お!いしい けんぶんろくブログ
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.55
麺究者への道/焼酎と泡盛について研究してみる
石井製麺所通信第15号でご紹介をさせていただきました、弊社のテーマソング『便り届くよ』。
瀬戸内のおだやかな海にかこまれて、振り返れば寒霞渓(かんかけい)と青空のコントラスト、初夏に花が咲き秋には豊かに実るオリーブ。
歌詞に小豆島の豊かな自然が編み込まれた一曲は、島で育った三代目にとって、新しい小豆島の歌になりました。
(小学生の頃、『二十四の瞳』や『オリーブの歌』をよく歌いました。小豆島ゆかりの歌は、島っ子はいつのまにか歌えるようになりますね。小豆島と高松を結ぶフェリーで流れていた頃が懐かしくもあります。)
写真は、そんな『便り届くよ』を演奏してくださるリトルドリーミングの皆さまとの一枚です。
先日、高松の下笠居コミュニティセンターでコンサートがありまして、『便り届くよ』を一緒に歌おうとお誘いをいただきました。
リトルドリーミングの音楽は、まずは“詞”から始まります。
詞があって、曲をつける。
リーダーの方のお話では、詞に出会って、自然と曲が浮かんでくることもあるそうです。
やさしいメロディーと歌声、そして手話コーラスにのせて、詞を書いた人の想いが届けられます。
『便り届くよ』の詞を書いてくださったのが、弊社を長年ご愛顧いただいているお客様で、手話コーラスをされていらっしゃいます。
手だけでなく全身を使って表現される手話は、私にはまるで舞踏のように見えます。
手話のひとつひとつの意味が分からなくても、詞に込められた想いは観る人に伝わるのですね。
そして急遽、私も手話コーラスに参加しました。
前日のリハーサル中に手話を教えていただき、本番では観客の方々と一緒に手話コーラスにチャレンジ!
手話の先生の動きをお手本に、曲に合わせて会場のみんなで手話をする。
身振り、手振りのひとつひとつに気持ちを込めて…心の声で歌うって、こういうことでしょうか。
コンサートのステージに立つこと、歌うこと、みんなで演奏する楽しさと、そして今回の手話コーラスも、私にとっては初めての体験ばかり。
三代目になって、こんなチャレンジができるなんて想像していませんでした。
リトルドリーミングの皆さまに、心からの感謝を申し上げます。
今度は詞を書くことにチャレンジです!
さて、今回のブログですが、今回も手延べ素麺からは大きく離れたテーマですが、発酵熟成について知識を得られる大切なテーマです。
ブログの最後には、「泡盛」を活用した手延べ素麺の商品もご紹介しておりますのであわせてご覧ください。
ぜひご一緒に、焼酎・泡盛の世界に浸っていただけましたら。

