天日干しにこだわり、手延べにこだわり、健康食を目指した新しい素麺へ

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2025年7月

2025年

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年7月10日 【Vol.62】麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<夏>

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.62

麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<夏>

 

 

 

また憂鬱な梅雨が続くのかと思った6月末

気がつけば四国地方は6月27日に、よもやの梅雨明け宣言

7月に入りほとんど雨の降らない日が続いています。

 

石井製麺所では、毎年の夏と冬にお客様宛に手延べ素麺や手延べうどん、ギフトのご案内をお送りさせていただいています。

夏はお客様からのご要望もあってゴールデンウィーク明けにご案内をお送りしていますが、今年は郵政事業の影響もあり(?)5月中旬に出したご案内が(恐らく)全国のお客様の手元に届くまでに2週間ほど掛かったようです。

驚いたのは、小豆島内のお客様宛のお届けにも約2週間掛かったようです(驚)。

一体、島のどこで眠っていたのでしょうか。。。

ですが、5月はさほど気温も上がらず朝晩が冷え込む日が続き、素麺のご注文も少なく、今年の夏は素麺の出番が少なくなるかもと不安がよぎりました。

6月、梅雨に入り、冒頭の所感になります。

 

7月。

暑い!

そう思った矢先に、多くのご注文を全国からいただくようになりました。

心配は杞憂でした。

やはり素麺は暑い季節に人気の食べ物ですね!

いつもありがとうございます。

 

そして7月と言えば、7月7日の七夕ですよね。

七夕と言えば、「そうめんの日」ということを皆さんはご存じでしょうか?

このブログを出す頃は七夕を過ぎていますが、来年の七夕には思い出してぜひ美味しい素麺を召し上がっていただけましたら。

 

なぜ、「そうめんの日」か?というと、由来は諸説ありますが、とても歴史は古く、素麺を食べて健康を祈るなど平安時代より続く記念日で、まさに記念日のハシリと言えるのではないでしょうか。

素麺は古くから健康を祈願する食べ物で、「暑いから冷やし素麺をすする」のではなく、大切な方と一緒に健康を祈願して食べるものなんですね。

もちろん、暑い日に冷たくした素麺を食べるのは美味しいですよね。

ですが石井家では、暑い夏でも温かい出汁で素麺(煮麺ですね)をいただくことが多いです。

これも家族の健康を考えると冷えすぎるよりも、暑さで疲れた身体でも消化しやすいようにと考えているからです。

 

石井製麺所で、「からだによりそうめん」というキャッチフレーズを掲げているのは、まさにそういった点からです。

七夕の日や暑い日に限らず、一年を通じて、健康のことを考えて召し上がっていただける食べ物になればと、暑い日も寒い日も、晴れの日もそうでない日も一生懸命に製麺に注力しています。

 

そして今回のブログのテーマですが…

先日「薬膳<梅雨編>」をブログで書いたところですが、あっという間に梅雨が明けてしまったので、今回のブログは急遽、「薬膳<夏編>」についてです。

当たり前のように食していた夏の食べ物が「夏に良い」ということを改めて感じました。

不思議なものですね。

「薬膳<夏編>」も、ご一読いただければ幸いです。

 

 

【目次】

① 薬膳の考え方<夏編>〜心を養い熱を取り除く

② 夏に摂りたい「赤」の食材

③ 夏に摂りたい栄養素とは?

④ 《美味しい手延べ麺の紹介》手延べレモン素麺 編

 

 


 

① 薬膳の考え方<夏編>~心を養い熱を取り除く

 

夏は、日差しが強くなり気温も上がり、陽気が最も盛んになる季節。

中国の伝統的な医学「中医学」では、万物が成長し草木は繁茂し花が咲き栄える「蕃秀(ばんしゅう)」の季節とされます。

 

五行説において夏は「火」に属し、「心(しん)」の働きが盛んになる季節とされています。

「心」は、血液と血管をコントロールする心臓の働き、また精神や意識などをコントロールする働きのようなイメージです。

 

外気の高温や湿度の影響で、体内にも熱や湿気がこもりやすくなり、汗をかきやすく、体力が消耗しがちです。

そのため、薬膳では「清熱解暑(せいねつげしょ)」つまり余分な熱や湿気を取り除き、体内の陰液(体の潤い)を補うこと、また「安神養心(あんじんようしん)」つまり心を養い精神を安寧に保つことが重要と考えられています。

 

夏の過ごし方としては、規則正しい生活リズムを保ち、充分な休息を取ることが大切です。

暑さで体力が消耗しやすいので、無理をせず、こまめな水分補給を心がけましょう。

冷房の効いた屋内と屋外の温度差による体調不良(冷房病)に注意し、衣服で調整するのがおすすめです。

冷えは血行を悪くし、痛みやしびれなどを引き起こすので、夏でも冷えに注意し、湯船につかるなど、血行を良くすることを心がけましょう。

炎天下での活動は控え、早朝や夕方の涼しい時間帯に軽い運動や散歩を取り入れることで、気の巡りが良くなり、体調維持に役立ちます。

強い日差しを避け、十分な睡眠をとることで、心身の疲労回復を図ります。

 

 

夏には体の熱を冷ましたり、潤いを補給したりする食材が推奨されます。

夏が旬の食べ物の中でも、熱を取る「苦味」潤いを与える「甘味」収れんして汗の出すぎを防ぐ「酸味」の食べ物を積極的に摂ると良いそうです。

 

キュウリ、トマト、ナス、ゴーヤ、ズッキーニなどの夏野菜は、身体の余分な熱を冷まし、利尿作用で体内の湿気を取り除く働きがあります。

スイカ、メロン、モモ、ナシなどの果物は、体を潤し、熱を冷ます作用が強いとされています。

緑豆やハトムギは、体内の熱や湿気を取り除き、むくみやだるさの解消に役立ちます。

トウモロコシや枝豆なども、夏バテ防止によいとされています。

 

暑いからと言って、汗をかいてすっきりするために激辛のものを食べすぎると、余分な熱をため込みやすくなります。

また体力を補うためにとこってりしたものを食べすぎると、消化が悪く胃腸に負担がかかります。

 

生ものや冷ややっこ、冷たい麺などを食べる時は、ショウガやニンニク、ネギなどの薬味で体の冷やしすぎを防ぎましょう。

 

※写真はPhotoACより

 

<参考サイト>

・vol.438 薬膳料理で夏の暑さに負けない身体 を。初夏におすすめ「夏の薬膳」

https://www.villalodola.jp/magazine/column-438/

・夏に取りたい食べ物や調理ポイント~夏の薬膳とは?

https://www.magokoro-bento.com/blog/202206/what-summer-medicinal-herbs.html

・夏の養生法

https://www.rakuten.ne.jp/gold/iktcm/natsunoyoujyouhou.html#:~:text=%E6%B8%85%E7%86%B1%E8%A7%A3%E6%9A%91%EF%BC%9A%E7%86%B1%E3%82%92,%E3%81%8B%E3%82%89%E8%BA%AB%E4%BD%93%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82&text=%E7%94%9F%E6%B4%A5%E6%AD%A2%

 

 

 


 

② 夏に摂りたい「赤」の食材

 

夏は五行で言うと「火」の性質を持っています。

熱や汗が出やすくなり、冷たいものをほしがる、多飲、渇きなどが見られます。

特に汗のかきすぎには注意が必要とのことです。

身体をみずみずしく保つ「津液」という液体とともに「気」も消耗してしまうため、倦怠感や息切れといった体調不良につながります。

また体の水分が失われると、血液が凝縮し、「心」にも大きな負担がかかり、動悸や不眠などの症状も現れやすくなるため、こまめな水分補給が必要とされます。

 

中医学では、夏に摂りたい食材の色は「赤」とされています。

「赤」は「心」に対応し、心臓や血液循環のサポートが期待できます。

夏は「心」が疲れやすいので、赤い食材を意識して摂ることが推奨されています。

 

夏に食べたい赤い食材について、いくつか調べてみました。

 

※写真はPhotoACより

 

【トマト】

「トマトが赤くなると医者が青くなる」とも言われる。

体の内側にたまった熱気を冷ましてくれるとともに、口の渇きを止めつつ大腸の働きを高め、消化を促してくれる作用があり、夏は毎日摂りたい食材。

体を冷やす作用が強いので、生のまま食べる以外に、炒めものやスープ、トマトソースなど加熱した状態で摂るのも良いとのこと。

 

※写真はPhotoACより

 

【梅干し】

「梅はその日の一日の難のがれ」「梅は三毒を絶つ」とも言われる。

三毒とは、食・血・水の毒のこと。

体を潤し汗を止める、のどの渇きを抑える、防腐作用や食中毒予防、胃腸の調子を整える、などの働きがあり、夏バテ予防に役立つ。

 

※写真はPhotoACより

 

【スイカ】

水分が豊富で、熱を冷ましつつ、体を潤し、利尿作用もあり夏バテ予防に役立つ。

形と頃は薄く切ってぬか漬けにすることもできる。

 

※写真はPhotoACより

 

【さくらんぼ】

脾の働きを良くして、食欲不振や疲労回復に役立つ。

体の余分な水分を排出する作用も。

むくみや皮膚の乾燥が気になる人にも適している。

 

※写真はPhotoACより

 

【小豆】

体内の余分な水分を排出し、むくみやだるさの解消をサポートする作用があり、梅雨や夏場のむくみに役立つ。

 

※写真はPhotoACより

 

【赤シソ】

ピリッとした辛みが体を温め発汗させる作用がある。

独特の香りが気の巡りを良くして、イライラ解消や胃の不調改善に役立つ。

 

※写真はPhotoACより

 

【ミョウガ】

血行を良くし、発汗を促す作用がある。

独特の香りには食欲を促進する働きもある。

 

※写真はPhotoACより

 

【タコ】

気血を補う作用があり、疲れやすさや食欲不振、肌の乾燥や疲れ目などにおすすめとのこと。

消化しにくいので胃腸の弱い人は摂りすぎに注意。

 

※写真はPhotoACより

 

【ナツメ】

気血を補い、胃腸を丈夫にする働きがある。

滋養強壮にも良いとされる。

 

※写真はPhotoACより

 

この他、クコの実、レバー、マグロ、カツオ、赤身肉なども、夏の養生に役立つそうです。

 

<参考サイト>

・知っておきたい!東洋医学の知恵と夏の過ごし方

https://five-r.co.jp/blognwm/2020/07/06/%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8A%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%84%EF%BC%81%E6%9D%B1%E6%B4%8B%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E3%81%AE%E7%9F%A5%E6%81%B5%E3%81%A8%E5%A4%8F%E3%81%AE%E9%81%8E%E3%81%94%E3%81%97%E6%96%B9/#:~:text=%E4%BA%9

・月の時間の過ごし方 Vol.13「『赤いもの』を食べましょう」

https://laboratorio.jp/pages/%E6%9C%88%E3%81%AE%E6%99%82%E9%96%93-%E3%81%AE%E9%81%8E%E3%81%94%E3%81%97%E6%96%B9-vol-13#:~:text=%E3%81%9D%E3%81%97%E3%81%A6%E5%A4%8F%E3%81%AE%E8%89%B2%E3%81%AF,%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%A4%E3%80%81%E8%8F%8A%E8%8A%B1%E3%80%81%E

・そろそろ夏の準備、赤いものを食べましょう!

https://life.saisoncard.co.jp/post/seto6/

・薬膳食材図鑑

https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/yakuzen/

 

 

 


 

③ 夏に摂りたい栄養素とは?

 

夏は、室内外の温度差による自律神経の乱れや、発汗による栄養素や水分の排出、食生活の偏りなどにより、体調を崩しやすい季節です。

体がだるい、疲れやすい、食欲がない、寝不足といった、夏の暑さによる体調不調を総称して「夏バテ」と呼んでいます。

 

夏バテ予防には、体の冷やしすぎに注意する、生活リズムを整える、こまめに水分補給する、などに加え、食べ物からバランスよく栄養を摂ることが大切です。

 

※写真はPhotoACより

夏に特に意識して積極的に摂りたい栄養素と、おすすめの食材について、調べてみました。

 

【ビタミンB群】
ビタミンB1は、糖質を体内でエネルギーに変換するために不可欠で、疲労回復作用があります。

ビタミンB1を多く含む食品は、豚肉、ウナギ、玄米、大豆、ゴマなど。

またビタミンB2は、脂質を体内でエネルギーに変換するために不可欠です。

ビタミンB2を多く含む食品は、レバー、ウナギ、サバ、イワシ、牛乳、卵、納豆など。

 

※写真はPhotoACより

 

【ビタミンC】
疲労を起こす原因のひとつとされる活性酸素を抑える抗酸化作用や、ストレス緩和鉄分の吸収などの働きがあります。

また紫外線によるダメージを受けた皮膚や粘膜の健康維持にも役立ちます。

体内でつくれないため、食事から積極的に摂りたい成分です。

キウイ、レモン、パプリカ、ブロッコリー、ゴーヤ、ジャガイモなどに多く含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

【クエン酸】
エネルギーを生み出す際に重要な役割を果たしています。

胃酸の働きを助け食欲を増進し、タンパク質の吸収をサポートする働きがあります。

また、疲労回復に役立ち、糖質と一緒に摂取することで疲れがたまりにくくなるそうです。

梅干し、レモン、酢、柑橘類などに多く含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

【タンパク質】

筋肉や皮膚、血液などの材料となる重要な栄養素で、不足すると筋肉量が減少し基礎代謝低下や免疫機能の低下など全般的な不調の原因になります。

タンパク質を多く含む食品は、肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品など。

 

※写真はPhotoACより

 

【ミネラル】
ミネラルは、ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛などの成分の総称。

それぞれ健康維持に欠かせない役割を果たす栄養素です。

発汗により失われやすく、また体内ではつくることができないため、食事から摂取する必要があります。

ナトリウムは体内の水分を調節する働きがあり、食塩に多く含まれます。

カリウムは血圧調節に役立ち、野菜類や果物類に多く含まれます。

カルシウムは骨や歯をつくる成分で、乳製品に多く含まれます。

マグネシウムは骨の代謝を助ける働きがあり、海藻類に多く含まれます。

鉄は血中の酸素の運搬の役割を果たす成分で、レバーに多く含まれます。

亜鉛は体内の酵素の材料となる栄養素で、煮干しに多く含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

<参考サイト>

・夏バテの予防に効果的な栄養素・食べ物

https://alinamin.jp/tired/natsubate-meal.html

・夏バテに効く食べ物は?おすすめの食事方法や摂りたい栄養素も紹介

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/rd/miraikondate/column/article_008/

・夏バテ防止にぴったりな栄養素・食べ物は?暑い夏を乗り切るためのおすすめアイテムもご紹介!

https://www.zojirushi.co.jp/kakushiaji/article/002358/

・夏バテの予防と対策

https://brand.taisho.co.jp/contents/tsukare/71/

 

 

 


 

④ 《美味しい手延べ麺の紹介》手延べレモン素麺 編

 

後味すっきり、夏に食べたいレモン風味の手延べ素麺です。

実は9月30日までの期間限定素麺ですので、この機会にぜひお求めください。

レモン素麺には、瀬戸内レモンの果皮粉末を練り込み、ふわっとレモンの香りを楽しめる素麺に仕上げています。
手延べ製法ならではのツルツル感と、すっきりとした味わいで、暑い夏でもどんどん箸が進むお素麺になっております。

レモンの果実は、果皮に香りが、果汁に酸味が含まれています。
めんつゆに果汁を加えることで酸味をプラス。
さらにレモン感あふれる素麺をお楽しみいただけます。

夏の思い出の〆に手延べレモン素麺はいかがでしょうか。

写真は、塩焼きそば風レモン素麺です。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《手延べレモン素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/62424747

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年6月23日 【Vol.61】メンコレ⑨/小豆を練り込んだ麺の“恩恵”

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.61

メンコレ⑨/小豆を練り込んだ麺の“恩恵”

 

 

 

 

皆さんもご覧になられたでしょうか?

某テレビ局のドラマ「しあわせは食べて寝て待て」。

 

私はあまりテレビを見ることはないのですが、この番組はある難病にかかった女性が「薬膳」と出会い、周りの人に助けられながら生きる中での日常的な出来事をドラマ化したものでした。

ストーリーとして、目立った事があるわけではありませんが、やはり「薬膳」に触れられていることから興味を持ち見ていました。

かといって、薬膳のお勉強が中心なのではなく、日常的な健康維持や気付きにふわっと薬膳のお話が出てくる程度ですので、何となく見やすいドラマでした。

その中に、梅雨時期の不調に良いと「小豆」が紹介されていました。

 

やはり小豆島に住む人間として「小豆」という言葉には反応してしまいます(笑)。

それはさておき、「小豆」が梅雨時期に良い食べ物とは知りませんでした。

なるほど、勉強になります。

結局、勉強してますね。

機会があれば、皆さんも「しあわせは食べて寝て待て」をご覧になってはいかがでしょうか。

 

テレビ繋がりでもう少しネタが。。。

1つ目は、以前にブログで取りあげた「水車」のことです。

ちょっと前ですが、あるテレビ局の方が私のブログを見てくださり、「水車」のことについて問い合わせがありました。

写真は、この土地の以前の持ち主のご親戚の方にご許可をいただいて掲載していたのですが、テレビ局の方もこの写真を使用したいとのことで問い合わせをいただいたので、持ち主を紹介させていただいた…というだけですが、そんなお問い合わせをいただきました。

 

2つ目は、つい最近のテレビ局からのお問い合わせ。

何とも不思議な問い合わせでした。

結構著名な番組だと思いますが、どうやら、猛暑に関する特集のようでした。

しかし、「暑いから素麺を」といった内容ではなく、「身近な猛暑、梅雨で困っている現場」といったものを求めているようで、なぜか手延べ素麺の製造現場が目に留まったようです。

たしかに、暑い季節に製造して苦労している…のは事実でもありますが、さすがにこの時期は忙しくて、私たち家族の体調管理も大事な仕事…ということで、お断りをさせていただきました。

 

その内、石井製麺所が中心になった番組が放映される日が来るでしょうか(笑)。

ぜひ楽しみにお待ちください。

その際は、またお知らせしたいと思います。

 

さて今回のブログでは、冒頭でも触れました「小豆」について。

「小豆島」で「小豆素麺」はしゃれではなく、この季節だからこそ召し上がっていただきたい食材になるのではないかと期待しています。

小豆島から小豆の情報を発信しております。

お時間許せば、ぜひご一読ください。

 

写真は、ブログ2021年5月1日 「小豆島そうめんの歴史をたどる③」でご紹介した水車です。

 

 

【目次】

① 縄文人が栽培!肉の代用!?小豆の歴史と現在

② 便秘やむくみ、貧血などに役立つ小豆の栄養

③ 枕に楽器、占いも!小豆の活用法いろいろ

④ お祝いや行事に食されるものも!日本の小豆料理

⑤ 主菜や副菜にも!世界の小豆料理

⑥ 小豆を練り込んだ麺あれこれ

⑦ 《美味しい手延べ麺》乾平うどん

 

 


 

 

① 縄文人が栽培!肉の代用!?小豆の歴史と現在

 

和菓子や赤飯に使われ、和食文化を支える小豆。

栽培されている小豆は「ヤブツルアズキ」という野生種から品種改良によりつくられたものだそうです。

 

名前の由来は、江戸時代の学者である貝原益軒の「大和本草(やまとほんぞう)」によると、「あ」は「赤色」、「つき」または「ずき」は「溶ける」の意味で、赤くて煮ると皮が破れ豆が崩れやすいことから「あずき」になったとされます。

 

紀元前1世紀、中国最古の農業書「氾勝之書(はんしょうししょ)」に栽培方法が記載されており、日本では「古事記」や「日本書紀」に五穀として登場、また縄文時代の遺跡からも発見されています。

小豆はこれまで弥生時代に稲や麦と同様に中国大陸から伝えられたものと考えられていましたが、近年の研究では、中国の小豆とは遺伝的に別系統で進化したようだと報告されていました。

2025年5月、台湾大学と農研機構の研究グループが、ゲノム解析により小豆の栽培化が日本で始まったことを明らかにしたと発表しました。

稲の伝来よりも早い3000年前〜5000年前の縄文時代の日本で小豆は栽培植物化され、これが東アジアに広まったとのことです。

 

※写真はAdobe Stockより

 

中国最古の薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」には、小豆の煮汁が解毒剤として使われたと記載されているそうです。

日本でも、古来より小豆は薬として用いられていました。

また小豆の赤い色が、太陽や火、血といった「生命」を象徴しており、魔除けなどの神秘的な力があると考えられ、特別な食材として行事や儀式に使われるようになったそうです。

 

中国から仏教とともに伝来した「澡豆」(そうず)は、小豆の粉にカラスウリの根などの生薬を混ぜたもので、洗顔料として使われていたそうです。

その後、小豆の粉や煮汁も「澡豆」と呼ばれたとのこと。

仏教の経文には入浴の必需品として「澡豆」の名が登場し、また平安時代には、都の湯浴みで洗顔に使われていたそうです。

 

鎌倉時代末期、禅宗の僧が点心の文化を日本に持ち込みました。

中国では肉詰めの饅頭の点心が食されていましたが、僧侶たちは肉食を禁忌としていたため、小豆を煮詰めて肉に見立て、甘く味付けしたもので代用したのが饅頭の原型と言われています。

また点心の中には「羹」というスープがあり、羊肉が入ったものは「羊羹」と呼ばれていました。

これを日本で小豆に置き換えたものが、現在の羊羹の原型と考えられています。

当初は塩味が主流だったそうですが、肉の代替品として小豆を用いてつくられた日本風の点心が、安土桃山時代の茶の湯文化と結びつき、茶菓子として発展したそうです。

江戸時代には砂糖が普及し、甘い小豆の餡が庶民に広まりました。

 ※写真はPhotoACより

 

現在、栽培種の小豆の生産地は北海道がトップで、収穫量の8割以上を占めているそうです。

その他、岩手県、青森県、福島県、秋田県、京都府、兵庫県、岡山県など、全国的に広く栽培されています。

中でも有名なのが、日本三大小豆と言われる北海道・丹波(京都)・備中(岡山県)です。

代表的な品種は、北海道では「エリモショウズ」「きたのおとめ」「きたろまん」など。

丹波では「丹波大納言」が、丹波栗、丹波黒豆とともに「丹波三宝」とされています。

備中は「備中大納言」や、希少な品種「備中白小豆」の産地でもあります。

 

「大納言」とは小豆の中でも特に大粒で煮ても皮が破れにくい特徴を持つ特定の品種群の呼称で、流通・加工上、普通の小豆と区別して扱われるそうです。

一般的に小豆と言う場合は、大納言以外の普通品種を指します。

小豆の種皮の色は通常は赤、いわゆる「あずき色」ですが、黒、白、緑、茶、灰白、斑紋、白地赤斑などもあるそうです。

国内では、「白小豆(しろあずき)」と呼ばれる白系統の、岡山県の「備中白小豆」、北海道の「きたほたる」などの品種が、ごくわずかに生産されているとのことです。

 

小豆はほのかな甘みと旨みがあり、餡に加工しやすいことから、大半は餡や菓子の原料として、和菓子や冷菓、菓子パン、汁粉、ゆで小豆などに用いられます。

白小豆は貴重な小豆の白餡となって、生菓子や羊羹、最中などに用いられるそうです。

 

※写真はPhotoACより

 

<参考サイト>

・(研究成果) アズキの栽培化が日本で始まったことをゲノム解析で明らかに

https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/ngrc/169242.html

・あずきの起源

https://www.imuraya.co.jp/azuki/features/origin/

・イネの伝来よりもはるか前、縄文人がアズキの栽培を開始した!

https://news.yahoo.co.jp/articles/69d21a5862095650486bedb40ad9e6ef25b21002

・あずき 公益財団法人日本豆類協会

https://www.mame.or.jp/syurui/feature/syurui_01.html

・お赤飯や和菓子に使うアズキはどこから来たのか?その起源が判明!!

https://tradveggie.or.jp/traditional-vegetables-news/azuki-origin/

・アズキの歴史は、洗顔粉の歴史でもあった。

https://hechima.com/story/25/

・和菓子の歴史~小豆は肉の代用品だった?

https://corp.fugetsudo-ueno.co.jp/oedo/detail/id=1128

・特集「あずきのスイーツに夢中!」

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2403/spe1_04.html

 

 

 

 


 

② 便秘やむくみ、貧血などに役立つ小豆の栄養

 

日本の伝統的な食材として親しまれてきた小豆は、その豊富な栄養価と優れた健康効果にも注目されています。

食物繊維はゴボウの約2倍、ポリフェノールは赤ワインの約2倍、カリウムはアボカドの約2倍、他にもビタミンB1・B2やカルシウムが豊富に含まれ、腸内環境の改善やデトックス、美肌に働くと考えられています。

また、大豆の約3分の2の量のタンパク質を含み、脂質が非常に少ないためダイエットにも役立ちます。

ただし糖質は比較的多く、また砂糖と一緒に食べると血糖値が上がりやすいため、砂糖なしのゆで小豆で食べるのが良いそうです。

 

食物繊維は水溶性と不溶性がバランスよく含まれており、特に豊富な不溶性食物繊維が糖質の吸収速度を遅らせたり、便通を良くしたりするのに役立つそうです。

 

小豆に含まれるカリウムには、体内の余分な水分・塩分を排出する働きがあり、また皮に含まれるサポニンには利尿作用があります。

むくみの解消に役立つ食材として、薬膳では水分が体に滞りやすい梅雨の時期に摂ると良い食材とされています。

 

鉄分もホウレンソウの約2倍含み、貧血予防にも役立ちます。

吸収率の低い非ヘム鉄のため、ビタミンCや動物性タンパク質と一緒に摂ると吸収が良くなるそうです。

 

小豆の栄養を無駄なく摂るには、水溶性ビタミンやカリウムが溶け出しているゆで汁まで食べられるスープなどにしたり、水を使わない蒸し料理や電子レンジ調理にしたりすると良いそうです。

また、ポリフェノールは小豆の皮に多く含まれるため、低温でじっくり加熱して皮ごと摂取するのが良いとのことです。

 

※写真はPhotoACより

 

<参考サイト>

・小豆(あずき)の栄養と健康効果|栄養を余さず食べる方法も紹介

https://kawashima-ya.jp/contents/?p=8614&srsltid=AfmBOorON9zXIxVLRL9U_WojG6sDFDgQoTp4blCvwoaIBvvkfdvTchXk

・【小豆の栄養と健康効果】腸活・貧血予防・糖質の影響まで徹底解説

https://www.sazae.co.jp/journal/azuki-eiyou/

・小豆 薬膳食材図鑑

https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/yakuzen/ingredients/azuki.html

 

 

 

 


 

③ 枕に楽器、占いも!小豆の活用法いろいろ

 

小豆には、食べる以外にも多様な用途があります。

昔ながらのお手玉の中身と言えば小豆が一般的でした。

また枕の中身としても使われ、適度な硬さと優れた吸湿性が快適な寝心地を生むとして好まれていました。

小豆枕を寝る前に冷蔵庫や冷凍庫で1時間ほど冷やすと、中の小豆がほどよい保冷剤となり頭の熱を奪ってくれるそうです。

虫が湧きやすいことなどから、近年はあまり見かけなくなっています。

 

体を温めるものとして最近注目されているのが「小豆カイロ」です。

小豆に含まれる水分は、電子レンジで温められると蒸気になって小豆に閉じ込められ、小さなカイロのような状態になります。

温かい状態が一定時間続くため、目の上や肩に乗せると疲れやコリをほぐしてくれます。

繰り返し100回~150回ほど使えるそうです。

 

小豆に含まれるポリフェノールやサポニンなどの働きを活かした化粧品や洗顔料もあるそうです。

 

小豆は楽器の材料としても使われます。

竹籠と小豆を組み合わせて波の音を表したり、紙の上に落として大粒の雨の降る音を表したりするそうです。

 

また、古くから占いの材料の1つとして用いられ、今も日本各地の神社に伝わっているとのことです。

長野県下諏訪町の諏訪大社の「粥占(かゆうら)」は、1月14日夜から大釜の小豆粥の中にヨシでつくった筒を入れて終夜煮たて、翌15日の朝、神前にお供えした後、筒を割って筒内の粥の分量を量り、農作物の豊凶を判定するそうです。

 

大阪府東大阪市の枚岡神社の「粥占」は、毎年1月11日に、境内で小豆粥を炊く際のかまどの火の中に12本の占木を入れ、その焼け具合で各月の天候を占うそうです。

粥の中には53本の占竹(竹筒)を束にして入れ、竹筒に入った粥の量で農作物の豊凶を占うとのことです。

 

京都府亀岡市の出雲大神宮の「粥占(よねうら)」は、毎年1月15日に行われる小正月の祭で、小豆を混ぜた米を3本の竹筒(「早生(わせ)」、「中生(なかて)」、「晩生(おくて)」を表す)に入れ、それを一緒の釜で炊き、筒に入った小豆が少なく、米が詰まっているほど豊作とするそうです。

 

※写真はPhotoACより

<参考サイト>

・食べない活用法

https://www.azuki.tokyo/category/know/usage-method/

・小豆って、すごい!

https://www.muji.net/lab/food/210113.html

・昔は多かった小豆枕 そんな小豆枕に迫る!

https://pillow.salus.work/%E5%B0%8F%E8%B1%86%E6%9E%95%E3%81%A8%E7%9D%A1%E7%9C%A0/

・ancoco(あんここ)アズキ化粧品通販

https://ancoco.net/story/

 

 

 


 

④ お祝いや行事に食されるものも!日本の小豆料理

 

餡として食されることが多い小豆。小豆餡を使った和菓子やスイーツは、おはぎ、大福、きんつば、どら焼き、最中、あんみつ、あんドーナツなど、多種多様です。

ぜんざいやおしるこも代表的ですね。

 

その餡は、製法により大きく4種類に分けられます。

小豆をあまりつぶさず裏ごしもしない「つぶ餡」、しっかりつぶして裏ごしし、皮を取り除いた「こし餡」、つぶ餡を潰して炊き上げた「つぶし餡」、こし餡に大納言小豆の蜜煮を混ぜ合わせた「小倉餡」です。

 

甘味以外にも、野菜と組み合わせたものなど伝統的な小豆の郷土料理が日本各地に根付いています。

いくつか調べてみました。

 

【小豆粥】

米と小豆を炊き込んだおかゆ。赤い色が邪気を払うとされ、小正月(1月15日)に一年の健康を願って食べる。

かつて中国では小豆粥を炊いて家族の健康を祈る風習があり、日本でもそれにならったとも言われる。

 

※写真はPhotoACより

【てんこ小豆の赤飯】(秋田県)

秋田には「てんこ小豆(黒ささげ)」と呼ばれる小豆があり、赤飯にはこれが使われ、また一般的な赤飯と違って砂糖が入る。

お祝いごとや仏事などの際に食される。

 

【あずきでっち】(秋田県)

東成瀬村に古くから伝わる郷土料理。

小豆と生のもち米、砂糖を一緒に煮て練り、型に入れて冷やす。

もちもちとして食べ応えがあり、お茶請けやおやつとして親しまれている。

 

【小豆ばっとう】(岩手県)

主に三陸沿岸地域で食される。

甘みをつけた小豆汁に、幅広で短めのうどんを入れて煮込む。

「ばっとう」は「ほうとう」がなまったものと言われる。

農作業時のおやつとして、また庭じまい(秋じまい)など祝いの席や、人が集まるときにふるまわれることが多い。

お盆の7日目に食す風習のある地域もある。

 

【小倉れんこん】(茨城県)

皮をむき輪切りにしたレンコンの穴に小豆を詰め込んでじっくり煮込み、やわらかくなってきたら砂糖と塩を入れ、ゆっくり冷まして味をなじませる。

レンコンも「先が見通せる」として縁起の良い食材。

お正月の時期に食される。

 

【小豆ほうとう】(山梨県)

正月や盆、村の祭り、田植えの時期など、地域行事や祝いごとの際に食べられてきた。

本来はあずき汁に餅を入れるところを、稲作に適していない地域が多い山梨県では餅は大変貴重なもので、「ほうとう」の麺を太めに切って餅に見立て、小豆の汁粉に入れ代用したとのこと。

 

※写真はPhotoACより

【ねじ/小豆ぼうとう】(埼玉県)

