石井製麺所通信
2025年9月8日 【Vol.65】麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<秋>
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.63
麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<秋>
8月上旬に伺う予定だった、小麦の産地、北海道十勝。
今年は例年に比べ、驚くほど収穫時期が早まり8月5日くらいに収穫の様子を拝見できれば…と考えていたのですが、なんとなんと、史上初めてという7月中旬過ぎでの収穫になるとのことで、8月の訪問を見送らせていただいていました。
また、7月、8月の異常な酷暑もあってか石井製麺所は、お盆を過ぎても製造・発送作業とフル回転でもあり、逆に8月には伺えそうにもなかったので、改めて仕切り直しとなりました。
そこで、先方様とのやり取りの末、9月下旬の秋蒔き小麦の種まきの時期にお邪魔させていただけるようご調整をいただきました。
9月24日〜26日の行程で十勝へ行ってまいります。
今からとても楽しみです。
小麦の収穫時期を拝見はできませんでしたが、種まきの貴重な時期を拝見できるは、次の収穫時期への期待も膨らむので、私としてはとても貴重な経験となります。
産地の方々が来年は様々な取り組みを考えてくださっていたり、イベントへの参加にお声がけいただいたりと既に来年の予定が埋まりつつあります。
製麺所として産地の農家さんや加工場の方々との交流は、望んでもなかなかできるものではないと思いますが、今回、重なったたくさんのご縁に心から感謝したいと思います。
酸いも甘いもあった7月、8月ですが、その暑さも薄れる(はずの)9月になりました。
製麺現場では、すでに来年の夏を目指して製造計画を立て、製麺に取りかかっているものも出始めました。
日中はまだまだ暑さが残り、製造時も暑さ厳しいですが、9月初旬の台風一過から一気に朝晩は涼しくなり、夜中や夕方の作業は随分楽になりました。
やはり季節は確実に移ろいでいくものですね。
急激な気温の変化や天候不順が続く時期になりますが、皆さまもどうぞ体調管理にはお気をつけください。
石井製麺所の家族みんなで健康には何よりも気を付けていきたいと思います。
さて、今回のブログは、日中暑さが残り、朝晩涼しくなるこの季節に向けてピッタリなテーマ「薬膳<秋編>」について調べてみました。
調べていると、なるほどと思えることばかりで自身の健康管理にも役立ちそうです。
皆さまの健康づくりにもお役立ていただければ幸いです。
※写真はPhotoACより
【目次】
① 薬膳の考え方<秋編>~肺を潤し体を整える
② 秋に摂りたい「白」の食材
③ 秋に摂りたい栄養素とは?
④ 《美味しい手延べ麺の紹介》手延べ乾平うどん 編
① 薬膳の考え方<秋編>~肺を潤し体を整える
秋は、太陽が地を照らす時間が短くなり気温も下がり始めるとともに、草や木は黄色や赤へと色づき、実を結ぶ実りの季節。
五行説において秋は「金」に属し、農作物の収穫の季節とされています。
中国の伝統的な医学「中医学」では、夏の陽気が徐々に減り、陰気が少しずつ増加してくる「陽消陰長」の季節とされます。
人間にとっても、夏の暑さで弱った体を癒やし体力を整える、厳しい冬に向けての準備期間となります。
秋の過ごし方としては、早寝早起きをして心穏やかに過ごすのが良いそうです。
※イラストはイラストACより
秋は空気が乾燥してきて、「燥邪」と言われる邪気が強くなり、肌や髪の乾燥、口や鼻、のどの渇き、便秘などが起こりやすくなります。
秋は「肺」の働きが活発になる季節とされています。
中医学で言う五臓六腑の「肺」は、呼吸により大気中のエネルギーを体に取り入れ、身体中に水分を巡らせる働きを持つ場所と考えられています。
肺は皮膚や粘膜とも関係が深く、肺をしっかり潤すことで美肌につながるそうです。
また、乾燥した空気は鼻や口から肺に入り込むため、肺の潤いがなくなるとのどが痛くなったりせきが出たりといった呼吸器系のトラブルが起こりやすくなります。
肺は大腸とも深い関係があると考えられており、肺の乾燥から便秘を引き起こしやすくなるそうです。
肺は悲しみの感情とも関わりが深いため、肺が弱りやすい秋には感傷的になったり、情緒が安定せず落ち込みやすくなったりすることもあるそうです。
※写真はPhotoACより
乾燥しやすい秋ですが、過剰な水分摂取は胃腸を弱らせ、消化吸収力が低下してしまうので、肺や身体を潤す働きのある食材から体内を潤すことが推奨されます。
立秋から立冬までの3カ月間のうち秋分の日あたりを境に2つの時期として考え、まだ暑い夏の名残のある「温燥」の時期には身体を冷やす食材を、冬の寒気が加わる「涼燥」の時期には身体を温める食材を摂るのが良いとされます。