【目次】
① 日本を代表する蒸留酒「焼酎」
② 「焼酎」と「泡盛」の違いとは
③ 焼酎と泡盛の歴史と産地、主原料の多様化について
④ 焼酎と泡盛の製法について
⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》泡盛酒かすそうめん
① 日本を代表する蒸留酒「焼酎」
お酒は、その製造方法により「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つに分類されます。
この中で最も製造方法がシンプルで長い歴史を持つ「醸造酒」は、原料に酵母を加え、アルコール発酵させたもので、日本酒やビール、ワインなどです。
「蒸留酒」は原料を発酵させた液体を蒸留してつくるもので、穀物などの発酵液を蒸留した焼酎、麦芽などの発酵液を蒸留したウイスキー、果実酒を蒸留したブランデーなどがあります。
「混成酒」は、醸造酒や蒸留酒に甘味料や香料を加えてつくるお酒です。
「蒸留」とは、液体を加熱し気体にして、それを冷やして液体に戻すことです。
蒸留酒は、アルコール分を気体にし、それを液体にしてつくるため、醸造酒に比べてアルコール度数が高い傾向にあるそうです。
度数が高いため保存しやすく、また水割りや炭酸割りなど、多様な飲み方が楽しめるのも特徴です。
「焼酎」は、酒税法により、アルコール度数が45度以下の「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」と、36度未満の「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」の2種類に分けられます。
「単式蒸留焼酎」は、基本的に一回のみの蒸留でつくられ、原料の風味をダイレクトに感じられます。
原料には、米、麦、サツマイモ、蕎麦、黒糖などが使われます。
「連続式蒸留焼酎」は、蒸留を何度も繰り返してつくられるのでアルコールの純度が高まり、クセのないすっきりした味わいになります。
酎ハイやサワーなどのベースとして使われることが多いそうです。
これら2種類を混ぜたものを「混和焼酎」と呼びます。
九州は、ほぼ全県が焼酎の消費量・製造量ともに全国上位に入るほど、焼酎が根付いている地域です。
焼酎の蔵元の数は全国の3分の1以上を九州が占めており、中でも鹿児島県には100以上の蔵元があり、銘柄数は2000以上とも言われているとのことです。
鹿児島県内で2番目に蔵元が多いいちき串木野市では、2013年、全国で初めて「本格焼酎による乾杯を推進する条例」が制定されたそうです。
九州で焼酎文化が発展した背景としては、そのルーツとなる蒸留酒が琉球(現在の沖縄県)から九州に伝わり広まったことや、原料となるイモや米、麦などの栽培が盛んだったことに加え、料理との親和性も着目されています。
海外では蒸留酒を食中に飲む習慣はないそうですが、焼酎は料理と一緒に楽しむ食中酒として親しまれています。
蒸留酒としてはアルコール度数が高くなく、ストレートやロック、お湯割りや水割り、ソーダ割りなど、多種多様な飲み方ができるので、銘柄に合わせて、また料理に合わせて楽しめるのも魅力です。
原料も多彩なので、例えば、個性の強い味わいの芋焼酎には、それに負けない味付けの濃い豚の角煮や、宮崎地鶏の炭火焼き、甘みのあるさつま揚げを。
香ばしさの感じられる麦焼酎には、燻製料理や焼き牡蠣、麦味噌のちゃんこ鍋を。
米焼酎には、九州の甘口醤油でいただく馬刺しや新鮮なイカの活きづくりを、など、各地の料理と引き立て合うペアリングを試してみるのも良さそうですね。
※写真はPhotoAC「真上から見た酒瓶とグラス」より
<参考サイト>
・蒸留酒とはどんなお酒?製造方法や種類による特徴、味わいの違いも
https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/000913.html
・蒸留酒とはどんなお酒? 製造方法やカロリー、種類について解説!【蒸留酒の基礎知識】
https://www.ienomistyle.com/sakeguide/20211217-5459
・焼酎の蔵元が集中する焼酎王国、九州。そのワケと代表的蔵元は?
https://tanoshiiosake.jp/6930
・【保存版】焼酎銘醸地「九州」を徹底解説!各県の特色や定番銘柄、郷土料理ペアリングもご紹介!
https://www.nishinippon.co.jp/yakusake/2022/11/14/shochu-kyushu/
・STORY 3 – 食中酒として愉しめる唯一の蒸留酒
https://kagoshimahonkakushochu.com/pages/story3
・串木野の乾杯推進条例!
https://www.hamadasyuzou.co.jp/denbee/column/post_17.html
・○いちき串木野市本格焼酎による乾杯を推進する条例
https://www.city.ichikikushikino.lg.jp/reiki/H425901010027/H425901010027.html
・ニッポン伝統の「食中酒」。本格焼酎と料理のペアリングはこう楽しむ
https://www.syokuraku-web.com/column/100617/#goog_rewarded
・「美味しい焼酎」が飲みたい人必見!焼酎の基礎や外さない選び方、種類別ペアリングを徹底解説!
https://www.nishinippon.co.jp/yakusake/2022/10/16/oisii-shochu/#index_id41
② 「焼酎」と「泡盛」の違いとは
沖縄県の伝統的な蒸留酒「泡盛」は、酒税法では「焼酎」に分類されるそうで、詳しく言うと「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」に分類されます。
焼酎と大きく異なるのは、主原料である米と麹の種類です。
ほとんどの泡盛は、ジャポニカ米ではなくタイ米を使っています。
泡盛発祥の地である沖縄において、明治時代にはすでに外国産の米が使われており、その中でも主に輸入されていた中国・韓国の米の値段高騰によってアジア各国の米も輸入されるようになり、タイ米が主に使われるようになったという説が有力だそうです。
タイ米は硬質なので麹をつくる作業に適していた、アルコール発酵の際の温度管理がしやすい、蒸留した際のアルコール収量が多い、などのメリットもあるとのことです。
麹については、焼酎では主に白麹が用いられるのに対し、泡盛では黒麹が用いられます。
製造工程において、もろみの温度が高すぎると雑菌が繁殖してもろみが腐ってしまいます。
黒麹菌は雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を多くつくるので、もろみの酸度を上げる特性を活かして泡盛の製造に使われているそうです。
黒麹は東南アジア諸国で伝統的にお酒づくりに用いられてきたものが、沖縄から九州に伝わったとされています。
また、白麹菌は沖縄の泡盛黒麹菌から突然変異で生まれたもののため、焼酎のルーツは泡盛とも言われています。
また、焼酎と泡盛では仕上げの工程が異なります。
泡盛は、原料の米を米麹にし、水と酵母を加えて発酵させたもろみを蒸留してつくる「全麹仕込み」という製法でつくられます。
焼酎は、つくったもろみにさらに原料を仕込んで発酵させる「二次仕込み」を行い、それによりできた二次もろみを蒸留してつくられます。
焼酎は数週間貯蔵された後、瓶詰めされて出荷されます。
泡盛は、数週間で出荷するものもあれば、長期にわたり熟成させるものもあります。
泡盛を3年以上貯蔵したものは「古酒(クース)」と呼ばれます。
独特の香りやまろやかさを持ち、アルコール度数が40度前後と高いのが特徴です。
※写真はPhotoAC「酒飲みシーサー」より
<参考サイト>
・焼酎と泡盛の違いとは?初心者向けに種類や特徴をポイントで徹底解説
https://www.designlearn.co.jp/shochu/shochu-article12/#d0e9d87eb78fa54e47cd213ca7606442
・焼酎と泡盛の違いを4つのポイントから説明します。
https://www.akugare.jp/shochu-awamori
・焼酎と泡盛の違いについて
https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%81%A8%E6%B3%A1%E7%9B%9B%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
③ 焼酎と泡盛の歴史と産地、主原料の多様化について
蒸留酒をつくるのに欠かせない技術である蒸留は、紀元前4~3世紀頃のメソポタミア文明で開発され、香水を生成するために用いられていました。
アルコール生産に蒸留技術を使用した最古の記録は、紀元前800~750年のインドとエチオピアに残っているとのことです。
日本には15世紀、室町時代中期に蒸留技術が伝わったとされています。
焼酎は、13~14世紀頃にはすでに中国大陸や南海諸国で製造されていたと考えられています。
日本への焼酎の伝来については諸説ありますが、有力とされているのが、琉球(沖縄)・薩摩(鹿児島)を経由して全国へ伝わったという説です。
15世紀には泡盛の原型に近い蒸留酒がつくられていて、15世紀後半になるとシャム(現在のタイ)との交易が減ったことから、琉球独自の焼酎である泡盛がつくられるようになったと考えられます。
1534年の書物「陳侃使琉球録(ちんかんしりゅうきゅうろく)」に、シャムから渡来した南蛮酒という酒について記されています。
糖蜜ともち米を原料とした「ラオロン」と呼ばれる蒸留酒が輸入されていたそうです。
1546年、ポルトガルの商人が、現在の鹿児島県指宿市で「米からつくられたオラクア(焼酎)を飲んでいた」と記しています。
現在の鹿児島県伊佐市にある郡山八幡神社で「座主がケチで焼酎を飲ませてくれない」という1559年の大工の落書きが見つかっているそうです。
江戸時代、焼酎は薩摩を通じて琉球王朝から徳川幕府に献上され薬用酒として飲まれるなど、貴重なものとなっていました。
やがて沖縄や南九州地域だけでは需要の高まりに対応できなくなると、大名らが各地域の酒造に焼酎をつくるよう命じるようになりました。
これらの地元産焼酎と、貴重な沖縄の焼酎を区別するために、1671年頃から公式文書に「泡盛」の名前が登場するようになりました。
焼酎の製法が広まるとともに、各地で入手可能な材料に応じて主原料が多様化していきました。
鹿児島では、16世紀には米焼酎が主流でした。
しかし、米づくりに適さない土壌であり、1705年に持ち込まれたサツマイモの栽培に向いていたことから、サツマイモを原料として芋焼酎がつくられるようになりました。
19世紀には家庭内での芋焼酎製造が禁止され、薩摩藩主の島津斉彬が芋焼酎製造を推奨したことから薩摩藩内の都城市などに広がったそうです。
宮崎県や熊本県では17世紀の中頃までに焼酎がつくられるようになりました。
この当時、南九州では米が貴重だったこともあり、アワ・ヒエ・キビなどの雑穀からつくられていたと考えられます。
福岡県ではもともと清酒を多くつくっており、清酒の搾りかすである酒粕を蒸留する「粕取り焼酎」が生まれました。
長崎県の壱岐島では、米の多くが年貢に取られるものの、麦は年貢の対象ではなかったため、17世紀から農家が麦焼酎をつくるようになったそうです。
鹿児島県奄美大島では、明治から大正にかけて、黒糖を使った焼酎造りが始まりました。
大分県では、1951年に麦の統制撤廃により、麦麹を使った焼酎の開発が始まり、1973年に麦100%の「大分麦焼酎」が誕生してブームとなりました。
一方、泡盛は、17世紀には庶民の間にも広がっていきました。
その後、第二次世界大戦により、醸造所が多数あった首里城周辺も壊滅的な被害を受け、泡盛製造に欠かせない黒麹菌が失われてしまったそうですが、麹を作成していたゴザが発見され、蒸米を広げると、黒麹菌を繁殖させることができ、泡盛が復活したとのことです。
地域の⾵⼟と結びついた特産品を保護する国の制度「地理的表示(GI)」に、現在5つの焼酎が承認されています。
【壱岐焼酎(いきしょうちゅう)】(長崎県)
大麦と米麹、壱岐市内で採取した水を原料に造られる本格麦焼酎。
麦と米麹を2:1の割合で配合し、仕込みから瓶詰めまでの工程を壱岐市内で行ったもの。
麦のやさしい香りと米麹由来の甘みが特徴。
※写真はPhotoAC「壱岐 郷ノ浦港」より
【球磨焼酎(くましょうちゅう)】(熊本県)
熊本県内有数の米処である人吉球磨地方で古くから飲まれてきた本格米焼酎。
国内産の米と国内産米からつくった米麹、人吉市または球磨郡で採取した水のみを使用し、仕込みや蒸留、貯蔵、瓶詰めまでの工程を人吉球磨地方で行ったもの。
米由来のさわやかな香味とまろやかな甘みが特徴。
※写真はPhotoAC「球磨川第3橋梁」より
【薩摩焼酎(さつましょうちゅう)】(鹿児島県)
鹿児島県産のさつまいもと鹿児島県内で採水した水を原料に、鹿児島県内で製造・瓶詰めされた本格芋焼酎。
良質で新鮮なさつまいもと長年磨き上げられた技術で醸され、華やかで芳醇な香りと甘く濃厚な味わいを持つ。
※写真はPhotoAC「鹿児島の桜島」より
【琉球泡盛(りゅうきゅうあわもり)】(沖縄県)
500年以上前に琉球地方に伝来したといわれる沖縄の特産品。
沖縄県の水を使用し、発酵から蒸留、貯蔵、瓶詰めまでの全行程を県内で行ったもの。
多くはタイ米が使われ、黒麹菌を用いて原料の米をすべて米麹にしてから、一度きりの仕込みで発酵させる「全麹仕込み」が特徴。濃厚な香りと芳醇な味わいを持つ。
※写真はPhotoAC「黒麹」より
【東京島酒(とうきょうしまざけ)】(東京都)
2024年3月に指定された、伊豆諸島で製造される焼酎。
麦麹を使用しているのが特徴で、芋焼酎・麦焼酎・芋と麦のブレンド焼酎の3タイプがある。
麦の香ばしさや草木のような清涼感のある香りがあり、やわらかで軽快な後口の中にコクと旨みを感じられるのが特徴。
※写真はPhotoAC「八丈島 登龍峠展望」より
<参考サイト>
・焼酎の歴史をわかりやすく解説|焼酎の発祥から現在までを説明
https://www.sakesen.com/blog/history-of-shochu/
・本格焼酎と泡盛
https://www.japansake.or.jp/honkaku/about/all/history.html
・焼酎・泡盛の歴史
https://www.honkakushochu-awamori.jp/about-shochu-and-awamori/history-of-shochu/
・「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/about_shochu_220121
・焼酎の「産地呼称(地理的表示・GI)」って? 個性の異なる4カ所の生産地域を知ろう
https://tanoshiiosake.jp/9587
・東京島酒が地理的表示(GI)に指定されました!「GI東京島酒」
https://www.sakagura-press.com/sake/gi_tokyoshimazake202405/
④ 焼酎と泡盛の製法について
「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」の中でも酒税法が定める条件を満たしたものは「本格焼酎」と呼ばれています。
短期間で大量生産が可能な「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」に比べて時間がかかるものの、原料本来の風味や香りを生かした個性豊かな焼酎に仕上げることができます。
その製造工程について、調べてみました。
【原料の処理】
主原料となる芋や米などをきれいに洗浄し、必要に応じて浸漬、水切り、蒸し、皮むき、冷却などの処理を行う。
【製麹(せいきく)】
米麹をつくる場合、まずは米を洗って水に浸け水分を吸収させる。
米を蒸して、広げて35℃くらいまで冷まし、白麹菌や黒麹菌、黄麹菌などの麹菌を振りかけて混ぜる。
高温多湿な「麹室(こうじむろ)」で麹菌を繁殖させて米麹をつくる。
【発酵】
麹に水と焼酎酵母を加えて混ぜ、約7日間かけて酵母を繁殖させ「一次もろみ(酒母)」をつくる(一次仕込み)。
純度が高く強い酵母と、発酵に不可欠な酵素・クエン酸をつくり出すことが目的。
この一次もろみに、米や芋などの原料と水を加えて混ぜ、約2週間かけて発酵させ「二次もろみ」をつくる(二次仕込み)。
原材料の旨みや甘みが引き出され、アルコール発酵が促進されてアルコール度数14~15%になる。
泡盛の場合は一次仕込みと二次仕込みに分けず、原料の米と麹菌、酵母、水を一度に仕込む「全麹仕込み」で発酵を進める。
【蒸留】
発酵を終えた「もろみ(発酵液)」を、単式蒸留器を用いて蒸留すると、焼酎の原酒ができる。
単式蒸留焼酎(乙類焼酎)の蒸留方法には、通常の気圧下で行う「常圧蒸留」と、蒸留機内の気圧を下げて行う「減圧蒸留」の2種類がある。
常圧蒸留は昔から使われている方法で、雑味などの成分が残りやすいが、原料由来の風味や香りが活きた個性豊かな酒質に仕上がる傾向があり、濃厚で長期熟成酒をつくるのに適している。
減圧蒸留は1970年代から始まった方法で、揮発成分が少ないため酒質が軽く、クセのないすっきりとした味わいになる。
【熟成(貯蔵・熟成)】
原酒はタンクなどの貯蔵容器に移され、少なくとも1〜3カ月は寝かされる。
熟成させることでガス成分が揮散して粗さがとれ、水がアルコール成分を包み込んで酒質が安定し、原酒にまろやかさが加わる。
熟成された後、質を一定にするため貯蔵容器ごとの原酒を混ぜ合わせ、水を加えてアルコール度数を調整し、瓶詰めして完成。
※写真はPhotoAC「瓶貯蔵して泡盛の古酒を製造している沖縄の蔵」より
<参考サイト>
・焼酎の造り方を知っていますか? 焼酎の種類や原料によって製造方法が違います
https://tanoshiiosake.jp/9400
・焼酎の作り方をわかりやすく解説|製造工程を詳しく説明
https://www.sakesen.com/blog/how-to-make-shochu/
・焼酎の製法と作り方について
https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%81%AE%E8%A3%BD%E6%B3%95%E3%81%A8%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》泡盛酒かすそうめん
今回、ご紹介させていただきたいのは沖縄県那覇市で立ち飲み処を営む「酔処 玉川(「よいしょたまりば)」様が商品開発された「泡盛酒かすそうめん」です。
琉球泡盛の酒かすを手延べ素麺に練り込みお店でメニューとしてご提供されるだけでなく、乾麺としても販売されているそうです。
泡盛は、恐らく記憶の限りでは飲んだことがないので、泡盛の酒かすを練り込んだ手延べ素麺がどんな風味なのかとても気になります。
「酔処 玉川」のご主人、松本様が「泡盛の酒かすが捨てられているという記事を見て、活用法のひとつとして商品開発に取り組んだ」そうです。
地域の特産品やフードロスなどの観点から新しい特産品が生まれるのは、原料、製造、販売、そして購入者の方にとってもメリットの大きいことですから「三方よし」どころか、四方も、五方もよし…といったところでしょうか。
石井製麺所でも、小豆島の特産品、香川県の特産品、そして地域を代表するような食材、日本を代表するような原料を活用した新麺開発に日々取り組んでおります。
写真は、これまた沖縄で注目される「月桃」を練り込んだ素麺とのセット商品です。
沖縄に行かなくても食べられるのは、いいですね。
機会がございましたらぜひ皆さんも召し上がってみられてはいかがでしょうか。
※写真は、酔処玉川様公式ネットショップより引用させていただいています。
《~畑が作る自然食~ 丸玄様公式ネットショップ》 https://tamariba.raku-uru.jp/
《自然栽培小麦100%使用手延べ素麺【夏季限定】》 https://tamariba.raku-uru.jp/item-detail/1652726
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
お!いしい けんぶんろくブログ
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.54
麺究者への道/国産小麦について研究してみる
さて、今回のブログのテーマは急遽、「国産小麦(粉)」についてです。
2023年8月4日に伺った「国際和食産業展・和麺産業展」にて、ある国産小麦粉メーカーさんとご縁があったのですが、その後、わざわざ小豆島の石井製麺所を訪れてくださいました。
先日も弊社をご訪問いただき、通算三度目のご訪問でした。
国産小麦を栽培する農家さんの視点に立ち、真剣に国産小麦粉の消費、商品化を考えておられて、石井製麺所にもご相談に来られました。
まだ、色々と課題はあるのですが、今後も協力できる所は協力させていただくことになりました。
今からとても楽しみです。
いつか、小麦がたくさん実る畑、産地を訪問してみたいと思っています。
今回のブログは、知ってるようで実はよく分かっていないなと気がついたので、ちょっと国産小麦(粉)にスポットを当てて調べてみました。
以前にも小麦についてはブログでも書いていますが、今回は国産にこだわった内容としてまとめています。
なんとなく、米は日本産、小麦は外国産のイメージがあったのですが、はるか昔から日本でも栽培されて、小麦の料理(食べ物)があったんですよね。
今回は製麺所にとっても大切な小麦粉のお話ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
【目次】
① 小麦と小麦粉の歴史
② 「国産小麦」の定義と、輸入小麦との違いについて
③ 国産小麦の代表的な産地や品種について
④ 春蒔き、秋蒔き、初冬蒔きとは?
⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》自然栽培小麦100%使用手延べ素麺
① 小麦と小麦粉の歴史
野生の麦は、今から1万年ほど前の西アジアやイラクあたりの山岳地帯の草原で生えていたことが分かっています。
1万年〜8500年前頃には、野生の麦に加え栽培した麦も食べていたようです。
小麦と大麦はまだ区別されず、石と石の間に挟んで粗く砕き、焼いて食べていたとのこと。
小麦と大麦は、どちらもイネ科に属する穀物ですが、小麦は弾力のもととなるタンパク質の一種「グルテン」を多く含み、大麦は水分を吸収しやすい、という性質の違いがあります。
紀元前6500年頃、小麦よりも大麦の方が栽培や収穫が容易であったことから、多く栽培されるようになりました。
大麦は、臼で粗挽きして土器で煮たお粥のような形状で食べられていたそうです。
小麦は、山岳地帯からメソポタミア平原や地中海沿岸、エジプトにまで広がりました。
紀元前3000年頃の古代エジプトで、「サドルカーン」と呼ばれる粉挽き専用の平らで大きな石がつくられ、小麦の外皮を取り除いた粉ができるようになりました。
この小麦の粉に水を加えてこねると弾力と粘りのあるかたまりができます。
これをオーブンで焼くと、比較的やわらかくおいしいパンができたそうです。
その後、手で回転させながら粉を挽く石臼が発明されました。
大麦の粉よりも小麦の粉の方が美味しいパンをつくれるため、大麦ではなく小麦が主に食べられるようになったとのこと。
紀元前400年頃にはギリシアで、その100年後にはローマで「水車」を使った製粉工場がつくられました。
600年頃には、オランダやイギリスの東海岸で「風車」を使った製粉工場が広がりました。
※写真はPhotoAC「オランダのキンデルダイクの風車」より
日本では、弥生時代の中末期(1~3世紀ごろ)には小麦や大麦が栽培されていたことから、麦を何らかの形で食べていたと考えられます。
4世紀には米とともに麦、粟、稗なども主食とされ、8世紀には朝廷が小麦や大麦の畑作を奨励したそうです。
「麦」は万葉集にも登場しています。
世界の製粉の発展に話を戻すと、動力が水車や風車になっても、17世紀頃までは小麦を一回挽いて粉と外皮を分けるだけのものでした。
17世紀のフランスで、石臼で挽いた小麦をふるいで分けることを繰り返す、今日の製粉技術と同じ考え方の段階式製粉方法が始まりました。
1833年に、回転する二本のロールの間を通して小麦を潰す「ロール式製粉機」がスイスで初めて実用化。
品質の良い小麦粉が大量に生産できるようになりました。
日本では1872年(明治5年)に政府が石臼式製粉機をフランスから購入し、東京の浅草蔵前に、水車を動力とした官営の機械製粉工場が建設されました。
明治20年代以降、現在に続く大手製粉会社の前身となる会社が相次いで創立され、機械製粉が本格化していきました。
1944年、小麦の品種「農林61号」が、佐賀県農業試験場で育成されました。
北関東から九州までの広域に普及し、一時は北海道でも栽培され、1959年~1978年までは全国作付面積のトップを占めました。
褐色で香りが強く、深みのある味わいが特徴で、評価が高い品種です。
栽培しやすく病気にも強い新品種の登場により収穫量が激減した現在でも、麺用として根強い人気を誇るそうです。
小麦の国内生産量を見てみると、1961年度の178万1000トンをピークに減少傾向となっています。
しかし、オイルショックを機に世界的な食糧危機が叫ばれ、日本の食糧自給率の低さが問題視されるようになると、輸入に依存していた小麦についても、国・県・農業団体等が麦作振興の各種施策や推進運動を展開するようになったそうです。
これにより麦作の収益性が向上し、小麦の作付け面積も回復していったとのこと。
2000年以降、地産地消や食物自給率の向上を目指し、高タンパク質でミネラル分が豊富な国産小麦の生産が、北海道をはじめ全国各地の生産者や食品会社の努力により着々と進められています。
2020年3月農林水産省の「麦の需要に関する見通し」によると、食糧用小麦の総需要量580万トンのうち、外国産輸入量は486万トン、国内産小麦の流通量は91万トンとなっています。
※写真はPhotoAC「麦畑4」より
<参考サイト>
・大麦と小麦の違い、アレルギーについて
https://mugi-lab.jp/contents/index17.php#:~:text=%E5%B0%8F%E9%BA%A6%E3%81%AB%E6%AF%94%E3%81%B9%E3%81%A6%E5%A4%A7%E9%BA%A6,%E3%81%A8%E4%BD%BF%E3%81%84%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%80%82
・小麦・小麦粉の歴史
https://www.seifun.or.jp/pages/92/
・小麦粉の歴史・文化
https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_03.html
・進化する国産小麦
https://www.benbu.jp/?mode=grp&gid=2555817
・コムギの大横綱「農林61号」を育成~ 小松一太郎の観察眼 ~
https://www.jataff.or.jp/senjin2/15.html
・戦中に開発の「農林61号」、うどん・パンに根強い人気…「鼻に抜ける独特の風味」
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220621-OYT1T50064/
② 「国産小麦」の定義と、輸入小麦との違いについて
小麦は、「胚乳」「表皮」「胚芽」で構成されています。
そのうち小麦粉になるのは、約83%を占める「胚乳」で、主な成分は糖質(デンプン)とタンパク質です。
「表皮」は約15%で主に飼料やペットフードなどに使われます。
「胚芽」は約2%で、糖質やタンパク質、各種ミネラルやビタミンを豊富に含み、分離精製して栄養補助食品などに使われます。
小麦は粒の硬さにより4つに分類されます。
小麦の硬さは含まれるタンパク質の質と量に大まかに比例します。
【硬質小麦】
主にアメリカ、カナダ産。
タンパク質が多く、粘り・弾力性に富み、パンや中華麺に向いている。
※写真はPhotoAC「パン」より
【中間質小麦】
主にオーストラリア、日本産。
タンパク質の含有量は中程度で、うどんなどに向いている。
※写真はPhotoAC「釜揚げうどん ゆでたて」より
【軟質小麦】
主にアメリカ産。
タンパク質が少なく適度にやわらかい。
ケーキ、お菓子、天ぷらなどに向いている。
※写真はPhotoAC「買ってきたケーキ」より
【デュラム小麦】
主にカナダ産。
柔軟で弾力性の強いグルテンを豊富に含み、スパゲティやマカロニなどコシの強いパスタに加工される。
※写真はPhotoAC「スパゲッティ(アップ)」より
日本で消費されている小麦の約9割は外国産で、残りが国産です。
麺類やパンなど、小麦粉を使った加工食品のパッケージに、「小麦粉(国内製造)」や「国産小麦」などの記載を見かけることがあります。
これらの意味を正しくご存知でしょうか?
「小麦粉(国内製造)」は、原材料表示欄に記載されています。
国内で製粉された小麦粉という意味であり、原材料の小麦の産地は明記されていません。
2017年に始まった加工食品の原産地表示制度により、主原料の産地表示が義務付けられました。
しかし小麦粉は原料である小麦の大半が輸入であり、製粉会社が複数の種類をブレンドして加工するため、原産地の明記が難しく、最終製造地を表す「国内製造」の表示が認められています。
「国産小麦」は、国産の小麦を製粉した小麦粉を使用していることを意味します。
この記載は義務ではなく、商品特長の訴求として任意で表示するものです。
100%使用の場合は100%と表示するか、割合を表示しなくてもよいことになっています。
100%に満たない場合は、その割合を併せて表示するよう法律で定められています。
国産小麦と輸入小麦の最大の違いは、グルテンの量だと言われています。
小麦粉は、大まかに、70%程度の炭水化物(デンプン)と6~15%程度のタンパク質で構成されています。
タンパク質は粘着力や伸びやすさを生むグリアジンと弾力性を生むグルテニンで、水を加えてこねるとこれらが結びついて、粘着力、伸び、弾力という性質を持つ小麦特有のグルテンに変化します。
麺やパン、お菓子などは、このグルテンの性質を利用してつくられます。
小麦粉は、含まれるタンパク質(グルテン)の質と量により、「強力粉」「中力粉」「薄力粉」の3つに大きく分類されます。
素麺には、強力粉に近い粘りのある中強力粉が主に使われます。
【強力粉】
グルテンの量が多く、強い。粒が粗い。
主な用途はパン、餃子の皮、中華まん、ピザなど。
【中力粉】
強力粉と薄力粉の中間。
主な用途は素麺、うどんなど。
【薄力粉】
グルテンの量が少なく、弱い。粒が細かい。
主な用途はケーキ、お菓子、天ぷらなど。
国産小麦はタンパク質の割合が低く、あまりグルテンが生まれないのに対し、輸入小麦はタンパク質が多く含まれグルテンが多く生まれます。
他にも、国産小麦はこねる際にべたつきやすい、小麦の風味が強い、もっちりした食感、といった特徴があり、輸入小麦はボリュームが出やすい、まとまりやすくこねやすい、あっさりした風味、ふんわりした食感、などの特徴があります。
これらの性質から、麺やパン、お菓子づくりにおいて輸入小麦が主流となってきました。
しかし近年、国産小麦の品質は大幅に向上し、また、かつて日本では栽培が難しいとされてきたパン用や中華麺用に使われる強力系小麦の生産が拡大しているそうです。
※写真はPhotoAC「小麦粉とパン」より
<参考サイト>
・「小麦粉(国内製造)」と「国産小麦」の表示について
https://faq.pasconet.co.jp/faq/show/73?category_id=1&site_domain=default
・小麦粉の国産と国内製造の違い、そばの原料は小麦粉? わかりにくい食品表示
https://flour.empacede.co.jp/eating/labeling/
・国産小麦の特徴とは 品種や利点を解説、輸入小麦との比較も
https://www.pascoshop.com/Page/LP/column/14.html?srsltid=AfmBOoqJq3tQ8BoEMLSgTe_G2QjJ8ndy3fo6zS8znhJUVqlDVNCTL0G8
・小麦・小麦粉の基礎知識
https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_01.html
・小麦・小麦粉の基礎知識
https://www.shimabara-soumen.com/category/1928098.html
・そうめんの原料
https://www.inosuke.co.jp/SHOP/104094/list.html?srsltid=AfmBOorpOkSfrcOYcIXV7Q1uqI1cmQjFre8jgR_kvt-XG77-4i0eKhci
・ラーメンを支える国産小麦の生産現場
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2412/spe1_02.html
・北海道だけじゃない! 全国で広がる国産小麦
https://special.nikkeibp.co.jp/NBO/businessfarm/agribusiness/13/
③ 国産小麦の代表的な産地や品種について
農林水産省の「麦の生産をめぐる事情」によると、小麦の自給率はここ数年15%前後で推移しているそうです。
小麦の用途として一番多いのはパン用で、中華麺用、日本麺用、菓子用と続きます。
うどん、素麵、蕎麦のつなぎなどに使われる日本麺用は、国産小麦だけで見ると約60%を占めています。
2024年の小麦の収穫量を都道府県別に見ると、最も多いのは北海道で、全国の69.2%を占めます。
収穫期に雨が少ないうえ夏も涼しく、乾燥した気候が、小麦栽培に適しているそうです。
その他、福岡県・佐賀県・愛知県・三重県などが主要な産地となっています。
日本での小麦栽培は中力系の品種が多く、タンパク質含有量の多い強力系小麦は、本州以南では梅雨がありじっくり熟成させづらく栽培が難しいとされてきましたが、近年、品種改良され、北海道の「ゆめちから」などパンや中華麺に向く小麦が次々登場しているそうです。
また、単収(単位面積当たり収量)の多い品種も注目されており、北海道では「ホクシン」から「きたほなみ」へ、関東では「農林61号」から「さとのそら」へと切り替えが進んだそうです。
国産小麦の代表的な品種について、産地や特徴、用途などを調べてみました。
【きたほなみ】(北海道)
国内で最も多く栽培されている品種。
主に日本麺に使われる。
大量生産されており価格が安いことから、薄力粉や中力粉に加工されたり、強力粉とブレンドしたりして、パン、菓子などにも幅広く使われている。
【ゆめちから】(北海道)
パンや中華麺用の品種。
国産小麦の中でも特にグルテンを多く含む、強力粉用の小麦。
よくふくらんでボリュームを出しやすい。
【春よ恋】(北海道)
パンや中華麺用の品種。
強力粉に加工される。
甘みや旨みが強く、小麦本来の味わいを楽しめる。
ふわふわ感ともちもち感の両方を出せるとして注目されている。
【さとのそら】(埼玉県、千葉県)
従来の主要品種であった「農林61号」の後継品種。
成熟が遅い、茎が長くて倒れやすい、病気に弱いといった農林61号の欠点を克服した。
色合いがきれいで、焼き上げたときのさっくりした食感が特徴で、主に菓子に使われる。
【シロガネコムギ】(埼玉県、静岡県、兵庫県、鳥取県、佐賀県)
日本麺に加工されることが多い。
穂が倒れにくい、病気に強い、製粉性に優れているという特長がある。
焼き菓子は歯切れよく焼き上がる。
うどんの生産量1位を誇る香川県のホームページ「県産小麦のあゆみ」によると、小麦の栽培品種として優先される条件は、安定して多くの量が収穫できることに加えて、近年は、製粉や製麺への適性が良好であることが品種選定の大きなポイントだそうです。
香川県の小麦の生産量と栽培面積は、ともに1961~1962年頃が戦後のピークだったとのこと。
その後、高度経済成長に伴う小麦の生産意欲の低下や、収穫期の長雨による大被害などにより、1973年の栽培面積は1962年のわずか2%となりました。
1970年代からオーストラリア産の小麦がうどんの原料に使われはじめました。
現在では年間約70万トンものうどん用小麦がオーストラリアから輸入されており、日本で消費されるうどんの原料の大半を占めています。
オーストラリア産小麦は、小麦粉生地の安定性、うどんの黄白色の色調、適度な弾力の食感、ゆでた後の麺の劣化の遅さなどの優れた特性により、高く評価されてきました。
手延べ素麺の原料としても、オーストラリア産の小麦が適しているとされ、多くの素麺製麺所が使用しています。
こうした状況の中、讃岐うどんを地元産小麦でつくろうという強い想いのもと、2000年に開発されたのがうどん用の小麦「さぬきの夢」。
香川県の農業試験場が品種交配・選抜を繰り返し、10年がかりで開発しました。
「さぬきの夢」はもっちりした食感や旨みには定評がありますが、タンパク質の量が少なくもろい性質のため、生地にした際の弾力が弱く、うどんにすると切れやすいなどの扱いにくさが課題でした。
弾力の弱さを克服しようと新品種の開発が進められ、小麦特有のたんぱく質「グルテン」に着目。
数万の個体から最もバランスのとれたグルテンを持つ新しい品種が選抜されました。
グルテンの切れやすさを比較した実験では、今の品種の3倍以上の時間が経っても新品種は切れなかったとのこと。
2024年秋から本格的な栽培が始められているそうです。
※写真はPhotoAC「釜玉うどん」より
<参考サイト>
・国産小麦の需要拡大に注目! 栽培条件や消費・生産動向、参入の成功事例を解説
https://minorasu.basf.co.jp/80508
・【地域別】小麦の主な品種一覧! 特徴を踏まえたおすすめは?
https://minorasu.basf.co.jp/80913
・【国産小麦の特徴や種類】素材にこだわる製麺所が詳しく解説!
https://tsumura-seimen.co.jp/post-1896/
・[JAPAN] 品種改良で進化したニッポンの麦
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1602/spe1_03.html
・県産小麦のあゆみ
https://www.pref.kagawa.lg.jp/seiryu/sanukinoyume/menpaku/03_ayumi.html
・讃岐うどん 支える小麦 産地オーストラリアと日本の開発最前線
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230510/k10014062521000.html
・「さぬきの夢2000」小麦開発ストーリー
https://flour-net.com/column/sanukinoyume/sanuki2000_story/
・うどん用小麦「さぬきの夢」
https://www.flour.co.jp/knowledge/sanuki-no-yume/
④ 春蒔き、秋蒔き、初冬蒔きとは?
小麦の栽培方法は、もともとは秋に種を蒔き、冬の寒さに遭遇してから穂を出す「秋蒔き」でしたが、寒すぎて小麦が冬を越せない地域でも栽培できるよう、春に種を蒔く「春蒔き」の小麦が生まれたそうです。
さらに「初冬蒔き」もあるとのことです。
それぞれの特徴などを調べてみました。
【秋蒔き】
9月中旬に種を蒔き、10月上旬に出た新芽は雪の下で冬を越し、春の雪解けとともに勢いよく伸びる。
収穫は7月下旬~8月上旬。
栽培期間が10カ月と長く、収穫量が多く効率の良い栽培方法。
「きたほなみ」などの中力系。
近年、品種改良により「キタノカオリ」「ゆめちから」などの強力系も栽培できるようになった。
【春蒔き】
品種改良により、温かい期間だけで栽培できる品種を選抜して生まれた。
4~5月に種を蒔き、8月上旬~中旬に収穫。
栽培期間が短いので収穫量が少なく、また収穫期は雨も多いため品質が不安定になりやすいとされる。
「春よ恋」「春きらり」など、グルテンが豊富な強力系。
【初冬蒔き】
春蒔きのパン用として流通しており、2年連続の大不作後に生産中止となった「はるゆたか」という品種を復刻させるため開発された栽培方法。
北海道で雪が降る直前の11月に種を蒔き、春蒔きよりも2週間ほど早く成長して7月中旬に収穫できる。
※写真はPhotoAC「麦踏み」より
<参考サイト>
・国内生産量No.1!北海道産小麦のあれこれを教えます
https://www.hokuren-greenplus.jp/html/page112.html
・”春まき小麦”と”秋まき小麦”の違いは?『はるゆたか』と”初冬まき”、『キタノカオリ』と”穂発芽”/パン教室講師が徹底解説!
https://noraneko19.com/spring-autumn-wheat/
・北海道で秋まき小麦の種まきが始まりました。雪の下で小麦の芽はどうやって過ごすの?
https://tenki.jp/suppl/romisan/2019/09/05/29401.html
⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》自然栽培小麦100%使用手延べ素麺
ホームページより抜粋
「丸玄が無肥料、自然栽培で大切に育てた小麦を香川県小豆島の石井製麺所さんにて、手延べ素麺にしました。
天日干しと室内干しの配分を職人の勘と経験で、天気、気温、湿度を見極め調整し締まりのある素麺に仕上げております。
とても手間のかかる作業も惜しまず丁寧に大切につくって下さいました。
丸玄の手延べは真っ白では有りません。製粉の際にふすまを残しているため少し麦の色が入りほんのり肌色なのも特徴です。
小麦特有の香りもほのかに感じられ、食物繊維も豊富です。
この夏、他の手延べには無い特徴と美味しさをお楽しみ下さいませ。」
南アルプス市江原で自然栽培に取り組む丸山様からご連絡をいただいたときには、とても驚きました。
自然栽培にこだわり大切に育てられた小麦(粉)を、数多くある製麺会社の中から石井製麺所へ託してくださりました。
国産小麦ということもあり、はじめは製麺できるかが不安でしたが、最終的にはとても良い麺に仕上げることができ、自信を持って手延べ素麵としてお返し(納品)することができました。
紹介文にもあるとおり、“ふすま”が残っているため、優しい自然な色合いの麺色で、小麦ならではのとても芳ばしくも良い香りのする素麵です。
夏季限定販売のため現在は取り扱っておられませんが、また販売再開の際には、ぜひお求めください。
※写真は、丸玄様公式ネットショップより引用させていただいています。
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《~畑が作る自然食~ 丸玄様公式ネットショップ》 https://marugenomame.thebase.in/
《自然栽培小麦100%使用手延べ素麺【夏季限定】》 https://marugenomame.thebase.in/items/87876950
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
お!いしい けんぶんろくブログ
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.53
麺究者への道/豆類を使った発酵⾷品について研究してみる
さて、今回のブログのテーマは「豆類」の発酵食品についてです。
その「豆」に関連して、小豆島で3月15日(土)、16日(日)に開催される「豆まめ市場」をご紹介させていただきます。
今回は豆繋がりということで(笑)。
食品関連のイベントではありませんが、小豆島内外からクラフト作家さんにお声がけして展示販売を行っているイベントだそうです。
飲食の出店や佃煮会社さんの出し物(この時は佃煮すくい)もあってけっこう楽しげなイベントです。
主催されるのは、「豆まめ市場実行委員」の皆さんで、島の若者(だけじゃありませんが)が中心となって、島に新しいイベントを開催しようと毎年3月に実施されているものです。
昨年の開催日に伺いましたが、あいにくの雨(大雨!)でしたが出店者の皆さんは慣れたもの(?)で接客をしておられました。
島内では春めいてくると毎週のように島中のあちこちでイベントが開催されていて、島の方はもちろん観光で来られた方にも楽しいひとときを提供くださっています。
私は製造もあってなかなかお手伝いできませんが、主催されている皆さんを応援させていただければと思います。
島でのイベントは、島外の方との交流の機会でもありますし、日常では味わえない楽しい時間や珍しいもの、美味しいものもたくさんあって、これからも増えていくと嬉しいなと思います。
いつか、石井製麺所も何かの出店ができればと思います。
(商工会、自治会でのイベントではお手伝いなどしていますが)
寒さが厳しい日が続きますが、素麺づくりにはちょうど良いお天気と乾燥具合です。
人間にとってはとても厳しいですが、これも美味しい素麺ができると思えば、ありがたい寒さなのかも知れません。
最近は雪が降る日も多く寒さ厳しいですが、そのぶん春の訪れが待ち遠しいですね。
今回のブログは冒頭でも触れましたが「豆類」の発酵食品に関する内容です。
以前に、「納豆」「味噌」「醤油」とブログのテーマにしたことがありますが、今回は「豆類(に似たもの含めて)」です。
豆と思って調べていたら、豆でなく「種」だったりする内容もありますが、今回も最後までお付き合いください。
「小豆島で一番のクラフト市場 豆まめ市場」
日時 3月15日(土)10:00〜16:00、16日(日)9:00〜15:30
場所 安田の馬場
ホームページ mame2ichiba.jimdofree.com