秩父郡の小鹿野町がルーツの「ねじ」は、螺旋状にねじった短いうどんに小豆餡を和えた郷土料理で、お汁粉のようなゆるい餡を使うこともあり、その場合は「小豆ぼうとう」と呼ばれる。

 

【あずきすくい】(埼玉県)

東秩父村で古くから親しまれている、デザート感覚の食べ物。

郷土料理「小豆ぼうとう」をルーツとし、麺を入れるのではなく、小麦粉を小さな農具の「箕(み)」の形にしてあるのが特徴。

 

【いとこ汁】(石川県)

浄土真宗の伝統行事である報恩講の食事に欠かせない、小豆や豆腐と野菜を煮込んで味噌汁風に仕立てた汁物。

能登島では「小豆汁」とも言う。

 

【いとこ煮】(滋賀県)

「いとこ煮」は全国各地に伝わる小豆を煮た郷土料理で、地域により材料や調理法などが異なる。

滋賀県の「いとこ煮」は湖北地域を中心に県内全域に広がっている、小豆とサトイモまたはカボチャと煮込んだもの。

湖東地域ではカボチャが、湖北地方ではサトイモがよく使われる。

報恩講や仏事には欠かせない料理で、冬至に小豆とカボチャを食べると病気にならないという言い伝えから、冬至にもよく食される。

 

※写真はPhotoACより

【小豆雑煮】(島根県)

小豆の粒をつぶさないように、甘さ控えめにすまし仕立てであっさりと仕上げ、餅を入れたお雑煮。

元旦には岩のりの入った「すまし雑煮」を食べ、正月2日からこの「小豆雑煮」を食べる地域もある。

小豆は1つのさやからたくさんの豆がとれるので、子孫繁栄の願いも込められている。

 

【いもべらあずき】(高知県)

県中央部に位置する伊野町では、干しイモのことを「へら」、サツマイモを丸ごとじっくり煮てから干し、輪切りにしてさらに干したものを「ゆでべら」と呼ぶ。

ゆでべらと小豆を甘く煮た菓子が「いもべらあずき」。

農作業の合間に食べるおやつや弁当にしていたとのこと。

 

【煮ごみ】(佐賀県)

鶏肉や小豆、栗に、レンコンやゴボウ、ダイコンなどの根菜類を、砂糖や醤油などの調味料で味を含ませながら煮込む料理。

九州北部に伝わる五穀豊穣を感謝する秋祭り「くんち」でふるまわれる。

 

<参考サイト>

・秋田県 てんこ小豆の赤飯

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/29_10_akita.html

・あずきでっち

https://common3.pref.akita.lg.jp/genkimura/archive/contents-850/

・岩手県 小豆ばっとう

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/28_20_iwate.html

・茨城県 小倉れんこん

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ogurarenkon_ibaraki.html

・山梨県 小豆ほうとう

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/azuki_houtou_yama_nashi.html

・埼玉県 ねじ/小豆ぼうとう

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_10_saitama.html

・あずきすくい

https://www.syokoukai.or.jp/higashichichibu/beans/index.html

・石川県 いとこ汁

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/itokojiru_ishikawa.html

・滋賀県 いとこ煮

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/itokoni_shiga.html

・島根県 小豆雑煮

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/azukizouni_shimane.html

・高知県 いもべらあずき

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/imoberaazuki_kochi.html

・佐賀県 煮ごみ

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/45_8_saga.html

 

 

 

 


 

⑤ 主菜や副菜にも!世界の小豆料理

 

小豆は世界各地で様々な料理に活用されています。

アジアでは日本と同様、スイーツに使われることが多いようです。

韓国や中国では縁起の良い食材として日本と似た食べ方もされています。

いくつか調べてみました。

 

【パッチュク(小豆粥)】(韓国)

赤い小豆を煮込んだ汁に米を入れてつくるおかゆ。

ほんのりした甘みが口の中いっぱいに広がり、やさしい舌触り。

韓国では小豆の赤色が邪気を追い払うと信じられ、冬至に小豆粥が食される。

 

※写真はPhotoACより

【パッカルグクス】(韓国)

主に全羅道と江原道で食される。

ゆでた小豆に水を加えて丁寧に挽いてこした汁に、「カルグクス」という、小麦粉を練って伸ばし細かく切った麺を入れ、好みにより砂糖や塩で味付けをする。

 

【豚肉と小豆ともち米の蒸し物】(中国)

薄切りの豚肉で甘い小豆餡を挟んだり巻いたりして耐熱ボウルの底に並べ、砂糖を混ぜたもち米を乗せて蒸した料理。

祝いの席で食される。

 

 

欧米では、もともと豆を甘く煮る文化がありませんでしたが、最近は日本の食文化の普及もあり、小豆の知名度が上がってきたそうです。

甘くせず主菜や副菜に使うのが主流で、カレーやサラダの具材として使ったり、豆をすりつぶしてペースト状にした料理であるフムスの材料にしたりして食べるとのことです。

また、ヴィーガン料理の材料としても人気で、小豆に火を通してフードプロセッサーにかけ、ヴィーガンミートボールの材料とするレシピもあるそうです。

 

※写真はPhotoACより

<参考サイト>

・パッチュク(小豆粥)

https://japanese.visitkorea.or.kr/svc/contents/contentsView.do?vcontsId=178118

・パッカルグクス(小豆カルグクス)

https://japanese.visitkorea.or.kr/svc/contents/contentsView.do?vcontsId=178888

・豚肉と小豆ともち米の蒸し物

https://www.yomiuri.co.jp/life/recipe/20201225-SYT8T3720097/

・日本の伝統食材「あずき」は海外でも普及している?

https://foobal.jp/media/%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%A0/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E9%A3%9F%E6%9D%90%E3%80%8C%E3%81%82%E3%81%9A%E3%81%8D%E3%80%8D%E3%81%AF%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%A7%E3%82%82%E6%99%AE%E5%8F%8A%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84/

 

 

 

 


 

⑥ 小豆を練り込んだ麺あれこれ

 

小豆を練り込んだ麺について調べてみましたが、あまりたくさんは見つけられませんでした。

小豆ならではの色合いや縁起の良さを活かした麺がありましたので、紹介します。

 

【紅福うどん】(かねこ製麺)

厳選した国内産小麦に、北海道十勝産の小豆を練り込んだうどん。

自然乾燥で仕上げ、豊かな風味やもちもちとした食感、深い味わいが特徴。赤飯のように好みで黒ゴマをかけると、より一層味わい深くなるとのこと。

普段使いや贈答用、お祝いなどにも。

 

・かねこ製麺 紅福うどん

https://www.gaia-ochanomizu.co.jp/shop/g/g2320069Y/

 

 

【小豆そば】(南国厚生有限会社)

蕎麦粉の代わりに小豆を練り込んだ、蕎麦アレルギーの人も食べられる麺。

蕎麦のような色合いで、ほのかに小豆の香りが感じられる。

 

・南国厚生有限会社 小豆そば

https://nangokukousei.com/azukisoba/

 

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ麺》乾平うどん

 

昨年より夏季限定で発売を開始した「乾平(かんぴら)うどん」という名前の、夏用の平たいうどんです。

 茹で時間は4〜5分が目安。

普段の素麺やうどんは、ヨリをかける(捻る)のですが、平麺はヨリをかけずにつくるのが大事なところ。

 

今年は、5月1日の販売再開からご注文も多くいただき、既に何度か増産をおこなっています。 

皆さんはもう召し上がっていただけましたでしょうか。

 

ようやっと落ち着いてきたとはいえ、現在もお米の値段はまだまだ高値。。。

そんな時は、お食事の選択肢に腹持ちの良い「手延べ乾平うどん」はいかがでしょうか。

茹で時間は短めですから調理の手間も少なめですし、茹でてすぐに召し上がっていただけるのが魅力です。

 

そしておすすめは、お家カレーで食べる、カレーうどん!

平麺なので、カレーのスープやタレにもよく絡んで美味しく召し上がっていただけると思います。

もちもちツルンな食感で、食欲の落ち気味な夏に、ぜひ召し上がっていただきたいうどんです。

 

 

 

※写真は、製造中の乾平うどん

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《乾平うどん》 https://141seimen.thebase.in/categories/5913110

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年6月9日 【Vol.60】麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<梅雨>

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.60

麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<梅雨>

 

 

 

昨年秋頃から色々とトラブル続きの乾燥用のボイラー。

とうとう、新しく入れ替えました!

中古ではありません!!新品です!!

 

先日、車が不調になり、換えたところでしたが、今度はボイラーです(大汗)

約40年くらい働き続きけてくれたボイラーでしたが、とうとうその役割を終えて世代交代することになりました。

他の機械も先々代、先代の頃から稼働しているものはありますが、これまで故障してもある意味“だましだまし”修理しながら使用してきましたが、今回ばかりはそうもいかず、このタイミングで新品のボイラーとなりました。

素麺会社にとって乾燥用のボイラーが安定しないというのは死活問題ですから、現状での新規設備投資に相当悩みましたが、「覚悟」を決めて導入を決めました。

これであと40年は頑張らないといけません!!

 

前回のブログでは、まだまだ本格的ではありませんが、石井製麺所で働いてくださる方を募集したいと書かせていただきました。

新しい方を受け入れるために、これまでの家族経営スタイルでなく、良い意味で一般の企業を目指して工場や環境を整えていきたいと考えています。

 

さて先日、気象庁から四国地方も梅雨入りしたと発表がありました。

その宣言は置いといたとしても、じめっとした日というのは素麺づくりにとっても製造の難易度が格段に上がるので気が気ではありません。

またこの時期はお天気が良いと気温も上がりすぎるので、麺の乾燥が進みやすくなり、屋外から乾燥部屋への取り込むタイミングも非常に難しくなります。

ここの辺りが、職人の勘…でしょうか。

“麺の中”まで想像しながら乾燥工程を考えるのですが、やはり、不安定なボイラーは製麺性を損なう恐れがあります。

この時期の美味しい素麺づくりには、安定したボイラーが欠かせない存在です

 

不安定な天候で観光には不向きな時期かもしれませんが、蒸し暑い日には、ぜひ本場の手延べ素麺を現地で召し上がってみてくださいね。

 

さて、今回のブログは、またまたまた薬膳のお話です。

薬膳には春夏秋冬だけでなく季節の変わり目として「梅雨」も、体調管理が重要な時期とされています。

色々と調べてみましたので、ご一読いただければ、蒸し暑いこの時期の健康づくりにお役立ていただければ幸いです。

 

 

写真は5月末に新しくなった素麺乾燥用のボイラーです。これであと40年は頑張らないといけません(笑)。

 

 

【目次】

① 薬膳の考え方<梅雨編>〜脾を整え湿を取り除く

② 梅雨に摂りたい「黄色」の食材

③ 梅雨に摂りたい栄養素とは?

④ 《美味しい手延べ麺の紹介》夏限定セット『瀬戸凪(せとなぎ)』

 

 


 

① 薬膳の考え方<梅雨編>~脾を整え湿を取り除く

 

梅雨は、湿気が多く体調を崩しやすい季節。

中国の伝統的な医学「中医学」では、高温多湿の季節を「長夏」と呼びます。

中国では夏の終わりから秋の湿度が高い時期のことですが、日本ではもっとも湿度の高い梅雨の時期を「長夏」とみなすそうです。

 

梅雨の時期、家の中に湿気がこもると体にも「湿」がたまりやすくなるとされます。

湿は重く粘着性があり、体の巡りを停滞させる性質があります。

湿がたまると、重だるさやむくみ、食欲不振、お腹の張りや胃もたれ、下痢などの不調などが起こりやすくなります。

このような湿気の多い時期の体調不良は「湿邪(しつじゃ)」と呼ばれ、外から入ってくる「外湿」と体内から生じる「内湿」に分かれます。

 

梅雨は、消化や水分代謝の機能全般を指す「脾(ひ)」の働きが盛んになる季節ですが、湿の影響で体の中の気血の巡りが停滞し、脾の働きが低下してしまいがち。

余分な湿を体外に排出し、脾を健やかに保つことが大切です。

 

梅雨の過ごし方としては、体内の余分な水分や湿気を取り除く、利水・利湿作用のある食材や、香りで湿気を飛ばす食材などを積極的に摂ることで、むくみや重だるさを予防します。

また、消化吸収を助ける食材を積極的に摂り、消化不良を起こしやすい冷たいものや生もの、湿を体内にため込む性質のある甘いものは控えめにして、温かい食事で胃腸を守ることが大切です。

胃腸に負担のかかる揚げものよりも、蒸したり煮たりなど消化の良い調理法がおすすめとのこと。

 

脾を強め、体内の余分な水分を取る働きがある食材は、枝豆やソラマメ、小豆、黒豆などの豆類、トウモロコシ、ハトムギ、白身魚など。

トウモロコシはヒゲごと調理して食べるとより良いそうです。

 

※写真はPhotoACより

 

利水作用のある食材は、緑豆モヤシ、冬瓜、セロリ、キュウリ、アスパラガス、アサリ、海藻類など。

冬瓜はワタごと調理して食べるのが良いとのこと。

 

※写真はPhotoACより

 

また温性で香りのある大葉、パクチー、シソ、パセリや、辛味の性質を持ち体を温めることで発汗させるショウガ、ネギ、ミツバ、ミョウガ、シシトウなども、水分排出に役立つそうです。

 

※写真はPhotoACより

 

脾の働きがもともと弱い人が、梅雨の時期に生ものや冷たいものを摂りすぎると、脾と表裏一体の関係にある「胃」のトラブルを引き起こし「冷え胃痛」になることがあります。

ニンニク、山椒、八角、クローブなどのスパイスが、胃を温めてくれるそうです。

 

※写真はPhotoACより

 

<参考サイト>

・vol.100 ジメジメした湿気を吹き飛ばせ。陰陽五行を活かした季節の食事

https://www.villalodola.jp/magazine/column-100/

・暮らしで役立つ薬膳メソッド。梅雨の時期も健やかに。おすすめの食材と食事のポイントは?

https://kunel-salon.com/food/35100/

・第2回 水はけのいい体をつくる 梅雨の薬膳ごはん

http://nesno.net/iroha/food/02/

・「ゆる薬膳」で、梅雨どきの“重だるさ”を改善。夏が来る前の体調管理/薬膳アテンダント・池田陽子さん

https://tennenseikatsu.jp/_ct/17700782

 

 

 


 

② 梅雨に摂りたい「黄色」の食材

 

梅雨は五行で言うと「土」の性質を持っています。

梅雨のほか、春夏秋冬の季節の変わり目も「土」に属します。

季節の変わり目に体調を崩しやすいのは、「土」と関係の深い「脾」が影響しているそうです。

 

自然界では土が命を育むように、人間の体では、食物を消化吸収し全身に栄養を送り届けると同時に体内の水分代謝を担う脾が、全身のエネルギーの元となる「気」を生み出しています。

脾の働きが弱まると、外からの湿を取り除くことができず、さらに脾が弱まってしまいます。

 

中医学では、梅雨に摂りたい食材の色は「黄色」とされています。

黄色い食材は「脾」の働きを強めると言われます。

また、脾に該当する五味は「甘味」ですが、白砂糖や人工甘味料の甘味ではなく、自然の甘味のある豆類や穀類などが良いそうです。

混ぜご飯や炊き込みご飯にしてもよさそうですね。

 

梅雨の養生になる黄色い食材にはどんなものがあるか、調べてみました。

見た目も明るく、食欲をそそります。

 

【トウモロコシ】

体内の余分な水分を排出し、むくみを改善するとされる。

気を補い、疲れやすさや胃腸虚弱に役立つ。

 

    ※写真はPhotoACより

 

【カボチャ】

体を温めて気を補い、体内の余分な水分を排出する。

冷え性や食欲不振、疲れやすさに役立つ。

 

※写真はPhotoACより

 

【大豆】

利尿作用により体内の余分な水分を排出する。

食欲不振や体の重だるさ、むくみに役立つ。

 

※写真はPhotoACより

 

【ひよこ豆】

脾の働きを整え、消化器系の働きが弱っている時や便秘などに役立つ。

 

※写真はPhotoACより

 

【バナナ】

体にこもった熱を冷ます作用がある。

甘いものをよく食べる人は、体内に湿がこもりやすくなるので控えめに。

 

※写真はPhotoACより

 

【パイナップル】

利尿作用により体内の余分な水分を排出し、むくみに役立つ。

消化を促す働きで、胃もたれや食べすぎにも。

 

※写真はPhotoACより

 

また、「甘味」の性質を持つアボカド、アジ、イワシ、枝豆、米、エノキ、シイタケ、キクラゲ、タラ、エビ、マグロなどは、疲労回復や胃腸の緊張を和らげる働きがあるとのことです。

 

<参考サイト>

・梅雨に食べたい、黄色くて甘みのある食材を使った炊き込みご飯|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

https://yogajournal.jp/13704

・元気がない時は黄色い食べ物を

https://www.543life.com/content/shun/post20230305.html?srsltid=AfmBOopdhmom4JtqP79iXCM6mvksWX3PgnXfx3aELex5CAVBnywq_9R3

・薬膳食材図鑑

https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/yakuzen/

・用語辞典 大豆

https://lab.yakuzenlab.net/%E9%A3%9F%E8%96%AC/%E5%8E%BB%E6%B9%BF%E9%A1%9E/%E5%88%A9%E6%B0%B4%E6%BB%B2%E6%B9%BF%E9%A1%9E/%E5%A4%A7%E8%B1%86

・暑さによる胃腸疲れに「ひよこ豆とアボカドのフムス」

https://chuigaku-cocokara.jp/magazines/2024/08/post_361/

・疲れてむくみが気になるときに「パイナップルタルト」

https://chuigaku-cocokara.jp/magazines/2019/05/post_133/

 

 

 

 

 


 

③ 梅雨に摂りたい栄養素とは?

 

梅雨の時期は、湿気が多く皮膚からの発汗がうまくできなくなり、余分な水分や熱が体内にこもり、むくみや冷え、食欲不振などの不調を引き起こすと考えられています。

また、気圧の変化や寒暖差による体温調整により、交感神経と副交感神経という2つの自律神経のバランスが乱れやすいことも、不調の原因につながるそうです。

 

梅雨を元気に過ごすために、朝食をしっかりとって生活リズムを整える、温かい飲み物を飲む、などを心がけると良いとのことです。

 

梅雨に特に意識して積極的に摂りたい栄養素と、おすすめの食材について、調べてみました。

 

【カリウム】

体内の余分なナトリウムや水分を排出し、むくみやだるさを解消します。

バナナ、ジャガイモ、枝豆などに豊富に含まれます。

 

【ビタミンB群】

エネルギー代謝を助け、疲労回復作用があります。

豚肉、大豆製品、玄米などに豊富に含まれます。

中でも自律神経のバランスを整えるのに役立つビタミンB12は、アサリやシジミなどの貝類、肉類、海苔などの海藻類に豊富に含まれます。

 

【亜鉛】

神経伝達物質であるドーパミンの生成を助けます。

カキやタラコなどの魚介類、肉類、海苔、納豆など大豆製品に多く含まれます。

 

【マグネシウム】

交感神経の興奮を抑えます。

アーモンドや大豆製品、蕎麦などに多く含まれます。

 

【鉄分】

血液中のヘモグロビンに欠かせない成分で、貧血予防に役立ちます。

レバーなどの肉類、アサリなどの貝類、大根の葉、小松菜、ホウレンソウに多く含まれます。

 

【食物繊維】

腸内環境を整え、消化吸収を助けます。

サツマイモ、カボチャ、豆類などに豊富です。

 

【タンパク質】

体力の維持や免疫力向上のために、良質なタンパク質を含む卵や魚、大豆製品をバランスよく摂りましょう。

 

※写真はPhotoACより

 

<参考サイト>

・梅雨のプチ不調に備えよう!

https://www.abc-cooking.co.jp/plus/feature/201905_labo/

・オススメの栄養素や食生活は? 梅雨に備えて今からできる“雨ダル”対策!

https://weathernews.jp/s/topics/202305/170125/

 

 

 

 


 

④ 《美味しい手延べ麺の紹介》夏限定セット『瀬戸凪(せとなぎ)』

 

石井製麺所の夏の人気商品のご紹介です。

瀬戸内レモンを使用した「手延べレモン素麺」の販売再開に合わせて「小豆島手延べ素麵」「手延べしょうどしま長命草素麺」と、石井製麺所を代表する3つの手延べ素麵をセットした特別なセットです。

各6束入りで、それぞれをガゼット袋(小豆島長命草素麺のみアルミ袋)で個包装しています。

 

ギフトにもお選びいただきやすいように、化粧箱に入れてお届けさせていただきます。

めんつゆも10袋(アルミパック)入りです。

 

ご自宅用、贈り物用、どちらにもピッタリなセットです。

 

この他にも価格帯に合わせたギフトを色々とご用意しております。

また、ご予算に合わせてオリジナルのギフトセットや、お祝い事や返礼品にぴったりなセットもご用意できます。

 

よくお問い合わせいただくのが、企業様の御中元ですが、もちろん対応させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

数量や時期によって、要相談となるかもしれませんが、できるだけご要望にお応えさせていただきますので、ぜひこの機会にお声がけください。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《夏限定セット『瀬戸凪(せとなぎ)』》 https://141seimen.thebase.in/items/62463374

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年5月26日 【Vol.59】今あらためて、手延べ素麺について考える

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.59

今あらためて、手延べ素麺について考える

 

 

 

小豆島の日中はすでに夏のような陽射しと暑さがありますが、夜になるとグッと冷え込み、雨の後は肌寒さを感じる日も少なくありません。

 

先日、お客様向け夏のご案内が終わりました。

昨年は4月末から5月頭に掛けて長野県へ販売出店をおこなっていましたが、今年は予定製造量も多く、ご案内をお送りしたお客様から早速お返事もあり、例年以上にバタバタとした5月を過ごしております。

 

(自分で言うのも何ですが)年々、三代目の経験と知識も高まっていると思うのですが、毎日が気付きと反省の連続で、製造条件の同じ日は一日としてなく、毎日の製造記録表はどんどん厚みを増すばかりです。

ピカピカと白く輝く美しい素麺ができた日があったかと思えば、次の日は干した麺が〝プチップチッ〟と切れてしまい、見るに堪えない姿になる日もあり、本当に素麺づくりは難しいと身に染みる日もあります。

そんなときは日々の製造記録に目を通し、時には数年前の記録も引っ張り出して原因究明に努め、「次は必ず成功させよう」と決意を新たにします。

 

今回のブログを書く際に、これまでのブログを読み返しました。

実は先日、ちょっとした問い合わせがあり(これは後日のブログにでも)、ブログを振り返る機会がありました。

最初は日々の記録や日記感覚で始めていたブログですが、「新商品開発に役立つ勉強のために」とブログを位置づけ、あっという間に約60本のブログを蓄積してきました。

我ながら読み応えのある内容でしたが、いろいろな気付きをもらえる回もありました。

その中で、今後の石井製麺所を考えたときにいろいろと思うこともあり、今一度「これからの手延べ素麺とはどうあるべきか?石井製麺所としてどうするのか?」というテーマで整理し多くの方にお知り置きいただきたいと考え、今回のテーマに至りました。

 

製造者の視点での、今後の手延べ素麺の可能性や楽しさ、素晴らしさをつづりながら、「新しい仲間探し」に繋げていきたいと思っています。

また、石井製麺所の課題や将来像についても書いてみました。

同業社の方にご興味を持っていただき、業界内での仲間も探していきたいですし、一緒に製造を手伝ってくださる方も探していきたいと考えています。

そういったことをいろいろと書いていますので、ご興味があれば、ご一読いただけると嬉しいです。

もしご共感いただける方、ご賛同いただける方がいらっしゃれば、ぜひぜひお声がけください。

 

※写真は、室内干しの様子

 

【目次】

① 麺文化の流れと素麺の歴史

② 素麺の三大産地と、特色ある素麺たち

③ 素麺の食べ方や、他の麺の食べ方との違い

④ 素麺を取り巻く状況と、新しい楽しみ方

⑤ 小豆島手延素麺の石井製麺所とは

⑥ 素麺業界と人材募集について

⑦ 《美味しい手延べ素麺》手延べしょうどしま長命草素麺

 

 


 

 

① 麺文化の流れと素麺の歴史

 

<小麦のルーツ?>

素麺の主原料となる小麦のルーツは、今から1万年ほど前にさかのぼるとされています。

西アジアやイラク辺りの山岳地帯の草原に野生の麦が生えていたことが分かっています。

1万年〜8500年前頃には、野生の麦に加え栽培した麦も食べていたようです。

小麦と大麦はまだ区別されず、石と石の間に挟んで粗く砕き、焼いて食べていたとのこと。

 

紀元前6500年頃、小麦よりも大麦の方が栽培や収穫が容易であったことから、多く栽培されるようになりました。

大麦は、臼で粗挽きして土器で煮たお粥のような形状で食べられていたそうです。

小麦は、山岳地帯からメソポタミア平原や地中海沿岸、エジプトにまで広がりました。

 

紀元前3000年頃の古代エジプトでは小麦の外皮を取り除いた粉がつくられるようになりました。

この小麦の粉に水を加えてこねると弾力と粘りのあるかたまりができ、オーブンで焼くと、比較的やわらかくおいしいものができたそうです。

これが発酵パンの始まりと言われます。

大麦の粉よりも小麦の粉の方が美味しいパンをつくれるため、大麦ではなく小麦が主に食べられるようになったとのこと。

 

小麦の栽培地の拡大とともに広まった小麦粉の活用方法には、大きく2つの方向性がありました。

1つは小麦粉に水を加え練って焼き、パンとして食べること。

もう1つは練った生地を小さくちぎってスイトンのように食べることでした。

後者が徐々にさまざまな形状になっていき、各地で細長い麺などに発展していったと考えられています。

 

 

<麺のルーツ?>

中国北部の黄河流域では、2世紀頃の文献に、初めて麺の名前が出てきます。

スイトンやワンタン状の「煮餅」と、ひも状の「水引餅」というものです。

この「水引餅」が麺の祖先と考えられています。

そのつくり方は、小麦粉をよくふるい、肉の煮出し汁でよくこねて、箸の太さほどの棒状(30センチ)にし、水を張った器の中で指でもみ押さえながら引きのばす、というものです。

アジアの麺料理はここから派生していったと考えられるそうです。

 

ラーメンや、中央アジアでよく食べられている「ラグマン」などが水引餅の直系にあたります。

ラグマンは棒状にのばした生地を渦巻きの形に巻いて少し寝かせ、油をコーティングしながら手でのばしていく中細麺で、食べる直前につくるのが特徴。地方によって食べ方が異なり、大きくは汁麺タイプ、汁なし麺タイプ、炒め麺タイプに分けられるそうです。

 

 

<パスタのルーツ?>

ヨーロッパの麺であるパスタは、マルコ・ポーロが中国からイタリアに麺のルーツを伝えたのが発祥という説もあります。

中世ヨーロッパではパスタをスープに入れたり、ゆでてソースと和えたりしていたと考えられ、15世紀にはスパゲティの元祖ともいえる棒状の乾燥パスタがつくられるようになったそうです。

 

<日本の麺のルーツ・素麺の起源とは?>

日本では、飛鳥時代に中国から渡来した小麦粉の餡入り団子菓子「饂飩(こんとん)」がうどんの起源として有力です。

室町時代には僧侶の間食だったものが、茶の湯の普及とともに一般の人も食べるようになり、安土桃山時代にかけて日本の風土や人々の嗜好に合うよう変化し、日本独特の麺類へと発展したと考えられます。

 

素麺の起源は、奈良時代に遣唐使が中国から持ち帰った、小麦粉と米の粉を練って縄のような形にねじった「索餅(さくべい)」というお菓子にあると言われています。

これをお供えすると疫病が鎮まったという言い伝えがあり、無病息災を祈る食べ物として、とても貴重な食物だったそうです。

 

927年に完成した、宮中の儀式・作法等を集大成した書物「延喜式」には、「索餅」が旧暦7月7日の七タの儀式に供え物の一つとして供えられた記録があります。

特に平安時代からは、宮中での七夕行事に欠かせない供物とされていました。

 

鎌倉時代、中国から禅宗が伝わると同時に、寺院では点心と呼ばれる間食が広まりました。

点心には、索餅からつくり方が進歩した「索麺(さくめん)」が使われました。

 

室町時代初期の古文書「鵤庄引付(いかるがのしょうひきつけ)」に「サウメン」という記述が見られます。

この古文書は現在の兵庫県南部・播州にある斑鳩寺(いかるがでら)のもの。

約600年前から播州で素麺が食べられていたことが分かります。

当時、素麺は寺院や宮中で食べられるもので、庶民の口にはまだ入らなかったようです。

 

江戸時代には、各地で素麺づくりが農家の副業として発展を遂げました。

次第に庶民にも普及し、夏の風物詩として需要が高まっていったようです。

生産量が増えるとともに、粗製乱造で産地の信用を落とす事態も発生したため、素麺製造業者が集まり「協同組合」が生まれ、厳しく品質などを管理するようになりました。

伝統的な製法が守られながらも生産技術の向上により品質の安定化と生産量の拡大が進み、素麺は日本の夏の食卓に欠かせない存在となりました。

 

しかし現在では、日本人の食の欧米化により、ご飯がパンに変わり、うどんや蕎麦に加えパスタの消費が増え、素麺の需要は相対的に減少傾向にあります。

 

 

<参考サイト>

・小麦・小麦粉の歴史

https://www.seifun.or.jp/pages/92/

・小麦粉の歴史・文化

https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_03.html

・麺の起源、系譜 ~麺はどこからきたのか?~

https://world-noodle-dictionary.com/roots/origin.html

・麺の伝播経路

https://world-noodle-dictionary.com/roots/spread.html

・NATIONAL NOODLE DAY特別企画!麺の歴史と世界の麺を紹介します。

https://www.myojousa.com/ja/blog/national-noodle-day/

・起源は紀元前4世紀!?知られざるパスタの歴史

https://food-drink.pintoru.com/pasta/history-of-pasta/

・島原そうめんの歴史

https://www.shimabara-soumen.com/category/1572537.html

・素麺の起源「索餅(さくべい)と索麺(さくめん)」

https://www.shimabara-soumen.com/article/14261528.html

・#865 各種麺類生産量の推移@2023

https://www.flour.co.jp/news/article/865/

 

 

 

 


 

② 素麺の三大産地と、特色ある素麺たち

 

日本全国にはさまざまな素麺の産地がありますが、特に「日本三大素麺」として知られているのが「三輪(奈良県)」「播州(兵庫県)」「小豆島(香川県)」の3つです。

※以下の内容は、色々な情報を紐解きながら独自に調べて書いたものです。間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈や諸説があると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。間違いなどございましたらご指摘いただければ幸いです。

 

【三輪素麺】(奈良県)

素麺発祥の地とされる。

827年、三輪山の大神神社で、神主であった大神朝臣狭井久佐(おおみわのあそんさいくさ)の次男・穀主(たねぬし)が神の啓示を賜り、三輪の地に適した小麦の栽培を行い、小麦と三輪山の清流で素麺づくりを始めたと言われている。

後の江戸時代には、お伊勢参りの途中で多くの人が奈良を訪れ、旅籠で三輪名物として供される素麺を食べたことから、その評判が全国へと広まっていった。

良質の小麦粉と塩、三輪の清水、三輪山から盆地に吹き下ろす北風「三輪おろし」などの気候風土が、素麺づくりに適している。

三輪の手延べ製法が播州、小豆島、島原へと伝わったとされる。

 

 

【播州素麺】(兵庫県)

素麺の生産高が国内第1位。

室町時代初期、現在の兵庫県南部・播州にある斑鳩寺(いかるがでら)の古文書「鵤庄引付(いかるがのしょうひきつけ)」に「サウメン」という記述が見られ、約600年前から播州で素麺が食べられていたことが分かる。

素麺づくりが本格化したのは江戸時代。

龍野藩の許可業種として奨励され、揖保川の水や播州平野で採れる良質な小麦、有名な赤穂の塩などの原材料にも恵まれていた。

生産量が増えるとともに、龍野藩・林田藩・新宮藩内の素麺製造業者が集まり、この集まりが元になって明治時代に「揖保乃糸」ブランドが誕生

現在、「揖保乃糸」ブランドは兵庫県手延素麺協同組合が一括管理している。

揖保川流域のたつの市や姫路市、宍粟市、太子町、佐用町で毎年限られた期間に生産されており、文字通り糸のような細く美しい形状や、なめらかな舌触り、コシのある食感と風味が特徴。

