった時期については諸説ありますが、紀元前1000年頃、コーカサスに住んでいた民族から始まったという説が有力とのことです。

 

中世に入ると、ゲルマン民族の大移動によりヨーロッパ各地にビールが広がりました。

「ビールは液体のパン」「パンはキリストの肉」と考えられ、教会や修道院でビールづくりがさかんになりました。

当時のビールは、栄養補給や医療にも利用されていたようです。

 

11世紀後半になると、ビールづくりにホップを使用すると品質が飛躍的に向上すると分かってきて、ホップのビールが次第に広まりました。

技術の進歩もあり、一般庶民にも飲まれるようになって、15世紀以降には民間でもつくられるようになりました。

 

中世まではビールが腐敗しないように、9月~3月ごろの涼しい時期にビールづくりがおこなわれていました。

しかし気温が低すぎると発酵がうまく進まないなどのトラブルもあったそうです。

15世紀にドイツのミュンヘンで、下面発酵のビールが誕生します。

当時のビールは、高温で短時間、貯蔵と発酵を行う上面発酵のビールが主流でした。

低温で長時間、貯蔵と発酵を行う下面発酵ビールはその後のビールづくりを大きく変え、現在も世界の主流となっています。

 

1516年ドイツで「ビール純粋令」が交付されました。

「大麦・ホップ・水の3つの原料以外は使用してはならない」と定めることにより、その後ドイツビールの品質維持向上に貢献しました。

現在でもドイツでは下面発酵ビールの製造においてこの法律が守られています。
19世紀後半、ドイツのリンデが冷却機を発明し、下面発酵ビールが四季を通してつくれるようになりました。

またフランスの細菌学者パスツールが発明した低温加熱殺菌法により、ビールの長期保存が可能になって市場が拡大しました。

一方、デンマークのハンゼンが発見した酵母の純粋培養法により、ビールづくりに適した酵母だけを分離できるようになり、近代的な大量生産への道が開かれたとされています。

 

 

<参考サイト>

・ビールの豆知識|ビールの歴史

https://www.brewers.or.jp/tips/histry.html

・ビールの歴史をわかりやすく解説|ビールの発祥から現在までを説明

https://www.sakesen.com/blog/history-of-beer/

・ビールの歴史を教えてください。

https://www.suntory.co.jp/customer/faq/001716.html

 

 

 


 

② 鎖国中にもたらされ、冷蔵庫の普及により消費が増えた日本のビール

 

日本にビールが入ってきたのは江戸時代です。

鎖国政策のもと、唯一開港していた長崎県の出島でオランダからビールがもたらされ、蘭学者たちが試飲や試作をしたと言われています。

日本で初めてビールを醸造したのは幕末の蘭学者・川本幸民で、物理・化学分野の翻訳もしていた中で、ビールの醸造実験にも取り組んだとされています。

日本にビール醸造所が初めて設立されたのは1869年、横浜の外国人居留地で開設された「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」です。

1870年にはアメリカ人の醸造師ウィリアム・コープランドが、現在のキリンビールの前身となる「スプリング・バレー・ブルワリー」を創設しました。

1872年、大阪で渋谷庄三郎が日本人では初めてビールの醸造・販売を本格的に開始したのを皮切りに、各地にビール会社が誕生します。

北海道に設置された開拓使により1876年「開拓使麦酒醸造所」が開業され、開拓使の廃止後に設立された「札幌麦酒会社」が、現在のサッポロビールです。

1889年に設立された「大阪麦酒会社」は、後にアサヒビールとなっています。

明治20年代に入ると近代化が進み、日本のビール総生産量が輸入量を超え、ビール産業は著しく成長していきました。

1899年、ビアホールが銀座にオープンしました。

当時ビールを提供するレストランは高級店であったため、ビールだけを気軽に飲める業態として発案されたビアホールは庶民に大人気となり、一時期の東京には約2,000軒のビアホールがあったそうです。

1950年代後半~1970年代にかけての高度経済成長期には、ビールの消費量が爆発的に増えました。

ビールはお店で飲むのが主流でしたが、家庭用冷蔵庫の普及により自宅での消費が急増したためです。

昭和40年代には全国で10のビール工場が新設され、製造量は10年間で2倍に増えました。

しかし1994年に過去最高の製造量を記録したのをピークに、飲酒人口の減少や消費者の嗜好の多様化・個性化により、ビールの製造量は減少傾向が続いています。

一方、1994年にビール製造免許に係る最低製造数量基準が年間2,000キロリットルから60キロリットルに引き下げられたことにより、各地に小規模なビール醸造所が登場し、独自のビールをつくり始めました。

1990年代後半には「地ビール」ブームが巻き起こりましたが、価格が高いこともあり、ブームは数年で衰退してしまいます。

そんな中、2000年代にアメリカで「クラフトビール」が人気を集めるようになるのに伴い、日本の小さな醸造所でつくられた地ビールも「クラフトビール」と呼ばれ、注目されるようになりました。

大手メーカーのビールとは異なる個性的で多様な味わいが好まれ、さらなる広がりを見せています。

 

 

<参考サイト>

・つい話したくなるビールの歴史と豆知識。ビールは常にイノベーションとともにあった

https://nf-startup.jp/report/details/3067/

・日本のビールの歴史と国内の大手ビールメーカーを知ろう!

https://tanoshiiosake.jp/9219

・クラフトビールと地ビールの違いとは?歴史や人気の理由も解説!

https://yonasato.com/column/guide/detail/craft_beer/jibeer/

・意外と知らなかった!「地ビール」と「クラフトビール」の違いとは

https://www.fujizakura-beer.jp/craft-beer-difference/

 

 

 


 

③ ビールの味わいや香りを決める、原料について

 

ビールの主な原料は、麦芽・ホップ・水、そして酵母です。

その組み合わせや量、使うタイミングや温度などにより、味わいや香りが変わります。

ビールの原料について、詳しく調べてみました。

 

【麦芽】

発芽した大麦の芽と根を取り乾燥させ、さらに熱風に当てながら焙燥(ばいそう)したもので、「モルト」とも呼ばれます。

大麦には、穀粒の実り方が二列の「二条大麦」と、六列の「六条大麦」があります。

ビールづくりに使われるのは、粒が大きく均一で、アルコールの原料となるデンプンの含有量が多い二条大麦で、別名ビール大麦とも呼ばれます。

小麦やライ麦、オーツ麦が使われるビールもあるそうです。

麦を発芽させることで、種子中の糖化酵素(アミラーゼ)が活性化し、麦芽に含まれるデンプンを糖に変えます。

その糖分を酵母が食べる、つまり発酵することにより、アルコールと炭酸ガスができるのです。

 

 

【ホップ】

多年生のつる性の植物で、松ぼっくりに似た花のような形をしためしべの「毬花(まりはな)」という部分が使われます。

ビールに苦味と香りを付けたり、泡のもちを良くしたり、腐敗を防いだりする役割を果たします。

北半球の涼しい地域で多く栽培され、8~9月頃に収穫されます。

香りの良い「アロマホップ」と、苦み成分の多い「ビターホップ」の2種類があります。

 

 

【水】

ビールの約90%を占める原料である水は、地域ごとに成分が異なり、その地でのビールの味わいに大きな影響を与えます。

日本で多く飲まれている淡色のビールには、カルシウムやマグネシウムなどの含有量が比較的少ない軟水が適しています。

硬水は、発酵も旺盛になりやすいことや、麦芽から多くの成分を溶け出させることなどから、濃色のビールづくりに向いているそうです。

 

【酵母】

ビールのもとである麦汁を発酵させてビールにする微生物

麦汁に含まれる糖分をアルコールと炭酸ガスに分解する役割を持ち、発酵の副産物としてエステルという香り成分を生み出します。

ビールづくりに用いられるビール酵母は、上面発酵酵母と下面発酵酵母の2系統に分けられます。

上面発酵酵母は20℃前後で発酵し、発酵終期には酵母が液体の表面に浮いてきます。

味も香りも個性的なものが多く、多様性があります。

ヨーロッパなどでは上面発酵ビールが根強く飲まれています。

下面発酵酵母は10℃前後でゆっくりと発酵し、発酵終期には酵母が底に沈みます。

さっぱりした味わいですっきりしたのど越しが特長です。

15世紀に南ドイツで登場し、低温で発酵するため寒い時期にもビールづくりが可能なことや微生物の汚染リスクが低いことなどから19世紀にはビールづくりの主流となり、今や世界のビールの生産量の約9割を占めています。

 

主原料以外の副原料には様々なものがあり、アルコールのもとになるものと、香味付けに使われるものの2つに分けられます。

【アルコールのもとになる副原料】

米やトウモロコシからとったデンプン(スターチ)や、糖類があります。

これらの使用比率が高いと、酒税法では「発泡酒」とされます。

 

【香味付けに使われる副原料】

ラズベリーやチェリー、イチゴやリンゴなどの果物や、シソやハーブなどがあります。

これらの原料を使用すると、酒税法では「発泡酒」となります。

 

 

<参考サイト>

・ビールの原料って??

