素麺の歴史・小豆島手延べ素麵の歴史
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.4
素麺の規格は太さにより決まっている
日本にはたくさんの麺文化がありますよね。素麺・うどんはもちろん、そば、ラーメン、パスタの他にも独自の呼び方・食べ方の麺がたくさんあります。
その中で少し細かく見ていくと、素麺と同様、小麦粉・食塩・水を主な原料とした麺に、「冷や麦」「うどん」「きしめん」があります。これらは日本農林規格(JAS)により、太さなどの規格が定められています。どのような規格があるのか、また、それぞれの麺がどのような特徴を持ち、どんな食べ方に適しているかをご紹介します。
三代目:Vol.2の《美味しい素麺》のコーナーでも触れましたが、産地の製法の違いや感覚でなく、厳格に規定で決められています。
呼び名はもちろん、茹で時間も、実は規定があったりします。
古くからあるものだけに、様々な発展や根付き方をしてきたことで、消費者の皆さんを困惑させてしまう恐れがあることから、こういう措置が取られたんでしょうね。特にパッケージの裏面などの表記に関わることなので、ぜひ皆さんも、いつも口にされている素麺やうどんの表記について見てみてください。
【目次】
① そもそも「素麺」と「冷や麦」はどう違う?
② JAS規格では麺の太さで分類している
③ 素麺の中でも太さの違いがある
④ 麺の太さで変わる食感と、おすすめの食べ方
⑤ 《産地紹介》長崎県・島原素麺
⑥ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺 編
① そもそも「素麺」と「冷や麦」はどう違う?
しばしば違いが取り沙汰される「素麺」と「冷や麦」ですが、もともとはその製法が異なったようです。
「素麺」は生地を手で細くのばして作り、「冷や麦」は平らな板と麺棒を使って生地を薄くのばし、刃物で細く切って作ったものです。
室町時代の記録に、素麺の起源とされる「索麺」、また冷や麦の起源とされる「切麦」という言葉が見られます。
室町中期の書物「尺素往来」に、「索麺は熱蒸(あつむし)、截麺(きりむぎ)は冷濯(ひやしあらい)」と書かれていることから、細めの切り麺のことを「冷や麦」と呼ぶようになったと考えられています。
素麺の産地が多い西日本では素麺が好まれる一方、東日本ではそばと同じ太さの冷や麦が好まれる傾向にあるという説もあります。
後の明治時代に発明された製麺機では刃の間隔を調整するだけで素麺や冷や麦、うどんが作れるようになったため、それぞれの麺の違いが曖昧になってきてしまいました。
そこで、1968年に日本農林規格(JAS)による規格が制定されたのです。
<参考サイト>
・日経スタイル
https://style.nikkei.com/
※上記サイト内「「そうめん」と「冷や麦」、違いは何なのか」のページなんですが、URLが大変長く、短縮もできなかったので、トップページのURLを入れています。ご興味のある方は、検索してみてください。
・“そうめん”と“ひやむぎ”の違いは?
https://sozairyoku.jp/%E2%80%9C%E3%81%9D%E3%81%86%E3%82%81%E3%82%93%E2%80%9D%E3%81%A8%E2%80%9C%E3%81%B2%E3%82%84%E3%82%80%E3%81%8E%E2%80%9D%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84%E3%81%AF%EF%BC%9F
② JAS規格では麺の太さで分類している
JAS規格が制定される前までは、1寸の幅に麺線が何本あるか(例えば「ひやむぎ」は18本から22本、「そうめん」は24本以上など)により分類していました。JAS規格では、おもに太さの違いによって麺を分類しています。主原料に小麦粉と塩を使い乾燥させた「乾めん類」についての規定は、「機械製麺の場合、長径1.3ミリメートル未満が『そうめん』、1.3ミリメートル以上1.7ミリメートル未満が『冷や麦』」となっています。また、太さ1.7ミリメートル以上の麺は「うどん」、4.5ミリメートル以上では「きしめん」となります。
手延べ製麺の場合は少し異なっており、太さ1.7ミリメートル未満であれば「そうめん」「冷や麦」のどちらの名前を使ってもよいとされています。これは、200年以上の歴史を持つ徳島県の半田素麺が太さ1.7ミリメートル前後という特徴があり、「冷や麦」に分類されてしまったため、2004年に規格改定され「そうめん」と表記できるようにしたものだそうです。
<参考サイト>
・乾めんJAS規格による分類・太さの比較