 

 

【小豆島素麺】(香川県)

1598年、小豆島池田村の島民がお伊勢参りの帰路、三輪に立ち寄り、素麺の製造技術を学んで島に持ち帰ったのがルーツとされている。

冬の農閑期に家族の労働だけで生産できるといった利点や、小麦の栽培に適した気候、瀬戸内海の塩や素麺づくりに必要なごま油を製造していたなどの環境から、素麺づくりがさかんに行われるようになった。

製法に「ごま油」を使うところが、小豆島の手延べ素麺の独自性と言える。

 

 

 

日本三大素麺以外にも、全国各地には特色ある素麺があります。

全てではありませんが、一部を抜粋して掲載してみました。

 

【島原素麺】(長崎県)

南島原市を中心につくられ、生産量は全国第2位。

温暖な気候や、雲仙岳の麓から湧き出る清冽な水など自然の恵みに育まれた環境が、素麺づくりに適している。

グルテンを多く含む強力粉を使うため、コシが強くツルツルした食感が特徴。

島原の乱後、人口が激減したため小豆島から移住した人により製麺技術が伝えられたのがルーツという説がある。

 

 

【半田そうめん】(徳島県)

徳島県の西部に位置するつるぎ町半田地区でつくられる。 

四国山脈から吹き降ろす冷たい風や吉野川の清水などの気候風土が素麺づくりに適していると言われる。

半田そうめん音頭で「コシの強さにノドが鳴る」と歌われるくらい、一般的な素麺よりやや太めでコシが強いのが特徴。

日本農林規格(JAS)では「ひやむぎ」に分類されるが、江戸時代から続く伝統と麺文化の地域性が認められ、特別に「そうめん」の表記が認められている。

 

 

【五色(ごしき)素麺】(愛媛県)

愛媛県松山市の郷土料理として知られる5色の素麺。

人工着色料は使わず、もち麦・蜜柑・梅・抹茶など自然のもので着色されている。

享保7年(1722年)、寛永から続く製麺会社の八代目・長門屋市左衛門の娘が椿神社に参拝したとき、美しい五色の糸が下駄に絡みついたのを見て、父親に「そうめんに五色の色をつけてみては?」とすすめたのが由来とされる。

 

 

【備中(びっちゅう)素麺】(岡山県)

昔の備中国にあたる岡山県浅口市鴨方町とその周辺の里庄町・矢掛町・笠岡市などでつくられる。

杉谷川の清流と、備中の大動脈とも言われる高梁川流域で栽培された小麦、瀬戸内海沿岸でつくられる塩といった良質な素材が入手しやすい土地柄と晴天の多い気候からか、素麺づくりが盛んになっていったと伝えられる。

さらに、杉谷川には多くの水車が設置され、製粉から製麺まで一体化した素麺づくりを行っていたとのこと。

 

【和泉素麺】(愛知県)

愛知県安城市和泉町に江戸時代中期から伝わる。

特徴は、日本一とも言われる3メートル以上の長さと、半生麺であること。

多くの手延べ素麺の産地では乾燥している冬に素麺をつくるが、和泉素麺は夏につくられる。

日中の暑い日差しで乾燥させた麺を、夕方頃から吹く三河湾の湿った南東の風、通称「そうめんの風」によって半生の状態に戻すことにより、麺はしんなりと柔らかく絹のような風合いになり、表面はなめらかでのど越しもよく、もちもちの食感が生み出され、また一度乾燥させているので日持ちもするとのこと。

 

【大矢知(おおやち)素麺】(三重県)

三重県四日市市大矢知地区でつくられる。

朝明川の清流と、鈴鹿おろしと呼ばれる乾燥した北西の季節風という気候風土に加え、北勢地域が小麦の産地であったことなど、素麺づくりに適していたことから、江戸時代末期から盛んになったと言われる。

昭和初期の最盛期には生産者が300軒を超え、手延べ製法を用いてひやむぎやきしめん、うどんも生産されるようになったが、機械生産への移行などにより生産者は急速に減少し、現在は10軒ほどの事業者が伝統的な手延べ製麺の技術をつないでいるとのこと。

少し太めの麺で、手延べならではの強いコシやなめらかな舌触り、歯切れの良さが特徴。

 

 

【白石温麺(うーめん)】(宮城県)

一般的な手延べ素麺は、麺と麺がくっついたり乾燥したりするのを防ぐため油を塗っているが、白石市の特産品である「温麺(うーめん)」は油を使わないでつくるのが特徴。

長さも9cmと短いことから、消化が良くて食べやすいと言われている。

太さは素麺より0.3㎜ほど太めで、食べごたえがある。

白石地方は、蔵王連峰から流れる白石川の清流や温和で乾燥した気候に恵まれ、小麦粉が豊富に採れることから、良質な温麺の産地となった。

一年を通して食されており、醤油や味噌でつくった汁につけて食べるのが一般的。

その扱いやすさと食べやすさから、離乳食や高齢の方の食事にも重宝されているとのこと。

 

【卵麺(らんめん)】(岩手県)

「鶏卵素麺」とも言われる。

県南部の奥州市江刺区周辺でよく食されているとのこと。

小麦粉と塩に、新鮮な卵をふんだんに使って練り上げる素麺は、黄色でほんのり卵の風味が感じられ、水分をあまり使わないためシャキッとした歯ごたえがあり、ゆでのびしにくいのが特徴。

今から約300年前、松屋十蔵というキリシタン信者が遠く長崎県から岩手県へ逃れてきて、オランダ人から伝授されたという鶏卵を使った麺を「蘭麺」として売り出したのが始まりと言われている。

卵と小麦粉を合わせるのは、カステラの製法から生まれたアイデアのよう。

 

【大門(おおかど)素麺】(富山県)

庄川の扇央部から少し下がったところにある、砺波市大門(おおかど)地区で伝統的につくり続けられている。

「丸まげ素麺」とも言われるユニークな形状が特徴。

初冬から晩春にかけ、清流庄川の水を使ってつくられる素麺は、鉢伏山から吹きおろす寒風で乾燥させることで、よくしまったコシのあるなめらかな麺に仕上がる。

細くて長い麺が完全に乾かないうちに丸めて仮包装し、さらに10日間かけて本乾燥する、手間ひまかけた素麺。

ゆでる時には、丸まげ状の麺を2つに割らないと、とても長い素麺になってしまうとのこと。

 

 

<手延べ素麺の可能性が広がる新しい麺とその考え方>

近年では、各地の特産品などを生地に練り込み、独自の味わいや色合い、風味や健康効果を生み出している素麺も数多くつくられています。

 

【海藻】

海苔や昆布などを粉末にして練り込むことで、磯の風味が加わったり、独特の粘りが弾力を生んでのど越しが良くなったりといった相乗効果が得られる。

佐賀県有明海の海苔や、岩手県三陸産の昆布やメカブ、徳島県鳴門のワカメ、宮城県のアカモク(新潟県ではナガモと呼ばれている)、新潟県のフノリなどを練り込んだ素麺がある。

 

【魚介】

麺自体から出汁が出てより旨みが増す。

熊本県甲佐町で育てたウナギの白焼きを練り込んだもの、タイのエキスを入れた縁起の良い素麺、ウニを練り込んだ風味豊かなもの、オキアミの一種であるイサダを使ったピンク色の素麺や、イカスミを入れた真っ黒な素麺などがある。

 

 

【穀類】

山形県のブランド米「はえぬき」「どまんなか」、それぞれの米粉を使用した素麺。

岩手県一関市では古代米の「黒米(紫黒米)」を、山形県西川町では発芽胚芽米を練り込んだ素麺も。

 

岩手県軽米町でつくられる稗(ひえ)を使った素麺は、胡桃に似た甘味とシコシコした食感が特徴。

長崎県には、雑穀16種類(小豆・もちきび・もち麦・もち玄米・ハト麦・もち赤米・黒豆・丸麦・稗・青大豆・発芽玄米・もち黒米・とうもろこし・もちあわ・胚芽押麦・黄大豆)を練り込んだ素麺がある。

 

【ごま、芋、豆類】

石井製麺所でも販売している黒ごまの粉末を練り込んだ素麺は、兵庫県播州や長崎県島原といった素麺の産地でもつくられているが、熊本県に本社のあるごま食品製造販売会社・オニザキさんの「黒胡麻そうめん」は、ごまの粒をそのまま生地に練り込んでおり、ごまの風味と食感がしっかり味わえる。

新潟県では五泉産のえごまの葉を練り込んだ素麺がある。

九州産の紫芋や、山口県柳井でとれた自然薯を入れたものも。

京都府丹波市や岡山県美作市では、それぞれの地域で生産した黒豆を使った素麺をつくっている。

 

【野菜】

なじみ深いものでは、ニンジン、カボチャ、ホウレン草、オクラ、トマト、タマネギ、ゴボウ、レンコン、シソ、小松菜など。

他にも、岐阜県大垣市では地域で苗から育てた明日葉が、石川県金沢市では能登野菜の中島菜が、それぞれ素麺に使われている。

 

【果物】

石井製麺所ではオリーブオイルを練り込み、表面にも塗って仕上げたオリーブオイル素麺がある、同じく小豆島でオリーブの果実を練り込んだ素麺をつくっておられる生産者さんもいる(ちなみにオリーブは野菜ではなく果物に分類される)。

梅や、カボス・伊予柑・ユズ・ミカンなどの柑橘類、また、栃木県のイチゴ「とちおとめ」や山形県のサクランボ、千葉県市川の梨、大分県清川の桃、ブルーベリー、メロン、ブドウ、ネーブル、スモモ、柿の皮、などを練り込んだ素麺もある。

 

 

【葉】

素麺の産地である徳島県半田では、稲の若葉。山形県月山では、桜の葉。

千葉県市川では、国産の赤松の葉を粉にして練り込んだ素麺がある。

徳島県の特産品である阿波藍の産地・上勝町では、手摘みした藍の葉を天日乾燥して粉にし、素麺に練り込んでいる。

 

【薬味】

奈良県三輪市、栃木県栃木市、千葉県市川市では、ショウガ。

徳島県上勝町ではワサビが、粉末にして素麺に練り込まれている。

熊本県には、ニンニクを練り込んだ素麺もある。

 

【その他植物】

素麺発祥の地と言われる奈良県三輪では、これまた特産品である吉野葛を加えた素麺が。

畳の原料として知られるい草の産地である熊本県八代市では、い草の粉末を入れた素麺が、学校の給食などにも採用されているとのこと。

長崎県島原では、4種類の島原薬草(オオバコ・ウイキョウ・ナズナ・タンポポ)を練り込んだ素麺がある。

 

【お茶、酒】

長崎県島原市、奈良県三輪市、静岡県菊川市など、素麺やお茶の名産地で、緑茶の粉末や抹茶を練り込んだ素麺がつくられている。

岩手県北上市には、桑の葉の茶粉末を使った素麺がある。

兵庫県播州は、素麺とともに日本酒の産地としても有名。清酒を加えてつくった素麺は、旨みが増し、のどごしがぐっと滑らかになるとのこと。

 

 

<参考サイト>

・九州お取り寄せ本舗

https://blog.otoriyose.site/kyusyustroll/1805/

・大神神社HP

https://oomiwa.or.jp/jinja/kamigatari/

・奈良県観光公式サイト

http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/page/page_32.html

・三輪素麺振興会公式HP

https://miwa-soumen.net/

・なぜ「揖保乃糸という会社はないの?」全国で愛される素麺とは 帯色の秘密も

https://www.himeji-mitai.com/feature/374539.html

・農林水産省HP

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_8_hyogo.html

・島原手延そうめんの歴史

http://minamishimabara-somen.jp/somen/

・産地別そうめんの比較とおすすめランキング

https://kurabeta.jp/somen/

・半田手延べそうめん協同組合

https://handasoumen-kumiai.jp/feature.html

・あるねっと徳島

https://arunet-awa.com/?mode=f6

・五色そうめんの歴史

https://goshiki-soumen.co.jp/history/

・【備中手延べ麺】そうめん・うどん・ひやむぎまで。江戸時代からの名産品

https://fuuraiki.com/bitchuu-tenobemen/

・備中手延べそうめん

http://soumen-guide.net/archives/115

・和泉手延長そうめん

https://www.masugiseimen.com/izumi.php

・和泉の長そうめんの由来

http://www.miyakoseimen.com/jp/business/

・四日市市広報2022年2月上旬号

https://www.city.yokkaichi.lg.jp/www/contents/1643956619284/simple/202202joujun0205.pdf

・大矢知手延べそうめんの歴史

http://soumen-guide.net/archives/140

・大矢知手延べそうめんの特徴

http://soumen-guide.net/archives/143

・白石うーめん(温麺) の優しいおいしさ|歴史と名店をご紹介

https://shiroishi.ne.jp/feature/1802

・うーめん(白石温麺)とは?そうめんとの違いや食べ方をご紹介

https://delishkitchen.tv/articles/1493

・郷土料理|ほんのり香る卵と歯ごたえがおいしい 卵めん(岩手県)

https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/753

・江刺岩谷堂 吉田製麺「卵めん」

https://www.umai-mon.com/user/collection/929

・古来より伝わる手法をそのままに江戸時代から作り続けられている丸まげ素麺

https://www.corezo-mall-tokusyu.com/ookadosoumen

 

 

 

 


 

③ 素麺の食べ方や、他の麺の食べ方との違い

 

素麺の最も一般的な食べ方は、冷たいめんつゆにつけて食べる「冷や素麺」です。

基本的な流れは、素麺をゆでて水で冷やし、水気を切って、醬油ベースの冷たいつゆに付け、薬味や具材とともに食べる、というものです。

 

一般的な薬味には、ネギ、ショウガ、ミョウガ、ワサビ、シソ、三つ葉、ごま、大根おろし、梅干し、ユズ、海苔などがあります。

薬味には、食欲増進・芳香を添える・風味を添える・季節や彩りを出す・異臭をやわらげる・毒消しや防腐効果・消化を助ける、といった働きがあると言われています。

 

ボリュームを増して新たな味わいを生み出す具材は、生卵や錦糸卵、天かすなどが定番です。

また地域ごとにさまざまな具材や味付けで食べられているので、ぜひ素麺アレンジの参考にしてみてください。

 

<にゅうめん>(奈良県、兵庫県播磨地方)

素麺を温かいつゆに入れて食べる。

 

 

<冷やし中華風>(関西)

キュウリ、錦糸卵、ハム、カニカマなどを素麺のうえにトッピング。

<酢味噌素麺>(静岡県や愛知県の一部)

めんつゆではなく酢味噌を素麺にかける。

<油ゾーメン>(鹿児島県奄美地域)

豚肉と野菜、素麺に、出汁を入れて炒める。

<ソーミンタシヤー>(沖縄県)

素麺と野菜やツナなどを、塩や醬油で炒めてシンプルに仕上げる。

<ナス素麺>(石川県金沢市、香川県)

ナスと素麺を一緒に出汁で煮て、醤油や味噌で味付け。また、ナスを油で炒め砂糖と醤油で味付けし、ゆでた素麺を加える。

<サバ素麺>(滋賀県長浜市)

甘辛い出汁で煮たサバの切り身を、その煮汁にからませた素麺に乗せる。

<鯛素麺>(広島県、徳島県、香川県、愛媛県、熊本県)

ゆでた素麺を大皿に盛り、その上にタイの姿煮を乗せる。また、タイのあらを炊いて煮汁を素麺にかける。タイを甘辛く煮付け、その煮汁で素麺を食べる地域も。

 

他の麺類についても、主な食べ方を調べてみました。

【ひやむぎ】

素麺と同じく小麦粉を主原料としており、素麺より太くうどんより細い。

素麺同様、夏の風物詩として冷やして冷たいつゆにつけて食べられることが多い。

 

【うどん】

日本の代表的な麺で、つるつるしたのど越しと、もちもち、あるいはシコシコとした食感が特徴。

温かくしても冷たくしても食される。カレーうどんなどアレンジメニューも豊富。

 

【蕎麦】

蕎麦粉が主原料で、小麦粉の割合が少なく、小麦粉が入っていない場合もある。

温かくしても冷たくしても食される。

 

【中華麺】

小麦粉と水、かん水を原料とした麺で、ラーメンや焼きそばに使われる。

定番のラーメンや焼きそばに加え、つけ麺や油そばといった新たなスタイルも続々と登場している。

 

【パスタ】

デュラムセモリナというデュラム小麦が主原料。

形状や太さなどによりさまざまな名称があり、300~500種類あるとも言われる。

ソースに絡めるなどして食べるが、種類により相性の良いソースが異なる。

 

【ビーフン】

主原料に50%以上の米粉を使用した麺。

野菜などの具材と合わせる焼きビーフンが定番。

 

【春雨】

イモ類や豆類から摂れるデンプンを主原料とした麺。

炒めものに加えたり、スープやサラダ、和え物に入れたりと、さまざまな料理に使われる。

 

 

 <参考サイト>

・そうめんに薬味が必要な理由とは?薬味の役割をご紹介

https://delishkitchen.tv/articles/483

・そばのあいうえお「や 薬味(やくみ)」

https://www.nichimen.or.jp/know/aiueo/ya/

・そうめんの薬味や、つけつゆは関東と関西では違うものなの?

https://kenkoubaizou.com/k2k0000282-post/

・そうめんの地域別の食べ方まとめ!飽きずに美味しく食べる工夫も公開

https://shop.ninben.co.jp/blog/?p=3799

・地域別そうめんの食べ方ランキングTOP10!みんなが試したいアレンジは?

https://macaro-ni.jp/111998

・うちの郷土料理 種類検索 麺料理

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/type/noodles.html

・麺類の種類一覧!意外と知らない麺の基本をまとめて紹介

https://tsumura-seimen.co.jp/post-1301/

 

 

 

 


 

④ 素麺を取り巻く状況と、新しい楽しみ方

 

近年の日本では、食生活の欧米化やライフスタイルの変化により、麺類の消費動向も変化してきました。

統計データによれば、素麺の消費量は徐々に減少しています。

特に若年層では、インスタント食品やパスタなどの簡便な麺類への嗜好が強まっています。

 

一方、2020年以降はコロナ禍による「巣ごもり需要」で一時的に家庭での素麺消費は増加しましたが、全体的なトレンドとしては減少傾向にあると言えます。

 

そんな中で、新たな市場開拓として、都市部を中心に素麺専門店が登場しています。

夏の食べ物というイメージから脱却し、一年を通して楽しめる多彩な素麺料理を提案しています。

 

【そうめん専門店「そそそ」】(東京都渋谷)

香川県小豆島の手延べ素麺「島の光」の魅力を伝えるため2018年にオープン。

渋谷ヒカリエにある「そうめん そそそ 研究室」では、自分の好きな量・味・具材などを選んで自分好みの素麺の食べ方を研究できる。

 

・そうめん専門店「そそそ」

https://so-mensososo.com/

・渋谷ヒカリエフロアガイド そうめん そそそ 研究室

https://www.hikarie.jp/shop/detail/?scd=000085

 

 

【そうめん屋はやし】(東京都大井町)

奈良県の三輪素麺を使用し、和風はもちろん、薬味の効いた豆乳素麺、台湾風、肉天かす温麺など、個性派ぞろいの10種類以上のメニューを提供。

 

・そうめん屋はやし(食べログ)

https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131501/13179397/

 

 

【そうめん酒場はやし】(東京都目黒)

こだわりの料理とお酒、そして〆の素麺を気軽に楽しめるお店。

 

・そうめん酒場はやし(食べログ)

https://tabelog.com/tokyo/A1316/A131601/13252779/

 

 

【素麺人】(東京都竹ノ塚)

長崎県島原の手延べ素麺を多彩なアレンジで楽しめる。

「素麺甚(そうめんじん)」という店名で各地のイベントに出店しているキッチンカーがルーツ。

2025年4月オープン。

 

・【足立区】素麺の常識が変わる?キッチンカー発、多彩な素麺アレンジの店「素麺人」竹ノ塚にオープン

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/561c9127e983eba30571700f201b1074f7770e97

 

 

現代の食のトレンドに合わせ、素麺の新しい食べ方も生まれているようです。

参考までに調べてみました。

 

<世界の料理とのフュージョン>

・オリーブオイルやバジルを使った「冷製パスタ風素麺」

・ナンプラーやパクチーを合わせる「タイ風スパイシー素麺」

・コチュジャンやキムチを合わせる「韓国風辛味素麺」

 

<SNS映えする素麺>

・カラフルな素麺を使った「レインボー素麺」

・夏野菜と合わせた「彩り野菜素麺」

 

<季節を問わない素麺>

・冬の鍋ものに素麺を入れる「素麺鍋」

・温かいスープカレーに素麺を合わせる「カレー素麺」

・朝食として素麺を楽しむ「モーニング素麺」

 

 

<参考サイト>

・「全国そうめんサミット2023in小豆島」5千人が来場

https://f-weeklyweb.com/top-news20230612/

・【東京】そうめん専門店3選。外そうめんならではのおすすめメニューがズラリ!

https://www.jalan.net/news/article/474633/#03

 

 

 

 


 

⑤ 小豆島手延素麺の石井製麺所とは

 

私三代目が小豆島に帰ってきたのは、2018年5月頃だったと思います。

関東圏の大学に通い、就職もそのまま関東で。

素麺どころか、食品とも関係のない、住宅関係の仕事をしていましたが、縁あって島に戻ることになりました。

子どもの頃に、簡単な作業を手伝うことはありましたので、工場に入ったことはもちろんありましたが、

「これからここで素麺づくりを始めるんだ」と改めて工場に入ると、見ていたようで見えていなかった、たくさんの製麺機械や道具が並んでいました。

 

その後、正式に事業承継を行ったのが2020年1月です。

 

創業は、1971年の(おそらく)秋とのこと。

父の父、私からすると祖父に当たる石井史郎が、小豆島手延素麺協同組合の組合員として創業しました。

当時は、素麵がとてももてはやされたと聞いています。

「つくれば売れる」ということで、生産量のピーク1992年には、54,000㎏も製麺していたとか。

素麺は18kg単位で生産量を計算するので、およそ3,000箱分になります。

昨年はほぼ家族3人で年間1,400箱なので2倍以上…到底想像できない生産量です(笑)。

 

2003年に父が2代目として製麺所を引き継ぎ、母と従業員の方が6名ほどいたそうです。

そこから天候不順や景気の動向、食生活や文化の変化(御中元需要の減少)などが大きく影響したと思われるのですが、生産量、販売量ともに減少傾向が続き、私が帰ってきた2018年にはピーク時の40%くらいまで減っていました。

 

ただ、生産量が減少した一番の原因は、高齢化や人手不足で、単純に生産能力が落ちてしまったからだと思います。

(これは弊社だけの問題ではなく、地域の、さらに広く見れば業界の課題ですね。)

 

私も家業を継ぐ形で製麺作業に加わり、経営や営業面も承継して、お客様へのご案内や営業活動、新しい手延べ麺の開発などを行っています。

 

 

先代の時代から、新しい手延べ麺の可能性として「山芋素麵」「蕎麦風味」を開発、商品ラインアップに加わりました。

白い素麵が基本的には人気ですが、贈り物用としてのご用命もあり、特に「山芋素麵」は今でも根強い人気があります。

 

しかしながら、相対的に生産量・販売量ともに減少していると、販売の拡大が先か、製造強化(安定)が先か、大変迷うところでした。

3代目を引き継いだ際に、

「このまま、白い手延べ素麺を続けているだけで良いのだろうか?」

「いつもご愛顧いただくお客様にもっと喜んでいただけることはないだろうか?」

と、事業承継してからは自問自答の毎日でした。

そんな中で出会ったのが小豆島で研究栽培をされていた「しょうどしま長命草」でした。

 

「これだ!」とひらめきました。

 

学生時代、実家から素麺が仕送りされていました。体調を崩しているとき、母から送ってもらった素麵の、その食べやすさと優しさに、弱った心と体が癒やされたのを、今でもはっきりと覚えています。

(小豆島から離れて頑張っている学生さんにとって、これはあるあるかもしれませんね。)

 

元来、素麵は嗜好品でなく、「大切な方への健康を思いやる贈り物」なんだと、あとからですが気がつきました。

そこで、次の100年に残す手延べ素麵のテーマとして「よりそうめん」を掲げて、健康で毎日を過ごすために選ばれる食品を目指して取り組むことにしました。

そこから、「手延べしょうどしま長命草素麵」「手延べ小豆島オリーブオイル素麵」を開発し、化学調味料や着色料を一切使用せず、食べる方に優しい手延べ素麵を届けさせていただいています。

続けて、島内での色々なご縁が繋がり『薬膳』の考えを取り入れた「手延べひじき麺」「手延べきくらげ麺」「手延べ黒ごま麺」を発売。

その製麺で得られた技術を活かし、現在では多くのOEMを受託させていただくまでに至りました。

 

3代目を承継し、引き続きご愛顧くださるお得意様、応援くださるお客様、経営者として支えてくださる多くの方のおかげで、今日に至っていると強く感じます。

今年は、新しいお取引様含め、国産小麦だけでつくる手延べ素麵用の小麦粉の開発や、新麺開発でのご依頼も増え、益々石井製麺所が活気づきそうです。

 

今一番心配なのは、父・母の体調と、私の腰の具合です(汗)。

 

 

 

 


 

⑥ 素麺業界と人材募集について

 

現在は父と母、三代目の私と少し製造のお手伝いをしてくださる方と、他にもいろいろとお手伝いいただく方とで毎日の製麺作業に取り組んでいます。

前述したとおり、心配なのは本人含めた家族の体調面ですが、今お手伝いいただく方々も私より先輩ですので、石井製麺所としての若返りが、目下の課題だと考えています。

そこで、新しく工場で働く方を募集したいと考えています。

 

石井製麺所もそうですが、島内の製麺所のほとんどは、島の方や他製麺所で経験のある方を雇われてきました。

ですが今回は、「素麵をつくっていきたい!」と考える未経験者の方にも、3〜5年を目安に修業(経験)の場として活用いただければと思っています。

もちろんそのまま石井製麺所で携わっていただくことが理想ですが、まずは入りやすい入口として考えていただけるような条件で考えています。

 

 

私は以前に、パン工場に勤めていたことがあります。

実はパン業界にも興味を持っていて、お店に行って買ったり食べたりして、いろいろ学びを得ていました。

(子どもの頃から、「小麦粉を練って焼く」ということが好きでした。なんちゃってパンケーキのようなものをよく作っていました。)

同じ小麦粉を原料とした業界で、製造環境も夜中から仕込みがあったり重労働であったりして大変なのに、なぜあんなにも若者がなりたがるんだろうと、思えば不思議に感じていました。

たぶん、子どもたちに「将来の夢」を聞いてみると、「パン屋さんになりたい!」という子はいると思います。

おそらく、島の子どもたちに聞いても、なりたい職業に(家業を除いて)「素麺屋・製麺所」はないのではないでしょうか。

 

この差はいったい、どこから生まれるのでしょうか?

極端な考え方かも知れませんが、「今っぽさ」ではないかと考えています。

“ミーハー”という意味でなく、「今のライフスタイルに合わせた楽しい商品開発」が欠かせないのではないかと考えるようになりました。

(パン業界は、製法の進化や新しいパンの開発、お店ごとに個性のあるパンがつくられていますし、発酵という技術ひとつをとっても、日夜研究が進んでいます。島内でも新しいパン屋さんがオープンするのも珍しくありません。実情は分からないところもありますが、少なくとも私の目には、活気があって楽しそうに映ります。)

それが、前述した「よりそうめん」であり、それを実現するためにも、「毎日食べていただける素麵とは何か」を考え、レシピ開発などでなく、選んで求められる食品とは何かに着目し、素麵そのものの価値観を変えられるような商品づくりが必要だと考えるに至りました。

それが新しい技術に結びつき、お客様の食卓に上る選択肢になるのではないか。

私たちが残すべきものは、白い素麺だけでなく、「時代に必要とされる手延べ製法の技術」ではないかと考えています。

 

石井製麺所では、(ある程度決まり事はありますが)自由に楽しい発想で、手延べ麺だからできるアプローチで、お客様の健康に寄与できる食品をお届けできるように取り組んで行きたいと考えています。

 

そして、今、そんな未来の素麺業界を一緒に考えてくれる仲間、一緒につくってくれる仲間を探しています。

正直に申しまして、リアルな就業環境を整えることが、近々の課題でもあります。

素麺づくりに興味のある方で、辛抱強い方、ご連絡をお待ちしております。

 

これまでの手延べ素麺づくりの当たり前を、見直す時期が来ています。

朝2時〜3時ごろから作業が始まるのも労働環境としては、なかなかに難しいと感じますが、新商品開発と併せて製造工程の見直しや従事する時間なども工夫できないかと考えています。

重労働で、従事する時間も長く、ほぼ同じ作業を繰り返す環境から、新しいことへチャレンジできる機会創出や従事時間の短縮、OEMや新麺による工程の変化なども考えながら、まさに持続・継続可能な製麺所を目指せないかと考えています。

 

長年、職人の経験と勘、そして体力に支えられてきた手延べ素麺づくり。

これからは誰かひとりの力に頼るのではなく、

培ってきたものを活かし、新しいチャレンジを続けながら、

チームで、工場として、「美味しい手延べ麺」をつくる製麺所を目指します。

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ素麺》手延べしょうどしま長命草素麺

 

前述した「手延べしょうどしま長命草素麺」ですが、その開発には工程の様々な改良が必要となり、熟成時間の工夫、麺の太さの検討、パッケージへの配慮など、色々な視点で何度も何度も試作を重ねました。

その積み重ねがあり、石井製麺所独自と言える(と思う)手延べ製法を構築するに至り、それを様々なOEMや新麺へ活かすことができています。

気候条件などでまだまだ工夫の余地はありますが、他の新麺のベースになっているのは間違いなく、本当に色々な気付きをもらうことができました。

また、その開発を通じて得られた気づきは、従来の素麺にも活かすことができています。

今も新しい手延べ麺の開発に取り組んでいますが、間違いなく新生石井製麺所の分岐点になったのは、この素麺で間違いありません。

 

そんな想いの詰まった「手延べしょうどしま長命草素麺」を毎日のお食事に、大切な方への贈り物にいかがでしょうか。

 

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in/

 

《手延べしょうどしま長命草素麺》 https://141seimen.thebase.in/items/29007893

 

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年5月12日 【Vol.58】メンコレ⑧/ニンニクを練り込んだ麺の“パワー”

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.58

メンコレ⑧/ニンニクを練り込んだ麺の“パワー”

 

 

 

 

できれば、香川県、できれば、小豆島の食材を使って新しい手延べ素麺を開発したいと考えていて、ときどき農家さんのもとへお邪魔させていただき、お話を伺っています。

今回は、ちょうど収穫時期だったニンニクを実都農園さんにお願いして拝見させていただきました。

なんと、ニンニクの収穫量は、香川県が第三位なんですよ!

