【お!いしい けんぶんろく】 Vol.55
麺究者への道/焼酎と泡盛について研究してみる
石井製麺所通信第15号でご紹介をさせていただきました、弊社のテーマソング『便り届くよ』。
瀬戸内のおだやかな海にかこまれて、振り返れば寒霞渓(かんかけい)と青空のコントラスト、初夏に花が咲き秋には豊かに実るオリーブ。
歌詞に小豆島の豊かな自然が編み込まれた一曲は、島で育った三代目にとって、新しい小豆島の歌になりました。
(小学生の頃、『二十四の瞳』や『オリーブの歌』をよく歌いました。小豆島ゆかりの歌は、島っ子はいつのまにか歌えるようになりますね。小豆島と高松を結ぶフェリーで流れていた頃が懐かしくもあります。)
写真は、そんな『便り届くよ』を演奏してくださるリトルドリーミングの皆さまとの一枚です。
先日、高松の下笠居コミュニティセンターでコンサートがありまして、『便り届くよ』を一緒に歌おうとお誘いをいただきました。
リトルドリーミングの音楽は、まずは“詞”から始まります。
詞があって、曲をつける。
リーダーの方のお話では、詞に出会って、自然と曲が浮かんでくることもあるそうです。
やさしいメロディーと歌声、そして手話コーラスにのせて、詞を書いた人の想いが届けられます。
『便り届くよ』の詞を書いてくださったのが、弊社を長年ご愛顧いただいているお客様で、手話コーラスをされていらっしゃいます。
手だけでなく全身を使って表現される手話は、私にはまるで舞踏のように見えます。
手話のひとつひとつの意味が分からなくても、詞に込められた想いは観る人に伝わるのですね。
そして急遽、私も手話コーラスに参加しました。
前日のリハーサル中に手話を教えていただき、本番では観客の方々と一緒に手話コーラスにチャレンジ!
手話の先生の動きをお手本に、曲に合わせて会場のみんなで手話をする。
身振り、手振りのひとつひとつに気持ちを込めて…心の声で歌うって、こういうことでしょうか。
コンサートのステージに立つこと、歌うこと、みんなで演奏する楽しさと、そして今回の手話コーラスも、私にとっては初めての体験ばかり。
三代目になって、こんなチャレンジができるなんて想像していませんでした。
リトルドリーミングの皆さまに、心からの感謝を申し上げます。
今度は詞を書くことにチャレンジです!
さて、今回のブログですが、今回も手延べ素麺からは大きく離れたテーマですが、発酵熟成について知識を得られる大切なテーマです。
ブログの最後には、「泡盛」を活用した手延べ素麺の商品もご紹介しておりますのであわせてご覧ください。
ぜひご一緒に、焼酎・泡盛の世界に浸っていただけましたら。

【目次】
① 日本を代表する蒸留酒「焼酎」
② 「焼酎」と「泡盛」の違いとは
③ 焼酎と泡盛の歴史と産地、主原料の多様化について
④ 焼酎と泡盛の製法について
⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》泡盛酒かすそうめん
① 日本を代表する蒸留酒「焼酎」
お酒は、その製造方法により「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の3つに分類されます。
この中で最も製造方法がシンプルで長い歴史を持つ「醸造酒」は、原料に酵母を加え、アルコール発酵させたもので、日本酒やビール、ワインなどです。
「蒸留酒」は原料を発酵させた液体を蒸留してつくるもので、穀物などの発酵液を蒸留した焼酎、麦芽などの発酵液を蒸留したウイスキー、果実酒を蒸留したブランデーなどがあります。
「混成酒」は、醸造酒や蒸留酒に甘味料や香料を加えてつくるお酒です。
「蒸留」とは、液体を加熱し気体にして、それを冷やして液体に戻すことです。
蒸留酒は、アルコール分を気体にし、それを液体にしてつくるため、醸造酒に比べてアルコール度数が高い傾向にあるそうです。
度数が高いため保存しやすく、また水割りや炭酸割りなど、多様な飲み方が楽しめるのも特徴です。
「焼酎」は、酒税法により、アルコール度数が45度以下の「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」と、36度未満の「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」の2種類に分けられます。
「単式蒸留焼酎」は、基本的に一回のみの蒸留でつくられ、原料の風味をダイレクトに感じられます。
原料には、米、麦、サツマイモ、蕎麦、黒糖などが使われます。
「連続式蒸留焼酎」は、蒸留を何度も繰り返してつくられるのでアルコールの純度が高まり、クセのないすっきりした味わいになります。
酎ハイやサワーなどのベースとして使われることが多いそうです。
これら2種類を混ぜたものを「混和焼酎」と呼びます。
九州は、ほぼ全県が焼酎の消費量・製造量ともに全国上位に入るほど、焼酎が根付いている地域です。
焼酎の蔵元の数は全国の3分の1以上を九州が占めており、中でも鹿児島県には100以上の蔵元があり、銘柄数は2000以上とも言われているとのことです。
鹿児島県内で2番目に蔵元が多いいちき串木野市では、2013年、全国で初めて「本格焼酎による乾杯を推進する条例」が制定されたそうです。
九州で焼酎文化が発展した背景としては、そのルーツとなる蒸留酒が琉球(現在の沖縄県)から九州に伝わり広まったことや、原料となるイモや米、麦などの栽培が盛んだったことに加え、料理との親和性も着目されています。
海外では蒸留酒を食中に飲む習慣はないそうですが、焼酎は料理と一緒に楽しむ食中酒として親しまれています。
蒸留酒としてはアルコール度数が高くなく、ストレートやロック、お湯割りや水割り、ソーダ割りなど、多種多様な飲み方ができるので、銘柄に合わせて、また料理に合わせて楽しめるのも魅力です。
原料も多彩なので、例えば、個性の強い味わいの芋焼酎には、それに負けない味付けの濃い豚の角煮や、宮崎地鶏の炭火焼き、甘みのあるさつま揚げを。
香ばしさの感じられる麦焼酎には、燻製料理や焼き牡蠣、麦味噌のちゃんこ鍋を。
米焼酎には、九州の甘口醤油でいただく馬刺しや新鮮なイカの活きづくりを、など、各地の料理と引き立て合うペアリングを試してみるのも良さそうですね。
※写真はPhotoAC「真上から見た酒瓶とグラス」より
<参考サイト>
・蒸留酒とはどんなお酒?製造方法や種類による特徴、味わいの違いも
https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/000913.html
・蒸留酒とはどんなお酒? 製造方法やカロリー、種類について解説!【蒸留酒の基礎知識】
https://www.ienomistyle.com/sakeguide/20211217-5459
・焼酎の蔵元が集中する焼酎王国、九州。そのワケと代表的蔵元は?
https://tanoshiiosake.jp/6930
・【保存版】焼酎銘醸地「九州」を徹底解説!各県の特色や定番銘柄、郷土料理ペアリングもご紹介!
https://www.nishinippon.co.jp/yakusake/2022/11/14/shochu-kyushu/
・STORY 3 – 食中酒として愉しめる唯一の蒸留酒
https://kagoshimahonkakushochu.com/pages/story3
・串木野の乾杯推進条例!
https://www.hamadasyuzou.co.jp/denbee/column/post_17.html
・○いちき串木野市本格焼酎による乾杯を推進する条例
https://www.city.ichikikushikino.lg.jp/reiki/H425901010027/H425901010027.html
・ニッポン伝統の「食中酒」。本格焼酎と料理のペアリングはこう楽しむ
https://www.syokuraku-web.com/column/100617/#goog_rewarded
・「美味しい焼酎」が飲みたい人必見!焼酎の基礎や外さない選び方、種類別ペアリングを徹底解説!
https://www.nishinippon.co.jp/yakusake/2022/10/16/oisii-shochu/#index_id41
② 「焼酎」と「泡盛」の違いとは
沖縄県の伝統的な蒸留酒「泡盛」は、酒税法では「焼酎」に分類されるそうで、詳しく言うと「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」に分類されます。
焼酎と大きく異なるのは、主原料である米と麹の種類です。
ほとんどの泡盛は、ジャポニカ米ではなくタイ米を使っています。
泡盛発祥の地である沖縄において、明治時代にはすでに外国産の米が使われており、その中でも主に輸入されていた中国・韓国の米の値段高騰によってアジア各国の米も輸入されるようになり、タイ米が主に使われるようになったという説が有力だそうです。
タイ米は硬質なので麹をつくる作業に適していた、アルコール発酵の際の温度管理がしやすい、蒸留した際のアルコール収量が多い、などのメリットもあるとのことです。
麹については、焼酎では主に白麹が用いられるのに対し、泡盛では黒麹が用いられます。
製造工程において、もろみの温度が高すぎると雑菌が繁殖してもろみが腐ってしまいます。
黒麹菌は雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を多くつくるので、もろみの酸度を上げる特性を活かして泡盛の製造に使われているそうです。
黒麹は東南アジア諸国で伝統的にお酒づくりに用いられてきたものが、沖縄から九州に伝わったとされています。
また、白麹菌は沖縄の泡盛黒麹菌から突然変異で生まれたもののため、焼酎のルーツは泡盛とも言われています。
また、焼酎と泡盛では仕上げの工程が異なります。
泡盛は、原料の米を米麹にし、水と酵母を加えて発酵させたもろみを蒸留してつくる「全麹仕込み」という製法でつくられます。
焼酎は、つくったもろみにさらに原料を仕込んで発酵させる「二次仕込み」を行い、それによりできた二次もろみを蒸留してつくられます。
焼酎は数週間貯蔵された後、瓶詰めされて出荷されます。
泡盛は、数週間で出荷するものもあれば、長期にわたり熟成させるものもあります。
泡盛を3年以上貯蔵したものは「古酒(クース)」と呼ばれます。
独特の香りやまろやかさを持ち、アルコール度数が40度前後と高いのが特徴です。
※写真はPhotoAC「酒飲みシーサー」より
<参考サイト>
・焼酎と泡盛の違いとは?初心者向けに種類や特徴をポイントで徹底解説
https://www.designlearn.co.jp/shochu/shochu-article12/#d0e9d87eb78fa54e47cd213ca7606442
・焼酎と泡盛の違いを4つのポイントから説明します。
https://www.akugare.jp/shochu-awamori
・焼酎と泡盛の違いについて
https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%81%A8%E6%B3%A1%E7%9B%9B%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
③ 焼酎と泡盛の歴史と産地、主原料の多様化について
蒸留酒をつくるのに欠かせない技術である蒸留は、紀元前4~3世紀頃のメソポタミア文明で開発され、香水を生成するために用いられていました。
アルコール生産に蒸留技術を使用した最古の記録は、紀元前800~750年のインドとエチオピアに残っているとのことです。
日本には15世紀、室町時代中期に蒸留技術が伝わったとされています。
焼酎は、13~14世紀頃にはすでに中国大陸や南海諸国で製造されていたと考えられています。
日本への焼酎の伝来については諸説ありますが、有力とされているのが、琉球(沖縄)・薩摩(鹿児島)を経由して全国へ伝わったという説です。
15世紀には泡盛の原型に近い蒸留酒がつくられていて、15世紀後半になるとシャム(現在のタイ)との交易が減ったことから、琉球独自の焼酎である泡盛がつくられるようになったと考えられます。
1534年の書物「陳侃使琉球録(ちんかんしりゅうきゅうろく)」に、シャムから渡来した南蛮酒という酒について記されています。
糖蜜ともち米を原料とした「ラオロン」と呼ばれる蒸留酒が輸入されていたそうです。
1546年、ポルトガルの商人が、現在の鹿児島県指宿市で「米からつくられたオラクア(焼酎)を飲んでいた」と記しています。
現在の鹿児島県伊佐市にある郡山八幡神社で「座主がケチで焼酎を飲ませてくれない」という1559年の大工の落書きが見つかっているそうです。
江戸時代、焼酎は薩摩を通じて琉球王朝から徳川幕府に献上され薬用酒として飲まれるなど、貴重なものとなっていました。
やがて沖縄や南九州地域だけでは需要の高まりに対応できなくなると、大名らが各地域の酒造に焼酎をつくるよう命じるようになりました。
これらの地元産焼酎と、貴重な沖縄の焼酎を区別するために、1671年頃から公式文書に「泡盛」の名前が登場するようになりました。
焼酎の製法が広まるとともに、各地で入手可能な材料に応じて主原料が多様化していきました。
鹿児島では、16世紀には米焼酎が主流でした。
しかし、米づくりに適さない土壌であり、1705年に持ち込まれたサツマイモの栽培に向いていたことから、サツマイモを原料として芋焼酎がつくられるようになりました。
19世紀には家庭内での芋焼酎製造が禁止され、薩摩藩主の島津斉彬が芋焼酎製造を推奨したことから薩摩藩内の都城市などに広がったそうです。
宮崎県や熊本県では17世紀の中頃までに焼酎がつくられるようになりました。
この当時、南九州では米が貴重だったこともあり、アワ・ヒエ・キビなどの雑穀からつくられていたと考えられます。
福岡県ではもともと清酒を多くつくっており、清酒の搾りかすである酒粕を蒸留する「粕取り焼酎」が生まれました。
長崎県の壱岐島では、米の多くが年貢に取られるものの、麦は年貢の対象ではなかったため、17世紀から農家が麦焼酎をつくるようになったそうです。
鹿児島県奄美大島では、明治から大正にかけて、黒糖を使った焼酎造りが始まりました。
大分県では、1951年に麦の統制撤廃により、麦麹を使った焼酎の開発が始まり、1973年に麦100%の「大分麦焼酎」が誕生してブームとなりました。
一方、泡盛は、17世紀には庶民の間にも広がっていきました。
その後、第二次世界大戦により、醸造所が多数あった首里城周辺も壊滅的な被害を受け、泡盛製造に欠かせない黒麹菌が失われてしまったそうですが、麹を作成していたゴザが発見され、蒸米を広げると、黒麹菌を繁殖させることができ、泡盛が復活したとのことです。
地域の⾵⼟と結びついた特産品を保護する国の制度「地理的表示(GI)」に、現在5つの焼酎が承認されています。
【壱岐焼酎(いきしょうちゅう)】(長崎県)
大麦と米麹、壱岐市内で採取した水を原料に造られる本格麦焼酎。
麦と米麹を2:1の割合で配合し、仕込みから瓶詰めまでの工程を壱岐市内で行ったもの。
麦のやさしい香りと米麹由来の甘みが特徴。
※写真はPhotoAC「壱岐 郷ノ浦港」より
【球磨焼酎(くましょうちゅう)】(熊本県)
熊本県内有数の米処である人吉球磨地方で古くから飲まれてきた本格米焼酎。
国内産の米と国内産米からつくった米麹、人吉市または球磨郡で採取した水のみを使用し、仕込みや蒸留、貯蔵、瓶詰めまでの工程を人吉球磨地方で行ったもの。
米由来のさわやかな香味とまろやかな甘みが特徴。
※写真はPhotoAC「球磨川第3橋梁」より
【薩摩焼酎(さつましょうちゅう)】(鹿児島県)
鹿児島県産のさつまいもと鹿児島県内で採水した水を原料に、鹿児島県内で製造・瓶詰めされた本格芋焼酎。
良質で新鮮なさつまいもと長年磨き上げられた技術で醸され、華やかで芳醇な香りと甘く濃厚な味わいを持つ。
※写真はPhotoAC「鹿児島の桜島」より
【琉球泡盛(りゅうきゅうあわもり)】(沖縄県)
500年以上前に琉球地方に伝来したといわれる沖縄の特産品。
沖縄県の水を使用し、発酵から蒸留、貯蔵、瓶詰めまでの全行程を県内で行ったもの。
多くはタイ米が使われ、黒麹菌を用いて原料の米をすべて米麹にしてから、一度きりの仕込みで発酵させる「全麹仕込み」が特徴。濃厚な香りと芳醇な味わいを持つ。
※写真はPhotoAC「黒麹」より
【東京島酒(とうきょうしまざけ)】(東京都)
2024年3月に指定された、伊豆諸島で製造される焼酎。
麦麹を使用しているのが特徴で、芋焼酎・麦焼酎・芋と麦のブレンド焼酎の3タイプがある。
麦の香ばしさや草木のような清涼感のある香りがあり、やわらかで軽快な後口の中にコクと旨みを感じられるのが特徴。
※写真はPhotoAC「八丈島 登龍峠展望」より
<参考サイト>
・焼酎の歴史をわかりやすく解説|焼酎の発祥から現在までを説明
https://www.sakesen.com/blog/history-of-shochu/
・本格焼酎と泡盛
https://www.japansake.or.jp/honkaku/about/all/history.html
・焼酎・泡盛の歴史
https://www.honkakushochu-awamori.jp/about-shochu-and-awamori/history-of-shochu/
・「焼酎って何?」その定義やルーツをお酒の専門家に聞く噺
https://sakabanashi.takarashuzo.co.jp/cat2/about_shochu_220121
・焼酎の「産地呼称(地理的表示・GI)」って? 個性の異なる4カ所の生産地域を知ろう
https://tanoshiiosake.jp/9587
・東京島酒が地理的表示(GI)に指定されました!「GI東京島酒」
https://www.sakagura-press.com/sake/gi_tokyoshimazake202405/
④ 焼酎と泡盛の製法について
「単式蒸留焼酎(乙類焼酎)」の中でも酒税法が定める条件を満たしたものは「本格焼酎」と呼ばれています。
短期間で大量生産が可能な「連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)」に比べて時間がかかるものの、原料本来の風味や香りを生かした個性豊かな焼酎に仕上げることができます。
その製造工程について、調べてみました。
【原料の処理】
主原料となる芋や米などをきれいに洗浄し、必要に応じて浸漬、水切り、蒸し、皮むき、冷却などの処理を行う。
【製麹(せいきく)】
米麹をつくる場合、まずは米を洗って水に浸け水分を吸収させる。
米を蒸して、広げて35℃くらいまで冷まし、白麹菌や黒麹菌、黄麹菌などの麹菌を振りかけて混ぜる。
高温多湿な「麹室(こうじむろ)」で麹菌を繁殖させて米麹をつくる。
【発酵】
麹に水と焼酎酵母を加えて混ぜ、約7日間かけて酵母を繁殖させ「一次もろみ(酒母)」をつくる(一次仕込み)。
純度が高く強い酵母と、発酵に不可欠な酵素・クエン酸をつくり出すことが目的。
この一次もろみに、米や芋などの原料と水を加えて混ぜ、約2週間かけて発酵させ「二次もろみ」をつくる(二次仕込み)。
原材料の旨みや甘みが引き出され、アルコール発酵が促進されてアルコール度数14~15%になる。
泡盛の場合は一次仕込みと二次仕込みに分けず、原料の米と麹菌、酵母、水を一度に仕込む「全麹仕込み」で発酵を進める。
【蒸留】
発酵を終えた「もろみ(発酵液)」を、単式蒸留器を用いて蒸留すると、焼酎の原酒ができる。
単式蒸留焼酎(乙類焼酎)の蒸留方法には、通常の気圧下で行う「常圧蒸留」と、蒸留機内の気圧を下げて行う「減圧蒸留」の2種類がある。
常圧蒸留は昔から使われている方法で、雑味などの成分が残りやすいが、原料由来の風味や香りが活きた個性豊かな酒質に仕上がる傾向があり、濃厚で長期熟成酒をつくるのに適している。
減圧蒸留は1970年代から始まった方法で、揮発成分が少ないため酒質が軽く、クセのないすっきりとした味わいになる。
【熟成(貯蔵・熟成)】
原酒はタンクなどの貯蔵容器に移され、少なくとも1〜3カ月は寝かされる。
熟成させることでガス成分が揮散して粗さがとれ、水がアルコール成分を包み込んで酒質が安定し、原酒にまろやかさが加わる。
熟成された後、質を一定にするため貯蔵容器ごとの原酒を混ぜ合わせ、水を加えてアルコール度数を調整し、瓶詰めして完成。
※写真はPhotoAC「瓶貯蔵して泡盛の古酒を製造している沖縄の蔵」より
<参考サイト>
・焼酎の造り方を知っていますか? 焼酎の種類や原料によって製造方法が違います
https://tanoshiiosake.jp/9400
・焼酎の作り方をわかりやすく解説|製造工程を詳しく説明
https://www.sakesen.com/blog/how-to-make-shochu/
・焼酎の製法と作り方について
https://www.asc-jp.com/osake/shochu/%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%81%AE%E8%A3%BD%E6%B3%95%E3%81%A8%E4%BD%9C%E3%82%8A%E6%96%B9%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》泡盛酒かすそうめん
今回、ご紹介させていただきたいのは沖縄県那覇市で立ち飲み処を営む「酔処 玉川(「よいしょたまりば)」様が商品開発された「泡盛酒かすそうめん」です。
琉球泡盛の酒かすを手延べ素麺に練り込みお店でメニューとしてご提供されるだけでなく、乾麺としても販売されているそうです。
泡盛は、恐らく記憶の限りでは飲んだことがないので、泡盛の酒かすを練り込んだ手延べ素麺がどんな風味なのかとても気になります。
「酔処 玉川」のご主人、松本様が「泡盛の酒かすが捨てられているという記事を見て、活用法のひとつとして商品開発に取り組んだ」そうです。
地域の特産品やフードロスなどの観点から新しい特産品が生まれるのは、原料、製造、販売、そして購入者の方にとってもメリットの大きいことですから「三方よし」どころか、四方も、五方もよし…といったところでしょうか。
石井製麺所でも、小豆島の特産品、香川県の特産品、そして地域を代表するような食材、日本を代表するような原料を活用した新麺開発に日々取り組んでおります。
写真は、これまた沖縄で注目される「月桃」を練り込んだ素麺とのセット商品です。
沖縄に行かなくても食べられるのは、いいですね。
機会がございましたらぜひ皆さんも召し上がってみられてはいかがでしょうか。
※写真は、酔処玉川様公式ネットショップより引用させていただいています。
《~畑が作る自然食~ 丸玄様公式ネットショップ》 https://tamariba.raku-uru.jp/
《自然栽培小麦100%使用手延べ素麺【夏季限定】》 https://tamariba.raku-uru.jp/item-detail/1652726
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.54
麺究者への道/国産小麦について研究してみる
さて、今回のブログのテーマは急遽、「国産小麦(粉)」についてです。
2023年8月4日に伺った「国際和食産業展・和麺産業展」にて、ある国産小麦粉メーカーさんとご縁があったのですが、その後、わざわざ小豆島の石井製麺所を訪れてくださいました。
先日も弊社をご訪問いただき、通算三度目のご訪問でした。
国産小麦を栽培する農家さんの視点に立ち、真剣に国産小麦粉の消費、商品化を考えておられて、石井製麺所にもご相談に来られました。
まだ、色々と課題はあるのですが、今後も協力できる所は協力させていただくことになりました。
今からとても楽しみです。
いつか、小麦がたくさん実る畑、産地を訪問してみたいと思っています。
今回のブログは、知ってるようで実はよく分かっていないなと気がついたので、ちょっと国産小麦(粉)にスポットを当てて調べてみました。
以前にも小麦についてはブログでも書いていますが、今回は国産にこだわった内容としてまとめています。
なんとなく、米は日本産、小麦は外国産のイメージがあったのですが、はるか昔から日本でも栽培されて、小麦の料理(食べ物)があったんですよね。
今回は製麺所にとっても大切な小麦粉のお話ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
【目次】
① 小麦と小麦粉の歴史
② 「国産小麦」の定義と、輸入小麦との違いについて
③ 国産小麦の代表的な産地や品種について
④ 春蒔き、秋蒔き、初冬蒔きとは?
⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》自然栽培小麦100%使用手延べ素麺
① 小麦と小麦粉の歴史
野生の麦は、今から1万年ほど前の西アジアやイラクあたりの山岳地帯の草原で生えていたことが分かっています。
1万年〜8500年前頃には、野生の麦に加え栽培した麦も食べていたようです。
小麦と大麦はまだ区別されず、石と石の間に挟んで粗く砕き、焼いて食べていたとのこと。
小麦と大麦は、どちらもイネ科に属する穀物ですが、小麦は弾力のもととなるタンパク質の一種「グルテン」を多く含み、大麦は水分を吸収しやすい、という性質の違いがあります。
紀元前6500年頃、小麦よりも大麦の方が栽培や収穫が容易であったことから、多く栽培されるようになりました。
大麦は、臼で粗挽きして土器で煮たお粥のような形状で食べられていたそうです。
小麦は、山岳地帯からメソポタミア平原や地中海沿岸、エジプトにまで広がりました。
紀元前3000年頃の古代エジプトで、「サドルカーン」と呼ばれる粉挽き専用の平らで大きな石がつくられ、小麦の外皮を取り除いた粉ができるようになりました。
この小麦の粉に水を加えてこねると弾力と粘りのあるかたまりができます。
これをオーブンで焼くと、比較的やわらかくおいしいパンができたそうです。
その後、手で回転させながら粉を挽く石臼が発明されました。
大麦の粉よりも小麦の粉の方が美味しいパンをつくれるため、大麦ではなく小麦が主に食べられるようになったとのこと。
紀元前400年頃にはギリシアで、その100年後にはローマで「水車」を使った製粉工場がつくられました。
600年頃には、オランダやイギリスの東海岸で「風車」を使った製粉工場が広がりました。
※写真はPhotoAC「オランダのキンデルダイクの風車」より
日本では、弥生時代の中末期(1~3世紀ごろ)には小麦や大麦が栽培されていたことから、麦を何らかの形で食べていたと考えられます。
4世紀には米とともに麦、粟、稗なども主食とされ、8世紀には朝廷が小麦や大麦の畑作を奨励したそうです。
「麦」は万葉集にも登場しています。
世界の製粉の発展に話を戻すと、動力が水車や風車になっても、17世紀頃までは小麦を一回挽いて粉と外皮を分けるだけのものでした。
17世紀のフランスで、石臼で挽いた小麦をふるいで分けることを繰り返す、今日の製粉技術と同じ考え方の段階式製粉方法が始まりました。
1833年に、回転する二本のロールの間を通して小麦を潰す「ロール式製粉機」がスイスで初めて実用化。
品質の良い小麦粉が大量に生産できるようになりました。
日本では1872年(明治5年)に政府が石臼式製粉機をフランスから購入し、東京の浅草蔵前に、水車を動力とした官営の機械製粉工場が建設されました。
明治20年代以降、現在に続く大手製粉会社の前身となる会社が相次いで創立され、機械製粉が本格化していきました。
1944年、小麦の品種「農林61号」が、佐賀県農業試験場で育成されました。
北関東から九州までの広域に普及し、一時は北海道でも栽培され、1959年~1978年までは全国作付面積のトップを占めました。
褐色で香りが強く、深みのある味わいが特徴で、評価が高い品種です。
栽培しやすく病気にも強い新品種の登場により収穫量が激減した現在でも、麺用として根強い人気を誇るそうです。
小麦の国内生産量を見てみると、1961年度の178万1000トンをピークに減少傾向となっています。
しかし、オイルショックを機に世界的な食糧危機が叫ばれ、日本の食糧自給率の低さが問題視されるようになると、輸入に依存していた小麦についても、国・県・農業団体等が麦作振興の各種施策や推進運動を展開するようになったそうです。
これにより麦作の収益性が向上し、小麦の作付け面積も回復していったとのこと。
2000年以降、地産地消や食物自給率の向上を目指し、高タンパク質でミネラル分が豊富な国産小麦の生産が、北海道をはじめ全国各地の生産者や食品会社の努力により着々と進められています。
2020年3月農林水産省の「麦の需要に関する見通し」によると、食糧用小麦の総需要量580万トンのうち、外国産輸入量は486万トン、国内産小麦の流通量は91万トンとなっています。
※写真はPhotoAC「麦畑4」より
<参考サイト>
・大麦と小麦の違い、アレルギーについて
https://mugi-lab.jp/contents/index17.php#:~:text=%E5%B0%8F%E9%BA%A6%E3%81%AB%E6%AF%94%E3%81%B9%E3%81%A6%E5%A4%A7%E9%BA%A6,%E3%81%A8%E4%BD%BF%E3%81%84%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%80%82
・小麦・小麦粉の歴史
https://www.seifun.or.jp/pages/92/
・小麦粉の歴史・文化
https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_03.html
・進化する国産小麦
https://www.benbu.jp/?mode=grp&gid=2555817
・コムギの大横綱「農林61号」を育成~ 小松一太郎の観察眼 ~
https://www.jataff.or.jp/senjin2/15.html
・戦中に開発の「農林61号」、うどん・パンに根強い人気…「鼻に抜ける独特の風味」
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220621-OYT1T50064/
② 「国産小麦」の定義と、輸入小麦との違いについて
小麦は、「胚乳」「表皮」「胚芽」で構成されています。
そのうち小麦粉になるのは、約83%を占める「胚乳」で、主な成分は糖質(デンプン)とタンパク質です。
「表皮」は約15%で主に飼料やペットフードなどに使われます。
「胚芽」は約2%で、糖質やタンパク質、各種ミネラルやビタミンを豊富に含み、分離精製して栄養補助食品などに使われます。
小麦は粒の硬さにより4つに分類されます。
小麦の硬さは含まれるタンパク質の質と量に大まかに比例します。
【硬質小麦】
主にアメリカ、カナダ産。
タンパク質が多く、粘り・弾力性に富み、パンや中華麺に向いている。
※写真はPhotoAC「パン」より
【中間質小麦】
主にオーストラリア、日本産。
タンパク質の含有量は中程度で、うどんなどに向いている。
※写真はPhotoAC「釜揚げうどん ゆでたて」より
【軟質小麦】
主にアメリカ産。
タンパク質が少なく適度にやわらかい。
ケーキ、お菓子、天ぷらなどに向いている。
※写真はPhotoAC「買ってきたケーキ」より
【デュラム小麦】
主にカナダ産。
柔軟で弾力性の強いグルテンを豊富に含み、スパゲティやマカロニなどコシの強いパスタに加工される。
※写真はPhotoAC「スパゲッティ(アップ)」より
日本で消費されている小麦の約9割は外国産で、残りが国産です。
麺類やパンなど、小麦粉を使った加工食品のパッケージに、「小麦粉(国内製造)」や「国産小麦」などの記載を見かけることがあります。
これらの意味を正しくご存知でしょうか?
「小麦粉(国内製造)」は、原材料表示欄に記載されています。
国内で製粉された小麦粉という意味であり、原材料の小麦の産地は明記されていません。
2017年に始まった加工食品の原産地表示制度により、主原料の産地表示が義務付けられました。
しかし小麦粉は原料である小麦の大半が輸入であり、製粉会社が複数の種類をブレンドして加工するため、原産地の明記が難しく、最終製造地を表す「国内製造」の表示が認められています。
「国産小麦」は、国産の小麦を製粉した小麦粉を使用していることを意味します。
この記載は義務ではなく、商品特長の訴求として任意で表示するものです。
100%使用の場合は100%と表示するか、割合を表示しなくてもよいことになっています。
100%に満たない場合は、その割合を併せて表示するよう法律で定められています。
国産小麦と輸入小麦の最大の違いは、グルテンの量だと言われています。
小麦粉は、大まかに、70%程度の炭水化物(デンプン)と6~15%程度のタンパク質で構成されています。
タンパク質は粘着力や伸びやすさを生むグリアジンと弾力性を生むグルテニンで、水を加えてこねるとこれらが結びついて、粘着力、伸び、弾力という性質を持つ小麦特有のグルテンに変化します。
麺やパン、お菓子などは、このグルテンの性質を利用してつくられます。
小麦粉は、含まれるタンパク質(グルテン)の質と量により、「強力粉」「中力粉」「薄力粉」の3つに大きく分類されます。
素麺には、強力粉に近い粘りのある中強力粉が主に使われます。
【強力粉】
グルテンの量が多く、強い。粒が粗い。
主な用途はパン、餃子の皮、中華まん、ピザなど。
【中力粉】
強力粉と薄力粉の中間。
主な用途は素麺、うどんなど。
【薄力粉】
グルテンの量が少なく、弱い。粒が細かい。
主な用途はケーキ、お菓子、天ぷらなど。
国産小麦はタンパク質の割合が低く、あまりグルテンが生まれないのに対し、輸入小麦はタンパク質が多く含まれグルテンが多く生まれます。
他にも、国産小麦はこねる際にべたつきやすい、小麦の風味が強い、もっちりした食感、といった特徴があり、輸入小麦はボリュームが出やすい、まとまりやすくこねやすい、あっさりした風味、ふんわりした食感、などの特徴があります。
これらの性質から、麺やパン、お菓子づくりにおいて輸入小麦が主流となってきました。
しかし近年、国産小麦の品質は大幅に向上し、また、かつて日本では栽培が難しいとされてきたパン用や中華麺用に使われる強力系小麦の生産が拡大しているそうです。
※写真はPhotoAC「小麦粉とパン」より
<参考サイト>
・「小麦粉(国内製造)」と「国産小麦」の表示について
https://faq.pasconet.co.jp/faq/show/73?category_id=1&site_domain=default
・小麦粉の国産と国内製造の違い、そばの原料は小麦粉? わかりにくい食品表示
https://flour.empacede.co.jp/eating/labeling/
・国産小麦の特徴とは 品種や利点を解説、輸入小麦との比較も
https://www.pascoshop.com/Page/LP/column/14.html?srsltid=AfmBOoqJq3tQ8BoEMLSgTe_G2QjJ8ndy3fo6zS8znhJUVqlDVNCTL0G8
・小麦・小麦粉の基礎知識
https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_01.html
・小麦・小麦粉の基礎知識
https://www.shimabara-soumen.com/category/1928098.html
・そうめんの原料
https://www.inosuke.co.jp/SHOP/104094/list.html?srsltid=AfmBOorpOkSfrcOYcIXV7Q1uqI1cmQjFre8jgR_kvt-XG77-4i0eKhci
・ラーメンを支える国産小麦の生産現場
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2412/spe1_02.html
・北海道だけじゃない! 全国で広がる国産小麦
https://special.nikkeibp.co.jp/NBO/businessfarm/agribusiness/13/
③ 国産小麦の代表的な産地や品種について
農林水産省の「麦の生産をめぐる事情」によると、小麦の自給率はここ数年15%前後で推移しているそうです。
小麦の用途として一番多いのはパン用で、中華麺用、日本麺用、菓子用と続きます。
うどん、素麵、蕎麦のつなぎなどに使われる日本麺用は、国産小麦だけで見ると約60%を占めています。
2024年の小麦の収穫量を都道府県別に見ると、最も多いのは北海道で、全国の69.2%を占めます。
収穫期に雨が少ないうえ夏も涼しく、乾燥した気候が、小麦栽培に適しているそうです。
その他、福岡県・佐賀県・愛知県・三重県などが主要な産地となっています。
日本での小麦栽培は中力系の品種が多く、タンパク質含有量の多い強力系小麦は、本州以南では梅雨がありじっくり熟成させづらく栽培が難しいとされてきましたが、近年、品種改良され、北海道の「ゆめちから」などパンや中華麺に向く小麦が次々登場しているそうです。
また、単収(単位面積当たり収量)の多い品種も注目されており、北海道では「ホクシン」から「きたほなみ」へ、関東では「農林61号」から「さとのそら」へと切り替えが進んだそうです。
国産小麦の代表的な品種について、産地や特徴、用途などを調べてみました。
【きたほなみ】(北海道)
国内で最も多く栽培されている品種。
主に日本麺に使われる。
大量生産されており価格が安いことから、薄力粉や中力粉に加工されたり、強力粉とブレンドしたりして、パン、菓子などにも幅広く使われている。
【ゆめちから】(北海道)
パンや中華麺用の品種。
国産小麦の中でも特にグルテンを多く含む、強力粉用の小麦。
よくふくらんでボリュームを出しやすい。
【春よ恋】(北海道)
パンや中華麺用の品種。
強力粉に加工される。
甘みや旨みが強く、小麦本来の味わいを楽しめる。
ふわふわ感ともちもち感の両方を出せるとして注目されている。
【さとのそら】(埼玉県、千葉県)
従来の主要品種であった「農林61号」の後継品種。
成熟が遅い、茎が長くて倒れやすい、病気に弱いといった農林61号の欠点を克服した。
色合いがきれいで、焼き上げたときのさっくりした食感が特徴で、主に菓子に使われる。
【シロガネコムギ】(埼玉県、静岡県、兵庫県、鳥取県、佐賀県)
日本麺に加工されることが多い。
穂が倒れにくい、病気に強い、製粉性に優れているという特長がある。
焼き菓子は歯切れよく焼き上がる。
うどんの生産量1位を誇る香川県のホームページ「県産小麦のあゆみ」によると、小麦の栽培品種として優先される条件は、安定して多くの量が収穫できることに加えて、近年は、製粉や製麺への適性が良好であることが品種選定の大きなポイントだそうです。
香川県の小麦の生産量と栽培面積は、ともに1961~1962年頃が戦後のピークだったとのこと。
その後、高度経済成長に伴う小麦の生産意欲の低下や、収穫期の長雨による大被害などにより、1973年の栽培面積は1962年のわずか2%となりました。
1970年代からオーストラリア産の小麦がうどんの原料に使われはじめました。
現在では年間約70万トンものうどん用小麦がオーストラリアから輸入されており、日本で消費されるうどんの原料の大半を占めています。
オーストラリア産小麦は、小麦粉生地の安定性、うどんの黄白色の色調、適度な弾力の食感、ゆでた後の麺の劣化の遅さなどの優れた特性により、高く評価されてきました。
手延べ素麺の原料としても、オーストラリア産の小麦が適しているとされ、多くの素麺製麺所が使用しています。
こうした状況の中、讃岐うどんを地元産小麦でつくろうという強い想いのもと、2000年に開発されたのがうどん用の小麦「さぬきの夢」。
香川県の農業試験場が品種交配・選抜を繰り返し、10年がかりで開発しました。
「さぬきの夢」はもっちりした食感や旨みには定評がありますが、タンパク質の量が少なくもろい性質のため、生地にした際の弾力が弱く、うどんにすると切れやすいなどの扱いにくさが課題でした。
弾力の弱さを克服しようと新品種の開発が進められ、小麦特有のたんぱく質「グルテン」に着目。
数万の個体から最もバランスのとれたグルテンを持つ新しい品種が選抜されました。
グルテンの切れやすさを比較した実験では、今の品種の3倍以上の時間が経っても新品種は切れなかったとのこと。
2024年秋から本格的な栽培が始められているそうです。
※写真はPhotoAC「釜玉うどん」より
<参考サイト>
・国産小麦の需要拡大に注目! 栽培条件や消費・生産動向、参入の成功事例を解説
https://minorasu.basf.co.jp/80508
・【地域別】小麦の主な品種一覧! 特徴を踏まえたおすすめは?
https://minorasu.basf.co.jp/80913
・【国産小麦の特徴や種類】素材にこだわる製麺所が詳しく解説!
https://tsumura-seimen.co.jp/post-1896/
・[JAPAN] 品種改良で進化したニッポンの麦
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1602/spe1_03.html
・県産小麦のあゆみ
https://www.pref.kagawa.lg.jp/seiryu/sanukinoyume/menpaku/03_ayumi.html
・讃岐うどん 支える小麦 産地オーストラリアと日本の開発最前線
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230510/k10014062521000.html
・「さぬきの夢2000」小麦開発ストーリー
https://flour-net.com/column/sanukinoyume/sanuki2000_story/
・うどん用小麦「さぬきの夢」
https://www.flour.co.jp/knowledge/sanuki-no-yume/
④ 春蒔き、秋蒔き、初冬蒔きとは?
小麦の栽培方法は、もともとは秋に種を蒔き、冬の寒さに遭遇してから穂を出す「秋蒔き」でしたが、寒すぎて小麦が冬を越せない地域でも栽培できるよう、春に種を蒔く「春蒔き」の小麦が生まれたそうです。
さらに「初冬蒔き」もあるとのことです。
それぞれの特徴などを調べてみました。
【秋蒔き】
9月中旬に種を蒔き、10月上旬に出た新芽は雪の下で冬を越し、春の雪解けとともに勢いよく伸びる。
収穫は7月下旬~8月上旬。
栽培期間が10カ月と長く、収穫量が多く効率の良い栽培方法。
「きたほなみ」などの中力系。
近年、品種改良により「キタノカオリ」「ゆめちから」などの強力系も栽培できるようになった。
【春蒔き】
品種改良により、温かい期間だけで栽培できる品種を選抜して生まれた。
4~5月に種を蒔き、8月上旬~中旬に収穫。
栽培期間が短いので収穫量が少なく、また収穫期は雨も多いため品質が不安定になりやすいとされる。
「春よ恋」「春きらり」など、グルテンが豊富な強力系。
【初冬蒔き】
春蒔きのパン用として流通しており、2年連続の大不作後に生産中止となった「はるゆたか」という品種を復刻させるため開発された栽培方法。
北海道で雪が降る直前の11月に種を蒔き、春蒔きよりも2週間ほど早く成長して7月中旬に収穫できる。
※写真はPhotoAC「麦踏み」より
<参考サイト>
・国内生産量No.1!北海道産小麦のあれこれを教えます
https://www.hokuren-greenplus.jp/html/page112.html
・”春まき小麦”と”秋まき小麦”の違いは?『はるゆたか』と”初冬まき”、『キタノカオリ』と”穂発芽”/パン教室講師が徹底解説!
https://noraneko19.com/spring-autumn-wheat/
・北海道で秋まき小麦の種まきが始まりました。雪の下で小麦の芽はどうやって過ごすの?
https://tenki.jp/suppl/romisan/2019/09/05/29401.html
⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》自然栽培小麦100%使用手延べ素麺
ホームページより抜粋
「丸玄が無肥料、自然栽培で大切に育てた小麦を香川県小豆島の石井製麺所さんにて、手延べ素麺にしました。
天日干しと室内干しの配分を職人の勘と経験で、天気、気温、湿度を見極め調整し締まりのある素麺に仕上げております。
とても手間のかかる作業も惜しまず丁寧に大切につくって下さいました。
丸玄の手延べは真っ白では有りません。製粉の際にふすまを残しているため少し麦の色が入りほんのり肌色なのも特徴です。
小麦特有の香りもほのかに感じられ、食物繊維も豊富です。
この夏、他の手延べには無い特徴と美味しさをお楽しみ下さいませ。」
南アルプス市江原で自然栽培に取り組む丸山様からご連絡をいただいたときには、とても驚きました。
自然栽培にこだわり大切に育てられた小麦(粉)を、数多くある製麺会社の中から石井製麺所へ託してくださりました。
国産小麦ということもあり、はじめは製麺できるかが不安でしたが、最終的にはとても良い麺に仕上げることができ、自信を持って手延べ素麵としてお返し(納品)することができました。
紹介文にもあるとおり、“ふすま”が残っているため、優しい自然な色合いの麺色で、小麦ならではのとても芳ばしくも良い香りのする素麵です。
夏季限定販売のため現在は取り扱っておられませんが、また販売再開の際には、ぜひお求めください。
※写真は、丸玄様公式ネットショップより引用させていただいています。
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《~畑が作る自然食~ 丸玄様公式ネットショップ》 https://marugenomame.thebase.in/
《自然栽培小麦100%使用手延べ素麺【夏季限定】》 https://marugenomame.thebase.in/items/87876950
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.53
麺究者への道/豆類を使った発酵⾷品について研究してみる
さて、今回のブログのテーマは「豆類」の発酵食品についてです。
その「豆」に関連して、小豆島で3月15日(土)、16日(日)に開催される「豆まめ市場」をご紹介させていただきます。
今回は豆繋がりということで(笑)。
食品関連のイベントではありませんが、小豆島内外からクラフト作家さんにお声がけして展示販売を行っているイベントだそうです。
飲食の出店や佃煮会社さんの出し物(この時は佃煮すくい)もあってけっこう楽しげなイベントです。
主催されるのは、「豆まめ市場実行委員」の皆さんで、島の若者(だけじゃありませんが)が中心となって、島に新しいイベントを開催しようと毎年3月に実施されているものです。
昨年の開催日に伺いましたが、あいにくの雨(大雨!)でしたが出店者の皆さんは慣れたもの(?)で接客をしておられました。
島内では春めいてくると毎週のように島中のあちこちでイベントが開催されていて、島の方はもちろん観光で来られた方にも楽しいひとときを提供くださっています。
私は製造もあってなかなかお手伝いできませんが、主催されている皆さんを応援させていただければと思います。
島でのイベントは、島外の方との交流の機会でもありますし、日常では味わえない楽しい時間や珍しいもの、美味しいものもたくさんあって、これからも増えていくと嬉しいなと思います。
いつか、石井製麺所も何かの出店ができればと思います。
(商工会、自治会でのイベントではお手伝いなどしていますが)
寒さが厳しい日が続きますが、素麺づくりにはちょうど良いお天気と乾燥具合です。
人間にとってはとても厳しいですが、これも美味しい素麺ができると思えば、ありがたい寒さなのかも知れません。
最近は雪が降る日も多く寒さ厳しいですが、そのぶん春の訪れが待ち遠しいですね。
今回のブログは冒頭でも触れましたが「豆類」の発酵食品に関する内容です。
以前に、「納豆」「味噌」「醤油」とブログのテーマにしたことがありますが、今回は「豆類(に似たもの含めて)」です。
豆と思って調べていたら、豆でなく「種」だったりする内容もありますが、今回も最後までお付き合いください。
「小豆島で一番のクラフト市場 豆まめ市場」
日時 3月15日(土)10:00〜16:00、16日(日)9:00〜15:30
場所 安田の馬場
ホームページ mame2ichiba.jimdofree.com