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/seminar/r5/2305/material.htm#:~:text=%E7%8F%BE%E5%9C%A8%E3%80%81%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%80%81%E9%BA%A6%E8%8A%BD,%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%82%82%E3%

・ビールの豆知識|ビールの造り方

https://www.brewers.or.jp/tips/production.html

・ビールの原料|4つの原材料の組み合わせで味わいが変わる!クラフトビールメーカーが解説

https://yonasato.com/column/guide/detail/craft_beer/material/

・これからビール通になりたい方へ

http://www.ji-beer.co.jp/app/Blogarticleview/index/ArticleId/43

 

 

 


 

④ つくり方により個性を生み出す!ビールの製法

 

ビールはどのようにつくられているか、調べてみました。

 

【製麦(せいばく)】

まずは麦を発芽させて麦芽をつくります。

デンプンやタンパク質を分解する酵素が生成されたり、大麦の成分を分解しやすい状態にしたりする工程で、ビールの色や香りはこの過程で特徴づけられます。

製麦は大きく3つの工程に分けられます。

<浸麦(しんばく)>

大麦を約15℃の水に2日間ほど浸すことで、発芽を促し、生育に必要な水分を吸わせます。

この間に水を入れ替えることで、大麦に含まれる雑味が溶け出し、また粒についているほこりも洗い流されます。

<発芽>

発芽室で15℃前後に保たれるよう冷風を送り、定期的に大麦を混ぜて発芽を促します

硬い大麦の粒が発芽によりやわらかくなります。

<焙燥>

発芽した大麦を熱風で乾燥させて発芽を止めます。

約50℃から約80℃まで徐々に温度を上げます。

大麦は香ばしく仕上がり、雑菌が繁殖できないほど乾くため長期保存が可能になります。

またビールの色や香りの成分もつくり出されます。

焙燥の温度や時間を調整することで、多様な味わいが生まれます。

焙燥が終わったら、大麦から渋味や雑味のもとである伸びた根っこを取り除きます。

 

【仕込み】

麦芽やホップ、またビールの味を変化させるオレンジピールや果実などの副原料を使用して、糖やアミノ酸を含んだ麦汁をつくります。

仕込みは大きく5つの工程に分けられます。

<粉砕>

麦芽を細かくすることで、デンプンを糖化させやすくします。

ただし細かくしすぎるとろ過しにくくなり、また、穀皮と呼ばれる大麦の表面にある苦み成分が麦汁に溶けだしてしまうため、細かくなりすぎないように粉砕します。

<もろみづくり>

粉砕された麦芽をお湯と一緒に仕込み樽に投入し、これを撹拌しながら適度な温度に保ちおかゆのような状態にします。

<糖化>

麦芽に含まれるデンプンを酵素によって糖に分解します。

この工程を「糖化」と言います。

同時にタンパク質はうま味成分のアミノ酸に分解されます。

糖化が最も進む約65℃を維持することで、おかゆ状から透き通った色のサラサラな状態へと変化します。

<濾過>

穀や麦芽の粒などの固形物を、大きなざるのようなろ過装置で取り除き、透き通った状態にしていきます。

この時、一番最初に搾り出された麦汁は「一番麦汁」と呼ばれ、すっきりとして渋みのない飲みやすい味わいになります。

さらにこの後、残った固形分にお湯をかけてエキス分を抽出したものが「二番麦汁」で、多くのビールはこれも使用しています。

<煮沸>

ろ過された麦汁を煮沸釜に移し、ビールの苦味や香りを付けるホップを添加して煮沸します。

加熱によりタンパク質が凝集して、徐々に透き通った麦汁に変化します。

煮沸する時間によって、苦みや香りの付き方が変わります。

また煮沸は、好ましくない香りを飛ばしたり麦汁を殺菌したりする効果も期待できます。

ホップは煮沸の序盤に入れると苦味が出ますが香りが付きにくく、終盤に入れると苦味はあまり出ず、香りが残ります。

ホップを投入するタイミングや量により、ビールの風味に個性が生まれます。

 

【発酵】

仕込み段階で糖化してつくられた糖を酵母により分解し、アルコールと炭酸ガスをつくります。

まず麦汁を冷却機で発酵に適した温度まで冷やします。

発酵方法は主に、約10℃前後で6~10日間ほどの「下面発酵」と約20℃前後で3~6日間ほどの「上面発酵」の2つに分けられます。

適温になった麦汁に酵母を加え、同時に酸素を供給することで、酵母が増殖して発酵が進みます(主発酵)。

約1週間程度で「若ビール」と呼ばれる状態になりますが、これはまだ味にコクや深みのないものです。

 

【熟成】

若ビールを貯酒タンクへ移し、数日間熟成します。

熟成することで、好ましくないにおいの成分が別の物質に変換されます。

また熟成中も発酵が進み(後発酵)、炭酸ガスが発生します。

 

【熱処理・濾過】

不純物や固形物を除去するために熱処理やろ過をして、ビールの風味を保つため酵母を死滅させ、濁りの原因となる物質を取り除きます。

熱処理には、ビールを容器に詰める前に殺菌する方法と、詰めてから容器ごと殺菌する方法があります。

熱処理していないビールは「生ビール」と呼ばれます。

熱処理はかつてはビールづくりに不可欠な工程でしたが、醸造技術が発達し、現在日本で流通しているビールの多くが生ビールです。

また最近では、あえてろ過をせず酵母が生きたままの「無ろ過ビール」もあり、濃厚なコクとフルーティな香りの独特な味わいが楽しめます。

 

【充填】

完成したビールを缶や瓶、樽などの容器に詰めてしっかりと密封し、出荷します。

 

 

<参考サイト>

・ビールの作り方をわかりやすく解説|製造工程を詳しく説明

https://www.sakesen.com/blog/how-to-make-beer/

・ビールのつくり方を分かりやすく解説!工程から発酵や熟成の方法、豆知識まで

https://yonasato.com/column/guide/detail/craft_beer/process/

・ビールの製造方法とは? 工程ごとに詳しく解説

https://tanoshiiosake.jp/9571

・ビールの豆知識あれこれ! 雑学でビールをもっとたのしく

https://tanoshiiosake.jp/7026

 

 

 


 

⑤ ビールの種類は世界に100以上!日本のビールの定義とは?

 

ビールの種類のことを「ビアスタイル」と呼び、その数は100種類とも150種類とも言われています。

製法の紹介でも触れたように、発酵方法による分類では大きく2つに分けられます。

「上面発酵ビール」は「エール」とも呼ばれ、豊かな香りと豊潤な味わいの傾向があります。

「下面発酵ビール」は「ラガー」とも呼ばれ、すっきりとした味わいの傾向があります。

この他、自然界に存在する野生酵母を使って自然発酵させる、ベルギーの「ランビック」などのビールもあり、「ワイルドエール」として上面発酵に分類されることもあります。

「エール」と「ラガー」それぞれの、代表的なビールについて調べてみました。

 

【エール】

<ペールエール>

「ペール」とは「淡い」を意味し、イギリスで誕生した当時に飲まれていた他のビールより淡い色合いだったことが名前の由来と言われる。

モルトのコクを感じられる「イングリッシュ・ペールエール」と、ホップの香りがふんだんに感じられる「アメリカン・ペールエール」の大きく2つに分けられる。

<IPA(アイピーエー/インディア・ペールエール)>

イギリス発祥で、多彩な派生スタイルを持つ、アルコール度数高めのビール。

ホップを大量に使用してつくるため、ホップ由来の香りと苦味が際立つ印象的な味わい。

<ポーター>

18世紀初頭のロンドンで、「古くなった酸味のあるブラウンエール」と「つくりたての若いブラウンエール」、「ペールエール」の3種類を混ぜたものが始まりとされる。

茶系の色味とコクが特徴の「ブラウンポーター」と、より濃色でコーヒーやチョコレートを思わせる香ばしい風味を持つ「ロブストポーター」がある。

<スタウト>

アイルランド発祥で、「ポーター」から派生した、コーヒーのようなロースト香が特徴のビール。

「ドライスタウト」や「スイートスタウト」「フォーリンスタイルスタウト」「オイスタースタウト」など、様々な種類がある。

<ヴァイツェン>

小麦麦芽を使ったドイツ伝統の白ビールで、「ヴァイス」とも呼ばれる。

酵母をろ過した透明で澄んだ「クリスタルヴァイツェン」、無ろ過で白く濁った「ヘーフェヴァイツェン」などがある。

ホップ由来の苦味が少なめで、バナナやクローブのような香りが感じられる。

<アルト>

デュッセルドルフで18世紀頃に発展した、下面発酵なみの低温で熟成される銅褐色のビール。

「アルト」はドイツ語で「古い」の意味。麦芽由来の焙煎香と、まろやかなコクが感じられる味わい。

<ケルシュ>

ドイツのケルン地方の限られた醸造所で厳格なルールのもとにつくられたビールだけが名乗れる、ビールとしては珍しく原産地統制呼称が認められた、伝統的なビアスタイル。

淡い色と酵母由来のフルーティーな味わいが特徴で、なめらかな口当たり。

<ベルジャンホワイト(ベルギーホワイトビール)>

ベルギー発祥で、中世から親しまれている、麦芽にしない小麦と大麦麦芽でつくられる白ビール。

煮沸時にコリアンダーシードとオレンジピールを加えるため、柑橘系の甘くさわやかな香りとスパイシーな風味が楽しめる。

苦味が少なく、フルーティーで飲みやすい。

<アンバーエール>

アメリカ西海岸発祥の、琥珀色のエールビール。

「アメリカンアンバーエール」「アメリカンスタイルアンバーエール」とも呼ばれる。

焙煎モルトによるカラメルのような香りと濃厚なコク、ホップ由来の苦味が特徴で、肉料理とよく合う。

 

