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2022年12月15日 【Vol.4】素麺の規格は太さにより決まっている

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.4

素麺の規格は太さにより決まっている

 

 

 

日本にはたくさんの麺文化がありますよね。素麺・うどんはもちろん、そば、ラーメン、パスタの他にも独自の呼び方・食べ方の麺がたくさんあります。

その中で少し細かく見ていくと、素麺と同様、小麦粉・食塩・水を主な原料とした麺に、「冷や麦」「うどん」「きしめん」があります。これらは日本農林規格(JAS)により、太さなどの規格が定められています。どのような規格があるのか、また、それぞれの麺がどのような特徴を持ち、どんな食べ方に適しているかをご紹介します。

 

三代目:Vol.2の《美味しい素麺》のコーナーでも触れましたが、産地の製法の違いや感覚でなく、厳格に規定で決められています。

呼び名はもちろん、茹で時間も、実は規定があったりします。

古くからあるものだけに、様々な発展や根付き方をしてきたことで、消費者の皆さんを困惑させてしまう恐れがあることから、こういう措置が取られたんでしょうね。特にパッケージの裏面などの表記に関わることなので、ぜひ皆さんも、いつも口にされている素麺やうどんの表記について見てみてください。

 

 

 

【目次】
 

① そもそも「素麺」と「冷や麦」はどう違う?

② JAS規格では麺の太さで分類している

③ 素麺の中でも太さの違いがある

④ 麺の太さで変わる食感と、おすすめの食べ方

⑤ 《産地紹介》長崎県・島原素麺

⑥ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺 編

 


 

① そもそも「素麺」と「冷や麦」はどう違う?

 
しばしば違いが取り沙汰される「素麺」と「冷や麦」ですが、もともとはその製法が異なったようです。

「素麺」は生地を手で細くのばして作り、「冷や麦」は平らな板と麺棒を使って生地を薄くのばし、刃物で細く切って作ったものです。

室町時代の記録に、素麺の起源とされる「索麺」、また冷や麦の起源とされる「切麦」という言葉が見られます。

室町中期の書物「尺素往来」に、「索麺は熱蒸(あつむし)、截麺(きりむぎ)は冷濯(ひやしあらい)」と書かれていることから、細めの切り麺のことを「冷や麦」と呼ぶようになったと考えられています。

素麺の産地が多い西日本では素麺が好まれる一方、東日本ではそばと同じ太さの冷や麦が好まれる傾向にあるという説もあります。

後の明治時代に発明された製麺機では刃の間隔を調整するだけで素麺や冷や麦、うどんが作れるようになったため、それぞれの麺の違いが曖昧になってきてしまいました。

そこで、1968年に日本農林規格(JAS)による規格が制定されたのです。

 

 

<参考サイト>

・日経スタイル

https://style.nikkei.com/

※上記サイト内「「そうめん」と「冷や麦」、違いは何なのか」のページなんですが、URLが大変長く、短縮もできなかったので、トップページのURLを入れています。ご興味のある方は、検索してみてください。

・“そうめん”と“ひやむぎ”の違いは?

https://sozairyoku.jp/%E2%80%9C%E3%81%9D%E3%81%86%E3%82%81%E3%82%93%E2%80%9D%E3%81%A8%E2%80%9C%E3%81%B2%E3%82%84%E3%82%80%E3%81%8E%E2%80%9D%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AF%EF%BC%9F

 

 


 

② JAS規格では麺の太さで分類している

 
JAS規格が制定される前までは、1寸の幅に麺線が何本あるか(例えば「ひやむぎ」は18本から22本、「そうめん」は24本以上など)により分類していました。JAS規格では、おもに太さの違いによって麺を分類しています。主原料に小麦粉と塩を使い乾燥させた「乾めん類」についての規定は、「機械製麺の場合、長径1.3ミリメートル未満が『そうめん』、1.3ミリメートル以上1.7ミリメートル未満が『冷や麦』」となっています。また、太さ1.7ミリメートル以上の麺は「うどん」、4.5ミリメートル以上では「きしめん」となります。

手延べ製麺の場合は少し異なっており、太さ1.7ミリメートル未満であれば「そうめん」「冷や麦」のどちらの名前を使ってもよいとされています。これは、200年以上の歴史を持つ徳島県の半田素麺が太さ1.7ミリメートル前後という特徴があり、「冷や麦」に分類されてしまったため、2004年に規格改定され「そうめん」と表記できるようにしたものだそうです。

 

<参考サイト>

・乾めんJAS規格による分類・太さの比較
http://himeji.jibasan.jp/kanmen/classification/index.html

・ひやむぎとそうめんの違い
https://www.kanmen.com/topic/04_chigai.html

 

 


 

③ 素麺の中でも太さの違いがある
 

太さにより分類される素麺の中でも、前述の半田素麺のように太いものもあれば、熟練した職人の手腕を活かした極細のものもあります。日本三大産地のひとつである奈良県・三輪素麺の、太さによる等級分類があるので、ここでは参考までにご紹介いたします。

 

《三輪の神杉(かみすぎ)》約600本 (1束/50gあたり)

三輪素麺を代表する、限定された生産者しか作れない超極細の最高等級品。しっかりしたコシによる食感、茹で上がりのツヤ、上品な口当たりが感じられます。

 
《三輪の緒環(おだまき)》約475~525本 (1束/50gあたり)