写真は、「豆まめ市場実行委員会」様からご提供いただいたものです。
【目次】
① 言わずと知れた納豆・味噌・醤油
② 身近で意外な豆類(に似た)発酵食品とは?
③ 他にもある、日本の豆類発酵食品
④ 世界の豆類発酵食品
⑤ 《美味しい手延べ麺の紹介》京都・北尾商事様「黒豆そうめん」 編
① 言わずと知れた納豆・味噌・醤油
古くから現代に至るまで、日本の食生活には大豆の発酵食品が欠かせないものとなっています。
代表的なのが「納豆」「味噌」「醤油」。
それぞれ、以前このブログでも取り上げたことがある食材です。
その中から発酵に関する内容を抜粋・要約してお届けします。
詳しくは「【Vol.32】麺究者への道/納豆について研究してみる」
「【Vol.34】麺究者への道/味噌について研究してみる」
「【Vol.30】麺究者への道/醤油について研究してみる」もご参照いただければと思います。
納豆は、発酵により風味も栄養価もアップ!
独特のにおいや粘りが苦手という方も多いかも知れませんが、健康に良いことづくめの食品です。
日本人が納豆を食べるようになった時期ははっきりとは分かりませんが、米や大豆の栽培が普及し、野菜の煮炊きが行われるようになった弥生時代と推測されています。
当時の竪穴式住居の床には、納豆菌の格好の住みかとなる稲わらが敷かれていたそうです。
煮た大豆が稲わらの上に落ちたのか、稲わらでくるんで保存したのかで、納豆菌が大豆に偶然付着したのがきっかけという説をはじめ、時期や地域もさまざまな説があるようです。
室町時代には糸引き納豆が広く知られるようになり、日常的に食されるようになりました。
戦国時代においては、栄養価が高く保存性が良い納豆は、重要な兵糧のひとつとして武士のタンパク源やスタミナ源となりました。
江戸時代には一般庶民にも広く食べられるようになり、京都や江戸では「納豆売り」が毎朝納豆を売り歩きました。
ざるにわらを敷いて納豆を盛り、天秤棒にぶら下げて、量り売りしていたとのこと。
またこれとは別に、漬物店などの店頭でわらに包んだ納豆も売られていたそうです。
その後、包装形態が進化し、また納豆の製造方法などの研究が進み、1960年代以降の冷蔵輸送技術の発展と普及によって全国的に広く流通するようになり、その健康機能性の高さが注目され、人気の食材となっています。
納豆の基本的な材料は、大豆と納豆菌のみです。
納豆の発酵はおよそ20~24時間程度と、味噌や醤油と比べて短時間です。
伝統的な製法は、まず大豆を蒸して冷まします。
煮沸消毒した稲わらでつくった「わらづと」に入れ、40℃前後の環境で発酵させると、わらにすみついた天然の納豆菌が繁殖して、20〜24時間ほどで納豆が出来上がります。
納豆菌は、「枯草菌(こそうきん)」という細菌の一種で、田んぼや畑、枯れ草など身近なところに存在し、特に稲わらに多く生息しています。
煮大豆に納豆菌を加えると、発酵する過程で大豆のタンパク質を分解して吸収しやすくなり、納豆特有の香りや味、ネバネバが生まれます。
この粘性物質は、旨み成分の一種であるグルタミン酸が結合した「ポリグルタミン酸」というもので、昆布の旨み成分と同じものです。
糸を引けば引くほど、旨み成分が増します。
納豆菌は非常に高い繁殖力を持ち、乾燥や熱にとても強いため、取り扱いに注意が必要な場合があります。
酒蔵や味噌・醬油蔵、パン工房などに納豆菌が入り込むと、それぞれの食品の発酵に必要な麹菌や酵母などに良くない影響を与えてしまいます。
また熱湯消毒したり石鹸で洗ったりしても完全に殺菌できないため、納豆菌を持ち込んではいけないとされています。
納豆菌は胃酸にも強いため、生きたまま腸内にたどり着いてもともといる善玉菌を活性化させたり、悪玉菌を抑制して腸内環境を改善したりする働きがあります。
納豆菌は食物繊維があると腸内での働きが盛んになるため、食物繊維も豊富な納豆を食べることで整腸を促進します。
また大豆に納豆菌を加えて発酵させる過程で、タンパク質分解酵素である「ナットウキナーゼ」を生成します。
ナットウキナーゼは、血栓を溶かし、血液をサラサラにする働きが知られています。
納豆を食べるときに25回以上混ぜてより粘りを出すことで、ナットウキナーゼが胃酸で溶けるのを防ぎ、腸で効率良く吸収されやすいという説もあるそうです。
さらに納豆菌は、骨の形成促進に深く関わる「ビタミンK2」を多く生み出します。
納豆菌の発酵により、増加する成分もあります。
原料の大豆が持つ「大豆イソフラボン」は、増加して腸から吸収しやすい「アグリコン型イソフラボン」の形に変化します。
女性ホルモンと似た働きを持つことから、ホルモンバランスを整え、更年期症を改善することが期待できます。
また、アンチエイジング作用が注目される「ポリアミン」は、私たちの体内でもつくられている、細胞の新陳代謝を正常に行うために必要不可欠な成分です。
大豆発酵食品にはポリアミンが多く含まれ、特に納豆は納豆菌による発酵によりとりわけ多く含まれているそうです。

味噌は、発酵・熟成により調和した豊かな味わいに。
日本の古来からの発酵調味料である「味噌」。
そのルーツについては、中国もしくは朝鮮半島経由で伝わったという説と、弥生時代から日本独自の塩蔵を経て発展したという説があるそうです。
中でも有力なのが、中国で生まれた、肉や魚を塩で漬けて発酵させた「醤(ひしお)」や、大豆や雑穀と塩を合わせて発酵させた「豉(くき)」が、日本に伝わり独自の発展を遂げたという説です。
奈良時代、701年に完成した「大宝律令」に「未醤」という文字が書かれており、「みしょう」 から 「みしょ」 、「みそ」へと変化していったと考えられています。
平安時代に初めて「味噌」という文字が文献に現れ、「延喜式(えんぎしき)」という法典では貴族の給与や贈答品として使われていたという記述があります。
当時は貴重な高級食材で、おかずとしての「なめ物」だったようです。
鎌倉時代には、中国からの僧の影響ですり鉢が広まり、粒味噌をすりつぶしたものを使った味噌汁が誕生したとされています。
室町時代には大豆の生産量が増え、農民が自家製の味噌をつくるようになり、保存食として庶民にも浸透しました。味噌汁以外の料理も、室町時代に生み出されたそうです。
戦国時代には武将たちが戦陣食として味噌を用いました。
貴重なタンパク源として、干したり焼いたりして携帯しやすくしていたそうです。
江戸時代には味噌汁が庶民の味となり、味噌が生活に根付いていきました。
そして現在に至るまで、容器の変化やだし入り味噌の登場など、社会変化に合わせて進化を続けています。
味噌は、大豆や麹、塩などを発酵・熟成させてつくられます。
まずは乾燥大豆を水で戻し、蒸したり煮たりして冷ました後、細かくつぶし、米麹と塩、水を加えて混ぜます。
これを容器に仕込んで発酵させることで、麴菌が持つアミラーゼが米のデンプンを分解してぶどう糖(グルコース)に、プロテアーゼは大豆のタンパク質を分解してペプチドやアミノ酸にします。
また、発酵過程でできたブドウ糖から、酵母によるアルコール発酵や乳酸菌による乳酸発酵により酸味や香り成分がつくられます。
こうしてできた味噌の旨味は、大豆タンパクが分解されてできるアミノ酸(主にグルタミン酸)に影響され、熟成の進んだものほど旨味が強くなります。
さらに塩味や酸味、甘味が調和し、良い香りと適度な粘度が加わって形成されるそうです。
また熟成が進むと舌に感じる刺激が和らいで伸びとコクのある味わいになるとのことです。
味噌は仕込み初期には塩辛く感じられ、熟成するにつれて、塩分濃度は同じですが塩辛味が減少します。
この現象を「塩なれ」といい、乳酸やペプチド、アミノ酸など、酸味や旨味成分の影響を受けた結果起こるものだそうです。
味噌の甘味は、麹が多いほど強くなります。
これは、米や麦のデンプンが麹のアミラーゼにより糖に分解されるからとのことです。
熟成期間が長くなると、糖分は酵母や乳酸菌により消費されるため減少するそうです。

醤油の色や味わいは発酵・熟成により生まれる。
「醬油」は、大豆と小麦、塩を発酵熟成させたものです。
醤油のルーツは、紀元前700年頃の中国の古文書「周礼(しゅうらい)」に記述のある「醤(ひしお)」と言われています。
「醤」とは当時の塩蔵品の総称だったようです。
原料別に「草醤(くさびしお)」「肉醤(ししびしお)」「穀醤(こくびしお)」の3種類に分けられ、「草醤」は漬物、「肉醤」は塩辛類で、「穀醤」が現在の醤油や味噌の原型と考えられています。
日本では飛鳥時代のものと思われる木簡に、「醤」の文字が見られます。
大宝律令によると、宮廷の料理を司る「大膳職(だいぜんしき)」に属する「醤院(ひしおつかさ)」で、大豆を原料とする醤がつくられていたとされます。
奈良時代から平安時代頃、醤の形状が固形から液状へと変化したと考えられます。
大豆が日本で広く生産されるようになってきた鎌倉時代には、醤の一つである味噌の製造過程において、味噌桶の底に溜まった液体を「溜(たまり)」として利用しており、これが醤油の原型とされています。
室町時代の中頃には、現在の醬油に近いものがつくられるようになり、末頃から、関西を中心に醤油の醸造が盛んになりました。
江戸時代の中期には、大阪・堺、和歌山・湯浅、兵庫・龍野などの産地で醬油の量産化がすすみ、製法が進化して品質も向上したと言われ、醬油が庶民にも広く普及した時期であったようです。関東でも、今の千葉県の銚子や野田が醤油の一大産地となり、江戸の人々の嗜好に合わせた「濃口醬油」が普及したようです。
江戸時代後期になると、寿司・天ぷら・蕎麦などの日本的な食文化が形成され、醤油は庶民の調味料として定着しました。
明治時代中期から大正時代にかけて、醤油製造の機械化や企業設立など近代化が進み、大量生産体制に移行していきました。
現在、多くの醤油が自動化された工場でつくられています。
その一方で、消費者の本物志向や自然志向の高まりにより、伝統製法でつくられる「天然醸造(本醸造)醤油」の価値が見直されています。
醤油づくりには微生物の働きが不可欠です。
その代表格が「麹菌」「乳酸菌」「酵母菌」で、この順番で活躍します。
それぞれがどのような働きをするか、整理してみます。
<麹菌>
蒸した大豆と炒った小麦に種麹を付け、3日ほどかけて繁殖させます。
これにより生み出された酵素が、大豆のタンパク質をアミノ酸に、小麦のでんぷんをブドウ糖に、それぞれ分解します。
麹は米や麦などの穀物にコウジカビを繁殖させたもので、麹菌を培養するもととなる種菌が、種麹です。
醤油の出来を左右するこの種麹を専門に生産し、醤油の製造業者に卸す「種麹屋」というものがあり、別名「もやし屋」とも呼ばれています。
米に麹菌を生やして熟成させた状態を「よねのもやし」と言う、京都の酒づくりで使われていた言葉が由来だそうです。
メーカーの要望に応じて、数多くある麹菌を単独または何種類か培養し、保存できるように乾燥させて種麹をつくります。
現在、種麹屋は日本に数件しかないとのことです。
小豆島にも「もやし屋」さんがあったそうです。
今は「森製菊所(せいぎくしょ)」さんですが、以前は小豆島の醤油蔵に卸す種麹を製造されていたそうです。
<乳酸菌>
有機酸をつくりだす微生物で、醤油にさわやかな酸味や味の伸び、深みを与えます。
乳酸発酵が進むほど、諸味が酸性になり、酵母菌が活躍しやすい環境になります。
<酵母菌>
アルコール発酵をする微生物。
醤油にはアルコールが数%含まれていて、皿に注いだ時にアルコールが揮発することで香りが立つのだそうです。
醤油づくりでは主に2種類の酵母が働いています。
まず「主発酵酵母」が、ブドウ糖をもとにアルコールを生み出し、乳酸菌がつくった有機酸と化学反応して、複雑な香りを生み出します。
次に「後熟酵母」がゆっくり活動し、味に深みを与えます。
このことから、熟成期間が長いと深い味わいになるのだそうです。
※写真はPhotoAC「小豆島 醤の郷」より
<参考サイト>
・納豆のまめ知識
https://www.mizkan.co.jp/natto-information/
・納豆の話
https://hakkousyoku.com/natto/
・納豆の豆知識
https://www.takanofoods.co.jp/fun/nattomame/
・Wikipedia 納豆
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%8D%E8%B1%86
・名物・浜納豆
https://ymy.co.jp/hamanatto.php
・納豆菌とは
https://www.hakko-blend.com/study/b_05.html
・「納豆の発酵による機能性」納豆菌
https://natto.or.jp/kenkou/nattokin/nat09.html
・納豆の健康効果 納豆の発酵と健康成分
http://www.natto-science.jp/effect02.html
・ 女性にうれしい成分 女性にうれしい納豆の健康成分と発酵効果
http://www.natto-science.jp/woman03.html
・【医師監修】納豆菌とは?特徴・効果・効能を説明。腸内環境にいい理由や「強い」といわれる理由を解説
https://www.happiness-direct.com/shop/pg/1h-vol294/#:~:text=%E5%85%B7%E4%BD%93%E7%9A%84%E3%81%AB%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%A8,%E3%81%AB%E6%AE%BA%E8%8F%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
・みそ・醤油・酒など食品工場で納豆を食べてはいけないのはなぜ?|食品工場で気を付けるべき細菌
https://www.exseal.co.jp/blog/taxonomy-07/8944/
・味噌のきほん
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/02.html#:~:text=%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%80%81%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%AB%E3%82%82%E3%80%8C%E8%B1%86%E6%9D%BF,%E3%81%9F%E8%AA%BF%E5%91%B3%E6%96%99%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・マルコメ 味噌のこと
https://www.marukome.co.jp/miso/
・味噌 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター
https://www.umamiinfo.jp/richfood/foodstuff/miso.html
・みそ(味噌)を知る イチビキ
https://www.ichibiki.co.jp/enjoy/knowledge_miso/
・みその豆知識 かねこみそ
https://kanekomiso.co.jp/knowledge/knowledge-of-miso/#section1
・味噌 ひかり味噌
https://www.hikarimiso.co.jp/enjoy-miso/encyclopedia/type.html
・しょうゆの歴史を紐解く
https://www.kikkoman.co.jp/soyworld/subete/history.html
・しょうゆを知る 歴史
https://www.soysauce.or.jp/knowledge/history
・日本食文化の醬油を知る
http://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/mame01-a.html
・醤油づくりの微生物(麹菌・乳酸菌・酵母菌)
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0707
・日本酒や醤油、味噌に欠かせない「種麹」を育てる『もやし屋』をご存じですか?
https://cuisine-kingdom.com/hishiroku/
・酵母菌
https://www.s-shoyu.com/knowledge/0711
② 身近で意外な豆類(に似た)発酵食品とは?
チョコレートやコーヒー、バニラも発酵食品なのをご存じですか?
製造の過程で発酵が欠かせないこれらの食品は、それぞれカカオ豆やコーヒー豆、バニラビーンズが原料だから、豆類の発酵食品と言えると思い、調べてみると、なんと!どれも「豆」ではなく「種子」なんですね(@@;)……。
でも発酵食品には違いなく、せっかく調べたので、よろしければお読みください。
【チョコレート、ココア】
原料のカカオ豆は収穫された後、カカオの果実であるカカオパルプとともに、バナナの葉で覆った木箱に入れられます。
木箱やバナナの葉に生息している酵母や乳酸菌、酢酸菌などによりカカオ豆の発酵が進みます。
酵母がカカオ豆に付着した果肉を消化してアルコールをつくる過程で、豊潤な風味を持つカカオ豆となるそうです。
乳酸菌は果肉に含まれる糖質から乳酸などをつくり出し、カカオ豆の酸度を変化させ、その後の化学反応や微生物の働きに影響をもたらします。
酢酸菌は、渋味の強いポリフェノールをマイルドな味わいの茶色い化学物質に分解するよう促すことで、コクと風味が生まれ、チョコレート色に変化するとのことです。
こうして発酵させたカカオ豆を、焙煎(ロースト)してつぶし、油脂を抽出します。
抽出された油脂はカカオバター、搾りかすはカカオマスと呼ばれ、これらに砂糖や粉乳を加えて練り固めるとチョコレートになります。
ココアは、カカオマスをさらに粉砕し砂糖や粉乳を加えたものです。
※写真はPhotoAC「カカオ」より
【コーヒー】
コーヒー豆は、コーヒーノキという植物の果実から種を取り出し、焙煎したもの。
熟した果実から種子を取り除き乾燥させるまでの過程を、コーヒーの製法において「精製」と言います。
精製はコーヒーの風味を決める大切な工程で、発酵の力が大きく関わっています。
精製の種類は主に3つに分けられるそうです。
「ウォッシュド(水洗処理方式)」
生産国の約7割が採用しており、品質が安定しやすい手法。
機械で外皮と果肉を取り除き、種の周りの粘着質の部分「ミューシレージ」を除去する際に発酵の力が使われます。
発酵槽という大きな水槽に半日漬けることで、果実についていた微生物が発酵してミューシレージが分解されます。
この過程で、豆ごとに個性ある風味が生まれるとも言われます。
発酵が終わると水で十分に洗い、乾燥させます。
「ナチュラル(非水洗処理方法)」
ウォッシュドに次いで広く使われている「ナチュラル(非水洗処理方法)」。
果実を天日干しして乾燥させてから脱穀して、果肉とミューシレージを取り除きます。
独特の発酵が起こり、ベリーのようなフルーティな風味が生まれるそうです。
水をあまり必要としないため、ブラジルやエチオピアなどの水源の豊かではない地域でよく使われる手法とのことです。
「ハニープロセス」(別名「パルプドナチュラルプロセス」)
皮をむき、ミューシレージはついたまま乾燥させます。
乾燥台の上で糖分の発酵が進み、徐々に黒っぽい色へと変化します。
ウォッシュドよりも甘みが強く、ナチュラルほどではないが果実の香りが感じられるコーヒーとなるそうです。
こちらも水を大量に使用しないため、環境の観点などからも近年注目を集めている手法とのことです。