 

 

実都農園さんがあるのは、小豆島の三都半島。

実都農園さんが育てるトウモロコシは絶品でして、数年前から我が家に欠かせない味覚になっているのですが、お伺いするのは今回が初めて。

左手に海を臨みながら、半島外周の道をしばらく行くと急に開けた場所に出ます。待ち合わせの公民館に車を停めて、周囲を見渡すと畑がたくさん、北から南に向かって広がっていました。

迎えに来ていただいた園主の向井さんは、おそらく私と年齢も近いでしょうか。

おいそがしい収穫作業の合間に、ニンニク畑を案内してくださいました。

(お時間を頂戴しましたこと、あらためて御礼申し上げます。)

 

「週末が雨予報なので、早めの収穫を決めました」

まず驚いたのは、畑に近づくとはっきりと、ニンニクのいい香りが漂っていたことです。

収穫した直後のニンニクは、表面の余分な水分を飛ばして保存性を高めるため、そのまま畑の上で天日干しをするそうです。

畝の間には、採れたてのニンニクが一杯に入ったオレンジ色のカゴが並んでいました。

香川県のニンニクは、より香りが強く、味わいも濃厚とのこと。

 

一方、栽培にあたっては、大きく、皮が裂けていない実をつくることが良いニンニクの条件で、そのための工夫は凝らしても、すべてが思い通りになるのではなく、毎年、試行錯誤されているそうです。

どうしても、思い通りにならないのはお天気で、そういうものだと知ってはいても、やはり日々、農業に向き合っている方からお話を聞いて、その厳しさが少しだけ分かったような気がします。

素麺はたとえ一日失敗したとしても、次の日には前日の反省を生かして再チャレンジができます。

農家さんはその年、その種、その苗、その実が勝負。

 

向き合う仕事は違っていても、小豆島でがんばる同世代として、今回、向井さんとお話しできたことはとても有り難いことでした。

素麺には素麺の、農家さんには農家さんの課題はあります。

手延べ素麺の可能性を拡げることで、素麺業界の課題を解決するだけでなく、農家さんのお役に立てることがあるかもしれません。

今回の出会いをその第一歩として、“小豆島ならでは”の美味い(うまい)手延べ麺を皆さまにお届けできるよう頑張りたいと思います。

 

 

今回のブログでは、ニンニクのさまざまなお話を調べました。

ニンニクは思った以上にパワーの源として活用されてきたんですね。

日本にも古くからあったとは驚きでした。

てっきりヨーロッパなど外国のもので最近入ってきたものと勝手に思っていましたが。。。

そんな意外性のある内容にもなっていますので、ぜひお付き合いの程、よろしくお願いします。

 

※写真は、実都農園園主の向井亮二さん

※写真は、収穫されたばかりの生ニンニク

 

【目次】

① ピラミッド建設にも役立った!?ニンニクの歴史

② ニンニクの栄養と、気になるにおい対策

③ 魔除けにも使われる!ニンニクの活用法いろいろ

④ スタミナ食!日本のニンニク料理

⑤ ソースやスープも!世界のニンニク料理

⑥ ニンニクを練り込んだ素麺や、素麺以外の麺あれこれ

⑦ 《美味しい手延べ素麺》番外編╱YouTubeで紹介されました

 

 


 

 

① ピラミッド建設にも役立った!?ニンニクの歴史

 

ニンニクはユリ科の多年草で、原産地は西アジアから中央アジア地域と考えられています。

紀元前3200年頃の古代エジプトで最初の栽培の証拠が見つかっているそうです。

ピラミッド建設の労働者たちにニンニクが配給されていたことが壁画に記録されており、当時からその栄養価と活力を与える効果が認識されていたと考えられます。

ツタンカーメン王の墓からもニンニクが発見されています。

また、肉や魚の保存、毒蛇や害虫による傷の治療にもニンニクが使われていたそうです。

エジプトから地中海を経てギリシャに伝わると、医学の父と呼ばれるヒポクラテスがニンニクの利用を積極的に推奨しました。

 

※写真は、PhotoAC「【エジプト】ピラミッドと砂漠」より

 

古代ローマ時代には、ニンニクは遠征に出かける兵士たちの体力維持に欠かせない野菜となっていました。

兵士たちは長い行軍の間、ニンニクを携帯し食べることで体力を維持していたと言われています。

古代ペルシャの王の食卓にも毎日ニンニクが並べられていたという記録が残っています。

 

紀元前2000年頃には中国でも栽培が行われており、そこからアジア各地へと広がっていきました。

日本にはインドと中国を経て、奈良時代(8世紀頃)に伝わったとされています。

「古事記」にはすでにニンニクの利用が記されており、ヤマトタケルノミコトが食べていたという記述もあります。

「万葉集」には二杯酢の中にすりおろしたニンニクを入れ、鯛の刺身をつけて食べる方法が記されています。

「宇津保物語」には、妊婦の体力回復と赤ちゃんの健康管理に良い食べ物であると位置づけています。

 

しかし、仏教の普及とともに「不許酒入山門」という考え方で、強いにおいのするニンニクやネギ類の寺院への持ち込みが禁じられるようになりました。

「五葷(ごくん)」と呼ばれる5種類の野菜(ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、タマネギ)は強いにおいを発するため、気を乱し修行の妨げになると考えられていました。

修行僧の堕落と迷いを防ぐために、古くから体力増強や強壮作用があると知られていたニンニクを禁じたとのことです。

 

※写真は、PhotoAC「ヤマトタケル」より

 

江戸時代になると、健康に非常に気を遣っていた徳川家康がニンニクのすりおろしを常食していたという記録があります。

特に、鯛の天ぷらにおろしニンニクを添えるという食べ方を好んだとされています。

江戸時代の百科事典「和漢三才図会」(1713年)には、青森(奥州津軽)のニンニクは大きく直径2寸(約6cm)もあると述べられており、当時から青森がニンニクの産地として知られていたことが分かります。

参勤交代の際、特に江戸から遠い薩摩藩(現在の鹿児島県)の藩士たちが約1600キロメートルの道のりを歩く際に「にんにく卵黄」を食べて体力を維持していたという記録もあります。

蒸したニンニクをペースト状につぶして卵黄と混ぜ、加熱しながら練り上げて成形し乾燥させたもので、これが現在の南九州地域における伝統食の起源となっています。

 

ニンニクが一般家庭に食用として広まったのは第二次世界大戦以降のことで、食の多様化が進んだことに伴い少しずつ受け入れられるようになりました。

日本での主なニンニク生産地は、青森県、北海道、香川県などです。

日本の生産量の約7割を占める青森県は、豊かな自然環境と気候がニンニクの栽培に適しています。

夏の涼しさが茎の成長を促し、冬の寒さが根を強くして糖度をため込み、高品質なニンニクに育つそうです。

また、栽培に適した土づくりや栽培技術、徹底した管理体制、乾燥、貯蔵技術などが整っていることから、1年を通して出荷が可能となっています。

有名な産地は十和田市や田子町で、「福地ホワイト六片」「たっこにんにく」といったブランドニンニクが知られています。

生産量2位は、青森県と似た気候条件の北海道です。

3位は香川県で、温暖な気候と適度な降雨量が栽培に適しており、風味や辛味が特徴的なニンニクが育つとのことです。

 

日本では古くは「大蒜(おおひる)」と呼ばれていました。「ニンニク」という名称の由来については、2つの説があります。

1つは、強いにおいからきた「ニホヒニクム(匂悪・匂憎)」が縮まったという説。

もう1つは、仏教用語でがまんを意味する「忍辱(にんじょく)」からきたという説で、臭気を堪え忍んで健康のために食べるというこちらの説が通説となっているそうです。

地方によっては「ニニク」(島根・広島)、「ニニグ」(秋田)、「ニニョグ・ニニョゴ・ニンニョゴ・ニンニョグ」(青森県津軽)、「ネネク」(島根)といった方言も存在します。

 

 

<参考サイト>

・にんにくを知る

https://www.e-ninniku.com/history

・にんにくの歴史

http://kuroninniku.shop-kisyuya.com/?mode=f7

・家康の好物で参勤交代でも大活躍!にんにくの歴史と簡単にんにくオイルレシピも紹介

https://intojapanwaraku.com/rock/gourmet-rock/103368/

・にんにくの生産量が多い産地について徹底解説

https://www.e-ninniku.com/column/garlic-production/?srsltid=AfmBOorIIyrUm0K6d3JeJhjCLkdX2U9BOKcZ_qwcWoBH1LqKJIuIVbEZ

・なぜにんにくは青森県産が多いのか?産地やブランドも紹介

https://www.e-ninniku.com/column/garlic-from-aomori/

 

 

 

 


 

② ニンニクの栄養と、気になるにおい対策

 

ニンニクは、疲労回復や冷え性改善、免疫力の向上などの働きが期待される食材です。

1990年代にアメリカの国立がん研究所(NCI)を中心に行われた「デザイナーフーズ計画」では、約40種類の野菜・果物を重要度順に分類し、リスクを減らす野菜をピラミッド型にし、ニンニクをその頂点に位置づけました。

これは、ニンニクに含まれる成分が特に健康に有益であるという科学的根拠を示しています。

 

ニンニクの主要な有効成分であるアリシンは、アミノ酸の一種であるアリインが空気に触れて変化して生じる成分です。

アリシンには抗酸化作用があり、またビタミンB1と一緒に摂るとビタミンB1の吸収を高め、相乗効果で疲労回復が期待できます。

アリシンは加熱するとスコルジニンという成分に変化し、血行促進により冷え性の改善にも役立つとされます。

またアリシンには殺菌効果があり、免疫力向上も期待できるそうです。

 

ニンニク特有のにおいのもととなるのもアリシンで、これがさらに変化したアリルメチルスルフィド(AMS)は体内に長くとどまる傾向があり、口臭などの主な原因となります。

 

 

におい対策としては以下のような方法があります。

 

【緑茶を飲む】

お茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンの消臭・殺菌効果により、においを抑える。

 

【牛乳を飲む】

牛乳に含まれるタンパク質や脂質が、アリインと結合することによりアリインを減少させる。

 

【りんごジュースを飲む】

りんごポリフェノールがアリシンと結合してにおいを減らす。

 

【コーヒーを飲む】

クロロゲン酸などのポリフェノールがあリシンと結合してにおいを軽減する。

 

【チョコレートを食べる】

ポリフェノールが口内のニンニク臭を抑制する。

 

※写真は、PhotoAC「コーヒーとダークチョコ」より

 

<参考サイト>

・にんにくの効果的な食べ方は?栄養や効能、おすすめレシピも紹介

https://www.momoya.co.jp/media/how-to-eat-garlic-effectively/

・ニンニク栄養!生と加熱で含有量は違うの?

匂いを抑える方法も

https://www.kagome.co.jp/vegeday/nutrition/202304/12847/

・にんにく臭い消しに即効性がある食後の対策と、翌日に残るにんにく口臭・体臭を消す方法

https://www.greenhouse.ne.jp/times/breath_kousyu_garlic

 

 

 


 

③ 魔除けにも使われる!ニンニクの活用法いろいろ

 

ニンニクは、世界各地で魔除けとして用いられてきました。

古代ローマ時代には咳止めや寄生虫駆除の治療薬として使われていたことが分かっており、病気を改善・予防する効果があることから病気を引き起こすものを追い払うと考えられていたようです。

 

ヨーロッパでは、かつて大流行したペストの感染がニンニクの抗菌作用により弱まったこともあり、魔除けや厄除けの効果があると考えられてきました。

吸血鬼はニンニクの強烈なにおいを嫌がって寄り付かないと伝えられています。

欧米ではキッチンや玄関先にニンニクを編み込んで吊るす「ガーリックブレイド」という習慣があり、これも魔除けの意味合いを持っています。

 

日本でも、軒先や玄関先にニンニクを束ねて吊るし、魔除けや無病息災を願う風習がありました。

また一部の地域では、ニンニクを玄関先に吊るしておくと金運がアップすると伝えられています。

 

青森県弘前市にある「鬼神社(きじんじゃ)」では、神前にニンニクを供えて神を慰め、悪魔や病魔を祓う習慣があるそうです。

一説には、用水路をつくって干ばつから村を救った鬼の好物であるニンニクを奉納しているとも言われます。

 

茨城県つくば市にある「一ノ矢八坂神社」では、年に1度の例大祭で、ニンニクを丸ごと袋に入れたお守りが魔除けとして頒布されるそうです。

江戸時代の、天明の大飢饉(1782~87年)で伝染病がはやった際、当時の領主がニンニクで人々を救ったという逸話が伝わっています。

 

※写真は、PhotoAC「「鬼神社」の鳥居と注連縄、津軽半島」より

 

<参考サイト>

・にんにくが魔除けに使われる理由

https://xn--t8jj9cuba3v613qh5e1v0bkd1d.net/ninnikukora/ninnimayoke.html

・にんにくの魔除けパワーは世界共通!にんにくに秘められた驚くべき力とは

https://kaiun-ch.com/8200

・古今東西、ニンニクといっしょ

https://www.health.ne.jp/library/detail?slug=hcl_3000_w3000824&doorSlug=garlic

・にんにくを奉納している神社があるんだって

https://www.sbfoods.co.jp/honnama30/contents/01/#:~:text=%E9%9D%92%E6%A3%AE%E7%9C%8C%E5%BC%98%E5%89%8D%E5%B8%82%E3%81%AE,%E3%82%92%E5%A5%89%E7%B4%8D%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

・鬼神伝説

https://www.city.hirosaki.aomori.jp/school/jitoku/2014-1127-kisinn-denndetu.html

・祇園例大祭

http://www.yasaka.or.jp/maturi.htm

 

 

 

 


 

④ スタミナ食!日本のニンニク料理

 

ニンニクは薬味としてカツオのたたきや馬刺しスライスなどに使われますが、一般的に日本料理、特に和食ではあまり使用されません。

これは主に仏教の影響や、味の繊細さを重視する和食の特性から来ていると考えられています。

 

ですが調べてみると、ニンニクの産地である青森県や、葉ニンニクを日常的に食べる習慣のある高知県などに、郷土料理が伝わっていました。

 

いくつかご紹介します。

 

【ニンニク漬】(青森県)

国内でのニンニク生産量が非常に高い青森県では、寒さの厳しい冬に体を温めるため、昔からニンニクを常備してきた食文化がある。

ニンニクの薄皮をひとかけずつ剥き、1週間ほど酢に漬けた後、醤油に好みでみりんや唐辛子を入れて漬け込む。

麹味噌などで味噌漬けにする場合も。

そのまま食したり、スライスして炒め物に使ったりする。

 

【かっけ】(青森県)

南部地方で日常的に食べられている家庭料理。

そば粉に少量の塩を加え水でこねて薄くのばし三角形に切って、季節の野菜とともにゆでたものに、ニンニク味噌をつけて食べる。「かっけ」とは地域の言葉で「かけら」「端っこ」を意味する。

田子町では「つつけ」と呼ばれ、大きな鍋を大勢で囲みつついて食べることが由来とされている。

 

【葉ニンニクのぬた】(高知県)

高知県では、葉ニンニクがすき焼きや雑炊、炒めものなどの料理によく使われる。

16世紀末、土佐の戦国大名・長曾我部元親が朝鮮の役から帰国した際に持ち込まれたのがルーツとされる。

「ぬた」は、細かく刻んですりつぶした葉ニンニクに味噌や酢、炒りゴマを混ぜてつくる伝統的な調味料。

生の魚やこんにゃくにつけて食べる。

ニンニク独特の香味とピリッとした辛みが特徴。

 

【ニンニク塩漬】(鹿児島県)

奄美群島では古くからニンニクが植えられていたと伝わる。

この地域ではニンニクを「フル」、塊のことを「ガブ」ということから、「フルンガブの塩漬け」とも呼ばれる。

ニンニクの塊の皮をむき、塩をまぶして一晩重石を乗せて塩漬けし、水気を取って黒糖やキビ酢に漬けたもので、家庭の日常的な漬物として、またスタミナ源として食される。

 

【ヒルアギ】(鹿児島県)

古くから奄美群島で愛されてきたスタミナ料理。

「ヒル」はニンニク、「アギ」は炒めるという意味。

ニンニクの葉を豚バラ肉、ニンジン、糸コンニャク、かまぼこなどと一緒に炒め、醤油や塩を使って強火でさっと仕上げる。

 

※写真は、PhotoAC「新ニンニク 青森県産」より

 

<参考サイト>

・にんにく漬【郷土料理ものがたり】

https://kyoudo-ryouri.com/food/2505.html

・かっけ 青森県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kakke_aomori.html

・郷土料理「つつけ」セット

https://garlic.shop-pro.jp/?pid=167449181

・岐阜県の郷土料理♪ガツンと効いたニンニクが絶品!!『鶏ちゃん』のレシピ・作り方

https://naruhodou.jp/entry/recipe0682

・葉にんにくのぬた 高知県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/haninnikunonuta_kochi.html

・にんにく塩漬 鹿児島県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/menu/ninnikushiozuke.html

・ヒルアギ【郷土料理ものがたり】

https://kyoudo-ryouri.com/food/2040.html

 

 

 


 

⑤ ソースやスープも!世界のニンニク料理

 

ニンニクは世界中の料理で欠かせない食材として広く使われています。

香りや風味だけでなく、健康効果も高いとされ、多くの国で様々な調理法で親しまれています。

主なものをいくつか調べてみました。

 

【空心菜のニンニク炒め】(中国)

中国はニンニクの生産量・消費量ともに世界一で、一人当たりの年間消費量は14kg以上と言われている。

中華料理では多くの料理にニンニクが使われ、特に炒め物や醤(ジャン)などの調味料に多く用いられる。

特に人気なのが、空心菜の茎と葉をニンニクと唐辛子で炒めたもの。

シンプルながら奥深い味わいが特徴。

 

※写真は、PhotoAC「空心菜のにんにく炒め」より

 

【ニンニクキムチ】(韓国)

韓国もニンニクの消費量が多く、一人当たり年間約6.5kgを消費している。

健康維持に欠かせない食材として多くの料理に使われており、キムチをはじめとする発酵食品やプルコギなどの韓国料理に欠かせない存在となっている。

ニンニクそのものを漬け込んだキムチもある。

 

※写真は、PhotoAC「キムチにんにくの漬物」より

 

【シュクメルリ】(ジョージア(グルジア))

コーカサス山脈の南麓にあるジョージアのシュクメルリ村の郷土料理。

「ニンニクを世界一美味しく食べるための料理」とも言われる。

鉄板で焼いた鶏肉を、香辛料と大量のニンニクを効かせた濃厚なクリームソースと合わせ土鍋で煮込む。

体の中から元気になるような味わい。

 

※写真は、PhotoAC「シュクメルリ」より

 

【アヒージョ】(スペイン)

地中海料理ではオリーブオイルとニンニクの組み合わせが基本となっており、スペイン料理のほとんどにニンニクとオリーブオイルが使われていると言われる。

「アヒージョ」は刻んだニンニクの意味。

エビやマッシュルームなどの食材をオリーブオイルとニンニクで煮込む、タパス(小皿料理)の一種。

 

※写真は、PhotoAC「エビときのこのアヒージョ」より

 

【ガスパチョ】(スペイン)

アンダルシア地方発祥の冷製スープ。

トマト、キュウリ、ピーマン、タマネギ、ニンニク、パン、オリーブオイル、酢、塩をブレンドしてつくられる。

 

※写真は、PhotoAC「ガスパチョ」より

 

【パン・コン・トマテ】(スペイン)

カタルーニャ地方に古くから伝わる郷土料理。

トーストしたパンにニンニクをすりつけ、生のトマトでつくったペーストをたっぷりかける。

 

※写真は、PhotoAC「スペインのパン・コン・トマテ」より

 

【アホブランコ】(スペイン)

「アホ」はスペイン語でニンニク、「ブランコ」は白いという意味。

アンダルシア地方の伝統的な冷製スープで、「白いガスパチョ」とも呼ばれる、ニンニクとアーモンドの冷製スープ。

 

【ソパ・デ・アホ】(スペイン)

カスティーリャ地方で親しまれる郷土料理。

「ソパ」はスープの意味。

スライスしたニンニク、ベーコン、パンをオリーブオイルで炒めたスープに、溶き卵を入れて仕上げる。

 

※写真は、PhotoAC「ソパ・デ・アホ」より

 

【アリオリ】(スペイン)

カタルーニャ料理に欠かせない伝統的なソース。

ニンニクとオイルを乳化させたもので、パエリアなどの米料理や、肉のグリルなどに添えられる。

 

【アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ】(イタリア)

イタリア料理でも、多くの定番料理にニンニクが使われる。

「アーリオ」はニンニク、「オーリオ」はオリーブオイル、「ペペロンチーノ」は唐辛子の意味で、日本で「ペペロンチーノ」として知られるパスタ料理の正式名称。

 

※写真は、PhotoAC「アーリオオーリオペペロンチーノの一皿」より

 

【ブルスケッタ】(イタリア)

軽く焼いたパンにニンニクをすりこみ、オリーブオイルとトマトなどをのせて食べるイタリア料理の前菜。

 

※写真は、PhotoAC「ブルスケッタ」より

 

【ボレート】(イタリア)

イタリア北部のフリウリの郷土料理。オリーブオイルを使わず、ビネガーで煮るのが特徴。皮をむいたニンニクを真っ黒になるまで焦がし、サバなどの魚介を焼き付け、ワインビネガーと水を入れじっくり煮込む。

 

【アイオリ】(フランス)

フランスのプロヴァンス地方発祥とされる、すりつぶしたニンニク、卵黄、オリーブオイル、レモン汁、塩コショウを混ぜてつくられたソース。

見た目はマヨネーズに似ているが、ニンニクの風味が強調されているのが特徴。

肉や魚料理、パン、温野菜など、様々な食材に合う。

 

※写真は、PhotoAC「ポテトとアイオリ」より

 

【鶏肉と40片のニンニクの煮込み】(フランス)

プロヴァンス地方の郷土料理で、焼き色を付けた鶏肉を、大量のニンニクとタイム、セージ、ローリエなどのハーブで蒸し煮にする料理。

 

【スコルダリア】(ギリシャ)

ギリシャ語でニンニクは「スコルド」。

ニンニクとマッシュポテトをベースにオリーブオイルとビネガーを加えた濃厚なディップソース。

パンや、魚、野菜などの付け合わせとして食べられている。

 

【ザジキ】(ギリシャ)

ギリシャヨーグルト、すりおろしたキュウリ、ニンニク、オリーブオイル、レモン汁でつくる、爽やかな味わいのソース。

野菜やクラッカーにつけたり、サラダやサンドイッチに入れたり、肉や魚などのメイン料理に添えたりと多様な食べ方ができる。

 

※写真は、PhotoAC「ジャジキ」より

 

<参考サイト>

・空心菜のにんにく炒め

https://note.com/chijintianxia/n/n88de687a578a

・毎年夏バテしてない?簡単に作れてスタミナ抜群のにんにくキムチを食べて暑い夏を乗り切ろう‼

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/257af13e49e978b62b9478e31164094c7df4b173

・世界一美味しい国の、世界一ニンニクを楽しむ料理

https://tabi-labo.com/287858/shukumeruri

・shkmeruli(シュクメルリ 【ジョージア】)

https://www.bras-de-chef.com/recipes/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%AF%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%80%80%E3%80%90%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%80%91/

・アヒージョとは(スペインのガーリック料理)

https://www.oliveoilsfromspain.jp/resipi/ahi-jo-to-wa-supein-no-ga-rikku-ryori/

・ガスパチョとサルモレホ:スペインの冷製スープの魅力

https://cometeespana.com/gazpachoysalmorejo/

・シンプルにおいしいパン コン トマテ

https://www.otsuka.co.jp/eql/tab/column/recipe-21.html#:~:text=Pan%20con%20tomate%EF%BC%88%E3%83%91%E3%83%B3%20%E3%82%B3%E3%83%B3,%E3%81%8C%E3%81%AE%E3%81%B3%E3%81%A6%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

・からだぽかぽか!スペインの家庭料理「ソパ・デ・アホ(スペイン風ニンニクスープ)」

https://www.yomeishu.co.jp/genkigenki/recipe/100128/index.html

・Allioli アリオリ

https://granjapon.co.jp/archives/column/masubuchi04

・アーリオ・オーリオとは?ペペロンチーノとの違いやおすすめのレシピもご紹介

https://delishkitchen.tv/articles/2153

・チーズのブルスケッタ トマト&アボカド

https://www.morinagamilk.co.jp/recipe/detail/recipe.php?id=87021K#:~:text=%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%83%E3%82%BF%E3%81%AF%E8%BB%BD%E3%81%8F%E7%84%BC%E3%81%84%E3%81%9F,%E3%81%8A%E3%82%82%E3%81%A6%E3%81%AA%E3%81%97%E3%81%AB%E3%82%82%E6%9C%80%

・にんにくの風味がガツンと聞いたイタリア郷土料理”ボレート”

https://dancyu.jp/recipe/2024_00009355.html

・鶏肉と40片のニンニク(仏Poulet aux 40 gousses d ‘ail)

http://hiro-french-italy.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/40poulet-aux-40.html

・スコルダリア

https://elinesaglik.obunko.com/eur/gre/gre_024.html

・ザジキ(ギリシャ風ヨーグルトときゅうりの万能ディップ)

https://oceans-nadia.com/user/26/recipe/139971

 

 

 

 


 

⑥ ニンニクを練り込んだ素麺や、素麺以外の麺あれこれ

 

ニンニクを麺に練り込んだものを調べてみたら、素麺やインスタントラーメン、冷麺など、様々な麺がつくられていましたので、いくつかご紹介します。

 

【にんにくそうめん】(柏崎製菓)

岩手県産小麦でつくったソーメンに青森県産ニンニクの粉末を練りこんだ。

夏は冷たいつゆで、冬場はあたたかいつゆで、またイタリアン風にして食べてもおいしいとのこと。

 

【にんにくめん】(肥後そう川)

熊本県産小麦粉でつくった麵に、「粉末にした熊本県産のニンニクを練り込み、健康的でおいしい麺に仕上げた。

 

【にんにく練り込み生冷麺】(小関麺興商事)

青森県十和田産のニンニクを粉末にして練り込んだ生タイプの冷麺。

1食で1片20gの量を摂ることができる。

ニンニクの風味とツルツルとしたコシが特徴。

 

【鬼黒麺】(藤幸製麺・かぐや農園)

青森県弘前市の藤幸製麺と、かぐや農園のコラボ商品。

生黒ニンニクを贅沢に練り込んだ麺は、茹で上げるとまるで蕎麦のような見た目になる。

ざる蕎麦のように、冷水で締め麺つゆにつけて食べるのがおすすめとのこと。

 

【田子にんにくラーメン】(田子町ガーリックセンター)

青森県田子町産のニンニクが練り込まれ、独特な香りと味わいを楽しめる生麺タイプのラーメン。

 

 

以下は、大手メーカーのものですが、目に付いたものを書き出してみました。

 

【明星 チャルメラ もやしが超絶うまいまぜそば ニンニクしょうゆ味】(明星食品)

インスタントの袋ラーメン。

麺にニンニクを練り込んだことで香りと旨みが増し、ニンニクのきいた味わいを手軽に楽しめる。

 

【明星 BIGだぜ!一平ちゃん】(明星食品)

ニンニクがり込まれた食べ応えのある食感が特徴のカップラーメン。

 

【トリプルニンニク豚ラ王】(日清食品)

麺、スープ、具材の全てにニンニクを入れたカップラーメン。

ニンニクを練り込んだ極太麺を、ニンニクの風味と背脂の旨みたっぷりのこってり豚骨醤油スープで味わう。

 

【日清デカうま 油そば】(日清食品)

ニンニクを練り込んだ極太ウェーブ麺を、豚の旨みとコクをきかせた醤油だれに絡めて味わうカップ油そば。

 

<参考サイト>

・ にんにく練り込み生冷麺

https://www.kosekimen.jp/?mode=cate&cbid=2305980&csid=5

・にんにくを麺に練りこんだ「田子にんにくラーメン」

https://garlic.shop-pro.jp/?pid=180844

・鬼黒麺~なま中華めん~

https://kaguyafarm.theshop.jp/items/38667189

・にんにくそうめん

https://retail-trend-system.jp/Search/Product/2mje3wrsJrs/-Gter5oRC-o

・にんにくめん

https://www.sougawa.com/item/kn/?srsltid=AfmBOoqfc6nhFBXWAbLbAZxc5Ws3EdEs3rGZnZvpdEzeVEiyU-QPLzGb

・明星 チャルメラ もやしが超絶うまいまぜそば ニンニクしょうゆ味 5食パック

https://www.myojofoods.co.jp/products/items/11832

・「明星 BIGだぜ!一平ちゃん」シリーズ3品 (8月26日発売)

https://www.nissin.com/jp/company/news/12663/

・トリプルニンニク豚ラ王(ヤサイ、アブラ、ニンニク)

https://cupramen.site/cupmen/4352/

・日清デカうま 油そば

https://www.nissin.com/jp/product/items/11211/

 

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ素麺》番外編╱YouTubeで紹介されました

 

以前から紹介させていただいていた、「泡盛酒かすそうめん」「月桃そうめん」「手延べそうめん(多良間島唐辛子入り)」ですが、なんと、タレントのガレッジセール「ゴリさん」が「酔処 玉川」さんで3種の素麺を召し上がり、大絶賛されていました!

目の付け所が良かったのでしょうか(笑)

ベロベロに酔っ払っていらっしゃいますが、美味しい美味しいと大絶賛!!

 

沖縄で、ぜひとも食べたい素麺です。

小豆島の手延べ素麺ということもご紹介されていて、ちょっと嬉しくなりました。

YouTubeもぜひご覧ください。

今すぐにでも食べに行きたくなりますよ!

 

※写真は、酔処玉川様公式ネットショップより引用させていただいています。

 

《ゴリ★オキナワ》 https://www.youtube.com/watch?v=fQwxDNr4_zQ

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年4月21日 【Vol.57】メンコレ⑦/唐辛子を練り込んだ麺の“刺激”

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.57

メンコレ⑦/唐辛子を練り込んだ麺の“刺激”

 

 

 

 

私三代目が小豆島に戻り、家業を継いで初めて企画したのが「しょうどしま長命草」を使った「手延べしょうどしま長命草素麺」でした。

それから瀬戸内の特産品として有名な「レモン」を使った「手延べレモン素麺」、ご縁が繋がり池田漁協さんとの出会いから生まれた「手延べひじき麺」、地域での繋がりもある宝食品さんとのご縁で生まれた「手延べきくらげ麺」など、さまざまな手延べ素麺・手延べ麺をつくってきました。

他にも小豆島ならではの「オリーブオイル素麺」や「手延べ黒ごま麺」、他にもOEMとして多くの商品化を手掛けております。

 

その中で、自社オリジナルの手延べ麺の原料として注目しているのは、やはり香川県や小豆島の特産品です。

香川県は47都道府県の中でも面積が一番小さい県ながら、実は農業が盛んな地域でもあります。

特産品にはオリーブが有名ですが、果物ではみかんなどの柑橘類、いちごやキウイ、ビワ、スモモ、ブドウ、イチジクなど多数あります。

野菜ではブランド品も多く、有名なのは“さぬきのめざめ”と呼ばれる「アスパラガス」をはじめ、キャベツやキュウリ、ナス、トマト、玉ネギなども多く穫れます。

他にもお米のオリジナルブランド“おいでまい”や、小麦のオリジナルブランド“さぬきの夢”などもあります。

こうしてみると、小さな県なのにその農産物パワーを強く感じずにはいられません!

 

そして今回のテーマの唐辛子も、実は香川県では「香川本鷹」と呼ばれる、辛い辛い唐辛子があるのです。

 

以下、「香川本鷹」の紹介を「かがわの県産品」サイトから引用してご紹介させていただきます。

輸入品に押されて、姿を消していたスパイス。平成18年、産地であった塩飽諸島の活性化を目的に、香川県や丸亀市などが協力し、幻のトウガラシ「香川本鷹」の復活に向けた取組みがスタートしました。一般的な「鷹の爪」と比べて約2~3倍もの大きさ(7~8cm)で、旨みのある強い辛味が特徴。現在は、「香川本鷹」を用いた様々な加工品が販売されています。

とのことです。<参考サイト>https://www.kensanpin.org/product/processing/1031/

 

他にも特産品はありますが、こういったさまざまな魅力ある農産物を使い、奇をてらった商品づくりとしてでなく、日々の健康づくりに手延べ麺を上手く活用していただけるような、そんな目標を描きながら人に「よりそうめん」をこれからも目指していきたいと思います。

 

今回のブログでは、唐辛子(に近い物を含めて)について調べました。

辛いけれどためになる内容だと思いますので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

※写真はPhotoAC「トウガラシ」より

 

【目次】

① 唐辛子は中南米原産。七味は日本オリジナル!

② 辛み成分カプサイシンを適度に摂って健康増進!

③ 虫除けや魔除けにも使われる!唐辛子の活用法いろいろ

④ 調味料、麺料理、汁ものなど多彩!日本の唐辛子料理

⑤ 激辛から辛くないものまで!世界の唐辛子料理

⑥ 唐辛子を練り込んだ素麺や、素麺以外の麺あれこれ

⑦ 《美味しい手延べ素麺》手延べそうめん(多良間島唐辛子入り)

 

 


 

 

① 唐辛子は中南米原産。七味は日本オリジナル!