http://himeji.jibasan.jp/kanmen/classification/index.html
・ひやむぎとそうめんの違い
https://www.kanmen.com/topic/04_chigai.html
③ 素麺の中でも太さの違いがある
太さにより分類される素麺の中でも、前述の半田素麺のように太いものもあれば、熟練した職人の手腕を活かした極細のものもあります。日本三大産地のひとつである奈良県・三輪素麺の、太さによる等級分類があるので、ここでは参考までにご紹介いたします。
《三輪の神杉(かみすぎ)》約600本 (1束/50gあたり)
三輪素麺を代表する、限定された生産者しか作れない超極細の最高等級品。しっかりしたコシによる食感、茹で上がりのツヤ、上品な口当たりが感じられます。
《三輪の緒環(おだまき)》約475~525本 (1束/50gあたり)
極細専用の小麦粉を使用し、限られた時期にのみ、限定生産者により作られています。極細ながら弾力のある歯応えが特徴です。
《三輪の瑞垣(みずがき)》約400~475本 (1束/50gあたり)
厳寒期のみの生産。通常の三輪素麺より細めに作られ、指定生産者が管理された専用の蔵で熟成させてから出荷している古物(ひねもの)で、しっかりしたコシがあります。
《三輪の誉(ほまれ)》約350~400本 (1束/50gあたり)
三輪素麺の生産量の約90%を占めるレギュラー品。手延べ製法の基本を守り、厳選された小麦粉と塩で小麦の風味を生かし、味わい深く仕上げています。
<参考サイト>
・同じそうめんでも実は違う!?意外と知らないそうめんの太さとその違いとは
https://ikerishop.com/wp/150/
・そうめんの等級
https://www.miwasoumen-kumiai.com/kodawari/grade.html
・日本一細いそうめんと日本一太いそうめんの秘密を探る!
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/03/post-9720.html
④ 麺の太さで変わる食感と、おすすめの食べ方
素麺と言えば、冷たいつゆにつけて食べる夏の食べ物というイメージを持つ人が多いようですが、実は温かくしても美味しく食べられます。細めのものは冷やしてつるんとしたのど越しを楽しみ、太めのものはコシがよりしっかりしているので、温かい出汁で食べるのがおすすめです。くせのない味なので、幅広いアレンジで楽しめます。
《冷やしてさっぱりと》
定番の麺つゆで、オリーブオイルで冷製パスタ風、野菜たっぷりでサラダ風、など
《温かくほっこりと》
鶏だしでにゅうめん、みそ汁の具に、中華だしでラーメン風、炒めてチャンプルー、など
⑤ 《産地紹介》長崎県・島原素麺
島原素麺は、南島原市を中心に作られています。
知名度は三大素麺(奈良県・三輪素麺、兵庫県・播州素麺、香川県・小豆島素麺)に負けず劣らず高く、その生産量は全国第二位となっています。
温暖な気候や、雲仙岳の麓から湧き出る清冽な水など自然の恵みに育まれた環境が、素麺作りに適しています。グルテンを多く含む強力粉を使うため、コシが強くツルツルした食感が特徴です。
高度な技術と品質に優れ、他産地の下請けとして発展してきた経緯があり、これまでは表に出てくる機会が少なかったようですが、今ではダントツ二位の市場シェアを持っておられます。
島原素麺のルーツは諸説ありますが、そのひとつに、島原の乱後、人口が激減したため小豆島から移住した人により製麺技術が伝えられたという説があります。
他説には、九州は古来より異文化の入り口として歴史的にも認められるところですが、その中で南蛮や中国の食文化が入り独自の発展をした…と言う説もお聞きしたことがあります。
何れにせよ、小豆島からの移住された方が多いのは事実で、今も小豆島との交流は続いているそうです。
<参考サイト>
・三大そうめんと島原素麺
https://ajinomen.jp/c-fpage?fp=soumen-best3
・島原手延そうめんの歴史
http://minamishimabara-somen.jp/somen/
・島原手延べそうめん
https://www.city.shimabara.lg.jp/page2972.html
・産地別そうめんの比較とおすすめランキング
https://kurabeta.jp/somen/
⑥ 《美味しい素麺》手延べ黒ごま麺
小豆島には4つの有名な食品産業があります。
ひとつは、小豆島手延べ素麺。
もうひとつは、オリーブ。
さらにひとつは、醤油。
最後に、佃煮。
実はもうひとつ。世界に誇る食品メーカーとして!