【バニラビーンズ】
ラン科バニラ属のつる性植物である「バニラ」の種子鞘を、発酵・乾燥を繰り返すキュアリングという方法でゆっくり発酵・熟成させると、強い甘い香りを放つようになります。
熟成前のバニラに含まれる「グルコバニリン」という成分が酵素の働きにより「バニリン」となり、甘い香りが出現します。
鞘から取り出した種はバニラビーンズシードと呼ばれ、バニラ香料の原料となります。
鞘ごと粉砕しペースト状に加工したものもあります。
※写真はPhotoAC「バニラビーンズ」より
<参考サイト>
・チョコレートは発酵食品?その理由を管理栄養士が解説します
https://media.andew.co.jp/2022/03/chocolate_fermentation/
・チョコレートは発酵食品
https://taberutokurasuto.com/shop/ocajapan/blog/entry/2211021731/?srsltid=AfmBOopVChJ69W-PTie6zpP3H5ZnaihEGMEN_rHCwnDLTVB5PhQcHaoi
・チョコレートは発酵食品だった!?
https://weathernews.jp/s/topics/202202/070135/
・コーヒーって発酵食品?手元に届くまでの物語を知って、コーヒーをもっと楽しもう!
https://haccomachi.jp/column/2530/
・コーヒーの知識 Vol.4 – 精製方法によるコーヒーの味の違い
https://lightupcoffee.com/blogs/knowledge/process?srsltid=AfmBOooSHmT0MxVaAZCY-fT38tyk5dKbkjNwleEXoisN0Ixo1XE2e8kK
・コーヒーにも発酵があるの知ってた?コーヒーの精製とは
https://postcoffee.co/magazine/coffee/coffee-processing/?srsltid=AfmBOoqSxNqrmQ3b3Jid_5mRu5tnfW6FsGxZjjSDNHUuIOuIc19hEWaZ
・【発酵文化から学ぶvol.2】こんなにあった!知られざる世界の発酵食
https://www.has710.com/blog/2023/03/24/column_hakko-vol2-world/#co-index-1
・甘い香りを生み出す「バニラ」って、いったいなに?
https://www.glico.com/jp/health/contents/vanilla02/
・#バニラ
https://orderie.jp/component/e/e-vanilla/
③ 他にもある、日本の豆類発酵食品
発酵文化が根付く日本では、各地で独自の豆類発酵食品が発展してきました。いくつか調べてみました。
【豆漬け】(北海道、青森県)
北海道の函館や江差、青森県津軽地方の郷土料理で、たくさん穫れた枝豆を美味しく保存するための漬物。
茹でた枝豆に水と塩、鷹の爪を加え、2~3日漬ければ浅漬けに。
2週間ほど漬け込むと、乳酸発酵して味わい深くなる。
【ごど】(青森県)
十和田地方に伝わる、納豆に麹を混ぜてさらに乳酸発酵させた郷土料理。
納豆と塩麹を足したようなドロッとした見た目で、発酵が浅いうちはご飯にかけたりおかずとして食べたりし、発酵が進んでドロドロに溶けたものは、調味料として使うとのこと。
稲作が難しく豆を主食とし、各家庭で納豆を手作りしていたこの地域で、うまく納豆にならなかったものがルーツと考えられている。
※写真はPhotoAC「ごど」より
【豆造(とうぞ)】(千葉県)
市原や長生地方特有の保存食で、年末から2月頃の寒い時期につくられる。
味噌をつくる際、大豆を煮た時に出る煮汁に、麹、干しダイコン、煮大豆または納豆などを入れ、1週間ほど置き発酵させる。
味がなじんだら、あたたかいご飯の上にかけて食べる。
【塩辛納豆(寺納豆、浜納豆)】(静岡県、京都府)
塩辛納豆は奈良時代に中国から伝わったもので、お寺でつくられることが多く「寺納豆」とも呼ばれる。
精進料理を食する禅寺で、不足しがちなタンパク質を補える食べ物として広まったと考えられる。
京都の大徳寺で保存食として今もつくり続けられている「大徳寺納豆」が有名。
「浜納豆」も同じ種類。
京都のお寺でつくられていた「塩辛納豆」が浜名湖畔などに伝わって名産品になり、足利義勝や今川義元、豊臣秀吉などの武将などにも好まれたとのこと。
特に徳川家康は「浜納豆」がお気に入りで、江戸幕府の歴代将軍に献上されていたとも言われている。
大豆と小麦と麹菌を塩水に漬け込んで熟成させるため、つくるのに数カ月~1年かかる。
出来上がると黒褐色の半分乾燥したものになり、糸引き納豆のようなネバネバはなく、塩辛く、たまり醤油や八丁味噌のような独特の風味がある。
お茶請けなどで少しずつ食べたり、調味料として使ったりする。
※写真はPhotoAC「大徳寺納豆 京都府」より
【おなめ】(埼玉県)
秩父地域を中心に食される、麦麹と大豆を使用した発酵食品。
水に浸しておいた大麦と炒った大豆を蒸し上げ、麹菌を混ぜ合わせてつくる「おなめこうじ」が材料。
塩と砂糖、水を煮立てて人肌の温度に冷まし、おなめこうじを加え、毎日かき混ぜれば1~2週間で出来上がる。
春先はフキノトウ、夏はミョウガを刻んで入れることも。
【しょうゆ豆】(長野県)
「しょうゆの実」とも呼ばれる、北信・中信地域に伝わる郷土料理。
蒸した大豆や黒豆を種麹で1ヵ月以上発酵させてつくる発酵食品で、醤油の旨味がつまった「食べる醤油」のようなもの。
温かいご飯の上にのせて食べたり、豆腐や野菜に付けたり、おひたしや納豆の醤油代わりに使ったりする。
※写真はPhotoAC「しょうゆ豆」より
【しょうゆの実】(山梨県)
芦安地域に古くから伝わる郷土料理で、大豆と麹を発酵させてつくる保存食。
稲作や野菜栽培に向かず、大豆が多く栽培されてきたこの地では、各家庭で醤油をつくり残った豆が「しょうゆの実」として食されてきた。
※写真はPhotoAC「しょうゆの実」より
【こる豆】(熊本県)
古くから伝わる、納豆を天日干しで乾燥させてつくる保存食。
納豆に塩を振り、小麦粉(または片栗粉、米粉)をかけて混ぜ、広げて2~5日間ほど天日干しする。
そのまま食べたりお茶漬けにしたりする。
【豆腐の味噌漬け】(熊本県)
約800年前、平家の落ち武者がつくり伝えたとされる郷土料理。
八代市でつくられる「かずら豆腐」や五木村の「樫の木豆腐」など硬い食感の豆腐が向いている。
豆腐の水気を切り、味噌に半年ほど漬け込むと、チーズのような風味になり、長期保存が可能になる。
※写真はPhotoAC「豆腐の味噌漬け」より
【豆腐よう】(沖縄県)
沖縄の島豆腐を、泡盛や麹、紅麹などに6カ月ほど漬け込んだ発酵食品。
見た目は鮮やかな赤色をしているものが多い。
琉球王朝時代、貿易相手だった明朝(今の中国)で「腐乳(ふにゅう)」と呼ばれていたものがルーツとされる。
独特の香りがあり、ねっとりとしたチーズに近い食感で、濃厚で繊細な味わいが特徴。
酒のつまみや炒め物のアクセントなどに用いられる。
※写真はPhotoAC「豆腐よう 沖縄料理」より
<参考サイト>
・知る人ぞ知る漬物!「枝豆の豆漬け」
https://koizumipress.com/archives/19441
・【青森県】十和田のハードコア納豆、ごど-日本各地の手前みそvol.06
https://hakko-department.com/blogs/47japan/nihonnotemaemiso_06#:~:text=%E8%AC%8E%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%85%B5%E9%A3%9F%E5%93%81%E3%80%8E%E3%81%94,%E3%81%AA%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%83%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%83%86%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%A3%E3%
・ちばのふるさと料理-とうぞ
https://www.pref.chiba.lg.jp/ninaite/recipe/furusato/ryouri16.html
・名物・浜納豆
https://ymy.co.jp/hamanatto.php
・大徳寺納豆とは
https://www.honke-isoda.com/contents/category/about/
・おなめ 埼玉県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/33_25_saitama.html
・しょうゆ豆/しょうゆの実 長野県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shouyu_mame_nagano.html
・しょうゆの実 山梨県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/shouyu_nomi_yama_nashi.html
・こる豆(こるまめ)
https://traditional-foods.maff.go.jp/menu/korumame
・豆腐の味噌漬け 熊本県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/toufuno_misozuke_kumamoto.html
・まるでチーズ!沖縄珍味の代表格「豆腐よう」って!?
https://www.orionbeer.co.jp/story/tofuyo/#:~:text=%E3%80%8C%E8%B1%86%E8%85%90%E3%82%88%E3%81%86%E3%80%8D%E3%81%AF%E6%B2%96%E7%B8%84%E3%81%AE,%E3%81%AE%E5%B0%8F%E3%81%95%E3%81%AA%E8%B1%86%E8%85%90%E6%96%99%E7%90%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E3%81%9D%
④ 世界の豆類発酵食品
世界に目を向けてみると、さらに多様な豆類発酵食品があるようで、食文化の奥深さを改めて感じさせられます。
いくつか調べてみました。
【豆板醬(トウバンジャン)】(中国)
そら豆に、塩、赤唐辛子、麹などを加えて発酵させた、中国・四川地方の調味料。
麻婆豆腐やえびチリなどの中華料理に用いられ、辛さや旨み、鮮やかな赤い色合いが特徴。
※写真はPhotoAC「豆板醤」より
【豆豉(トウチ)】(中国)
黒豆に塩や麹、酵母などを加え発酵させてつくる、日本の塩辛納豆に近いもので、色が黒く塩気の効いた食べ物。
「豉」(シ)は納豆のこと。
料理に深みのあるコクを加える調味料として使われる。
※写真はPhotoAC「豆豉」より
【豆豉醬(トウチジャン)】(中国)
豆豉をペーストにしたものに、唐辛子やニンニクなどを加えた中華調味料。
味噌のようにそのまま料理に加えて使う。
【毛豆腐(マオドーフー)】(中国)
安徽省を中心に広く親しまれている伝統的な珍味。
豆腐を小さく切り、竹の桟の上にすき間を開けて並べ、冷暗所で3~5日間置いてつくる。
発酵の過程でふわふわとした毛のような白カビが生えて表面を覆う。
クリーミーな味わいで、そのまま、または揚げたり炒めたりして食べる。
【腐乳】(中国)
干し豆腐に麹を付けて塩水の中で発酵させた伝統的な食べ物で、「中国のチーズ」とも呼ばれる。
おつまみとしてそのまま食べたり、ご飯に乗せたり、炒めものの調味料として使われたりする。
主に「白腐乳」「赤腐乳」「青腐乳」の3種類がある。
「白腐乳」は塩製腐乳で、表面は黄色がかっており中身は白。舌触りが滑らかで、豆でできたチーズのようなコクのある味わい。
「赤腐乳」は、赤麹を用いて発酵させた麹菌型腐乳。表面は真っ赤で中身は白。白酒に長く浸かるのでアルコールの匂いがする。
「青腐乳」は、ケカビを用いて発酵させた細菌型腐乳。上記2つに比べて腐敗臭が強い。
「臭豆腐」とも呼ばれるが、台湾などで食べられている臭豆腐とは別の食品とのこと。
【臭豆腐】(台湾)
豆腐を乳酸菌や酵母で発酵させた食品。
発酵過程で、独特の強烈な匂いが生まれる。
味わいは濃厚でコクがありクリーミー。
揚げたり焼いたり、スープに入れて煮込んだりして食べる。
中国南部発祥とされ、台湾に渡ってからさらに発展を遂げ、現在は台湾を代表するグルメとなっている。
※写真はPhotoAC「台湾名物 臭豆腐」より
【チョングッチャン】(韓国)
茹でた大豆を、納豆菌に似た枯草菌で発酵させ、発酵後に塩と唐辛子粉などを加えて貯蔵性を高めたもの。
日本の納豆のような糸を引く粘り気と独特の香りがあり、チゲをつくるのによく使われるとのこと。
※写真はPhotoAC「チョングッチャン」より
【テンペ】(インドネシア)
茹でた大豆をバナナの葉で包み、テンペ菌というクモノスカビの一種で発酵させた、ブロック状のもの。
白いカビで覆われており、日本の納豆のような粘り気やにおいはない。
揚げ物や炒め物などに使われることが多く、ヴィーガン食材として世界的にも注目されているとのこと。
※写真はPhotoAC「テンペ」より
【キネマ】(ネパール)
粘りがあり、糸を引くもので、製法も日本の納豆と似ている。
日本でいう味噌のような調味料として使われるとのこと。
【リビイッパ】(ブータン)
「リビ」=大豆、「イッパ」=発酵の意味。茹でた大豆をビニル袋に入れ自然発酵させたり、バナナの葉で包んで発酵させたりする。
丸く平たく成形し、焼いて食べられているとのこと。
【バーリュ】(インド)
においも味も日本の糸引き納豆にそっくりとのこと。
【ドーサ】(インド)
南インドで食べられている、レンズ豆と米を発酵させてクレープのように薄く焼いた食べ物。
軽い酸味とパリパリ感が特徴の、おやつ感覚の主食。
※写真はPhotoAC「ドーサ」より
【トゥアナオ】(タイ、ラオス)
「トゥア」=豆、「ナオ」=腐った、の意味。茹でた大豆を枯草菌で発酵させたもの。
粒状やペースト状のもの、さらにそれを薄くせんべい状に広げて乾燥させたもの、があるとのこと。
もち米と一緒に食べたり、炒め物などに使われたりする。
【ペーポー】(ミャンマー)
直訳すると臭い豆という意味。
糸を引かない納豆をつぶしたものを薄いせんべい状にしたり、調味料として使ったりする。
【ダワダワ】(ナイジェリア)
大豆ではなく「パルキア」という豆が原料で、炒ってから煮てひきわりにし、ヒョウタンに入れて発酵させる。
スープの調味料として使われるとのこと。
【ネテトウ】(セネガル)
こちらも「パルキア」からつくられる。
豆の形を残した塩からい半生のものや、乾燥させたもの、スモークしたもの、粉末にしたもの、がある。
スープなとの調味料に使われる。
【スンバラ】(ブルキナファソ)
「ネレ」などのマメ科の植物を原料としてつくられる。
豆の形を残して球状にして保存され、調味料として使われるとのこと。
【アカラジェ】(ブラジル)
大航海時代にアフリカから伝わった、北東部のバイーアの食べ物。
小豆に似た風味を持つ黒目豆と、刻んだタマネギを混ぜた生地を発酵させて揚げる。
屋台のB級グルメとしても人気。

<参考サイト>
・豆板醤ってどんな調味料?
https://www.orangepage.net/ymsr/kihon/hatena/posts/2751
・腐乳(発酵豆腐)
https://mygooddishes.com/furu
・中国・台湾の珍味「臭豆腐」とは?匂いや味についても解説します!
https://delishkitchen.tv/articles/2503
・納豆まめ知識
https://www.mizkan.co.jp/natto-information/mame/
・海外にも納豆はありますか?
https://www.natto.or.jp/hyakka/ped_natto02.html
・納豆の健康秘密と世界の発酵大豆食品をご紹介:知っておきたい6つの効能!
https://kikuya0029.com/blog/2394/
・ミャンマーの発酵食品
https://shinowazuri.com/tea-guide-article/myanmar/myanmar-scenery/%E3%83%9F%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%85%B5%E9%A3%9
・中国の珍味「毛豆腐」とは?特徴や味わいを詳しく解説します!
https://delishkitchen.tv/articles/2622
・第9回 ドーサ(dosa)
https://mmp-lab.blogspot.com/2021/04/blog-post_8.html
・第10回 アカラジェ(acarajé、アカラ、acara)
https://mmp-lab.blogspot.com/2021/04/blog-post_12.html
・ブラジルのストリートフード、アカラジェ
https://koizumipress.com/archives/14795
⑦ 《美味しい手延べ麺の紹介》京都・北尾商事様「黒豆そうめん」 編
今回は、豆繋がりということで、黒豆を使った京都のお会社様が販売する素麺をご紹介させていただきます。
皆さんは、黒豆を素麺に練り込んだ「黒豆そうめん」をご存じですか?
京都の北尾商事様が販売されているのが「黒豆そうめん」です。
北尾商事さんは、文久2年から京都丹波産の黒豆や小豆を取り扱ってこられたとのことで、京都でも老舗のお会社様です。
昔から京料理や京菓子など京都の食文化を支えておられ、現在では、黒豆や小豆商品を多数販売されています。
「黒豆そうめん」には、京都丹波産の黒豆「新丹波黒」を使用しているとのことで、芳醇な黒豆きな粉の風味が素晴らしいお素麺です。
ぜひ一度お試しください。
※写真はPhotoAC「黒豆 イメージ」より
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《京都・北尾商事様公式ネットショップ》 http://www.kitaoshoji.co.jp/
《京都・北尾商事様「黒豆そうめん」》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.52
麺求者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる<冬>
ある意味では、当社の歴史が成せることでしょうか…
最近、製麺現場のあちこちにガタが目立ちはじめ、故障やトラブルで製造スケジュールが崩れることがあります。
ボイラーが正常に動かなくなったり、車のエンジンが掛からなくなったり…
あぁ〜頭の痛い日々が続きます。
ですが少し視点を変えてみると、前向きな見方もできるかもしれません。
今こそ、次の時代を見据えた設備を導入して、二酸化炭素の排出を軽減したり、働き方改革に繋がる環境づくりができるはずです。
また、次世代の作り手育成のためにも、素麺づくりがおもしろいと思えるようなチャレンジをしていきたいと思います。
ピンチをチャンスに!
香川県の補助事業などを活用して、より便利でより安全な製麺会社にリノベーションしていきたいと考えています。
幸いにも周囲の方々に支えられ、心くじけそうなときもお声をいただき、叱咤激励を受けながら、なんとか頑張っていけそうなのが今はとても嬉しく感じています。
先日も「石井製麺所のファンだ!」と言ってくださる、世界でもご活躍されるラリードライバーの福永修さんから、激励のお声をいただきました。
ご自身のご苦労話や経営者の心構えなど、事業者として大先輩である福永さんから、わざわざお声がけいただいたのは、本当に嬉しいできごとでした。
やる気が湧いてきます!
また、ありがたいことに今年に入って多くのOEMのお話や原料開発、新製品開発の協力依頼などをいただいています。
そこで得られる学びを活かし、経験をひとつずつ大事にして、石井製麺所の手延べ素麵、手延べ麺、手延べうどんを愛してくださる全ての方に還元できればと考えています。
設備の不調と相まって、今は嬉しい悲鳴を上げながら、家族とスタッフの方全員で、寒い冬もアツアツで頑張っております。
皆さまにもこのアツアツをお届けできれば幸いです。
さて、今回のブログは「薬膳」について掘り下げたいと思います。
前々回のブログでは「薬膳」をはじめとして、『食べ物と健康の関係を考える』と題して、「健康に良い食べ物ってどういうものだろう」という疑問を掘り下げながら、いろいろな視点で見つめてみました。
健康に良い成分だけでなく、考え方などを含めていろいろなことがありました。
そこで本ブログでは「薬膳〜寒い時期の食」について調べてみました。
実際のところ、こういう考え方を取り入れて「手延べ麺《楽々膳・黒》」シリーズを開発したことを踏まえながら、いろいろと調べたいと思います。
今回もお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

写真はしっかり現役の中ヨリ・小ヨリに使用するアタッチメントです。
【目次】
① 薬膳の考え方<冬編>〜腎を補い体を温める
② 冬に摂りたい「黒」の食材
③ 「黒」の食材「ひじき」「きくらげ」「黒ごま」に大注目!
④ 冬に摂りたい栄養素とは?
⑤ 《美味しい手延べ麺》「黒」の食財にこだわった《楽々膳・黒》
① 薬膳の考え方<冬編>〜腎を補い体を温める
一年で最も寒い冬は、草木は枯れ、動物たちは冬眠する季節。
中国の伝統的な医学「中医学」では、閉ざして蓄える「閉蔵」の季節とされ、エネルギーの源をしっかり蓄え、次の1年間を元気に過ごす準備をするとされています。
冬の過ごし方としては、運動しすぎない、汗をかき過ぎない、早寝遅起き、などでエネルギーの消耗を防ぎ、冷たいものを食べすぎない、体を冷やさない、などを心がけるのが良いそうです。

冬は、五臓の中ではエネルギーを体内に貯蔵する「腎」の働きが弱くなりがちなので、腎を元気にする食材を積極的に摂ると良いそうです。
腎は人の成長や老化に深く関わるため、腎を元気にすることはエイジングケアにもつながるとのことです。
また、冷えが体の内側まで入ると、悪寒・震え・下痢・冷えが起こり、寒さで気血の流れが停滞すると、頭痛・胃痛・腹痛・関節痛などの症状が起こります。体を温め、気・血・水を補う食事を心がけることが大切です。
腎を補うのは「鹹味(かんみ)」(塩辛い味)の食材です。
塩味には熱を逃さない働きがあるそうです。
塩・味噌・醤油などの調味料、コンブ、ワカメ、ひじき、アサリ、シジミ、エビといった海藻や魚介類など。
また、腎を元気にする食材は、クルミ、エビ、羊肉、黒豆、黒ごま、ブロッコリー、長芋、ニラ、クコの実など。
※写真はPhotoACより
寒さの対策として摂りたいのが、体を温める「温性」の食材です。
体の芯から温める、シナモン、ニラ、唐辛子、山椒、ショウガ、羊肉、エビなど。
また、体に気を補って温める、もち米、カボチャ、ナツメ、栗、鶏肉、ウナギなど。
※写真はPhotoACより
また、寒さによって体がこわばり硬くなって、体内の気や血、水が巡りにくくなるため、巡りを良くする食材がおすすめだそうです。
気の巡りを良くする食材は、タマネギ、ラッキョウ、ミカン、キンカンなど。
血の巡りを良くする食材は、ヨモギ、酢など。
※写真はPhotoACより
肌や髪の乾燥、鼻やのどの乾燥には、体を潤す食材がおすすめだそうです。
豚肉、卵、牛乳、豆乳、白きくらげ、ハチミツ、ホタテ、牡蠣、松の実、クコの実、白ごまなど。
※写真はPhotoACより
<参考サイト>
・Vol.271 冬の養生法~人間も冬眠モードでエネルギーの消耗防ぐ!~
https://kocyoudou.com/koramu_k1443492449.html#:~:text=%E4%B8%AD%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E3%81%A7%E5%86%AC%E3%81%AF,%E3%81%97%E9%81%8E%E3%81%8E%E3%81%AF%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82
・いよいよ立冬。身体を温めて、冷え対策に効く!冬の薬膳メソッドとは?
https://kunel-salon.com/food/56193/
・【冬の薬膳メソッド】 エネルギーを蓄えながら、体質改善できる冬。「腎」をパワーアップして健やかに過ごす。
https://kunel-salon.com/food/61152/
・薬膳初心者もすぐわかる|冬薬膳4つのポイントとおすすめ食材
https://yakuzen-hikari.com/yakuzenabc/%E5%86%AC%E8%96%AC%E8%86%B3%EF%BC%94%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88/
・薬膳から学ぶ*冬の体と食と健康3つのポイント【国際薬膳師コラム&レシピ】
https://shokuzenlab.com/column-condition-medicinal-cooking-winter/
・旬のレシピ
https://www.yakuzen.info/recipe/index/4
② 冬に摂りたい「黒」の食材
冬は五行で言うと「水」の性質を持っています。
体に水が多くなると冷えやすく、むくみの原因にもなります。
西洋医学における腎臓は、尿をつくる・血圧を調整する・血液や骨をつくる、という働きをします。
東洋医学での腎は、腎臓や膀胱だけでなく、成長や発育、勢力、知力、また骨や歯、髪、脳、ホルモンにも関係しています。
中医学では、冬に摂りたい食材の色は「黒」とされています。
一般に体力をつける食材を「精をつける」食べ物と言いますが、これらは腎の働きを助け、血を増やして血行を良くするとされます。
精をつける食べ物には黒い食材が多いのです。
冬の養生になる黒い食材にはどんなものがあるか、調べてみました。
【黒ごま】
白髪や足腰の衰え、耳鳴り、肌の乾燥に効果があるとされる。
【黒豆】
腎機能を強化し水分の排出を促す。
老化予防、むくみ防止、疲労回復に役立つとされる。

【黒米】
消化を助ける、血の巡りを良くする、目の働きを助ける、アンチエイジングなどの働きが期待される。
妊産婦の回復や子どもの成長にも良いとされる。

【黒きくらげ】
腎機能を活性化し、老化防止や滋養強壮に役立つと言われている。
【昆布】
腎に働きかけ水分代謝を高めて、余分な水分を排出する。
新陳代謝を高める働きが期待できる。
【ひじき】
血行促進を高めて水分代謝を良くする。
血を補って貧血を防ぎ、肌や髪を美しく保つとも言われる。
【ウナギ】
血液や気力を補い、体力アップの効能があるとされる。
【牡蛎】
栄養豊富で、腎を補うのはもちろん、貧血の予防や不眠、精神不安に役立つとされる。
【クルミ】
脳の働きを高め、足腰を強くする効能があるとされる。
皮膚や呼吸器に潤いを与え、肌の乾燥対策にも。
その他、スッポン、干しシイタケ、サトイモ、ゴボウ、栗、ブルーベリー、ウニ、カツオなども良いそうです。
※写真はPhotoACより
<参考サイト>
・冬には黒色の食材を摂りましょう!
https://purefield.jp/news/winter-black-foodstuff.html?srsltid=AfmBOood4Ai9fnX-qkrN4OS4VppUmgZXSzcc80kV5R2xCARFmcfThxGv
・冬に「黒い食べ物」で精をつけるとよい理由
https://weathernews.jp/s/topics/202011/260205/
・vol.407 冬の養生食におすすめの黒い食材。東洋医学の知恵を活かして冬の寒さに負けない体づくりを
https://www.villalodola.jp/magazine/column-407
・「冬の不調に効く黒い食材」
https://www.mainichigrillbu.com/column/694
③ 「黒」の食材「ひじき」「きくらげ」「黒ごま」に大注目!
石井製麺所では、ひじき、きくらげ、黒ごまといった、健康に良いとされる黒い食材を練りこんだ素麺「健康麺《楽々膳・黒》」シリーズを販売しております。
せっかくの機会ですので、これらの3つの食材についてより詳しく調べてみました。
【ひじき】
日本人は古くから海藻を食べてきました。
日本の国土はカルシウムなどのミネラルが少なく、水や農作物だけでは不足しがちだったため、海からの収穫物で補ってきました。
新鮮な魚介類の入手が難しい内陸部では、保存に適した海藻が食されるようになったと考えられています。
カルシウムやマグネシウム、食物繊維などを多く含む海藻は、長寿食として親しまれてきました。
縄文時代や弥生時代の遺跡からひじきなどの海藻が土器片に付着して発掘されています。
奈良時代には神様へのお供え物として使われ、平安時代には天皇に献上されていたそうです。
「伊勢物語」には、男性が恋人にひじきを贈る話が登場するとのこと。
江戸時代の寛永20年(1643年)に書かれた「寛永料理物語」という料理書で、ひじきの調理法は「にもの、あへもの」と記されており、現代と同じように食べられていたと想像できます。
栄養豊富で低カロリーなひじきは、近年、これまで海藻類をあまり食べてこなかった欧米でも注目されています。
マクロビオティック運動などの影響で、日本から輸入された乾燥ひじきがアジア系アメリカ人の食料品店で扱われたり、日本食レストランで提供されるようになったことから広がったそうです。
ひじきと相性の良い食材は、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを豊富に含むシイタケなどのキノコ類や、鉄分の吸収を助けるタンパク質やビタミンCの豊富な大豆、小松菜など。
油と一緒に摂るとβカロテンの吸収率が高まるので、煮物だけでなく炒めものや天ぷらにしても美味しく、またサラダやキッシュ、コロッケ、ハンバーグといった洋食メニューにも活躍します。
※写真はPhotoAC「宇和海産のひじき」より
【きくらげ】
干したクラゲに味が似ていることからその名がつけられた「きくらげ」は、キノコの一種です。
主に日本、中国、韓国などの東アジアで食用されており、コリコリした食感とくせのない味で、中華料理の炒めものなどに用いられています。
中国では、6世紀の農業専門書「斉民要術(せいみんようじゅつ)」に、きくらげの料理法が記されています。
また中医学において止血作用や血液を整える作用があるとして健康のために用いられてきたそうです。
日本に伝わったのは平安時代とされています。
平安中期の漢和辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」にきくらげの記載があるそうです。
欧米では食用としてではなく、目の炎症を治療するための湿布剤や、のどの痛みの緩和剤といった薬用として用いられてきました。
英語では“ユダの耳”と呼ばれ、イエスキリストを裏切ったユダが首を吊ったニワトコの木から生えたという伝承もあって、欧米では食用にしていないとも言われているそうです。
きくらげに豊富に含まれる不溶性食物繊維の一種であるβグルカンは、免疫力アップに役立つと期待される注目の成分です。鉄分も豊富で、ビタミンCやタンパク質を多く含む食品と一緒に摂取することで吸収率がアップすると言われています。
またビタミンDも豊富で、油を使って調理することで吸収率が高まるそうです。
※写真はPhotoAC「キクラゲ 乾物」より
【黒ごま】
「ごま」はアフリカのサバンナ地帯が原産地とされています。
今から約6000年前、アフリカの人々が原生のごまを食用に改良したのが始まりで、そこから中東やヨーロッパに伝わり、さらにシルクロードを経由して、中国や日本に伝来したと考えられています。
世界最古の文明であるメソポタミアでは、天地創造の神話において、神が人間の世界を作る時、ごま酒を飲んだと伝えられているそうです。
ごまは、菓子、軟膏、儀式用の燈明など、さまざまな場面で利用されていたとのこと。
粘土板にごまと銀貨の交換レートが記載されていた記録も残っているそうです。
2500年ほど前のギリシャでは、医学の父と呼ばれるヒポクラテスの書に、ごまが薬用として利用されていた記録があるそうです。
インダス文明を代表するモヘンジョダロ遺跡やハラッパ遺跡でも、ごまが多数出土しています。
中国では、紀元前3000年頃の浙江良渚遺跡からごまが出土しているとのことです。
世界最古と言われる医薬書「神農本草経」には、黒ごまは「気力を増し、脳髄を補い、飢えず、老いず、寿を増す」不老不死の薬効があると記されているとのこと。
宋の時代の医薬学書「経史証類大観本草」では、練りごまと蜂蜜を混ぜて丸めた「精神丸(せいしんがん)」という薬が、よろずの病を治すとして紹介されているそうです。
日本にごまが伝わったのは縄文時代と言われています。
より一般的に食用されるようになったのは、仏教伝来に伴う精進料理によるものと考えられています。
鎌倉時代にすり鉢が中国から伝わり、室町時代に普及したことから、ごま料理の幅が広がったそうです。
江戸時代には、現代でも親しまれている南部胡麻煎餅やごま和え、ごま豆腐などが誕生したとのことです。
ごまは脂質、タンパク質、炭水化物をバランスよく含み、ビタミンB1・B2・E、カルシウム、マグネシウム、さらに抗酸化作用が期待されるゴマリグナンなどの栄養も含みます。
ごまは外皮の色によって「黒ごま」「白ごま」「金ごま」に分けられます。黒ごまは香りが強く、その風味や見た目を活かし、赤飯や大学いも、おはぎ、ごま和え、クッキーなどに用いられます。
黒ごまのおもな産地は中国やミャンマー、タイ、ベトナムなど東南アジアであり、古くから中国、韓国、日本などで好まれてきました。
韓国は一人当たりのごま消費量が世界一だそうです。
中東でも、ごまペーストが良く食べられているとのこと。栄養価の高さから、近年は欧米でも消費量が増えているそうです。
※写真はPhotoAC「黒ゴマ」より
<参考サイト>
・ひじきの雑学 ひじきの歴史
https://www.hijiki.org/trivia-history/
・9月15日はひじきの日
https://www.greenhouse.co.jp/wellness/memo/2017/201709/index.html
・ひじき料理のポイント
https://www.kurakon.jp/ency_hijiki/08.html
・【欧米にない食文化】外国人は日本の“ひじき”をどう思う?
https://yukashikisekai.com/?p=109894
・グルメな健康習慣「ひじき」
https://www.daiei.co.jp/food/seasonal/202403_4_hijiki.html
・きくらげの歴史や由来とは?実は日本発祥の食べ物ではない!
https://anohinohagotae.info/knowledge/history/
・知っているようで知らない?!キクラゲに迫る!
https://www.shokuota.com/shokuotanote_wood_ear_mashroom
・きくらげの栄養とその効能とは?種類ごとの違いやおいしい食べ方も紹介
https://prezo.jp/column/9335?srsltid=AfmBOorjWsC4Pias3RaJzAavJWvT8UDiLdfpLXIGgp6mzaA1K191seGa
・【ごまの豆知識①】ごまはどこから来たの?ごまの歴史について
https://www2.katagi.co.jp/blog/2017/07/blog2.html
・「ごま」にまつわるよもやま話。起源と歴史、日本伝来について
https://www.kenkodojo.com/column/knowledge/detail174/
・ごまのはじまり(ごまの起源)
https://www.kuki-info.co.jp/learn-enjoy/stories.html
・黒ごまとは|黒ごまの栄養と期待できる効果、おすすめの食べ方
https://www.shinsei-ip.ne.jp/knowledge/kurogoma/#:~:text=%E7%99%BD%E3%81%94%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AF%E4%B8%BB%E3%81%AB%E9%A2%A8%E5%91%B3%E3%81%A8,%E3%81%A7%E6%A0%BD%E5%9F%B9%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99
・ごまの基礎知識・産地
https://www.wadaman.com/about_sesame/
④ 冬に摂りたい栄養素とは?
「冬型栄養失調」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
人の体は、冬の寒さに対抗して体温を維持するために、夏よりも10%ほど多くのエネルギーを消費するそうです。
そのため冬は栄養が不足しがちになり、冷え性や肩こり、めまい、不眠、疲れやすい、口内炎など様々な不調を引き起こします。
また、寒暖差により血流をコントロールする自律神経が乱れ、ストレスも感じやすくなるそうです。
冬型栄養失調を防ぐ料理としておすすめなのが、野菜や肉、魚をバランスよく摂れるスープや鍋料理だそうです。
体を温め、水分補給もできます。
冬に特に意識して積極的に摂りたい栄養素と、おすすめの食材について、調べてみました。
【ビタミンB群】
ビタミンB群は、エネルギーをつくり出す糖・タンパク質・脂質の代謝に関与していることから、消費量が増える傾向にあるそうです。
寒さを感じると、人体は熱を作り出すために交感神経を働かせ、ビタミンB1やB6を消費します。
ビタミンB1が不足すると、糖質を十分にエネルギーに代謝することができなくなり、疲労感を感じやすくなるそうです。
またビタミンB2はタンパク質の合成を助ける働きがあり、美容に大切な栄養素です。
ビタミンB群を多く含む食品は、豚肉・豚レバー・牛レバー・ウナギ・マグロ・サバ・アサリなど。
また、納豆やきなこなどの大豆製品・ニンニク・焼き海苔などにも多く含まれます。
【ビタミンC】
エネルギーをつくり出すのに欠かせないビタミン。
ノルアドレナリンという神経伝達物質の合成に関与しており、抗酸化作用や、体内に入った異物を解毒する作用があります。
人間の体内に存在するタンパク質のおよそ3分の1を占めるコラーゲンの合成にも関わっており、ビタミンCをしっかり摂取することで、皮膚や筋肉、骨の健康などさまざまな機能の健康維持に役立ちます。
また鉄の吸収にもビタミンCが関与しており、ビタミンCが不足してしまうと、鉄の吸収も低下してしまいます。
果物や野菜類に多く含まれるため、赤ピーマンやブロッコリー、冬が旬のミカン・キウイフルーツ・イチゴなどを積極的に摂るのがおすすめとのこと。
【ビタミンD】
冬は外出の機会が減りがちで日光を浴びる時間が減少し、骨の健康維持や免疫力を高めるのに役立つビタミンDが不足しやすいため、積極的に摂りたい栄養素です。
きくらげや干しシイタケなどのキノコ類や、シラス干し、紅鮭などの魚介類に多く含まれます。
【ビタミンE】
末梢血管を拡張する働きがあり、冷えの解消に役立ちます。
不足すると動脈硬化を起こしやすいことも分かっています。
魚介や植物油に多く含まれます。
【鉄分】
血液中のヘモグロビンを構成する鉄分は、全身に酸素を運ぶ役割があります。
鉄分が不足すると代謝が低下し、冷え性や疲れやすさの原因になります。
豚や鶏のレバー、アサリ、ハマグリ、卵黄、ホウレンソウ、またココアや抹茶などに多く含まれます。
【タンパク質】
全体重の約20%を占めると言われるタンパク質は、体中に血液を循環させるための筋力の維持に役立ち、寒さに対抗できる丈夫な体づくりに大切です。
また、血行不良が原因で起こる冷え性や、寒暖差による自律神経の乱れ、免疫力の低下などを防ぐのにも役立つ栄養素です。肉や魚、大豆や大豆加工品、牛乳や乳製品などに多く含まれます。