 

唐辛子は、中南米原産のナス科トウガラシ属の果実です。紀元前7000~8000年頃にはペルーやメキシコで栽培されていたそうです。

1世紀頃のペルーの遺跡から、唐辛子模様の織物が発見されているとのことです。

 

世界各国へ広がるのは15世紀以降です。

胡椒やナツメグ、シナモン、クローブなどの香辛料が高値で売買されていた大航海時代、インドの胡椒を求めて航海していたコロンブスが西インド諸島にたどり着いて唐辛子と出会い、1493年にスペインへ最初の唐辛子を持ち帰りました。

当初は観賞用として栽培されていましたが、次第に香辛料の需要が高まっていたヨーロッパへ広まりました。

唐辛子はどの地域でも比較的栽培しやすく、各地で固有の品種が育ちました。

他のスパイスと合わせやすかったことから、各国で独自のミックススパイスや調味料が発達したと考えられています。

ちなみに唐辛子の英語名「Red pepper」は、コロンブスが唐辛子を胡椒の仲間と勘違いしたことに由来しているそうです。

16世紀前半にはヨーロッパ人がインドへ唐辛子を持ち込み、17世紀以降、香辛料として様々な料理に用いられるようになりました。

 

※写真はPhotoAC「海外の八百屋さん」より

 

日本への伝来については、諸説あります。

1543年の鉄砲伝来とともに持ち込まれたという説。

1552年頃、キリスト教の宣教師が豊後国(現大分県)の大名である大友義鎮に唐辛子の種を献上したという説。

16世紀末、豊臣秀吉が朝鮮出兵した折、加藤清正が持ち帰ったという説など。

唐辛子が日本に入った当初は、その辛みから毒として扱われたり、足袋に入れてしもやけ予防に使われたりしたとのことです。

1625年、江戸両国橋近くの薬研堀で、七味唐辛子がつくられました。

これが日本初のミックススパイスだそうです。

1760年過ぎには平賀源内が唐辛子図鑑「番椒譜」を記しました。

イラスト付きで50種以上紹介したそうです。

1923年、エスビー食品の創業者である山崎峯次郎氏が、純国産の本格的なカレー粉の製造に成功しました。

家庭の食卓にカレーやウスターソースが上るようになり、それらの原料として使われるようになった昭和初期から、日本で唐辛子の栽培が本格化したそうです。

1971年、神田のせんべい店「神田淡平」が、一味唐辛子をたっぷりまぶした激辛せんべいを発売。

1984年には湖池屋がチリをまぶしたスティックタイプのポテトチップス「カラムーチョ」を発売し、激辛ブームの火付け役となりました。

現在では、唐辛子に含まれるカプサイシンの脂肪燃焼効果などの健康機能にも注目が集まっています。

 

※写真はPhotoAC「カレーライス」より

 

唐辛子には数多くの品種があり、辛味種と甘味種に分けられます。

辛味種としては、日本で主流の「鷹の爪」、沖縄の伝統野菜として知られる「島とうがらし」、完熟すると鮮やかな赤色になる「韓国とうがらし」、メキシコ原産でサルサソースに使われる「ハラペーニョ」など。

甘味種には、肉厚で軟らかい京野菜の「万願寺とうがらし」、細長い「伏見とうがらし」などがあり、ピーマンやパプリカ、シシトウも甘味種に含まれます。

 

日本で消費される唐辛子の大半は輸入に頼っていますが、日本各地で在来品種の栽培が受け継がれています。

青森県の「清水森ナンバ」、新潟県の「山古志かぐらなんばん」、奈良県の「ひもとうがらし」、岐阜県の「あじめコショウ」、石川県の「剣崎なんば」などがあります。

九州をはじめ一部の地域では唐辛子を「こしょう」と呼ぶことがありますが、「柚子胡椒」の「胡椒」は唐辛子のことです。

普通の黒い胡椒のことは「洋こしょう」と呼んで区別するとのことです。

また、北海道や東北では「なんばん」、長野では品種によって「なんばん」と「こしょう」の両方の呼び方が使われているそうです。

 

※写真はPhotoAC「万願寺とうがらし」より

<参考サイト>

・唐辛子

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%94%90%E8%BE%9B%E5%AD%90

・唐辛子の歴史と日本に伝わった経緯

https://www.togarashi.co.jp/blog/2017/08/13/history/

・唐辛子はどこから来た?世界一辛いものは?スパイスの基礎講座〜後編〜

https://brutus.jp/spice_knowledge02/

・とうがらしの歴史

https://hotcity-ohtawara.jp/history/

・[とうがらし]選び方と料理のポイント

https://www.kagome.co.jp/vegeday/yasai/red-pepper/

・[とうがらしの種類]辛味や甘味が生きる、料理や調理法とは?

https://www.kagome.co.jp/vegeday/store/201908/9877/

・唐辛子を何と呼ぶ? なんばん? こしょう?

https://tenki.jp/suppl/romisan/2021/08/08/30517.html

・みんなの農業広場 在来品種の紹介【トウガラシ編】

https://www.jeinou.com/benri/vegetable/fru-vege/2016/11/110940.html

 

 

 

 


 

② 辛み成分カプサイシンを適度に摂って健康増進!

 

生の唐辛子はβカロテンを多く含み、緑黄色野菜に分類されます。

ビタミンCが豊富で、夏バテ防止に役立ち、うま味成分のグルタミン酸も含まれています。

 

辛み成分のカプサイシンは、種を支えるワタの部分(胎座)に多く含まれ、果実が小さい品種ほど多く含まれます。

熱に強く、加熱したり熱いものに加えたりしても辛さが残り、また丸ごとよりも細かくしたほうが辛みが強くなるそうです。

辛みの正体は痛みであり、舌の痛覚神経を刺激することで辛みとして作用します。

過剰に摂取すると胃腸に問題を起こしたり、皮膚の弱い部分に付着すると激しい痛みを引き起こす場合があります。

 

唐辛子の辛さは、カプサイシンの量を測定して数値化した「スコヴィル値」で示されます。

世界一辛いとギネスに認定されている「キャロライナ・リーパー(=キャロライナの死神)」という品種は300万スコヴィル、鷹の爪は4万~5万、ピーマンは0だそうです。

 

カプサイシンが体内に入ると、血液によって全身に運ばれ、脳や脊髄などの中枢神経を刺激します。

その刺激が副腎皮質に伝わり、アドレナリンというホルモンが分泌されます。

体脂肪の分解を促進するアドレナリンがエネルギーの代謝を盛んにすることで、効率良く脂肪を燃焼させるため、肥満予防の働きが期待されています。

また、カプサイシンがエネルギーの代謝を活発にさせることにより、体温が上昇して発汗が促進されます。

血流を改善する働きも期待できます。

カプサイシンを含む唐辛子を料理の味付けに使うことで、塩分の摂りすぎを防ぎ、高血圧予防になると考えられています。

他にも、コレステロール値の上昇を抑える、冷え性を改善する、食欲を増進する、疲労を回復する、便秘を解消する、などの作用があるとされています。

 

<参考サイト>

・スコヴィル値

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%AB%E5%80%A4

・食べるだけじゃない、とうがらしの辛さの秘密

https://www.wakasa.jp/articles/entry/sn_87#:~:text=%E2%96%A0%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%AE%E8%B1%86%E7%9F%A5%E8%AD%98&text=%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A8%E3%80%81%E6%98%94%E3%81%AF%E5%AF%92%E3%81%84%E5%AD%A3%E7%AF%80,%E3%82%82%E5%88%A9

・唐辛子:歴史、健康効果、味わい、そして辛さの科学

https://omoshirozatsugaku.jp/entry/2024/05/18/211003

・カプサイシン

https://himitsu.wakasa.jp/contents/capsaicin/

 

 

 

 


 

③ 虫除けや魔除けにも使われる!唐辛子の活用法いろいろ

 

料理に辛みを付け、味のアクセントとなる唐辛子は、実を生のまま食べる場合と、乾燥させて使う場合があります。

乾燥させた唐辛子の実をすりつぶして粉末にした調味料が「一味唐辛子」です。

これに他の薬味や香辛料を混ぜたものが「七味唐辛子」で、調味料ではなく薬味として使用されます。

メーカーにより原料が異なりますが、山椒・麻の実・黒ゴマ・青海苔・ケシの実・チンピなどが使われます。

辛さに加えて香りづけができるので、素麺やうどんなどの麺類、牛丼などの丼もの、豚汁などの汁ものといった和食にほどよい刺激と風味を与えてくれます。

 

唐辛子を使った調味料や香辛料、醤油・酢・食用油・泡盛などに漬け込んだものも、国内外で多様に使われています。

唐辛子味噌、柚子胡椒、コーレーグース、コチュジャン、豆板醤、ラー油、タバスコ、チリソース、デスソースなどがよく知られています。

 

食用以外にも、鑑賞用や、様々な実用的な用途に役立てられています。

古くは民間療法として、靴の中に入れてしもやけ予防、腹巻に入れて防寒などに用いられていました。

現代でも繊維に唐辛子を練り込んだ機能性肌着や靴下が販売されています。

カプサイシンの防虫効果を活かして米びつ内の虫よけとして入れる、殺菌・抗菌作用を活かしてぬか床に入れる、などの生活の知恵もあります。

園芸では虫害を減らす目的で、他の作物とともに植える、唐辛子とニンニクを焼酎に漬け込んだ液を薄めて自然派農薬として植物に散布する、なども行われているそうです。

 

※写真はPhotoAC「米びつに入れた米」より

 

唐辛子を魔除けやお守りに使う国もあります。

中国や韓国、日本などでは、赤が縁起の良い色とされています。

中国では唐辛子を「火・炎の食材」としており、火は汚れを浄化する力があると信じられ魔除けとされてきました。

また赤はエネルギーを高める力を持ち、活動的になる、自信を持つ、情熱的になるにより幸運をもたらすことが期待されています。

アメリカのニューメキシコ州では唐辛子が幸運を呼ぶとされており、「Chile Ristra(チリリストラ)」と呼ばれる吊るし飾りが古くからお守りとして伝えられています。

インド(ヒンドゥ教)では、家の入り口から悪いものが入ってこないように、唐辛子・レモン・唐辛子の順に糸で通した「魔除けの飾り」を吊るす風習があるそうです。

イタリアでは、赤唐辛子が「Evil Eye(邪眼)」とよく似ていることからお守りとして使用され、災いや邪悪な視線を払い除け、悪運を断ち切る効果があると考えられています。

 

※写真はPhotoAC「イタリア観光-ナポリの路地」より

 

<参考サイト>

・一味唐辛子と七味唐辛子の違いとは?使い分けてもっとおいしいピリ辛レシピ5選

https://www.kurashiru.com/articles/5aa5d12b-abbb-4dc7-a03c-14838797c2f8

・唐辛子が縁起物としてお守りなどに使われる理由は?

https://ja.chili2mag.com/chilipepper-as-an-amulet/

・インドの魔除け

https://www.tirakita.com/ind_inshld/ind_inshld_530.shtml?srsltid=AfmBOopR_tuOsC3IkhOVlbzBT0PvGuRFRfl8mNX4uGPesNMmMtcO5FLj

・《唐辛子の吊るし飾りの意味・由来》厄除け魔除けになるのはなぜ?

https://miloru.com/ristra-and-cornicello-and-chili/#google_vignette

 

 

 

 


 

④ 調味料、麺料理、汁ものなど多彩!日本の唐辛子料理

 

日本の郷土料理と言えば和食、和食と言えばやさしい味、というイメージがありますが、調べてみると、唐辛子の辛みをきかせた調味料や料理、辛くない唐辛子の揚げものや炒めものなど、バラエティ豊かな料理が各地で食されているようです。

いくつかご紹介します。

 

【三升漬け】(北海道・青森県)

青なんばん(青唐辛子)・麹・醤油をそれぞれ、一升ずつの分量で漬け込み熟成させた郷土料理。

東北地方では、一升漬け(いっしょうづけ)・麹南蛮(こうじなんばん)とも呼ばれている。

ご飯に乗せたり、野菜にかけたり、調味料としても使われる。

 

※写真はPhotoAC「三升漬け」より

 

【切腹南蛮】(福島県)

青なんばんに切れ目を入れて種を取り除き、味噌を入れてシソの葉で巻いて油で揚げる。

夏の暑さを乗り切る農家の料理。

 

【ベンケイ】(福島県)

南相馬市原町区の萱浜地区(特に北萱浜)に伝わる郷土料理。

ダイコンと芋がら(里芋の茎を干したもの)に赤唐辛子を入れ、醤油・砂糖で炒り煮する。

お正月用の保存食として、またハレの日の食べ物として重宝された。

 

【かんずり】(新潟県)

妙高市(旧新井市)に伝わる伝統的な発酵調味料。

地場産の唐辛子を雪の中にさらしたのちにすり潰して米麹と柚子、塩を混ぜ、3年間熟成・発酵させる。

厳しい寒さで冷え切った体を温めるために食べたと言われている。

 

【べっこう】(東京都)

伊豆諸島の郷土料理。

旬の魚を島とうがらし醤油に漬け込む。

切り身がつややかなべっこう色になることからそう呼ばれる。

 

※写真はPhotoAC「べっこう寿司」より

 

【やたら】(長野県)

主に北信地域で食べられている郷土料理。

ミョウガやナスなどの夏野菜、ぼたんこしょう、ダイコンの味噌漬けを刻んで混ぜ合わせ、あたたかいご飯にかけて食べる。

「ぼたんこしょう」は、古くからこの地域で栽培されてきた青唐辛子。

 

【すりだね】(山梨県)

赤唐辛子をベースにゴマや山椒を加えた、富士吉田発祥の万能調味料。

ほうとうや吉田のうどんには、一味や七味ではなくすりだねが使われる。

 

【つぎ汁】(岐阜県)

郡上市明宝寒水(かのみず)地区の郷土料理。

唐辛子をから煎りして出汁で煮出し、小さく角切りにした硬めの地豆腐を加え、醤油や砂糖で味をととのえるお吸いもの。別名「辛汁(からじる)」。

毎年10月に寺院で行われる報恩講の際、参拝者に振る舞われる。

 

【から大根】(福井県)

永平寺町京善地区に伝わる郷土料理。

冠婚葬祭や仏事に食されてきた。

ダイコンを軟らかく煮て唐辛子を加え、擦った黒ゴマ・砂糖・醤油・みりん・酒を混ぜ合わせたものを入れて煮詰める。

から大根の「から」は唐辛子の「から」で、ピリッとからいのが特徴。

 

【きごしょう】(京都府)

京都市伏見区付近で栽培されていた伝統野菜「伏見とうがらし」の若い葉を茹でて炒め煮にする。

辛みのない伏見とうがらしの若い葉は「きごしょう」と呼ばれ、軟らかく、ほのかな唐辛子の風味と独特の苦みが特徴。

真夏のおばんざいとして親しまれている。

 

※写真はPhotoAC「葉とうがらし」より

 

【万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん】(京都府)

辛みのない「万願寺とうがらし」を、ジャコと一緒に出汁・醤油・みりん・酒を入れてに含める。

「炊いたん」は、出汁をじっくり染み込ませるように炊いてつくるおかずのこと。

夏の家庭料理として親しまれている。

 

【とうがらし味噌】(奈良県)

大塔村や天川村で昔から家庭でつくられてきた調味料。

ニシンの干物に、刻んだ生唐辛子と味噌、砂糖を加え煮詰めてつくっていた。

家庭ごとに材料が微妙に異なり、現代では刻んだピーマンやパプリカ、ツナ缶等も使われるとのこと。

 

※写真はPhotoAC「唐辛子味噌のおにぎり」より

 

【なすそうめん】(香川県)

旬のナスを油で炒め、油揚げと唐辛子を加え、出汁・醤油・砂糖で煮て、硬めに茹でた小豆島特産の素麺を入れる。

汁を冷やしても美味しく食べられる。

食欲のない暑い夏にも食べやすく、夏バテ防止にも役立つとされる家庭料理。

 

【辛子明太子】(福岡県)

博多名物として有名。

「明太子」の語源はスケトウダラを意味する朝鮮語「明太(ミョンテ」。もとは韓国から輸入されていた、スケトウダラの卵巣を発酵させ唐辛子・ニンニク・ゴマなどを合わせた伝統的な食べもので、朝鮮半島との交流が盛んな福岡・北九州・下関などの地域で売られていた。

第二次世界大戦後に朝鮮から帰還した日本人が、唐辛子を用いた調味液に漬け込む独自の方法で製品化し、博多で販売を開始したのが始まりとされる。

 

【辛麺】(宮崎県)

宮崎県発祥のラーメン。

大粒の大量のニンニクと、唐辛子によって生み出されるうま味と辛みが混在するスープが特徴。具材にはニラ、溶き卵、ひき肉が入る。

 

※写真はPhotoAC「辛麺」より

 

<参考サイト>

・北海道の郷土料理 三升漬け

https://kissui.co.jp/yk01333/

・【切腹南蛮/福島県】名前に驚き!爽やかなコクに二度驚き!!これぞ農家を支える夏の味です。

https://furusato-gohan.jp/fukushima-seppukunanban/

・郷土料理「ベンケイ」

https://www.city.minamisoma.lg.jp/material/files/group/43/ouchidekyoudoryouri_benkei.pdf

・かんずり 新潟県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kanzuri_niigata.html

・べっこう

https://oshima-navi.com/gourmet/bekko01.html

・やたら 長野県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/yatara_nagano.html

・人気の無添加すりだね通販】ほうとうや吉田のうどんにかかせない辛味すりだねの特徴・使い方・レシピ

https://yoshidanoudon-suridane.net/about-suridane/

・つぎ汁 岐阜県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/38_24_gifu.html

・福井県 から大根

https://www.zengakuei.or.jp/kyodosyoku/pref/fukui_02.html

・きごしょう 京都府

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kigosho_kyoto.html

・万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん 京都府

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/manganzitougarashitojakonotaitan_kyoto.html

・とうがらし味噌

http://nara-shokubunka.jp/yamato/17-09.html

・なすそうめん 香川県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/nasu_soumen_kagawa.html

・辛子めんたいこの話

https://www.mentaiko-ftc.org/mentaiko-story/#:~:text=%E5%8D%9A%E5%A4%9A%E3%81%AE%E7%94%BA%E3%81%AE%E5%90%8D%E7%89%A9%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%90%86%E7%94%B1&text=%E8%BE%9B%E5%AD%90%E3%82%81%E3%82%93%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%AF%E3%80%8

・明太子の語源は韓国!名産地が福岡県となった背景・歴史を解説

https://chikaefoods.co.jp/?p=1034

・宮崎県 辛麺

https://kyoudo-ryouri.com/food/2151.html

 

 

 

 


 

⑤ 激辛から辛くないものまで!世界の唐辛子料理

 

カレーや麻婆豆腐はもちろん、世界中の料理に唐辛子が使われています。

暑い国で好まれるというよりは、古くから胡椒などのスパイスが使われておりスパイシーな味になじみがあった国で、唐辛子が受け入れられたようです。

世界各国の唐辛子を使った料理にはどんなものがあるか、いくつか調べてみました。

 

【キムチ】(韓国)

キムチは韓国の漬物の総称で、朝鮮半島に唐辛子が伝わる以前は、食材の色や味を活かしたキムチが多かったとのこと。

18世紀頃から、糸唐辛子が飾りとしてキムチに使われるようになり、18世紀後半には小さい甲殻類である「アミ」の塩辛入りのキムチが出現。

20世紀には粉唐辛子入りの赤いキムチが朝鮮半島南部で好まれるようになり、朝鮮半島によって全土に拡大した。

 

【ダクバル・チム】(韓国)

鶏足のスパイシーな煮込み。

韓国唐辛子やコチュジャンチリソースなどのスパイスを加えた、舌が引き裂かれるような辛さが特徴。

スパイシーで濃厚、カリカリとした風味が人気の屋台の食べ物。

 

※写真はPhotoAC「チゲスープ」より

 

【泡辣椒(パオラージャオ)】(中国)

辛い料理で知られる四川省の家庭でつくられている、生の唐辛子を塩水に漬けて乳酸発酵させた食品。

辛みと酸味が絶妙で、刻んで調味料として使ったり、漬け物として食したりする。

 

【四川火鍋】(中国)

四川唐辛子をはじめ様々な種類の唐辛子を使った、舌がしびれるようなスパイシーな味のスープが特徴。

胡椒、シナモン、アニスなどの多くの辛いスパイスも使用されている。

2つに分かれた独特のデザインの鍋に、辛いスープと、辛くないスープを入れる場合も。

 

※写真はPhotoAC「火鍋 四川」より

 

【担々麺】(中国)

汁はなく、醤油・唐辛子・辣油・粉山椒・酢・ゴマ油・ネギのみじん切り・ペースト状にすったゴマ・すりつぶしたニンニクなどでつくった独特のタレを、麺と和えて食べる。

辛さには、舌を麻痺させるような山椒(花椒)の「麻」、ピリッとくる唐辛子の「辣」の2種類がある。

この2種類の辛さを微妙なバランスで配合するのがポイント。

 

※写真はPhotoAC「旨辛担々麺」より

 

【ビャンビャン麺】(中国)

中国の陝西省(せんせいしょう)の郷土料理。

汁なしでたれを絡めて食する。

酢・塩・醤油・ニンニク・唐辛子・花椒などで味付けし、ピリッと辛いのが特徴。

具材には、ネギや豚肉、さっとゆがいたモヤシや小松菜などが使われる。

 

※写真はPhotoAC「ビャンビャン麺」より

 

【オレック・サンバル】(インドネシア)

ハバネロ、カイエン、ジャネット、チリ、スパニッシュ、ジョロキア・ナガ・ペッパーなど、世界で最も辛い唐辛子からつくられた、辛さが特徴のチリソース。

生唐辛子を裏ごしし、本来の辛みをそのまま残している。

 

【ゲーン・タイ・プラー】(タイ)

タイ南部の伝統的な料理。

様々な種類の唐辛子と、「タイ・プラー」という魚の内臓を発酵させたソースを使ったカレーで、ご飯とともに食べる。

 

【オタク・オタク】(東南アジア)

インドネシア、マレーシア、シンガポールなどの東南アジア諸国で人気のある、スパイシーなかまぼこ。

魚のピューレと各地域の代表的なスパイスを組み合わせてつくる。

唐辛子の辛みと、ショウガ・ラッキョウの強い香り、魚の脂の甘みが調和した魅力的な味わい。

 

【エマ・ダツィ】(ブータン)

ブータンでは唐辛子(エマ)は野菜として扱われており、唐辛子をふんだんに使った料理が多く「世界一辛い料理」とも称される。

「エマ・ダツィ」は、国民食とも言える唐辛子のチーズ煮込み。

ダツィはチーズの意味。

主に青唐辛子が使われる。

 

※写真はPhotoAC「エマダツィ」より

 

【パクシャ・パー】(ブータン)

豚肉(パクシャ)と唐辛子の煮込み料理。

通常はこれにジャガイモやダイコンなどの野菜を1品加えたものが多く見られる。

 

【ペペロンチーノ】(イタリア)

ニンニクと唐辛子のオイルベースのパスタ料理。

イタリア語で「ペペロンチーノ」は唐辛子の意味で、正式な料理名は「アーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」。

 

※写真はPhotoAC「ペペロンチーノ」より

 

【ンドゥーヤ】(イタリア)

唐辛子を使った激辛の料理で知られている南部のカラブリア州の、非常に軟らかいサラミ。

豚肉の内臓が主原料で、肉1kgに対して唐辛子250gが使用されるとのこと。

薄くスライスしてパンに乗せたり、スープやピザ、パスタの調味料として使ったりする。

 

【グヤーシュ】(ハンガリー)

ハンガリーの伝統的な煮込み料理。

牛肉を、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ピーマンなどの野菜、パプリカパウダー、その他のスパイスと一緒に煮込む。

辛みの少ない唐辛子のパプリカパウダーが使われる。

 

※写真はPhotoAC「ハンガリー ブダペスト料理グヤーシュ」より

 

【ケイ・ワット】(エチオピア)

エチオピアは、アラビア半島やインドとの香辛料貿易が盛んに行われた影響を受け、スパイスを使った料理が多くある。

乾燥させた唐辛子・ニンニク・コリアンダー・カルダモン・クローブなど15種類前後のスパイスを混ぜてつくるミックススパイス「ベルベレ」を使った伝統的なシチューが「ケイ・ワット」。

 

【クレオールシュリンプ】(アメリカ)

アメリカ南部の料理。

チリペッパーとカイエンペッパーの2種類の辛みの強い唐辛子を使う。

エビの甘み、トマトのマイルドな酸味、タマネギ、ニンニク、胡椒などのスパイスの強い香りが調和した味わい。

 

【チリコンカン】(アメリカ)

テキサス州で生まれた料理で、アメリカでは国民食のひとつ。

豆、ひき肉、トマトを唐辛子で煮込んで、スパイシーに仕上げた料理。

 

※写真はPhotoAC「チリコンカンとタコス」より

 

<参考サイト>

・キムチの歴史とキムジャン文化

https://www.atcenter.or.jp/kimchihistory

・世界一のトウガラシ好きはどの国? 世界で愛されるトウガラシと、日本の“ご当地”トウガラシとは?

https://tenki.jp/suppl/okuyuki/2015/05/29/4081.html

・世界で最もスパイシーな料理 10 品を通して料理を探求

https://www.vietjetair.com/ja/pages/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%A7%E6%9C%80%E3%82%82%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%81%AA%E6%96%99%E7%90%86-10-%E5%93%81%E3%82%92%E9%80%9A%E3%81%97%E3%81%A6%E6%96%99%E7%90%86%E3%82%92%E6%8E%A2%E6%B1%82-17177239

・トウガラシを乳酸発酵させた調味料は、うまくて辛くて自分でも作れる

https://dailyportalz.jp/kiji/180820203730

・(常温)泡辣椒(パオラージャオ) 500g

https://www.kojuken.jp/shopdetail/000000000111/

・担々麺

https://world-noodle-dictionary.com/asia/china/%82%B3%82%B5%82%B7%82%B9%82%BB.html

・ビャンビャン麺とはどんな料理?特徴・味わい・話題の漢字もご紹介!

https://delishkitchen.tv/articles/2284

・ゲーン・タイ・プラー

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%BC

・ブータンの食文化について

https://dragontours.jp/about_food.html

・ペペロンチーノの正式名称は?意味やおすすめのレシピをご紹介!

https://delishkitchen.tv/articles/1568

・ンドゥーヤは庶民の味方?カラブリアの激辛郷土料理を支える食材とは

https://www.kameyaweb.co.jp/aec/user/catalog_shohin_list?ct=3146

・ハンガリーの国民食。ハンガリー産のパプリカが味の決め手!

https://www.bras-de-chef.com/selection/%E3%82%B0%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5-gulyasleves/

・エチオピアの食文化の特徴は? 「ベルベレ」などスパイスをふんだんに使った料理が多数

https://www.mylifenews.net/column01/37771/

・食べれば発汗!思わず快感! 世界の唐辛子料理

https://www.sunwood.co.jp/sunwoodclub/webmagazine/magazine_201712_2.html

 

 

 


 

⑥ 唐辛子を練り込んだ素麺や、素麺以外の麺あれこれ

 

唐辛子を麺に練り込んだものを調べてみたら、素麺やうどん、インスタントラーメンなど、様々な麺がつくられていましたので、いくつかご紹介します。

 

【とんがらし麺】(日清食品)

大手食品メーカーがつくる、唐辛子を麺に練り込んだカップラーメン。

現在は「うま辛海鮮チゲ」「うま辛トマトクリーム&チーズ味」がラインアップ。

過去には焼きそば、うどんも販売されていた。

 

【播州唐辛子うどん】(森口製麺製粉)

北海道産小麦のみを使用し、唐辛子粉末を練り込んだスパイシーな辛さのある乾麺のうどん。

サラダ風や、炒めて焼きうどんにするのがおすすめとのこと。

 

【匠ぴり麺】(くまの農業振興公社)

三重県熊野市産の唐辛子「プリッキーヌ」を練り込んだラーメン用の生麺と、スープのセット。

市内産のハバネロとプリッキーヌ、ハラペーニョに、香酸かんきつ「新姫」と梅の粉末を混ぜた、専用の薬味「熊野三昧」も開発したとのこと。

 

【とうがらし麺】(金城製麺所)

沖縄県石垣島の製麺所がつくる、存在感のある唐辛子とガーリックパウダーを練りこんだ生麵。

焼きそば、パスタ風にしても、スープでも楽しめるとのこと。

 

【とうがらし麺】(内藤とうがらし)

江戸時代の宿場町、内藤新宿界隈で生産されていたものが現代に復活し、伝統の江戸東京野菜に認定された「内藤とうがらし」。

辛み・風味が特徴の内藤とうがらしを使用した、包丁切平打ち麺。

パスタ・和の麺・中華風など様々なレシピの麺料理で楽しめるとのこと。

 

【島とうがらし味噌ラーメン】

東京の隠れたご当地激辛ラーメン。

八丈島の島唐辛子を麺の中にふんだんに練り込んだ、激辛麺と風味豊かな合わせ味噌がマッチしたインスタント袋ラーメン。

 

【手延べそうめん(多良間島唐辛子入り)】(島食品)

沖縄県多良間島産の島唐辛子の粉末を練り込んだ手延べ素麺。

鮮やかなオレンジ色が特徴。

 

※写真はPhotoAC「多良間島 空撮」より

 

<参考サイト>

・日清食品、業界初の唐辛子練り込み「とんがらし麺」開発

https://news.nissyoku.co.jp/foodsnews/nss-8638-0002

・日清のとんがらし麺

https://www.nissin.com/jp/product/brands/tongarashi/

・「日清のとんがらし太麺」2品 (5月24日発売)

https://www.nissin.com/jp/company/news/1894/

・播州唐辛子うどん

https://moriguchi-seifunseimen.com/?pid=180090719

・熊野産の唐辛子を使ったラーメンいかが 農業振興公社が販売

https://www.chunichi.co.jp/article/402676

・金城製麺所 とうがらし麺

https://www.kinjoseimen.com/products/detail/84

・内藤とうがらし とうがらし麺

https://www.muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/%E5%86%85%E8%97%A4%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%97%E3%80%80%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%8C%E3%82%89%E3%81%97%E9%BA%BA/0280001011904?srsltid=AfmBOoprq7l6U0B8nMm9o1jwvKqdut9dWNZSwpvsfDI0HUlp6XYCMFzk

・内藤とうがらしとは

https://naito-togarashi.tokyo/about/

・島とうがらし味噌ラーメン 八丈島 唐辛子練りこみ麺 激辛 東京都ご当地ラーメン

https://ec.line.me/foods/noodles_pasta/product/7876066989/

・手延べそうめん(多良間島唐辛子入り)1袋

https://shimafoods.theshop.jp/items/85519335

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ素麺手延べそうめん(多良間島唐辛子入り)

 

前述しましたが、沖縄県多良間島産の島唐辛子の粉末が練り込まれた手延べ素麺です。

とある、YouTubeの動画でも紹介されていましたが、まずは素麺のうま味があり、後からじわじわと辛さがくるそうです。

「ビールにあう〜」と絶賛されているのを見ると、ビールと一緒に食べてみたい気になります。

麺は茹でるとより一層、キレイなオレンジ色をしていて、見た目は辛そうですが、うま味と辛さが丁度良い?感じだと思います。

夏にぜひ食べてみたい素麺ですね。

上でも書きましたが、唐辛子に含まれるカプサイシンは発汗作用だけでなく、体調を整えてくれる作用に働いたり、脳にも良いそうですから、健康麺を考えてもこれからの暑くなる日には毎日(?!)食べていきたい素麺です。

 

先日のブログでご紹介させていただいた、「泡盛の酒粕を練り込んだ手延べ素麺」「月桃を練り込んだ手延べ素麺」そして今回の唐辛子を練り込んだ素麺は、沖縄の那覇市牧志にある「酔処 玉川(たまりば)」さんでも食べられるので、沖縄に行ってぜひ食べ比べをしたいものです!