【ラガー】

<ピルスナー>

19世紀、チェコのピルゼン発祥。

現在、世界のビールの主流となっており、日本の大手メーカーがつくるビールの大半はこの「ピルスナー」と言われる。

アルコール度数は低めで、透き通るような黄金色とキレのあるさわやかなのどごし、ホップの苦味が特徴。

<シュヴァルツ(シュバルツ)>

ドイツ発祥の黒ビール。

ロースト麦芽の、ビターチョコを思わせる香ばしさや甘み、ほろ苦さが特徴。

シャープでスッキリとした味わい。

<ボック>

ドイツのアインベック発祥。

アルコール度数の高さが特徴で、14%を超えるものも。

苦味は少なめで、香りや味わいはモルトの個性により異なる。銅色から黒色と比較的濃い色合い。

<アメリカンラガー>

爽快なのどごしと軽い飲み口で、苦味やクセの少ないスッキリとした味わいが特徴。

淡い黄金色。

 

 

ビールの定義は国によって異なるそうです。

日本では酒税法により、麦芽・ホップ・水と、その他政令で定める物品(麦・米・トウモロコシ・デンプン・糖類など)を用いて発酵させた、アルコール分20度未満のお酒で、麦芽の比率が50%以上のものと定義されており、この定義から外れたものは「発泡酒」とされます。

外国から輸入されたビールに「発泡酒」と表示されている場合がありますが、原料に小麦麦芽や果実などを使っており「ビール」の定義に当てはまらない、といった理由からとのことです。

 

また「第3のビール」や「新ジャンル」と呼ばれるビールテイスト酒類もあります。ビールは税率が高いことから、1990年代初頭に低税率の発泡酒が生まれましたが、何回かの税率改定やビールの麦芽比率の定義の改定などもあり、発泡酒よりも税率の低い第3のビールが開発されました。

第3のビールは法律上、麦以外の原材料を用いて発酵させたものは「その他の醸造酒」、発泡酒に大麦由来のスピリッツ(純度の高いアルコール)を加えたものは「リキュール」に、それぞれ分類されます。

2023年の酒税法改正により、現在は発泡酒と第3のビールは同額の酒税になっています。

また2026年10月にはビールと発泡酒の税率が一本化されるとのことです。

 

最近よく耳にする「ノンアルコールビール」は、ビールとどのような関係なのでしょうか。

ノンアルコールビールとはアルコール分1%未満の「ビールテイスト飲料」のことです。

日本の大手メーカーがつくる多くのものはアルコール度数0.00%ですが、酒税法ではアルコール分が1%未満であれば酒類にはならないため、アルコールが含まれているノンアルコールビールもあるのだそうです。

製造方法はいくつかあり、日本の大手メーカーで多く採用されているのは、抽出した麦芽エキスに糖類や香気成分などを加えて調合する、アルコール発酵をさせない方法とのことです。

他には、ビールの発酵工程においてアルコール度数が1%を超えないように、アルコールを生成しにくい専用酵母を使ったり、途中で酵母を取り除いたり、低温下においてアルコール発酵を止めたりする方法や、通常のビールからアルコール分を除去する方法などがあります。

 

<参考サイト>

・ビールのスタイルは世界に100種類以上! 人気のビアスタイルをかんたんな解説とともに紹介

https://tanoshiiosake.jp/12575

・初心者でもわかる!ビールの種類(ビアスタイル)をビールメーカーが徹底解説

https://yonasato.com/column/guide/detail/beer_style_290319/

・ビールの豆知識|ビールの種類

https://www.brewers.or.jp/tips/type.html

・ビールの基本 ビールの種類

https://www.kirin.co.jp/alcohol/beer/daigaku/genre/bas/bas01.html

・ビールとは、どのようなお酒ですか?

https://www.suntory.co.jp/customer/faq/005769.html

・ビール・発泡酒に関するもの

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/sake/abc/abc-beer.htm

・なぜビールなのに「発泡酒」って書いてあるの?【ビールの定義の話】

https://www.nipponbeer.jp/column/definition/

・ビールの「定義」とは?「発泡酒」や「第三のビール」との違いって?

https://tanoshiiosake.jp/3394

・「第三のビール」の魅力を知ろう! 「ビール」や「発泡酒」との違いとは?

https://tanoshiiosake.jp/7970

・ビールと発泡酒の違いは?第3のビール、クラフトビールについても解説

https://www.shufoo.net/plus/shopping_tips/591

・ビアスタイルを知ろう!<8>【ノンアルコールビール】

https://www.nipponbeer.jp/column_tag/%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AB/

・アルコール分0%でも本格的!「ノンアルコールビール」の味わい秘訣とおすすめ銘柄

https://tanoshiiosake.jp/7830

・ノンアルコール飲料って本当にアルコール0%?定義・醸造法や味わいについて解説

https://www.nihon-trim.co.jp/media/30417/

 

 

 


 

⑥ 《美味しい手延べ素麵》ビールのおつまみにふし麺のおやつ 編

 

手延べ素麵をつくるとき、素麵と一緒に生まれる「ふし麺」。

和風のクルトンのように、汁物にして食べる方が多いふし麺ですが、今回は小豆島の子どもたちには馴染み深い(?)食べ方をご紹介します。

「素麵の島」のおやつ『ふし揚げ』。

ふし麺をごま油やオリーブオイルで素揚げして、砂糖やきなこをまぶすだけで立派なおやつのできあがりです。

ポリッとした食感と、ふし麺の塩味と砂糖の甘みがほどよい、お手軽お菓子です。

揚げたてより、冷ましてから食べるのがおすすめです。

他にも醤油味やトウガラシを少し絡めたりして、お好みの味にすれば、立派な?ビールのアテにもピッタリなおつまみになりますよ。

 

数量限定で、あるときのみの販売となりますがご容赦ください。

 

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年8月5日 【Vol.41】栄養成分の機能性について/アミノ酸②

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.41

栄養成分の機能性について/アミノ酸②

 

 

 

 

いや〜熱い!

暑さが厳しい折、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。

石井製麺所では7月の発送シーズンのピークを過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きそうとのことで、8月5日現在もたくさんのご注文を頂戴しております。

まだまだ、石井製麺所の素麵で少しでも涼しく美味しく元気よくお過ごしいただければと思います。

 

さて、今回のブログのお話は、4つ前のブログのテーマ「アミノ酸①」の続きになります。

アミノ酸が人の体に必要不可欠で、食べ物から積極的に摂らなければいけないということを学びました。

そのアミノ酸の働きで、食品に「うま味」を加えると聞かれたことがあるのではないでしょうか。

しかもそれを発見したのは日本人だとか。

グルタミン酸をはじめ、イノシン酸やグアニル酸というのは聞いたことがありますが、実はその他にもあるそうです。

このお話を調べたくてアミノ酸について調べていると、長くなりそうでしたので2回に分け、今回がその第二弾というわけです。

 

ところで、皆さんは、「もやしもん」というマンガをご存じでしょうか?

2004年に始まったそうですから今から20年前のマンガと言うことになりますが、発酵・熟成の勉強をするなら「読んだ方が良いよ」とお聞きしました。

そこには発酵熟成の理論や日本酒、ワインなどの詳しいお話をはじめ、日本の食糧事情や農業、酵母や菌のお話に加えてアミノ酸のお話もあるそうです。

ただ実は、昔、(原作の一部が)アニメ化されたときに見ていたことがあって、当時は面白いな〜と思っていただけでしたが、今になってその世界に踏み入れるとは思いもしませんでした。

最近はマンガをあまり読むことはありませんが、とても勉強になるとのことですので、一度、時間を作って読んでみたいと思います。

(追記)そして…思わずAmazonで全巻セットをポチってしまいました。便利な世の中ですね。

 

さてさて、お話を元に戻して。

小豆島の手延べ素麵は小麦粉とごま油の香りが特徴で、そこに「うま味」たっぷりのお出汁を利かせためんつゆが、素麵の美味しさをより一層引き立ててくれると思います。

新麺の開発に向けての勉強ではありますが、今回の「うま味」成分について学んでみると、自分好みの美味しいめんつゆができるのではないかと思っています。

「うま味」成分をいくつも掛け合わせると「うま味」の相乗効果といって、「うま味」の組合せは「1+1=2」ではなく、その何倍にも美味しさが膨らむそうですよ。

ぜひ今回のブログをお読みいただき、美味しいめんつゆやお出汁を利かせたお料理のお役に立てていただければと思います。

 

私も早速、「うま味」成分のひとつを多く含む干し椎茸と小豆島の醤油をベースに、オリジナルの美味しいめんつゆを作ってみたいと思います。

今回も最後までお楽しみいただければと思います。

 

 

【目次】

① 食べ物の味をつくり出すアミノ酸

② アミノ酸を増やし、より美味しくする発酵と熟成

③ 代表的なうま味成分と、うま味の相乗効果とは

④ うま味を発見したのは日本人

⑤ うま味を多く含む食品とは

⑥ 日本人と外国人の味覚の違いとは

⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島の美味しい出汁セット 編

 

 


 

① 食べ物の味をつくり出すアミノ酸

 

食べ物の味は、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5つの基本味に分類されます。

人間にとって味を感じることは、生命維持のための欠かせない感覚です。

人体に有害なものの酸味や苦味などを感知することで危険な食物を避け、糖分の甘味やミネラルの塩味などを感じて栄養素を積極的に摂取するために必要なことだそうです。

うま味は、タンパク質を摂取したことを体に知らせるシグナルの役割を果たしており、うま味を感じることによって唾液や消化液が分泌され、タンパク質の消化をスムーズに進めることができるとのことです。