写真は、「豆まめ市場実行委員会」様からご提供いただいたものです。
【目次】
① 言わずと知れた納豆・味噌・醤油
② 身近で意外な豆類(に似た)発酵食品とは?
③ 他にもある、日本の豆類発酵食品
④ 世界の豆類発酵食品
⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》京都・北尾商事様「黒豆そうめん」 編
① 言わずと知れた納豆・味噌・醤油
古くから現代に至るまで、日本の食生活には大豆の発酵食品が欠かせないものとなっています。
代表的なのが「納豆」「味噌」「醤油」。
それぞれ、以前このブログでも取り上げたことがある食材です。
その中から発酵に関する内容を抜粋・要約してお届けします。
詳しくは「【Vol.32】麺究者への道/納豆について研究してみる」
「【Vol.34】麺究者への道/味噌について研究してみる」
「【Vol.30】麺究者への道/醤油について研究してみる」もご参照いただければと思います。
納豆は、発酵により風味も栄養価もアップ!
独特のにおいや粘りが苦手という方も多いかも知れませんが、健康に良いことづくめの食品です。
日本人が納豆を食べるようになった時期ははっきりとは分かりませんが、米や大豆の栽培が普及し、野菜の煮炊きが行われるようになった弥生時代と推測されています。
当時の竪穴式住居の床には、納豆菌の格好の住みかとなる稲わらが敷かれていたそうです。
煮た大豆が稲わらの上に落ちたのか、稲わらでくるんで保存したのかで、納豆菌が大豆に偶然付着したのがきっかけという説をはじめ、時期や地域もさまざまな説があるようです。
室町時代には糸引き納豆が広く知られるようになり、日常的に食されるようになりました。
戦国時代においては、栄養価が高く保存性が良い納豆は、重要な兵糧のひとつとして武士のタンパク源やスタミナ源となりました。
江戸時代には一般庶民にも広く食べられるようになり、京都や江戸では「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩きました。
ざるにわらを敷いて納豆を盛り、天秤棒にぶら下げて、量り売りしていたとのこと。
またこれとは別に、漬物店などの店頭でわらに包んだ納豆も売られていたそうです。
その後、包装形態が進化し、また納豆の製造方法などの研究が進み、1960年代以降の冷蔵輸送技術の発展と普及によって全国的に広く流通するようになり、その健康機能性の高さが注目され、人気の食材となっています。
納豆の基本的な材料は、大豆と納豆菌のみです。
納豆の発酵はおよそ20~24時間程度と、味噌や醤油と比べて短時間です。
伝統的な製法は、まず大豆を蒸して冷まします。
煮沸消毒した稲わらでつくった「わらづと」に入れ、40℃前後の環境で発酵させると、わらにすみついた天然の納豆菌が繁殖して、20〜24時間ほどで納豆が出来上がります。
納豆菌は、「枯草菌(こそうきん)」という細菌の一種で、田んぼや畑、枯れ草など身近なところに存在し、特に稲わらに多く生息しています。
煮大豆に納豆菌を加えると、発酵する過程で大豆のタンパク質を分解して吸収しやすくなり、納豆特有の香りや味、ネバネバが生まれます。
この粘性物質は、旨み成分の一種であるグルタミン酸が結合した「ポリグルタミン酸」というもので、昆布の旨み成分と同じものです。
糸を引けば引くほど、旨み成分が増します。
納豆菌は非常に高い繁殖力を持ち、乾燥や熱にとても強いため、取り扱いに注意が必要な場合があります。
酒蔵や味噌・醬油蔵、パン工房などに納豆菌が入り込むと、それぞれの食品の発酵に必要な麹菌や酵母などに良くない影響を与えてしまいます。
また熱湯消毒したり石鹸で洗ったりしても完全に殺菌できないため、納豆菌を持ち込んではいけないとされています。
納豆菌は胃酸にも強いため、生きたまま腸内にたどり着いてもともといる善玉菌を活性化させたり、悪玉菌を抑制して腸内環境を改善したりする働きがあります。
納豆菌は食物繊維があると腸内での働きが盛んになるため、食物繊維も豊富な納豆を食べることで整腸を促進します。
また大豆に納豆菌を加えて発酵させる過程で、タンパク質分解酵素である「ナットウキナーゼ」を生成します。
ナットウキナーゼは、血栓を溶かし、血液をサラサラにする働きが知られています。
納豆を食べるときに25回以上混ぜてより粘りを出すことで、ナットウキナーゼが胃酸で溶けるのを防ぎ、腸で効率良く吸収されやすいという説もあるそうです。
さらに納豆菌は、骨の形成促進に深く関わる「ビタミンK2」を多く生み出します。
納豆菌の発酵により、増加する成分もあります。
原料の大豆が持つ「大豆イソフラボン」は、増加して腸から吸収しやすい「アグリコン型イソフラボン」の形に変化します。
女性ホルモンと似た働きを持つことから、ホルモンバランスを整え、更年期症を改善することが期待できます。
また、アンチエイジング作用が注目される「ポリアミン」は、私たちの体内でもつくられている、細胞の新陳代謝を正常に行うために必要不可欠な成分です。
大豆発酵食品にはポリアミンが多く含まれ、特に納豆は納豆菌による発酵によりとりわけ多く含まれているそうです。

味噌は、発酵・熟成により調和した豊かな味わいに。
日本の古来からの発酵調味料である「味噌」。
そのルーツについては、中国もしくは朝鮮半島経由で伝わったという説と、弥生時代から日本独自の塩蔵を経て発展したという説があるそうです。
中でも有力なのが、中国で生まれた、肉や魚を塩で漬けて発酵させた「醤(ひしお)」や、大豆や雑穀と塩を合わせて発酵させた「豉(くき)」が、日本に伝わり独自の発展を遂げたという説です。
奈良時代、701年に完成した「大宝律令」に「未醤」という文字が書かれており、「みしょう」 から 「みしょ」 、「みそ」へと変化していったと考えられています。
平安時代に初めて「味噌」という文字が文献に現れ、「延喜式(えんぎしき)」という法典では貴族の給与や贈答品として使われていたという記述があります。
当時は貴重な高級食材で、おかずとしての「なめ物」だったようです。
鎌倉時代には、中国からの僧の影響ですり鉢が広まり、粒味噌をすりつぶしたものを使った味噌汁が誕生したとされています。
室町時代には大豆の生産量が増え、農民が自家製の味噌をつくるようになり、保存食として庶民にも浸透しました。味噌汁以外の料理も、室町時代に生み出されたそうです。
戦国時代には武将たちが戦陣食として味噌を用いました。
貴重なタンパク源として、干したり焼いたりして携帯しやすくしていたそうです。
江戸時代には味噌汁が庶民の味となり、味噌が生活に根付いていきました。
そして現在に至るまで、容器の変化やだし入り味噌の登場など、社会変化に合わせて進化を続けています。
味噌は、大豆や麹、塩などを発酵・熟成させてつくられます。
まずは乾燥大豆を水で戻し、蒸したり煮たりして冷ました後、細かくつぶし、米麹と塩、水を加えて混ぜます。
これを容器に仕込んで発酵させることで、麴菌が持つアミラーゼが米のデンプンを分解してぶどう糖(グルコース)に、プロテアーゼは大豆のタンパク質を分解してペプチドやアミノ酸にします。
また、発酵過程でできたブドウ糖から、酵母によるアルコール発酵や乳酸菌による乳酸発酵により酸味や香り成分がつくられます。
こうしてできた味噌の旨味は、大豆タンパクが分解されてできるアミノ酸(主にグルタミン酸)に影響され、熟成の進んだものほど旨味が強くなります。
さらに塩味や酸味、甘味が調和し、良い香りと適度な粘度が加わって形成されるそうです。
また熟成が進むと舌に感じる刺激が和らいで伸びとコクのある味わいになるとのことです。
味噌は仕込み初期には塩辛く感じられ、熟成するにつれて、塩分濃度は同じですが塩辛味が減少します。
この現象を「塩なれ」といい、乳酸やペプチド、アミノ酸など、酸味や旨味成分の影響を受けた結果起こるものだそうです。
味噌の甘味は、麹が多いほど強くなります。
これは、米や麦のデンプンが麹のアミラーゼにより糖に分解されるからとのことです。
熟成期間が長くなると、糖分は酵母や乳酸菌により消費されるため減少するそうです。