 

※写真は、出汁専門店 島食品様公式ネットショップより引用させていただいています。

 

 

《出汁専門店 島食品公式ネットショップ》 https://shimafoods.theshop.jp/

《手延べそうめん(多良間島唐辛子入り)》 https://shimafoods.theshop.jp/items/85519335

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年4月10日 【Vol.56】麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<春>

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.56

麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<春>

 

 

 

先日、用事があり久しぶりに神戸に行きました。

朝一番、小豆島坂手港からジャンボフェリーに乗り、昼前には神戸三宮へ到着します。

坂手港では、工事の続いていたフェリーターミナルが新しくなり、瀬戸内国際芸術祭を控えた小豆島も、ますます賑やかさがあふれるでしょうか。

 

帰りは姫路から飾磨港(姫路港)を経て、小豆島福田港に戻りました。

賑やかな三宮も良いですが、島に戻るとホッとするのは、本能でしょうか。

 

ブログを書き始めた頃には桜が咲き始め、書き終わる頃には桜も散り始めました。

桜の見頃はほんと短いですね。

ブログ書くのが遅いというのもありますが…(汗)

 

神戸に出掛けた際の話に戻りますが、打ち合わせで人とお会いする前に、JR三ノ宮駅高架下にある「さぬきうどん」のお店に(偶然)入りました。

立ち食いうどんと言われるものですが、老若男女のお客様が入れ替わり立ち替わり入ってきて、昼時と言うこともあって店内は賑わっていました。

若い女性の二人連れのお客様も入ってきたりして、「さぬきうどん」の人気を改めて感じました。

 

立ち食いうどんやさぬきどんのお店は多く見かけますが、やはり「そうめん」のお店は見かけませんね。

東京では素麺専門店もありますが、どちらかというと高級志向なイメージで、入った「立ち食いさぬきうどん」のお店のように身近に感じるところはほとんど無いでしょうか?

小豆島では工場に併設されているお店や、素麺専門店、普通の飲食店でもメニューに「手延べ素麺」をお出しされているところもありますので、小豆島に来られた際には“珍しい(?)”本場の手延べ素麺を、現地でお召し上がりください。

 

さて、今回のブログでは、少し前に調べた「薬膳<冬の食材>」に続いて、「薬膳<春の食材>」についてです。

前回は、石井製麺所でも製麺する「冬の食材=黒の食材」を活用した手延べ麺を紹介しながら、色々な食材や栄養について調べたことをご紹介しました。

いよいよ冬が明け暖かな春に向かうこの時期ですが、不調も多く出る季節ですよね。

そんな春にこそ、食べて心身ともに健康に!を目指して「薬膳<春の食材>」のテーマでブログを書いています。

 

皆さまの健康づくりにお役立ていただけましたら幸いです。

 

写真は小豆島寒霞渓の麓にある粟地ダムの桜。島の知り合いの方からご紹介いただきました。

 

 

【目次】

① 薬膳の考え方<春編>〜肝を養い巡りを良くする

② 春に摂りたい「青」の食材

③ 春に摂りたい栄養素とは?

④ 《美味しい手延べ麺の紹介》海苔太そうめん

 

 


 

① 薬膳の考え方<春編>~肝を養い巡りを良くする

 

春は、冬眠していた動物たちが目覚め、草木も生長する季節。

中国の伝統的な医学「中医学」では、立春からの数カ月を「発生」という意味の「発陳(はっちん)」の季節としています。

「陰消陽長」と言われ、陰から陽へ移り変わる時期です。

陰のエネルギーを「満たす」冬から、春は「発散」に転化し、身体は内側から動き出し、新陳代謝が活発になり、エネルギーの消費量も増加するとされ、ダイエットを始めるのに向いているそうです。

強い風が吹き荒れ、気温が安定せず、花粉症など上半身の不調が現れやすい季節でもあります。

春の過ごし方としては、朝は早起きしてゆっくり散歩する、体を締め付けているものがあれば緩める、のびやかに過ごす、などを心がけるのが良いそうです。

 

 

春は、五臓の中では自律神経や情緒などをコントロールする「肝(かん)」の負担が大きくなりやすいとされます。

肝は気や血の流れをコントロールすると考えられており、肝の気が高ぶると、頭痛やのぼせ、めまい、イライラ、不安、眠れない、などメンタルが不安定になりがちです。

 

肝を元気にする食材は、旬を迎える貝類、ウナギ、セロリ、小松菜など。

 

※写真はPhotoACより

 

また血が不足すると肝の不調につながるため、血を補う食材がおすすめだそうです。

ニンジン、ホウレンソウ、レバー、イカ、タコなど。

 

※写真はPhotoACより

 

ストレスを発散して肝への負担を減らすには、気の巡りを良くする食材がおすすめです。

蕎麦、タマネギ、ラッキョウ、ミカン、ジャスミンなど。

 

※写真はPhotoACより

 

春を快適に過ごすため、五味で言うと「苦味」と「甘味」の食材が役立ちます。

苦味は、体内の余分な老廃物を排出し、消化を助け、便秘を解消するなどの働きがあるそうです。

タケノコ、タラの芽、ウド、フキノトウ、セリ、菜の花など。

 

※写真はPhotoACより

 

甘味は、痛みを和らげる、筋肉の緊張を緩める、胃腸の働きを助けるなどの作用が期待されます。

キャベツ、ヤマイモ、ゆり根など。

 

春の五味は柑橘類などの「酸味」とも言われ、酸味は肝の働きを助ける作用がありますが、「脾」(消化吸収機能など)の働きを抑えるため、胃腸が弱い人は摂りすぎに注意が必要だそうです。

 

<参考サイト>

・春の養生

https://www.drug39.co.jp/tsumugido/example/nature_tips/entry-594.html

・春の養生と薬膳

https://www.sharing-life.net/assets/doc/curriculum/yakuzen/20230321.pdf

・春に摂るべき食材<春の日常薬膳>

https://www.tcm.ac.jp/blog/yakugyo/2024/03/07/%E6%98%A5%E3%81%AB%E6%91%82%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E9%A3%9F%E6%9D%90%EF%BC%9C%E6%98%A5%E3%81%AE%E6%97%A5%E5%B8%B8%E8%96%AC%E8%86%B3%EF%BC%9E/

・【春の薬膳食材】漢方で考える春の症状と漢方薬

https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/body/?p=11395

・春は「肝」の働きを高めましょう 解毒を促す薬膳レシピ5選

https://www.yomeishu.co.jp/health/3440/

・春薬膳から学ぶ*旬の食べ物を選ぶポイント3選【国際薬膳師コラム】

https://shokuzenlab.com/column-condition-medicinal-cooking-spring/

 

 

 


 

② 春に摂りたい「青」の食材

 

春は五行で言うと「木」の性質を持っています。

 

春になると木々が芽吹き上に伸びていくように、人も体内の気を上に昇らせ、ホルモン代謝に変化が生じます。

のぼせや頭痛など頭部に関するトラブルや、花粉症などのアレルギー症状が出たり、不眠や不安など精神的に不安定になったりしがちです。

 

中医学では、春に摂りたい食材の色は「青」とされています。

「青」つまり、葉野菜などの緑の食材や、青背魚などは、解毒作用を促したり、余分な熱を取ったり、春に起こりがちな不調を予防したりする働きがあるとされます。

 

春の養生になる青い食材にはどんなものがあるか、調べてみました。

山菜類などアクの強い野菜は解毒作用が非常に強いため、摂りすぎには注意が必要だそうです。

 

【セリ】

体にこもった余分な熱を取り、水分代謝を良くする働きがあるとされる。

 

【菜の花】

独特のほろ苦い風味があり、血流を促す、吹き出物やおできなどの肌トラブルを解消する、お通じを良くする、などの働きがあるとされる。

 

【フキノトウ】

余分な湿気や熱、毒を取り除く作用があるとされる。

 

【ワラビ】

余分な熱を取る、水分代謝を良くして利尿作用がある。

 

【春菊】

独特な香りが気の巡りを良くし、ストレスを緩和する、胃腸の働きを整え胃もたれを改善する、血液をサラサラにするなどの働きがあるとされる。

 

【小松菜】

体の余分な熱を取る、気持ちを静める、便通を促す、風邪予防、美容やアンチエイジングなどの働きが期待できる。

 

【イワシ】

血液をサラサラにする、気持ちの高まりを鎮めるなどの働きがあるとされる。骨粗しょう症や口内炎、風邪の引き始めにも良いとのこと。

 

【海藻】

昆布やワカメなどの海藻には、ミネラルと食物繊維が豊富に含まれており、肝の機能を助け、体内の余分な水分を排出する働きがある。

また海藻に含まれる水溶性食物繊維のフコイダンは、肝に蓄えられる血の質を向上し、肝の健康を維持するとのこと。

 

※写真はPhotoAC「アオサ海苔の養殖」より

 

その他、キャベツ、ニラ、ホウレンソウ、ブロッコリー、アスパラガス、セロリ、アジ、サバ等も良いそうです。

 

<参考サイト>

・【薬膳編】五行学説2 “春”をひも解く自然との相互関係

https://note.com/tea_yakuze_tenmi/n/nd86ff23203d1

・中医学では、春はどんな季節?からだと心の整え方

https://kosmost.jp/health/chuigaku-spring-body-and-mind/

・季節の変わり目の不調を改善!? 春に食べたい「野菜の色」とは

https://weathernews.jp/s/topics/202303/300275/

・春の食材で不要なモノをデトックス薬膳のご紹介

https://life.saisoncard.co.jp/health/longevity/post/seto27/#:~:text=%E6%98%A5%E3%81%AE%E8%89%B2%E3%81%AF%E9%9D%92%E3%80%81%E3%81%A4%E3%81%BE%E3%82%8A,%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%81%95%E3%82%93%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%82%8B%E3%81%A8%E8%89%AF%E3%81%84%E3%81%A7%E3%81%

・春に養いたい肝の力|春は「青」の食材を意識しよう。

https://macrobiotic-daisuki.jp/ao-syockuzai-182996.html

・肝を養う青の食材

https://www.543life.com/content/shun/post20240815.html?srsltid=AfmBOoocPlasLM9Ca0KXkTRcJIu3eP5FDncOH5k8fRJlYDY8sDHB_kPt

 

 

 

 


 

③ 春に摂りたい栄養素とは?

 

春は、入学や就職などで生活環境が変わったり、季節の変わり目で寒暖差や気圧の変化が大きかったりすることから、体と心に様々な不調を感じる人の多い季節です。

春に起こりやすい心身の不調を「春バテ」とも言い、主な症状として、疲労感や倦怠感、寝起きがつらい、肩こり、腰痛、頭痛、めまい、便秘、下痢、イライラ、やる気が出ない、などが挙げられます。

 

春バテは、自律神経の乱れが原因のひとつと考えられています。

交感神経と副交感神経のバランスがくずれ交感神経が優位になると、様々な不調が起こりやすくなります。

 

春バテの予防や対策には、自律神経を整えることが大切です。

具体的には、規則正しい生活や質の良い充分な睡眠、ストレス解消などに加え、栄養バランスの取れた食事をとることです。

 

春に特に意識して積極的に摂りたい栄養素と、おすすめの食材について、調べてみました。

 

【ビタミンA】

副交感神経を整える働きがあります。

豚肉、鶏肉、ウナギ、サケ、ニンジンなどに多く含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

【ビタミンB群】

自律神経に作用します。

ビタミンB1は、主に糖質をエネルギーに変えることで疲労回復に役立ちます。

また神経の情報伝達の働きにも関与しています。

豚肉、レバー、紅サケ、玄米、豆腐、サツマイモ、蕎麦、ホウレンソウ、グリーンピースなどに多く含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

ビタミンB₆は、自律神経の調節に役立つ脳内神経伝達物質「セロトニン」を体内でつくり出す際に必要で、セロトニンの材料である「トリプトファン」の吸収にも必要な栄養素です。

サンマやバナナなどに多く含まれます。

 

【ビタミンC】

ストレスを軽減するホルモンの生成を促す一方、ストレスで消費されやすいので、意識してりたい栄養素です。

多く含む食材は、イチゴ、柑橘類、キウイ、パプリカ、ブロッコリーなど。

 

※写真はPhotoAC「イチゴの壁紙 いちごの背景素材」より

 

【ビタミンE】

自律神経の働きを整える働きがあります。

大豆製品、ナッツ類、ホウレンソウ、ブロッコリーなどに多く含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

【カルシウム】

イライラや不安を抑える働きがあります。

大豆製品、乳製品、小魚、小松菜などに多く含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

【タンパク質】

疲労回復に役立ちます。

玄米、豚肉、豆類などに良質のタンパク質が含まれます。

 

※写真はPhotoACより

 

春キャベツや新タマネギ、菜の花など、春に旬を迎える野菜には、香りや苦みを感じられるものが多くあります。

香り成分は、血行促進や抗酸化作用、ストレス軽減などが期待できるテルペン類です。

また苦みのもととなる成分は、老廃物の排出や新陳代謝の促進を助ける働きを持つ植物性アルカロイドやポリフェノールです。

 

春野菜には、ビタミンB群やビタミンC、βカロテンなども豊富に含まれているので、春の健康づくりに積極的に摂りたい食材です。

 

<参考サイト>

・季節の変わり目は要注意!「春バテ」に気をつけよう【栄養だより2020年4月号】

https://www.nicho.co.jp/column/20200401_c1/

・春バテの原因・対策を解説!季節の変わり目の体調不良に対処して健康に過ごそう

https://alinamin-kenko.jp/navi/navi_kizi_spring-fatigue.html

・春野菜の種類とは?栄養価や選び方、おいしい調理法を知って旬の野菜を食卓に

https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/rd/miraikondate/column/article_058/

・春野菜の栄養素

https://yotsugi-seikeigeka-naika.com/info/info-1701/

 

 

 

 


 

④ 《美味しい手延べ麺の紹介》海苔太そうめん

 

ホームページより抜粋

香川県小豆島の伝統的な手延べ素麺に、青のりの中で最も香り高いスジアオノリを練り混ぜた泡草オリジナルの乾麺です。

スジアオノリの鮮やかな緑色が見た目に美味しく、すするごとに芳醇な海苔の薫りと旨みが広がります。

温で食べれば海苔の香りが際立ち、冷で食べれば小麦の香りが楽しめます。

 

今回ご紹介したいのは、「青海苔」を練り込んだ手延べ素麺です。

「青海苔」が練り込まれていることもあって、商品説明通り包装袋から出した途端に「青海苔」の良い香りが溢れ出てきます。

食べてみると海苔の香りが口の中いっぱいに広がって、漬けつゆを薄めにして麺そのものの美味しさをじっくりと味わいたい手延べ素麺です。

太麺ですので食べ応えもありますし、見た目にも鮮やかな天然の緑色で、自然と食も進みます。

 

この季節、「青海苔」の美味しさと栄養価を一緒に味わえる、『海苔太そうめん』はいかがでしょうか。

 

※写真は、泡草海苔様公式オンラインショップより引用させていただいています。

 

《石井製麺所オンラインショップ》 https://141seimen.thebase.in

 

《泡草海苔オンラインショップ》 https://shop.awasoo.com/

《海苔太そうめん》 https://shop.awasoo.com/items/87543386

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年3月24日 【Vol.55】麺究者への道/焼酎と泡盛について研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.55

麺究者への道/焼酎と泡盛について研究してみる

 

 

 

 

石井製麺所通信第15号でご紹介をさせていただきました、弊社のテーマソング『便り届くよ』。

瀬戸内のおだやかな海にかこまれて、振り返れば寒霞渓(かんかけい)と青空のコントラスト、初夏に花が咲き秋には豊かに実るオリーブ。

歌詞に小豆島の豊かな自然が編み込まれた一曲は、島で育った三代目にとって、新しい小豆島の歌になりました。

(小学生の頃、『二十四の瞳』や『オリーブの歌』をよく歌いました。小豆島ゆかりの歌は、島っ子はいつのまにか歌えるようになりますね。小豆島と高松を結ぶフェリーで流れていた頃が懐かしくもあります。)

 

写真は、そんな『便り届くよ』を演奏してくださるリトルドリーミングの皆さまとの一枚です。

先日、高松の下笠居コミュニティセンターでコンサートがありまして、『便り届くよ』を一緒に歌おうとお誘いをいただきました。

 

リトルドリーミングの音楽は、まずは“詞”から始まります。

詞があって、曲をつける。

リーダーの方のお話では、詞に出会って、自然と曲が浮かんでくることもあるそうです。

やさしいメロディーと歌声、そして手話コーラスにのせて、詞を書いた人の想いが届けられます。

 

『便り届くよ』の詞を書いてくださったのが、弊社を長年ご愛顧いただいているお客様で、手話コーラスをされていらっしゃいます。

手だけでなく全身を使って表現される手話は、私にはまるで舞踏のように見えます。

手話のひとつひとつの意味が分からなくても、詞に込められた想いは観る人に伝わるのですね。

 

そして急遽、私も手話コーラスに参加しました。

前日のリハーサル中に手話を教えていただき、本番では観客の方々と一緒に手話コーラスにチャレンジ!

手話の先生の動きをお手本に、曲に合わせて会場のみんなで手話をする。

身振り、手振りのひとつひとつに気持ちを込めて…心の声で歌うって、こういうことでしょうか。

 

コンサートのステージに立つこと、歌うこと、みんなで演奏する楽しさと、そして今回の手話コーラスも、私にとっては初めての体験ばかり。

三代目になって、こんなチャレンジができるなんて想像していませんでした。

リトルドリーミングの皆さまに、心からの感謝を申し上げます。

今度は詞を書くことにチャレンジです!

 

 

さて、今回のブログですが、今回も手延べ素麺からは大きく離れたテーマですが、発酵熟成について知識を得られる大切なテーマです。

ブログの最後には、「泡盛」を活用した手延べ素麺の商品もご紹介しておりますのであわせてご覧ください。

ぜひご一緒に、焼酎・泡盛の世界に浸っていただけましたら。

 

 

【目次】

① 日本を代表する蒸留酒「焼酎」

② 「焼酎」と「泡盛」の違いとは

③ 焼酎と泡盛の歴史と産地、主原料の多様化について

④ 焼酎と泡盛の製法について

⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》泡盛酒かすそうめん

 

 


 

① 日本を代表する蒸留酒「焼酎」

 

お酒は、その製造方法により「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つに分類されます。

この中で最も製造方法がシンプルで長い歴史を持つ「醸造酒」は、原料に酵母を加え、アルコール発酵させたもので、日本酒やビール、ワインなどです。

「蒸留酒」は原料を発酵させた液体を蒸留してつくるもので、穀物などの発酵液を蒸留した焼酎、麦芽などの発酵液を蒸留したウイスキー、果実酒を蒸留したブランデーなどがあります。

「混成酒」は、醸造酒や蒸留酒に甘味料や香料を加えてつくるお酒です。

 

「蒸留」とは、液体を加熱し気体にして、それを冷やして液体に戻すことです。

蒸留酒は、アルコール分を気体にし、それを液体にしてつくるため、醸造酒に比べてアルコール度数が高い傾向にあるそうです。

度数が高いため保存しやすく、また水割りや炭酸割りなど、多様な飲み方が楽しめるのも特徴です。

 

「焼酎」は、酒税法により、アルコール度数が45度以下の「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」と、36度未満の「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」の2種類に分けられます。

「単式蒸留焼酎」は、基本的に一回のみの蒸留でつくられ、原料の風味をダイレクトに感じられます。

原料には、米、麦、サツマイモ、蕎麦、黒糖などが使われます。

 

「連続式蒸留焼酎」は、蒸留を何度も繰り返してつくられるのでアルコールの純度が高まり、クセのないすっきりした味わいになります。

酎ハイやサワーなどのベースとして使われることが多いそうです。

 

これら2種類を混ぜたものを「混和焼酎」と呼びます。

 

九州は、ほぼ全県が焼酎の消費量・製造量ともに全国上位に入るほど、焼酎が根付いている地域です。

焼酎の蔵元の数は全国の3分の1以上を九州が占めており、中でも鹿児島県には100以上の蔵元があり、銘柄数は2000以上とも言われているとのことです。

鹿児島県内で2番目に蔵元が多いいちき串木野市では、2013年、全国で初めて「本格焼酎による乾杯を推進する条例」が制定されたそうです。

 

九州で焼酎文化が発展した背景としては、そのルーツとなる蒸留酒が琉球(現在の沖縄県)から九州に伝わり広まったことや、原料となるイモや米、麦などの栽培が盛んだったことに加え、料理との親和性も着目されています。

 

海外では蒸留酒を食中に飲む習慣はないそうですが、焼酎は料理と一緒に楽しむ食中酒として親しまれています。

蒸留酒としてはアルコール度数が高くなく、ストレートやロック、お湯割りや水割り、ソーダ割りなど、多種多様な飲み方ができるので、銘柄に合わせて、また料理に合わせて楽しめるのも魅力です。

原料も多彩なので、例えば、個性の強い味わいの芋焼酎には、それに負けない味付けの濃い豚の角煮や、宮崎地鶏の炭火焼き、甘みのあるさつま揚げを。

香ばしさの感じられる麦焼酎には、燻製料理や焼き牡蠣、麦味噌のちゃんこ鍋を。

米焼酎には、九州の甘口醤油でいただく馬刺しや新鮮なイカの活きづくりを、など、各地の料理と引き立て合うペアリングを試してみるのも良さそうですね。

 

※写真はPhotoAC「真上から見た酒瓶とグラス」より

 

<参考サイト>

・蒸留酒とはどんなお酒?製造方法や種類による特徴、味わいの違いも

https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/000913.html

・蒸留酒とはどんなお酒? 製造方法やカロリー、種類について解説!【蒸留酒の基礎知識】

https://www.ienomistyle.com/sakeguide/20211217-5459

・焼酎の蔵元が集中する焼酎王国、九州。そのワケと代表的蔵元は?

https://tanoshiiosake.jp/6930

・【保存版】焼酎銘醸地「九州」を徹底解説!各県の特色や定番銘柄、郷土料理ペアリングもご紹介!

https://www.nishinippon.co.jp/yakusake/2022/11/14/shochu-kyushu/

・STORY 3 – 食中酒として愉しめる唯一の蒸留酒

https://kagoshimahonkakushochu.com/pages/story3

・串木野の乾杯推進条例!

https://www.hamadasyuzou.co.jp/denbee/column/post_17.html

・○いちき串木野市本格焼酎による乾杯を推進する条例

https://www.city.ichikikushikino.lg.jp/reiki/H425901010027/H425901010027.html

・ニッポン伝統の「食中酒」。本格焼酎と料理のペアリングはこう楽しむ

https://www.syokuraku-web.com/column/100617/#goog_rewarded

・「美味しい焼酎」が飲みたい人必見!焼酎の基礎や外さない選び方、種類別ペアリングを徹底解説!

https://www.nishinippon.co.jp/yakusake/2022/10/16/oisii-shochu/#index_id41

 

 

 


 

② 「焼酎」と「泡盛」の違いとは

 

沖縄県の伝統的な蒸留酒「泡盛」は、酒税法では「焼酎」に分類されるそうで、詳しく言うと「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」に分類されます。

 

焼酎と大きく異なるのは、主原料である米と麹の種類です。

ほとんどの泡盛は、ジャポニカ米ではなくタイ米を使っています。

泡盛発祥の地である沖縄において、明治時代にはすでに外国産の米が使われており、その中でも主に輸入されていた中国・韓国の米の値段高騰によってアジア各国の米も輸入されるようになり、タイ米が主に使われるようになったという説が有力だそうです。

タイ米は硬質なので麹をつくる作業に適していた、アルコール発酵の際の温度管理がしやすい、蒸留した際のアルコール収量が多い、などのメリットもあるとのことです。

 

麹については、焼酎では主に白麹が用いられるのに対し、泡盛では黒麹が用いられます。

製造工程において、もろみの温度が高すぎると雑菌が繁殖してもろみが腐ってしまいます。

黒麹菌は雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を多くつくるので、もろみの酸度を上げる特性を活かして泡盛の製造に使われているそうです。

黒麹は東南アジア諸国で伝統的にお酒づくりに用いられてきたものが、沖縄から九州に伝わったとされています。

また、白麹菌は沖縄の泡盛黒麹菌から突然変異で生まれたもののため、焼酎のルーツは泡盛とも言われています。

 

また、焼酎と泡盛では仕上げの工程が異なります。

泡盛は、原料の米を米麹にし、水と酵母を加えて発酵させたもろみを蒸留してつくる「全麹仕込み」という製法でつくられます。

焼酎は、つくったもろみにさらに原料を仕込んで発酵させる「二次仕込み」を行い、それによりできた二次もろみを蒸留してつくられます。

 

焼酎は数週間貯蔵された後、瓶詰めされて出荷されます。

泡盛は、数週間で出荷するものもあれば、長期にわたり熟成させるものもあります。

泡盛を3年以上貯蔵したものは「古酒(クース)」と呼ばれます。

独特の香りやまろやかさを持ち、アルコール度数が40度前後と高いのが特徴です。

 

※写真はPhotoAC「酒飲みシーサー」より

 

<参考サイト>

・焼酎と泡盛の違いとは?初心者向けに種類や特徴をポイントで徹底解説

https://www.designlearn.co.jp/shochu/shochu-article12/#d0e9d87eb78fa54e47cd213ca7606442

・焼酎と泡盛の違いを4つのポイントから説明します。

https://www.akugare.jp/shochu-awamori

・焼酎と泡盛の違いについて

https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%81%A8%E6%B3%A1%E7%9B%9B%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

 

 

 


 

③ 焼酎と泡盛の歴史と産地、主原料の多様化について

 

蒸留酒をつくるのに欠かせない技術である蒸留は、紀元前4~3世紀頃のメソポタミア文明で開発され、香水を生成するために用いられていました。

アルコール生産に蒸留技術を使用した最古の記録は、紀元前800~750年のインドとエチオピアに残っているとのことです。

日本には15世紀、室町時代中期に蒸留技術が伝わったとされています。

 

焼酎は、13~14世紀頃にはすでに中国大陸や南海諸国で製造されていたと考えられています。

日本への焼酎の伝来については諸説ありますが、有力とされているのが、琉球(沖縄)・薩摩(鹿児島)を経由して全国へ伝わったという説です。

 

15世紀には泡盛の原型に近い蒸留酒がつくられていて、15世紀後半になるとシャム(現在のタイ)との交易が減ったことから、琉球独自の焼酎である泡盛がつくられるようになったと考えられます。

 

1534年の書物「陳侃使琉球録(ちんかんしりゅうきゅうろく)」に、シャムから渡来した南蛮酒という酒について記されています。

糖蜜ともち米を原料とした「ラオロン」と呼ばれる蒸留酒が輸入されていたそうです。

 

1546年、ポルトガルの商人が、現在の鹿児島県指宿市で「米からつくられたオラクア(焼酎)を飲んでいた」と記しています。

現在の鹿児島県伊佐市にある郡山八幡神社で「座主がケチで焼酎を飲ませてくれない」という1559年の大工の落書きが見つかっているそうです。

 

江戸時代、焼酎は薩摩を通じて琉球王朝から徳川幕府に献上され薬用酒として飲まれるなど、貴重なものとなっていました。

やがて沖縄や南九州地域だけでは需要の高まりに対応できなくなると、大名らが各地域の酒造に焼酎をつくるよう命じるようになりました。

これらの地元産焼酎と、貴重な沖縄の焼酎を区別するために、1671年頃から公式文書に「泡盛」の名前が登場するようになりました。

 

焼酎の製法が広まるとともに、各地で入手可能な材料に応じて主原料が多様化していきました。

 

鹿児島では、16世紀には米焼酎が主流でした。

しかし、米づくりに適さない土壌であり、1705年に持ち込まれたサツマイモの栽培に向いていたことから、サツマイモを原料として芋焼酎がつくられるようになりました。

19世紀には家庭内での芋焼酎製造が禁止され、薩摩藩主の島津斉彬が芋焼酎製造を推奨したことから薩摩藩内の都城市などに広がったそうです。

 

宮崎県や熊本県では17世紀の中頃までに焼酎がつくられるようになりました。

この当時、南九州では米が貴重だったこともあり、アワ・ヒエ・キビなどの雑穀からつくられていたと考えられます。

 

福岡県ではもともと清酒を多くつくっており、清酒の搾りかすである酒粕を蒸留する「粕取り焼酎」が生まれました。

 

長崎県の壱岐島では、米の多くが年貢に取られるものの、麦は年貢の対象ではなかったため、17世紀から農家が麦焼酎をつくるようになったそうです。

 

鹿児島県奄美大島では、明治から大正にかけて、黒糖を使った焼酎造りが始まりました。

 

大分県では、1951年に麦の統制撤廃により、麦麹を使った焼酎の開発が始まり、1973年に麦100%の「大分麦焼酎」が誕生してブームとなりました。

 

一方、泡盛は、17世紀には庶民の間にも広がっていきました。

その後、第二次世界大戦により、醸造所が多数あった首里城周辺も壊滅的な被害を受け、泡盛製造に欠かせない黒麹菌が失われてしまったそうですが、麹を作成していたゴザが発見され、蒸米を広げると、黒麹菌を繁殖させることができ、泡盛が復活したとのことです。

 

 

地域の⾵⼟と結びついた特産品を保護する国の制度「地理的表示(GI)」に、現在5つの焼酎が承認されています。

 

【壱岐焼酎(いきしょうちゅう)】(長崎県)

大麦と米麹、壱岐市内で採取した水を原料に造られる本格麦焼酎。

麦と米麹を2:1の割合で配合し、仕込みから瓶詰めまでの工程を壱岐市内で行ったもの。

麦のやさしい香りと米麹由来の甘みが特徴。

 

※写真はPhotoAC「壱岐 郷ノ浦港」より

 

【球磨焼酎(くましょうちゅう)】(熊本県)

熊本県内有数の米処である人吉球磨地方で古くから飲まれてきた本格米焼酎。

国内産の米と国内産米からつくった米麹、人吉市または球磨郡で採取した水のみを使用し、仕込みや蒸留、貯蔵、瓶詰めまでの工程を人吉球磨地方で行ったもの。

米由来のさわやかな香味とまろやかな甘みが特徴。

 

※写真はPhotoAC「球磨川第3橋梁」より

 

【薩摩焼酎(さつましょうちゅう)】(鹿児島県)

鹿児島県産のさつまいもと鹿児島県内で採水した水を原料に、鹿児島県内で製造・瓶詰めされた本格芋焼酎。

良質で新鮮なさつまいもと長年磨き上げられた技術で醸され、華やかで芳醇な香りと甘く濃厚な味わいを持つ。

 

※写真はPhotoAC「鹿児島の桜島」より

 

【琉球泡盛(りゅうきゅうあわもり)】(沖縄県)

500年以上前に琉球地方に伝来したといわれる沖縄の特産品。

沖縄県の水を使用し、発酵から蒸留、貯蔵、瓶詰めまでの全行程を県内で行ったもの。

多くはタイ米が使われ、黒麹菌を用いて原料の米をすべて米麹にしてから、一度きりの仕込みで発酵させる「全麹仕込み」が特徴。濃厚な香りと芳醇な味わいを持つ。

 

※写真はPhotoAC「黒麹」より

 

【東京島酒(とうきょうしまざけ)】(東京都)

2024年3月に指定された、伊豆諸島で製造される焼酎。

麦麹を使用しているのが特徴で、芋焼酎・麦焼酎・芋と麦のブレンド焼酎の3タイプがある。

麦の香ばしさや草木のような清涼感のある香りがあり、やわらかで軽快な後口の中にコクと旨みを感じられるのが特徴。

 

※写真はPhotoAC「八丈島 登龍峠展望」より

 

<参考サイト>

・焼酎の歴史をわかりやすく解説|焼酎の発祥から現在までを説明

https://www.sakesen.com/blog/history-of-shochu/

・本格焼酎と泡盛

https://www.japansake.or.jp/honkaku/about/all/history.html

・焼酎・泡盛の歴史

https://www.honkakushochu-awamori.jp/about-shochu-and-awamori/history-of-shochu/

・「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺

https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/about_shochu_220121

・焼酎の「産地呼称(地理的表示・GI)」って? 個性の異なる4カ所の生産地域を知ろう

https://tanoshiiosake.jp/9587

・東京島酒が地理的表示(GI)に指定されました!「GI東京島酒」

https://www.sakagura-press.com/sake/gi_tokyoshimazake202405/

 

 

 

 


 

④ 焼酎と泡盛の製法について

 

「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」の中でも酒税法が定める条件を満たしたものは「本格焼酎」と呼ばれています。

短期間で大量生産が可能な「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」に比べて時間がかかるものの、原料本来の風味や香りを生かした個性豊かな焼酎に仕上げることができます。

その製造工程について、調べてみました。

 