 

タンパク質には「味」がありませんが、細かく分解されてペプチドやアミノ酸になると味を持つようになります。

タンパク質を構成するアミノ酸は一般的には無味ですが、タンパク質が分解されて生じる遊離アミノ酸は味を持つそうです。

アミノ酸の中でうま味成分となるものは、グルタミン酸とアスパラギン酸です。

 

【グルタミン酸】

体内で合成できない必須アミノ酸。

体内で抗酸化作用を発揮するグルタチオンの材料のひとつ。

多くのアミノ酸がグルタミン酸をもとに合成されます。

世界で最初に見つけられたうま味成分で、昆布出汁から発見されました。

昆布の他にも、トマトやブロッコリーなどの野菜類、チーズなどの発酵食品に多く、他にもゼラチン、大豆製品、アーモンド、豚肉などに多く含まれています。

 

 

【アスパラギン酸】

体内でアミノフェラーゼという酵素によって生成される非必須アミノ酸。

エネルギー生産の場である「TCA回路」の最も近くに位置するアミノ酸のひとつで、エネルギー源として利用されます。

アスパラガスから発見されたのが名前の由来です。

醤油や味噌など発酵食品のうま味はアスパラギン酸によるものです。

肉類や、桜エビ、ゼラチン、大豆製品、タラ、落花生などに多く含まれています。

 

 

その他、甘味や苦味などを持つアミノ酸もあります。

 

【その他の味】

<甘味>グリシン・アラニン・トレオニン・プロリン・セリン

<苦味>フェニルアラニン・チロシン・アルギニン・イソロイシン・ロイシン・バリン・メチオニン・リシン

 

<参考サイト>

・うま味の基本情報

https://www.umamiinfo.jp/what/whatisumami/

・旨味とアミノ酸の関係とは?旨味を構成する2つのアミノ酸を徹底解説

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/umami-amino-acid#:~:text=%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%8E%E9%85%B8%20%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82-,%EF%BC%92%E3%80%81%E6%97%A8%E5%91%B3%E3%81%A8%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%82%8B2%E3

 

 

 

 


 

② アミノ酸を増やし、より美味しくする発酵と熟成

 

食べ物の味は、アミノ酸の種類や組み合わせにより決まります。

アスパラギン酸はうま味と酸味を持っており、グルタミン酸と組み合わせることでさらに美味しくなることが知られています。

たとえば完熟トマトは、グルタミン酸とアスパラギン酸が4:1の割合で含まれていると最も美味しいそうです。

また同じ食材でも、加工方法によってアミノ酸の量が変わるので、味も変わります。

食べ物の中のアミノ酸の数と種類が多いほど美味しくなります。

 

食べ物の中のアミノ酸を増やすには、タンパク質を分解する必要があります。

その方法には「発酵」と「熟成」の2つがあります。

 

【発酵】

食材に付着した菌やカビなどの微生物がタンパク質や糖質を分解して、うま味のもととなるアミノ酸やアルコールなどをつくり出すことにより、うま味や風味、栄養価が増したり、保存性が高まったりします。

麹菌や乳酸菌、酵母菌といった微生物によって、味噌、醤油、ヨーグルト、チーズ、ワインなどの発酵食品がつくり出されます。

 

【熟成】

 食品がもともと持っている酵素の力で、タンパク質の構造を壊してアミノ酸へ変換します。

肉や魚を適切な環境下に置くと、タンパク質が分解されてアミノ酸などのうま味成分が増えて、より美味しくなります。

ただし温度や雑菌の管理は難しいため、家庭で熟成肉や熟成魚をつくることは避けたほうが良いようです。

 

 

 

 


 

③ 代表的なうま味成分と、うま味の相乗効果とは

 

うま味物質は、アミノ酸系と核酸系に大きく分けられます。

核酸は、ヌクレオチドとも呼ばれるリン酸を含んだ物質で、生物の代謝や運動エネルギー源となるアデノシン三リン酸(ATP)が有名です。

三大うま味成分とされるグルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸のうち、イノシン酸、グアニル酸は核酸系に分類されます。

この3つにアスパラギン酸とコハク酸を加えて五大うま味成分とすることもあり、コハク酸は有機酸系に分類されます。

有機酸とは、窒素を含まない炭素化合物で、エネルギー代謝サイクルに重要な物質です。

 

【イノシン酸】

カツオ節のうま味成分として発見され、カツオ節に多く含まれることで知られています。

体内のATPが酵素により分解された後の生成物で、肉や魚など動物性の食材に多く含まれます。

筋肉中にもともと含まれるアデニル酸が、動物の死後、酵素の働きによりイノシン酸に変化して増えます。

 

 

【グアニル酸】

干しシイタケなどの乾燥キノコやドライトマト、ズワイガニ、ウニなどに多く含まれます。

乾燥キノコの戻し汁にはグアニル酸の元となるリボ核酸が抽出され、それを一定の温度帯で加熱するとグアニル酸に変わるそうです。

生のキノコ類は細胞壁が壊れていないので、リボ核酸が抽出されにくく、グアニル酸の生成量が低いとのことです。

 

 

【コハク酸】

コハク酸脱水素酵素という形で体内に存在しています。

貝類や清酒のうま味成分で、酸味や苦味と混ざったようなうま味となります。

コハク酸をメインとした調味料は一般的ではありませんが、美容や健康への働きもあるため化粧品や入浴剤にも使われているそうです。

 

 

うま味物質は単独で使うよりも、アミノ酸であるグルタミン酸と、核酸系のイノシン酸やグアニル酸を組み合わせることで、うま味が飛躍的に強くなることが知られており、それを「うま味の相乗効果」と呼びます。

グルタミン酸とイノシン酸の比率が1:1の時にもっともうま味が強くなるそうで、単独で味わうときに比べて約7〜8倍とされています。

 

世界各地で古くから、うま味を組み合わせて出汁をとることが経験的に行われてきました。

例えば、和食では昆布(グルタミン酸)とカツオ節(イノシン酸)、洋食ではトマト(グルタミン酸)と海老(イノシン酸)とムール貝(コハク酸)、セロリ・タマネギ・ニンジン(グルタミン酸)と牛肉(イノシン酸)、中華料理では白菜・ネギ(グルタミン酸)と鶏肉(イノシン酸)、など。

 

<参考サイト>

・うま味の成分

https://www.umamikyo.gr.jp/knowledge/ingredient.html

・旨味とは?主要な5つの旨味成分と多く含まれている代表的な食材

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/umami-component

・イノシン酸とは?鰹節に多く含まれているイノシン酸の生成メカニズム

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/inosinic-acid

 

 

 

 


 

④ うま味を発見したのは日本人

 

うま味は基本味の一種で、甘味・酸味・塩味・苦味の4つの基本味を混ぜ合わせてもつくることができない、独立した味です。

基本味は長年、甘味・酸味・塩味・苦味の4つであると考えられてきました。

1908年、池田菊苗博士が昆布出汁の主要な味の成分であるグルタミン酸の抽出に成功し、その味を「うま味」と命名しました。

 

これに続いて、カツオ節に含まれるイノシン酸、干しシイタケに含まれるグアニル酸も、うま味を持つことが解明されました。

池田菊苗博士は、グルタミン酸を主成分とした調味料(グルタミン酸ナトリウム)の製造法特許を取得しました。

この功績により特許庁の「日本の十大発明家」の一人に選ばれています。

1909年には最初のうま味調味料が市販され、1940年代までには世界各地でも販売されるようになり、現在では世界100カ国以上で広く使われているそうです。

1985年に開催された「第一回うま味国際シンポジウム」を機に、「うま味(UMAMI)」という用語が国際的に使用されることになったそうです。

 

うま味は、欧米では長らく味覚として捉えられていませんでした。

ようやく味覚として認められたのは2002年以降、うま味の受容体が発見されてからだそうです。

人間は舌にある味蕾により味を感じます。

味蕾とは、味を感じる味細胞が数十個集まっている器官です。

味細胞にあるタンパク質分子である味覚受容体の中で、グルタミン酸により強く活性化されるものがあることが分かったのが2002年とのことです。

ちなみにうま味の相乗効果の分子メカニズムが解明されたのは、2008年。

イノシン酸などの核酸系のうま味成分が、うま味受容体においてアミノ酸とは異なる部位に結合し、受容体の活性を増強することで、受容体がグルタミン酸のうま味をより強く受け取るようになることが分かりました。

 

 

<参考サイト>

・食とアミノ酸

https://www.ajinomoto.co.jp/amino/life/shoku.html

・うま味の知識

https://www.umamikyo.gr.jp/knowledge/discovery.html

・世界で認められてこなかった「旨味」が味覚研究の鍵になっている

https://www.meiji.net/it_science/vol377_yasuka-toda

 

 

 

 


 

⑤ うま味を多く含む食品とは

 

うま味は、私たちが普段から口にする様々な食品に含まれています。

その中でもうま味を多く含むいくつかの食品について、調べてみました。

 

【昆布】

褐藻類に属し、北海道を中心に広く東北の一部にかけて収穫されます。

グルタミン酸を豊富に含み、アスパラギン酸も含みます。

主に出汁用として使われるのは、真昆布、羅臼昆布、利尻昆布です。

2 年成長したものを7月から9月にかけて収穫し、その日のうちに乾燥します。

 