おすすめは、「温燥」の時期には涼性、甘味・苦味の食材として、レンコン、キュウリ、トマト、白キクラゲ、牛乳、豆腐、貝類など。
「涼燥」の時期には温性、辛味・酸味の食材として、鶏肉、サケ、栗、もち米、サツマイモ、クルミ、黒ゴマ、はちみつなど。
ほか、松の実、白ゴマ、百合根、卵、豆乳、クコの実などは、肺を潤してくれます。
ビワ、ナシ、リンゴなどは、胃を養ってくれるそうです。
小松菜やアスパラガスなどは、体を潤してくれます。
熱性の食べ物や辛い刺激物(ニンニク、トウガラシ、コショウ、酒など)は、潤いを消耗するため控えめにするのが良いそうです。
※写真はPhotoACより
<参考サイト>
・秋薬膳は美肌に強い味方!陰陽&五行学説でインナーケア
https://yakuzen-hikari.com/yakuzenabc/autumn-yakuzen/
・秋の薬膳
https://www.tokyoyakuzen.jp/kiso/kisetu_aki.html
・vol.043 陰陽五行からみる秋の食養生とは。体と自然のバランスを整えてエネルギー溢れる生活を
https://www.villalodola.jp/magazine/column-043/
・秋の養生法で心も身体も潤す!内側から潤す3つの養生ポイント From 国際薬膳師 Miki
https://daylily.com.tw/blogs/magazine/autumn-cure-from-miki
・潤い不足には白い食べ物を
・秋は肺がダメージを受けやすいのはなぜ?秋におすすめの食材を活用して養生しましょう
・秋薬膳で乾燥対策!4つのポイントとおすすめ食材【国際薬膳師コラム】
https://shokuzenlab.com/column-condition-medicinal-cooking-autumn/
② 秋に摂りたい「白」の食材
秋は五行で言うと「金」の性質を持っています。
大地が黄金色に変わり、実りを収穫する時期を迎えます。
秋は私たちにとっても、読書や芸術鑑賞、スポーツにグルメと充実した日々を過ごせる、実りの季節。
1年で最も良い季節のうちから、厳しい冬に向けて備えることが大切です。
中医学では、秋に摂りたい食材の色は「白」とされています。
白い食材は肺に作用し、潤いを与えてくれると言われます。
秋の養生になる白い食材にはどんなものがあるか、調べてみました。
【レンコン】
生で食べると肌の潤いを保ち、乾燥肌や肌荒れの防止に役立つ。
加熱すると内臓を養い疲れを取る働きも期待できる。
※写真はPhotoACより
【山芋】
肺を潤し、風邪の引きはじめやせき、のどの乾燥に対する働きが期待される。
生薬でもあり「山薬」という名で多くの漢方薬にも使われている。
※写真はPhotoACより
【タマネギ】
体内の水分バランスを整え、血行を良くして体全体の潤いをサポートする。
※写真はPhotoACより
【大根】
肌の潤いを保ち、体内の水分バランスを整える。
※写真はPhotoACより
【白菜】
体を潤す作用があり、のどの乾燥や肌荒れに役立つ。
※写真はPhotoACより
【百合根】
熱を抑えて肺を潤す作用があり、乾燥した咳や肌の乾燥に役立つ。
精神を安定させストレス解消にも期待される。
※写真はPhotoACより
【梨】
水分が多く体を潤す作用がある。
薬膳で「潤肺止咳」と言われ、のどの乾燥やせきを抑えるのに役立つ。
※写真はPhotoACより
【白ゴマ】
便秘解消を助け、皮膚を潤す働きが期待できる。
※写真はPhotoACより
【豆腐】
水分補給や潤い不足防止の働きが期待できる。
※写真はPhotoACより
【牛乳】
水分補給に役立ち、乾燥肌や肌荒れ対策にも期待される。
※写真はPhotoACより
【豆乳】
肺に滞った余分な熱を冷まし潤す作用があり、口の渇きや肌の乾燥に役立つ。
※写真はPhotoACより
【ハチミツ】
肺や腸を潤す作用があり、せきや便秘、皮膚の乾燥に役立つ。
※写真はPhotoACより
【白キクラゲ】
体内の水分バランスを整え、乾燥肌やしわの対策が期待できる。
※写真はPhotoACより
【イカ】
体内の潤いを保つのに役立つ。
※写真はPhotoACより
<参考サイト>
・秋は、肺・からだ・肌をうるおす「白い」食材を
https://www.bodybook.jp/article/175376.html
・【薬膳レシピ】秋は「白い食材」がおすすめ★
https://zen-no-zen.com/news/recipe/6417.html
・肺や喉、皮膚を養生する季節の秋は“白い食べ物”がオススメ!?
https://weathernews.jp/s/topics/202010/090195/
③ 秋に摂りたい栄養素とは?
「秋バテ」という言葉を聞いたことがありますか?