【原料の処理】

主原料となる芋や米などをきれいに洗浄し、必要に応じて浸漬、水切り、蒸し、皮むき、冷却などの処理を行う。

 

【製麹(せいきく)】

米麹をつくる場合、まずは米を洗って水に浸け水分を吸収させる。

米を蒸して、広げて35℃くらいまで冷まし、白麹菌や黒麹菌、黄麹菌などの麹菌を振りかけて混ぜる。

高温多湿な「麹室(こうじむろ)」で麹菌を繁殖させて米麹をつくる。

 

【発酵】

麹に水と焼酎酵母を加えて混ぜ、約7日間かけて酵母を繁殖させ「一次もろみ(酒母)」をつくる(一次仕込み)。

純度が高く強い酵母と、発酵に不可欠な酵素・クエン酸をつくり出すことが目的。

この一次もろみに、米や芋などの原料と水を加えて混ぜ、約2週間かけて発酵させ「二次もろみ」をつくる(二次仕込み)。

原材料の旨みや甘みが引き出され、アルコール発酵が促進されてアルコール度数14~15%になる。

 

泡盛の場合は一次仕込みと二次仕込みに分けず、原料の米と麹菌、酵母、水を一度に仕込む「全麹仕込み」で発酵を進める。

 

【蒸留】

発酵を終えた「もろみ(発酵液)」を、単式蒸留器を用いて蒸留すると、焼酎の原酒ができる。

単式蒸留焼酎(乙類焼酎)の蒸留方法には、通常の気圧下で行う「常圧蒸留」と、蒸留機内の気圧を下げて行う「減圧蒸留」の2種類がある。

常圧蒸留は昔から使われている方法で、雑味などの成分が残りやすいが、原料由来の風味や香りが活きた個性豊かな酒質に仕上がる傾向があり、濃厚で長期熟成酒をつくるのに適している。

減圧蒸留は1970年代から始まった方法で、揮発成分が少ないため酒質が軽く、クセのないすっきりとした味わいになる。

 

【熟成(貯蔵・熟成)】

原酒はタンクなどの貯蔵容器に移され、少なくとも1〜3カ月は寝かされる。

熟成させることでガス成分が揮散して粗さがとれ、水がアルコール成分を包み込んで酒質が安定し、原酒にまろやかさが加わる。

熟成された後、質を一定にするため貯蔵容器ごとの原酒を混ぜ合わせ、水を加えてアルコール度数を調整し、瓶詰めして完成。

 

※写真はPhotoAC「瓶貯蔵して泡盛の古酒を製造している沖縄の蔵」より

 

<参考サイト>

・焼酎の造り方を知っていますか? 焼酎の種類や原料によって製造方法が違います

https://tanoshiiosake.jp/9400

・焼酎の作り方をわかりやすく解説|製造工程を詳しく説明

https://www.sakesen.com/blog/how-to-make-shochu/

・焼酎の製法と作り方について

https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%81%AE%E8%A3%BD%E6%B3%95%E3%81%A8%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/

 

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》泡盛酒かすそうめん

 

今回、ご紹介させていただきたいのは沖縄県那覇市で立ち飲み処を営む「酔処 玉川(「よいしょたまりば)」様が商品開発された「泡盛酒かすそうめん」です。

 

琉球泡盛の酒かすを手延べ素麺に練り込みお店でメニューとしてご提供されるだけでなく、乾麺としても販売されているそうです。

泡盛は、恐らく記憶の限りでは飲んだことがないので、泡盛の酒かすを練り込んだ手延べ素麺がどんな風味なのかとても気になります。

 

「酔処 玉川」のご主人、松本様が「泡盛の酒かすが捨てられているという記事を見て、活用法のひとつとして商品開発に取り組んだ」そうです。

地域の特産品やフードロスなどの観点から新しい特産品が生まれるのは、原料、製造、販売、そして購入者の方にとってもメリットの大きいことですから「三方よし」どころか、四方も、五方もよし…といったところでしょうか。

 

石井製麺所でも、小豆島の特産品、香川県の特産品、そして地域を代表するような食材、日本を代表するような原料を活用した新麺開発に日々取り組んでおります。

 

写真は、これまた沖縄で注目される「月桃」を練り込んだ素麺とのセット商品です。

沖縄に行かなくても食べられるのは、いいですね。

機会がございましたらぜひ皆さんも召し上がってみられてはいかがでしょうか。

 

※写真は、酔処玉川様公式ネットショップより引用させていただいています。

 

《酔処玉川様公式ネットショップ》 https://tamariba.raku-uru.jp/

《月桃素麺と泡盛酒粕を使用した素麺セット》 https://tamariba.raku-uru.jp/item-detail/1652726

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年3月14日 【Vol.54】麺究者への道/国産小麦について研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.54

麺究者への道/国産小麦について研究してみる

 

 

 

 

さて、今回のブログのテーマは急遽、「国産小麦(粉)」についてです。

2023年8月4日に伺った「国際和食産業展・和麺産業展」にて、ある国産小麦粉メーカーさんとご縁があったのですが、その後、わざわざ小豆島の石井製麺所を訪れてくださいました。

先日も弊社をご訪問いただき、通算三度目のご訪問でした。

 

国産小麦を栽培する農家さんの視点に立ち、真剣に国産小麦粉の消費、商品化を考えておられて、石井製麺所にもご相談に来られました。

 

まだ、色々と課題はあるのですが、今後も協力できる所は協力させていただくことになりました。

今からとても楽しみです。

いつか、小麦がたくさん実る畑、産地を訪問してみたいと思っています。

 

今回のブログは、知ってるようで実はよく分かっていないなと気がついたので、ちょっと国産小麦(粉)にスポットを当てて調べてみました。

以前にも小麦についてはブログでも書いていますが、今回は国産にこだわった内容としてまとめています。

なんとなく、米は日本産、小麦は外国産のイメージがあったのですが、はるか昔から日本でも栽培されて、小麦の料理(食べ物)があったんですよね。

今回は製麺所にとっても大切な小麦粉のお話ですので、ぜひ最後までお付き合いください。

 

 

 

【目次】

① 小麦と小麦粉の歴史

② 「国産小麦」の定義と、輸入小麦との違いについて

③ 国産小麦の代表的な産地や品種について

④ 春蒔き、秋蒔き、初冬蒔きとは?

⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》自然栽培小麦100%使用手延べ素麺

 

 


 

① 小麦と小麦粉の歴史

 

野生の麦は、今から1万年ほど前の西アジアやイラクあたりの山岳地帯の草原で生えていたことが分かっています。

1万年〜8500年前頃には、野生の麦に加え栽培した麦も食べていたようです。

小麦と大麦はまだ区別されず、石と石の間に挟んで粗く砕き、焼いて食べていたとのこと。

 

小麦と大麦は、どちらもイネ科に属する穀物ですが、小麦は弾力のもととなるタンパク質の一種「グルテン」を多く含み、大麦は水分を吸収しやすい、という性質の違いがあります。

 

紀元前6500年頃、小麦よりも大麦の方が栽培や収穫が容易であったことから、多く栽培されるようになりました。

大麦は、臼で粗挽きして土器で煮たお粥のような形状で食べられていたそうです。

小麦は、山岳地帯からメソポタミア平原や地中海沿岸、エジプトにまで広がりました。

 

紀元前3000年頃の古代エジプトで、「サドルカーン」と呼ばれる粉挽き専用の平らで大きな石がつくられ、小麦の外皮を取り除いた粉ができるようになりました。

この小麦の粉に水を加えてこねると弾力と粘りのあるかたまりができます。

これをオーブンで焼くと、比較的やわらかくおいしいパンができたそうです。

その後、手で回転させながら粉を挽く石臼が発明されました。

大麦の粉よりも小麦の粉の方が美味しいパンをつくれるため、大麦ではなく小麦が主に食べられるようになったとのこと。

 

紀元前400年頃にはギリシアで、その100年後にはローマで「水車」を使った製粉工場がつくられました。

600年頃には、オランダやイギリスの東海岸で「風車」を使った製粉工場が広がりました。

 

※写真はPhotoAC「オランダのキンデルダイクの風車」より

 

日本では、弥生時代の中末期(~3世紀ごろ)には小麦や大麦が栽培されていたことから、麦を何らかの形で食べていたと考えられます。

4世紀には米とともに麦、粟、稗なども主食とされ、8世紀には朝廷が小麦や大麦の畑作を奨励したそうです。

「麦」は万葉集にも登場しています。

 

世界の製粉の発展に話を戻すと、動力が水車や風車になっても、17世紀頃までは小麦を一回挽いて粉と外皮を分けるだけのものでした。

17世紀のフランスで、石臼で挽いた小麦をふるいで分けることを繰り返す、今日の製粉技術と同じ考え方の段階式製粉方法が始まりました。

1833年に、回転する二本のロールの間を通して小麦を潰す「ロール式製粉機」がスイスで初めて実用化。

品質の良い小麦粉が大量に生産できるようになりました。

 

日本では1872年(明治5年)に政府が石臼式製粉機をフランスから購入し、東京の浅草蔵前に、水車を動力とした官営の機械製粉工場が建設されました。

明治20年代以降、現在に続く大手製粉会社の前身となる会社が相次いで創立され、機械製粉が本格化していきました。

 

1944年、小麦の品種「農林61号」が、佐賀県農業試験場で育成されました。

北関東から九州までの広域に普及し、一時は北海道でも栽培され、1959年~1978年までは全国作付面積のトップを占めました。

褐色で香りが強く、深みのある味わいが特徴で、評価が高い品種です。

栽培しやすく病気にも強い新品種の登場により収穫量が激減した現在でも、麺用として根強い人気を誇るそうです。

 

小麦の国内生産量を見てみると、1961年度の178万1000トンをピークに減少傾向となっています。

しかし、オイルショックを機に世界的な食糧危機が叫ばれ、日本の食糧自給率の低さが問題視されるようになると、輸入に依存していた小麦についても、国・県・農業団体等が麦作振興の各種施策や推進運動を展開するようになったそうです。

これにより麦作の収益性が向上し、小麦の作付け面積も回復していったとのこと。

 

2000年以降、地産地消や食物自給率の向上を目指し、高タンパク質でミネラル分が豊富な国産小麦の生産が、北海道をはじめ全国各地の生産者や食品会社の努力により着々と進められています。
2020年3月農林水産省の「麦の需要に関する見通し」によると、食糧用小麦の総需要量580万トンのうち、外国産輸入量は486万トン、国内産小麦の流通量は91万トンとなっています。

 

※写真はPhotoAC「麦畑4」より

<参考サイト>

・大麦と小麦の違い、アレルギーについて

https://mugi-lab.jp/contents/index17.php#:~:text=%E5%B0%8F%E9%BA%A6%E3%81%AB%E6%AF%94%E3%81%B9%E3%81%A6%E5%A4%A7%E9%BA%A6,%E3%81%A8%E4%BD%BF%E3%81%84%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%80%82

・小麦・小麦粉の歴史

https://www.seifun.or.jp/pages/92/

・小麦粉の歴史・文化

https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_03.html

・進化する国産小麦

https://www.benbu.jp/?mode=grp&gid=2555817

・コムギの大横綱「農林61号」を育成~ 小松一太郎の観察眼 ~

https://www.jataff.or.jp/senjin2/15.html

・戦中に開発の「農林61号」、うどん・パンに根強い人気…「鼻に抜ける独特の風味」

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220621-OYT1T50064/

 

 

 


 

② 「国産小麦」の定義と、輸入小麦との違いについて

 

小麦は、「胚乳」「表皮」「胚芽」で構成されています。

そのうち小麦粉になるのは、約83%を占める「胚乳」で、主な成分は糖質(デンプン)とタンパク質です。

「表皮」は約15%で主に飼料やペットフードなどに使われます。

「胚芽」は約2%で、糖質やタンパク質、各種ミネラルやビタミンを豊富に含み、分離精製して栄養補助食品などに使われます。

 

小麦は粒の硬さにより4つに分類されます。

小麦の硬さは含まれるタンパク質の質と量に大まかに比例します。

 

【硬質小麦】

主にアメリカ、カナダ産。

タンパク質が多く、粘り・弾力性に富み、パンや中華麺に向いている。

 

※写真はPhotoAC「パン」より

 

【中間質小麦】

主にオーストラリア、日本産。

タンパク質の含有量は中程度で、うどんなどに向いている。

 

※写真はPhotoAC「釜揚げうどん ゆでたて」より

 

【軟質小麦】

主にアメリカ産。

タンパク質が少なく適度にやわらかい。

ケーキ、お菓子、天ぷらなどに向いている。

 

※写真はPhotoAC「買ってきたケーキ」より

 

【デュラム小麦】

主にカナダ産。

柔軟で弾力性の強いグルテンを豊富に含み、スパゲティやマカロニなどコシの強いパスタに加工される。

 

※写真はPhotoAC「スパゲッティ(アップ)」より

 

日本で消費されている小麦の約9割は外国産で、残りが国産です。

麺類やパンなど、小麦粉を使った加工食品のパッケージに、「小麦粉(国内製造)」や「国産小麦」などの記載を見かけることがあります。

これらの意味を正しくご存知でしょうか?

「小麦粉(国内製造)」は、原材料表示欄に記載されています。

国内で製粉された小麦粉という意味であり、原材料の小麦の産地は明記されていません。

2017年に始まった加工食品の原産地表示制度により、主原料の産地表示が義務付けられました。

しかし小麦粉は原料である小麦の大半が輸入であり、製粉会社が複数の種類をブレンドして加工するため、原産地の明記が難しく、最終製造地を表す「国内製造」の表示が認められています。

「国産小麦」は、国産の小麦を製粉した小麦粉を使用していることを意味します。

この記載は義務ではなく、商品特長の訴求として任意で表示するものです。

100%使用の場合は100%と表示するか、割合を表示しなくてもよいことになっています。

100%に満たない場合は、その割合を併せて表示するよう法律で定められています。

 

国産小麦と輸入小麦の最大の違いは、グルテンの量だと言われています。

小麦粉は、大まかに、70%程度の炭水化物(デンプン)と6~15%程度のタンパク質で構成されています。

タンパク質は粘着力や伸びやすさを生むグリアジンと弾力性を生むグルテニンで、水を加えてこねるとこれらが結びついて、粘着力、伸び、弾力という性質を持つ小麦特有のグルテンに変化します。

麺やパン、お菓子などは、このグルテンの性質を利用してつくられます。

 

小麦粉は、含まれるタンパク質(グルテン)の質と量により、「強力粉」「中力粉」「薄力粉」の3つに大きく分類されます。

素麺には、強力粉に近い粘りのある中強力粉が主に使われます。

 

【強力粉】

グルテンの量が多く、強い。粒が粗い。

主な用途はパン、餃子の皮、中華まん、ピザなど。

 

【中力粉】

強力粉と薄力粉の中間。

主な用途は素麺、うどんなど。

 

【薄力粉】

グルテンの量が少なく、弱い。粒が細かい。

主な用途はケーキ、お菓子、天ぷらなど。

 

国産小麦はタンパク質の割合が低く、あまりグルテンが生まれないのに対し、輸入小麦はタンパク質が多く含まれグルテンが多く生まれます。

他にも、国産小麦はこねる際にべたつきやすい、小麦の風味が強い、もっちりした食感、といった特徴があり、輸入小麦はボリュームが出やすい、まとまりやすくこねやすい、あっさりした風味、ふんわりした食感、などの特徴があります。

 

これらの性質から、麺やパン、お菓子づくりにおいて輸入小麦が主流となってきました。

しかし近年、国産小麦の品質は大幅に向上し、また、かつて日本では栽培が難しいとされてきたパン用や中華麺用に使われる強力系小麦の生産が拡大しているそうです。

 

※写真はPhotoAC「小麦粉とパン」より

 

<参考サイト>

・「小麦粉(国内製造)」と「国産小麦」の表示について

https://faq.pasconet.co.jp/faq/show/73?category_id=1&site_domain=default

・小麦粉の国産と国内製造の違い、そばの原料は小麦粉? わかりにくい食品表示

https://flour.empacede.co.jp/eating/labeling/

・国産小麦の特徴とは 品種や利点を解説、輸入小麦との比較も

https://www.pascoshop.com/Page/LP/column/14.html?srsltid=AfmBOoqJq3tQ8BoEMLSgTe_G2QjJ8ndy3fo6zS8znhJUVqlDVNCTL0G8

・小麦・小麦粉の基礎知識

https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_01.html

・小麦・小麦粉の基礎知識

https://www.shimabara-soumen.com/category/1928098.html

・そうめんの原料

https://www.inosuke.co.jp/SHOP/104094/list.html?srsltid=AfmBOorpOkSfrcOYcIXV7Q1uqI1cmQjFre8jgR_kvt-XG77-4i0eKhci

・ラーメンを支える国産小麦の生産現場

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2412/spe1_02.html

・北海道だけじゃない! 全国で広がる国産小麦

https://special.nikkeibp.co.jp/NBO/businessfarm/agribusiness/13/

 

 

 


 

③ 国産小麦の代表的な産地や品種について

 

農林水産省の「麦の生産をめぐる事情」によると、小麦の自給率はここ数年15%前後で推移しているそうです。

小麦の用途として一番多いのはパン用で、中華麺用、日本麺用、菓子用と続きます。

うどん、素麵、蕎麦のつなぎなどに使われる日本麺用は、国産小麦だけで見ると約60%を占めています。

 

2024年の小麦の収穫量を都道府県別に見ると、最も多いのは北海道で、全国の69.2%を占めます。

収穫期に雨が少ないうえ夏も涼しく、乾燥した気候が、小麦栽培に適しているそうです。

その他、福岡県・佐賀県・愛知県・三重県などが主要な産地となっています。

 

日本での小麦栽培は中力系の品種が多く、タンパク質含有量の多い強力系小麦は、本州以南では梅雨がありじっくり熟成させづらく栽培が難しいとされてきましたが、近年、品種改良され、北海道の「ゆめちから」などパンや中華麺に向く小麦が次々登場しているそうです。

 

また、単収(単位面積当たり収量)の多い品種も注目されており、北海道では「ホクシン」から「きたほなみ」へ、関東では「農林61号」から「さとのそら」へと切り替えが進んだそうです。

 

国産小麦の代表的な品種について、産地や特徴、用途などを調べてみました。

 

【きたほなみ】(北海道)

国内で最も多く栽培されている品種。

主に日本麺に使われる。

大量生産されており価格が安いことから、薄力粉や中力粉に加工されたり、強力粉とブレンドしたりして、パン、菓子などにも幅広く使われている。

 

【ゆめちから】(北海道)

パンや中華麺用の品種。

国産小麦の中でも特にグルテンを多く含む、強力粉用の小麦。

よくふくらんでボリュームを出しやすい。

 

【春よ恋】(北海道)

パンや中華麺用の品種。

強力粉に加工される。

甘みや旨みが強く、小麦本来の味わいを楽しめる。

ふわふわ感ともちもち感の両方を出せるとして注目されている。

 

【さとのそら】(埼玉県、千葉県)

従来の主要品種であった「農林61号」の後継品種。

成熟が遅い、茎が長くて倒れやすい、病気に弱いといった農林61号の欠点を克服した。

色合いがきれいで、焼き上げたときのさっくりした食感が特徴で、主に菓子に使われる。

 

【シロガネコムギ】(埼玉県、静岡県、兵庫県、鳥取県、佐賀県)

日本麺に加工されることが多い。

穂が倒れにくい、病気に強い、製粉性に優れているという特長がある。

焼き菓子は歯切れよく焼き上がる。

 

うどんの生産量1位を誇る香川県のホームページ「県産小麦のあゆみ」によると、小麦の栽培品種として優先される条件は、安定して多くの量が収穫できることに加えて、近年は、製粉や製麺への適性が良好であることが品種選定の大きなポイントだそうです。

香川県の小麦の生産量と栽培面積は、ともに1961~1962年頃が戦後のピークだったとのこと。

その後、高度経済成長に伴う小麦の生産意欲の低下や、収穫期の長雨による大被害などにより、1973年の栽培面積は1962年のわずか2%となりました。

 

1970年代からオーストラリア産の小麦がうどんの原料に使われはじめました。

現在では年間約70万トンものうどん用小麦がオーストラリアから輸入されており、日本で消費されるうどんの原料の大半を占めています。

オーストラリア産小麦は、小麦粉生地の安定性、うどんの黄白色の色調、適度な弾力の食感、ゆでた後の麺の劣化の遅さなどの優れた特性により、高く評価されてきました。

手延べ素麺の原料としても、オーストラリア産の小麦が適しているとされ、多くの素麺製麺所が使用しています。

 

こうした状況の中、讃岐うどんを地元産小麦でつくろうという強い想いのもと、2000年に開発されたのがうどん用の小麦「さぬきの夢」。

香川県の農業試験場が品種交配・選抜を繰り返し、10年がかりで開発しました。

「さぬきの夢」はもっちりした食感や旨みには定評がありますが、タンパク質の量が少なくもろい性質のため、生地にした際の弾力が弱く、うどんにすると切れやすいなどの扱いにくさが課題でした。

弾力の弱さを克服しようと新品種の開発が進められ、小麦特有のたんぱく質「グルテン」に着目。

数万の個体から最もバランスのとれたグルテンを持つ新しい品種が選抜されました。

グルテンの切れやすさを比較した実験では、今の品種の3倍以上の時間が経っても新品種は切れなかったとのこと。

2024年秋から本格的な栽培が始められているそうです。

 

※写真はPhotoAC「釜玉うどん」より

 

<参考サイト>

・国産小麦の需要拡大に注目! 栽培条件や消費・生産動向、参入の成功事例を解説

https://minorasu.basf.co.jp/80508

・【地域別】小麦の主な品種一覧! 特徴を踏まえたおすすめは?

https://minorasu.basf.co.jp/80913

・【国産小麦の特徴や種類】素材にこだわる製麺所が詳しく解説!

https://tsumura-seimen.co.jp/post-1896/

・[JAPAN] 品種改良で進化したニッポンの麦

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1602/spe1_03.html

・県産小麦のあゆみ

https://www.pref.kagawa.lg.jp/seiryu/sanukinoyume/menpaku/03_ayumi.html

・讃岐うどん 支える小麦 産地オーストラリアと日本の開発最前線

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230510/k10014062521000.html

・「さぬきの夢2000」小麦開発ストーリー

https://flour-net.com/column/sanukinoyume/sanuki2000_story/

・うどん用小麦「さぬきの夢」

https://www.flour.co.jp/knowledge/sanuki-no-yume/

 

 

 


 

④ 春蒔き、秋蒔き、初冬蒔きとは?

 

小麦の栽培方法は、もともとは秋に種を蒔き、冬の寒さに遭遇してから穂を出す「秋蒔き」でしたが、寒すぎて小麦が冬を越せない地域でも栽培できるよう、春に種を蒔く「春蒔き」の小麦が生まれたそうです。

さらに「初冬蒔き」もあるとのことです。

それぞれの特徴などを調べてみました。

 

【秋蒔き】

9月中旬に種を蒔き、10月上旬に出た新芽は雪の下で冬を越し、春の雪解けとともに勢いよく伸びる。

収穫は7月下旬~8月上旬。

栽培期間が10カ月と長く、収穫量が多く効率の良い栽培方法。

「きたほなみ」などの中力系。

近年、品種改良により「キタノカオリ」「ゆめちから」などの強力系も栽培できるようになった。

 

【春蒔き】

品種改良により、温かい期間だけで栽培できる品種を選抜して生まれた。

4~5月に種を蒔き、8月上旬~中旬に収穫。

栽培期間が短いので収穫量が少なく、また収穫期は雨も多いため品質が不安定になりやすいとされる。

「春よ恋」「春きらり」など、グルテンが豊富な強力系。

 

【初冬蒔き】

春蒔きのパン用として流通しており、2年連続の大不作後に生産中止となった「はるゆたか」という品種を復刻させるため開発された栽培方法。

北海道で雪が降る直前の11月に種を蒔き、春蒔きよりも2週間ほど早く成長して7月中旬に収穫できる。

 

※写真はPhotoAC「麦踏み」より

 

<参考サイト>

・国内生産量No.1!北海道産小麦のあれこれを教えます

https://www.hokuren-greenplus.jp/html/page112.html

・”春まき小麦”と”秋まき小麦”の違いは?『はるゆたか』と”初冬まき”、『キタノカオリ』と”穂発芽”/パン教室講師が徹底解説!

https://noraneko19.com/spring-autumn-wheat/

・北海道で秋まき小麦の種まきが始まりました。雪の下で小麦の芽はどうやって過ごすの?

https://tenki.jp/suppl/romisan/2019/09/05/29401.html

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》自然栽培小麦100%使用手延べ素麺

 

ホームページより抜粋

「丸玄が無肥料、自然栽培で大切に育てた小麦を香川県小豆島の石井製麺所さんにて、手延べ素麺にしました。

天日干しと室内干しの配分を職人の勘と経験で、天気、気温、湿度を見極め調整し締まりのある素麺に仕上げております。

とても手間のかかる作業も惜しまず丁寧に大切につくって下さいました。

丸玄の手延べは真っ白では有りません。製粉の際にふすまを残しているため少し麦の色が入りほんのり肌色なのも特徴です。

小麦特有の香りもほのかに感じられ、食物繊維も豊富です。

この夏、他の手延べには無い特徴と美味しさをお楽しみ下さいませ。」

 

南アルプス市江原で自然栽培に取り組む丸山様からご連絡をいただいたときには、とても驚きました。

自然栽培にこだわり大切に育てられた小麦(粉)を、数多くある製麺会社の中から石井製麺所へ託してくださりました。

国産小麦ということもあり、はじめは製麺できるかが不安でしたが、最終的にはとても良い麺に仕上げることができ、自信を持って手延べ素麵としてお返し(納品)することができました。

 

紹介文にもあるとおり、“ふすま”が残っているため、優しい自然な色合いの麺色で、小麦ならではのとても芳ばしくも良い香りのする素麵です。

夏季限定販売のため現在は取り扱っておられませんが、また販売再開の際には、ぜひお求めください。

 

※写真は、丸玄様公式ネットショップより引用させていただいています。

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

《~畑が作る自然食~ 丸玄様公式ネットショップ》 https://marugenomame.thebase.in/

《自然栽培小麦100%使用手延べ素麺【夏季限定】》 https://marugenomame.thebase.in/items/87876950

 

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。

 

お!いしい けんぶんろくブログ

2025年2月17日 【Vol.53】麺究者への道/豆類を使った発酵⾷品について研究してみる

 

 

【お!いしい けんぶんろく】 Vol.53

麺究者への道/豆類を使った発酵⾷品について研究してみる

 

 

 

 

さて、今回のブログのテーマは「豆類」の発酵食品についてです。

その「豆」に関連して、小豆島で3月15日(土)、16日(日)に開催される「豆まめ市場」をご紹介させていただきます。

今回は豆繋がりということで(笑)。

 

食品関連のイベントではありませんが、小豆島内外からクラフト作家さんにお声がけして展示販売を行っているイベントだそうです。

飲食の出店や佃煮会社さんの出し物(この時は佃煮すくい)もあってけっこう楽しげなイベントです。

主催されるのは、「豆まめ市場実行委員」の皆さんで、島の若者(だけじゃありませんが)が中心となって、島に新しいイベントを開催しようと毎年3月に実施されているものです。

 

昨年の開催日に伺いましたが、あいにくの雨(大雨!)でしたが出店者の皆さんは慣れたもの(?)で接客をしておられました。

 

島内では春めいてくると毎週のように島中のあちこちでイベントが開催されていて、島の方はもちろん観光で来られた方にも楽しいひとときを提供くださっています。

私は製造もあってなかなかお手伝いできませんが、主催されている皆さんを応援させていただければと思います。

島でのイベントは、島外の方との交流の機会でもありますし、日常では味わえない楽しい時間や珍しいもの、美味しいものもたくさんあって、これからも増えていくと嬉しいなと思います。

いつか、石井製麺所も何かの出店ができればと思います。

(商工会、自治会でのイベントではお手伝いなどしていますが)

 

寒さが厳しい日が続きますが、素麺づくりにはちょうど良いお天気と乾燥具合です。

人間にとってはとても厳しいですが、これも美味しい素麺ができると思えば、ありがたい寒さなのかも知れません。

最近は雪が降る日も多く寒さ厳しいですが、そのぶん春の訪れが待ち遠しいですね。

 

今回のブログは冒頭でも触れましたが「豆類」の発酵食品に関する内容です。

以前に、「納豆」「味噌」「醤油」とブログのテーマにしたことがありますが、今回は「豆類(に似たもの含めて)」です。

豆と思って調べていたら、豆でなく「種」だったりする内容もありますが、今回も最後までお付き合いください。

 

 

 

「小豆島で一番のクラフト市場 豆まめ市場」

日時 3月15日(土)10:00〜16:00、16日(日)9:00〜15:30

場所 安田の馬場

ホームページ mame2ichiba.jimdofree.com

 

写真は、「豆まめ市場実行委員会」様からご提供いただいたものです。

 

【目次】

① 言わずと知れた納豆・味噌・醤油

② 身近で意外な豆類(に似た)発酵食品とは?

③ 他にもある、日本の豆類発酵食品

④ 世界の豆類発酵食品

⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》京都・北尾商事様「黒豆そうめん」 編

 

 


 

① 言わずと知れた納豆・味噌・醤油

 

古くから現代に至るまで、日本の食生活には大豆の発酵食品が欠かせないものとなっています。

代表的なのが「納豆」「味噌」「醤油」。

それぞれ、以前このブログでも取り上げたことがある食材です。

その中から発酵に関する内容を抜粋・要約してお届けします。

詳しくは「【Vol.32】麺究者への道/納豆について研究してみる

【Vol.34】麺究者への道/味噌について研究してみる

【Vol.30】麺究者への道/醤油について研究してみる」もご参照いただければと思います。

 

 

納豆は、発酵により風味も栄養価もアップ!