昆布出汁の取り方には、「水出し」と「煮出し」があります。

「水出し」は、昆布を水に入れてラップや蓋をして冷蔵庫で一晩寝かせます。

「煮出し」は、鍋に水と昆布を入れて30分ほど置いてから火にかけ、沸騰直前で昆布が浮いてきたら取り出します。

昆布のうま味は60℃で最も抽出され、80℃を超えると抽出されにくくなるそうです。

昆布を取り出した後の出汁は、臭みをなくすため沸騰させたら完成です。

 

 

【カツオ節】

タンパク質が豊富なカツオを乾燥させて、発酵を誘発する有益なカビを含浸させることにより、深く豊かな風味を生み出しています。

数カ月かけて完成したカツオ節は、削り機で削られ和食の出汁に使用されます。

生のカツオよりもイノシン酸が豊富に含まれ、昆布出汁のグルタミン酸と合わせるとうま味が相乗的に増します。

薄く削ることで、水に溶けやすい性質を持つイノシン酸の抽出を短時間で行うことができ、水に溶けにくい他のアミノ酸の雑味や濁りを防ぐそうです。

 

カツオ節の出汁の取り方は、鍋に水を入れて火にかけ、気泡がポコポコ湧いてくる程度に沸騰したら火を止め、すぐにカツオ節を入れ、蓋をせず10分置きます。

厚削りの場合は、火を止めずに弱火で10分~20分煮出します。

ザルにキッチンペーパーを敷いてゆっくり出汁を濾したら完成です。

カツオ節を混ぜたり搾ったりすると苦味や生臭さが出てしまうそうです。

 

 

【干しシイタケ】

生のシイタケにはグルタミン酸やイノシン酸が豊富に含まれています。

乾燥させることでグアニル酸が生成し、また水分が減ることでうま味成分が凝縮されます。

干しシイタケは風味豊かで独特の香りがあり、その戻し汁は出汁として利用されます。

 

干しシイタケのうま味は10℃を超えると破壊され始めるそうなので、水に干しシイタケを入れてラップや蓋をして冷蔵庫で一晩寝かせて出汁を取るのが良いそうです。

 

 

【醤油】

大豆・小麦・塩を主原料とし、微生物による発酵によってつくられる液体発酵調味料。

醤油のうま味は、大豆と小麦に含まれるタンパク質が麹菌の酵素で分解され、グルタミン酸を始めとする約20種類のアミノ酸に変化することで生まれます。

基本味の5味をすべて兼ね備え、300種類以上の香り成分を持ち、料理に深い味わいを与えます。

 

 

【味噌】

原料である大豆にはタンパク質が豊富に含まれており、麹菌の働きにより、味噌ができるまでの発酵過程で、その約30%がさまざまな種類のアミノ酸に分解されていきます。

グルタミン酸が最も多く含まれ、次いでアスパラギン酸が多く含まれます。

発酵期間が短い白味噌はアミノ酸の量は少なく、発酵期間が長くなるほどアミノ酸が増えていきます。

 

 

【トマト】

グルタミン酸を多く含み、熟すにつれてさらに増えます。

ドライトマトは、うま味が凝縮されています。

世界中でトマトを用いた調味料が使われています。

トマトソースは一般的に肉や魚と一緒に食されるため、肉や魚に含まれるイノシン酸との相乗効果でうま味が一層強く感じられます。

 

【チーズ】

チーズは熟成期間が長くなればなるほど、タンパク質がアミノ酸に分解され、うま味成分が増加します。

通常2年間、最高級品では4年間も熟成させる「パルミジャーノレッジャーノ」というチーズには、昆布に含まれるのと匹敵する量のグルタミン酸が含まれています。

他にも「エメンタール」や「チェダー」「カマンベール」などにも豊富だそうです。

熟成させていないフレッシュチーズには特有の味を持つ遊離アミノ酸がほとんど含まれていないため、あっさりとした味わいです。

 

【生ハム】

加熱工程のないハムで、イタリアのパルマハム、スペインのハモン・セラーノ、中国の金華ハムなどが有名です。

原料となる生の豚肉にはイノシン酸が豊富に含まれていますが、豚肉を塩漬けした後長期間熟成させることによりイノシン酸は減少し、グルタミン酸が増加します。

さらに水分が減少するのでうま味が凝縮されます。

 

 

 

<参考サイト>

・うま味を多く含む食品

https://www.umamiinfo.jp/richfood/

・うま味成分とは?種類の違いや含有量の多い食品も紹介

https://www.furutaya.com/blog/umami-ingredients/

・今日からできる!5つの素材別だしの取り方とだしがら有効活用方法

https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/stock-cooking

 

 

 

 


 

⑥ 日本人と外国人の味覚の違いとは

 

うま味が欧米で味覚として長年認められていなかったと前述しましたが、実際、日本人と外国人とで味の感じ方は違うものなのでしょうか?

日本人100名と外国人100名を対象に行われた「味覚力調査」(AISSY株式会社・2015年)によると、「うま味」についての日本人の正答率は71%で、外国人の正答率の34%の2倍以上だったそうです。

さらに「味覚力調査」の全体の傾向を見ても、外国人に比べて日本人の方が「味覚を感じる力が強い」ということが分かったとのことです。

 

また、世界各国の代表的な料理を比較したところ、日本の料理はうま味が強いという結果が出たそうです。

緑茶と紅茶、コーヒーの比較でも、緑茶は旨味の強さが特徴と言えるようです。

 

 

<参考サイト>

・日本人100名vs.外国人100名「味覚力調査」を実施/日本人の「旨味」正答率71%、外国人の正答率34%の2倍以上

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000012897.html

・日本人の味覚力は外国人の倍以上だった!

https://dime.jp/genre/416112/#google_vignette

 

 

 

 


 

⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島の美味しい出汁セット 編

 

小豆島の原風景とも言える、山あいの、川沿いに田畑が広がる中山(なかやま)に、 知る人ぞ知る美味しいシイタケを育てる「箭木(やぎ)椎茸園」があります。

その原木シイタケを使った干しシイタケを、美味しいめんつゆやスープに使えるようにとご相談させていただき、現在は干しシイタケを仕入れ、石井製麺所の手延べ麺とセットにしています。

 

ご相談に伺った際にはシイタケの栽培現場も見学させていただきました。

ほだ場(収穫場)一面にずらっと並べられたクヌギの原木は、 柔らかい日の光を浴びて、次に育つシイタケのために静かに力を蓄えているのでしょうか。

案内をしていただいたのは、五代目の箭木槙也さん。

代々ご家族でシイタケ農家を営まれており、現在は四代目であるお父様(箭木宏中さん)と、 親子二人で力を合わせて、原木の切り出しから乾燥(干しシイタケ)まで手掛けていらっしゃいます。

 

石井製麺所は海近くにある製麺所ですが、小豆島は車で少し走ると山の景色に出会います。

その山間の奥深いところに「箭木椎茸園」さんがあり、ここまで奥深く来たのは初めてでした。

 

シイタケ栽培に対するお考えをお聴きすると、「いかに雑菌に負けないように、シイタケ菌を原木内に行き渡らせるか」が勝負…とのこと。

原木の伐採と植菌の時期、木の種類や太さに応じたシイタケ菌の品種の選び方など、 目には見えない小さな菌のために心を配る、その仕事の一端を教えていただきました。

そんな箭木さんの育てる干しシイタケは、小豆島の産直でも人気で、島民にとって特別な一品です。

肉厚でうま味が詰まったシイタケは、いつもの食卓をちょっと贅沢なものにしてくれます。

「傘の裏側に黄色は、美味しい干しシイタケ茸の目印」 小豆島の“とっておき”の干しシイタケです。

 

 

【干しシイタケのうま味成分は、そうめん・うどんと相性バッチリ!】

 

箭木さん直伝の出汁の取り方は、 「干しシイタケを冷水で“5時間”かけてゆっくり戻す」こと。

干しシイタケのうま味成分グアニル酸の性質を踏まえた、これがベストな方法なのだそうです。

その干しシイタケのうま味を活かしためんつゆやお出汁で美味しい手延べ麺を召し上がってみてはいかがでしょうか。

いつもより時間をかけて、ちょっと贅沢な味をお楽しみください。

 
 
 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《美味しい出汁で味わう<夏>セット》 https://141seimen.thebase.in/items/86095113

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

2024年7月22日 【Vol.40】麺究者への道/チーズについて研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.40

麺究者への道/チーズについて研究してみる

 

 

 

 

先日、石井製麺所のお客様に「乾平うどん」のDMをお届けさせていただいたのですが、「乾平うどん」のご評価も色々いただくことができ、忙しくも嬉しい日々を過ごしております。

今だけの「小豆島カレーうどんセット」も販売しております。

宝食品様の「オリーブ牛ビーフカレー」のレトルトと、丸島醤油様の「味醤油」と「乾平うどん」をセットにした、まさに小豆島のカレーうどんのために集めたセットです。

セットを考える中で、色々と試食もしてみましたが、美味しくいただけるセットになっていると思いますので、こちらもぜひお試しください。

詳しくはブログを最後までご覧ください。

 

さて、現在、「発酵」や「熟成」の技術を活用した新麺開発を考えているため、「発酵・熟成」について色々調べているところですが、本当に「発酵・熟成」というジャンルは奥が深いですね。

前々回のブログ「麺究者への道」では、日本の食文化において「発酵・熟成」には欠かせない、日本酒について調べてみましたが、今回は打って変わって、「チーズ」です。

 