秋は蒸し暑い夏の疲れが残り、また朝晩の寒暖差が大きくなるため体調を崩しやすい季節です。
秋バテのおもな原因は、体が気温や気圧の変化に適応しようとして、自律神経が乱れることだそうです。
一方で「食欲の秋」という言葉があるように、キノコ類や根菜、木の実、サンマやサケといった魚介類など多くの食材が旬を迎え、美味しく栄養価も高くなる秋。
旬の食材をバランス良く摂って、寒い冬に向けて体調を整えたいものです。
秋に特に意識して積極的に摂りたい栄養素と、おすすめの食材について、調べてみました。
【ビタミンA】
皮膚や粘膜を保護し、乾燥による肌荒れやのどの不調を防いでくれます。
多く含む食材は、ニンジン、カボチャ、ホウレンソウ、レバーなど。
※写真はPhotoACより
【ビタミンB群】
ビタミンB群には、栄養素の代謝を助け、また神経を正常に保ち健康維持を助ける働きがあります。
中でもビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えることで疲労回復に役立ちます。
水溶性で体内にためておくことができないので、食事からこまめに摂取する必要があります。
多く含む食品は、キノコ類、豚肉、レバー、サケ、玄米、豆腐、サツマイモなど。
※写真はPhotoACより
【ビタミンC】
抗酸化作用で細胞を酸化から守り、血行を良くして肌に栄養を届け、また肌の潤いを保つのに役立ちます。
皮膚や骨、血管などをつくる役割のあるコラーゲンの合成にも関わっています。
水溶性ビタミンなので、毎日の食事から意識して摂取しましょう。
多く含む食材は、サツマイモ、ナシ、カキ、ブドウ、キウイ、ブロッコリーなど。
※写真はPhotoACより
【ビタミンE】
抗酸化作用のほか、血流を良くして肌の新陳代謝を促進するなどの働きがあります。
アーモンド、アボカド、カボチャ、サンマなどに多く含まれます。
※写真はPhotoACより
【タンパク質】
体をつくる上で欠かせない栄養素で、心と体どちらの疲労にも役立つと言われます。
肉類や魚介類、卵、大豆製品などに豊富に含まれます。
※写真はPhotoACより
【オメガ3脂肪酸】
炎症を抑制し、肌のバリア機能を高める働きがあり、乾燥肌やアレルギー性の肌トラブルに役立つことが期待されます。
サケやサバ、イワシ、クルミ、亜麻仁油等に多く含まれます。
※写真はPhotoACより
【セラミド】
肌の保湿に役立つ脂質の一種で、肌の水分保持機能を高めます。
コンニャクや黒豆、小麦胚芽などに多く含まれます。
※写真はPhotoACより
【コラーゲン】
肌の水分保持機能を向上させ、乾燥を防ぐ働きがあり、皮膚の弾力や潤いを保つのに役立ちます。
多く含む食材は、鶏の手羽先、豚足、魚の皮など。
※写真はPhotoACより
【ヒアルロン酸】
体内で水分を保持し、乾燥を防いで肌や関節の潤いを保ちます。
鶏の軟骨やフカヒレなどに多く含まれます。
※写真はPhotoACより
【マグネシウム】
汗と一緒に排出されてしまうため、夏に失われやすい栄養素で、不足すると秋バテのような症状を引き起こす原因になります。
玄米、アーモンド、バナナなどに豊富に含まれます。
※写真はPhotoACより
<参考サイト>
・秋に生じる体の不調「秋バテ」とは-症状や対策・解消法を解説
・秋の味覚で体を整える 秋野菜
https://shun-gate.com/power/power_84/
・秋バテは食事でケア!隠れ栄養不足を救う食べ物は?
https://halmek.co.jp/beauty/c/healthr/10141
・その症状、秋バテかも?原因と対策、とるべき栄養素は
https://isom-japan.org/article/article_page?uid=UVYVX1548773221#chapter-4
・秋のカサカサ・パサパサ…秋の乾燥肌を防ぐ栄養ケア:美肌を守るポイント
https://www.ohga-ph.com/column/detail/?cms_id=686
④ 《美味しい手延べ麺の紹介》手延べ乾平うどん 編
9月に入り朝晩はめっきり涼しくなってきましたが、日中はまだまだ残暑厳しいですね。
そんな時におすすめしたいのが、この「手延べ乾平うどん」です。
独自の製法で平麺に仕上げ、「手延べ半生うどん」よりも大幅に茹で時間を短縮。
約5分でゆで上がります。
まだまだ日中の調理には、長時間の茹で時間は億劫になりますが、この麺なら手早く茹でてお召し上がりいただけますよ。
しかも、平麺は汁や出汁にも絡みやすいので、石井製麺所ではカレーうどんにおすすめしています!
お家のカレーで、ぜひ美味しくカレーうどんとして召し上がってみてください。
もちろん、冷やしうどんとしても美味しく召し上がっていただけます。
“手延べ”うどんならではのもちもちっとした弾力のある食感が楽しめ、手延べならではのツルツルッとしたのど越しも最高です。
冷やしに、カレーうどんに、そしてもちろん温麺にも大活躍な「乾平うどん」です。
秋の夜長、小腹の空いた時に夜食としてもツルツルッといかがでしょうか。
賞味期限も1年と長いので備蓄食としてもおすすめしています。
9月30日までの夏季限定商品ですので、ぜひこの機会にお求めください!
《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in
《乾平うどん》 https://141seimen.thebase.in/categories/5913110
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。