醤油の色や味わいは発酵・熟成により生まれる。
「醬油」は、大豆と小麦、塩を発酵熟成させたものです。
醤油のルーツは、紀元前700年頃の中国の古文書「周礼(しゅうらい)」に記述のある「醤(ひしお)」と言われています。
「醤」とは当時の塩蔵品の総称だったようです。
原料別に「草醤(くさびしお)」「肉醤(ししびしお)」「穀醤(こくびしお)」の3種類に分けられ、「草醤」は漬物、「肉醤」は塩辛類で、「穀醤」が現在の醤油や味噌の原型と考えられています。
日本では飛鳥時代のものと思われる木簡に、「醤」の文字が見られます。
大宝律令によると、宮廷の料理を司る「大膳職(だいぜんしき)」に属する「醤院(ひしおつかさ)」で、大豆を原料とする醤がつくられていたとされます。
奈良時代から平安時代頃、醤の形状が固形から液状へと変化したと考えられます。
大豆が日本で広く生産されるようになってきた鎌倉時代には、醤の一つである味噌の製造過程において、味噌桶の底に溜まった液体を「溜(たまり)」として利用しており、これが醤油の原型とされています。
室町時代の中頃には、現在の醬油に近いものがつくられるようになり、末頃から、関西を中心に醤油の醸造が盛んになりました。
江戸時代の中期には、大阪・堺、和歌山・湯浅、兵庫・龍野などの産地で醬油の量産化がすすみ、製法が進化して品質も向上したと言われ、醬油が庶民にも広く普及した時期であったようです。関東でも、今の千葉県の銚子や野田が醤油の一大産地となり、江戸の人々の嗜好に合わせた「濃口醬油」が普及したようです。
江戸時代後期になると、寿司・天ぷら・蕎麦などの日本的な食文化が形成され、醤油は庶民の調味料として定着しました。
明治時代中期から大正時代にかけて、醤油製造の機械化や企業設立など近代化が進み、大量生産体制に移行していきました。
現在、多くの醤油が自動化された工場でつくられています。
その一方で、消費者の本物志向や自然志向の高まりにより、伝統製法でつくられる「天然醸造(本醸造)醤油」の価値が見直されています。
醤油づくりには微生物の働きが不可欠です。
その代表格が「麹菌」「乳酸菌」「酵母菌」で、この順番で活躍します。
それぞれがどのような働きをするか、整理してみます。
<麹菌>
蒸した大豆と炒った小麦に種麹を付け、3日ほどかけて繁殖させます。
これにより生み出された酵素が、大豆のタンパク質をアミノ酸に、小麦のでんぷんをブドウ糖に、それぞれ分解します。
麹は米や麦などの穀物にコウジカビを繁殖させたもので、麹菌を培養するもととなる種菌が、種麹です。
醤油の出来を左右するこの種麹を専門に生産し、醤油の製造業者に卸す「種麹屋」というものがあり、別名「もやし屋」とも呼ばれています。
米に麹菌を生やして熟成させた状態を「よねのもやし」と言う、京都の酒づくりで使われていた言葉が由来だそうです。
メーカーの要望に応じて、数多くある麹菌を単独または何種類か培養し、保存できるように乾燥させて種麹をつくります。
現在、種麹屋は日本に数件しかないとのことです。
小豆島にも「もやし屋」さんがあったそうです。
今は「森製菊所(せいぎくしょ)」さんですが、以前は小豆島の醤油蔵に卸す種麹を製造されていたそうです。
<乳酸菌>
有機酸をつくりだす微生物で、醤油にさわやかな酸味や味の伸び、深みを与えます。
乳酸発酵が進むほど、諸味が酸性になり、酵母菌が活躍しやすい環境になります。
<酵母菌>
アルコール発酵をする微生物。
醤油にはアルコールが数%含まれていて、皿に注いだ時にアルコールが揮発することで香りが立つのだそうです。
醤油づくりでは主に2種類の酵母が働いています。
まず「主発酵酵母」が、ブドウ糖をもとにアルコールを生み出し、乳酸菌がつくった有機酸と化学反応して、複雑な香りを生み出します。
次に「後熟酵母」がゆっくり活動し、味に深みを与えます。
このことから、熟成期間が長いと深い味わいになるのだそうです。
※写真はPhotoAC「小豆島 醤の郷」より
<参考サイト>
・納豆のまめ知識
https://www.mizkan.co.jp/natto-information/
・納豆の話
https://hakkousyoku.com/natto/
・納豆の豆知識
https://www.takanofoods.co.jp/fun/nattomame/
・Wikipedia 納豆
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%8D%E8%B1%86
・名物・浜納豆
https://ymy.co.jp/hamanatto.php
・納豆菌とは
https://www.hakko-blend.com/study/b_05.html
・「納豆の発酵による機能性」納豆菌
https://natto.or.jp/kenkou/nattokin/nat09.html
・納豆の健康効果 納豆の発酵と健康成分
http://www.natto-science.jp/effect02.html
・ 女性にうれしい成分 女性にうれしい納豆の健康成分と発酵効果
http://www.natto-science.jp/woman03.html
・【医師監修】納豆菌とは?特徴・効果・効能を説明。腸内環境にいい理由や「強い」といわれる理由を解説
https://www.happiness-direct.com/shop/pg/1h-vol294/#:~:text=%E5%85%B7%E4%BD%93%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%A8,%E3%81%AB%E6%AE%BA%E8%8F%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
・みそ・醤油・酒など食品工場で納豆を食べてはいけないのはなぜ?|食品工場で気を付けるべき細菌
https://www.exseal.co.jp/blog/taxonomy-07/8944/
・味噌のきほん
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/02.html#:~:text=%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%AB%E3%82%82%E3%80%8C%E8%B1%86%E6%9D%BF,%E3%81%9F%E8%AA%BF%E5%91%B3%E6%96%99%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・マルコメ 味噌のこと
https://www.marukome.co.jp/miso/
・味噌 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター
https://www.umamiinfo.jp/richfood/foodstuff/miso.html
・みそ(味噌)を知る イチビキ
https://www.ichibiki.co.jp/enjoy/knowledge_miso/
・みその豆知識 かねこみそ
https://kanekomiso.co.jp/knowledge/knowledge-of-miso/#section1
・味噌 ひかり味噌
https://www.hikarimiso.co.jp/enjoy-miso/encyclopedia/type.html
・しょうゆの歴史を紐解く
https://www.kikkoman.co.jp/soyworld/subete/history.html
・しょうゆを知る 歴史
https://www.soysauce.or.jp/knowledge/history
・日本食文化の醬油を知る
http://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/mame01-a.html
・醤油づくりの微生物(麹菌・乳酸菌・酵母菌)
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0707
・日本酒や醤油、味噌に欠かせない「種麹」を育てる『もやし屋』をご存じですか?
https://cuisine-kingdom.com/hishiroku/
・酵母菌
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0711
② 身近で意外な豆類(に似た)発酵食品とは?
チョコレートやコーヒー、バニラも発酵食品なのをご存じですか?
製造の過程で発酵が欠かせないこれらの食品は、それぞれカカオ豆やコーヒー豆、バニラビーンズが原料だから、豆類の発酵食品と言えると思い、調べてみると、なんと!どれも「豆」ではなく「種子」なんですね(@@;)……。
でも発酵食品には違いなく、せっかく調べたので、よろしければお読みください。
【チョコレート、ココア】
原料のカカオ豆は収穫された後、カカオの果実であるカカオパルプとともに、バナナの葉で覆った木箱に入れられます。
木箱やバナナの葉に生息している酵母や乳酸菌、酢酸菌などによりカカオ豆の発酵が進みます。
酵母がカカオ豆に付着した果肉を消化してアルコールをつくる過程で、豊潤な風味を持つカカオ豆となるそうです。
乳酸菌は果肉に含まれる糖質から乳酸などをつくり出し、カカオ豆の酸度を変化させ、その後の化学反応や微生物の働きに影響をもたらします。
酢酸菌は、渋味の強いポリフェノールをマイルドな味わいの茶色い化学物質に分解するよう促すことで、コクと風味が生まれ、チョコレート色に変化するとのことです。
こうして発酵させたカカオ豆を、焙煎(ロースト)してつぶし、油脂を抽出します。
抽出された油脂はカカオバター、搾りかすはカカオマスと呼ばれ、これらに砂糖や粉乳を加えて練り固めるとチョコレートになります。
ココアは、カカオマスをさらに粉砕し砂糖や粉乳を加えたものです。
※写真はPhotoAC「カカオ」より
【コーヒー】
コーヒー豆は、コーヒーノキという植物の果実から種を取り出し、焙煎したもの。
熟した果実から種子を取り除き乾燥させるまでの過程を、コーヒーの製法において「精製」と言います。
精製はコーヒーの風味を決める大切な工程で、発酵の力が大きく関わっています。
精製の種類は主に3つに分けられるそうです。
「ウォッシュド(水洗処理方式)」
生産国の約7割が採用しており、品質が安定しやすい手法。
機械で外皮と果肉を取り除き、種の周りの粘着質の部分「ミューシレージ」を除去する際に発酵の力が使われます。
発酵槽という大きな水槽に半日漬けることで、果実についていた微生物が発酵してミューシレージが分解されます。
この過程で、豆ごとに個性ある風味が生まれるとも言われます。
発酵が終わると水で十分に洗い、乾燥させます。
「ナチュラル(非水洗処理方法)」
ウォッシュドに次いで広く使われている「ナチュラル(非水洗処理方法)」。
果実を天日干しして乾燥させてから脱穀して、果肉とミューシレージを取り除きます。
独特の発酵が起こり、ベリーのようなフルーティな風味が生まれるそうです。
水をあまり必要としないため、ブラジルやエチオピアなどの水源の豊かではない地域でよく使われる手法とのことです。
「ハニープロセス」(別名「パルプドナチュラルプロセス」)
皮をむき、ミューシレージはついたまま乾燥させます。
乾燥台の上で糖分の発酵が進み、徐々に黒っぽい色へと変化します。
ウォッシュドよりも甘みが強く、ナチュラルほどではないが果実の香りが感じられるコーヒーとなるそうです。
こちらも水を大量に使用しないため、環境の観点などからも近年注目を集めている手法とのことです。

【バニラビーンズ】
ラン科バニラ属のつる性植物である「バニラ」の種子鞘を、発酵・乾燥を繰り返すキュアリングという方法でゆっくり発酵・熟成させると、強い甘い香りを放つようになります。
熟成前のバニラに含まれる「グルコバニリン」という成分が酵素の働きにより「バニリン」となり、甘い香りが出現します。
鞘から取り出した種はバニラビーンズシードと呼ばれ、バニラ香料の原料となります。
鞘ごと粉砕しペースト状に加工したものもあります。
※写真はPhotoAC「バニラビーンズ」より
<参考サイト>
・チョコレートは発酵食品?その理由を管理栄養士が解説します
https://media.andew.co.jp/2022/03/chocolate_fermentation/
・チョコレートは発酵食品
https://taberutokurasuto.com/shop/ocajapan/blog/entry/2211021731/?srsltid=AfmBOopVChJ69W-PTie6zpP3H5ZnaihEGMEN_rHCwnDLTVB5PhQcHaoi
・チョコレートは発酵食品だった!?
https://weathernews.jp/s/topics/202202/070135/
・コーヒーって発酵食品?手元に届くまでの物語を知って、コーヒーをもっと楽しもう!
https://haccomachi.jp/column/2530/
・コーヒーの知識 Vol.4 – 精製方法によるコーヒーの味の違い
https://lightupcoffee.com/blogs/knowledge/process?srsltid=AfmBOooSHmT0MxVaAZCY-fT38tyk5dKbkjNwleEXoisN0Ixo1XE2e8kK
・コーヒーにも発酵があるの知ってた?コーヒーの精製とは
https://postcoffee.co/magazine/coffee/coffee-processing/?srsltid=AfmBOoqSxNqrmQ3b3Jid_5mRu5tnfW6FsGxZjjSDNHUuIOuIc19hEWaZ
・【発酵文化から学ぶvol.2】こんなにあった!知られざる世界の発酵食
https://www.has710.com/blog/2023/03/24/column_hakko-vol2-world/#co-index-1
・甘い香りを生み出す「バニラ」って、いったいなに?
https://www.glico.com/jp/health/contents/vanilla02/
・#バニラ
https://orderie.jp/component/e/e-vanilla/
③ 他にもある、日本の豆類発酵食品
発酵文化が根付く日本では、各地で独自の豆類発酵食品が発展してきました。いくつか調べてみました。
【豆漬け】(北海道、青森県)
北海道の函館や江差、青森県津軽地方の郷土料理で、たくさん穫れた枝豆を美味しく保存するための漬物。
茹でた枝豆に水と塩、鷹の爪を加え、2~3日漬ければ浅漬けに。
2週間ほど漬け込むと、乳酸発酵して味わい深くなる。
【ごど】(青森県)
十和田地方に伝わる、納豆に麹を混ぜてさらに乳酸発酵させた郷土料理。
納豆と塩麹を足したようなドロッとした見た目で、発酵が浅いうちはご飯にかけたりおかずとして食べたりし、発酵が進んでドロドロに溶けたものは、調味料として使うとのこと。
稲作が難しく豆を主食とし、各家庭で納豆を手作りしていたこの地域で、うまく納豆にならなかったものがルーツと考えられている。
※写真はPhotoAC「ごど」より
【豆造(とうぞ)】(千葉県)
市原や長生地方特有の保存食で、年末から2月頃の寒い時期につくられる。
味噌をつくる際、大豆を煮た時に出る煮汁に、麹、干しダイコン、煮大豆または納豆などを入れ、1週間ほど置き発酵させる。
味がなじんだら、あたたかいご飯の上にかけて食べる。
【塩辛納豆(寺納豆、浜納豆)】(静岡県、京都府)
塩辛納豆は奈良時代に中国から伝わったもので、お寺でつくられることが多く「寺納豆」とも呼ばれる。
精進料理を食する禅寺で、不足しがちなタンパク質を補える食べ物として広まったと考えられる。
京都の大徳寺で保存食として今もつくり続けられている「大徳寺納豆」が有名。
「浜納豆」も同じ種類。
京都のお寺でつくられていた「塩辛納豆」が浜名湖畔などに伝わって名産品になり、足利義勝や今川義元、豊臣秀吉などの武将などにも好まれたとのこと。
特に徳川家康は「浜納豆」がお気に入りで、江戸幕府の歴代将軍に献上されていたとも言われている。
大豆と小麦と麹菌を塩水に漬け込んで熟成させるため、つくるのに数カ月~1年かかる。
出来上がると黒褐色の半分乾燥したものになり、糸引き納豆のようなネバネバはなく、塩辛く、たまり醤油や八丁味噌のような独特の風味がある。
お茶請けなどで少しずつ食べたり、調味料として使ったりする。
※写真はPhotoAC「大徳寺納豆 京都府」より
【おなめ】(埼玉県)
秩父地域を中心に食される、麦麹と大豆を使用した発酵食品。
水に浸しておいた大麦と炒った大豆を蒸し上げ、麹菌を混ぜ合わせてつくる「おなめこうじ」が材料。
塩と砂糖、水を煮立てて人肌の温度に冷まし、おなめこうじを加え、毎日かき混ぜれば1~2週間で出来上がる。
春先はフキノトウ、夏はミョウガを刻んで入れることも。
【しょうゆ豆】(長野県)
「しょうゆの実」とも呼ばれる、北信・中信地域に伝わる郷土料理。
蒸した大豆や黒豆を種麹で1ヵ月以上発酵させてつくる発酵食品で、醤油の旨味がつまった「食べる醤油」のようなもの。
温かいご飯の上にのせて食べたり、豆腐や野菜に付けたり、おひたしや納豆の醤油代わりに使ったりする。
※写真はPhotoAC「しょうゆ豆」より
【しょうゆの実】(山梨県)
芦安地域に古くから伝わる郷土料理で、大豆と麹を発酵させてつくる保存食。
稲作や野菜栽培に向かず、大豆が多く栽培されてきたこの地では、各家庭で醤油をつくり残った豆が「しょうゆの実」として食されてきた。
※写真はPhotoAC「しょうゆの実」より
【こる豆】(熊本県)
古くから伝わる、納豆を天日干しで乾燥させてつくる保存食。
納豆に塩を振り、小麦粉(または片栗粉、米粉)をかけて混ぜ、広げて2~5日間ほど天日干しする。
そのまま食べたりお茶漬けにしたりする。
【豆腐の味噌漬け】(熊本県)
約800年前、平家の落ち武者がつくり伝えたとされる郷土料理。
八代市でつくられる「かずら豆腐」や五木村の「樫の木豆腐」など硬い食感の豆腐が向いている。
豆腐の水気を切り、味噌に半年ほど漬け込むと、チーズのような風味になり、長期保存が可能になる。
※写真はPhotoAC「豆腐の味噌漬け」より
【豆腐よう】(沖縄県)
沖縄の島豆腐を、泡盛や麹、紅麹などに6カ月ほど漬け込んだ発酵食品。
見た目は鮮やかな赤色をしているものが多い。
琉球王朝時代、貿易相手だった明朝(今の中国)で「腐乳(ふにゅう)」と呼ばれていたものがルーツとされる。
独特の香りがあり、ねっとりとしたチーズに近い食感で、濃厚で繊細な味わいが特徴。
酒のつまみや炒め物のアクセントなどに用いられる。
※写真はPhotoAC「豆腐よう 沖縄料理」より
<参考サイト>
・知る人ぞ知る漬物!「枝豆の豆漬け」
https://koizumipress.com/archives/19441
・【青森県】十和田のハードコア納豆、ごど-日本各地の手前みそvol.06
https://hakko-department.com/blogs/47japan/nihonnotemaemiso_06#:~:text=%E8%AC%8E%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%85%B5%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%80%8E%E3%81%94,%E3%81%AA%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%83%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%83%86%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%
・ちばのふるさと料理-とうぞ
https://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/recipe/furusato/ryouri16.html
・名物・浜納豆
https://ymy.co.jp/hamanatto.php
・大徳寺納豆とは
https://www.honke-isoda.com/contents/category/about/
・おなめ 埼玉県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_25_saitama.html
・しょうゆ豆/しょうゆの実 長野県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shouyu_mame_nagano.html
・しょうゆの実 山梨県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shouyu_nomi_yama_nashi.html
・こる豆(こるまめ)
https://traditional-foods.maff.go.jp/menu/korumame
・豆腐の味噌漬け 熊本県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/toufuno_misozuke_kumamoto.html
・まるでチーズ!沖縄珍味の代表格「豆腐よう」って!?
https://www.orionbeer.co.jp/story/tofuyo/#:~:text=%E3%80%8C%E8%B1%86%E8%85%90%E3%82%88%E3%81%86%E3%80%8D%E3%81%AF%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%81%AE,%E3%81%AE%E5%B0%8F%E3%81%95%E3%81%AA%E8%B1%86%E8%85%90%E6%96%99%E7%90%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E3%81%9D%
④ 世界の豆類発酵食品
世界に目を向けてみると、さらに多様な豆類発酵食品があるようで、食文化の奥深さを改めて感じさせられます。
いくつか調べてみました。
【豆板醬(トウバンジャン)】(中国)
そら豆に、塩、赤唐辛子、麹などを加えて発酵させた、中国・四川地方の調味料。
麻婆豆腐やえびチリなどの中華料理に用いられ、辛さや旨み、鮮やかな赤い色合いが特徴。
※写真はPhotoAC「豆板醤」より
【豆豉(トウチ)】(中国)
黒豆に塩や麹、酵母などを加え発酵させてつくる、日本の塩辛納豆に近いもので、色が黒く塩気の効いた食べ物。
「豉」(シ)は納豆のこと。
料理に深みのあるコクを加える調味料として使われる。
※写真はPhotoAC「豆豉」より
【豆豉醬(トウチジャン)】(中国)
豆豉をペーストにしたものに、唐辛子やニンニクなどを加えた中華調味料。
味噌のようにそのまま料理に加えて使う。
【毛豆腐(マオドーフー)】(中国)
安徽省を中心に広く親しまれている伝統的な珍味。
豆腐を小さく切り、竹の桟の上にすき間を開けて並べ、冷暗所で3~5日間置いてつくる。
発酵の過程でふわふわとした毛のような白カビが生えて表面を覆う。
クリーミーな味わいで、そのまま、または揚げたり炒めたりして食べる。
【腐乳】(中国)
干し豆腐に麹を付けて塩水の中で発酵させた伝統的な食べ物で、「中国のチーズ」とも呼ばれる。
おつまみとしてそのまま食べたり、ご飯に乗せたり、炒めものの調味料として使われたりする。
主に「白腐乳」「赤腐乳」「青腐乳」の3種類がある。
「白腐乳」は塩製腐乳で、表面は黄色がかっており中身は白。舌触りが滑らかで、豆でできたチーズのようなコクのある味わい。
「赤腐乳」は、赤麹を用いて発酵させた麹菌型腐乳。表面は真っ赤で中身は白。白酒に長く浸かるのでアルコールの匂いがする。
「青腐乳」は、ケカビを用いて発酵させた細菌型腐乳。上記2つに比べて腐敗臭が強い。
「臭豆腐」とも呼ばれるが、台湾などで食べられている臭豆腐とは別の食品とのこと。
【臭豆腐】(台湾)
豆腐を乳酸菌や酵母で発酵させた食品。
発酵過程で、独特の強烈な匂いが生まれる。
味わいは濃厚でコクがありクリーミー。
揚げたり焼いたり、スープに入れて煮込んだりして食べる。
中国南部発祥とされ、台湾に渡ってからさらに発展を遂げ、現在は台湾を代表するグルメとなっている。
※写真はPhotoAC「台湾名物 臭豆腐」より
【チョングッチャン】(韓国)
茹でた大豆を、納豆菌に似た枯草菌で発酵させ、発酵後に塩と唐辛子粉などを加えて貯蔵性を高めたもの。
日本の納豆のような糸を引く粘り気と独特の香りがあり、チゲをつくるのによく使われるとのこと。
※写真はPhotoAC「チョングッチャン」より
【テンペ】(インドネシア)
茹でた大豆をバナナの葉で包み、テンペ菌というクモノスカビの一種で発酵させた、ブロック状のもの。
白いカビで覆われており、日本の納豆のような粘り気やにおいはない。
揚げ物や炒め物などに使われることが多く、ヴィーガン食材として世界的にも注目されているとのこと。
※写真はPhotoAC「テンペ」より
【キネマ】(ネパール)
粘りがあり、糸を引くもので、製法も日本の納豆と似ている。
日本でいう味噌のような調味料として使われるとのこと。
【リビイッパ】(ブータン)
「リビ」=大豆、「イッパ」=発酵の意味。茹でた大豆をビニル袋に入れ自然発酵させたり、バナナの葉で包んで発酵させたりする。
丸く平たく成形し、焼いて食べられているとのこと。
【バーリュ】(インド)
においも味も日本の糸引き納豆にそっくりとのこと。
【ドーサ】(インド)
南インドで食べられている、レンズ豆と米を発酵させてクレープのように薄く焼いた食べ物。
軽い酸味とパリパリ感が特徴の、おやつ感覚の主食。
※写真はPhotoAC「ドーサ」より
【トゥアナオ】(タイ、ラオス)
「トゥア」=豆、「ナオ」=腐った、の意味。茹でた大豆を枯草菌で発酵させたもの。
粒状やペースト状のもの、さらにそれを薄くせんべい状に広げて乾燥させたもの、があるとのこと。
もち米と一緒に食べたり、炒め物などに使われたりする。
【ペーポー】(ミャンマー)
直訳すると臭い豆という意味。
糸を引かない納豆をつぶしたものを薄いせんべい状にしたり、調味料として使ったりする。
【ダワダワ】(ナイジェリア)
大豆ではなく「パルキア」という豆が原料で、炒ってから煮てひきわりにし、ヒョウタンに入れて発酵させる。
スープの調味料として使われるとのこと。
【ネテトウ】(セネガル)
こちらも「パルキア」からつくられる。
豆の形を残した塩からい半生のものや、乾燥させたもの、スモークしたもの、粉末にしたもの、がある。
スープなとの調味料に使われる。
【スンバラ】(ブルキナファソ)
「ネレ」などのマメ科の植物を原料としてつくられる。
豆の形を残して球状にして保存され、調味料として使われるとのこと。
【アカラジェ】(ブラジル)
大航海時代にアフリカから伝わった、北東部のバイーアの食べ物。
小豆に似た風味を持つ黒目豆と、刻んだタマネギを混ぜた生地を発酵させて揚げる。
屋台のB級グルメとしても人気。