素麵とチーズでは、食べ方も全然違いますし、和と洋で世界観も異なります。

チーズは「発酵・熟成」の申し子とも言えるのではないでしょうか。

科学的な技術や知識など無かったときから「菌」や「酵母」といった、そのままではほとんど目に見えないものを活用するって、一体誰が始めたんでしょうか。

素麵づくりでは目に見えて、しかも手に取れる「小麦粉」「水」「塩」といった組合せを一日で麺に仕上げていきますが、気温や湿度、気圧など様々な要因と組合せながら安定した品質に仕上げていくことは、大変なことです。

「菌」のように目に見えない不確定なものを活用して、味わい、色、形、匂いなどなど均一に仕上げるのですから、膨大な経験知の集積だと思います。

コラムのネタを調べていると、その技術や製造方法など本当に興味深いものが多く、なにより産地というものが大変重要視されていることに気付きます。

 

以前にもブログで書きましたがGIといわれる産地を守る規格で、その製造方法はもちろん品質や味わいも守られています。

小豆島手延べ素麵も小豆島を代表する特産品で、日本三大素麵に数えられる産地です。

この産地としての誇りだけでなく、島の製麺所のみなさんと小豆島の手延べ素麵を守り、続け、そして進化させていきたいなと、改めて感じる回となりました。

 

今回も素麵からは少しお話が離れてしまいますが、一緒にチーズの世界を勉強してみませんか。

最後までお付き合いをお願いいたします。

 

 

【目次】

① 世界各地で発展するチーズ、始まりはメソポタミア地域

② 重要なのは発酵と熟成!チーズの定義と製法

③ ナチュラルチーズの7つのタイプとは?

④ 地理的表示(GI)で保護されるEU産チーズとは?

⑤ 産地由来が多い!世界のチーズの名前

⑥ 日本のチーズ「蘇」とは?「醍醐」もチーズ?

⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島のカレーうどんといったらコレ? 編

 

 


 

① 世界各地で発展するチーズ、始まりはメソポタミア地域

 

チーズが生まれたのは紀元前4000年頃で、人類最古の食品の1つと言われています。

古代エジプトの壁画にチーズの製造法が描かれていたそうです。

紀元前6000年頃から、人類は家畜化した山羊や羊の乳を搾り食用とするようになっていました。

自然界に存在する乳酸菌の働きにより乳が固まり水分が分離するのを発見したのが、チーズづくりの起源とされています。

乳は水分が多く栄養豊富で傷みやすく、搾りたてでなければ飲むことができなかったため、乳を保存する方法の1つとしてチーズが生まれたようです。

紀元前4000年頃、メソポタミア地域(チグリス川、ユーフラテス川流域)から東西に広がっていき、世界各地でそれぞれの気候風土や生活様式に根差したチーズが生み出されてきました。

 

 

ヨーロッパへはトルコ・ギリシャを経て伝わり、ローマ時代には平民や兵士たちも毎日チーズを食べるほど広く普及していたようです。

チーズづくりは大切な産業になり、紀元前36年以後には詳細なチーズの製造法の記録があるとのことです。

品質が改良され種類も増え、裕福な階層では少なくとも13種類のチーズが食べられていたそうです。

現存するヨーロッパ最古の料理書を書いた美食家マルクス・ガビウス・アピシウスも、チーズ料理について書き残しています。

ローマのヨーロッパ制覇に伴いチーズはヨーロッパ全土に広がりました。

チーズの製法は秘伝のような形で伝えられ、中世の修道院や封建領主によっても守られ、それぞれの地方で多彩な種類のチーズが生まれました。

 

メソポタミア地域からシルクロードに沿って、パキスタン、インド、モンゴル、中国へ伝わったルートもあります。

インドでは紀元前3000年のものとされる「ベーダの賛歌」に、チーズを勧める歌があるそうです。

また、紀元前2000年頃のアラビアに、チーズ誕生にまつわる民話があります。

アラビアの商人が、羊の胃袋でつくった水筒に乳を入れラクダの背にくくりつけて旅に出ました。

1日の終わりに乳を飲もうとすると黄色っぽい液体と白い塊になっており、その固まりを食べてみると非常に美味しかった、というものです。

羊の胃袋にある「レンニン(キモシン)」という酵素が乳を凝固させ、歩いている間に揺られてチーズになるという原理は、今でもチーズ製造に利用されているものです。

 

 

日本へは、飛鳥時代に中国を経て百済(くだら)から伝わったとのことです。

6~7世紀頃、仏教とほぼ同時期に、乳牛を飼うことが伝えられ、チーズの原型「蘇」が日本にもたらされました

牛乳を煮詰めて固めたもので、栄養価が高いことから珍重され、身分の高い貴族しか口にすることのできない貴重なものでした。

平安時代には蘇を天皇に献上する制度ができ、盛んにつくられるようになりました。

その後、権力が武家に移るにつれてこの制度もなくなり、蘇もつくられなくなっていったとのことです。

 

江戸時代、八代将軍徳川吉宗はオランダ人の勧めにより、1727年にインドより白牛を輸入し、現在の千葉県南房総市に牧場をつくり、その牛の乳から「白牛酪(はくぎゅうらく)」をつくり始めました。

牛乳を煮詰め乾燥させて団子状に丸めたもので、バターという説もありますが、よりチーズに近いものと考えられています。

疲労、衰弱、栄養不足からの回復のため、削って食べたり、湯に溶かして飲んだりしていたそうです。

 

現在私たちが食べているような西洋型のチーズは、1875年に、北海道の開拓庁の試験場で、アメリカのエドウィン・ダンが、チェダーチーズの製法を指導したことが始まりとされています。

1904年頃から函館のトラピスト修道院でもつくられるようになりました。

 

昭和初期までチーズの消費量はごくわずかで、ほとんどが輸入品でした。

日本で本格的につくられるようになったのは、1933年、北海道製酪販売組合連合会(現在の雪印メグミルク株式会社)が、北海道の遠浅にチーズ専門工場をつくってからだそうです。

ゴーダチーズの生産を本格的に開始し、1934年には「雪印北海道チーズ」(プロセスチーズ)が発売されました。

 

戦争によりチーズ生産の一時中止を経て、戦後、食生活の洋風化や生活水準が向上した1950年後半からチーズの消費は急激に伸びました。

ピザやチーズケーキの広まり、ワインブームや健康機能への注目などもあり、チーズは日本人の食生活に定着しています。

 

 

<参考サイト>

・世界のチーズの歴史

https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/history/world/index.html

・チーズの歴史

https://www.j-milk.jp/findnew/chapter3/0101.html

・【Milk Knowledge】世界のチーズこぼれ話

https://www.j-milk.jp/knowledge/products/hn0mvm0000005mj6.html

・チーズの歴史

https://www.qbb.co.jp/enjoy/cheese/history

・日本のチーズの歴史

https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/history/japan/

 

 

 

 


 

② 重要なのは発酵と熟成!チーズの定義と製法

 

チーズは、乳酸菌や酵素の働きにより、乳のタンパク質(カゼイン)を固めたもので、原料となる乳の種類や発酵形式により様々なチーズができます。

「FAO/WHO(国連食糧農業機関/世界保健機関)」による定義では、チーズとは、フレッシュまたは熟成した、固形または半固形の製品で、以下のいずれかの方法でつくられたものです。

(a)凝乳酵素(レンネット)または微生物や植物由来の凝固剤の作用により、乳、脱脂乳、部分脱脂乳、クリーム、ホエイクリーム、バターミルク、またはこれらの混合物を凝固させ、この凝固物より分離する乳清(ホエイ)を部分的に流出させてつくるもの。

(b)乳および、乳から得られる原料を用い、凝固を引き起こす加工技術により、(a)に限定されている製品と同じ化学的、物理的、官能的な特徴を持つ製品。

 

凝乳酵素とは、反芻動物の第4胃から抽出した酵素のことで、微生物からつくるものもあります。

 

チーズは「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2つに分けることができます。

 

【ナチュラルチーズ】

牛や山羊、羊などの乳に乳酸菌や凝乳酵素を加え、乳のタンパク質を凝固させて凝乳(カード)をつくり、そこから乳清の一部を取り除いたものです。

ナチュラルチーズは、時間の経過に伴いワインのように熟成変化していき、複雑な風味を持ちます。

原料や製法、風土の違いなどにより、世界中で1000種類以上あるそうです。

 

【プロセスチーズ】

1種類または数種類のナチュラルチーズを砕き、タンパク質を溶かす働きのある乳化剤を加えて加熱・溶融・乳化し、再び成形して冷却したものです。

加熱することにより熟成に関与する微生物や酵素の働きを止めるため、保存性に優れ、品質が安定しています。

スライス、キャンディ、ブロックなど様々に形状を変えられ、幅広い料理に利用されています。

日本で多く消費されているのがプロセスチーズです。

 

 

チーズの製造には乳酸菌が欠かせません。

搾った乳を温かいところに置いておくと、乳酸菌の働きにより乳糖が乳酸に変わるため酸っぱくなります。

これが乳酸発酵という、チーズづくりの基本的な工程の1つです。

乳酸発酵によりpHを下げることで有害微生物の繁殖を防いだり、チーズ特有の味や香りをつくり出したりします。

チーズがどのようにつくられているか、種類や産地により異なる部分もありますが、一般的な製法について調べてみました。

 