 

独特のにおいや粘りが苦手という方も多いかも知れませんが、健康に良いことづくめの食品です。

 

日本人が納豆を食べるようになった時期ははっきりとは分かりませんが、米や大豆の栽培が普及し、野菜の煮炊きが行われるようになった弥生時代と推測されています。

当時の竪穴式住居の床には、納豆菌の格好の住みかとなる稲わらが敷かれていたそうです。

煮た大豆が稲わらの上に落ちたのか、稲わらでくるんで保存したのかで、納豆菌が大豆に偶然付着したのがきっかけという説をはじめ、時期や地域もさまざまな説があるようです。

 

室町時代には糸引き納豆が広く知られるようになり、日常的に食されるようになりました。

戦国時代においては、栄養価が高く保存性が良い納豆は、重要な兵糧のひとつとして武士のタンパク源やスタミナ源となりました。 

江戸時代には一般庶民にも広く食べられるようになり、京都や江戸では「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩きました。

ざるにわらを敷いて納豆を盛り、天秤棒にぶら下げて、量り売りしていたとのこと。

またこれとは別に、漬物店などの店頭でわらに包んだ納豆も売られていたそうです。

 

その後、包装形態が進化し、また納豆の製造方法などの研究が進み、1960年代以降の冷蔵輸送技術の発展と普及によって全国的に広く流通するようになり、その健康機能性の高さが注目され、人気の食材となっています。

 

納豆の基本的な材料は、大豆と納豆菌のみです。

納豆の発酵はおよそ20~24時間程度と、味噌や醤油と比べて短時間です。

伝統的な製法は、まず大豆を蒸して冷まします。

煮沸消毒した稲わらでつくった「わらづと」に入れ、40℃前後の環境で発酵させると、わらにすみついた天然の納豆菌が繁殖して、20〜24時間ほどで納豆が出来上がります。

 

納豆菌は、「枯草菌(こそうきん)」という細菌の一種で、田んぼや畑、枯れ草など身近なところに存在し、特に稲わらに多く生息しています。

煮大豆に納豆菌を加えると、発酵する過程で大豆のタンパク質を分解して吸収しやすくなり、納豆特有の香りや味、ネバネバが生まれます。

この粘性物質は、旨み成分の一種であるグルタミン酸が結合した「ポリグルタミン酸」というもので、昆布の旨み成分と同じものです。

糸を引けば引くほど、旨み成分が増します。

 

納豆菌は非常に高い繁殖力を持ち、乾燥や熱にとても強いため、取り扱いに注意が必要な場合があります。

酒蔵や味噌・醬油蔵、パン工房などに納豆菌が入り込むと、それぞれの食品の発酵に必要な麹菌や酵母などに良くない影響を与えてしまいます。

また熱湯消毒したり石鹸で洗ったりしても完全に殺菌できないため、納豆菌を持ち込んではいけないとされています。

 

納豆菌は胃酸にも強いため、生きたまま腸内にたどり着いてもともといる善玉菌を活性化させたり、悪玉菌を抑制して腸内環境を改善したりする働きがあります。

 

納豆菌は食物繊維があると腸内での働きが盛んになるため、食物繊維も豊富な納豆を食べることで整腸を促進します。

 

また大豆に納豆菌を加えて発酵させる過程で、タンパク質分解酵素である「ナットウキナーゼ」を生成します。

ナットウキナーゼは、血栓を溶かし、血液をサラサラにする働きが知られています。

納豆を食べるときに25回以上混ぜてより粘りを出すことで、ナットウキナーゼが胃酸で溶けるのを防ぎ、腸で効率良く吸収されやすいという説もあるそうです。

 

さらに納豆菌は、骨の形成促進に深く関わる「ビタミンK2」を多く生み出します。

 

納豆菌の発酵により、増加する成分もあります。

原料の大豆が持つ「大豆イソフラボン」は、増加して腸から吸収しやすい「アグリコン型イソフラボン」の形に変化します。

女性ホルモンと似た働きを持つことから、ホルモンバランスを整え、更年期症を改善することが期待できます。

 

また、アンチエイジング作用が注目される「ポリアミン」は、私たちの体内でもつくられている、細胞の新陳代謝を正常に行うために必要不可欠な成分です。

大豆発酵食品にはポリアミンが多く含まれ、特に納豆は納豆菌による発酵によりとりわけ多く含まれているそうです。

 

 

 

味噌は、発酵・熟成により調和した豊かな味わいに。

 

日本の古来からの発酵調味料である「味噌」。

そのルーツについては、中国もしくは朝鮮半島経由で伝わったという説と、弥生時代から日本独自の塩蔵を経て発展したという説があるそうです。

中でも有力なのが、中国で生まれた、肉や魚を塩で漬けて発酵させた「醤(ひしお)」や、大豆や雑穀と塩を合わせて発酵させた「豉(くき)」が、日本に伝わり独自の発展を遂げたという説です。

 

奈良時代、701年に完成した「大宝律令」に「未醤」という文字が書かれており、「みしょう」 から 「みしょ」 、「みそ」へと変化していったと考えられています。

 

平安時代に初めて「味噌」という文字が文献に現れ、「延喜式(えんぎしき)」という法典では貴族の給与や贈答品として使われていたという記述があります。

当時は貴重な高級食材で、おかずとしての「なめ物」だったようです。

 

鎌倉時代には、中国からの僧の影響ですり鉢が広まり、粒味噌をすりつぶしたものを使った味噌汁が誕生したとされています。

 

室町時代には大豆の生産量が増え、農民が自家製の味噌をつくるようになり、保存食として庶民にも浸透しました。味噌汁以外の料理も、室町時代に生み出されたそうです。

 

戦国時代には武将たちが戦陣食として味噌を用いました。

貴重なタンパク源として、干したり焼いたりして携帯しやすくしていたそうです。

 

江戸時代には味噌汁が庶民の味となり、味噌が生活に根付いていきました。

そして現在に至るまで、容器の変化やだし入り味噌の登場など、社会変化に合わせて進化を続けています。

 

味噌は、大豆や麹、塩などを発酵・熟成させてつくられます。

まずは乾燥大豆を水で戻し、蒸したり煮たりして冷ました後、細かくつぶし、米麹と塩、水を加えて混ぜます。

これを容器に仕込んで発酵させることで、麴菌が持つアミラーゼが米のデンプンを分解してぶどう糖(グルコース)に、プロテアーゼは大豆のタンパク質を分解してペプチドやアミノ酸にします。

また、発酵過程でできたブドウ糖から、酵母によるアルコール発酵や乳酸菌による乳酸発酵により酸味や香り成分がつくられます。

 

こうしてできた味噌の旨味は、大豆タンパクが分解されてできるアミノ酸(主にグルタミン酸)に影響され、熟成の進んだものほど旨味が強くなります。

さらに塩味や酸味、甘味が調和し、良い香りと適度な粘度が加わって形成されるそうです。

また熟成が進むと舌に感じる刺激が和らいで伸びとコクのある味わいになるとのことです。

 

味噌は仕込み初期には塩辛く感じられ、熟成するにつれて、塩分濃度は同じですが塩辛味が減少します。

この現象を「塩なれ」といい、乳酸やペプチド、アミノ酸など、酸味や旨味成分の影響を受けた結果起こるものだそうです。

味噌の甘味は、麹が多いほど強くなります。

これは、米や麦のデンプンが麹のアミラーゼにより糖に分解されるからとのことです。

熟成期間が長くなると、糖分は酵母や乳酸菌により消費されるため減少するそうです。

 

 

 

醤油の色や味わいは発酵・熟成により生まれる。

 

「醬油」は、大豆と小麦、塩を発酵熟成させたものです。

醤油のルーツは、紀元前700年頃の中国の古文書「周礼(しゅうらい)」に記述のある「醤(ひしお)」と言われています。

「醤」とは当時の塩蔵品の総称だったようです。

原料別に「草醤(くさびしお)」「肉醤(ししびしお)」「穀醤(こくびしお)」の3種類に分けられ、「草醤」は漬物、「肉醤」は塩辛類で、「穀醤」が現在の醤油や味噌の原型と考えられています。

 

日本では飛鳥時代のものと思われる木簡に、「醤」の文字が見られます。

大宝律令によると、宮廷の料理を司る「大膳職(だいぜんしき)」に属する「醤院(ひしおつかさ)」で、大豆を原料とする醤がつくられていたとされます。

奈良時代から平安時代頃、醤の形状が固形から液状へと変化したと考えられます。

 

大豆が日本で広く生産されるようになってきた鎌倉時代には、醤の一つである味噌の製造過程において、味噌桶の底に溜まった液体を「溜(たまり)」として利用しており、これが醤油の原型とされています。

 

室町時代の中頃には、現在の醬油に近いものがつくられるようになり、末頃から、関西を中心に醤油の醸造が盛んになりました。

 

江戸時代の中期には、大阪・堺、和歌山・湯浅、兵庫・龍野などの産地で醬油の量産化がすすみ、製法が進化して品質も向上したと言われ、醬油が庶民にも広く普及した時期であったようです。関東でも、今の千葉県の銚子や野田が醤油の一大産地となり、江戸の人々の嗜好に合わせた「濃口醬油」が普及したようです。

江戸時代後期になると、寿司・天ぷら・蕎麦などの日本的な食文化が形成され、醤油は庶民の調味料として定着しました。

 

明治時代中期から大正時代にかけて、醤油製造の機械化や企業設立など近代化が進み、大量生産体制に移行していきました。

 

現在、多くの醤油が自動化された工場でつくられています。

その一方で、消費者の本物志向や自然志向の高まりにより、伝統製法でつくられる「天然醸造(本醸造)醤油」の価値が見直されています。

醤油づくりには微生物の働きが不可欠です。

その代表格が「麹菌」「乳酸菌」「酵母菌」で、この順番で活躍します。

それぞれがどのような働きをするか、整理してみます。

 

<麹菌>

蒸した大豆と炒った小麦に種麹を付け、3日ほどかけて繁殖させます。

これにより生み出された酵素が、大豆のタンパク質をアミノ酸に、小麦のでんぷんをブドウ糖に、それぞれ分解します。

麹は米や麦などの穀物にコウジカビを繁殖させたもので、麹菌を培養するもととなる種菌が、種麹です。

醤油の出来を左右するこの種麹を専門に生産し、醤油の製造業者に卸す「種麹屋」というものがあり、別名「もやし屋」とも呼ばれています。

米に麹菌を生やして熟成させた状態を「よねのもやし」と言う、京都の酒づくりで使われていた言葉が由来だそうです。

メーカーの要望に応じて、数多くある麹菌を単独または何種類か培養し、保存できるように乾燥させて種麹をつくります。

現在、種麹屋は日本に数件しかないとのことです。

 

小豆島にも「もやし屋」さんがあったそうです。

今は「森製菊所(せいぎくしょ)」さんですが、以前は小豆島の醤油蔵に卸す種麹を製造されていたそうです。

 

<乳酸菌>

有機酸をつくりだす微生物で、醤油にさわやかな酸味や味の伸び、深みを与えます。

乳酸発酵が進むほど、諸味が酸性になり、酵母菌が活躍しやすい環境になります。

 

<酵母菌>

アルコール発酵をする微生物。

醤油にはアルコールが数%含まれていて、皿に注いだ時にアルコールが揮発することで香りが立つのだそうです。

醤油づくりでは主に2種類の酵母が働いています。

まず「主発酵酵母」が、ブドウ糖をもとにアルコールを生み出し、乳酸菌がつくった有機酸と化学反応して、複雑な香りを生み出します。

次に「後熟酵母」がゆっくり活動し、味に深みを与えます。

このことから、熟成期間が長いと深い味わいになるのだそうです。

 

※写真はPhotoAC「小豆島 醤の郷」より

 

<参考サイト>

・納豆のまめ知識

https://www.mizkan.co.jp/natto-information/

・納豆の話

https://hakkousyoku.com/natto/

・納豆の豆知識

https://www.takanofoods.co.jp/fun/nattomame/

・Wikipedia 納豆

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%8D%E8%B1%86

・名物・浜納豆

https://ymy.co.jp/hamanatto.php

・納豆菌とは

https://www.hakko-blend.com/study/b_05.html

・「納豆の発酵による機能性」納豆菌

https://natto.or.jp/kenkou/nattokin/nat09.html

・納豆の健康効果 納豆の発酵と健康成分

http://www.natto-science.jp/effect02.html

・ 女性にうれしい成分 女性にうれしい納豆の健康成分と発酵効果

http://www.natto-science.jp/woman03.html

・【医師監修】納豆菌とは?特徴・効果・効能を説明。腸内環境にいい理由や「強い」といわれる理由を解説

https://www.happiness-direct.com/shop/pg/1h-vol294/#:~:text=%E5%85%B7%E4%BD%93%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%A8,%E3%81%AB%E6%AE%BA%E8%8F%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

・みそ・醤油・酒など食品工場で納豆を食べてはいけないのはなぜ?|食品工場で気を付けるべき細菌

https://www.exseal.co.jp/blog/taxonomy-07/8944/

・味噌のきほん

https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/02.html#:~:text=%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%AB%E3%82%82%E3%80%8C%E8%B1%86%E6%9D%BF,%E3%81%9F%E8%AA%BF%E5%91%B3%E6%96%99%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

・マルコメ 味噌のこと

https://www.marukome.co.jp/miso/

・味噌 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター

https://www.umamiinfo.jp/richfood/foodstuff/miso.html

・みそ(味噌)を知る イチビキ

https://www.ichibiki.co.jp/enjoy/knowledge_miso/

・みその豆知識 かねこみそ

https://kanekomiso.co.jp/knowledge/knowledge-of-miso/#section1

・味噌 ひかり味噌

https://www.hikarimiso.co.jp/enjoy-miso/encyclopedia/type.html

・しょうゆの歴史を紐解く

https://www.kikkoman.co.jp/soyworld/subete/history.html

・しょうゆを知る 歴史

https://www.soysauce.or.jp/knowledge/history

・日本食文化の醬油を知る

http://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/mame01-a.html

・醤油づくりの微生物(麹菌・乳酸菌・酵母菌)

https://www.s-shoyu.com/knowledge/0707

・日本酒や醤油、味噌に欠かせない「種麹」を育てる『もやし屋』をご存じですか?

https://cuisine-kingdom.com/hishiroku/

・酵母菌

https://www.s-shoyu.com/knowledge/0711

 

 

 


 

② 身近で意外な豆類(に似た)発酵食品とは?

 

チョコレートやコーヒー、バニラも発酵食品なのをご存じですか?

製造の過程で発酵が欠かせないこれらの食品は、それぞれカカオ豆やコーヒー豆、バニラビーンズが原料だから、豆類の発酵食品と言えると思い、調べてみると、なんと!どれも「豆」ではなく「種子」なんですね(@@;)……。

でも発酵食品には違いなく、せっかく調べたので、よろしければお読みください。

 

【チョコレート、ココア】

原料のカカオ豆は収穫された後、カカオの果実であるカカオパルプとともに、バナナの葉で覆った木箱に入れられます。

木箱やバナナの葉に生息している酵母や乳酸菌、酢酸菌などによりカカオ豆の発酵が進みます。

酵母がカカオ豆に付着した果肉を消化してアルコールをつくる過程で、豊潤な風味を持つカカオ豆となるそうです。

乳酸菌は果肉に含まれる糖質から乳酸などをつくり出し、カカオ豆の酸度を変化させ、その後の化学反応や微生物の働きに影響をもたらします。

酢酸菌は、渋味の強いポリフェノールをマイルドな味わいの茶色い化学物質に分解するよう促すことで、コクと風味が生まれ、チョコレート色に変化するとのことです。

こうして発酵させたカカオ豆を、焙煎(ロースト)してつぶし、油脂を抽出します。

抽出された油脂はカカオバター、搾りかすはカカオマスと呼ばれ、これらに砂糖や粉乳を加えて練り固めるとチョコレートになります。

ココアは、カカオマスをさらに粉砕し砂糖や粉乳を加えたものです。

 

※写真はPhotoAC「カカオ」より

【コーヒー】

コーヒー豆は、コーヒーノキという植物の果実から種を取り出し、焙煎したもの。

熟した果実から種子を取り除き乾燥させるまでの過程を、コーヒーの製法において「精製」と言います。

精製はコーヒーの風味を決める大切な工程で、発酵の力が大きく関わっています。

精製の種類は主に3つに分けられるそうです。

 

「ウォッシュド(水洗処理方式)」

生産国の約7割が採用しており、品質が安定しやすい手法。

機械で外皮と果肉を取り除き、種の周りの粘着質の部分「ミューシレージ」を除去する際に発酵の力が使われます。

発酵槽という大きな水槽に半日漬けることで、果実についていた微生物が発酵してミューシレージが分解されます。

この過程で、豆ごとに個性ある風味が生まれるとも言われます。

発酵が終わると水で十分に洗い、乾燥させます。

 

「ナチュラル(非水洗処理方法)」

ウォッシュドに次いで広く使われている「ナチュラル(非水洗処理方法)」。

果実を天日干しして乾燥させてから脱穀して、果肉とミューシレージを取り除きます。

独特の発酵が起こり、ベリーのようなフルーティな風味が生まれるそうです。

水をあまり必要としないため、ブラジルやエチオピアなどの水源の豊かではない地域でよく使われる手法とのことです。

 

「ハニープロセス」(別名「パルプドナチュラルプロセス」)

皮をむき、ミューシレージはついたまま乾燥させます。

乾燥台の上で糖分の発酵が進み、徐々に黒っぽい色へと変化します。

ウォッシュドよりも甘みが強く、ナチュラルほどではないが果実の香りが感じられるコーヒーとなるそうです。

こちらも水を大量に使用しないため、環境の観点などからも近年注目を集めている手法とのことです。

 

 

【バニラビーンズ】

ラン科バニラ属のつる性植物である「バニラ」の種子鞘を、発酵・乾燥を繰り返すキュアリングという方法でゆっくり発酵・熟成させると、強い甘い香りを放つようになります。

熟成前のバニラに含まれる「グルコバニリン」という成分が酵素の働きにより「バニリン」となり、甘い香りが出現します。

鞘から取り出した種はバニラビーンズシードと呼ばれ、バニラ香料の原料となります。

鞘ごと粉砕しペースト状に加工したものもあります。

 

※写真はPhotoAC「バニラビーンズ」より

<参考サイト>

・チョコレートは発酵食品?その理由を管理栄養士が解説します

https://media.andew.co.jp/2022/03/chocolate_fermentation/

・チョコレートは発酵食品

https://taberutokurasuto.com/shop/ocajapan/blog/entry/2211021731/?srsltid=AfmBOopVChJ69W-PTie6zpP3H5ZnaihEGMEN_rHCwnDLTVB5PhQcHaoi

・チョコレートは発酵食品だった!?

https://weathernews.jp/s/topics/202202/070135/

・コーヒーって発酵食品?手元に届くまでの物語を知って、コーヒーをもっと楽しもう!

https://haccomachi.jp/column/2530/

・コーヒーの知識 Vol.4 – 精製方法によるコーヒーの味の違い

https://lightupcoffee.com/blogs/knowledge/process?srsltid=AfmBOooSHmT0MxVaAZCY-fT38tyk5dKbkjNwleEXoisN0Ixo1XE2e8kK

・コーヒーにも発酵があるの知ってた?コーヒーの精製とは

https://postcoffee.co/magazine/coffee/coffee-processing/?srsltid=AfmBOoqSxNqrmQ3b3Jid_5mRu5tnfW6FsGxZjjSDNHUuIOuIc19hEWaZ

・【発酵文化から学ぶvol.2】こんなにあった!知られざる世界の発酵食

https://www.has710.com/blog/2023/03/24/column_hakko-vol2-world/#co-index-1

・甘い香りを生み出す「バニラ」って、いったいなに?

https://www.glico.com/jp/health/contents/vanilla02/

・#バニラ

https://orderie.jp/component/e/e-vanilla/

 

 

 

 


 

③ 他にもある、日本の豆類発酵食品

 

発酵文化が根付く日本では、各地で独自の豆類発酵食品が発展してきました。いくつか調べてみました。

 

【豆漬け】(北海道、青森県)

北海道の函館や江差、青森県津軽地方の郷土料理で、たくさん穫れた枝豆を美味しく保存するための漬物

茹でた枝豆に水と塩、鷹の爪を加え、2~3日漬ければ浅漬けに。

2週間ほど漬け込むと、乳酸発酵して味わい深くなる。

 

【ごど】(青森県)

十和田地方に伝わる、納豆に麹を混ぜてさらに乳酸発酵させた郷土料理。

納豆と塩麹を足したようなドロッとした見た目で、発酵が浅いうちはご飯にかけたりおかずとして食べたりし、発酵が進んでドロドロに溶けたものは、調味料として使うとのこと。

稲作が難しく豆を主食とし、各家庭で納豆を手作りしていたこの地域で、うまく納豆にならなかったものがルーツと考えられている。

 

※写真はPhotoAC「ごど」より

 

【豆造(とうぞ)】(千葉県)

市原や長生地方特有の保存食で、年末から2月頃の寒い時期につくられる。

味噌をつくる際、大豆を煮た時に出る煮汁に、麹、干しダイコン、煮大豆または納豆などを入れ、1週間ほど置き発酵させる。

味がなじんだら、あたたかいご飯の上にかけて食べる。

 

【塩辛納豆(寺納豆、浜納豆)】(静岡県、京都府)

塩辛納豆は奈良時代に中国から伝わったもので、お寺でつくられることが多く「寺納豆」とも呼ばれる。

精進料理を食する禅寺で、不足しがちなタンパク質を補える食べ物として広まったと考えられる。

京都の大徳寺で保存食として今もつくり続けられている「大徳寺納豆」が有名。

「浜納豆」も同じ種類。

京都のお寺でつくられていた「塩辛納豆」が浜名湖畔などに伝わって名産品になり、足利義勝や今川義元、豊臣秀吉などの武将などにも好まれたとのこと。

特に徳川家康は「浜納豆」がお気に入りで、江戸幕府の歴代将軍に献上されていたとも言われている。

大豆と小麦と麹菌を塩水に漬け込んで熟成させるため、つくるのに数カ月~1年かかる。

出来上がると黒褐色の半分乾燥したものになり、糸引き納豆のようなネバネバはなく、塩辛く、たまり醤油や八丁味噌のような独特の風味がある。

お茶請けなどで少しずつ食べたり、調味料として使ったりする。

 

※写真はPhotoAC「大徳寺納豆 京都府」より

 

【おなめ】(埼玉県)

秩父地域を中心に食される、麦麹と大豆を使用した発酵食品。

水に浸しておいた大麦と炒った大豆を蒸し上げ、麹菌を混ぜ合わせてつくる「おなめこうじ」が材料。

塩と砂糖、水を煮立てて人肌の温度に冷まし、おなめこうじを加え、毎日かき混ぜれば1~2週間で出来上がる。

春先はフキノトウ、夏はミョウガを刻んで入れることも。

 

【しょうゆ豆】(長野県)

「しょうゆの実」とも呼ばれる、北信・中信地域に伝わる郷土料理。

蒸した大豆や黒豆を種麹で1ヵ月以上発酵させてつくる発酵食品で、醤油の旨味がつまった「食べる醤油」のようなもの。

温かいご飯の上にのせて食べたり、豆腐や野菜に付けたり、おひたしや納豆の醤油代わりに使ったりする。

 

 ※写真はPhotoAC「しょうゆ豆」より

 

【しょうゆの実】(山梨県)

芦安地域に古くから伝わる郷土料理で、大豆と麹を発酵させてつくる保存食。

稲作や野菜栽培に向かず、大豆が多く栽培されてきたこの地では、各家庭で醤油をつくり残った豆が「しょうゆの実」として食されてきた。

 

※写真はPhotoAC「しょうゆの実」より

 

【こる豆】(熊本県)

古くから伝わる、納豆を天日干しで乾燥させてつくる保存食。

納豆に塩を振り、小麦粉(または片栗粉、米粉)をかけて混ぜ、広げて2~5日間ほど天日干しする。

そのまま食べたりお茶漬けにしたりする。

 

【豆腐の味噌漬け】(熊本県)

約800年前、平家の落ち武者がつくり伝えたとされる郷土料理。

八代市でつくられる「かずら豆腐」や五木村の「樫の木豆腐」など硬い食感の豆腐が向いている。

豆腐の水気を切り、味噌に半年ほど漬け込むと、チーズのような風味になり、長期保存が可能になる。

 

※写真はPhotoAC「豆腐の味噌漬け」より

 

【豆腐よう】(沖縄県)

沖縄の島豆腐を、泡盛や麹、紅麹などに6カ月ほど漬け込んだ発酵食品。

見た目は鮮やかな赤色をしているものが多い。

琉球王朝時代、貿易相手だった明朝(今の中国)で「腐乳(ふにゅう)」と呼ばれていたものがルーツとされる。

独特の香りがあり、ねっとりとしたチーズに近い食感で、濃厚で繊細な味わいが特徴。

酒のつまみや炒め物のアクセントなどに用いられる。

 

※写真はPhotoAC「豆腐よう 沖縄料理」より

 

<参考サイト>

・知る人ぞ知る漬物!「枝豆の豆漬け」

https://koizumipress.com/archives/19441

・【青森県】十和田のハードコア納豆、ごど-日本各地の手前みそvol.06

https://hakko-department.com/blogs/47japan/nihonnotemaemiso_06#:~:text=%E8%AC%8E%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%85%B5%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%80%8E%E3%81%94,%E3%81%AA%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%83%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%83%86%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%

・ちばのふるさと料理-とうぞ

https://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/recipe/furusato/ryouri16.html

・名物・浜納豆

https://ymy.co.jp/hamanatto.php

・大徳寺納豆とは

https://www.honke-isoda.com/contents/category/about/

・おなめ 埼玉県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_25_saitama.html

・しょうゆ豆/しょうゆの実 長野県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shouyu_mame_nagano.html

・しょうゆの実 山梨県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shouyu_nomi_yama_nashi.html

・こる豆(こるまめ)

https://traditional-foods.maff.go.jp/menu/korumame

・豆腐の味噌漬け 熊本県

https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/toufuno_misozuke_kumamoto.html

・まるでチーズ!沖縄珍味の代表格「豆腐よう」って!?

https://www.orionbeer.co.jp/story/tofuyo/#:~:text=%E3%80%8C%E8%B1%86%E8%85%90%E3%82%88%E3%81%86%E3%80%8D%E3%81%AF%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%81%AE,%E3%81%AE%E5%B0%8F%E3%81%95%E3%81%AA%E8%B1%86%E8%85%90%E6%96%99%E7%90%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E3%81%9D%

 

 

 

 


 

④ 世界の豆類発酵食品

 

世界に目を向けてみると、さらに多様な豆類発酵食品があるようで、食文化の奥深さを改めて感じさせられます。

いくつか調べてみました。

 

【豆板醬(トウバンジャン)】(中国)

そら豆に、塩、赤唐辛子、麹などを加えて発酵させた、中国・四川地方の調味料。

麻婆豆腐やえびチリなどの中華料理に用いられ、辛さや旨み、鮮やかな赤い色合いが特徴。

 

※写真はPhotoAC「豆板醤」より

 

【豆豉(トウチ)】(中国)

黒豆に塩や麹、酵母などを加え発酵させてつくる、日本の塩辛納豆に近いもので、色が黒く塩気の効いた食べ物。

「豉」(シ)は納豆のこと。

料理に深みのあるコクを加える調味料として使われる。

 

※写真はPhotoAC「豆豉」より

 

【豆豉醬(トウチジャン)】(中国)

豆豉をペーストにしたものに、唐辛子やニンニクなどを加えた中華調味料。

味噌のようにそのまま料理に加えて使う。

 

【毛豆腐(マオドーフー)】(中国)

安徽省を中心に広く親しまれている伝統的な珍味。

豆腐を小さく切り、竹の桟の上にすき間を開けて並べ、冷暗所で3~5日間置いてつくる。

発酵の過程でふわふわとした毛のような白カビが生えて表面を覆う。

クリーミーな味わいで、そのまま、または揚げたり炒めたりして食べる。

 

【腐乳】(中国)

干し豆腐に麹を付けて塩水の中で発酵させた伝統的な食べ物で、「中国のチーズ」とも呼ばれる。

おつまみとしてそのまま食べたり、ご飯に乗せたり、炒めものの調味料として使われたりする。

主に「白腐乳」「赤腐乳」「青腐乳」の3種類がある。

「白腐乳」は塩製腐乳で、表面は黄色がかっており中身は白。舌触りが滑らかで、豆でできたチーズのようなコクのある味わい。

「赤腐乳」は、赤麹を用いて発酵させた麹菌型腐乳。表面は真っ赤で中身は白。白酒に長く浸かるのでアルコールの匂いがする。

「青腐乳」は、ケカビを用いて発酵させた細菌型腐乳。上記2つに比べて腐敗臭が強い。

「臭豆腐」とも呼ばれるが、台湾などで食べられている臭豆腐とは別の食品とのこと。

 

【臭豆腐】(台湾)

豆腐を乳酸菌や酵母で発酵させた食品。

発酵過程で、独特の強烈な匂いが生まれる。

味わいは濃厚でコクがありクリーミー。

揚げたり焼いたり、スープに入れて煮込んだりして食べる。

中国南部発祥とされ、台湾に渡ってからさらに発展を遂げ、現在は台湾を代表するグルメとなっている。

 

※写真はPhotoAC「台湾名物 臭豆腐」より

 

【チョングッチャン】(韓国)

茹でた大豆を、納豆菌に似た枯草菌で発酵させ、発酵後に塩と唐辛子粉などを加えて貯蔵性を高めたもの。

日本の納豆のような糸を引く粘り気と独特の香りがあり、チゲをつくるのによく使われるとのこと。

 

※写真はPhotoAC「チョングッチャン」より

 

【テンペ】(インドネシア)

茹でた大豆をバナナの葉で包み、テンペ菌というクモノスカビの一種で発酵させた、ブロック状のもの。

白いカビで覆われており、日本の納豆のような粘り気やにおいはない。

揚げ物や炒め物などに使われることが多く、ヴィーガン食材として世界的にも注目されているとのこと。

 

※写真はPhotoAC「テンペ」より

 

【キネマ】(ネパール)

粘りがあり、糸を引くもので、製法も日本の納豆と似ている。

日本でいう味噌のような調味料として使われるとのこと。

 

【リビイッパ】(ブータン)

「リビ」=大豆、「イッパ」=発酵の意味。茹でた大豆をビニル袋に入れ自然発酵させたり、バナナの葉で包んで発酵させたりする。

丸く平たく成形し、焼いて食べられているとのこと。

 

【バーリュ】(インド)

においも味も日本の糸引き納豆にそっくりとのこと。

 

【ドーサ】(インド)

南インドで食べられている、レンズ豆と米を発酵させてクレープのように薄く焼いた食べ物。

軽い酸味とパリパリ感が特徴の、おやつ感覚の主食。

 

※写真はPhotoAC「ドーサ」より

 

【トゥアナオ】(タイ、ラオス)

「トゥア」=豆、「ナオ」=腐った、の意味。茹でた大豆を枯草菌で発酵させたもの。

粒状やペースト状のもの、さらにそれを薄くせんべい状に広げて乾燥させたもの、があるとのこと。

もち米と一緒に食べたり、炒め物などに使われたりする。

 

【ペーポー】(ミャンマー)

直訳すると臭い豆という意味。

糸を引かない納豆をつぶしたものを薄いせんべい状にしたり、調味料として使ったりする。

 

【ダワダワ】(ナイジェリア)

大豆ではなく「パルキア」という豆が原料で、炒ってから煮てひきわりにし、ヒョウタンに入れて発酵させる。

スープの調味料として使われるとのこと。

 

【ネテトウ】(セネガル)

こちらも「パルキア」からつくられる。

豆の形を残した塩からい半生のものや、乾燥させたもの、スモークしたもの、粉末にしたもの、がある。

スープなとの調味料に使われる。

 

【スンバラ】(ブルキナファソ)

「ネレ」などのマメ科の植物を原料としてつくられる。

豆の形を残して球状にして保存され、調味料として使われるとのこと。

 

【アカラジェ】(ブラジル)

大航海時代にアフリカから伝わった、北東部のバイーアの食べ物。

小豆に似た風味を持つ黒目豆と、刻んだタマネギを混ぜた生地を発酵させて揚げる。

屋台のB級グルメとしても人気。

 

 

 

<参考サイト>

・豆板醤ってどんな調味料?

https://www.orangepage.net/ymsr/kihon/hatena/posts/2751

・腐乳(発酵豆腐)

https://mygooddishes.com/furu

・中国・台湾の珍味「臭豆腐」とは?匂いや味についても解説します!

https://delishkitchen.tv/articles/2503

・納豆まめ知識

https://www.mizkan.co.jp/natto-information/mame/

・海外にも納豆はありますか?

https://www.natto.or.jp/hyakka/ped_natto02.html

・納豆の健康秘密と世界の発酵大豆食品をご紹介:知っておきたい6つの効能!

https://kikuya0029.com/blog/2394/

・ミャンマーの発酵食品

https://shinowazuri.com/tea-guide-article/myanmar/myanmar-scenery/%E3%83%9F%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%85%B5%E9%A3%9

・中国の珍味「毛豆腐」とは?特徴や味わいを詳しく解説します!

https://delishkitchen.tv/articles/2622

・第9回 ドーサ(dosa)

https://mmp-lab.blogspot.com/2021/04/blog-post_8.html

・第10回 アカラジェ(acarajé、アカラ、acara)

https://mmp-lab.blogspot.com/2021/04/blog-post_12.html

・ブラジルのストリートフード、アカラジェ

https://koizumipress.com/archives/14795

 

 

 

 


 

⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》京都・北尾商事様「黒豆そうめん」 編

 

今回は、豆繋がりということで、黒豆を使った京都のお会社様が販売する素麺をご紹介させていただきます。

 

皆さんは、黒豆を素麺に練り込んだ「黒豆そうめん」をご存じですか?

京都の北尾商事様が販売されているのが「黒豆そうめん」です。

北尾商事さんは、文久2年から京都丹波産の黒豆や小豆を取り扱ってこられたとのことで、京都でも老舗のお会社様です。

昔から京料理や京菓子など京都の食文化を支えておられ、現在では、黒豆や小豆商品を多数販売されています。

 

「黒豆そうめん」には、京都丹波産の黒豆「新丹波黒」を使用しているとのことで、芳醇な黒豆きな粉の風味が素晴らしいお素麺です。

ぜひ一度お試しください。

  

※写真はPhotoAC「黒豆 イメージ」より

 

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/

 

《京都・北尾商事様公式ネットショップ》 http://www.kitaoshoji.co.jp/

《京都・北尾商事様「黒豆そうめん」》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481

 

 

 

『お!いしい けんぶんろく』について

本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。

色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。