<参考サイト>
・豆板醤ってどんな調味料?
https://www.orangepage.net/ymsr/kihon/hatena/posts/2751
・腐乳(発酵豆腐)
https://mygooddishes.com/furu
・中国・台湾の珍味「臭豆腐」とは?匂いや味についても解説します!
https://delishkitchen.tv/articles/2503
・納豆まめ知識
https://www.mizkan.co.jp/natto-information/mame/
・海外にも納豆はありますか?
https://www.natto.or.jp/hyakka/ped_natto02.html
・納豆の健康秘密と世界の発酵大豆食品をご紹介:知っておきたい6つの効能!
https://kikuya0029.com/blog/2394/
・ミャンマーの発酵食品
https://shinowazuri.com/tea-guide-article/myanmar/myanmar-scenery/%E3%83%9F%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%85%B5%E9%A3%9
・中国の珍味「毛豆腐」とは?特徴や味わいを詳しく解説します!
https://delishkitchen.tv/articles/2622
・第9回 ドーサ(dosa)
https://mmp-lab.blogspot.com/2021/04/blog-post_8.html
・第10回 アカラジェ(acarajé、アカラ、acara)
https://mmp-lab.blogspot.com/2021/04/blog-post_12.html
・ブラジルのストリートフード、アカラジェ
https://koizumipress.com/archives/14795
⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》京都・北尾商事様「黒豆そうめん」 編
今回は、豆繋がりということで、黒豆を使った京都のお会社様が販売する素麺をご紹介させていただきます。
皆さんは、黒豆を素麺に練り込んだ「黒豆そうめん」をご存じですか?
京都の北尾商事様が販売されているのが「黒豆そうめん」です。
北尾商事さんは、文久2年から京都丹波産の黒豆や小豆を取り扱ってこられたとのことで、京都でも老舗のお会社様です。
昔から京料理や京菓子など京都の食文化を支えておられ、現在では、黒豆や小豆商品を多数販売されています。
「黒豆そうめん」には、京都丹波産の黒豆「新丹波黒」を使用しているとのことで、芳醇な黒豆きな粉の風味が素晴らしいお素麺です。
ぜひ一度お試しください。
※写真はPhotoAC「黒豆 イメージ」より
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《京都・北尾商事様公式ネットショップ》 http://www.kitaoshoji.co.jp/
《京都・北尾商事様「黒豆そうめん」》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
お!いしい けんぶんろくブログ
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.52
麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<冬>
ある意味では、当社の歴史が成せることでしょうか…
最近、製麺現場のあちこちにガタが目立ちはじめ、故障やトラブルで製造スケジュールが崩れることがあります。
ボイラーが正常に動かなくなったり、車のエンジンが掛からなくなったり…
あぁ〜頭の痛い日々が続きます。
ですが少し視点を変えてみると、前向きな見方もできるかもしれません。
今こそ、次の時代を見据えた設備を導入して、二酸化炭素の排出を軽減したり、働き方改革に繋がる環境づくりができるはずです。
また、次世代の作り手育成のためにも、素麺づくりがおもしろいと思えるようなチャレンジをしていきたいと思います。
ピンチをチャンスに!
香川県の補助事業などを活用して、より便利でより安全な製麺会社にリノベーションしていきたいと考えています。
幸いにも周囲の方々に支えられ、心くじけそうなときもお声をいただき、叱咤激励を受けながら、なんとか頑張っていけそうなのが今はとても嬉しく感じています。
先日も「石井製麺所のファンだ!」と言ってくださる、世界でもご活躍されるラリードライバーの福永修さんから、激励のお声をいただきました。
ご自身のご苦労話や経営者の心構えなど、事業者として大先輩である福永さんから、わざわざお声がけいただいたのは、本当に嬉しいできごとでした。
やる気が湧いてきます!
また、ありがたいことに今年に入って多くのOEMのお話や原料開発、新製品開発の協力依頼などをいただいています。
そこで得られる学びを活かし、経験をひとつずつ大事にして、石井製麺所の手延べ素麵、手延べ麺、手延べうどんを愛してくださる全ての方に還元できればと考えています。
設備の不調と相まって、今は嬉しい悲鳴を上げながら、家族とスタッフの方全員で、寒い冬もアツアツで頑張っております。
皆さまにもこのアツアツをお届けできれば幸いです。
さて、今回のブログは「薬膳」について掘り下げたいと思います。
前々回のブログでは「薬膳」をはじめとして、『食べ物と健康の関係を考える』と題して、「健康に良い食べ物ってどういうものだろう」という疑問を掘り下げながら、いろいろな視点で見つめてみました。
健康に良い成分だけでなく、考え方などを含めていろいろなことがありました。
そこで本ブログでは「薬膳〜寒い時期の食」について調べてみました。
実際のところ、こういう考え方を取り入れて「手延べ麺《楽々膳・黒》」シリーズを開発したことを踏まえながら、いろいろと調べたいと思います。
今回もお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

写真はしっかり現役の中ヨリ・小ヨリに使用するアタッチメントです。
【目次】
① 薬膳の考え方<冬編>〜腎を補い体を温める
② 冬に摂りたい「黒」の食材
③ 「黒」の食材「ひじき」「きくらげ」「黒ごま」に大注目!
④ 冬に摂りたい栄養素とは?
⑤ 《美味しい手延べ麺》「黒」の食財にこだわった《楽々膳・黒》
① 薬膳の考え方<冬編>〜腎を補い体を温める
一年で最も寒い冬は、草木は枯れ、動物たちは冬眠する季節。
中国の伝統的な医学「中医学」では、閉ざして蓄える「閉蔵」の季節とされ、エネルギーの源をしっかり蓄え、次の1年間を元気に過ごす準備をするとされています。
冬の過ごし方としては、運動しすぎない、汗をかき過ぎない、早寝遅起き、などでエネルギーの消耗を防ぎ、冷たいものを食べすぎない、体を冷やさない、などを心がけるのが良いそうです。

冬は、五臓の中ではエネルギーを体内に貯蔵する「腎」の働きが弱くなりがちなので、腎を元気にする食材を積極的に摂ると良いそうです。
腎は人の成長や老化に深く関わるため、腎を元気にすることはエイジングケアにもつながるとのことです。
また、冷えが体の内側まで入ると、悪寒・震え・下痢・冷えが起こり、寒さで気血の流れが停滞すると、頭痛・胃痛・腹痛・関節痛などの症状が起こります。体を温め、気・血・水を補う食事を心がけることが大切です。
腎を補うのは「鹹味(かんみ)」(塩辛い味)の食材です。
塩味には熱を逃さない働きがあるそうです。
塩・味噌・醤油などの調味料、コンブ、ワカメ、ひじき、アサリ、シジミ、エビといった海藻や魚介類など。
また、腎を元気にする食材は、クルミ、エビ、羊肉、黒豆、黒ごま、ブロッコリー、長芋、ニラ、クコの実など。
※写真はPhotoACより
寒さの対策として摂りたいのが、体を温める「温性」の食材です。
体の芯から温める、シナモン、ニラ、唐辛子、山椒、ショウガ、羊肉、エビなど。
また、体に気を補って温める、もち米、カボチャ、ナツメ、栗、鶏肉、ウナギなど。
※写真はPhotoACより
また、寒さによって体がこわばり硬くなって、体内の気や血、水が巡りにくくなるため、巡りを良くする食材がおすすめだそうです。
気の巡りを良くする食材は、タマネギ、ラッキョウ、ミカン、キンカンなど。
血の巡りを良くする食材は、ヨモギ、酢など。
※写真はPhotoACより
肌や髪の乾燥、鼻やのどの乾燥には、体を潤す食材がおすすめだそうです。
豚肉、卵、牛乳、豆乳、白きくらげ、ハチミツ、ホタテ、牡蠣、松の実、クコの実、白ごまなど。
※写真はPhotoACより
<参考サイト>
・Vol.271 冬の養生法~人間も冬眠モードでエネルギーの消耗防ぐ!~
https://kocyoudou.com/koramu_k1443492449.html#:~:text=%E4%B8%AD%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E3%81%A7%E5%86%AC%E3%81%AF,%E3%81%97%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%AF%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82
・いよいよ立冬。身体を温めて、冷え対策に効く!冬の薬膳メソッドとは?
https://kunel-salon.com/food/56193/
・【冬の薬膳メソッド】 エネルギーを蓄えながら、体質改善できる冬。「腎」をパワーアップして健やかに過ごす。
https://kunel-salon.com/food/61152/
・薬膳初心者もすぐわかる|冬薬膳4つのポイントとおすすめ食材
https://yakuzen-hikari.com/yakuzenabc/%E5%86%AC%E8%96%AC%E8%86%B3%EF%BC%94%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88/
・薬膳から学ぶ*冬の体と食と健康3つのポイント【国際薬膳師コラム&レシピ】
https://shokuzenlab.com/column-condition-medicinal-cooking-winter/
・旬のレシピ
https://www.yakuzen.info/recipe/index/4
② 冬に摂りたい「黒」の食材
冬は五行で言うと「水」の性質を持っています。
体に水が多くなると冷えやすく、むくみの原因にもなります。
西洋医学における腎臓は、尿をつくる・血圧を調整する・血液や骨をつくる、という働きをします。
東洋医学での腎は、腎臓や膀胱だけでなく、成長や発育、勢力、知力、また骨や歯、髪、脳、ホルモンにも関係しています。
中医学では、冬に摂りたい食材の色は「黒」とされています。
一般に体力をつける食材を「精をつける」食べ物と言いますが、これらは腎の働きを助け、血を増やして血行を良くするとされます。
精をつける食べ物には黒い食材が多いのです。
冬の養生になる黒い食材にはどんなものがあるか、調べてみました。
【黒ごま】
白髪や足腰の衰え、耳鳴り、肌の乾燥に効果があるとされる。
【黒豆】
腎機能を強化し水分の排出を促す。
老化予防、むくみ防止、疲労回復に役立つとされる。

【黒米】
消化を助ける、血の巡りを良くする、目の働きを助ける、アンチエイジングなどの働きが期待される。
妊産婦の回復や子どもの成長にも良いとされる。

【黒きくらげ】
腎機能を活性化し、老化防止や滋養強壮に役立つと言われている。
【昆布】
腎に働きかけ水分代謝を高めて、余分な水分を排出する。
新陳代謝を高める働きが期待できる。
【ひじき】
血行促進を高めて水分代謝を良くする。
血を補って貧血を防ぎ、肌や髪を美しく保つとも言われる。
【ウナギ】
血液や気力を補い、体力アップの効能があるとされる。
【牡蛎】
栄養豊富で、腎を補うのはもちろん、貧血の予防や不眠、精神不安に役立つとされる。
【クルミ】
脳の働きを高め、足腰を強くする効能があるとされる。
皮膚や呼吸器に潤いを与え、肌の乾燥対策にも。
その他、スッポン、干しシイタケ、サトイモ、ゴボウ、栗、ブルーベリー、ウニ、カツオなども良いそうです。
※写真はPhotoACより
<参考サイト>
・冬には黒色の食材を摂りましょう!
https://purefield.jp/news/winter-black-foodstuff.html?srsltid=AfmBOood4Ai9fnX-qkrN4OS4VppUmgZXSzcc80kV5R2xCARFmcfThxGv
・冬に「黒い食べ物」で精をつけるとよい理由
https://weathernews.jp/s/topics/202011/260205/
・vol.407 冬の養生食におすすめの黒い食材。東洋医学の知恵を活かして冬の寒さに負けない体づくりを
https://www.villalodola.jp/magazine/column-407
・「冬の不調に効く黒い食材」
https://www.mainichigrillbu.com/column/694
③ 「黒」の食材「ひじき」「きくらげ」「黒ごま」に大注目!
石井製麺所では、ひじき、きくらげ、黒ごまといった、健康に良いとされる黒い食材を練りこんだ素麺「健康麺《楽々膳・黒》」シリーズを販売しております。
せっかくの機会ですので、これらの3つの食材についてより詳しく調べてみました。
【ひじき】
日本人は古くから海藻を食べてきました。
日本の国土はカルシウムなどのミネラルが少なく、水や農作物だけでは不足しがちだったため、海からの収穫物で補ってきました。
新鮮な魚介類の入手が難しい内陸部では、保存に適した海藻が食されるようになったと考えられています。
カルシウムやマグネシウム、食物繊維などを多く含む海藻は、長寿食として親しまれてきました。
縄文時代や弥生時代の遺跡からひじきなどの海藻が土器片に付着して発掘されています。
奈良時代には神様へのお供え物として使われ、平安時代には天皇に献上されていたそうです。
「伊勢物語」には、男性が恋人にひじきを贈る話が登場するとのこと。
江戸時代の寛永20年(1643年)に書かれた「寛永料理物語」という料理書で、ひじきの調理法は「にもの、あへもの」と記されており、現代と同じように食べられていたと想像できます。
栄養豊富で低カロリーなひじきは、近年、これまで海藻類をあまり食べてこなかった欧米でも注目されています。
マクロビオティック運動などの影響で、日本から輸入された乾燥ひじきがアジア系アメリカ人の食料品店で扱われたり、日本食レストランで提供されるようになったことから広がったそうです。
ひじきと相性の良い食材は、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを豊富に含むシイタケなどのキノコ類や、鉄分の吸収を助けるタンパク質やビタミンCの豊富な大豆、小松菜など。
油と一緒に摂るとβカロテンの吸収率が高まるので、煮物だけでなく炒めものや天ぷらにしても美味しく、またサラダやキッシュ、コロッケ、ハンバーグといった洋食メニューにも活躍します。
※写真はPhotoAC「宇和海産のひじき」より
【きくらげ】
干したクラゲに味が似ていることからその名がつけられた「きくらげ」は、キノコの一種です。
主に日本、中国、韓国などの東アジアで食用されており、コリコリした食感とくせのない味で、中華料理の炒めものなどに用いられています。
中国では、6世紀の農業専門書「斉民要術(せいみんようじゅつ)」に、きくらげの料理法が記されています。
また中医学において止血作用や血液を整える作用があるとして健康のために用いられてきたそうです。
日本に伝わったのは平安時代とされています。
平安中期の漢和辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」にきくらげの記載があるそうです。
欧米では食用としてではなく、目の炎症を治療するための湿布剤や、のどの痛みの緩和剤といった薬用として用いられてきました。
英語では“ユダの耳”と呼ばれ、イエスキリストを裏切ったユダが首を吊ったニワトコの木から生えたという伝承もあって、欧米では食用にしていないとも言われているそうです。
きくらげに豊富に含まれる不溶性食物繊維の一種であるβグルカンは、免疫力アップに役立つと期待される注目の成分です。鉄分も豊富で、ビタミンCやタンパク質を多く含む食品と一緒に摂取することで吸収率がアップすると言われています。
またビタミンDも豊富で、油を使って調理することで吸収率が高まるそうです。
※写真はPhotoAC「キクラゲ 乾物」より
【黒ごま】
「ごま」はアフリカのサバンナ地帯が原産地とされています。
今から約6000年前、アフリカの人々が原生のごまを食用に改良したのが始まりで、そこから中東やヨーロッパに伝わり、さらにシルクロードを経由して、中国や日本に伝来したと考えられています。
世界最古の文明であるメソポタミアでは、天地創造の神話において、神が人間の世界を作る時、ごま酒を飲んだと伝えられているそうです。
ごまは、菓子、軟膏、儀式用の燈明など、さまざまな場面で利用されていたとのこと。
粘土板にごまと銀貨の交換レートが記載されていた記録も残っているそうです。
2500年ほど前のギリシャでは、医学の父と呼ばれるヒポクラテスの書に、ごまが薬用として利用されていた記録があるそうです。
インダス文明を代表するモヘンジョダロ遺跡やハラッパ遺跡でも、ごまが多数出土しています。
中国では、紀元前3000年頃の浙江良渚遺跡からごまが出土しているとのことです。
世界最古と言われる医薬書「神農本草経」には、黒ごまは「気力を増し、脳髄を補い、飢えず、老いず、寿を増す」不老不死の薬効があると記されているとのこと。
宋の時代の医薬学書「経史証類大観本草」では、練りごまと蜂蜜を混ぜて丸めた「精神丸(せいしんがん)」という薬が、よろずの病を治すとして紹介されているそうです。
日本にごまが伝わったのは縄文時代と言われています。
より一般的に食用されるようになったのは、仏教伝来に伴う精進料理によるものと考えられています。
鎌倉時代にすり鉢が中国から伝わり、室町時代に普及したことから、ごま料理の幅が広がったそうです。
江戸時代には、現代でも親しまれている南部胡麻煎餅やごま和え、ごま豆腐などが誕生したとのことです。
ごまは脂質、タンパク質、炭水化物をバランスよく含み、ビタミンB1・B2・E、カルシウム、マグネシウム、さらに抗酸化作用が期待されるゴマリグナンなどの栄養も含みます。
ごまは外皮の色によって「黒ごま」「白ごま」「金ごま」に分けられます。黒ごまは香りが強く、その風味や見た目を活かし、赤飯や大学いも、おはぎ、ごま和え、クッキーなどに用いられます。
黒ごまのおもな産地は中国やミャンマー、タイ、ベトナムなど東南アジアであり、古くから中国、韓国、日本などで好まれてきました。
韓国は一人当たりのごま消費量が世界一だそうです。
中東でも、ごまペーストが良く食べられているとのこと。栄養価の高さから、近年は欧米でも消費量が増えているそうです。
※写真はPhotoAC「黒ゴマ」より
<参考サイト>
・ひじきの雑学 ひじきの歴史
https://www.hijiki.org/trivia-history/
・9月15日はひじきの日
https://www.greenhouse.co.jp/wellness/memo/2017/201709/index.html
・ひじき料理のポイント
https://www.kurakon.jp/ency_hijiki/08.html
・【欧米にない食文化】外国人は日本の“ひじき”をどう思う?
https://yukashikisekai.com/?p=109894
・グルメな健康習慣「ひじき」
https://www.daiei.co.jp/food/seasonal/202403_4_hijiki.html
・きくらげの歴史や由来とは?実は日本発祥の食べ物ではない!
https://anohinohagotae.info/knowledge/history/
・知っているようで知らない?!キクラゲに迫る!
https://www.shokuota.com/shokuotanote_wood_ear_mashroom
・きくらげの栄養とその効能とは?種類ごとの違いやおいしい食べ方も紹介
https://prezo.jp/column/9335?srsltid=AfmBOorjWsC4Pias3RaJzAavJWvT8UDiLdfpLXIGgp6mzaA1K191seGa
・【ごまの豆知識①】ごまはどこから来たの?ごまの歴史について
https://www2.katagi.co.jp/blog/2017/07/blog2.html
・「ごま」にまつわるよもやま話。起源と歴史、日本伝来について
https://www.kenkodojo.com/column/knowledge/detail174/
・ごまのはじまり(ごまの起源)
https://www.kuki-info.co.jp/learn-enjoy/stories.html
・黒ごまとは|黒ごまの栄養と期待できる効果、おすすめの食べ方
https://www.shinsei-ip.ne.jp/knowledge/kurogoma/#:~:text=%E7%99%BD%E3%81%94%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AF%E4%B8%BB%E3%81%AB%E9%A2%A8%E5%91%B3%E3%81%A8,%E3%81%A7%E6%A0%BD%E5%9F%B9%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99
・ごまの基礎知識・産地
https://www.wadaman.com/about_sesame/
④ 冬に摂りたい栄養素とは?
「冬型栄養失調」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
人の体は、冬の寒さに対抗して体温を維持するために、夏よりも10%ほど多くのエネルギーを消費するそうです。
そのため冬は栄養が不足しがちになり、冷え性や肩こり、めまい、不眠、疲れやすい、口内炎など様々な不調を引き起こします。
また、寒暖差により血流をコントロールする自律神経が乱れ、ストレスも感じやすくなるそうです。
冬型栄養失調を防ぐ料理としておすすめなのが、野菜や肉、魚をバランスよく摂れるスープや鍋料理だそうです。
体を温め、水分補給もできます。
冬に特に意識して積極的に摂りたい栄養素と、おすすめの食材について、調べてみました。
【ビタミンB群】
ビタミンB群は、エネルギーをつくり出す糖・タンパク質・脂質の代謝に関与していることから、消費量が増える傾向にあるそうです。
寒さを感じると、人体は熱を作り出すために交感神経を働かせ、ビタミンB1やB6を消費します。
ビタミンB1が不足すると、糖質を十分にエネルギーに代謝することができなくなり、疲労感を感じやすくなるそうです。
またビタミンB2はタンパク質の合成を助ける働きがあり、美容に大切な栄養素です。
ビタミンB群を多く含む食品は、豚肉・豚レバー・牛レバー・ウナギ・マグロ・サバ・アサリなど。
また、納豆やきなこなどの大豆製品・ニンニク・焼き海苔などにも多く含まれます。
【ビタミンC】
エネルギーをつくり出すのに欠かせないビタミン。
ノルアドレナリンという神経伝達物質の合成に関与しており、抗酸化作用や、体内に入った異物を解毒する作用があります。
人間の体内に存在するタンパク質のおよそ3分の1を占めるコラーゲンの合成にも関わっており、ビタミンCをしっかり摂取することで、皮膚や筋肉、骨の健康などさまざまな機能の健康維持に役立ちます。
また鉄の吸収にもビタミンCが関与しており、ビタミンCが不足してしまうと、鉄の吸収も低下してしまいます。
果物や野菜類に多く含まれるため、赤ピーマンやブロッコリー、冬が旬のミカン・キウイフルーツ・イチゴなどを積極的に摂るのがおすすめとのこと。
【ビタミンD】
冬は外出の機会が減りがちで日光を浴びる時間が減少し、骨の健康維持や免疫力を高めるのに役立つビタミンDが不足しやすいため、積極的に摂りたい栄養素です。
きくらげや干しシイタケなどのキノコ類や、シラス干し、紅鮭などの魚介類に多く含まれます。
【ビタミンE】
末梢血管を拡張する働きがあり、冷えの解消に役立ちます。
不足すると動脈硬化を起こしやすいことも分かっています。
魚介や植物油に多く含まれます。
【鉄分】
血液中のヘモグロビンを構成する鉄分は、全身に酸素を運ぶ役割があります。
鉄分が不足すると代謝が低下し、冷え性や疲れやすさの原因になります。
豚や鶏のレバー、アサリ、ハマグリ、卵黄、ホウレンソウ、またココアや抹茶などに多く含まれます。
【タンパク質】
全体重の約20%を占めると言われるタンパク質は、体中に血液を循環させるための筋力の維持に役立ち、寒さに対抗できる丈夫な体づくりに大切です。
また、血行不良が原因で起こる冷え性や、寒暖差による自律神経の乱れ、免疫力の低下などを防ぐのにも役立つ栄養素です。肉や魚、大豆や大豆加工品、牛乳や乳製品などに多く含まれます。