<参考サイト>
・「冬型栄養失調」? 寒い時期に不足しやすい栄養素とは
https://www.reiroukai.or.jp/trivia/%E3%80%8C%E5%86%AC%E5%9E%8B%E6%A0%84%E9%A4%8A%E5%A4%B1%E8%AA%BF%E3%80%8D%EF%BC%9F%E3%80%80%E5%AF%92%E3%81%84%E6%99%82%E6%9C%9F%E3%81%AB%E4%B8%8D%E8%B6%B3%E3%81%97%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%84%E6%A0%84/
・冬型栄養失調に注意! 冬に不足しがちな栄養素について
https://www.kamaboko.com/sakanano/column/basic/post2255.html
・冬型栄養失調に要注意!不足しがちな栄養素とは?
https://gyoumudesserts-gyoumusweets.com/column/item-1472/
・寒い冬に負けない体づくりのために食べたい旬の食材とおすすめの調理法
https://www.yamaki.co.jp/katsuobushi-plus/news/202212_fuyunokenkou/
⑤ 《美味しい手延べ麺》「黒」の食財にこだわった《楽々膳・黒》
三代目が薬膳の勉強をしていたまさにそのタイミングで、偶然が重なり、原料が集まり3つの「黒」の食べ物で手延べ麺ができました。
「きくらげ」「ひじき」「黒ごま」のそれぞれの風味や特色が生きるように、麺の太さをそれぞれ変えています。
手延べきくらげ麺は、細い麺ながらぷりぷりつるんとした独特の食感で、冷たくしても温かいお出汁でも美味しく召し上がっていただけます。
きくらげは、香川県産のきくらげを使用しています。
手延べひじき麺は、小豆島産のひじきの茎の部分を粉末にして練り込んでいます。
地元小豆島でさまざまな海産物の加工品を展開されている「池田漁業協同組合」様とのコラボで実現した、地元食材を使用した手延べ麺です。
《楽々膳・黒》シリーズで一番人気のある麺ですので、まだ召し上がったことのない方にも、ぜひとも味わっていただきたい手延べ麺です。
手延べ黒ごま麺は、開発が決まったときに、小豆島を代表する食品メーカーのひとつ「かどや製油」様に工場見学に伺わせていただきました。
そこでは、ごまの力の凄さについていろいろとお話を伺い、感動したのを今でも覚えています。
現在は千葉県にも工場はありますが、そちらが稼働するまでは小豆島でつくられたごま油が日本中に配送され店頭に並んでいたんですよ。
《楽々線・黒》シリーズの手延べ麺は、健康を気づかう方に召し上がっていただければとの思いで開発しました。
「毎日の食事で健康に」を目標に、美味しく身体に良い手延べ麺づくりを目指してまいります。

《健康麺《楽々膳・黒》》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801499
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.51
麺究者への道/肉類を使った発酵⾷品について研究してみる
先日、新春プレゼント企画『小豆島福箱プレゼント』の結果を発表させていただきました。
当選者の方から早速ご連絡をいただきまして、お喜びのお声を頂戴しました。
ぜひ小豆島の味覚をご堪能いただけましたら、そして、石井製麺所だけでなく小豆島の味のファンになっていただけましたら幸いです。
さて、本題に入る前に本日はご報告したいことが…
なんと私、三代目、コンサートのステージで歌うという初めての経験をしてまいりました。
歌ったのは、『石井製麺所通信 第15号』でもご紹介をさせていただきました『便り届くよ』です。
石井製麺所の長年のお客様が、30年以上にわたって続けられていらっしゃるバンド「リトルドリーミング」。
『便り届くよ』は、そのお客様が石井製麺所のことを思い浮かべながら詞を書いてくださり、バンドのリーダーの方が曲をつけてくださった、まさに“石井製麺所のテーマソング”といえる一曲です。
この度、リトルドリーミングの皆さまから「一緒に歌いませんか?」とお声がけをいただき、1月26日、高松の国分寺ホールで開催された『サヌキロックンロールサーカス2025』の舞台に立たせていただきました。
子どもの頃の発表会で歌ったことはあっても、バンドの一員として、観客を前に歌うのは本当に初めてでした。
前日のリハーサルでは、カラオケで歌うのとはまったく異なる音の聞こえ方にすごく焦ってしまいました(汗)。
それでも、音響のスタッフさんからアドバイスをいただいたり、メンバーの皆さまのサポートもあって、本番は無事に歌いきることができました。(緊張しましたが、最後の方は歌うのが楽しくなって…)
リトルドリーミングの皆さま、この度はめったにできない経験をさせていただき本当にありがとうございました。
想いの籠った詞を曲にのせて、聴く人の心に届ける。
そんなリトルドリーミングの音楽のように、石井製麺所の日々の麺づくりも、そうありたいと思います。
(新たに「詞を書く」という大役もいただきました!小豆島の暮らし、麺づくりの毎日、そして家族の想い…心に感じたものを言葉にしてみますね。)
※コンサートの様子は、あらためて石井製麺所通信でお届けします。
今回は、もはや素麵とはほど遠いテーマ「お肉の熟成」についてです。
ですが調べてみると人間の食への探究心に踏み込むことができたような気がします。
すでに約1万年前には豚を家畜として飼い、その肉を塩漬けにして保存し食べる文化を持っていたというのです。
それが生ハムの始まりだそうです。
三代目として事業を継承して6年を迎え、新麺開発を始めて数年経ちます。
まだまだこれから精進していかねばいけないと、新年からブログを書きながら、改めて心に誓うのでした。
今回も最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

【目次】
① 古くからヨーロッパの食生活に深く根付く生ハム
② 生ハムの定義や製法とは?
③ 生ハム以外にもある、肉類発酵食品いろいろ
④ 熟成肉と発酵肉の違いとは?
⑤ 日本各地でつくられている肉類発酵食品とは?
⑥ 世界で食されている肉類発酵食品
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
① 古くからヨーロッパの食生活に深く根付く生ハム
肉類の発酵食品は、古くから畜産業が盛んだったヨーロッパの食生活に深く根付いています。
その代表格である生ハムの歴史は、紀元前にさかのぼります。
紀元前7000年頃には豚はすでに家畜として飼われており、その肉を保存できるように塩漬けにしたのが生ハムの始まりとされています。
紀元前5世紀頃の都市国家であるエトルリアの人々は、豚肉の長期保存を可能にする熟成や燻製の技術を持っていました。
紀元前3500年頃には、現在のイラクの南半分の地域にあったバビロニア王国やエジプト大国に、生ハムが存在していたと言われています。
またギリシア人やローマ人も生ハムを好んで食しており、ローマ帝国時代には生ハム職人がいたという記録が残っているとのことです。
中世には、富裕な貴族たちは豚を財産として保有しており、生ハムやベーコンが貨幣代わりに使用されることもあったそうです。
また、法王庁や貴族付きの料理人や、イタリア料理の父と称される人物など、名だたる料理人がその著作で生ハムについて言及しているほど、貴族から庶民まで幅広い層に欠かせない食材だったとのことです。
20世紀になると、イタリアやスペインを訪れる観光客により、世界各国に生ハムが知られるようになりました。
中国では、紀元前8世紀頃の「周礼」という書物に記された「醤」「醢(かい)」という漢字が、魚鳥獣の干し肉を粟麹・塩・酒に漬けて発酵させた「肉醤」(ししびしお)という、醤油のルーツを指すと言われています。
狩猟生活の時代、肉を保存するため肉に食塩を混ぜたものが生まれたと考えられます。
紀元前4800年頃には中国にも保存食としての生ハムが存在したと言われています。
日本では、675年に肉食禁止令が出されたこともあり、平安時代中期の法典「延喜式」には獣肉の記載がほとんどありませんが、一方で「鹿醢(しししおびしお)」「兎醢」など獣肉の醤油漬けや、「宍醤(ししびしお)」という獣肉の塩漬けを発酵させた調味料に関する記載があります。
明治時代まで肉食文化が根付いておらず、また、高温多湿の気候では肉を乾燥熟成させるのが難しいことなどから、肉の発酵食品が普及する土壌が整っていませんでした。
ハムやソーセージなどの食肉加工食品が広まったのは、大正時代です。
第一次世界大戦後に日本に収容されたドイツ人捕虜により製造技術が広められたことから、現代でも日本のハムのつくり方はドイツの製法から派生したものが主流です。
日本の生ハムの歴史は江戸時代、オランダから長崎に持ち込まれたのが始まりだそうです。
その後は長い間、豚コレラ発生の懸念により、海外からの生ハム輸入が禁止されていました。
1996年にイタリアの、2003年にスペインの生ハム輸入が解禁されました。

<参考サイト>
・紀元前から産地によるブランド化が進んでいた?古代からの文化遺産「生ハム」の歴史|食の起源
https://eat-university.com/magazine/article_2050/
・プロシュート・ディ・ パルマの歴史とおいしさの秘密
https://shop.belgustogroup.com/blog/2016/11/23/175429?srsltid=AfmBOoruuTAc51CdDlWMcL2iAbkGM0S6cCk5TTAmmCDvvUvuFm3gRVCw
・醤油の歴史
http://www.fujino-syouyu.jp/sub01.html
・醤油のルーツ
https://www.eonet.ne.jp/~shoyu/mametisiki/reference-5.html
・実は「生ハム」も発酵食品?!「熟成肉」は発酵している?お肉と発酵の関係を解説
https://haccomachi.jp/column/8210/
・牛肉・食肉の歴史
https://www.soshugyu.com/history/
・スペインからの生ハム輸入解禁
https://www.iberico.co.jp/html/page134.html#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E7%94%9F%E3%83%8F%E3%83%A0,%E7%A6%81%E6%AD%A2%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%8
・生ハムを語るなら知っておきたい産地、部位、美味しい食べ方のこと
https://funq.jp/buono/article/628771/
② 生ハムの定義や製法とは?
「生ハム」とは、一般的には豚の後ろ脚(もも肉)を塩漬けして熟成させたハムのことを指し、イタリアの「プロシュート」やスペインの「ハモン」、フランスの「ジャンボン」など、主に南西ヨーロッパの国々で製造されています。
北東部ヨーロッパの、スモークされたり加熱されたりして製造されるハムとは異なります。
ドイツの「ラックスハム」は、塩漬けして2日間ほど乾燥させ、燻製してつくられます。
水分量が多く、塩気としっとりした食感が特徴で、日本でつくられているのはこちらの発酵させないタイプの生ハムです。
日本ではプロシュートもラックスハムも「生ハム」と呼ばれています。
生ハムという言葉は、日本の法律により定義されたものではありません。
昭和の時代になってから、北海道の鮭のルイベを参考に豚肉を冷凍加工してつくられた商品の通称名から日本国内に広まったとされています。
加熱せず生のまま1~2年と長期間かけて乾燥、発酵熟成させてつくられる生ハムは、肉を発酵させることで、旨みを引き出し味わいや香りを向上させる、腐敗菌の増殖を抑え保存性を高める、などのメリットがあります。
熟成の過程で白カビなどの菌が乳酸発酵します。
表面にカビが付着することで腐食を防ぎ、また発酵の際にタンパク質がアミノ酸に分解されることで旨みが増し風味が良くなります。

基本的な製造工程は、以下の通りです。
<トリミング・整形>
余分な皮や脂肪部分を取り除き、形をととのえる。イタリア・フランスのほとんどの地域では皮つきのまま、スペインでは皮の一部を除去して仕込む。
<塩漬け>
余分な水分を抜き、味を付け、細菌の繁殖を防ぐ。イタリアでは塩漬け職人が肉に擦り込むように塩を付ける。
<表面の洗浄>
表面の塩をハケなどで落とし、血や汚れなどをぬるま湯で洗い流す。
<乾燥>
洗浄した原木を、湿度・温度をコントロールできる部屋で吊るして乾燥させる。
スペインの生産地はこの乾燥熟成の温度帯が高めで、水分がしっかり抜けて歯応えと濃い旨みのある味わいになる。
イタリア・フランスでは水分保湿量が高くしっとりした食感に仕上がる。
<グリーシング>
イタリアでは、原木の断面や皮のない部分にラードと小麦粉または米粉、コショウを練り合わせたものを塗る。
スペインでは、オリーブオイルとラードを混ぜたマンテカ油というものを塗る。
これにより生ハムの乾燥を防ぎ、カビの浸食から守る。原木の状態を見極める高い技術を持った職人により行われる。
<熟成>
最後の熟成庫に移動させて、酵母など微生物の力で熟成させ、さらに味に深みを持たせる。
<官能検査>
厳しい品質チェックにより、合格したものが出荷される。
世界三大生ハムと呼ばれるものについて調べてみました。
【プロシュート・ディ・パルマ】(イタリア)
夏は暑く冬は寒い、昼夜の寒暖の差が大きいパルマ地区で生産される生ハム。
厳選された豚もも肉と最小限の塩のみを使った、まろやかで深みのある味わいが特徴。

※写真はPhoto ACより「パルマ産生ハム」
【ハモン・セラーノ】(スペイン)
スペイン語で「山のハム」の意味。
白豚を使用し、アンダルシア地方の冷たい空気に9カ月以上さらして熟成させる。
肉の旨みやコクをしっかり感じられる、強めの塩気と歯ごたえのある生ハム。

※写真はPhoto ACより「熟成生ハムの切り出し ハモンセラーノ」
【金華ハム】(中国)
中国原産の貴重な金華豚を2カ月ほど塩漬けし、天日で乾燥させ、表面にラードを塗ってさらに1年ほど熟成させてつくられる生ハム。
強い塩気と引き締まった固めの肉質が特徴で、料理の旨みを引き出す食材として用いられることが多い。
<参考サイト>
・生ハムとは
https://jcha-ham.com/%E7%94%9F%E3%83%8F%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%AF/
・生ハムの種類を一挙解説!それぞれの特徴や味わい・選び方も
https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/001638.html
・生ハムの作り方を解説。イタリア、スペイン、フランスなどヨーロッパの生ハムの製造工程を詳しく紹介!
https://www.uncork.shop/shop/pg/120230728/?srsltid=AfmBOop3kBtjqgwLwwdhEkvkn8JU6dXZzP9I1LRgElejPVefmvR–5Kn
③ 生ハム以外にもある、肉類発酵食品いろいろ
ヨーロッパでは、生ハム以外にも肉を使った発酵食品のバラエティが豊富です。
代表的なものについて、調べてみました。
【発酵ソーセージ】
ソーセージの製造工程で発酵を経たもので、乳酸発酵により酸味があるのが特徴。熟成期間が長く水分含量が35%以下の「ドライソーセージ」と、比較的短期間でつくられ水分含量が35~55%の「セミドライソーセージ」に大別される。
ドライソーセージの一種である「サラミ」は、豚や牛のひき肉に、食塩などの調味料とラード、ラム酒などを混ぜて腸詰めし、乾燥、熟成させてつくられる。
イタリア発祥で、古代ローマ時代には貨幣の代わりに使用されていたと言われる。
「ペパロニ」もドライソーセージの一種。
唐辛子やパプリカなどの香辛料、ハーブ、ニンニク、塩などで味付けした肉を腸詰めし、60~90日ほど乾燥させてつくられる。
アメリカでは、イタリアからの移民によりドライソーセージが独自の進化を遂げた食べ物と言われ、薄くスライスしてピザのトッピングに良く用いられる。

※写真はPhoto ACより「ペパロニピザ」
「チョリソー」はスペイン発祥の発酵ソーセージで、塊肉をたたきながら香辛料を混ぜてつくられる。
「カルパス」はロシア発祥で、牛や豚の他に鶏肉も原料として使われる。
腸詰めした後長期間乾燥させ、燻製させてつくられる。
セミドライソーセージに分類されることが多く、スモーキーでスパイシーな味わい。
【パレタ】
スペインでは、豚の後ろ脚でつくられる生ハムを「ハモン」、前脚でつくられる生ハムを「パレタ」と呼ぶ。
適度な歯応えがあり、脂身が少なくさっぱりとした味わい。
【パンツェッタ】
イタリア語で豚バラ肉の意味。
豚バラ肉を塩漬けにし、熟成させた加工肉で、風味づけにハーブやスパイス、ニンニクなどを加えることも。
カルボナーラやアマトリチャーナなどのパスタ、スープやサラダなどによく使われる。

※写真はPhoto ACより「カルボナーラ」
【コッパ】
豚の頭から腰にかけての肩ロース肉でつくられる、丸い形状とスパイシーな味わいが特徴の、イタリアのハム。
古代ローマ発祥とされる。
生ハムのように塩漬けして乾燥させ、調味して、サラミのように豚の腸に詰め熟成させてつくられる。

※写真はPhoto ACより「コッパ 生ハム」
<参考サイト>
・発酵食肉製品の魅力
http://topics.foodpeptide.com/?eid=767809
・食のこれからキーワード vol.5 発酵③ヨーロッパの発酵食品
https://www.careermap.jp/feeds/4510
・見た目だけじゃない!?サラミとカルパスの違いを解説します
https://delishkitchen.tv/articles/2496
・ペパロニとは?サラミやチョリソーとの違いは?
https://delishkitchen.tv/articles/279
・パンチェッタとは?特徴や生ハムとの違い、食べ方について解説!
https://www.kurashiru.com/articles/e0aa1034-4f27-437d-b678-5864250e9860
・古代ローマ発祥の生ハム「コッパ」とは?生ハムとの違いを解説
https://macaro-ni.jp/53019
④ 熟成肉と発酵肉の違いとは?
「熟成肉」という言葉を耳にすることがあると思います。
「熟成肉」と「発酵肉」は、寝かせることにより肉のタンパク質が分解され、アミノ酸になって旨みが増すという点は共通していますが、材料自体の酵素で分解を行うのが熟成で、微生物の働きにより新たな成分を生み出すのが発酵です。
熟成肉の中でも「発酵熟成肉」というものがあるそうです。
日本初の新熟成製造技術「エイジングシート」を用いてつくられた熟成肉で、「ミートエポック社」と「明治大学農学部」により共同開発されました。
ナッツのようなスパイシーで芳醇な香り、熟成香、脂の口溶けは、従来の肉とも熟成肉とも異なる独特の美味しさだそうです。
熟成肉の製法「ドライエイジング」は、空気中に浮遊している菌が肉に付着するのを待つ製法であるため、腐敗菌が付着するリスクもあります。
その課題をクリアするべく、肉をピッタリと包むシートを考案。
安全に安定した品質の熟成肉を、よりリーズナブルに提供できるとのことです。

※写真はPhoto ACより「熟成肉」
<参考サイト>
・酵素・発酵がもたらすお肉の食べ頃。独自開発の新熟成法で作られる「発酵熟成肉」が自宅へ届くまで
https://eat-university.com/magazine/article_2188/
⑤ 日本各地でつくられている肉類発酵食品とは?
発酵熟成肉の他にも、日本でつくられている、肉を発酵させた加工食品について調べてみました。
【発酵無添加ソーセージ&ベーコン】
東京都町田市にある、ドイツ製法の手づくりハム・ソーセージ専門店「クロイツェル」が、宮崎県の味噌・醬油メーカー「ケンコー食品工業」と共同で、8年以上かけて開発。
豚肉を大麦麹で発酵させることにより、旨みが凝縮され、やわらかく臭みのない味わいを実現したとのこと。
【焼酎麹発酵サラミ】
同じく「クロイツェル」が、老舗蔵元「新島酒蒸留所」とのコラボで開発。
埼玉県産の三元豚に、伊豆諸島の新島の焼酎「嶋自慢」の大麦麹、塩、新島産の島唐辛子などの香辛料を加え、発酵させて燻製してつくられる。
時間が経つとともに熟成が進み、味の変化も楽しめるとのこと。
【肉醤油】
同じく「クロイツェル」が「ケンコー食品工業」と共同で開発。
平安時代の「肉醤油」にヒントを得て、豚肉を大麦麹で発酵・熟成させ、コクや旨みがあり甘い香りの引き立つ万能醤油に仕上がったとのこと。
【牛醤】
岩手県のブランド肉・熟成肉専門店「格之進」が、老舗醤油メーカー「浅沼醤油店」に協力を依頼して開発。
黒毛和牛の熟成肉の発酵液に、3種類の麹、塩、アルコール、米デンプンを加えて醸造し、もろみを混ぜ合わせてまろやかな味わいを実現したとのこと。
【小豆島発酵ハム】
瀬戸内小豆島の伝統や自然環境に即した独自の製法を構築。
スペインの伝統的な生ハムの製法を基本に、醤油麹菌を利用し、空調管理を行わなず、海岸から立ち上がる斜面で四季を通じて潮風にあたる自然気候のもとで長期間、発酵熟成させてつくられる。
ヨーロッパの生ハムとも一線を画す独特の風味を実現したとのこと。
一部の豚肉は、小豆島産「鈴木農園」の豚肉も使われているそうで、小豆島でも注目の生ハムです。

※写真は「小豆島 鈴木農園の豚の放牧場」
<参考サイト>
・世界初!? 大麦麹で発酵させた〈クロイツェル〉の〈発酵無添加ソーセージ&ベーコン〉が発売!
https://www.hakko-blend.com/news/52.html
・特別な贈り物にも最適。大麦麹で豚肉を発酵させた肉醤油&サラミ
https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20240801/19897/
・黒毛和牛から作られた究極の醤油 世界初!熟成肉を使用した格之進の「牛醤」
https://kakunosh.in/kanzaki-aging-beef/cat-nikuojisan/about-gyusyo-01/
・小豆島発酵ハム
https://shodoshima-ham.com/?srsltid=AfmBOorRBpV77st10z7FL7X3Qg8GGHPNnzDnVzpju7KXQ1gGf1VTZd6q
⑥ 世界で食されている肉類発酵食品
ヨーロッパ以外の各地でも食されている、肉を発酵させた食品について、いくつか調べてみました。
【サンロー(酸肉)】(中国)
中国湖南省の発酵肉料理。
豚肉に塩をまぶし、寒い時期に乾燥した場所で1~2カ月常温に置くことで、肉が乳酸発酵し、旨みと酸味が増す。
【サイクローク・イサーン】(タイ)
タイ東北部のイサーンという地域で食される、球体のような形をした発酵ソーセージ。
豚ひき肉と、香辛料、もち米などを混ぜ合わせてつくる。
発酵による独特な酸味と強い旨みがある。
【ネーム】(タイ)
タイ東北部で、生の豚ひき肉と蒸し米、塩でつくられる発酵ソーセージ。
旨みと酸味のある奥深い味わい。

※写真はPhoto ACより「カオパットネーム」
【ワッターチン】(ミャンマー)
生の豚ひき肉を、米と一緒に常温で数日発酵させてつくる。
米の形が残っており、乳酸発酵により酸味がある。
【キビヤック】(極北地域)
アイルランド領・グリーンランドやロシア北部、アラスカやカナダなど、極北地域に広く伝わる。
海鳥をアザラシの皮の中に詰め、2カ月~半年ほど地中に埋めてつくられる。
発酵して半分液体になった海鳥の内臓や肉をそのまま食べたり、調味料として使ったりするとのこと。
【コパルヒン】(極北地域)
アイルランド領・グリーンランドやロシア北部、アラスカやカナダなど、極北地域に広く伝わる。
セイウチをさばいて肉と皮に分け、袋状になった皮に再度肉を詰め、地中などで数カ月放置してつくる。
<参考サイト>
・「サンロー(酸肉)」
https://cocoro-dining.co.jp/magazine/?p=3847&srsltid=AfmBOop9NA6klItvIHw9GB5xHyQQ7hwYlzeLNc1WNo9O83-2dmWLzvrY
・タイ料理研究家・長澤恵さんから教わる、タイ郷土料理と発酵調味料
https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20201210/13809/
・簡単だけど奥が深い。タイの手作り乳酸発酵ソーセージ「ネーム」
https://tenyudo.exblog.jp/27076978/
・ミャンマー発酵食:酸肉「ワッターチン」
https://burmese.tokyo/blog/wethar-chin/
・世界の料理は微生物であふれている!|世界の発酵食品10選
https://micsmagazine.com/basic/2438/post
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
新春企画として特別価格、数量限定で販売させていただいている「小豆島の美味しい物を詰め込んだ『小豆島福箱』」。
昨年末まで期間限定販売していました「小豆島のお!いしい逸品」の中から、人気の食品だけを選んだ特別なセットです。
新春プレゼント企画でも大変お喜びいただいているセットです。
石井製麺所で冬の時期に圧倒的な人気がある「手延べ半生うどん」を4袋セット。
冬場に食べていただきたい黒の食材「黒ごま(ペースト)」を練り込んだ「手延べ黒ごま麺」。
いりこならではの旨みと栄養をぎゅぎゅっと凝縮して、おやつとしてもクセになる「いりこぶし(池田漁業協同組合)」。
小豆島中山の山中で若い農家さんが丁寧につくった原木椎茸を使ってご自身で乾燥までされている「原木椎茸を使った干し椎茸(箭木椎茸園)」。
小豆島の新しい特産品として取り組まれている「しょうどしま長命草」を使い、島産の手づくり塩とブレンドした「長命粒塩(LINKFAMILY)」。
これ一本あれば、お料理のバリエーション広がる万能醤油調味料「味醤油360mL(丸島醤油(株))」。
ぜひ、この機会にお求めください。