【ナチュラルチーズ】

<加熱殺菌>

原料となる生乳を加熱殺菌します。牛乳は食品衛生法により、「保持式により摂氏63度で30分間加熱殺菌するか、またはこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること」と規定されています。チーズ製造の場合は、63で30分の低温長時間殺菌か、72~75で15秒の高温短時間殺菌が一般的です。

もともと乳の中にいた乳酸菌は他の雑菌とともにいなくなってしまうため、次の工程で改めて純粋培養した乳酸菌を加えます。

 

<凝固>

乳酸菌や凝乳酵素を加えると、タンパク質が固まりプリン状になります。

固まったものを凝乳と呼びます。

 

<カード切断>

凝乳をカットすることで表面積を大きくし、水分(乳清)を出しやすくします。

柔らかく仕上げるチーズは乳清をあまり抜かず、硬く仕上げるものはカードを細かく切って乳清をより多く分離します。

 

<攪拌・加熱>

カード全体を静かに攪拌し、徐々に温度を上げていくと、カードが収縮して弾力のあるカード粒となります。

 

<型詰・プレス>

カード粒を型に詰めて圧搾し、さらに水分を出します。

熟成しないフレッシュタイプのチーズはここで完成です。

 

 

<加塩>

雑菌の繁殖を抑え風味を良くするため、塩を加えます。

表面に塩を擦りこむか、または塩水に浸します。

白カビタイプやウォッシュタイプのチーズでは、この後周囲から微生物を付けていきます。

 

 

<熟成>

熟成庫に置き、各チーズに適した温度、湿度、期間で熟成させます。

チーズに存在する微生物や酵素の働きで、タンパク質が分解されアミノ酸になり、香りや旨みがどんどんつくられます。

 

 

【プロセスチーズ】

<粉砕>

原料となるナチュラルチーズを細かく粉砕します。

1種類の場合から数種類の場合まで様々です。

 

<加熱・溶融・乳化>

75~120℃で加熱しながら乳化剤である溶融塩(リン酸ナトリウムなど)を加え、溶かします。

加熱により発酵熟成が止まるので、風味や品質が安定し、長期保存が可能になります。

 

<型詰・成型>

熱いうちに型に流し込み、いろいろな形に成型します。

 

<冷却>

冷やして固めます。

 

ナチュラルチーズの多種多様な風味や香りを特徴づけるのに重要な工程が、熟成です。

ヨーロッパなどにはチーズの熟成を専門に行う「チーズ熟成士」という職業があり、チーズの本場フランスでは、職人にとって最高の栄誉である「M.O.F(フランス最優秀職人)」の称号の対象となっているそうです。

熟成士は生産者からチーズを買い入れ、独自の熟成庫で温度や湿度の管理、反転(チーズを均等に熟成させたり形を整えたりするための作業)やブラッシング(外側のカビや微生物の量を調節する作業)などをしながら、丁寧にチーズを熟成して市場に送り出しているとのことです。

 

 

<参考サイト>

・チーズの定義

https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/teigi/

・チーズの作り方

https://www.chesco.co.jp/cheese/dictionary/make/

・チーズの製造方法

https://www.j-milk.jp/findnew/chapter3/0303.html

・チーズができるまで

https://cheese-fun.jp/basic/process/

・牛乳はどのように殺菌されているのですか?

https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_012_463/

・LTST殺菌

https://www.cheese-professional.com/article/news/detail.php?KIJI_ID=1240

・チーズ学

https://www.j-milk.jp/knowledge/nutrition/berohe000000efu5.html

・チーズの熟成について

https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/made/mature/

・チーズ熟成士

https://www.lammas.jp/page/14#:~:text=%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA%E7%86%9F%E6%88%90%E5%A3%AB%E3%81%AF%E3%80%81%E3%83%81%E3%83%BC%E3%82%BA,%E5%B0%82%E9%96%80%E3%81%AB%E8%A1%8C%E3%81%86%E8%81%B7%E6%A5%AD%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E4%B8%81%E5%AF%A7%E3%

・チーズ熟成士

https://www.order-cheese.com/content/category/fromager-affineur

・「熟成士 Affineur ~アフィナー~」とは

https://www.lecomptoir.co.jp/blogs/about-cheese/cheese-affineur

 

 

 


 

③ ナチュラルチーズの7つのタイプとは?

 

ナチュラルチーズは、さらに7つのタイプに分けられます。

 

【フレッシュタイプ】

熟成させないため、他の6タイプに対して「非熟成タイプ」とも呼ばれます。

水分が多くてやわらかく、ミルクの香りとさわやかな酸味があり、つくりたての風味を楽しむチーズです。

代表的なものは、モッツァレラ、リコッタ、カッテージ、クリームチーズ、マスカルポーネなど。

モッツァレラは、熱湯の中で固まった凝乳を練るという製造工程が一般的だそうです。

シンプルな味わいで、弾力と食べ応えがあります。

リコッタは、モッツァレラをつくる際の乳清を加熱してつくるそうです。

カッテージはやわらかいそぼろのような口当たりが特徴。

クリームチーズは原料にクリームを使用しており、脂肪分が高めでこってりとした濃厚な味わいです。

マスカルポーネは原料のクリームを加熱しクエン酸を加えたものを凝固させてつくります。

ややクリーム色で、口当たりなめらかでほのかな甘みがあります。

 

【白カビタイプ】

白カビを表面に植え付け、乳酸菌とともに熟成させます。

外側から内側へと熟成していき、熟成が進むにつれ中がクリーム色になり、とろりとして味や香りも変化します。

表皮に分厚い白カビをまとい、中身はやわらかく食べごたえのあるカマンベールや、ブリー、バラカなどが代表的です。

 

【青カビタイプ】

ブルーチーズとも呼ばれます。

内部に青カビを植え付け、乳酸菌とともに熟成させます。

内部は大理石のような美しい青い模様になり、青カビが独特の香りと風味を生みます。

イタリアのゴルゴンゾーラ、フランスのロックフォール、イギリスのスティルトンは世界3大ブルーチーズとされています。

他に、ババリアブルー、ダナブルーなどがあるそうです。

ゴルゴンゾーラには、やわらかくてマイルドな味わいの「ドルチェ」と、青カビの風味がしっかりしている硬めの「ピカンテ」の2種類があります。

ロックフォールは、原料である羊の乳の独特な甘味と、洞窟で熟成させることで生まれる複雑な風味が特徴の個性的なチーズです。

スティルトンは、塩味が聞いたシャープな味わいとのことです。

【ウォッシュタイプ】

熟成の際に表面を塩水やビール、ワイン、ブランデーなどで何回も洗いながら、内部を熟成させます。

独特の強い香りがする個性的なチーズ。

表面はオレンジ色で、内部はクリーム色です。

代表的なものは、マロワル、エポワス、ラングル、リヴァロ、ポン・レヴェックなど。

エポワスは地酒であるマール・ド・ブルゴーニュで洗うため、香ばしさと複雑な風味があります。

 

【シェーブルタイプ】

「シェーブル」とはフランス語で山羊の意味。

濃厚でコクのある山羊の乳でつくられます。

小型で乾燥熟成したものが多いそうです。

熟成が若いうちはさわやかな味わいで、熟成が進むに連れて酸味がまろやかになり、より複雑な風味に変化します。

代表的なものは、ヴァランセ、クロタン・ド・シャヴィニョル、サント・モール・ド・トゥレーヌ、バノンなど。

ヴァランセはかつてスラッとしたピラミッド型をしていましたが、エジプト遠征で敗北したナポレオンの命令により、上部が切られたピラミッド型になったと言われるチーズです。

サント・モール・ド・トゥレーヌは、薪のような細長い形をしたチーズで型くずれしないよう中心に藁を入れて熟成します。

表面は木炭がまぶされているためグレー色なのが特徴です。

 

【セミハードタイプ】

殺菌乳を凝乳酵素で固めた後、プレスして水分を取り除き、乳酸菌により時間をかけて熟成させます。

くせのない味わいで、食べ頃が長く続き、水分量が少なく保存しやすい硬質のチーズです。

代表的なものは、ゴーダ、マリボー、サムソーなど。

 

【ハードタイプ】

1〜3年と長期熟成させてつくる、水分量がとても少なく硬いチーズです。

粉状にして使われることもあります。

代表的なものは、チェダー、エメンタール、ラクレット、エダム、パルミジャーノ・レッジャーノ、コンテ、パルメザンなど。

パルミジャーノ・レッジャーノは「イタリアチーズの王様」とも呼ばれます。

最低熟成期間が12カ月と長く、旨味とコクがギュッと詰まっています。

コンテは山の中でつくられ、「山のチーズ」とも呼ばれます。

直径約55〜75cmの大きい車輪型で、マイルドで食べやすい味わいです。

雪に覆われる冬を越すために保存食として食べられていた歴史もあるそうです。

 

 

<参考サイト>

・チーズの種類

https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/know/lovable-milk/cheese/

・チーズの種類

https://www.qbb.co.jp/enjoy/cheese/type/

・チーズの種類やタイプを分類!歴史から製造方法、食べ方までプロが解説

https://macaro-ni.jp/108364

 

 

 

 


 

④ 地理的表示(GI)で保護されるEU産チーズとは?