<参考サイト>
・「冬型栄養失調」? 寒い時期に不足しやすい栄養素とは
https://www.reiroukai.or.jp/trivia/%E3%80%8C%E5%86%AC%E5%9E%8B%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%A4%B1%E8%AA%BF%E3%80%8D%EF%BC%9F%E3%80%80%E5%AF%92%E3%81%84%E6%99%82%E6%9C%9F%E3%81%AB%E4%B8%8D%E8%B6%B3%E3%81%97%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84%E6%A0%84/
・冬型栄養失調に注意! 冬に不足しがちな栄養素について
https://www.kamaboko.com/sakanano/column/basic/post2255.html
・冬型栄養失調に要注意!不足しがちな栄養素とは?
https://gyoumudesserts-gyoumusweets.com/column/item-1472/
・寒い冬に負けない体づくりのために食べたい旬の食材とおすすめの調理法
https://www.yamaki.co.jp/katsuobushi-plus/news/202212_fuyunokenkou/
⑤ 《美味しい手延べ麺》「黒」の食財にこだわった《楽々膳・黒》
三代目が薬膳の勉強をしていたまさにそのタイミングで、偶然が重なり、原料が集まり3つの「黒」の食べ物で手延べ麺ができました。
「きくらげ」「ひじき」「黒ごま」のそれぞれの風味や特色が生きるように、麺の太さをそれぞれ変えています。
手延べきくらげ麺は、細い麺ながらぷりぷりつるんとした独特の食感で、冷たくしても温かいお出汁でも美味しく召し上がっていただけます。
きくらげは、香川県産のきくらげを使用しています。
手延べひじき麺は、小豆島産のひじきの茎の部分を粉末にして練り込んでいます。
地元小豆島でさまざまな海産物の加工品を展開されている「池田漁業協同組合」様とのコラボで実現した、地元食材を使用した手延べ麺です。
《楽々膳・黒》シリーズで一番人気のある麺ですので、まだ召し上がったことのない方にも、ぜひとも味わっていただきたい手延べ麺です。
手延べ黒ごま麺は、開発が決まったときに、小豆島を代表する食品メーカーのひとつ「かどや製油」様に工場見学に伺わせていただきました。
そこでは、ごまの力の凄さについていろいろとお話を伺い、感動したのを今でも覚えています。
現在は千葉県にも工場はありますが、そちらが稼働するまでは小豆島でつくられたごま油が日本中に配送され店頭に並んでいたんですよ。
《楽々線・黒》シリーズの手延べ麺は、健康を気づかう方に召し上がっていただければとの思いで開発しました。
「毎日の食事で健康に」を目標に、美味しく身体に良い手延べ麺づくりを目指してまいります。

《健康麺《楽々膳・黒》》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801499
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
石井製麺所通信
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.51
麺究者への道/肉類を使った発酵⾷品について研究してみる
先日、新春プレゼント企画『小豆島福箱プレゼント』の結果を発表させていただきました。
当選者の方から早速ご連絡をいただきまして、お喜びのお声を頂戴しました。
ぜひ小豆島の味覚をご堪能いただけましたら、そして、石井製麺所だけでなく小豆島の味のファンになっていただけましたら幸いです。
さて、本題に入る前に本日はご報告したいことが…
なんと私、三代目、コンサートのステージで歌うという初めての経験をしてまいりました。
歌ったのは、『石井製麺所通信 第15号』でもご紹介をさせていただきました『便り届くよ』です。
石井製麺所の長年のお客様が、30年以上にわたって続けられていらっしゃるバンド「リトルドリーミング」。
『便り届くよ』は、そのお客様が石井製麺所のことを思い浮かべながら詞を書いてくださり、バンドのリーダーの方が曲をつけてくださった、まさに“石井製麺所のテーマソング”といえる一曲です。
この度、リトルドリーミングの皆さまから「一緒に歌いませんか?」とお声がけをいただき、1月26日、高松の国分寺ホールで開催された『サヌキロックンロールサーカス2025』の舞台に立たせていただきました。
子どもの頃の発表会で歌ったことはあっても、バンドの一員として、観客を前に歌うのは本当に初めてでした。
前日のリハーサルでは、カラオケで歌うのとはまったく異なる音の聞こえ方にすごく焦ってしまいました(汗)。
それでも、音響のスタッフさんからアドバイスをいただいたり、メンバーの皆さまのサポートもあって、本番は無事に歌いきることができました。(緊張しましたが、最後の方は歌うのが楽しくなって…)
リトルドリーミングの皆さま、この度はめったにできない経験をさせていただき本当にありがとうございました。
想いの籠った詞を曲にのせて、聴く人の心に届ける。
そんなリトルドリーミングの音楽のように、石井製麺所の日々の麺づくりも、そうありたいと思います。
(新たに「詞を書く」という大役もいただきました!小豆島の暮らし、麺づくりの毎日、そして家族の想い…心に感じたものを言葉にしてみますね。)
※コンサートの様子は、あらためて石井製麺所通信でお届けします。
今回は、もはや素麵とはほど遠いテーマ「お肉の熟成」についてです。
ですが調べてみると人間の食への探究心に踏み込むことができたような気がします。
すでに約1万年前には豚を家畜として飼い、その肉を塩漬けにして保存し食べる文化を持っていたというのです。
それが生ハムの始まりだそうです。
三代目として事業を継承して6年を迎え、新麺開発を始めて数年経ちます。
まだまだこれから精進していかねばいけないと、新年からブログを書きながら、改めて心に誓うのでした。
今回も最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

【目次】
① 古くからヨーロッパの食生活に深く根付く生ハム
② 生ハムの定義や製法とは?
③ 生ハム以外にもある、肉類発酵食品いろいろ
④ 熟成肉と発酵肉の違いとは?
⑤ 日本各地でつくられている肉類発酵食品とは?
⑥ 世界で食されている肉類発酵食品
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
① 古くからヨーロッパの食生活に深く根付く生ハム
肉類の発酵食品は、古くから畜産業が盛んだったヨーロッパの食生活に深く根付いています。
その代表格である生ハムの歴史は、紀元前にさかのぼります。
紀元前7000年頃には豚はすでに家畜として飼われており、その肉を保存できるように塩漬けにしたのが生ハムの始まりとされています。
紀元前5世紀頃の都市国家であるエトルリアの人々は、豚肉の長期保存を可能にする熟成や燻製の技術を持っていました。
紀元前3500年頃には、現在のイラクの南半分の地域にあったバビロニア王国やエジプト大国に、生ハムが存在していたと言われています。
またギリシア人やローマ人も生ハムを好んで食しており、ローマ帝国時代には生ハム職人がいたという記録が残っているとのことです。
中世には、富裕な貴族たちは豚を財産として保有しており、生ハムやベーコンが貨幣代わりに使用されることもあったそうです。
また、法王庁や貴族付きの料理人や、イタリア料理の父と称される人物など、名だたる料理人がその著作で生ハムについて言及しているほど、貴族から庶民まで幅広い層に欠かせない食材だったとのことです。
20世紀になると、イタリアやスペインを訪れる観光客により、世界各国に生ハムが知られるようになりました。
中国では、紀元前8世紀頃の「周礼」という書物に記された「醤」「醢(かい)」という漢字が、魚鳥獣の干し肉を粟麹・塩・酒に漬けて発酵させた「肉醤」(ししびしお)という、醤油のルーツを指すと言われています。
狩猟生活の時代、肉を保存するため肉に食塩を混ぜたものが生まれたと考えられます。
紀元前4800年頃には中国にも保存食としての生ハムが存在したと言われています。
日本では、675年に肉食禁止令が出されたこともあり、平安時代中期の法典「延喜式」には獣肉の記載がほとんどありませんが、一方で「鹿醢(しししおびしお)」「兎醢」など獣肉の醤油漬けや、「宍醤(ししびしお)」という獣肉の塩漬けを発酵させた調味料に関する記載があります。
明治時代まで肉食文化が根付いておらず、また、高温多湿の気候では肉を乾燥熟成させるのが難しいことなどから、肉の発酵食品が普及する土壌が整っていませんでした。
ハムやソーセージなどの食肉加工食品が広まったのは、大正時代です。
第一次世界大戦後に日本に収容されたドイツ人捕虜により製造技術が広められたことから、現代でも日本のハムのつくり方はドイツの製法から派生したものが主流です。
日本の生ハムの歴史は江戸時代、オランダから長崎に持ち込まれたのが始まりだそうです。
その後は長い間、豚コレラ発生の懸念により、海外からの生ハム輸入が禁止されていました。
1996年にイタリアの、2003年にスペインの生ハム輸入が解禁されました。

<参考サイト>
・紀元前から産地によるブランド化が進んでいた?古代からの文化遺産「生ハム」の歴史|食の起源
https://eat-university.com/magazine/article_2050/
・プロシュート・ディ・ パルマの歴史とおいしさの秘密
https://shop.belgustogroup.com/blog/2016/11/23/175429?srsltid=AfmBOoruuTAc51CdDlWMcL2iAbkGM0S6cCk5TTAmmCDvvUvuFm3gRVCw
・醤油の歴史
http://www.fujino-syouyu.jp/sub01.html
・醤油のルーツ
https://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/reference-5.html
・実は「生ハム」も発酵食品?!「熟成肉」は発酵している?お肉と発酵の関係を解説
https://haccomachi.jp/column/8210/
・牛肉・食肉の歴史
https://www.soshugyu.com/history/
・スペインからの生ハム輸入解禁
https://www.iberico.co.jp/html/page134.html#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E7%94%9F%E3%83%8F%E3%83%A0,%E7%A6%81%E6%AD%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%8
・生ハムを語るなら知っておきたい産地、部位、美味しい食べ方のこと
https://funq.jp/buono/article/628771/
② 生ハムの定義や製法とは?
「生ハム」とは、一般的には豚の後ろ脚(もも肉)を塩漬けして熟成させたハムのことを指し、イタリアの「プロシュート」やスペインの「ハモン」、フランスの「ジャンボン」など、主に南西ヨーロッパの国々で製造されています。
北東部ヨーロッパの、スモークされたり加熱されたりして製造されるハムとは異なります。
ドイツの「ラックスハム」は、塩漬けして2日間ほど乾燥させ、燻製してつくられます。
水分量が多く、塩気としっとりした食感が特徴で、日本でつくられているのはこちらの発酵させないタイプの生ハムです。
日本ではプロシュートもラックスハムも「生ハム」と呼ばれています。
生ハムという言葉は、日本の法律により定義されたものではありません。
昭和の時代になってから、北海道の鮭のルイベを参考に豚肉を冷凍加工してつくられた商品の通称名から日本国内に広まったとされています。
加熱せず生のまま1~2年と長期間かけて乾燥、発酵熟成させてつくられる生ハムは、肉を発酵させることで、旨みを引き出し味わいや香りを向上させる、腐敗菌の増殖を抑え保存性を高める、などのメリットがあります。
熟成の過程で白カビなどの菌が乳酸発酵します。
表面にカビが付着することで腐食を防ぎ、また発酵の際にタンパク質がアミノ酸に分解されることで旨みが増し風味が良くなります。

基本的な製造工程は、以下の通りです。
<トリミング・整形>
余分な皮や脂肪部分を取り除き、形をととのえる。イタリア・フランスのほとんどの地域では皮つきのまま、スペインでは皮の一部を除去して仕込む。
<塩漬け>
余分な水分を抜き、味を付け、細菌の繁殖を防ぐ。イタリアでは塩漬け職人が肉に擦り込むように塩を付ける。
<表面の洗浄>
表面の塩をハケなどで落とし、血や汚れなどをぬるま湯で洗い流す。
<乾燥>
洗浄した原木を、湿度・温度をコントロールできる部屋で吊るして乾燥させる。
スペインの生産地はこの乾燥熟成の温度帯が高めで、水分がしっかり抜けて歯応えと濃い旨みのある味わいになる。
イタリア・フランスでは水分保湿量が高くしっとりした食感に仕上がる。
<グリーシング>
イタリアでは、原木の断面や皮のない部分にラードと小麦粉または米粉、コショウを練り合わせたものを塗る。
スペインでは、オリーブオイルとラードを混ぜたマンテカ油というものを塗る。
これにより生ハムの乾燥を防ぎ、カビの浸食から守る。原木の状態を見極める高い技術を持った職人により行われる。
<熟成>
最後の熟成庫に移動させて、酵母など微生物の力で熟成させ、さらに味に深みを持たせる。
<官能検査>
厳しい品質チェックにより、合格したものが出荷される。
世界三大生ハムと呼ばれるものについて調べてみました。
【プロシュート・ディ・パルマ】(イタリア)
夏は暑く冬は寒い、昼夜の寒暖の差が大きいパルマ地区で生産される生ハム。
厳選された豚もも肉と最小限の塩のみを使った、まろやかで深みのある味わいが特徴。

※写真はPhoto ACより「パルマ産生ハム」
【ハモン・セラーノ】(スペイン)
スペイン語で「山のハム」の意味。
白豚を使用し、アンダルシア地方の冷たい空気に9カ月以上さらして熟成させる。
肉の旨みやコクをしっかり感じられる、強めの塩気と歯ごたえのある生ハム。

※写真はPhoto ACより「熟成生ハムの切り出し ハモンセラーノ」
【金華ハム】(中国)
中国原産の貴重な金華豚を2カ月ほど塩漬けし、天日で乾燥させ、表面にラードを塗ってさらに1年ほど熟成させてつくられる生ハム。
強い塩気と引き締まった固めの肉質が特徴で、料理の旨みを引き出す食材として用いられることが多い。
<参考サイト>
・生ハムとは
https://jcha-ham.com/%E7%94%9F%E3%83%8F%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%AF/
・生ハムの種類を一挙解説!それぞれの特徴や味わい・選び方も
https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/001638.html
・生ハムの作り方を解説。イタリア、スペイン、フランスなどヨーロッパの生ハムの製造工程を詳しく紹介!
https://www.uncork.shop/shop/pg/120230728/?srsltid=AfmBOop3kBtjqgwLwwdhEkvkn8JU6dXZzP9I1LRgElejPVefmvR–5Kn
③ 生ハム以外にもある、肉類発酵食品いろいろ
ヨーロッパでは、生ハム以外にも肉を使った発酵食品のバラエティが豊富です。
代表的なものについて、調べてみました。
【発酵ソーセージ】
ソーセージの製造工程で発酵を経たもので、乳酸発酵により酸味があるのが特徴。熟成期間が長く水分含量が35%以下の「ドライソーセージ」と、比較的短期間でつくられ水分含量が35~55%の「セミドライソーセージ」に大別される。
ドライソーセージの一種である「サラミ」は、豚や牛のひき肉に、食塩などの調味料とラード、ラム酒などを混ぜて腸詰めし、乾燥、熟成させてつくられる。
イタリア発祥で、古代ローマ時代には貨幣の代わりに使用されていたと言われる。
「ペパロニ」もドライソーセージの一種。
唐辛子やパプリカなどの香辛料、ハーブ、ニンニク、塩などで味付けした肉を腸詰めし、60~90日ほど乾燥させてつくられる。
アメリカでは、イタリアからの移民によりドライソーセージが独自の進化を遂げた食べ物と言われ、薄くスライスしてピザのトッピングに良く用いられる。