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《【2025新春特別価格】小豆島福箱》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.50
麺究者への道/食べ物と健康の関係を考えてみる
あけましておめでとうございます。
本年も石井製麺所、ならびに本ブログをよろしくお願いいたします。
昨年を振り返れば、年末のギリギリまで本当にいろいろありました…
ありすぎて去年の1月はどうだったか思い出せないくらいの良くも悪くも出来事があり、たくさんの方に支えていただいた一年だったと感じます。
事業として、掲げた目標もクリアすることができ、そういう意味では満足度の高い一年だった気がします。
2025年は、催事出店や新製品企画など、さらにチカラを入れていきたいと考えていますし、早速、原料メーカー様が小豆島にお越しくださり新製品開発の第一歩について打ち合わせをする予定が決まっています。
今からが楽しみです。
ブログ「お!いしいけんぶんろく」も、本回で50本目を数え、我ながらよく続けてこられたものです。
いろいろと見聞を広め新製品の研究に役立てばとの思いと、お客様にお役立ていただける情報発信ができればと続けてきましたが、これだけ長く続けてこられたことに喜びと自信を覚えます。
多くの方から「読んでるよ」「楽しみにしています」とのお言葉もいただいたりして、ますますやり甲斐も感じています。
100本、200本と続けていけるようにさらに学びを深めていきたいと思います。
さて、新年一本目のブログですが、やはり健康に関連あることを書いていきたいと思います。
日頃から“かじる”程度ですが、興味があり、時には本を読み込んだりしているのが「薬膳」についてです。
医食同源という言葉がありますが、素麵も古くは健康に関連する食べ物として珍重されてきた歴史があります。
ただ、素麵そのものが健康に良いというわけではないと思います。
そこで、石井製麺所では健康づくりに役立つ素麵としてさまざまな“変わりダネ”な新しい手延べ麺を開発してまいりました。
手延べ製法だからできる美味しさと栄養面を両立した手延べ麺を、開発、製造、販売してまいりました。
これまでのブログでも健康に役立つ知識を調べてきましたが、今回からは「薬膳」についていろいろと調べていきたいと思います。
美味しさだけでなく、健康面、見た目、食べる時期などもあわせて考えていきたいと思います。
どういった内容にできるか分かりませんが、今回はまずはそもそも論のお話として「食べ物と健康の関係」についておさらいして、順番に深掘りしていきたいと思います。
実は年末、家族共々、体調を崩し、思った通りの製造ができず、結局また無理をする…という悪循環でした。
家族なので無理して製造しているのが分かるのですが、休んでいるのも気が休まらないのは痛いほど分かるので、だましだまし製造を続けている状況もありました。
やはり、健康が一番ですよね!
家族の健康、お客様の元気のためにお役立ていただけるように、真剣に調べていきたいと思います。
ちょっと難しい話や、逆に当たり前のお話もあるかも知れませんが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

新しい年を迎えた工場より。
【目次】
① 各地で体系化された、食べ物と健康の関係
② 日々の食生活に取り入れたい!薬膳とは
③ 薬膳の基本は「陰と陽」と「五行」
④ 人体を構成する3要素と体質の関係とは?
⑤ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
① 各地で体系化された、食べ物と健康の関係
食べるものが健康に深く関わっていることは、古くから経験的に知られていました。
古代ギリシャの医師で「西洋医術の父」と称されるヒポクラテスは、病気にかかっている人を、日々の食事でケアする食養生により治療することを考えました。
「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」という言葉をはじめ、食と健康にまつわる多くの格言が今に伝えられています。
ギリシャ医学では、自然の摂理は火・水・気・土の4元素と、冷・熱・乾・湿の4性質の組み合わせであると考えられていました。
食べ物には熱い、冷たい、乾いている、湿っているという4つの性質があり、自然と調和して健康を保つために、さまざまな食べ物を熱冷乾湿のバランスよく摂取することが必要だという考えです。
インド・スリランカの伝統的な医学「アーユルヴェーダ」は、病気になりにくい心身をつくる予防医学で、食事や睡眠など日常生活と密接に関わるものとなっています。
環境やライフスタイルの影響によって日々変わる、「ヴァータ(風)」「ピッタ(火)」「カパ(地)」の3つのエネルギーのバランス(「ドーシャ」)がとれている時は健康であり、不均衡になると病気が生じるという考え方です。
すべての食物は、穀物・豆類・肉類などに分類され、さらに流動物・固形、さらには甘・酸・苦・辛・塩・渋の6味に分けられており、食事の内容をドーシャに合わせるのが良いとされます。
中国の伝統的医学は、陰陽五行説によって体系化されており、食物を五穀・五果・五畜・五菜に分類し、どの季節にどんな食物を食べるべきか、この病気にはこの食物を与える、など細かく定められています。
また中国で発達した本草学では、自然界のあらゆるものについて人体に対する薬理作用が研究されていました。
近年、日本で注目されている薬膳料理は、これらの中国の伝統医学や生薬医学に基づいた食養生の料理と言えます。

「医食同源」という言葉があります。
病気を治療するのも日常の食事をするのも、ともに生命を養い健康を保つためには欠かせないもので源は同じ、という考えで、古くから中国にある、体によい食材を日常的に食べて健康を保てば特に薬など必要ないという「薬食同源」の考えをもとにした造語とも言われています。
日本の医学は、奈良時代以来、中国の伝統医学が主流でしたが、江戸時代中期以降に西洋医学が伝えられるとこれを「蘭方」と呼び、 従来からの日本化された中国医学を「漢方」と呼んで、それぞれを区別するようになったそうです。
当初は中国医学をそのまま受け入れていましたが、次第に日本人の体や気候に合わせて診断法や漢方薬の選び方などが改良され、独自に発展してきました。明治以降は、西洋医学に対して、中国医学を土台にした伝統的な日本の医学を「漢方」と呼んでいます。
「漢方」と「漢方薬」は混同されがちですが、「漢方」という医学の理論に基づいて処方される医薬品が「漢方薬」です。
漢方薬と西洋医学で用いられる薬の違いは、漢方薬は生薬でできており、西洋薬は科学的に合成した成分でできている、ということもありますが、治し方に対する考え方が大きく異なります。
漢方の基本は“人間の体も自然の一部”“病気ではなく病人を診る”という考え方だそうです。
体の一部分だけを診るのではなく、体全体の状態のバランスを総合的に見直し、また体質や生活習慣などから整えていくのが特徴です。
病名がついていない不調(未病)にアプローチできるのも特徴です。
西洋医学は、病気を部分的に診るもので、自覚症状だけでなく他覚症状や検査数値を重視します。症状として起きている現象に対して、局所的に対応するもので、本来は体がするべき働きを薬が代わりにし、その働きが切れると元の状態に戻ってしまうこともあります。
病態に合わせて漢方薬と西洋薬それぞれの利点を活かすよう組み合わせて用いることが有効と考えられています。
日本の食育にまつわる言葉として「身土不二」というものがあります。
元は仏教用語ですが、明治時代の陸軍薬剤監の石塚左玄が発足した「食養会」が提唱した独自の理論で、人間の身体と土地は切り離せない関係にあり、その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良いという考え方です。
「地産地消」という言葉にも通じるものがあります。
もう1つ、仏教用語が由来の「一物全体」という考え方があります。
食物は全体でひとつの命なので、丸ごと余すところなく、皮や葉が付いたままの野菜や、精製する前の穀物を食べることが、体のバランスを整えるのに望ましいという意味で用いられています。
「身土不二」「一物全体」を2大原則としているのが、近年よく聞くようになった「マクロビオティック」です。
アメリカを中心に世界に広まった言葉ですが、日本人が提唱し根付かせた食生活の知恵であり、健康的なライフスタイルをするための考え方だそうです。
肉、卵、乳製品、化学調味料、白砂糖などはできるだけ避け、玄米をはじめとした穀物を主菜とし、旬の野菜や海藻の入ったみそ汁、漬物といった、日本の伝統的な食生活の実践を通じて、健康的な暮らしの実現を目的とするものです。
マクロビオティックと混同されがちなのが、「ベジタリアン」や「ヴィーガン」です。
ベジタリアンは菜食主義者という意味で、19世紀にイギリスのキリスト教会員により展開された、肉や魚は食べず卵や乳類の摂食は本人の選択による、穀物・野菜・豆類などの植物性食品を中心とした食生活を行う、という運動です。
現在は、畜肉を食べない人を広義のベジタリアンとする傾向があり、さまざまなタイプに分けられます。
その中の1つがヴィーガンで、動物に苦痛を与えることへの嫌悪から、鳥肉・魚肉・その他の魚介類、卵・乳製品・蜂蜜、動物由来のゼラチン・羊毛脂などを食べず、また皮製品・シルク・ウールなどの動物製品を身につけることもしない人たちを指します。
これも食物と健康の関係とは話がそれますが、宗教の教義として食物の指標を定めているものに、「ハラルフード」があります。
イスラム教において、神に食べることを許された食べ物がハラルフードで、野菜や果物、穀物(米・小麦など)・豆類・魚介類・海草類・牛乳・卵などと、イスラム法に則った食肉処理が施された牛肉や鶏肉は食べることができますが、豚肉とアルコールは厳しく禁じられています。

<参考サイト>
・食の社会学 26 医食同源の思想 1
https://www.mealtime.jp/shokublog/naohashi/2020/02/post-266.html
・ヒポクラテスが示す食の価値
https://inishi-e.com/%E3%83%92%E3%83%9D%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%86%E3%82%B9%E3%81%8C%E7%A4%BA%E3%81%99%E9%A3%9F%E3%81%AE%E4%BE%A1%E5%80%A4/
・アーユルヴェーダとは? 体内のバランスを整え美しく健やかな体を作ろう
https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=2998
・医食同源とは
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/koureisha-shokuji/ishoku-dogen.html#:~:text=%E7%97%85%E6%B0%97%E3%82%92%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE,%E3%81%A8%E3%82%82%E8%A8%80%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・漢方医学(日本の伝統医学)≠中医学(中国の伝統医学)
https://www.nikkankyo.org/kampo/kampo1.htm
・漢方とは何か?
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/about-kampo/#:~:text=%E3%80%8C%E6%BC%A2%E6%96%B9%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E9%8D%BC%E7%81%B8%E3%82%84,%E4%B8%80%E9%83%A8%E2%80%9D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
・身土不二(しんどふじ)は食育運動のスローガン
https://hyoki.jp/blog_akasaka/%E8%BA%AB%E5%9C%9F%E4%B8%8D%E4%BA%8C%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%A9%E3%81%B5%E3%81%98%E3%81%AF%E9%A3%9F%E8%82%B2%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%B3/
・身土不二と一物全体
https://makurobi-recipe.com/shindofuji/#:~:text=%E4%B8%80%E7%89%A9%E5%85%A8%E4%BD%93%E3%81%AF%E3%80%8C%E3%81%84%E3%81%A1,%E3%81%A7%E7%94%A8%E3%81%84%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
・マクロビオティックの基本知識
https://www.asc-jp.com/diet/macrobiotic/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%93%E3%82%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9F%A5%E8%AD%98/
・ベジタリアンとは?
https://www.jpvs.org/menu-info/
・ハラル(ハラール)基礎知識
https://jhba.jp/halal/
② 日々の食生活に取り入れたい!薬膳とは
石井製麺所では、皆様の食生活において健康づくりのお役に立てるようにと「健康麺《楽々膳・黒》」シリーズを販売しております。
ひじき、きくらげ、黒ごまといった、健康に良いとされる黒い食材を練りこんだ素麺です。
食材それぞれの持つ色ごとに作用があるという考え方は、中国伝統医学(中医学)の薬食同源の思想に基づいた「薬膳」に通じるものです。
薬膳についてより詳しく知りたいと思い、まずは基礎的なことを調べてみました。
薬膳とは、健康維持や増進、病気の予防などを目的とした中国発祥の料理や献立のことです。
中医学の理論をベースに発達してきた学問の一種で、正式には「中医営養薬膳学」と言うそうです。
紀元前10世紀、中国周大の時代に、皇帝の食事を管理する「食医」と呼ばれる医者が、薬食同源の思想に基づき食べ物による病気治療をしていたのが起源と考えられています。
現代でも中国では薬膳が正式な医療として扱われており、医大では授業科目となっているそうです。
難しそうなイメージを持つ方もおられるかもしれませんが、季節の旬の食材を食べることも薬膳の食養生になるそうです。
季節やその日の体調などに合わせて食材を選び、美味しく食べることで、体を内側から整えるのが薬膳の基本とのことです。
西洋医学では、病気の患部に注目して投薬で早く治療することを目指しますが、中医学では、体全体のバランスや体質を診て、普段の生活から病気を予防していきます。
症状が現れていなくても体のバランスが崩れている「未病」の状態を、体質やその日の体調に合った食材を摂ることにより改善していこうというのが薬膳です。
薬膳の考え方では、すべての食物に効果があり、それぞれの食材の効果を理解することが大切で、その土地で採れた旬のものを食べることによりその季節に合った効能が得られるそうです。

<参考サイト>
・薬膳の基礎
https://yakuzen-komachi.jp/yakuzen-knowledge.html
・薬膳ってなに?体が喜ぶ「薬膳のきほん」をご紹介
https://www.saishunkan.co.jp/domo/column/lifestyle/yakuzen_basics/
・薬膳とは?基本の考え方や体質別のおすすめ食材をわかりやすく紹介
https://www.u-can.co.jp/%E8%96%AC%E8%86%B3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC/column/column01.html?srsltid=AfmBOoqzauGN19kIIZw9VhPNpabZ1S7bCe-oj3gGnVURDYe8y3Kw6zjy
・薬膳とは? いつもの食材でできる薬膳の基本
https://www.yomeishu.co.jp/health/3371/
・薬膳の基本とは?陰陽五行説についても紹介!
https://www.brush-up.jp/guide/sc496/basic
③ 薬膳の基本は「陰と陽」と「五行」
薬膳の基本となる考え方はいくつかあり、それぞれにつながりがあるそうです。
主なものを調べてみました。
【陰と陽】
この世にあるものにはすべて相反する2つの側面があり、「陰」と「陽」に分けられる。
太陽と月、昼と夜、男性と女性、明と暗、上と下、左と右、東と西、奇数と偶数、背と腹など。
自然界でも人体でも、陰と陽がバランスをとって存在しており、どちらかに偏っている体の状態は不調につながると考える。
また食材にも体を冷やす「陰」のものと、体を温める「陽」のものがあり、健康を保つためには、それぞれを上手に組み合わせることが大切と考える。

【五行】
自然界に存在する物質を「木」「火」「土」「金」「水」の5つの性質に分けたもの。
それぞれが相互に作用したり、反発しあったりして成り立っている。
例えば季節は「五時」(春・夏・土用・秋・冬)、方角は「五方」(東・南・中央・西・北)など、5つの要素が循環することにより、万物が生成され自然界が構成されるという考え。
「木」春、東に対応。発散、柔軟、伸びる、生長などの特徴がある。
「火」夏、南に対応。熱い、明快、上昇などの特徴がある。
「土」土用(季節の変わり目)、中央に対応。植物、動物、甘いなどの特徴がある。
「金」秋、西に対応。静粛、光沢、清潔、変革などの特徴がある。
「水」冬、北に対応。冷たい、高いところから下に流れる、などの特徴がある。

【五臓】
人の臓腑(肝・心・脾・肺・腎)を指す。
それぞれに役割があるが、西洋医学で考える臓器(肝臓、心臓など)と同じ役割ではない。
「肝」自律神経や情緒などをコントロールする、血を全身に巡らせ蓄える、目の働きなど。
「心」全身に血を循環させる、精神を良好に保つ、冷えを防ぐなど。
「脾」食材を吸収・分解して気血水をつくりだす、全身に栄養を届ける、四肢や筋肉をつかさどる。
「肺」呼吸機能、体内の水分調節、免疫機能の調節、肌の保護など。
「腎」泌尿器系、ホルモンバランスの調整、老化予防、発育促進、エネルギー蓄積など。

薬膳は、「陰陽」の2要素と「五行」の5要素の組み合わせによって事象を解釈する「陰陽五行説」に基づいています。
季節の食材を、五つの味(五味)、五つの色(五色)などを意識して組み合わせることで、見た目、味、栄養面ともにバランスのとれた健康に良い料理ができるそうです。
【五味】
食材の味や、食材が五臓に対して作用する効能を指す。
「酸・苦・甘・辛・鹹(かん:塩辛い味)」。
「淡(はっきりしない味)」を加えて「六味」とする場合も。
「酸」精神の緊張を和らげる、下痢や汗、せきを止める。レモン、ザクロ、酢、ブルーベリー、リンゴ、スモモなど。
「苦」体内の余分な熱や水分を除去する。セロリ、緑茶、アロエなど。
「甘」食欲増進、解毒作用。蕎麦、牛乳、卵、トウモロコシ、穀類、トマト、ブドウ、リンゴ、キュウリなど。
「辛」気の巡りを活発にする、発汗作用。ネギ、ショウガ、ワサビ、ニンニク、唐辛子、コショウなど。
「鹹」便秘や腫れものを改善。イカ、アサリ、タコ、味噌、昆布、海苔、クラゲなど。
「淡」もたれ、むくみなどに対応。ヨクイニン、冬瓜など。

【五色】
食材を持つ色ごとに作用があり、5つの色の食材をバランスよく取り入れることで健康になると言う考え方。
「赤」元気や活力を与える。トマト、赤ピーマン、肉類など。
「黄」気分を明るくする、消化を助ける。柑橘類、カボチャ、味噌など。
「緑」気分をリラックスさせ、体調を整える。ホウレンソウ、セロリ、春菊など。
「白」心身ともにすっきりする。ダイコン、白ゴマ、白米など。
「黒」心を落ち着かせる、ホルモンバランスを整える。シイタケ、黒豆、海苔など。
【五性(五気)】
食材はそれぞれ体を温めたり冷やしたりする性質により5つに分類され、これを「五性」または「五気」と言う。
「温性」体を温める。もち米、ショウガ、タマネギ、シソ、ニラ、栗、サケ、ミカンなど。
「熱性」体を極端に温める。酒、唐辛子、コショウ、シナモンなど。
「涼性」体を冷やす。蕎麦、ナス、キュウリ、水菜、セロリなど。
「寒性」体を極端に冷やす。ゴーヤ、トマト、ズッキーニ、スイカ、バナナなど。
「平性」体を温めも冷やしもしない。うるち米、豆類、キャベツ、ニンジン、豚肉、タラなど。

<参考サイト>
・【3分でわかる漢方入門】食養生の基本! 五味・五性・五色とは?
https://www.saishunkan.co.jp/domo/column/lifestyle/basics_of_diet_cure/
・五味・五色・五法・五適・五感の料理
https://hino-seiyaku.com/blog_crude_drug/food/post_22.php
・漢方の基礎知識6「五臓とは」
https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/about_kampo/?p=11758
④ 人体を構成する3要素と体質の関係とは?
中医学では、人体は「気」「血」「水(津液)」の3つの要素で構成されており、相互に影響を及ぼし合っていると考えます。
「気」は体を動かす役割を持ち自律神経系や内分泌系の働きに関わる生命活動のエネルギー源、「血」は全身に栄養を与える血液とその中に含まれる栄養素、「水」はリンパ液や汗、鼻水など血液以外の体液で免疫力に深く関わっています。
健康を保つためにはこの3つのバランスを整えることが大切で、どれか1つでも不足したり働きが乱れたりすると他にも影響して、体や心に不調が現れるとのことです。
それぞれが不足しているタイプか、流れが滞っているタイプかによって6つのタイプに分けられます。
複数のタイプに該当することも珍しくないそうです。
【気虚(気が足りないタイプ】
免疫や血液循環の促進などの役割を持つ気が不足している体質を指す。
疲れやすい、息が切れやすい、感染症にかかりやすい、気分が落ち込む、消化不良になる、食欲が減退するなどの症状が出やすい。
過労を避け、睡眠をしっかりとることが大切。
生ものや冷たいもの、脂っこいものは避け、体を温める消化の良いものを食べると良い。
【気滞(気の巡りが滞っているタイプ】
気がうまく循環していない体質を指す。
イライラしやすい、怒りっぽい、胸やみぞおちなどにつかえを感じるなどの症状が出やすい。
ストレスをためないようにし、ハーブやかんきつ類など香りの良いものや、カルシウムなどのミネラル類を摂ると良い。
【血虚(血が足りないタイプ】
血が不足し、全身に栄養を行き渡らせる機能が弱まっている体質を指す。
不眠、肌につやがない、目の疲れ、立ちくらみなどの症状が出やすい。
過労や無理なダイエットは避けるようにし、体を温め消化の良いものや、赤い食材、黒い食材を摂ると良い。
【瘀血(おけつ:血の巡りが滞っているタイプ】
血の循環が悪くなっている体質を指す。
シミやにきび、クマなどができやすく、頭痛、肩こり、関節痛、静脈瘤、神経痛などの症状も出やすい。
脂肪分や塩分の多い食品、冷たいものの摂りすぎに注意し、生活習慣を見直して、体を温め血行を良くするものを摂ると良い。
【陰虚(水が足りないタイプ】
体を潤す水分が不足している体質を指す。
体が乾燥しやすくなり、のどが渇く、口や鼻が乾燥する、皮膚がカサカサする、便が硬くなるなどの症状が出やすい。
過労や睡眠不足を避け、体に潤いを与える食品を摂るようにすると良い。
【淡湿(水の巡りが滞っているタイプ】
水分がうまく循環していない体質を指す。
体が重くだるい、むくみやすい、水のような鼻水などの症状が出やすい。
水分の摂りすぎに注意し、冷たいものや生もの、刺激物は避け、水分代謝を良くする食品を摂るようにすると良い。

<参考サイト>
・薬膳 きほんの「き」(1)気血水
https://www.yakuzen-yuyu.com/yakuzen_kihon/kihon_1
・食べるだけで美を底上げする!?薬膳のポイントとは
https://chuigaku-cocokara.jp/magazines/2017/05/vol14/
⑤ 《美味しい小豆島の食財紹介》小豆島福箱 編
今年も新春企画として、「小豆島の美味しい物を詰め込んだ『小豆島福箱』」を特別価格、数量限定で販売させていただきます。
今回の内容は、11月から12月31日までの期間限定として紹介しておりました「小豆島のお!いしい逸品」の中から、さらに人気の食品だけを選んで特別なセットにしました。
きっとこんな特別なセットは、他では見られないはずです!(笑)
石井製麺所で冬の時期に圧倒的な人気がある「手延べ半生うどん」を4袋セット。
冬場に食べていただきたい黒の食材「黒ごま(ペースト)」を練り込んだ「手延べ黒ごま麺」。
いりこならではの旨みと栄養をぎゅぎゅっと凝縮して、おやつとしてもクセになる「いりこぶし(池田漁業協同組合)」。
小豆島中山の山中で若い農家さんが丁寧につくった原木椎茸を使ってご自身で乾燥までされている「原木椎茸を使った干し椎茸(箭木椎茸園)」。
小豆島の新しい特産品として取り組まれている「しょうどしま長命草」を使い、島産の手づくり塩とブレンドした「長命粒塩(LINKFAMILY)」。
これ一本あれば、お料理のバリエーション広がる万能醤油調味料「味醤油360mL(丸島醤油(株))」。
ぜひ、この機会にお求めください。
発売は1月中旬を予定しております。

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《【2025新春特別価格】小豆島福箱》 https://141seimen.thebase.in/items/81778481
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.49
麺究者への道/発酵飲料について研究してみる
師走も半ば、小豆島もようやく真冬の寒さになりました。
おかげさまで半生うどんの売れ行きが好調です!
鍋の〆にもおすすめ半生うどんは、 リニューアルから4年目を迎え、石井製麺所の冬の主役になりました。
たくさんのお客様から嬉しいお声もいただき、益々ヤル気になっています!
「こんなつるつるモチモチのうどんは初めてです」
「会社の同僚や友人への鉄板土産とさせていただいております。また、営業のツールとしてお客様に渡すと100% の確率で喜ばれるので大変重宝しております」
「野菜たっぷり入れた(人参、大根、里芋、しめじ、小松菜等)煮こみうどん?を…味付けは母の里愛媛県伊予市から取り寄せる味噌で味付けました😋半生うどんと合いますね😋👌身体も温かくなりました😊」
「半生うどんの美味しさに感動しました!」
「我が家の子供たちも美味しくいただきまして、おかわりの声がとても大きく注文させていただきました(^^)」
などなど、お電話やわざわざお手紙でご連絡いただいたりして、本当に嬉しく感じております。
自分自身が、美味しかったり感動したときに、相手に伝えたり、連絡をとったりした記憶が無いので、こうして伝えることの大切さや、お相手様にとっての必要性を痛烈に感じています。
できればこれからは、感動したときの声などはお伝えできれば良いなと思います。
日々感謝の気持ちを忘れずにこれからも手延べ素麺づくりに邁進してまいります。
さて、12月のブログですが、半生うどんのご注文が絶好調ということもあり、製造にかなりの時間を頂いていまして、今月はこの1本となってしまいました。
テーマの「発酵飲料」を考えてみると、今は飲んでいませんが、子どもの頃を振り返ると、冷蔵庫にヤクルトが常備されていました。
親から説明された記憶はないのに、「一日一本」の健康習慣という意識はすでにあったように思います。
乳酸菌のイメージ、およびヤクルトという商品の商品設計はすごいなととても感心させられました。
今回は、発酵飲料ながらアルコールを含まない様々な飲料について調べています。
冬の健康づくりや、これから受験など大切な時期を控える皆さまにもお役立ていただける情報だと思います。
私も冬の繁忙期を家族みんなで元気に乗り越えられるように、今一度、発酵飲料のチカラを借りてみたいなと思います。
ぜひ最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

半生うどんの製造が佳境に入ってきました。
【目次】
① 健康的で美味しい!発酵飲料の歴史
② 縁起が良くて栄養豊富な“飲む点滴”⽢酒
③ お茶の種類は発酵の度合いにより決まる!
④ 爽やかな酸味の健康ドリンク・乳酸菌飲料
⑤ 効率よく栄養が摂れる酵素ドリンクとは?
⑥ バラエティ豊か!世界の発酵飲料
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》オリーブサーモン昆布巻き 編
① 健康的で美味しい!発酵飲料の歴史
発酵食品には、食べ物、飲み物、調味料などがあります。
発酵飲料には、日本酒やビール、ワインなどのアルコール飲料以外にも、甘酒や、紅茶やウーロン茶などのお茶、乳酸菌飲料などがあります。
人類が最初に出会った発酵食品は、お酒か、ヨーグルトのような発酵乳と言われています。
甘酒は日本独特の発酵飲料で、アルコールをわずかに含むものと含まないものがあります。
古来、縁起の良い飲み物として扱われてきました。
その歴史は古く、720年の「日本書紀」に登場する、神様に供えられた「醴酒(こさけ)」、「天甜酒(あまのたむさけ)」がそのルーツと言われています。
室町時代の国語辞書「易林本節用集(えきりんぼんせつようしゅう)」には「醴」と「甘酒」は同じであるという記述があります。
江戸時代には料理本や辞典、俳句などに多く見られるようになりました。
料理やお菓子づくりなどにも活用されるようになり、市中で多く販売され、夏バテ防止の栄養ドリンクとしても飲まれるようになったとのことです。
お茶の歴史が最も古いのは中国です。
神話の時代から薬用されていたと伝えられており、唐の時代の「茶経」には、「茶の飲たるは神農氏に発す」(茶を飲み始めたのは、神農氏からである)と記されています。
神農氏は、中国神話上でも農業神・医薬神として信仰を集める、中国太古の伝説的な帝王。
神農氏が解毒に用いたのが「荼(と)」という植物で、これが茶の意味で書かれているという説もあるとのことです。
茶葉は摘んだ後放置すると、茶葉自体が持つ酵素の働きにより酸化発酵を始めます。
お茶はその働きを利用してつくられます。
中国のお茶は1000種類以上とも言われ、発酵度合いを調整することにより多種多様なお茶が生み出されます。
ちなみに緑茶は加熱により発酵を止めてつくられます。
17世紀、ヨーロッパにお茶がもたらされました。
当時は緑茶でしたが、中国のウーロン茶系のお茶が人気を集め、その流れから強く発酵した紅茶が誕生したと考えられています。
1662年にイギリスのチャールズ2世のもとに嫁いできたポルトガルの王女キャサリンが、中国茶と、当時は貴重だった砂糖を大量に持参したことをきっかけに、喫茶の習慣が宮廷から貴族社会、大衆へと広まりました。
ヨーグルトのような発酵乳は古くから食されていました。
最初に発酵乳を利用したのは中央アジアの人々で、腐敗菌などが比較的少なく乳酸発酵した食品が生まれやすい環境だったと考えられます。
乳酸発酵について本格的に研究されたのは19世紀以降のこと。
フランスの科学者パスツールが、発酵や腐敗が微生物によるものであると科学的に明らかにしたそうです。
日本で乳製品が一般的になったのは明治時代からで、ヨーグルトは1892年「凝乳」という名前で販売されました。
乳酸菌飲料としては「カルピス」や「ヤクルト」が製品化されました。
1908年、三島海雲氏が内モンゴルを訪れた際に体調を崩し、現地の遊牧民に勧められ、家畜の乳を乳酸菌で発酵させた「酸乳」を飲んで回復したのをきっかけに、帰国後、研究や試行錯誤を重ね、1919年に「カルピス」を発売しました。
1930年、医学博士の代田稔先生は乳酸菌が腸の中の悪い菌を抑えることを見出し、胃液や胆汁などの消化液に負けず生きたまま腸内に達して、有益な作用を発揮する乳酸菌の強化培養に世界で始めて成功しました。
この「乳酸菌シロタ株」を健康に役立ててもらうため、乳酸菌飲料として製品化し、1935年に「ヤクルト」の商標で発売。
乳酸菌を手軽に摂れる飲料として、現在では日本を含め世界40カ国で、毎日4000万本以上が飲まれているそうです。
※「カルピス」はアサヒ飲料株式会社の登録商標です。
※「ヤクルト」は株式会社ヤクルト本社の登録商標です。

<参考サイト>
・発酵のなかまたち
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/
・発酵飲料で健やか長寿の人生を
https://www.hakko-biyori.com/foundation-116
・発酵食品の歴史と未来
https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail34/
・甘酒からみる発酵食文化(1)江戸時代から愛される栄養ドリンク「甘酒」の歴史
https://haccomachi.jp/column/277/
・第3話 茶の歴史
https://museum.kirinholdings.com/history/tea/story3a.html
・紅茶の歴史
https://www.tea-a.gr.jp/knowledge/tea_history/
・乳酸菌飲料の働き|プロバイオティクスの効果で腸内環境を改善
https://magokoro-care-shoku.com/column/lactic-acid-bacteria-beverage/?srsltid=AfmBOopPZyddvCaC7JAQf7pu3qASnVPQbRigYlcZ6h_zsyLz_JWkqcDg
・カルピス®のきほん
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/08.html#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%9D%E3%81%AE%E4%B9%B3%E9%85%B8%E8%8F%8C%E9%A3%B2%E6%96%99,%E3%81%AB%E3%82%88%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80
・ヤクルトの願い
https://www.yakult.co.jp/eighty_anniv/hope/index.html
② 縁起が良くて栄養豊富な“飲む点滴”⽢酒
甘酒には、原料の違いによりアルコールあり・なしの2種類があります。
酒粕が原料の甘酒は、搾った日本酒の粕に砂糖と水を加えたもので、アルコールがわずかに残っています。
砂糖を加えているのでカロリーが高めの場合も。
米麹が原料の甘酒は、炊いたご飯に米麹と水を混ぜて発酵させてつくるもので、アルコールを含みません。
米麹と水だけでつくるものもあり、麹菌の割合が高いので栄養価も高めで、すっきりした自然な甘さが特徴です。
甘酒はその成分の20%以上がブドウ糖です。
ブドウ糖は、脳がエネルギーとして利用できる唯一の栄養素で、分子が小さいため体内に吸収されやすく、すばやいエネルギー補給が可能です。
さらに麹菌や麹菌の酵素の働きによりつくり出される必須アミノ酸が9種類すべて含まれており、疲労回復に役立つビタミンB群や、腸内環境を整えるオリゴ糖、食物繊維なども含まれます。
栄養価が高く、病院で使われる点滴の成分と似ていることから“飲む点滴”とも言われます。
お正月に、新年の無病息災や長寿を願って飲む「お屠蘇(おとそ)」の代わりに甘酒を飲む風習がある地域もあります。
米農家が前年の収穫への感謝と新年の豊作を願い、収穫したお米でつくられた甘酒を神様にお供えしたのが由来と言われています。
近年では新年の神社などでふるまわれることも。
また「桃の節句」とも呼ばれる3月3日の、女の子の健やかな成長と幸せを願う「ひな祭り」では、ひし餅やひなあられ、ハマグリのお吸い物やちらし寿司とともに甘酒でお祝いする風習があります。
中国では桃は邪気を払い長寿をもたらす力があるとされ、桃の花びらを浸したお酒を飲む伝統がありました。
これが日本に伝わり、子どもでも飲めるようアルコールの入っていない甘酒が出されるようになったと考えられています。