 

チーズはヨーロッパで多く生産・消費されており、EUでの年間生産量は1000万トン以上にも上り、その9割以上がEU域内で消費されています。

今後の販路としてEU域外での市場拡大を目指す中で、地理的表示(GI)制度で保護されるものがEU産チーズ全体の約1割あるとのことです。

GI制度は、地域特有の伝統的生産方法や生産地の自然的な要因によって、他にはない特性、高い品質、評価を獲得しているものについて、地理的表示(知的財産)を保護し、生産者と消費者の利益を守るものです。

EUと日本は、地理的表示を相互に保護しています。

例えばEUのチーズの地理的表示は日本でも保護されていて、次のような場合は規制の対象となります。

 

【ゴーダ・ホラント】

オランダ産でない非GIゴーダチーズにオランダの国旗等を付け、消費者に「ゴーダ・ホラント」と誤認させるような表示を行うこと。

 

【ゴルゴンゾーラ】

「○○県産ゴルゴンゾーラ」真正の産地を記載している場合であっても✕

「ゴルゴンゾーラへのオマージュを込めた国産ブルーチーズ」~種、~タイプ、~スタイル等の表現を伴う場合であっても✕

 

こうした地理的表示の保護が及ばない場合もいくつかあるそうです。

【パルメザン】

「パルミジャーノ・レッジャーノ」は日本で保護されるEUの地理的表示ですが、英語翻訳の「パルメザンチーズ」は粉チーズの代名詞として浸透しているため規制の対象から外されており、「パルメザン」や「パルメザンチーズ」は使用できるとのことです。

ただしイタリアの国旗とともに表示するなど誤認混同を生じる恐れのある表示は規制の対象となります。

 

【カマンベール】

「カマンベール・ド・ノルマンディ」は日本で保護されるEUの地理的表示ですが、「カマンベール」は日本ではすでに一般的な名称となっているため、規制の対象外となっており使用可能だそうです。

ただし「ノルマンディ風カマンベール」のような誤認混同を生じるおそれのある表示は規制の対象となります。

 

【モッツァレラ】

「モッツァレッラ・ディ・ブファーラ・カンパーナ」は日本で保護されるEUの地理的表示ですが、「モッツァレッラ」は日本では一般的な名称と考えられるため、規制の対象外だそうです。

 

 

<参考サイト>

・【レポート】地理的表示(GI)で保護されたEU産の伝統的なチーズについて

https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_001169.html

・地理的表示の相互保護-パルメザンは使える?

https://tsujinoka.com/2024/05/23/%E5%9C%B0%E7%90%86%E7%9A%84%E8%A1%A8%E7%A4%BA%E3%81%AE%E7%9B%B8%E4%BA%92%E4%BF%9D%E8%AD%B7%EF%BC%8D%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%81%AF%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B%EF%BC%9F/

 

 

 

 


 

⑤ 産地由来が多い!世界のチーズの名前

 

「1つの村に1つのチーズ」と言われるほど多くの種類のチーズがあるフランスでは、昔からの伝統的な製法でつくられているチーズを「AOP(EU統一の原産地名称保護)」チーズとして認定しています。

「チーズの教本2019」という本に載っているAOP指定のチーズ46種類のうち、チーズを産出する町や村の名前が付けられているものが31種類あるそうです。

いずれも大都市ではなく小さい村や地方名です。

世界のナチュラルチーズの名前の由来について、いくつか調べてみました。

 

【産地の村や地方の名前に由来するもの】

<フランス>

「カマンベール」「ロックフォール」「ブリー」「フルム・ダンベール」「ボフォール」「ブルー・デ・コース」「ブルー・ドーベルニュ」「リヴァロ」「ポン・レヴェック」「ブリ・ド・モー」「クロミエ」「マンステール」「クロタン・ド・シャヴィニョル」「ラングル」「エポワス」「モン・ドール」「アボンダンス」「マリボー」

 

<イタリア>

「パルミジャーノ・レッジャーノ」「タレッジョ」「ゴルゴンゾーラ」

<イギリス>

「チェダー」

<オランダ>

「エダム」「ゴーダ」

<スイス>

「グリュイエール」「エメンタール」

 

【製造方法に由来するもの】

「モッツァレラ」引きちぎるの意味。引きちぎって成形することから。

「クラッレ・リヨネ」リヨンの平手打ちの意味。打ちつけるようにつくることから。

「リコッタ」二度煮るの意味。モッツァレラ製造時に出た乳清を加熱して固めることから。

 

※写真はPhoto ACより「モッツァレラチーズ トマト バジリコ」

 

【形状に由来するもの】

「クロシェット」鈴の意味。

「ボントン」樽の栓の意味。

「テート・ドゥ・モアン」修道士の頭形の意味。

「プロボローネ」ボール形の意味。

「テティージャ」小さな胸の意味。

「バラカ」馬蹄形の意味。

「カチョカヴァッロ」馬のチーズの意味。葦の葉でくくり、長い棒に吊るして熟成させる様子が、馬にまたがった姿に似ていることから。

 

※写真はPhoto ACより「カチョカヴァッロ」

 

【色に由来するもの】

「ダナブルー」青カビを使ったブルーチーズ。

「ババリアブルー」青カビを使ったブルーチーズ。

「フロマージュ・ブラン」フレッシュタイプの真っ白なチーズ。

 

 

【人名に由来するもの】

「サン・ネクテール」サン・ネクテール元帥がルイ14世にこのチーズを献上したと言われている。

 

※写真はAdobe Stockより「サン・ネクテール」

 

【料理名にもなっているもの】

「ラクレット」フランス語で削るという意味の「ラクレ」が由来。

切り口をあたためトロリとなったところを削いで食べるスイス料理の名前。

 

 

<参考サイト>

・チーズの名前を知れば産地が分かる

https://www.cheese-professional.com/article/column/detail.php?KIJI_ID=1475

・チーズで世界旅行

https://www.meg-snow.com/cheeseclub/knowledge/world_journey/

・乳と乳製品のQ&A

https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_190_416/

 

 

 


 

⑥ 日本のチーズ「蘇」とは?「醍醐」もチーズ?

 

日本に飛鳥時代に伝わった、チーズの原型とされる「蘇」は、時を超えて2020年にSNSでそのレシピが話題になりました。

古代の法典である「延喜式(えんぎしき)」によると、牛乳をごく弱火で焦げないように8時間ほど煮詰め、元の10分の1くらいの容量になるまで水分を飛ばし、木型に流し込んで冷やし固形状にするそうです。

 

蘇は貴族や官人などしか食べられない高級食材でした。

聖徳太子が食べていたという説もあります。

美容や健康に良いとされ、平安時代には藤原道長が51歳で大病を患った際、蘇に蜜をかけた「蘇蜜煎」を食したそうです。

また、太政大臣の位についた時の宴で、甘栗と組み合わせた「蘇甘栗」を宮中より賜ったとのことです。

 

「蘇」は「酥」とも書かれ、「涅槃経(ねはんきょう)」という仏教の経典には「乳より酪(らく)、酪より酥(そ)、酥より醍醐(だいご)をつくる。醍醐は最上の美味」と記されています。

中国の本草書に「醍醐は酥の精なり」という言葉もあり、「蘇」をさらに煮詰めてつくった「醍醐」は最上級の物を意味し、「醍醐味」という言葉の語源であるとされています。

「醍醐」はチーズかバターオイルのようなものと考えられています。

 

※写真はPhoto ACより「蘇を作っている」

<参考サイト>

・古代日本人も味わった「醍醐味」 チーズの歴史を探る

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30615860X10C18A5000000/

・古代チーズ「蘇」

http://nara-shokubunka.jp/yamato/19-04.html

・SNSでよみがえる古代チーズ「蘇」って何?60分で作る簡単レシピ

https://macaro-ni.jp/87575

・農林水産省 蘇(そ)

https://traditional-foods.maff.go.jp/menu/so

・藤原道長も愛した古代チーズ「蘇(そ)」

https://torori.jp/cheese-trivia-so/

 

 

 

 


 

⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島のカレーうどんといったらコレ? 編

 

冬にご好評をいただく「手延べ半生うどん」、その夏用として販売を開始した「手延べ乾平(かんぴら)うどん」。

「乾平うどん」は、夏にも調理しやすいように茹で時間を短くした平らな麺が特長です。

でも、「ただ平たい麺」にしたわけではありません。

折角なら、夏に美味しいうどんメニューに何かないかと、身近な方々に好みなどをお聴きしたところ、「夏はカレー」をよく食べるという声があり、そのひとつのメニューとしてカレーうどんを食べることが多いと伺いました。

そこで、平たくした麺を、今度はカレーうどんとして美味しく食べられるようにするには?と色々試した結果、平麺の厚みや幅、麺の長さなども試行錯誤して、ようやく完成したのが「乾平うどん」です。

 

折角できた「カレーうどんにピッタリなうどん」ですから、今度はこれを使って小豆島らしさを加えてみようと行き着いたのが今回の「小豆島カレーうどん」セットです。

人気の高い宝食品様の「オリーブ牛ビーフカレー」のレトルトパックカレーを活かして、丸島醤油様の「味醤油」をベースのだしに使うことで、カレーうどんにピッタリなカレースープを作ることができます。

できたカレースープをゆでたての「乾平うどん」に掛ければ小豆島のカレーうどんのできあがりです!

 

暑くて食欲の落ちる夏でも、スパイスの利いたカレーうどんを食べて元気にお過ごしいただければと考えています。

今回のテーマの「チーズ」をトッピングして召し上がっていただいても濃厚さが増して美味しいと思います!

 

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

《小豆島カレーうどんセット》 https://141seimen.thebase.in/items/87804234

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。