極細専用の小麦粉を使用し、限られた時期にのみ、限定生産者により作られています。極細ながら弾力のある歯応えが特徴です。 

 

《三輪の瑞垣(みずがき)》約400~475本 (1束/50gあたり)

厳寒期のみの生産。通常の三輪素麺より細めに作られ、指定生産者が管理された専用の蔵で熟成させてから出荷している古物(ひねもの)で、しっかりしたコシがあります。

 

《三輪の誉(ほまれ)》約350~400本 (1束/50gあたり)

三輪素麺の生産量の約90%を占めるレギュラー品。手延べ製法の基本を守り、厳選された小麦粉と塩で小麦の風味を生かし、味わい深く仕上げています。

 

 

<参考サイト>

・同じそうめんでも実は違う!?意外と知らないそうめんの太さとその違いとは

https://ikerishop.com/wp/150/

・そうめんの等級

https://www.miwasoumen-kumiai.com/kodawari/grade.html

・日本一細いそうめんと日本一太いそうめんの秘密を探る!

https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/03/post-9720.html

 

 


 

④ 麺の太さで変わる食感と、おすすめの食べ方
 

素麺と言えば、冷たいつゆにつけて食べる夏の食べ物というイメージを持つ人が多いようですが、実は温かくしても美味しく食べられます。細めのものは冷やしてつるんとしたのど越しを楽しみ、太めのものはコシがよりしっかりしているので、温かい出汁で食べるのがおすすめです。くせのない味なので、幅広いアレンジで楽しめます。

 

《冷やしてさっぱりと》

定番の麺つゆで、オリーブオイルで冷製パスタ風、野菜たっぷりでサラダ風、など

 

 

《温かくほっこりと》

鶏だしでにゅうめん、みそ汁の具に、中華だしでラーメン風、炒めてチャンプルー、など

 

 

 


 

⑤ 《産地紹介》長崎県・島原素麺

 

島原素麺は、南島原市を中心に作られています。

知名度は三大素麺(奈良県・三輪素麺、兵庫県・播州素麺、香川県・小豆島素麺)に負けず劣らず高く、その生産量は全国第二位となっています。

温暖な気候や、雲仙岳の麓から湧き出る清冽な水など自然の恵みに育まれた環境が、素麺作りに適しています。グルテンを多く含む強力粉を使うため、コシが強くツルツルした食感が特徴です。

高度な技術と品質に優れ、他産地の下請けとして発展してきた経緯があり、これまでは表に出てくる機会が少なかったようですが、今ではダントツ二位の市場シェアを持っておられます。

 

 

島原素麺のルーツは諸説ありますが、そのひとつに、島原の乱後、人口が激減したため小豆島から移住した人により製麺技術が伝えられたという説があります。

他説には、九州は古来より異文化の入り口として歴史的にも認められるところですが、その中で南蛮や中国の食文化が入り独自の発展をした…と言う説もお聞きしたことがあります。

何れにせよ、小豆島からの移住された方が多いのは事実で、今も小豆島との交流は続いているそうです。

 

 

<参考サイト>

・三大そうめんと島原素麺

https://ajinomen.jp/c-fpage?fp=soumen-best3

・島原手延そうめんの歴史

http://minamishimabara-somen.jp/somen/

・島原手延べそうめん

https://www.city.shimabara.lg.jp/page2972.html

・産地別そうめんの比較とおすすめランキング

https://kurabeta.jp/somen/

 

 


 

⑥ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺

 

小豆島には4つの有名な食品産業があります。

ひとつは、小豆島手延べ素麺

もうひとつは、オリーブ

さらにひとつは、醤油

最後に、佃煮

実はもうひとつ。世界に誇る食品メーカーとして!

小豆島手延べ素麺に欠かせないごま油の製造会社「かどや製油」さんです。

 

先日(2022年12月8日)に、かどや製油様を訪問させていただき、当たり前のように使っていたごま油について、本当に詳しくお話を伺ってまいりました。そのお話は、また後日ブログでご紹介させていただきますね。

 

さて、実は小豆島はごま油の製造(ごまの栽培はほとんどありません)でも有名な島ですから、何かごまを使用した製品はできないか…と試行錯誤の上で完成したのが『手延べ黒ごま麺』です。これは、先日のブログ(お!いしい けんぶんろくVol.3)でもご紹介した『手延べひじき麺』と同じくして発売を開始した新しい麺です。

これもまた《楽々膳・黒》シリーズの麺で、薬膳で言われる「黒」の食べ物を練りこんだ麺です。『手延べ黒ごま麺』はかなり太麺で食べ応えがあり、モチモチとした食感が美味しい麺です。茹で伸び・煮崩れしにくく、温かいお出汁とよく合います。

黒ごまは食物繊維や良質な必須脂肪酸、アントシアニン、セサミンなど健康成分を多く含みます。その黒ごまを炒って粉末化したものを練り込むことで、より香りが際立つ手延べ麺に仕上がっています。

毎日食べていただけるような麺を作りたいと、日夜研究しております。

《楽々膳・黒》シリーズをどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

三代目:次回のブログはお正月休みを挟んで1/10ごろ、アップしたいと思います。

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。