<参考サイト>
・甘酒のきほん
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/06.html
・日本の伝統的な発酵飲料 甘酒
https://oh-hanno.jp/Page/Feature/amazake.aspx
③ お茶の種類は発酵の度合いにより決まる!
お茶には様々な種類がありますが、これらはすべて同じ「チャノキ」の葉からつくられます。
その違いは、発酵の度合いによるものです。
大きくは「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」「後発酵茶」の4つに分類され、緑茶は不発酵茶です。
半発酵茶の代表的なものがウーロン茶で、発酵茶の代表的なものが紅茶です。
一般的には「発酵」とは、有機物質が微生物により分解されることを言いますが、お茶における「発酵」とは、茶葉に含まれる酸化酵素の働きにより、葉の中のカテキン類が酸化することを意味します。
通常、酸化酵素とポリフェノールは別々に存在していますが、茶葉を揉んだりしおれさせたりすることにより混ざり合うと、酸化酵素の働きが促進され、茶葉の色や香味が徐々に変化していきます。そのため、発酵させない緑茶は緑色で、発酵が進んだウーロン茶や紅茶は赤っぽい茶色になっていくとのことです。
茶葉を発酵させる工程においては、生の茶葉を放置してしおれさせる「萎凋(いちょう)」という作業が行われます。
これにより茶葉の中の成分が変化しやすくなり、酸化酵素の働きを促進するそうです。
萎凋した茶葉は、「萎凋香(いちょうか)」と呼ばれる、花や果実を思わせる香りを発します。
ウーロン茶と紅茶の製法を調べてみました。
【ウーロン茶】
日干しで10〜20分程度萎凋した後、室内で数時間、茶葉を数回かく拌しながら萎凋を進め特有の香気を引き出す。
萎凋がある程度進んだら茶葉を高熱で炒り、発酵を止める。発酵の度合いにより、多くの種類がある。

【紅茶】
風通しのいい室内で、網や麻布でできた棚に茶葉を広げ、15〜18時間程じっくり萎凋を行う。
機械を使う場合には8〜10時間程度。
そして酸化酵素が活性化した茶葉に圧力をかけながら揉んで酸化を促進し、酸化反応が均一に進むようにする「揉捻(じゅうねん)」という工程を経て、特有の華やかな香りや色合いが生み出される。

「後発酵茶」は、茶葉を加熱して酸化酵素の働きを止めた後、乳酸菌や酵母などの微生物の働きを利用して発酵させてつくるもので、中国のプーアール茶が有名です。
【プーアール茶】
中国雲南省が原産地。
茶葉に熱を加えて酸化酵素の働きを止めた後、手でもみ、水分を含んた多湿状態で微生物を繁殖させ、発酵させてつくられる。
熟成された香りと味わいが特徴で、お茶を淹れた際の水色は濃厚。
脂肪分解作用があるとしてダイエットに役立つと期待される。
長期保存ができ、年代物にはヴィンテージワインのように高い価値が付けられる。
※写真はPhoto ACより「プーアール茶」
世界的にも珍しい後発酵茶ですが、日本では4種類が伝統的につくられており、そのうち3つが四国を産地としています。
微生物で発酵させた後、再び発酵させる二段発酵茶は、世界でも碁石茶と石鎚黒茶の2例しか確認されていないとも言われています。
【阿波晩茶】(徳島)
山間にある上勝町で、古くから農家が自家用につくってきた。
新芽ではなく、夏の暑い時期にしっかり厚みの出た葉を摘み取ってつくる。
釜茹でした茶葉を樽の中で2週間から1カ月ほど漬け込み発酵させる。
比較的軽い口当たりで、さっぱりとした酸味が特徴。
家庭により発酵度合いが異なり、味や香りにバラエティがある。
2021年に国の重要無形民俗文化財に指定。
※写真はPhoto ACより「阿波番茶」
【碁⽯茶】(高知)
山間にある大豊町で、400年以上受け継がれてきた伝統製法によりつくられる。
茶葉を蒸してカビを付け、数日間寝かせて漬け込む。
カビと乳酸菌の二段発酵で、渋みがあり酸味が強め。
最盛期は年間100トンもの生産量があったが、昭和50年代には生産者が1軒のみに。
近年の健康ブームで再注目され、現在は生産者組合により管理や研究が行われている。
【⽯鎚(いしづち)黒茶】(愛媛)
西条市小松町の石鎚地区に古くから伝わる“幻のお茶”。
茶葉を蒸して最初の発酵をさせ、もみ込みという作業を経て、空気を抜き2度目の発酵をさせ天日干ししてつくる。
渋みがあり酸味が強め。
過疎化による生産者の減少で1996年には最後の1軒が自家用につくるのみとなっていた。
2023年に石鎚黒茶の製造技術が国の重要無形民俗文化財に指定され、広く知られるようになった。
【バタバタ茶】(富山)
山村の朝日町で、真夏の一番暑い時期に約1カ月かけてつくられる。
茶葉を加熱した後、室(むろ)に入れ、2~3日に1回切り返しを行いながら発酵させ、天日干しして乾燥させ発酵を止めてつくる。
お茶を茶筅で泡立てて飲む動作が慌ただしいことからその名が付いた。
1977年までは福井県若狭町で、1991年までは富山県小杉町でつくられていた文化を伝承しようと、30年前に朝日町商工会が製造に取り組み始め、技術を受け継いでいる。
※写真はPhoto ACより「バタバタ茶」
<参考サイト>
・お茶の発酵とは?緑茶・紅茶・烏龍茶の違いをもたらす発酵の正体
https://shop.senchado.jp/blogs/ocha/20210329_11?srsltid=AfmBOorgriLGqLCwQPd8nQMuQeV5eED02sqwdYiYdW2rz8Wj7Bx8-xYb
・お茶の違いは、「発酵」の違いです
https://www.ochalabo.com/knowledge/knowledge20141205.html
・中国茶の種類 普洱茶(プーアールチャ)
https://www.ocha.tv/varieties/chinesetea_varieties/puaru/
・プーアール茶
https://himitsu.wakasa.jp/contents/puerh-tea/
・どこから来たのか、誰も知らない発酵茶【四国に伝わる伝統、後発酵茶をめぐる旅 VOL.01】
https://haccola.jp/2018_05_16_7070/
・空海が関係している? 研究者・堀江祐範さんに聞いた「後発酵茶」を巡る乳酸発酵ミステリー
https://shop.senchado.jp/blogs/staff-column/220222_fermentation_tea?srsltid=AfmBOop4SLHkI1VF28xwq09etoRa08fwGJrdhzMTj1P1ptElD9PGpVMW
・次代に伝える、阿波晩茶
https://www.east-tokushima.jp/feature/detail.php?id=189
・手と自然が作り続けて400年。日本で唯一の伝統発酵茶〈碁石茶〉
https://kurashinohakko-tsushin.jp/article/12450/
・世界でも珍しい二段発酵茶 奇跡の復活を遂げた石鎚のおばあちゃん達
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00266/020900017/
・山村で続く暮らしの文化バタバタ茶
https://www.asahi-tabi.com/sanpo/2023/11/21/2312/
④ 爽やかな酸味の健康ドリンク・乳酸菌飲料
腸活などで乳酸菌をドリンクから毎日摂取している人も多いのではないでしょうか?
乳を乳酸菌で発酵している飲料は、乳に豊富に含まれる良質なタンパク質や乳糖が分解され、またカルシウムも体内に吸収されやすくなっています。
これらは「発酵乳」「乳酸菌飲料」の大きく2つに分類できます。
「発酵乳」は、乳酸菌・酵母数1000万以上、無脂乳固形分が8.0%以上のもので、ヨーグルトや飲むヨーグルトです。
「乳酸菌飲料」は、乳酸菌・酵母数100万以上、無脂乳固形分が8.0%未満のもの。
そのうち無脂乳固形分が3%以上のものを「乳製品乳酸菌飲料」と呼び、ヤクルトやカルピスなどが有名です。
それぞれの製法について調べてみました。
【ヨーグルト、飲むヨーグルト】
牛乳などの乳を乳酸菌や酵母の働きで発酵させてつくる。
発酵の過程で、乳酸菌が乳糖を分解して生成した乳酸により、乳に含まれるカゼインというタンパク質が固まってできる。
原料をタンクで発酵させてから容器に詰める「前発酵」と、原料を容器に詰めてから発酵させる「後発酵」があり、「前発酵」は飲むタイプのヨーグルト、「後発酵」は食べるタイプのヨーグルトとなる。
飲むヨーグルトは液糖や果汁などを加えて飲みやすくしたものが多い。

【カルピス】
生乳から脂肪分を取り除いた脱脂乳に、乳酸菌と酵母からなる微生物集団の「カルピス菌」を加えて一次発酵を行い、さらに砂糖を加え二次発酵させてつくる。
100年以上ほぼ変わらない製法で、カルピス菌も受け継がれているとのこと。
※「カルピス」はアサヒ飲料株式会社の登録商標です。

【ヤクルト】
粉ミルクをお湯で溶かして仕込乳をつくり、加熱殺菌して、培養タンクに「乳酸菌シロタ株」と一緒に入れて培養し、シロップ液を混ぜて調合。
容器に入れて密封する。
※「ヤクルト」は株式会社ヤクルト本社の登録商標です。

<参考サイト>
・【乳酸菌飲料を比較!】乳酸菌飲料と発酵乳の違いとは?
https://nutriworks.jp/post/columns/785
・乳酸菌の機能性~ヨーグルト・乳酸菌飲料でおいしく健康!~
https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_002972.html
・「ヤクルト」ができるまで
https://www.yakult.co.jp/visit/make/
⑤ 効率よく栄養が摂れる酵素ドリンクとは?
健康に良い飲料として「酵素ドリンク」というものを見たり聞いたりされたことがあるかと思います。
酵素ドリンクとは酵素を摂取できるドリンクではなく、野菜や果物を発酵させた飲料で、酵素の働きによりつくられた植物発酵エキスのことを指します。
酵素ドリンクの発酵に用いられる微生物の代表的なものは、乳酸菌、酵母菌、酢酸菌、麹菌です。
発酵の過程で微生物の酵素によって原料の栄養素が分解され消化・吸収しやすい状態になっており、内臓への負担を軽減しながらエネルギー源となる糖を効率よく摂取できるとされています。
また発酵させることにより栄養価アップ、香りや風味が増す、保存性が高まるなどのメリットもあります。

<参考サイト>
・【徹底比較】酵素ドリンクのおすすめ人気ランキング【2024年11月】
https://my-best.com/47
・酵素ドリンクってどんなもの?飲むなら朝と夜どっちがいい?
https://www.esthepro-labo.com/column/inner-beauty/enzymedrink2312/
・酵素と発酵の違いって何?酵素ドリンクを発酵させると何がどう良くなる?
https://www.esthepro-labo.com/column/intestinal-activity/fermentation2402/
・人気の酵素ドリンクおすすめ21選!酵素ドリンクの正しい飲み方は?【ダイエット中の栄養補給や市販品も紹介】
https://www.ozmall.co.jp/healthcare/drink/article/29793/#:~:text=%E9%85%B5%E7%B4%A0%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%80%8C%E6%A4%8D%E7%89%A9,%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E6%8C%87%E3%81%99%E3%80%82
⑥ バラエティ豊か!世界の発酵飲料
世界で飲まれている発酵飲料にはどのようなものがあるか、調べてみました。
【酒醸(チューニャン)】(中国)
蒸したもち米に米麹と水を加え発酵させてつくる、アルコールを含む飲料。
甘酒に似てトロトロした液体の中に米粒が残っている。
甘味調味料としてエビチリや酢豚に加えたり、お湯で溶いて白玉団子を入れてデザートにしたりする。
【カオマーク】(タイ)
蒸したもち米に麹菌を加え発酵させてつくる、微量のアルコールを含む飲料。
常温発酵で初期の段階で乳酸発酵が起こるため軽やかな酸味がある。
おかゆ状でフルーティーな香りが特徴で、スイーツとして食べられている。
【ルイボスティー】(南アフリカ共和国)
南アフリカで自生しているルイボスというマメ科植物の葉を発酵してつくる発酵茶。
現地での歴史は長く、数世紀にわたり“奇跡のお茶”として飲み続けられてきたとのこと。
※写真はPhoto ACより「ルイボスティーの茶葉」
【コンブチャ】(モンゴル)
モンゴル発祥の紅茶キノコ。
砂糖を加えた紅茶や緑茶などのお茶に、スコビーと呼ばれる酵母由来の発酵菌と酢酸菌を入れて発酵させた飲み物。
※写真はPhoto ACより「コンブチャ」
【ケフィア】(コーカサス地方)
長寿地域として世界的に有名なコーカサス地方(黒海とカスピ海に挟まれたエリア)で、昔から常食されてきた、ヨーグルトに似た発酵飲料。
一般的なヨーグルトは乳酸菌のみで発酵させるのに対し、ケフィアは乳酸菌と酵母で、主に牛乳を発酵させた発酵乳。
【テパチェ】(メキシコ)
パイナップルの皮や芯、果肉などに、水、スパイス、黒砂糖を入れて発酵させた飲料。
メキシコでは伝統的な飲料として古くから親しまれてきた。
【クワス】(ロシア)
ライ麦と麦芽を発酵させたロシアの伝統的な飲み物で、わずかにアルコール分を含む。
コーラに似た色で、ライ麦でつくる黒パンをジュースにしたような、爽やかなのどごしと、独特の甘酸っぱさが特徴。

<参考サイト>
・【発酵文化から学ぶvol.2】こんなにあった!知られざる世界の発酵食
https://www.has710.com/blog/2023/03/24/column_hakko-vol2-world/
・アメリカ発酵飲料市場 スタバもコカ・コーラも注目する、モンゴル発祥の“コンブチャ”とは!?
https://diamond-rm.net/overseas/44396/
・コンブチャの一人勝ちがついに終了?発酵飲料「テパチェ」が海外で突如トレンド入り
https://front-row.jp/_ct/17563942
・ロシア伝統の微炭酸飲料クワス 夏の風物詩1缶40円
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO49237350Q9A830C1H96A00/#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A7%E3%81%AF%E8%A6%8B%E6%85%A3%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E9%A3%B2%E3%81%BF%E7%89%A9,%E3%81%8C%E6%A0%B9%E5%BC%B7%E3%81%84%E6%94%AF%E6%8C%81%E3%82%92%E9%9B%86%E3%82
⑦ 《美味しい小豆島の食財紹介》オリーブサーモン昆布巻き 編
石井製麺所では、小豆島のおいしいものをお届けしたいと考えて、今年も「(株)瀬戸の香」さんの特製佃煮を期間限定ですが販売させていただいております。
老舗の職人がつくる特製佃煮「オリーブサーモン昆布巻き」は、香川県特産のオリーブサーモンを使った昆布巻です。
釧路産一等級の昆布と、栃木県産かんぴょうを使い、手作業でひとつずつ丁寧に巻いて製造されています。
味は甘めの薄味ですが、小豆島の木桶仕込み醤油を使い、直火釜でコトコトと柔らかくとろけるように煮込まれています。
お正月のおせち料理にはもちろん、普段のお食事やおつまみにいかがでしょうか。
使用されているのは、香川県の新特産品「オリーブサーモン」。
オリーブサーモンとは、香川県産を主とした“オリーブ葉”の粉末を添加した飼料で一定期間以上養殖したサーモントラウトのことをいいます。
オリーブ葉には、ポリフェノールの一種「オレウロペイン」が豊富に含まれています。
オリーブ葉粉末を添加した飼料でサーモントラウトを飼育すると、適度な脂のノリで、さっぱりとした味わいと歯切れの良い食感への肉質改善が期待されているそうです。

《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《オリーブサーモン昆布巻き<(株)瀬戸の香>》 https://141seimen.thebase.in/items/94974914
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.48
麺究者への道/⿂介を使った発酵⾷品について研究してみる
今回のブログは、これまでの単一テーマから外れて「魚介系の発酵食品」がテーマです。
発酵熟成にこだわって、いろいろとブログを書いてきましたが、ちょっと視点の違ったお話です。
魚介系の発酵食品と言えば、香川県では「いかなご醤油」が有名なんだそうですね。
恥ずかしながら、知りませんでした。
同じように魚醤と呼ばれるものは世界にもあり、多種多様な魚介系の発酵食品があることを知りました。
というか、気付きました。
身近なカツオ節や塩辛なども発酵食品だということを知って、今更ながらですが合点のいくところがあります。
素麺との関連性で言うと、間接的ではありますが出汁を取るカツオ節でしょうか。
においの強いものは得意ではありませんので敬遠しがちですし、これまでも接点は少なかったように思います。
小豆島は海に囲まれているので、海産物の加工品を目にすることがあります。
先日は、鰯の削り節「いりこぶし」というものに出会いました。
冬のギフト商品用として魚介系の商品を探していたときに「これはおいしくてクセになるよ!」とおすすめいただいたのが、「いりこぶし」でした。
ブログの後半でも詳しくご紹介いたしますが、結構、三代目好みの味で、試食用にいただいた物は、気がつけば一人でおやつ代わりに食べてしまっていました。
それぐらい(?)旨みがあって、鰯の風味が生きた加工食品でした。
ブログを書くために色々と調べているのですが、こういった新しいものに出会ったとき、前向きに抵抗感無く捉えられるのは、ブログを書いて少なからず予備知識があるおかげかも知れません。
大事な出会いを上手く活かすためにも、やはり知識というのは大切ですね。
今回のブログでは、世界の魚介系発酵食品から、日本の魚介系発酵食品の種類や歴史なども調べています。
なぜ、昔の人はこれを食べようと思ったんだろう?思いついたんだろう?というものあったりして、疑問がいろいろと出てくるのですが、人類が魚介系の発酵食品を口にするようになったそのターニングポイントを想像しながら色々と調べてみました。
ぜひ最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

製麺工場から徒歩30秒ほどからの風景です。
ダイナミックな景色が広がっています。
秋を感じますね。
【目次】
① 塩辛、魚醤、なれずしのルーツとは?
② 水産発酵食品の種類と特徴とは?
③ 水産発酵食品の製造方法について
④ 日本各地でつくられている水産発酵食品とは?
⑤ 世界で食されている水産発酵食品
⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》いりこぶし 編
① 塩辛、魚醤、なれずしのルーツとは?
水産発酵食品は考古学的遺物として残らないため、その起源を明らかにするのは難しいそうです。
一説には、東南アジアのメコン川流域や、それに接する中国の西南部で水田の稲作が始まったことから、水産物を塩漬けにした「塩辛」や、塩辛を液体状にした調味料である「魚醤」ができたと考えられています。
川や湖から水田に小魚が大量に入ってきて繁殖し、米の収穫時に水が抜かれると大量に漁獲されます。
それを保存するために塩漬けして発酵させたのが始まりで、さらに米を加えて乳酸発酵させたものが「なれずし」のルーツということだそうです。
腐敗を防ぐために食材を塩漬けにしていたところ、元の味とは異なった風味を持つことがあると分かり発酵の技術が発展したと考えられます。
古代中国では、魚に塩だけでなく麹も加えて発酵を促し魚醤をつくっており、肉を使った肉醤もつくられていましたが、漢の時代頃から大豆や穀物を原料とするようになり、これが味噌や醤油のルーツとされています。
現代でも東南アジアは魚醤の食文化、中国や朝鮮半島、日本の東アジアは大豆や穀物を原料とした穀醤の食文化が主流となっています。
日本へは弥生時代、水田稲作とともに、塩辛や魚醤、なれずしの原型が伝わったと考えられています。
694~710年の藤原京跡から「フナのししお」(フナを原料とした塩辛)と読める木簡が出土しているのが最初の文字記録だそうです。
平安時代にはシカやウサギを原料とする塩辛の記録も残されています。
かつて塩辛はおかずとして食べられたり、野菜と一緒に煮たり、汁を味付けに使ったりしており、魚醤は日本各地でつくられていたそうです。
なれずしは酸っぱい味がするので「酢し」と言われたのが「すし」の語源という説があります。
特定の漁期に集中して漁獲される魚を保存するため、かつては日本各地でつくられていました。
8世紀前半の「養老記」に「鮓」の文字が現れるのが最初の記録とのこと。
「すし」といえばなれずしのことだったそうです。
海産魚介類のほか、アユ、フナ、アメノウオ(サケ目サケ科に属する淡水魚。別名「ビワマス(琵琶鱒)」といい、琵琶湖にのみ生息する固有種)という淡水魚のなれずしが平安時代の記録に残っています。
室町時代には、ご飯も食べられる「生なれ」ずしが出現しました。
それまでなれずしは、酸っぱくてベトベトするご飯を取り去って食べていましたが、漬け込んで3~4日、遅くとも1~2カ月で消費するようになり、魚とご飯を一緒に食べるようになりました。
江戸時代中頃には、魚やご飯に酢を加える、発酵を経ないすしがつくられるようになり、握りずしや海苔巻きが登場しました。
これに伴い、伝統的なすしが「馴れずし」「熟れずし」と呼ばれるようになったそうです。

<参考サイト>
・農林水産省 水産発酵食品
https://traditional-foods.maff.go.jp/bunrui/suisanhakkoushokuhin
・石毛直道の発酵コラム 第3回「水産発酵食品」
https://wb.kirinholdings.com/about/activity/ferment/fishery/column_03.html
・魚醤とナレズシ
https://www.syokubunka.or.jp/publication/gallery/ishige/archives/fishsauce/chapter10.html
・アジアの発酵、日本の発酵#1
https://cuisine-kingdom.com/takashi-morieda/
② 水産発酵食品の種類と特徴とは?
水産発酵食品は、発酵に関わる微生物の種類や製造法などから、「塩蔵型発酵食品」「漬物型発酵食品」の2つに大きく分けることができます。
【塩蔵型発酵食品】
塩辛、魚醤、くさやが代表的。
「塩辛」は、食塩で魚介類の身や内臓の腐敗を防ぎながら、素材そのものが持つ消化酵素の作用により生臭さが消えて特有の風味が醸成される。
イカやウニの塩辛の他にも、カツオの内臓を使った「酒盗」、ナマコの内臓を使った「このわた」、アユの内臓を使った「うるか」、サケ・マス類の内臓を使った「めふん」などが各地で食されています。
「魚醤」は、魚介類を高濃度の食塩とともに1年~数年熟成させてつくる液体調味料。
かつて日本の広い地域でつくられていましたが、大豆醤油の広がりとともに減少しました。
現在では、秋田県の「しょっつる」、石川県の「いしる」、香川県の「いかなご醤油」が日本三大魚醤とされています。
伊豆七島の新島や大島などに伝わる干物「くさや」は、発酵した魚汁にムロアジやトビウオなどの魚を一晩漬け、乾燥させます。
汁の中の細菌により抗菌作用が付与され、また強烈なにおいが発生します。

※写真はPhoto ACより「イカの塩辛」
【漬物型発酵食品】
なれずし、ぬか漬けが代表的。
「なれずし」の中でも最も古い形をとどめているとされるのが、滋賀県の「ふなずし」。
強烈なにおいが特徴で、乳酸菌が多く含まれ、味はチーズに似たところがあります。
フナの他にウグイやハス、モロコ、アユなども使われます。
なれずしの材料としては、サバ、ブリ、サケ、ニシン、ハタハタなども使われます。
「ぬか漬け」は、塩蔵したイワシやサバ、ニシン、フグなどを、麹とともにぬかに漬け込み熟成させてつくります。
猛毒を持つフグの卵巣を微生物の発酵により数年かけて無害化した、石川県の「フグの子ぬか漬け」が有名です。
塩漬けした魚介類を発酵調味料に漬け込む「酢漬け」や「醤油漬け」があります。
酢漬けは、塩漬けした魚介類を食酢に漬け込むことにより、抗菌作用と香味を有します。
福井県の「こだいの笹漬け」、富山県の「ますずし」、岡山県の「ままかりの酢漬け」など。

※写真はPhoto ACより「鮒寿司」
醤油を使った魚介類の漬物としては、北海道と東北地方の「松前漬け」が代表的です。
カツオ節も発酵食品です。
カツオ節には「荒節」「枯節」「本枯節」という種類がありますが、そのうちカビ付けの工程がある「枯節」「本枯節」は、微生物の力を借りてつくられる食品であることから発酵食品の定義に該当します。
脂肪の分解力を持ち良い香りを引き出すカビを付けることにより、特有の美味しさを引き出し、より高品質なカツオ節をつくることができるそうです。
脂肪は品質低下の原因となるため、カビ付けをして分解することで、焙乾香や酸味がやわらぎ上品な風味とうま味が際立つとのこと。
カビを付けていない「荒節」と比べ、まろやかな出汁が取れます。

<参考サイト>
・かつお節は発酵食品!?魅力や活用術をご紹介!
https://www.yamaki.co.jp/katsuobushi-plus/news/202310_hakkou/
③ 水産発酵食品の製造方法について
いくつかの代表的な水産発酵食品について、製造方法を調べてみました。
【しょっつる】
原料としてはハタハタだけでなく、イワシなど様々な魚種でつくられます。
高塩分濃度で腐敗を抑えながら、魚介の持つ自己消化酵素により、タンパク質を徐々に分解してペプチドが生成され、さらにアミノ酸まで分解されます。
魚介のタンパク質の構成アミノ酸としては、うま味系のアスパラギン酸やグルタミン酸が多いため、うま味の強い液体ができます。
つくり方は、原料に対して約20~40%の食塩をまぶし、汁が浸出したら、脱水した魚を他の桶に移し、さらに塩をかけます。
浸出液を煮沸ろ過して魚を入れ重しをして、1年~数年漬け込むと魚は液化します。
これを煮沸後、数回ろ過して瓶詰めします。

※写真はAdobe Stockより「発泡スチロールに入ったハタハタ」
【ふなずし】
フナを丸ごと漬け込み、発酵中に産生する乳酸により骨がやわらかくなり、骨まで食べることができます。
増えた乳酸菌による整腸作用もあり、栄養価も高いそうです。
フナのうろこやえら、浮き袋、内臓を除去し、えら部と内臓部に塩を詰めて桶に詰め、重しをして2カ月以上漬けます。
フナを取り出して洗い、半日ほど日干ししたら、桶に冷ました白米とフナを交互に漬け込んで重しをします。
桶の水が下から上がってきたら、空気と遮断するため上に水を張り、時々水を交換しながら半年~2年ほど漬けます。
【カツオ節(枯節、本枯節)】
3枚におろしたカツオの身を煮て薪でいぶし、数日かけてじっくり乾燥させます。
こうしてできたものが「荒節」で、さらに天日で数日乾かし、カビ付け室に入れると、約2週間でカビが表面を覆います(1番カビ)。
表面の胞子を払い、再度天日干しをしてカビ付け室に戻し、4~6カ月ほどかけて2番カビ、3番カビ、4番カビと付けていき、最後に充分乾燥させます。
カビ付けを2回以上繰り返したものが「枯節」です。
さらに、厳密な定義はありませんがカビ付けを枯節よりも多く行ってつくられるものは「本枯節」と呼ばれ、カツオの風味がより豊かになります。
カビ付け=発酵により、酸味や渋味、雑味が削ぎ落とされてうま味が前に出てきます。
さらに水分が飛んでうま味が凝縮されるそうです。
付着した麹カビが水分を吸い取るため、他の微生物が繁殖できなくなるほど乾燥することで保存性が高まり、世界一硬い食品とも言われるほどの硬さになります。

※写真はPhoto ACより「たくさん陳列された鰹節」
<参考サイト>
・しょっつる
https://nrifs.fra.affrc.go.jp/kakou/souran/syottsuru/index.html
・ふなずし 滋賀県
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/funa_zushi_shiga.html
・鰹節(かつおぶし)|世界でもっとも硬い発酵食品?
https://www.hakko-biyori.com/dictionary-43
・世界一固い発酵食品「かつお節」の種類や作り方、栄養成分や美容・健康効果、使い方・食べ方、保存法をチェック
https://haccola.jp/2021_10_22_12088/
・「本枯鰹節」は手間暇かけた最上級のかつおぶし!おすすめの理由とは!
https://shop.ninben.co.jp/blog/katsuobushi/282/
④ 日本各地でつくられている水産発酵食品とは?
日本各地の水産発酵食品にはどのようなものがあるか、調べてみました。
<塩辛>
【切り込み】(北海道ほか)
北海道や東北地方でつくられる魚の塩辛。
ニシンやサケ、ヒラメ、エビなど様々な魚を材料につくられている。
昔は常温で保存できるよう、塩分高めでつくられていたとのこと。
【めふん】(北海道)
サケの腎臓を使った塩辛。
その名は、せわたを指す「メフヌ」「メフン」という北方アイヌ語からきているとのこと。
新巻鮭をつくるときに取り除く腎臓(せわた)の部分を塩漬けにし熟成させてつくる。
1年以上置くとトロトロになり原型をとどめなくなる。

※写真はPhoto ACより「アイヌ料理 めふん 北海道」
【このわた】(石川県ほか)
塩辛の一種で、カラスミ、ウニとならぶ三大珍味の1つとされる。
干しナマコをつくる過程で不要となる腸を海水で良く洗い、水を切って約2~3割の塩を合わせてよく混ぜる。
水分を取り一昼夜置き、密封して熟成させる。

※写真はPhoto ACより「このわた ナマコ 塩辛 石川県」
【黒づくり】(富山県)
イカの塩漬けに肝臓と墨袋をすり混ぜて発酵・熟成させ、独特の香味を加えた塩辛。
江戸時代、加賀藩主の参勤交代の際に献上品として納められたとも言われる。
【うるか】(岐阜県ほか)
アユの塩辛で、アユの獲れる各地でつくられている。
様々な種類があり、内臓に細切りにした身をまぜた「切り込みうるか」、内臓だけを使った「苦うるか(渋うるか、土うるかとも)」、内臓と身の全体がペースト状になった「身うるか」などがある。
【カツオの酒盗】(高知県ほか)
高知県や静岡県、鹿児島県などカツオ節の産地でつくられている。
カツオ節をつくる過程で不要となる内臓を水でよく洗って水気を切り、3割程度の塩に漬け込んで熟成させる。
土佐藩主の山内豊資がその美味しさに“酒を盗んででも飲みたくなる”という意味で名づけたと言われる。

※写真はPhoto ACより「かつおの酒盗とクリームチーズ」
【がん漬け】(佐賀県)
有明海の干潟にすむシオマネキという小さなカニの塩辛。
シオマネキを丸ごと臼やすり鉢でつき砕き、2割ほどの塩と唐辛子を入れ、かめや瓶に詰めて1カ月ほど発酵させる。

※写真はPhoto ACより「郷土料理 がんづけ」
【すくがらす】(沖縄県)
アイゴという魚の稚魚(沖縄方言で「スク」または「シュク」)を使った塩辛(沖縄方言で「カラス」)。
スクに3割ほどの塩を混ぜて重しを乗せ数日置いて、上がってきた水分にさらに塩を加えて沸騰させ、元のスクと一緒にかめや瓶に入れ、3カ月~1年かけて熟成させてつくる。