※写真はPhoto ACより「ペパロニピザ」
「チョリソー」はスペイン発祥の発酵ソーセージで、塊肉をたたきながら香辛料を混ぜてつくられる。
「カルパス」はロシア発祥で、牛や豚の他に鶏肉も原料として使われる。
腸詰めした後長期間乾燥させ、燻製させてつくられる。
セミドライソーセージに分類されることが多く、スモーキーでスパイシーな味わい。
【パレタ】
スペインでは、豚の後ろ脚でつくられる生ハムを「ハモン」、前脚でつくられる生ハムを「パレタ」と呼ぶ。
適度な歯応えがあり、脂身が少なくさっぱりとした味わい。
【パンツェッタ】
イタリア語で豚バラ肉の意味。
豚バラ肉を塩漬けにし、熟成させた加工肉で、風味づけにハーブやスパイス、ニンニクなどを加えることも。
カルボナーラやアマトリチャーナなどのパスタ、スープやサラダなどによく使われる。

※写真はPhoto ACより「カルボナーラ」
【コッパ】
豚の頭から腰にかけての肩ロース肉でつくられる、丸い形状とスパイシーな味わいが特徴の、イタリアのハム。
古代ローマ発祥とされる。
生ハムのように塩漬けして乾燥させ、調味して、サラミのように豚の腸に詰め熟成させてつくられる。

※写真はPhoto ACより「コッパ 生ハム」
<参考サイト>
・発酵食肉製品の魅力
http://topics.foodpeptide.com/?eid=767809
・食のこれからキーワード vol.5 発酵③ヨーロッパの発酵食品
https://www.careermap.jp/feeds/4510
・見た目だけじゃない!?サラミとカルパスの違いを解説します
https://delishkitchen.tv/articles/2496
・ペパロニとは?サラミやチョリソーとの違いは?
https://delishkitchen.tv/articles/279
・パンチェッタとは?特徴や生ハムとの違い、食べ方について解説!
https://www.kurashiru.com/articles/e0aa1034-4f27-437d-b678-5864250e9860
・古代ローマ発祥の生ハム「コッパ」とは?生ハムとの違いを解説
https://macaro-ni.jp/53019
④ 熟成肉と発酵肉の違いとは?
「熟成肉」という言葉を耳にすることがあると思います。
「熟成肉」と「発酵肉」は、寝かせることにより肉のタンパク質が分解され、アミノ酸になって旨みが増すという点は共通していますが、材料自体の酵素で分解を行うのが熟成で、微生物の働きにより新たな成分を生み出すのが発酵です。
熟成肉の中でも「発酵熟成肉」というものがあるそうです。
日本初の新熟成製造技術「エイジングシート」を用いてつくられた熟成肉で、「ミートエポック社」と「明治大学農学部」により共同開発されました。
ナッツのようなスパイシーで芳醇な香り、熟成香、脂の口溶けは、従来の肉とも熟成肉とも異なる独特の美味しさだそうです。
熟成肉の製法「ドライエイジング」は、空気中に浮遊している菌が肉に付着するのを待つ製法であるため、腐敗菌が付着するリスクもあります。
その課題をクリアするべく、肉をピッタリと包むシートを考案。
安全に安定した品質の熟成肉を、よりリーズナブルに提供できるとのことです。

※写真はPhoto ACより「熟成肉」
<参考サイト>
・酵素・発酵がもたらすお肉の食べ頃。独自開発の新熟成法で作られる「発酵熟成肉」が自宅へ届くまで
https://eat-university.com/magazine/article_2188/
⑤ 日本各地でつくられている肉類発酵食品とは?
発酵熟成肉の他にも、日本でつくられている、肉を発酵させた加工食品について調べてみました。
【発酵無添加ソーセージ&ベーコン】
東京都町田市にある、ドイツ製法の手づくりハム・ソーセージ専門店「クロイツェル」が、宮崎県の味噌・醬油メーカー「ケンコー食品工業」と共同で、8年以上かけて開発。
豚肉を大麦麹で発酵させることにより、旨みが凝縮され、やわらかく臭みのない味わいを実現したとのこと。
【焼酎麹発酵サラミ】
同じく「クロイツェル」が、老舗蔵元「新島酒蒸留所」とのコラボで開発。
埼玉県産の三元豚に、伊豆諸島の新島の焼酎「嶋自慢」の大麦麹、塩、新島産の島唐辛子などの香辛料を加え、発酵させて燻製してつくられる。
時間が経つとともに熟成が進み、味の変化も楽しめるとのこと。
【肉醤油】
同じく「クロイツェル」が「ケンコー食品工業」と共同で開発。
平安時代の「肉醤油」にヒントを得て、豚肉を大麦麹で発酵・熟成させ、コクや旨みがあり甘い香りの引き立つ万能醤油に仕上がったとのこと。
【牛醤】
岩手県のブランド肉・熟成肉専門店「格之進」が、老舗醤油メーカー「浅沼醤油店」に協力を依頼して開発。
黒毛和牛の熟成肉の発酵液に、3種類の麹、塩、アルコール、米デンプンを加えて醸造し、もろみを混ぜ合わせてまろやかな味わいを実現したとのこと。
【小豆島発酵ハム】
瀬戸内小豆島の伝統や自然環境に即した独自の製法を構築。
スペインの伝統的な生ハムの製法を基本に、醤油麹菌を利用し、空調管理を行わなず、海岸から立ち上がる斜面で四季を通じて潮風にあたる自然気候のもとで長期間、発酵熟成させてつくられる。
ヨーロッパの生ハムとも一線を画す独特の風味を実現したとのこと。
一部の豚肉は、小豆島産「鈴木農園」の豚肉も使われているそうで、小豆島でも注目の生ハムです。

※写真は「小豆島 鈴木農園の豚の放牧場」
<参考サイト>
・世界初!? 大麦麹で発酵させた〈クロイツェル〉の〈発酵無添加ソーセージ&ベーコン〉が発売!
https://www.hakko-blend.com/news/52.html
・特別な贈り物にも最適。大麦麹で豚肉を発酵させた肉醤油&サラミ
https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20240801/19897/
・黒毛和牛から作られた究極の醤油 世界初!熟成肉を使用した格之進の「牛醤」
https://kakunosh.in/kanzaki-aging-beef/cat-nikuojisan/about-gyusyo-01/
・小豆島発酵ハム
https://shodoshima-ham.com/?srsltid=AfmBOorRBpV77st10z7FL7X3Qg8GGHPNnzDnVzpju7KXQ1gGf1VTZd6q
⑥ 世界で食されている肉類発酵食品
ヨーロッパ以外の各地でも食されている、肉を発酵させた食品について、いくつか調べてみました。
【サンロー(酸肉)】(中国)
中国湖南省の発酵肉料理。
豚肉に塩をまぶし、寒い時期に乾燥した場所で1~2カ月常温に置くことで、肉が乳酸発酵し、旨みと酸味が増す。
【サイクローク・イサーン】(タイ)
タイ東北部のイサーンという地域で食される、球体のような形をした発酵ソーセージ。
豚ひき肉と、香辛料、もち米などを混ぜ合わせてつくる。
発酵による独特な酸味と強い旨みがある。
【ネーム】(タイ)
タイ東北部で、生の豚ひき肉と蒸し米、塩でつくられる発酵ソーセージ。
旨みと酸味のある奥深い味わい。

※写真はPhoto ACより「カオパットネーム」
【ワッターチン】(ミャンマー)
生の豚ひき肉を、米と一緒に常温で数日発酵させてつくる。
米の形が残っており、乳酸発酵により酸味がある。
【キビヤック】(極北地域)
アイルランド領・グリーンランドやロシア北部、アラスカやカナダなど、極北地域に広く伝わる。
海鳥をアザラシの皮の中に詰め、2カ月~半年ほど地中に埋めてつくられる。
発酵して半分液体になった海鳥の内臓や肉をそのまま食べたり、調味料として使ったりするとのこと。
【コパルヒン】(極北地域)
アイルランド領・グリーンランドやロシア北部、アラスカやカナダなど、極北地域に広く伝わる。
セイウチをさばいて肉と皮に分け、袋状になった皮に再度肉を詰め、地中などで数カ月放置してつくる。
<参考サイト>
・「サンロー(酸肉)」
https://cocoro-dining.co.jp/magazine/?p=3847&srsltid=AfmBOop9NA6klItvIHw9GB5xHyQQ7hwYlzeLNc1WNo9O83-2dmWLzvrY
・タイ料理研究家・長澤恵さんから教わる、タイ郷土料理と発酵調味料
https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20201210/13809/
・簡単だけど奥が深い。タイの手作り乳酸発酵ソーセージ「ネーム」
https://tenyudo.exblog.jp/27076978/
・ミャンマー発酵食:酸肉「ワッターチン」
https://burmese.tokyo/blog/wethar-chin/
・世界の料理は微生物であふれている!|世界の発酵食品10選
https://micsmagazine.com/basic/2438/post
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
新春企画として特別価格、数量限定で販売させていただいている「小豆島の美味しい物を詰め込んだ『小豆島福箱』」。
昨年末まで期間限定販売していました「小豆島のお!いしい逸品」の中から、人気の食品だけを選んだ特別なセットです。
新春プレゼント企画でも大変お喜びいただいているセットです。
石井製麺所で冬の時期に圧倒的な人気がある「手延べ半生うどん」を4袋セット。
冬場に食べていただきたい黒の食材「黒ごま(ペースト)」を練り込んだ「手延べ黒ごま麺」。
いりこならではの旨みと栄養をぎゅぎゅっと凝縮して、おやつとしてもクセになる「いりこぶし(池田漁業協同組合)」。
小豆島中山の山中で若い農家さんが丁寧につくった原木椎茸を使ってご自身で乾燥までされている「原木椎茸を使った干し椎茸(箭木椎茸園)」。
小豆島の新しい特産品として取り組まれている「しょうどしま長命草」を使い、島産の手づくり塩とブレンドした「長命粒塩(LINKFAMILY)」。
これ一本あれば、お料理のバリエーション広がる万能醤油調味料「味醤油360mL(丸島醤油(株))」。
ぜひ、この機会にお求めください。

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《【2025新春特別価格】小豆島福箱》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
新着情報
新春のお慶びを申し上げます。
今年も無事、新しい年を家族そろって迎えることができました。
元日は初詣に行ってきました。
望むものは数あれど、今年の目標をひとつ据えるとすれば「健康」でしょうか。
どんなときも、言うまでもなく健康は大事。それでもあえて健康をテーマにした一年にしたいと思います。
私たちの体はもちろん、麺づくりに活躍してくれる機械も健康第一!
お客様に美味しい手延べ麺をお届けし続けるためにも、
心身と機械のメンテナンスにも力を入れて…
もちろん、食べる方の健康を考えた「健康麺」も、進化を目指し少しずつ研究を進めております。
今年もどうぞ、石井製麺所をよろしくお願い申し上げます。

『小豆島福箱』のお買い求めはこちらから→【新春特別価格】小豆島福箱 | 石井製麺所 (thebase.in)
日頃のご愛顧に感謝をこめて、今年も新春特別企画をご用意しました。
一、【新春特別価格】『小豆島福箱』発売
恒例の福袋企画、今年も『小豆島福箱』を限定20箱でご用意しました!
「もっと小豆島の美味しいものを皆さんに食べていただきたくて…」
定番の半生うどんはもちろん、小豆島の美味しいものを厳選して詰め合わせました。
昨年の秋に販売をさせていただきました「小豆島のお“いしい”通信」にてご紹介しました商品の中から、
特にご好評をいただいた品を厳選した特別セットです。
セット内容
◯手延べ半生うどん 4袋
◯手延べ黒ごま麺(6束) 1袋
◯干し椎茸 1袋
◯いりこぶし 1袋
◯長命粒塩 1袋
◯味醤油(360ml) 1本
石井製麺所で冬の時期に圧倒的な人気がある「手延べ半生うどん」を4袋セット。
冬場に食べていただきたい黒の食材「黒ごま(ペースト)」を練り込んだ「手延べ黒ごま麺」。
いりこならではの旨みと栄養をぎゅぎゅっと凝縮して、おやつとしてもクセになる「いりこぶし(池田漁業協同組合)」。
小豆島中山の山中で若い農家さんが丁寧につくった原木椎茸を使ってご自身で乾燥までされている「原木椎茸を使った干し椎茸(箭木椎茸園)」。
小豆島の新しい特産品として取り組まれている「しょうどしま長命草」を使い、島産の手づくり塩とブレンドした「長命粒塩(LINKFAMILY)」。
これ一本あれば、お料理のバリエーション広がる万能醤油調味料「味醤油360mL(丸島醤油(株))」。
私、三代目が島に帰ってきてから、ありがたいことに多くの「小豆島の食に携わる人たち」と出会い、
おかげさまで、こうして多くの「小豆島の美味しいもの」をお届けできるようになりました。
私の“発見”を皆さまにご紹介する気持ちで、こちらのセットをご用意させていただいております。
ぜひお得なこの機会にお試しくださいませ。
二、新春プレゼントくじ(こちらは昨年ご利用いただいたお客様が対象となります。)
本ページにて、「新春プレゼントくじ」の当選番号を発表します。
ささやかではございますが、新年のお祝いとしてお楽しみいただけると幸いです。
お手元の「寒中お見舞いハガキ」のお年玉くじの番号を使用します。
石井製麺所の独自抽選で当選番号を決定するプレゼント企画です。
令和7年1月20日(月) 更新
大変お待たせをいたしました。
本日抽選を行いまして、下記の通り当選番号が決定いたしました。
当選番号
3307(2名様)
3360(2名様)
6650(4名様)
8369(2名様)
ご当選された皆様、おめでとうございます!
プレゼントは順次お届けいたしますので、今しばらくお待ちくださいませ。
惜しくも抽選に漏れたお客様も、300円の割引券がございますので、ぜひご利用くださいませ。(下記に詳細がございます。)
抽選発表日:令和7年1月20日(月)
有効期限:令和7年 3月 末日
プレゼントの詳細は下記の通りです。【条件】をご確認くださいませ。
※プレゼントは自動適用いたします。
☆特等(大当たり) 『小豆島福箱』1箱(10名様)
【内容】:手延べ半生うどん×4袋、手延べ黒ごま麺6束×1袋、干し椎茸1袋、いりこぶし1袋、長命粒塩1袋、味醤油(360ml)×1本
【条件】:下4桁が一致
当選者の発表は、プレゼントの発送をもってかえさせていただきます。
☆特別賞(おしくも特等が当選しなかった方)『300円の割引券(1回限り)』
次回ご購入時(お電話、ご注文書、FAXでご注文の場合)に、300円の割引をいたします。
◎ネットショップをご利用のお客様へ
誠に申し訳ございませんが、次回ご購入時の割引適用ができません。
次回ご購入時に、その次のご注文でご利用いただける割引クーポンをお知らせいたしますので、ぜひご利用くださいませ。
ご不明な点がございましたら、いつでも石井製麺所までご連絡ください。
【特別賞】の適用は、3月末日までのご注文に限らせていただきます。
予めご了承くださいませ。
TEL:0120-274-039
FAX:0879-82-6014
MAIL:141seimen@gmail.com
石井製麺所通信
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.50
麺究者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる
あけましておめでとうございます。
本年も石井製麺所、ならびに本ブログをよろしくお願いいたします。
昨年を振り返れば、年末のギリギリまで本当にいろいろありました…
ありすぎて去年の1月はどうだったか思い出せないくらいの良くも悪くも出来事があり、たくさんの方に支えていただいた一年だったと感じます。
事業として、掲げた目標もクリアすることができ、そういう意味では満足度の高い一年だった気がします。
2025年は、催事出店や新製品企画など、さらにチカラを入れていきたいと考えていますし、早速、原料メーカー様が小豆島にお越しくださり新製品開発の第一歩について打ち合わせをする予定が決まっています。
今からが楽しみです。
ブログ「お!いしいけんぶんろく」も、本回で50本目を数え、我ながらよく続けてこられたものです。
いろいろと見聞を広め新製品の研究に役立てばとの思いと、お客様にお役立ていただける情報発信ができればと続けてきましたが、これだけ長く続けてこられたことに喜びと自信を覚えます。
多くの方から「読んでるよ」「楽しみにしています」とのお言葉もいただいたりして、ますますやり甲斐も感じています。
100本、200本と続けていけるようにさらに学びを深めていきたいと思います。
さて、新年一本目のブログですが、やはり健康に関連あることを書いていきたいと思います。
日頃から“かじる”程度ですが、興味があり、時には本を読み込んだりしているのが「薬膳」についてです。
医食同源という言葉がありますが、素麵も古くは健康に関連する食べ物として珍重されてきた歴史があります。
ただ、素麵そのものが健康に良いというわけではないと思います。
そこで、石井製麺所では健康づくりに役立つ素麵としてさまざまな“変わりダネ”な新しい手延べ麺を開発してまいりました。
手延べ製法だからできる美味しさと栄養面を両立した手延べ麺を、開発、製造、販売してまいりました。
これまでのブログでも健康に役立つ知識を調べてきましたが、今回からは「薬膳」についていろいろと調べていきたいと思います。
美味しさだけでなく、健康面、見た目、食べる時期などもあわせて考えていきたいと思います。
どういった内容にできるか分かりませんが、今回はまずはそもそも論のお話として「食べ物と健康の関係」についておさらいして、順番に深掘りしていきたいと思います。
実は年末、家族共々、体調を崩し、思った通りの製造ができず、結局また無理をする…という悪循環でした。
家族なので無理して製造しているのが分かるのですが、休んでいるのも気が休まらないのは痛いほど分かるので、だましだまし製造を続けている状況もありました。
やはり、健康が一番ですよね!
家族の健康、お客様の元気のためにお役立ていただけるように、真剣に調べていきたいと思います。
ちょっと難しい話や、逆に当たり前のお話もあるかも知れませんが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

新しい年を迎えた工場より。
【目次】
① 各地で体系化された、食べ物と健康の関係
② 日々の食生活に取り入れたい!薬膳とは
③ 薬膳の基本は「陰と陽」と「五行」
④ 人体を構成する3要素と体質の関係とは?
⑤ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
① 各地で体系化された、食べ物と健康の関係
食べるものが健康に深く関わっていることは、古くから経験的に知られていました。
古代ギリシャの医師で「西洋医術の父」と称されるヒポクラテスは、病気にかかっている人を、日々の食事でケアする食養生により治療することを考えました。
「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」という言葉をはじめ、食と健康にまつわる多くの格言が今に伝えられています。
ギリシャ医学では、自然の摂理は火・水・気・土の4元素と、冷・熱・乾・湿の4性質の組み合わせであると考えられていました。
食べ物には熱い、冷たい、乾いている、湿っているという4つの性質があり、自然と調和して健康を保つために、さまざまな食べ物を熱冷乾湿のバランスよく摂取することが必要だという考えです。
インド・スリランカの伝統的な医学「アーユルヴェーダ」は、病気になりにくい心身をつくる予防医学で、食事や睡眠など日常生活と密接に関わるものとなっています。
環境やライフスタイルの影響によって日々変わる、「ヴァータ(風)」「ピッタ(火)」「カパ(地)」の3つのエネルギーのバランス(「ドーシャ」)がとれている時は健康であり、不均衡になると病気が生じるという考え方です。
すべての食物は、穀物・豆類・肉類などに分類され、さらに流動物・固形、さらには甘・酸・苦・辛・塩・渋の6味に分けられており、食事の内容をドーシャに合わせるのが良いとされます。
中国の伝統的医学は、陰陽五行説によって体系化されており、食物を五穀・五果・五畜・五菜に分類し、どの季節にどんな食物を食べるべきか、この病気にはこの食物を与える、など細かく定められています。
また中国で発達した本草学では、自然界のあらゆるものについて人体に対する薬理作用が研究されていました。
近年、日本で注目されている薬膳料理は、これらの中国の伝統医学や生薬医学に基づいた食養生の料理と言えます。