※写真はPhoto ACより「スクガラス」
<日本三大魚醤>
【しょっつる】(秋田県)
ハタハタやイワシを生のままかめなどに入れて塩漬けし、1~3年ほど発酵させ、自然にしみだしてきた水分を濾して使う。
その名は「塩汁」がなまったものと言われており、「塩魚汁」とも表記する。
秋田の代表的な郷土料理「しょっつる鍋」や「きりたんぽ鍋」の味付けに使われる。
【いしる】(石川県)
イワシやイカの内臓を塩漬けし、1年ほど熟成させてから煮沸し、上澄みを濾して使う。
能登の代表的な調味料で、地元ではイカの内臓を原料とする「いしる」、イワシを原料とする「よしる」と使い分けているとのこと。
「いしり」「よしり」とも呼ぶ。
塩分は強く個性的な香りながら、慣れると普通の醤油代わりに使えるほど地元では定着している。
【いかなご醤油】(香川県)
イカナゴ(スズキ科の小魚)を塩漬けし、表面を松葉で覆って3~4カ月発酵・熟成させ、汁を布で濾して使う。
醤油が多く出回るようになると衰退してほとんどつくられなくなったが、近年、讃岐の味わいとして復活を遂げた。
<調味料>
【ととのみそ】(大分県)
魚などの水産物と米麹でつくられる発酵調味料。
別府大学と津久見市観光協会などでつくるプロジェクトチームにより、新しく開発された。
<なれずし>
【ハタハタずし】(秋田県)
新鮮なハタハタを水にさらしてよく血抜きをし、1日酢漬けにして、刻んだニンジン、カブ、ユズなど彩り豊かな野菜と一緒に、重石をかけてご飯と麹で2~3週間ほど漬け込んでつくる。
お正月料理として昔から食されてきたとのこと。
【くさりずし】(千葉県)
九十九里浜に伝わる伝統的な保存食。
イワシやサバ、サンマなどでつくるなれずし。
風味付けにショウガと赤唐辛子を漬け込んでいるのが特徴。
【かぶらずし】(石川県)
野菜のカブにブリを挟み、麹で漬けこむすし。
江戸時代、豊漁祈願の儀式の際に出された料理とされ、現在でもお正月などに食される。
塩漬けしスライスしたカブに、塩漬けしたブリを挟み、1週間~1カ月ほど麹で漬け込む。
富山県では、ブリではなくサバやサケでかぶらずしがつくられる。

※写真はPhoto ACより「かぶら寿司 アップ」

※写真はPhoto ACより「北陸名産「サバの大根ずし」」
【ニシンずし】(福井県ほか)
福井県や、北海道、東北地方でつくられ、「ニシン漬け」「大根のニシン漬け」とも呼ばれる。
下処理したニシンを、薄切りのダイコン、ニンジン、ショウガなどの野菜と一緒にご飯で漬け込んでつくる。
焼いて食べてもおいしいとのこと。
【サバのなれずし】(福井県など)
へしこ(魚のぬか漬け)を使ったなれずしで、正月などハレの日の料理。
ぬか漬けの香ばしさと、なれずしの酸味とうま味が合わさった風味で“海のチーズ”とも呼ばれる。

※写真はPhoto ACより「なれずし 早なれずし サバ 和歌山県」
【アユのなれずし】(岐阜県ほか)
岐阜県、滋賀県、福井県、和歌山県、栃木県など、アユの獲れる日本各地で保存食としてつくられてきた。
地域によっては「アユのくされずし」とも呼ばれている。
地域によっては大根を一緒に漬けることも。

※写真はPhoto ACより「鮎のなれずし 岐阜県」
【ふなずし】(滋賀県)
昔ながらの製法でつくる、日本のなれずしの代表格。
琵琶湖周辺でとれたフナを数カ月塩漬けにしてから、1~3年ご飯で漬け込む。
お正月やおもてなしの料理として食されたり、神社で神餞として供えられたりしている。
【サンマのなれずし】(和歌山県)
新鮮なサンマを開いて、数カ月~1年塩漬けにし、塩抜きをしてご飯と合わせ重石をかけて桶に漬け込み、1カ月ほど熟成させてつくる。
30年以上熟成させた「本なれずし」もあるとのこと。
最近では、酢を使い数日間でつくるものもある。

※写真はPhoto ACより「和歌山のなれずし」
<その他>
【山漬け】(北海道)
鮭のえらと内臓を取り除いて塩をもみ込み、箱に仕込んで何段も重ねて重石を乗せ、数日~10日ほど熟成させ、塩を洗い乾燥させる。
アイヌの人々がつくっていた鮭の干物と、江戸時代に和人が持ち込んだ塩の文化が合体してできたとされている。
【あざら】(宮城県)
気仙沼市周辺の漁師の料理。
メヌケという深海魚のアラと、長期間漬け込んで発酵が進み酸味が増した白菜の古漬けを、酒粕で煮込む。
【くさや】(東京都)
400年ほど前、伊豆七島の新島で生まれたとされ、「くさいや」が語源と言われている。
マアジやムロアジなどの腹を裂いて内臓を取り水洗いしてから、長年受け継がれているつけ汁に2時間ほど漬けてから天日干し、を繰り返してつくる。

※写真はPhoto ACより「くさや」
【潮かつお】(静岡県)
西伊豆町の田子地区に伝わり、カツオ節の原型とも言われる。
カツオの内臓を取ってよく洗い3週間ほど塩漬けにして、塩を洗い、3週間~1カ月ほど屋内で陰干ししてつくる。
新年を祝う縁起物として、正月に神棚に供えられる。
【フグの卵巣ぬか漬け】(石川県)
白山市美川地区周辺に伝わる珍味。
猛毒をもつフグの卵巣を1年ほど塩漬けにして、さらに1年以上ぬか漬けにする。
江戸時代にはすでにつくられていたと伝わるが、無毒化のメカニズムは解明されていないとのこと。
【へしこ】(福井県ほか)
福井県、石川県、富山県などでつくられてきた、魚のぬか漬け。
サバやイワシ、ニシン、フグなどの魚をよく洗って水気を切り塩をまぶし、下漬けしたものを塩と米のとぎ汁で練ってつくったぬか床に漬け込んでつくる。

※写真はPhoto ACより「発酵食品 魚 鯖のへしこ」
【ままかりの酢漬け】(岡山県)
ママカリという小さな青魚の頭と内臓を取って塩でしめ、塩を洗って数日間酢漬けにしてつくる。
そのままで食したり、酢飯と握って寿司として食したりする。

※写真はPhoto ACより「ままかり寿司 ~岡山の郷土料理~」
【いずみや】(愛媛県)
おからを酢飯に見立て、酢でしめた青魚を乗せた握り寿司。
コノシロやサヨリなどが用いられる。
【辛子明太子】(福岡県)
スケトウダラの卵巣(卵を含む)を塩漬けにして、醤油や酒、唐辛子を使った調味液に漬け込んでつくる。

※写真はPhoto ACより「博多名産 辛子明太子」
【松浦漬け】(佐賀県)
クジラの脂を搾った後の上あごの軟骨(かぶら骨)の使い道として、江戸時代から昭和30年代まで捕鯨地として栄えた呼子町で考案されたもの。
かぶら骨を酒粕に漬け込んでつくる。
<参考サイト>
・発酵食品名鑑
https://wb.kirinholdings.com/about/activity/ferment/fishery/
・生で食べきれない魚介類を有効活用した”海の発酵”【前編】《ニッポン全国発酵食品名鑑》
https://discoverjapan-web.com/article/66048
・生で食べきれない魚介類を有効活用した”海の発酵”【後編】《ニッポン全国発酵食品名鑑》
https://discoverjapan-web.com/article/66566
・大豆ではなく「魚で作った」味噌とは? 実は各地に存在する発酵魚介食材
https://tsurinews.jp/185909/
⑤ 世界で食されている水産発酵食品
東南アジアを中心に広く使われている魚醤は、古代ローマ時代のヨーロッパでも日常的に使われていたそうです。
魚醤のような調味料の他にも、世界各地で多様な水産発酵食品が食されています。
主なものを調べてみました。
<調味料>
【ガルム】(古代ヨーロッパ)
古代ローマ時代、ヨーロッパではアンチョビの内臓を原料とする魚醤「ガルム」が日常的に使われたと伝えられる。
ウスターソースも、もとは小魚を発酵させた魚醤が起源。
最近は現代人の味覚に合わせ、小魚や小エビを塩漬けにした新しいガルムがつくられ、イタリアの味として人気を集めているとのこと。
【コラトゥーラ・ディ・アリーチ】(イタリア)
南イタリアのアマルフィ海岸で手づくりされるアンチョビの魚醤。
塩漬けにしたカタクチイワシを4~5カ月間熟成させ、壺の底にたまった液体と熟成したイワシを漉してつくられる。
【ナンプラー(ナムプラー)】(タイ)
タイ料理に欠かせない魚醤。
塩漬けしたカタクチイワシを発酵させて生じる液体で、発酵にかかる期間は1年ほど。
つくり手によって味わいに違いがあるのも特徴。
【カピ】(タイ)
小エビを塩漬けにして発酵させペースト状にした調味料。
グルタミン酸含有量が多く、加熱すると香りが広がり、凝縮したエビのうま味を料理に加える。
カレーペーストの原料としても使われる。
【ニョクマム(ヌクマム)】(ベトナム)
ベトナム南部のフーコック島などでつくられる魚醤。
木樽にカタクチイワシなどの小魚と塩を漬け込み、4カ月~1年ほど発酵・熟成させてつくる。
アミノ酸含有量が豊富で、うま味がたっぷり感じられる。
ナンプラーに似ているが、ナンプラーより魚に対する塩の割合が少なく発酵期間が短い。
【ユイルウ(魚露)】(中国)
カタクチイワシやムロアジを塩漬けし、熟成・発酵させてつくる魚醤。
【サーチャージャン】(台湾)
干しエビやカレイ、ニンニク、トウガラシが原料の、魚介のうま味が凝縮した台湾版バーベキューソース。
台湾では牛肉の炒め物や火鍋、水餃子のつけだれ、魚介料理のコク出しなどに使われる。
【エクジョ】(韓国)
イワシを塩漬けし熟成・発酵させてつくる魚醤。
生臭さや独特な風味は抑えらえており食べやすい。
キムチの隠し味としても使われる。
<魚の加工食品>
【シュールストレミング】(スウェーデン)
その強烈な匂いから「世界一臭い食べ物」と呼ばれる。
ニシンの塩漬けを缶に入れて発酵させた保存食で、缶の中でずっと発酵を続けるため、常温保存できない。
パンや茹でジャガイモと一緒に食べるのが一般的。

※写真はPhoto ACより「シュールストレミング」
【アンチョビ】(イタリア)
イタリア料理でおなじみ。
内臓を取り除いたカタクチイワシを塩漬けにして発酵させ、オリーブオイルを加える。
【スモークアンチョビ】(スペイン)
スペイン・バレンシア地方でつくられる。
新鮮なヒシコイワシの腹ワタを取り除き2日間塩漬けにした後、ブナの木で軽くスモークしてオイル漬けにする。
塩分控えめで、燻製の香りが料理を引き立てる。
【ハカール】(アイスランド)
サメを発酵させてから水分を飛ばし、干物のようにした食品。
サメの身にはアンモニアが多く含まれており、口に含むと強烈な刺激臭が鼻に抜けていくと言われる。
味としてはチーズのような風味。
伝統的に製造されており、スーパーなどでも普通に売られているとのこと。
【ピクルド・グラミーフィッシュ】(タイ)
「プラー・ラー」と言われる、タイ版の「へしこ」。
グラミーフィッシュという魚を塩や米ぬかに漬けて発酵させたもの。
独特の香りが特徴で、青パパイヤのサラダなどに使う。
【ホンオフェ】(韓国)
切り身にしたエイを壺の中で数日間発酵させたもので、シュールストレミングに次ぎ、世界で2番目に臭い食べ物と言われる。
エイの身にはアンモニアが多く含まれており、食べると強烈な刺激臭が喉から鼻に抜ける。
またアンモニアはアルカリ性のため、はやく飲み込まないと口の中がただれてしまうという危険性もある。
韓国の一部地域では冠婚葬祭に欠かせない高級料理として親しまれている。
【ジョッカル】(韓国)
オキアミの塩辛で、韓国料理に欠かせないもの。キムチを漬ける時に使用し、乳酸発酵を促し、うま味を増進させる。その他、チゲ鍋や炒め物の隠し味にも使われる。
<参考サイト>
・日本が誇る伝統の発酵食品「魚醤」の豆知識
https://www.maruichi.com/delicious/file/post-24.php
・日本で買って使える発酵食品図鑑
https://cuisine-kingdom.com/fermentedseasoning/
・【発酵文化から学ぶvol.2】こんなにあった!知られざる世界の発酵食
https://www.has710.com/blog/2023/03/24/column_hakko-vol2-world/#co-index-1
・世界の料理は微生物であふれている!|世界の発酵食品10選
https://micsmagazine.com/basic/2438/post
・ベトナム料理に欠かせない調味料「ヌクマム」とは?
https://tripping.jp/asean/vietnam/33959
⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》いりこぶし 編
おやつに、おかずに、トッピングに鰯のうま味が詰まった削り節はいかがでしょうか?
導入部分でも触れましたが、冬のギフト品、小豆島のおいしい逸品として「池田漁業協同組合」様へお邪魔して、小豆島の海産物についていろいろとお話を伺ってきました。
「池田漁業協同組合」様には、常日頃からお世話になっていて、催事やイベントなどでも一緒に参加させていただいたりしています。
今回も「ぜひ小豆島のおいしいものを、石井製麺所からご紹介させていただきたい」とお願いしたときにご紹介いただいたのが「いりこぶし」でした。
いりこってご存じですか?
煮干しと言った方がご理解いただけるでしょうか。
瀬戸内海、特に香川県では初夏の風物詩として“いりこ漁”がおこなわれています。
「いりこ」=「イワシ(カタクチイワシ)」を茹でて干したものです。
小豆島から少し離れた香川県の「伊吹島(いぶきじま)」というところでは、いりこがつくりやすいように島を囲むように加工場があります。
当然、島の特産品がいりこです。

※写真はイメージ
今回ご紹介する「いりこぶし」は、瀬戸内から九州五島列島にかけて水揚げされた鰯を、大正時代から受け継がれた技法で一尾一尾手間暇かけて骨ごと削り濃厚な味を凝縮した削り節です。
脂分の少ない良質の鰯煮干しを使用し昔ながらの手法で丁寧に削られ、とても贅沢な削り節に仕上げています。
旨さたっぷり、栄養もたっぷりで、お料理のバリエーションも広がる逸品です。
おひたしや豆腐をはじめ、お好み焼きなどに、そのままふりかけるのも良し、簡単に上品で香り高い「だし」もとれるのでおすすめです。
もちろん、素麺や釜玉うどんなどのトッピングにもぴったりです。
試食用に初めていただいたとき、「濃い!」が第一印象でした。
私が知る一般的なかつお節と比較して、そのままつまんで、おやつ代わりになる削り節で、試食用の一袋は、ほとんど私がおやつとしてつまんでしまいました。
かつお節より厚めに削られた印象で、鰯の味(魚の旨み)が濃く感じられました。
卵かけご飯にかける(混ぜる)と、醤油との相性がよく、おかわりしてしまうくらいおいしかったです。
この機会にぜひお召し上がりください。
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《いりこぶし<池田漁業協同組合>》 https://141seimen.thebase.in/items/94882496
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.47
栄養成分の機能性について/糖
冬にお届けするDMがようやっと完成し、順次発送させていただいています。
今回も、「小豆島のお“いしい”逸品」と題し内容を充実させて、ギフト品などのご案内をお届けさせていただいています。
まもなくネットショップでも公開していきたいと考えていますので、今しばらくお待ちいただけましたら幸いです。
今回は、例年になく遅い発送となってしまいました。
毎年楽しみにしてくださるお客様もいらっしゃるので、申し訳なく思っております。
その原因のひとつが(言い訳ですが)、10月はまだしも、11月に入っても暑い日が続き、どうにも冬のイメージが湧かず、悪戦苦闘しておりました。
楽しみにお待ちいただく方もいらっしゃるので、そんなことも言っておられず、いろいろとご用意させていただきました。
「小豆島のお“いしい”逸品」の商品については、12月のブログでもご紹介させていただきたいと思いますので、詳しいご紹介はまた後日。
11月に入り、石井製麺所も新しい年を迎えることができました!
石井製麺所も会社法人ですので決算月というものがあり、それが10月ですので11月は新年度になります。
ここからが2025年のスタートです。
小豆島での手延べ素麺づくりは、ほとんどがそうだと思うのですが、「秋始まりの夏終わり」な感じです。
ようは、涼しくなる秋頃から手延べ素麺の製造が始まり翌年の春過ぎまで製造し、夏前から販売が始まり7月上旬に販売のピークを迎えます。
これがいわゆる手延べ素麺の製麺所の「ビジネスモデル」というものです(当社だけかも知れませんが)。
とはいえ、製麺所も継続できるように稼いでいかなければならず、石井製麺所の冬のメイン商品は「手延べ半生うどん」になります。
この他にも温かいお出汁などにピッタリな太麺は冬場に人気が高く、手延べ素麺(太麺)をはじめ、《楽々膳・黒》シリーズや山芋素麺(太麺)などが人気です。
また、石井製麺所では様々なOEM手延べ素麺・手延べ麺の製造から、自社独自の手延べ麺なども製麺性(つくりやすさ)の観点から涼しい時期に集中して製造しています。
素麺のシーズンが終わった製麺所ですが、実は今からが製麺で忙しい時期になっていくんですよ。
家族全員で健康には充分に留意して、新年度の製麺をおこなっていきたいと考えております。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さて、今回のブログは「糖」についてです。
「糖」と聞くと甘いような気がしますが「糖」の中にも「糖質」や「糖類」と呼ばれるものがあり、それぞれに働きが違います。
「糖質」=「糖類」ではないいんですね。
何となく同じようなイメージでしたが、中身は全く異なるようです。
今回も健康に役立つ内容でお届けできていると思いますので、最後までぜひお付き合いください。

写真は先日の製麺風景。
一日の気温の上昇度などを予想しながら塩加減を考えるのですが、この日は予想より暖かい一日で、塩が少し足りなかったかも知れません。
天気予報だけではなかなかわからないところもあり、まだまだ経験値を上げていかねばいけません。
【目次】
① ⽢いだけじゃない!?糖とは?
② 糖の種類と性質について
③ 糖は発酵に⽋かせない成分
④ ⼈類に⽋かせない成分・糖の働き
⑤ 糖を多く含む食品とは?
⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》しょうどしま長命粒塩 編
① ⽢いだけじゃない!?糖とは?
糖は、タンパク質・脂質と並ぶ、食品の三大栄養素のひとつである炭水化物に分類されます。
炭素と水素の化合物で、消化されてエネルギー源となります。
炭水化物は、消化吸収されやすい「糖質」と消化吸収されにくい「食物繊維」で構成されています。
「糖質」と「糖類」は混同されがちですが、「糖質」とは「炭水化物から食物繊維を除いたもの」の総称で、デンプンやオリゴ糖などがこれに含まれます。
「糖類」とは「糖質から多糖類・糖アルコールを除いたもの」のことです。
ブドウ糖や果糖、砂糖など甘いものは「糖類」です。
糖は自然界に多く存在しており、サトウキビには砂糖、牛乳には乳糖、シイタケにはトレハロース、りんごの蜜部分にはソルビトール、焼き芋にはマルトース(麦芽糖)が含まれています。
最近では、コーンシロップや高フルクトースコーンシロップ(異性化糖)といった工業的に作られた糖類が、炭酸飲料、果実缶詰、アイスクリームなどに多く用いられています。
糖は、甘みをつけるだけでなく、食品の様々な物性をコントロールし、質感や日持ちに影響します。
・風味や色をつける
・水分を保持しツヤを出す
・脂質の酸化を抑える
・デンプンの老化を抑えやわらかさやしっとり感を保つ
・タンパク質を熱から守り変性を抑える
・腐りにくくする
など様々な役割を果たしています。

<参考サイト>
・e-ヘルスネット 炭水化物/糖質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
・糖の基礎知識
https://www.nagase-foods.com/jp/library/knowledge/sugar/
・炭水化物と糖類について
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/download_files/other/topics_02.pdf
・知って得する糖尿病講座「糖質」と「糖類」について」
https://www.hoyukai.or.jp/class/files/142.pdf
② 糖の種類と性質について
糖の性質や物性を予測するのに最も役立つのが、大きさ(分子量)による分類です。
糖には、単糖類から少糖類、多糖類まで様々な大きさのものが存在します。
素麺の主成分である小麦粉に含まれる糖質の大部分は、多糖類の1つであるデンプンです。
【単糖類】
それ以上分解されない、一番小さな糖の単位。
ブドウ糖(グルコース)、果糖(フルクトース)、ガラクトースがあります。
【少糖類】
単糖が2個以上10個未満程度結合した糖。
オリゴ糖とも呼ばれますが、定義はややあいまいだそうです。
砂糖の主成分であるショ糖(ブドウ糖+果糖)や、麦芽糖(マルトース=ブドウ糖+ブドウ糖)、乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)などは、二糖類です。
【多糖類】
10個以上の単糖が結合した糖で、単糖の結合数は数千個におよぶことも。
消化性多糖類と難消化性多糖類に分かれ、消化性多糖類にはデンプン、グリコーゲンなどがあります。
難消化性糖類は食物繊維の仲間とされます。
糖の性質は、小さいほど浸透性に優れ着色性が高くて甘く、大きくなるにつれて浸透性や着色性が低くなり、粘度が上昇し、ツヤを出す機能が高くなります。
糖に関する指標について、調べてみました。
「甘味度」は、人が食べたときに感じる甘さを数値化した指標で、砂糖の甘味を基準に調べたい糖と比較することにより算出します。
甘味度と似た言葉に「糖度」がありますが、これは糖を水に溶かした時の濃度を表す、全く別の意味の言葉です。
一般に糖度が高いと食品が安定であり、低ければ水分が多く不安定になります。
糖度とほぼ同じように使われる数値に「Brix値」があります。
水溶液の溶質濃度が上昇すると屈折率も上昇するという原理を用い、屈折計を利用して測定します。
油脂を多く含む食品は屈折率に影響が出るため、測定には注意が必要とのことです。

糖が関わる、香ばしい香りや色が付く反応は、大きく分けて2つあります。
「カラメル化反応」
糖を高温で加熱した際に、複雑な反応を経て褐色物質ができる反応。
プリンのカラメルやべっ甲あめなど。
「メイラード反応」
糖とタンパク質を合わせて加熱した際に、糖の還元基とタンパク質のアミノ基が反応して褐色物質などができる反応。
パン、ステーキなど。
糖は浸透圧を上げ、微生物が食品中で利用できる水(自由水)を少なくし、腐敗しにくくします。
同じ濃度でも分子量が小さいほど防腐効果は高くなるそうです。

<参考サイト>
・食物繊維とは
https://www.nisshin-seifun.com/wheat-power/dietary-fiber.html
③ 糖は発酵に⽋かせない成分
発酵とは、食物に含まれる糖質やタンパク質を、微生物が分解してアミノ酸やアルコールなどをつくり出すことにより、うま味や風味、栄養価が増したり、保存性が高まったりと、人間にとって有益な状態に変化させることです。
アルコール発酵は、微生物の中でも主に酵母による発酵で、ブドウ糖をアルコールと二酸化炭素に分解します。
酵母は単糖や二糖のような小さい糖しか吸収することができません。
そこで、お酒づくりの場では「糖化」と呼ばれる、多糖を小さな単糖や二糖に分解する工程を必要とします。
主なアルコール飲料製法における、発酵や糖化について調べてみました。
<ワイン、ブランデー>
ブドウに含まれる糖の発酵によりつくられる。
スパークリングワインは、瓶に詰めて二次発酵させる際に酵母と砂糖を加えることで、酵母が砂糖を分解しアルコールと炭酸ガスを発生させる。
※ワインの詳しい説明については「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.46 麺究者への道/ワインについて研究してみる」もご覧ください。

<ビール、ウイスキー、日本酒>
デンプンの糖化によりつくられる。
ビールは、麦芽に含まれる酵素(アミラーゼ)により糖化。
日本酒は、麹カビにより糖化した後、酵母によりアルコール発酵。
ウイスキーは、麦芽の中のデンプンを麦芽糖と呼ばれる二糖まで分解する。
※ビールの詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.42 麺究者への道/ビールについて研究してみる」もご覧ください。
※日本酒の詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.38 麺究者への道/日本酒について研究してみる」もご覧ください。

パンも、アルコール発酵を利用してつくられています。
パン専用の酵母であるイーストは、糖を栄養にして発酵し、ガスを発生させることにより生地をふくらませます。
パンの材料として加える砂糖が、酵素の働きでブドウ糖と果糖に分解され、イーストの栄養となって発酵を促進させています。
フランスパンなどのように砂糖を加えない場合は、小麦粉に含まれるデンプンが分解されて麦芽糖になり、さらにブドウ糖に分解されてからイーストの栄養になるため、発酵管理が非常に難しいそうです。
砂糖は発酵を促進する以外にも、パンづくりに様々な役目を果たしています。
吸水性や保水性のある砂糖を加えることで、やわらかい状態が長く続き、日持ちが良くなります。
焼きあがった時の焼き色や香ばしい香りも、砂糖のカラメル化やメイラード反応によるものです。
※パンの詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.36 麺究者への道/パンについて研究してみる」もご覧ください。

乳酸菌は、糖類を分解して乳酸に変える働きがあります。
乳酸発酵食品にはヨーグルトやチーズ、発酵漬物(ぬか漬け、キムチなど)などがあります。
<ヨーグルト、チーズ>
乳酸菌が牛乳の中の乳糖を分解して取り込む過程で乳酸をつくり出し、それにより牛乳のタンパク質が固まってできる。
※チーズの詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.40 麺究者への道/チーズについて研究してみる」もご覧ください。
※乳酸菌の詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.31 栄養成分の機能性について/乳酸菌」もご覧ください。

<発酵漬物>
野菜にもともと付着している乳酸菌が、野菜の糖類などを分解して乳酸を生成。
酸味が出ると同時に、保存性が高まり独特の風味が生まれる。
代表的な発酵食品のひとつである味噌は、酵母によるアルコール発酵や乳酸菌による乳酸発酵によりつくられます。
麹菌が大豆のデンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に、脂質を脂肪酸とグリセリンにそれぞれ分解して、それらと酵母や乳酸菌が作用して味噌になります。
※漬物の詳しいお話は「【お!いしい けんぶんろく】 Vol.44 麺究者への道/漬物について研究してみる」もご覧ください。

<参考サイト>
・Wikipedia アルコール発酵
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%99%BA%E9%85%B5
・【発酵の基礎】糖からエタノールへ、偉大な酵母のちから
https://whiskylabo.com/alcoholic-fermentation/
・甘くするだけじゃない?パンを作るときの「砂糖」の役割
https://seika.oda.ac.jp/column/1474/
・発酵を促進する砂糖
https://www.pearlace.co.jp/know-and-fun/tips/post-82.html
・発酵ってどういうこと?
https://www.pearlace.co.jp/know-and-fun/tips/post-147.html
・漬物のきほん
https://www.hakko-blend.com/study/hakkofood/04.html
④ ⼈類に⽋かせない成分・糖の働き
糖質がエネルギーとして使われる仕組みはどのようなものか、調べてみました。
食事から糖を摂取すると、口から胃、十二指腸を通過しながら、様々な消化酵素の働きによりブドウ糖同士の結合が切られていきます。
そしてようやく小腸で、最小単位であるブドウ糖にまで分解、吸収されて、血液中に取り込まれ、全身に運ばれます。
「血糖値」とは、このようにして血液中に取り込まれたブドウ糖の濃度を表すものです。
全身に運ばれたブドウ糖は、主に体や脳を動かすエネルギー源として使われます。
脂質やタンパク質に比べて早くエネルギーに変換されるため、即効性が期待できるそうです。
人体の司令塔であり、全エネルギーの18%と非常に多くのエネルギーを消費する脳が、エネルギーとして利用できる物質はブドウ糖だけなので、しっかり補給することが大切だそうです。
余分なブドウ糖は、筋肉や肝臓でブドウ糖がたくさん結合したグリコーゲンに変換されてから一時的に貯蔵され、必要に応じて様々な活動のエネルギー源として利用されるとのことです。
糖の働きとしては、他にも様々なものがあります。
「特定保健用食品」としてその機能の表示が認められているものをいくつか調べてみました。
<オリゴ糖> お腹の調子を整える
<キシリトール> むし歯の原因にならない
<マルチトール> 歯の健康保持、むし歯になりにくい
<パラチノース> むし歯の原因にならない
<L-アラビノース> 砂糖の消化・吸収を穏やかにする、血糖値が気になる方の生活改善
糖を摂りすぎたり、不足したりすると、健康にどのような影響があるのでしょうか。
世界保健機構(WHO)の 2015年のガイドラインでは、肥満や虫歯予防を目的に、1日の遊離糖類の摂取量を総エネルギー摂取量の10%未満に減らすことが強く推奨されています。
日本では、どれくらいの糖類を摂取すると健康に影響が出るのか、また、現在日本人がどのくらいの糖類を摂取しているのかについてほとんど明らかになっていないことから、目標量は設定されていないそうです。
糖が不足すると血液中のブドウ糖が足りなくなり、貯蔵していたグリコーゲンがブドウ糖に分解されてエネルギー源となります。
しかしグリコーゲンがない場合は、筋肉などのタンパク質を分解し、アミノ酸をブドウ糖に変換してエネルギーを補うようになるため、筋肉の減少につながる可能性もあるそうです。
また、エネルギー不足による疲労感や集中力の減少が見られます。
また脳や神経で供給不足が起こると、意識障害を起こすこともあります。
過剰な場合は、エネルギーとして消費されなかったブドウ糖は中性脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病の原因となります。
また、糖類の摂取量と虫歯との関連も、多くの研究で明らかになっているそうです。

<参考サイト>
・糖質は体と脳のエネルギー源
https://www.nisshin.com/welnavi/knowledge/detail_010.html
・一番身近な活力の素
https://www.seikagaku.co.jp/ja/glycoscience/10theme/theme03.html
・糖の種類と可能性
https://www.kanro.co.jp/RandD/basic/type/
・炭水化物と糖質の違いとは?それぞれの役割について解説
https://www.suntory-kenko.com/column2/article/6137/
・糖質とは?糖類との違いや適切な摂取量、糖質が少ない食品を紹介
https://wellness.nichirei.co.jp/contents/detail/_38
・糖分(糖質)の働きとは?不足・摂りすぎた場合の症状について解説
https://www.suntory-kenko.com/column2/article/7630/
⑤ 糖を多く含む食品とは?
糖質は、体内で1gあたり4kcal産生する、体のエネルギー源です。
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、糖質としての適正摂取量は設定されていませんが、炭水化物としての基準が定められています。
また、総エネルギー摂取量のうち、タンパク質と脂質が占めるべき割合を差し引いた50~65%が、炭水化物の目標値となっています。
例えば1日に摂取するエネルギーが2000kcalの場合、1日に250~325gの炭水化物を摂取することが望ましいということになります。
糖質は、ご飯・パン・麺類などの穀類、イモ類などに多く含まれています。
野菜の中では西洋カボチャ、トウモロコシ、レンコンなどにも多く含まれます。
果物には、ブドウ糖、果糖、ショ糖が含まれ、中でもブドウやカキ、パイナップル、マンゴーなどに多く含まれます。
また、砂糖や甘味類、果物類などの甘いものにも多く含まれています。
穀物と砂糖を多く使っている和菓子やケーキ、ポテトチップスなどは糖質が多い食品です。
近年、ダイエット法の1つとして糖質コントロールが注目されていますが、極端に糖質の摂取を制限するのではなく、適正量を知り、他の栄養素もバランスよく摂ることが大切です。