「医食同源」という言葉があります。
病気を治療するのも日常の食事をするのも、ともに生命を養い健康を保つためには欠かせないもので源は同じ、という考えで、古くから中国にある、体によい食材を日常的に食べて健康を保てば特に薬など必要ないという「薬食同源」の考えをもとにした造語とも言われています。
日本の医学は、奈良時代以来、中国の伝統医学が主流でしたが、江戸時代中期以降に西洋医学が伝えられるとこれを「蘭方」と呼び、 従来からの日本化された中国医学を「漢方」と呼んで、それぞれを区別するようになったそうです。
当初は中国医学をそのまま受け入れていましたが、次第に日本人の体や気候に合わせて診断法や漢方薬の選び方などが改良され、独自に発展してきました。明治以降は、西洋医学に対して、中国医学を土台にした伝統的な日本の医学を「漢方」と呼んでいます。
「漢方」と「漢方薬」は混同されがちですが、「漢方」という医学の理論に基づいて処方される医薬品が「漢方薬」です。
漢方薬と西洋医学で用いられる薬の違いは、漢方薬は生薬でできており、西洋薬は科学的に合成した成分でできている、ということもありますが、治し方に対する考え方が大きく異なります。
漢方の基本は“人間の体も自然の一部”“病気ではなく病人を診る”という考え方だそうです。
体の一部分だけを診るのではなく、体全体の状態のバランスを総合的に見直し、また体質や生活習慣などから整えていくのが特徴です。
病名がついていない不調(未病)にアプローチできるのも特徴です。
西洋医学は、病気を部分的に診るもので、自覚症状だけでなく他覚症状や検査数値を重視します。症状として起きている現象に対して、局所的に対応するもので、本来は体がするべき働きを薬が代わりにし、その働きが切れると元の状態に戻ってしまうこともあります。
病態に合わせて漢方薬と西洋薬それぞれの利点を活かすよう組み合わせて用いることが有効と考えられています。
日本の食育にまつわる言葉として「身土不二」というものがあります。
元は仏教用語ですが、明治時代の陸軍薬剤監の石塚左玄が発足した「食養会」が提唱した独自の理論で、人間の身体と土地は切り離せない関係にあり、その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良いという考え方です。
「地産地消」という言葉にも通じるものがあります。
もう1つ、仏教用語が由来の「一物全体」という考え方があります。
食物は全体でひとつの命なので、丸ごと余すところなく、皮や葉が付いたままの野菜や、精製する前の穀物を食べることが、体のバランスを整えるのに望ましいという意味で用いられています。
「身土不二」「一物全体」を2大原則としているのが、近年よく聞くようになった「マクロビオティック」です。
アメリカを中心に世界に広まった言葉ですが、日本人が提唱し根付かせた食生活の知恵であり、健康的なライフスタイルをするための考え方だそうです。
肉、卵、乳製品、化学調味料、白砂糖などはできるだけ避け、玄米をはじめとした穀物を主菜とし、旬の野菜や海藻の入ったみそ汁、漬物といった、日本の伝統的な食生活の実践を通じて、健康的な暮らしの実現を目的とするものです。
マクロビオティックと混同されがちなのが、「ベジタリアン」や「ヴィーガン」です。
ベジタリアンは菜食主義者という意味で、19世紀にイギリスのキリスト教会員により展開された、肉や魚は食べず卵や乳類の摂食は本人の選択による、穀物・野菜・豆類などの植物性食品を中心とした食生活を行う、という運動です。
現在は、畜肉を食べない人を広義のベジタリアンとする傾向があり、さまざまなタイプに分けられます。
その中の1つがヴィーガンで、動物に苦痛を与えることへの嫌悪から、鳥肉・魚肉・その他の魚介類、卵・乳製品・蜂蜜、動物由来のゼラチン・羊毛脂などを食べず、また皮製品・シルク・ウールなどの動物製品を身につけることもしない人たちを指します。
これも食物と健康の関係とは話がそれますが、宗教の教義として食物の指標を定めているものに、「ハラルフード」があります。
イスラム教において、神に食べることを許された食べ物がハラルフードで、野菜や果物、穀物(米・小麦など)・豆類・魚介類・海草類・牛乳・卵などと、イスラム法に則った食肉処理が施された牛肉や鶏肉は食べることができますが、豚肉とアルコールは厳しく禁じられています。

<参考サイト>
・食の社会学 26 医食同源の思想 1
https://www.mealtime.jp/shokublog/naohashi/2020/02/post-266.html
・ヒポクラテスが示す食の価値
https://inishi-e.com/%E3%83%92%E3%83%9D%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%B9%E3%81%8C%E7%A4%BA%E3%81%99%E9%A3%9F%E3%81%AE%E4%BE%A1%E5%80%A4/
・アーユルヴェーダとは? 体内のバランスを整え美しく健やかな体を作ろう
https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=2998
・医食同源とは
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/ishoku-dogen.html#:~:text=%E7%97%85%E6%B0%97%E3%82%92%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE,%E3%81%A8%E3%82%82%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・漢方医学(日本の伝統医学)≠中医学(中国の伝統医学)
https://www.nikkankyo.org/kampo/kampo1.htm
・漢方とは何か?
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/about-kampo/#:~:text=%E3%80%8C%E6%BC%A2%E6%96%B9%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E9%8D%BC%E7%81%B8%E3%82%84,%E4%B8%80%E9%83%A8%E2%80%9D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
・身土不二(しんどふじ)は食育運動のスローガン
https://hyoki.jp/blog_akasaka/%E8%BA%AB%E5%9C%9F%E4%B8%8D%E4%BA%8C%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%B5%E3%81%98%E3%81%AF%E9%A3%9F%E8%82%B2%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/
・身土不二と一物全体
https://makurobi-recipe.com/shindofuji/#:~:text=%E4%B8%80%E7%89%A9%E5%85%A8%E4%BD%93%E3%81%AF%E3%80%8C%E3%81%84%E3%81%A1,%E3%81%A7%E7%94%A8%E3%81%84%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・マクロビオティックの基本知識
https://www.asc-jp.com/diet/macrobiotic/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%93%E3%82%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9F%A5%E8%AD%98/
・ベジタリアンとは?
https://www.jpvs.org/menu-info/
・ハラル(ハラール)基礎知識
https://jhba.jp/halal/
② 日々の食生活に取り入れたい!薬膳とは
石井製麺所では、皆様の食生活において健康づくりのお役に立てるようにと「健康麺《楽々膳・黒》」シリーズを販売しております。
ひじき、きくらげ、黒ごまといった、健康に良いとされる黒い食材を練りこんだ素麺です。
食材それぞれの持つ色ごとに作用があるという考え方は、中国伝統医学(中医学)の薬食同源の思想に基づいた「薬膳」に通じるものです。
薬膳についてより詳しく知りたいと思い、まずは基礎的なことを調べてみました。
薬膳とは、健康維持や増進、病気の予防などを目的とした中国発祥の料理や献立のことです。
中医学の理論をベースに発達してきた学問の一種で、正式には「中医営養薬膳学」と言うそうです。
紀元前10世紀、中国周大の時代に、皇帝の食事を管理する「食医」と呼ばれる医者が、薬食同源の思想に基づき食べ物による病気治療をしていたのが起源と考えられています。
現代でも中国では薬膳が正式な医療として扱われており、医大では授業科目となっているそうです。
難しそうなイメージを持つ方もおられるかもしれませんが、季節の旬の食材を食べることも薬膳の食養生になるそうです。
季節やその日の体調などに合わせて食材を選び、美味しく食べることで、体を内側から整えるのが薬膳の基本とのことです。
西洋医学では、病気の患部に注目して投薬で早く治療することを目指しますが、中医学では、体全体のバランスや体質を診て、普段の生活から病気を予防していきます。
症状が現れていなくても体のバランスが崩れている「未病」の状態を、体質やその日の体調に合った食材を摂ることにより改善していこうというのが薬膳です。
薬膳の考え方では、すべての食物に効果があり、それぞれの食材の効果を理解することが大切で、その土地で採れた旬のものを食べることによりその季節に合った効能が得られるそうです。

<参考サイト>
・薬膳の基礎
https://yakuzen-komachi.jp/yakuzen-knowledge.html
・薬膳ってなに?体が喜ぶ「薬膳のきほん」をご紹介
https://www.saishunkan.co.jp/domo/column/lifestyle/yakuzen_basics/
・薬膳とは?基本の考え方や体質別のおすすめ食材をわかりやすく紹介
https://www.u-can.co.jp/%E8%96%AC%E8%86%B3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/column/column01.html?srsltid=AfmBOoqzauGN19kIIZw9VhPNpabZ1S7bCe-oj3gGnVURDYe8y3Kw6zjy
・薬膳とは? いつもの食材でできる薬膳の基本
https://www.yomeishu.co.jp/health/3371/
・薬膳の基本とは?陰陽五行説についても紹介!
https://www.brush-up.jp/guide/sc496/basic
③ 薬膳の基本は「陰と陽」と「五行」
薬膳の基本となる考え方はいくつかあり、それぞれにつながりがあるそうです。
主なものを調べてみました。
【陰と陽】
この世にあるものにはすべて相反する2つの側面があり、「陰」と「陽」に分けられる。
太陽と月、昼と夜、男性と女性、明と暗、上と下、左と右、東と西、奇数と偶数、背と腹など。
自然界でも人体でも、陰と陽がバランスをとって存在しており、どちらかに偏っている体の状態は不調につながると考える。
また食材にも体を冷やす「陰」のものと、体を温める「陽」のものがあり、健康を保つためには、それぞれを上手に組み合わせることが大切と考える。

【五行】
自然界に存在する物質を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの性質に分けたもの。
それぞれが相互に作用したり、反発しあったりして成り立っている。
例えば季節は「五時」(春・夏・土用・秋・冬)、方角は「五方」(東・南・中央・西・北)など、5つの要素が循環することにより、万物が生成され自然界が構成されるという考え。
「木」春、東に対応。発散、柔軟、伸びる、生長などの特徴がある。
「火」夏、南に対応。熱い、明快、上昇などの特徴がある。
「土」土用(季節の変わり目)、中央に対応。植物、動物、甘いなどの特徴がある。
「金」秋、西に対応。静粛、光沢、清潔、変革などの特徴がある。
「水」冬、北に対応。冷たい、高いところから下に流れる、などの特徴がある。

【五臓】
人の臓腑(肝・心・脾・肺・腎)を指す。
それぞれに役割があるが、西洋医学で考える臓器(肝臓、心臓など)と同じ役割ではない。
「肝」自律神経や情緒などをコントロールする、血を全身に巡らせ蓄える、目の働きなど。
「心」全身に血を循環させる、精神を良好に保つ、冷えを防ぐなど。
「脾」食材を吸収・分解して気血水をつくりだす、全身に栄養を届ける、四肢や筋肉をつかさどる。
「肺」呼吸機能、体内の水分調節、免疫機能の調節、肌の保護など。
「腎」泌尿器系、ホルモンバランスの調整、老化予防、発育促進、エネルギー蓄積など。

薬膳は、「陰陽」の2要素と「五行」の5要素の組み合わせによって事象を解釈する「陰陽五行説」に基づいています。
季節の食材を、五つの味(五味)、五つの色(五色)などを意識して組み合わせることで、見た目、味、栄養面ともにバランスのとれた健康に良い料理ができるそうです。
【五味】
食材の味や、食材が五臓に対して作用する効能を指す。
「酸・苦・甘・辛・鹹(かん:塩辛い味)」。
「淡(はっきりしない味)」を加えて「六味」とする場合も。
「酸」精神の緊張を和らげる、下痢や汗、せきを止める。レモン、ザクロ、酢、ブルーベリー、リンゴ、スモモなど。
「苦」体内の余分な熱や水分を除去する。セロリ、緑茶、アロエなど。
「甘」食欲増進、解毒作用。蕎麦、牛乳、卵、トウモロコシ、穀類、トマト、ブドウ、リンゴ、キュウリなど。
「辛」気の巡りを活発にする、発汗作用。ネギ、ショウガ、ワサビ、ニンニク、唐辛子、コショウなど。
「鹹」便秘や腫れものを改善。イカ、アサリ、タコ、味噌、昆布、海苔、クラゲなど。
「淡」もたれ、むくみなどに対応。ヨクイニン、冬瓜など。

【五色】
食材を持つ色ごとに作用があり、5つの色の食材をバランスよく取り入れることで健康になると言う考え方。
「赤」元気や活力を与える。トマト、赤ピーマン、肉類など。
「黄」気分を明るくする、消化を助ける。柑橘類、カボチャ、味噌など。
「緑」気分をリラックスさせ、体調を整える。ホウレンソウ、セロリ、春菊など。
「白」心身ともにすっきりする。ダイコン、白ゴマ、白米など。
「黒」心を落ち着かせる、ホルモンバランスを整える。シイタケ、黒豆、海苔など。
【五性(五気)】
食材はそれぞれ体を温めたり冷やしたりする性質により5つに分類され、これを「五性」または「五気」と言う。
「温性」体を温める。もち米、ショウガ、タマネギ、シソ、ニラ、栗、サケ、ミカンなど。
「熱性」体を極端に温める。酒、唐辛子、コショウ、シナモンなど。
「涼性」体を冷やす。蕎麦、ナス、キュウリ、水菜、セロリなど。
「寒性」体を極端に冷やす。ゴーヤ、トマト、ズッキーニ、スイカ、バナナなど。
「平性」体を温めも冷やしもしない。うるち米、豆類、キャベツ、ニンジン、豚肉、タラなど。

<参考サイト>
・【3分でわかる漢方入門】食養生の基本! 五味・五性・五色とは?
https://www.saishunkan.co.jp/domo/column/lifestyle/basics_of_diet_cure/
・五味・五色・五法・五適・五感の料理
https://hino-seiyaku.com/blog_crude_drug/food/post_22.php
・漢方の基礎知識6「五臓とは」
https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/about_kampo/?p=11758
④ 人体を構成する3要素と体質の関係とは?
中医学では、人体は「気」「血」「水(津液)」の3つの要素で構成されており、相互に影響を及ぼし合っていると考えます。
「気」は体を動かす役割を持ち自律神経系や内分泌系の働きに関わる生命活動のエネルギー源、「血」は全身に栄養を与える血液とその中に含まれる栄養素、「水」はリンパ液や汗、鼻水など血液以外の体液で免疫力に深く関わっています。
健康を保つためにはこの3つのバランスを整えることが大切で、どれか1つでも不足したり働きが乱れたりすると他にも影響して、体や心に不調が現れるとのことです。
それぞれが不足しているタイプか、流れが滞っているタイプかによって6つのタイプに分けられます。
複数のタイプに該当することも珍しくないそうです。
【気虚(気が足りないタイプ】
免疫や血液循環の促進などの役割を持つ気が不足している体質を指す。
疲れやすい、息が切れやすい、感染症にかかりやすい、気分が落ち込む、消化不良になる、食欲が減退するなどの症状が出やすい。
過労を避け、睡眠をしっかりとることが大切。
生ものや冷たいもの、脂っこいものは避け、体を温める消化の良いものを食べると良い。
【気滞(気の巡りが滞っているタイプ】
気がうまく循環していない体質を指す。
イライラしやすい、怒りっぽい、胸やみぞおちなどにつかえを感じるなどの症状が出やすい。
ストレスをためないようにし、ハーブやかんきつ類など香りの良いものや、カルシウムなどのミネラル類を摂ると良い。
【血虚(血が足りないタイプ】
血が不足し、全身に栄養を行き渡らせる機能が弱まっている体質を指す。
不眠、肌につやがない、目の疲れ、立ちくらみなどの症状が出やすい。
過労や無理なダイエットは避けるようにし、体を温め消化の良いものや、赤い食材、黒い食材を摂ると良い。
【瘀血(おけつ:血の巡りが滞っているタイプ】
血の循環が悪くなっている体質を指す。
シミやにきび、クマなどができやすく、頭痛、肩こり、関節痛、静脈瘤、神経痛などの症状も出やすい。
脂肪分や塩分の多い食品、冷たいものの摂りすぎに注意し、生活習慣を見直して、体を温め血行を良くするものを摂ると良い。
【陰虚(水が足りないタイプ】
体を潤す水分が不足している体質を指す。
体が乾燥しやすくなり、のどが渇く、口や鼻が乾燥する、皮膚がカサカサする、便が硬くなるなどの症状が出やすい。
過労や睡眠不足を避け、体に潤いを与える食品を摂るようにすると良い。
【淡湿(水の巡りが滞っているタイプ】
水分がうまく循環していない体質を指す。
体が重くだるい、むくみやすい、水のような鼻水などの症状が出やすい。
水分の摂りすぎに注意し、冷たいものや生もの、刺激物は避け、水分代謝を良くする食品を摂るようにすると良い。

<参考サイト>
・薬膳 きほんの「き」(1)気血水
https://www.yakuzen-yuyu.com/yakuzen_kihon/kihon_1
・食べるだけで美を底上げする!?薬膳のポイントとは
https://chuigaku-cocokara.jp/magazines/2017/05/vol14/
⑤ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
今年も新春企画として、「小豆島の美味しい物を詰め込んだ『小豆島福箱』」を特別価格、数量限定で販売させていただきます。
今回の内容は、11月から12月31日までの期間限定として紹介しておりました「小豆島のお!いしい逸品」の中から、さらに人気の食品だけを選んで特別なセットにしました。
きっとこんな特別なセットは、他では見られないはずです!(笑)
石井製麺所で冬の時期に圧倒的な人気がある「手延べ半生うどん」を4袋セット。
冬場に食べていただきたい黒の食材「黒ごま(ペースト)」を練り込んだ「手延べ黒ごま麺」。
いりこならではの旨みと栄養をぎゅぎゅっと凝縮して、おやつとしてもクセになる「いりこぶし(池田漁業協同組合)」。
小豆島中山の山中で若い農家さんが丁寧につくった原木椎茸を使ってご自身で乾燥までされている「原木椎茸を使った干し椎茸(箭木椎茸園)」。
小豆島の新しい特産品として取り組まれている「しょうどしま長命草」を使い、島産の手づくり塩とブレンドした「長命粒塩(LINKFAMILY)」。
これ一本あれば、お料理のバリエーション広がる万能醤油調味料「味醤油360mL(丸島醤油(株))」。
ぜひ、この機会にお求めください。
発売は1月中旬を予定しております。

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《【2025新春特別価格】小豆島福箱》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。