<参考サイト>
・糖質(炭水化物)の多い食べ物とは?食品の種類と一日の摂取目安量を紹介
https://www.suntory-kenko.com/column2/article/6005/
・三大栄養素の炭水化物の働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tansuikabutsu.html
⑥ 《美味しい小豆島の食財紹介》しょうどしま長命粒塩 編
あの「しょうどしま長命草」がお塩になった?!
11月下旬からお届けする「お“いしい”逸品」で取り扱う「しょうどしま長命粒塩」をご紹介させていただきます。
「糖」がテーマなのに、真逆(?)の塩のご案内になります。
「一株食べれば、一日長生きする。」
そう言い伝えられ、古くから人々の健康を支える野菜として親しまれてきた長命草(ちょうめいそう)。
その名前のとおり、食べる人の健康長寿を支える可能性を秘めた“パワーベジタブル”です。
「しょうどしま長命草」は、小豆島の特産品である醤油の絞り粕を肥料に、農薬を使わずに栽培された、小豆島育ちの健康野菜です。
その長命草を収穫してすぐに乾燥し、低温殺菌粉砕加工を施しパウダー化することで、栄養素をほとんど損なうこと無く、生葉とほぼ同様にビタミン、ミネラル、食物繊維やポリフェノールなどの有用な栄養成分が多く含まれています。
その長命草とブレンドされているのが、天然の小豆島海塩。
ミネラルが豊富で結晶化するまで平釜で炊き上げられ、海塩の旨さがぎゅぎゅっと詰まった特別な塩で、てんぷらや肉料理など油との相性が良い粒塩です。
小豆島の長命草と天然小豆島海塩を独自製法でブレンドした、ほのかに抹茶のような香りがする、ちょっと良い料理の時に使える調味塩です。
健康を気づかう毎日の食事に、ぜひ長命粒塩はいかがでしょうか。

《しょうどしま長命粒塩<LINKFAMILY>》 https://141seimen.thebase.in/items/94817820
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、新製品開発のためにデータベース的にいろいろな素材や成分について調べたものを綴ったものです。色々な食品やそれにまつわる産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、幅広く食品の知識を広げることができれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.46
麺究者への道/ワインについて研究してみる
今回のブログは、「ワイン」がテーマです。
発酵熟成にこだわって、いろいろとブログを書いてきましたが、ワインは奥が深いとのことで書くことを躊躇していたのと、折角ならボジョレーヌーヴォーの解禁日(2024年は11月21日(木)の午前0時)に合わせようと考え、このタイミングとなりました(あと1ヵ月ありますが)。
前々回ではオリーブの新漬けの紹介もさせていただいたので、ワインとオリーブの新漬けで味わってはいかがでしょうか。
実は小豆島にもワイン用のブドウを栽培される方が、小豆島の土庄町、小豆島町それぞれにいらっしゃいます。
小豆島では、日本酒、クラフトビール、そしてワイン醸造家もいらっしゃるんですよね。
みなさん独自の工夫をされていて、地元産の穀物や農作物を使ったものを製造されています。
石井製麺所は小豆島手延べ素麺の技術を受け継ぎ、製法にこだわり、白い素麺をつくり続けています。
しかしながら三代目の私は、素麺は“嗜好品”だと捉えています。
暑い夏、夏らしさを感じる食事として皆さまから愛されて召し上がっていただいている素麺ですが、単純に暑いから食べるのでなく、「夏」という季節の中で味わい楽しんでいただく食文化のひとつではないかと感じています。
実際、10月に入っても暑さを感じる日が続きますが、やはり素麺は7月、8月ほどは売れません。
昔は、農家さんの冬の副業として始められた素麺づくりですが、現代では専門の製麺所が素麵をつくり続けています。
昔ながらの製法では、秋から翌春にかけて素麺を製造し、夏に販売するのが、いわゆるビジネスモデルでした。
ですが、他の麺類では、現代のライフスタイルに密着し進化を続け、一年中愛されるメニューとなっているものあると思います。
羨ましいなと感じます。
素麺もライフスタイルに合わせて、日常的に食卓に昇る食材でありたいと考えています。
今はどうすれば“嗜好品”から“日用品”として、より多く皆さまに召し上がっていただけるかを考える毎日です。
そういう意味でも、島での新しい産業や食品には大変興味があり、こうしてブログや「石井製麺所通信」として取材をさせていただき、見聞を広めているところです。
7月に参加した県産品コンクールでは、他社様のたくさんのアイデアや“想い”を感じることができました。
日々の気付きと、学びから、発酵、熟成の知識を活かして新しい手延べ麺をつくり続けていきたいです。
これまでも「日本酒」「ビール」と調べてみてきた発酵・熟成に関するお話ですが、今回は知らないことも多く産地の広がりや品種の開発などとても興味深いもので、技法だけでなく取り組みなどの参考になればと考えています。
今回も最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

【目次】
① ローマ軍やキリスト教により世界に広まったワイン
② 日本のワイン醸造は明治時代に始まった
③ ワインは世界三大醸造酒の1つ!その発酵方法とは?
④ 意外とシンプル!ワインの製法
⑤ ワインの製法による4つの分類とは?
⑥ ワインと土壌の関係とは?
⑦ 世界のワインの産地とその特徴
⑧ 《美味しい手延べ素麺》手延べ小豆島オリーブオイル素麺 編
① ローマ軍やキリスト教により世界に広まったワイン
ワインの原型は、野生のブドウが自然発酵したものと考えられています。ブドウ栽培やワインづくりの起源は、紀元前6000年頃のコーカサス地方(現在のジョージア周辺)との説があります。
ワイン醸造に使用されていたとみられるつぼ型の土器とブドウの痕跡が発見されています。
ワインは次第に近隣諸国へ伝わり、紀元前3500年~紀元前3000年頃には古代メソポタミアでワイン生産を目的としたブドウ栽培が始まったようです。
その時代の出来事を書いた「ギルガメッシュ叙事詩」では、大洪水に備えた船を建造した際に水夫にふるまったとあり、これがワインに関する最古の記録とのことです。
ブドウの果汁を採る石臼や、ブドウ畑の痕跡も発見されています。

※写真はPhoto ACより「ジョージアのシグナギの町並み」
古代エジプトでは、紀元前3000年頃の壁画に、ワインづくりに必要な圧搾機やつぼが描かれています。
古代ギリシャでは紀元前4000年には自生していたブドウでワインづくりが行われていたとされ、紀元前3000年には、世界最古の圧搾機や容器が出土しています。
紀元前1000年頃、都市国家の市民たちは、毎晩、酒宴(シュンポシオン)を開いて水で割ったワインを飲み交わしながら学問・芸術について議論したそうで、これが「シンポジウム」の語源とされています。
紀元前8世紀頃イタリア南部に伝わり、ローマ帝国でワインの生産が盛んになります。
紀元前1世紀にローマ軍が領土拡大した土地にブドウを植えたため、フランスやドイツなどにもワインづくりが広まっていきました。
フランスでは貴族階級がより上質のワインを求め、また宮廷文化の発展などによりワインづくりがさかんになりました。
中世から近世にかけて、ワインづくりが広まっていった大きな理由はキリスト教の布教活動にあります。
ワインは「キリストの血」として神聖で貴重なものとされ、ミサの際にふるまわれるようになったため需要が増え、修道院によるワインの醸造がさかんになりました。
当時の修道院は学校や研究所としての機能も兼ねていたため、ブドウ栽培から醸造にいたるまでの技術をより高めることにつながりました。
またブドウ畑や技術などを持つことが権力の象徴となっていたため、王族や貴族階級の人々もワインづくりに力を入れるようになりました。
15世紀末以降の大航海時代には、キリスト教の宣教師たちが南米や北米、南アフリカ、オーストラリアに移民し、新天地でブドウ栽培とワインづくりをすることにより、世界中に広まりました。
アメリカ、チリ、アルゼンチンなど、現在「ニューワールド(新世界)」と呼ばれているワイン生産地のほとんどは、この時期に開拓された場所だそうです。
ブドウ栽培に適した土地を探して試行錯誤したことにより、産地ごとに味わいの異なるワインが生まれ、品質向上にもつながりました。
17世紀末にはガラス瓶とコルク栓が使われるようになったため、長期間の貯蔵・熟成ができるようになりました。
19世紀後半、品種改良のためアメリカから持ち込まれたブドウについていたフィロキセラ害虫の発生などにより、ヨーロッパ中のブドウ畑の3分の1が枯れてしまったそうです。
しかしアメリカ原産のブドウはフィロキセラ害虫の影響を受けないことから、アメリカ系のブドウの台木に、ヨーロッパ系のブドウを接ぎ木する方法が考え出されました。
これによりヨーロッパ系のブドウの実は守られ、ワインが復興したそうです。
今では一部地域を除いて、世界中のブドウのほとんどでこの方法がとられているとのことです。

※写真はPhoto ACより「発見のモニュメント(リスボン)」
<参考サイト>
・世界のワイン史
https://www.kirin.co.jp/alcohol/wine/wine_academy/knowledge/region/history.html
・長くて深いワインの歴史とは?
https://www.adv.gr.jp/blog/history/
・ワインの歴史を紐解く。なぜワインは世界中に広まったのか?
https://www.mottox.co.jp/column/wine/wine-history
・ワインの歴史をわかりやすく解説|文明や人々によって世界各地に広がる魅力
https://www.sakesen.com/blog/wine-history/
② 日本のワイン醸造は明治時代に始まった
日本におけるワインに関する文献は、古くは1466年の「蔭凉軒日録」に「南蛮酒を飲んだ」と書かれており、これがワインのことと考えられています。
1483年の「後法興院記」には、関白近衛家の人間が「チンタ」を飲んだという記述があり、これは赤葡萄酒のことと言われています。
戦国時代、フランシスコ・ザビエルは本国から持参したワインを自身が布教を望む地域の大名に献上し、また豊臣秀吉も九州征伐で博多に立ち寄った際、ポルトガル船でワインを饗されたと言われています。
ポルトガルなどからの輸入品として徐々に浸透していったワインは、一部の特権階級には飲まれるようになっていったとのことです。
日本でワインの本格的な醸造が始まったのは明治時代です。
政府は殖産興業政策の一環として、ヨーロッパやアメリカからブドウ苗木を輸入し、全国各地でブドウ栽培やワイン醸造を奨励しました。
特に山梨はすでに江戸時代から生食用ブドウの名産地になっており、1874年には甲府の山田宥教と詫間憲久がワイン醸造を始めました。
これが産業としての国産第一号のワインでした。
1877年には、祝村(現在の山梨県甲州市勝沼町)に日本初の民間ワイン醸造場「大日本山梨葡萄酒会社」が設立されました。
政府主導のもと多くの先人たちがワイン醸造に取り組みましたが、醸造技術の未熟さや日本の食生活に受け入れられなかったことからうまくいかなかったそうです。
1880年、政府はブドウ栽培・醸造試験を目的として、兵庫県加古郡に「播州葡萄園」を開設しました。
1888年に農商務省の前田正名に払い下げられ、その数年後に閉園となりましたが、国営持代の遺構や異物が数多く発見された播州葡萄園跡は、国指定の史跡となっています。
1881年、東京の神谷傳兵衛が、ワインにはちみつや漢方薬を加えて飲みやすくした甘味ワインを考案し、好評を博しました。
その後、養子の神谷傳蔵をフランスへワイン留学に派遣し、自身は現在の茨城県牛久市にあたる稲敷郡で、119ヘクタールの原野を開墾してブドウの苗木6000本を移植。
1903年に「牛久醸造場」(現・牛久シャトー)を完成させました。
傳蔵の知識をもとに、ワインの醸造、貯蔵、瓶詰出荷まで一貫した製造工程を有する、日本初の本格的なワイン醸造場を築き上げ、大規模生産を実現しました。
1912年、甲州市に宮崎光太郎が自宅にワイナリー「宮光園」を開設。
醸造場の見学、ブドウやワインの飲食や購入ができる、今では当たり前となったワイナリーのスタイルを確立したそうです。
また地元のブドウ農家との共存繁栄を図り、勝沼を一大ワイン産地へと押し上げたとのことです。
明治から大正にかけて、首都圏への大量輸送体制が確立されるとともに、牛久産ワイン、甲州産ワインが大量に出荷されたそうです。
1964年の東京オリンピックの頃からワインは着実に消費量を伸ばし、1970年の大阪万博を契機とした高度経済成長期には1回目のワイン・ブームを迎えます。
日本人の食生活の洋風化によりワイン消費は増大し、1975年には甘味果実酒を上回りました。
その後、1978年には千円ワイン・ブーム、1981年には一升瓶ワイン・ブーム、1987年にはボージョレ・ヌーヴォー・ブーム、1997年には赤ワイン・ブームなどを経て、2010年以降は家飲みやワインバルが定着するなど、今やワインは日本人の生活に溶け込んでいます。
質の良い輸入ワインが手軽に買えるようになり、また国内の醸造技術の向上や、日本の風土に適したブドウ栽培などにより、日本のワインも世界から注目されるまでになっています。

※写真はPhoto ACより「ワイン用葡萄畑と甲府盆地」
<参考サイト>
・酒・飲料の歴史 ワインと日本人
https://museum.kirinholdings.com/history/cultural/07.html
・日本ワイン140年史
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/stories/story086/
・日本ワインの基礎知識
https://www.winery.or.jp/basic/knowledge/
・播州葡萄園跡(国指定史跡)稲美町ホームページ
https://www.town.hyogo-inami.lg.jp/0000000366.html
・播州葡萄園跡 文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/192692
・国史跡 播州葡萄園跡
https://www.inami.or.jp/more/page9.html
③ ワインは世界三大醸造酒の1つ!その発酵方法とは?
お酒はその製造方法により、醸造酒・蒸留酒・混成酒の3つに分けられます。
ワインは醸造酒で、ビール・日本酒とともに「世界三大醸造酒」とも呼ばれています。
醸造酒・蒸留酒・混成酒について、それぞれの違いや特徴を調べてみました。
【醸造酒】
米や麦などの穀物や、ブドウなどの果実に含まれているデンプンや糖を、酵母菌を使って発酵させるお酒。
ワインはブドウ、ビールは麦芽、日本酒は米を発酵させる。原料を発酵させたあとは、そのまま飲むことができる。

【蒸留酒】
原料を発酵させた液体を蒸留させ、そのまま、もしくは水を加えアルコール度数を調整して飲むお酒。醸造酒を加熱してつくるため、アルコール度数が高いのが特徴。
焼酎は穀物などの発酵液、ウイスキーは麦芽などの発酵液、ブランデーは果実酒を、それぞれ蒸留させる。
そのほか、ウォッカ、ラム、ジンなど。

【混成酒】
醸造酒や蒸留酒に、果実や薬草、ハーブ、香辛料などを加えた飲み物。
日本の分類では、リキュールや甘味果実酒なども含まれる。
焼酎や日本酒に梅を添加した梅酒、蒸留酒にコーヒーや香料を添加したカルーア、そのほかベルモット、ペパーミントなど。

醸造酒は、原料に含まれる糖を、酵母菌と呼ばれる微生物が食べ、アルコールと炭酸ガスに分解します。
発酵で得られるアルコール度数にはある程度の限界があり、ビールでは約5~10%、ワインでは約12~14%、日本酒では約18%だそうです。
醸造酒の発酵方法は3つに分けられ、ワインは単発酵、ビールは単行複発酵、日本酒は並行複発酵です。
それぞれどのようなものか調べてみました。
【単発酵】
ワインは原料となるブドウに糖が多く含まれているので、その搾り汁に直接酵母菌を加えて発酵させる。
【単行複発酵】
ビールの原料である大麦に含まれているデンプンは、そのままでは大きすぎて酵母菌が分解することができまないため、まずは大麦を発芽させ、その発芽過程で生まれる酵素の力でデンプンを糖へと分解(糖化)し、その糖を酵母菌がアルコール発酵させる。
「糖化」と「発酵」の2つのプロセスを別の容器で行うことを「単行複発酵」と言う。
【並行複発酵】
日本酒は、原料となる米に含まれるデンプンを麹の働きで糖に分解し、その糖を酵母菌がアルコール発酵させる。
これらは同じの容器の中で同時進行している。
「糖化」と「発酵」の2つのプロセスを同じ容器の中で同時に行うことを「並行複発酵」と言う。

<参考サイト>
・醸造酒とはどんなお酒? 蒸留酒との違いや種類、起源について解説!【醸造酒の基礎知識】
https://www.ienomistyle.com/sakeguide/20220310-5622
・世界の酒の大分類(醸造酒・蒸留酒・混成酒)発酵形式のちがいによる醸造酒の3分類
https://www.gekkeikan.co.jp/enjoy/industry/world/world02.html
・「醸造酒」ってどんなお酒?蒸留酒や混成酒との違いとは
https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/sweets/detail/000912.html
④ 意外とシンプル!ワインの製法
昔のワインづくりは、熟したブドウを大きな桶に入れ、足で踏んで果汁を搾ることから始まりました。
その醸造の過程は他のお酒と比べてとてもシンプルで、現在もほとんど変わっていないと言われているそうです。
よく知られているワインの分け方に、赤、白、ロゼ、スパークリングというものがあります。
基本的な製造工程は赤ワインが原型となっています。
それぞれの一般的なつくり方について、調べてみました。
【赤ワイン】
黒ブドウを原料に、果汁だけでなく果皮や種を一緒に漬け込んでつくることにより、赤い色合いや独特の渋味のある深い味わいになる。
収穫した黒ブドウを破砕して、果汁と果皮と種が混ざった状態でタンクに入れ、5~15日かけてアルコール発酵させる。
果皮や種から色素や渋味、香りが抽出されたら、乳酸菌の働きにより酸味を和らげる発酵を行う。
ワインと果皮や種などの固形部分とを分離し、固形部分を圧搾機にかけ搾り取る。
その後、樽やタンクで熟成させ、ワインの濁りを除くためろ過して瓶に詰める。

【白ワイン】
白ブドウを原料に、果汁のみを発酵させてつくる。
種や表皮の渋味や苦味を抽出しないため、フルーティで飲みやすいものが多い。
ブドウを圧搾して採れた果汁を低温で数時間置き、不純物を沈殿させ、上澄みの果汁に酵母を加えてアルコール発酵させる。
この発酵後に乳酸発酵を行う場合や、熟成中に撹拌して澱(おり)に含まれる旨味成分を抽出する場合もある。

【ロゼワイン】
赤ワインと白ワインの中間のピンク色が特徴。
製造方法はいくつかあり、代表的なものは以下の3つ。
<セニエ法>
赤ワイン用の黒ブドウの果汁を果皮や種とともにタンクに入れ、薄く色づいたところで上澄みの果汁のみを発酵させる。
赤ワイン同様、果皮とともに発酵を行い、ある程度色がついた段階で果皮を取り除き、果汁だけで発酵を継続する場合もある。
<直接圧搾法>
赤ワイン用の黒ブドウを使い、白ワインのように果汁だけで発酵させる。
搾汁の際に果皮のアントシアニンが果汁に若干混ざることによりロゼの色がもたらされる。
<混醸法>
黒ブドウと白ブドウが混ざった状態で赤ワインと同様に発酵させる。

【スパークリングワイン】
国や地域によって様々な製法があり、大きくは、ワインに糖分と酵母を加え二次発酵させて生じた炭酸ガスを瓶内に封じ込める方法と、炭酸ガスをワインに直接吹き込む方法の2種類。

<参考サイト>
・【ワインの造り方】意外とシンプルなワイン造りの工程を解説
https://tanoshiiosake.jp/6049
・ワインとは
https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/wine/know/wine/#making
・ワインはこのように造られる
https://www.fwines.co.jp/knowledge/manufacture.html
・各種ワインの製造工程
https://www.jetlc.co.jp/wine/red_wine/
・ワインはこのように造られる!赤ワインの醸造方法とは?
https://www.enoteca.co.jp/article/archives/3238/
・赤ワインの作り方をわかりやすく解説|製造工程を詳しく説明
https://www.sakesen.com/blog/how-to-make-red-wine/
⑤ ワインの製法による4つの分類とは?
ワインには、製法による4つの分類があり、赤・白・ロゼはすべて「スティルワイン」に分類されるとのことです。
4つの種類とはそれぞれどのようなものか、調べてみました。
【スティルワイン】
非発泡性、つまり泡立ちのないワイン。
一般にワインと言えばスティルワインを指す。
ブドウの品種や醸造の方法により赤・白・ロゼに分けられるほか、糖度の高いデザートワインもスティルワインに含まれる。
【スパークリングワイン】
スティルワインに炭酸ガスを加えた発泡性ワインの総称。
赤・白・ロゼのスパークリングワインもある。
シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方でつくられる厳しい基準を満たしたもののみの名称なので、スパークリングワイン=シャンパン、ではない。
【フォーティファイドワイン】
スティルワインやブドウ果汁に、アルコール発酵中あるいは発酵前のタイミングで、ブランデーなどアルコール度数の強いお酒を加えたもので、酒精強化ワインとも呼ばれる。
ブドウの糖分が残ったまま発酵がストップし、甘みとして残る。
代表的なものは、シェリー、ポートワイン、マデイラなど。
【フレーヴァードワイン】
果汁や果実、薬草、香草などを加え、独特な風味を添えたワイン。
代表的なものは、サングリア、ベルモット、レッチーナなど。

<参考サイト>
・ワインの種類には何があるの?製法によって4つに分けられる
https://www.adv.gr.jp/blog/types-of-wines/
・ワインの基礎知識
https://wine-link.net/dictionary/basic/
・ワインの種類をソムリエが徹底解説!味わいや製法の違いを知ろう
https://web.hh-online.jp/hankyu-food/blog/lifestyle/detail/001390.html
・ワインの分類を知って、ワイン選びに役立てよう!
https://tanoshiiosake.jp/6048
⑥ ワインと土壌の関係とは?
世界中で収穫されるブドウの約8割が、ワイン用なのだそうです。
ワインは製法がシンプルなだけに、原料であるブドウがその出来を大きく左右します。
それぞれの産地で、気候や土壌に合った栽培品種を選び、製造方法を工夫して、より高品質なブドウをつくる努力をしています。
ワイン用のブドウ栽培に適した環境はどのようなものか、調べてみました。
<年間平均気温>
10~20℃(10~16℃が最適)。北緯30~50度の地域と、南緯30~50度の地域がこれに該当する。
<日照>
ブドウの開花から収穫までの約100日間の照射時間が約1000~1500時間。
<年間降雨量>
理想は約500~900mm。春と冬には雨が多く降り、夏は適量の雨とともに光合成に欠かせない熱を得られることが望ましい。
<土壌条件>
一般にブドウ栽培には、水はけに優れ、根が深く成長できる通気性に優れた土壌がよいとされる。
また土壌の構成によって、同じ品種でもワインの個性が大きく変わってくる。
フランス語に「テロワール」という言葉があります。
「土壌」という意味のほか、ワインに関して使われる場合は、その産地の環境や地理的条件などのことを指すようです。
中でも土壌は重要な要素で、ワインの味わいに大きく影響するそうです。
土壌について調べてみました。
土壌を構成する成分は、海に堆積した火山灰などの鉱物質、草花、動物の死骸、微生物を含む有機物です。
鉱物と有機物は長い年月を経て腐食します。
こうして生まれた土壌には、菌類や微生物、ミミズなどの様々な生き物が存在しており、生きるために必要な無機物(ミネラル分)を、微生物が根まで運ぶことでブドウも生育していきます。
ワインの味わいを決める健康な土壌とは、微生物が働きやすい環境を意味しています。
一般的に野菜や果物などを育てる場合は、栄養豊富な肥沃な土壌が好まれますが、ワイン用ブドウは、栄養素の過剰な土壌では出来が悪くなってしまうそうです。
やせた土地であるほど、ブドウの木は地中深くまで根を張り巡らせ、地中の様々な栄養を吸収して実に送ります。
また虫や乾燥などのストレスから自らを守るため、タンニンというポリフェノールの一種を多くため込むようになり、これがワインの味に深みを与えているそうです。
栄養豊富な土地では、地中深くに根を張らず、地表から上へ伸びてしまい、実に栄養が充分に行き渡らないとのことです。
また、栽培にふさわしい土壌は水はけの良さが大事になります。
水分量が多い土地では根腐れしやすく、また果実が水っぽい味わいになります。
もちろん適度な水分は必要ですが、水分の少ない土壌で育つと、栄養分を実にできるだけ閉じ込めようとするため、ブドウの糖度は上がり皮は厚く粒が小さくなり、ワインにした時に凝縮感のあるものに仕上がるそうです。
ブドウが栽培される畑の土を構成する成分の違いによって、そこで高品質に育ちやすいブドウ品種が決まってくるそうです。
たとえば石灰岩の含まれる土は一般的に保水性がありながら水はけがよく、pHが高いためワイン用ブドウ栽培に最適とされていますが、「カベルネ・ソーヴィニヨン種」のブドウは育つには育つものの、その特徴を存分に発揮しきれないそうです。
逆に「ピノ・ノワール種」は上質なブドウが育つとのことです。

※写真はPhoto ACより「ブルゴーニュ ブドウ畑」
<参考サイト>
・よく耳にするワイン用語、ちゃんと知っておきましょうシリーズ②「テロワール」って何??その1:土壌
https://firadis.net/column/wine-column-no058/
・テロワール(terroir)について
http://www.worldfinewines.com/terroir.html
・ワインと土壌の関係性について徹底解説
https://sukoruni.wine/blogs/wine-column/a-thorough-explanation-of-the-relationship-between-wine-and-soil?srsltid=AfmBOooTO9BLv2Ljg_Hp03A0hgW34o-fxElbXKWFd_f889lKfpQU6wg8
・テロワールって何?ブドウ栽培やワインの味を大きく左右する土壌について テロワールの特徴を反映したおすすめのワイン5選
https://wsommelier.com/note/2024/08/23/post-2712r/
・ワインにおける土の世界(バイヤー 山田篤典)
https://firadis.net/column_pro/202210-2/
・テロワール要素の1つ「土壌」について解説!
https://www.sake-ya.jp/blogs/article_wine/wine-dojyou-ajiwai?srsltid=AfmBOooD1vWa_eMEkUutnOYgC6tqR_YOj_-xmiiJcrYfHXWMkUPoh_Tv
・ワインの個性に大きな影響を与えるのは土中の微生物―研究で
http://www.worldfinewines.com/news15/150328microbiome.html
・嗜好品は土から生まれる。微生物と植物の「創発活動」の結晶——土壌学者:藤井一至
https://digthetea.com/2024/03/kazumichi_fujii/
⑦ 世界のワインの産地とその特徴
ワインには産地による分類もあります。
古くからワインをつくってきたヨーロッパ諸国のワインを「旧世界(オールドワールド)」、大航海時代以降にワインづくりが始められたアメリカやチリ、ニュージーランド、オーストラリアなどを「新世界(ニューワールド)」と分けることもあります。
ワイン生産量の多い国を中心に、その特徴を大まかに調べてみました。
【フランス】2023年の生産量第1位。
高級ワインを多く生み出している。ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、ローヌなど、地方単位でブランドが確立している。
「AOC(原産地統制呼称法)制度」というワインの法律で醸造が管理されており、品質が保たれている。
【イタリア】2023年の生産量第2位。
年によってフランスと1位が入れ替わるワイン大国。
温暖で日照時間が長くブドウ栽培に適した環境に恵まれ、すべての州でワインをつくっており、多種多様なワインがある。
ピエモンテ州やトスカーナ州、シチリア島などが有名な産地。
【スペイン】ブドウの栽培面積は世界第1位。
果実味豊かながら酸味や渋味も高く、力強いフルボディの赤ワインが有名。
【ドイツ】
ワイン生産国のなかでも緯度が高く冷涼な気候で、美しい酸と芳香が魅力の良質なワインを生み出している。
【ポルトガル】
約250種ものブドウの固有品種があり、多彩なワインが生み出されている。
【アメリカ】
生産量の8割はカリフォルニア州に集中しているが、他の多くの州でもつくられている。
単一品種や一つの品種が主体としてつくられるワインが多い。
【チリ】
日本への輸入本数がフランスと並んでもっとも多い。
地中海性気候でブドウの病気のリスクが少なく、土地に余裕があることが、手頃な価格につながっていると考えられる。
【オーストラリア】
南側の海岸沿いで多くブドウが栽培されている。
輸出を意識したワインづくりがされている。
【日本】
国産ブドウを国内で醸造したものを「日本ワイン」と呼び、輸入したブドウを原料に含むワインを「国産ワイン」と呼ぶ。
有名な産地の筆頭は山梨の甲府盆地で、昼夜および夏と冬の気温差が大きく、雨が少ない盆地気候がブドウ栽培に適している。
日本固有種の甲州ブドウ、マスカット・ベリーAといった品種を中心にワインがつくられている。
大阪府柏原市では、1878年、甲州ブドウの苗が移植されたことをきっかけにワイン製造が広まった。
昭和初期には全国一のブドウ栽培面積を誇ったそうで、歴史あるワイナリーが現在にも続いている。
そのほか長野や北海道、山形など各地でワインづくりが広がっている。

<参考サイト>
・ワインの生産量ランキング一覧 産地とワインの特徴を簡単に解説
https://cocos.co.jp/blog/terroir/wine-production/
・ワインの産地ごとの特徴を知ろう!
https://tanoshiiosake.jp/9148
・これが世界の主なワイン産地!産地で選ぶ高島屋おすすめワイン
https://www.takashimaya.co.jp/shopping/gift/story/food/FA18941/
・ワイン産地を知ろう!日本
https://www.enoteca.co.jp/article/archives/2743/
・大阪ワインについて
https://www.the-kansai-guide.com/ja/article/item/16186/
⑧ 《美味しい手延べ素麺紹介》手延べ小豆島オリーブオイル素麺 編
実は…石井製麺所の建物のお隣は、小豆島でも有名な「アグリオリーブ小豆島」さんです。
オリーブの収穫時期の9月以降、オイルを搾ったり加工されたり、採ってきたオリーブ実を選別したりされている様子がうかがえる声や機械の音が壁越しに聞こえてきます。
正に今が一番の繁忙期でしょうね。
その、「アグリオリーブ小豆島」さんの小豆島産エクストラバージンオリーブオイルを使ってつくるのが「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」です。

従来の小豆島の手延べ素麺は、小麦粉を練り細く伸ばしていく過程でごま油を使用していてごまの香りと小麦粉の芳ばしい香りが特長です。
「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」では、そのごま油の代わりに「小豆島産オリーブオイル」を練り込み、何度も何度も生地を重ね合わせ、細く細く麺状に“より”をかけ、表面にも塗布して仕上げています。
ごま油を使う麺とは違い、オリーブオイル独特の清々しい香りと真っ白な麺が印象的で、発売から大変人気をいただく手延べ素麺です。

その食感は、従来の手延べ素麺よりもさらにツルツルッとして、しっかりとしたコシのある素麺です。
白く細い麺は、とてもキレイで冷やし素麺だけでなく、温麺としてお出汁の中でも栄える麺で、他にもさまざまなお料理にぴったりな逸品です。
GW前の長野県ながの東急さんでの催事販売では、実は普通の手延べ素麺に次いで「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」が人気でした。
他にも「オリーブ素麺」はありますが、正真正銘、小豆島産のオリーブオイルを練り込んだちょっと贅沢な手延べ素麺です。
小豆島の味覚の集大成ともいえるような「手延べ小豆島オリーブオイル素麺」を、ぜひ一度お召し上がりください。
《石井製麺所公式ホームページ》 https://141seimen.com/business/
《手延べ小豆島オリーブオイル素麺》 https://141seimen.thebase.in/categories/4801497
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。