小豆島手延べ素麺に欠かせないごま油の製造会社「かどや製油」さんです。
先日(2022年12月8日)に、かどや製油様を訪問させていただき、当たり前のように使っていたごま油について、本当に詳しくお話を伺ってまいりました。そのお話は、また後日ブログでご紹介させていただきますね。
さて、実は小豆島はごま油の製造(ごまの栽培はほとんどありません)でも有名な島ですから、何かごまを使用した製品はできないか…と試行錯誤の上で完成したのが『手延べ黒ごま麺』です。これは、先日のブログ(お!いしい けんぶんろくVol.3)でもご紹介した『手延べひじき麺』と同じくして発売を開始した新しい麺です。
これもまた《楽々膳・黒》シリーズの麺で、薬膳で言われる「黒」の食べ物を練りこんだ麺です。『手延べ黒ごま麺』はかなり太麺で食べ応えがあり、モチモチとした食感が美味しい麺です。茹で伸び・煮崩れしにくく、温かいお出汁とよく合います。
黒ごまは食物繊維や良質な必須脂肪酸、アントシアニン、セサミンなど健康成分を多く含みます。その黒ごまを炒って粉末化したものを練り込むことで、より香りが際立つ手延べ麺に仕上がっています。
毎日食べていただけるような麺を作りたいと、日夜研究しております。
《楽々膳・黒》シリーズをどうぞよろしくお願いいたします。
三代目:次回のブログはお正月休みを挟んで1/10ごろ、アップしたいと思います。
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
素麺の歴史・小豆島手延べ素麵の歴史
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.3
無病息災を願う宮中の行事食だった素麺
素麺の歴史は約1,200年の長きにわたりますが、庶民が気軽に食べられるようになったのは江戸時代頃からです。
元々は、宮中での儀式などにおける特別な食べ物という位置づけでした。
現代でも、七夕やお盆の行事食や、大切な方への贈り物に用いられる理由について、ご紹介します。
【目次】
① 中国の故事から生まれた、七夕に素麺を食べる儀式
② お盆には、ご先祖様との縁をつなぐ役割も
③ お中元にもお歳暮にも。高級感ある贈り物の定番
④ 《産地紹介》兵庫県・播州素麺
⑤ 《美味しい素麺》手延べひじき麺 編
① 中国の故事から生まれた、七夕に素麺を食べる儀式
素麺の起源は、奈良時代に中国から伝わった「索餅(さくべい)」という、小麦粉・米粉・塩を混ぜて細長くのばしたものとされています。
「年中行事抄」という書物に記されている中国の伝説によると、古代中国の伝説の帝である高辛氏の子が、7月7日に亡くなり、その霊が鬼神となって、瘧(おこり/マラリヤのような熱病)の流行を引き起こしました。
そこで、その子が生前好きだった索餅を命日に供えて祭ると、病の流行はおさまったそうです。
この故事により、「7月7日に索餅をお供えして食べると、一年間流行病にかからない」という言い伝えが生まれ、日本にも無病息災の願いをこめて七夕に素麺を食べる習慣が根付いたと言われています。
平安中期の法典「延喜式(えんぎしき)」には、宮中の作法と儀式として、七夕に素麺をお供えすることが記されています。また鎌倉時代の儀式書「師光年中行事」には、「正月十五日の七草粥、三月三日の桃花餅、五月五日の五色粽、七月七日の索餅、十月初餅」などを宮廷にとり入れて祭事とした、という記述があります。
三代目:元々、夏場に多くご注文を頂戴する素麺ですが、ただ冷たく冷やして食べれるから…だけじゃないんですよね。
健康のことを祈願して、相手のことを思いやる食べ物として昔から重宝されていると知った時に、私が三代目として事業を承継する際に大切にしたいテーマと思ったのが『優しく人に寄り添う、素麺』=『よりそうめん』です。
また、今の新製品開発のコンセプトは健康に嬉しい、体に優しい麺の開発です。この冬からも、このテーマを大切にした新製品を発売しています。
<参考サイト>
・七夕には「そうめん」。 長〜い歴史にこめられた願いとは?
https://tenki.jp/suppl/usagida/2016/07/06/13441.html
・素麺は長寿祈願やお祝いの食べもの
https://www.fukurokuju-gift.com/hpgen/HPB/entries/13.html
② お盆には、ご先祖様との縁をつなぐ役割も
お盆に素麺をお供えしたり、行事食として食べる風習は、日本各地にあります。その由来としては、お盆の時期の「麦の収穫祭」をかねてお供えするという説や、七夕に食べる風習から、素麺を糸に見立て、針仕事の上達を願う縁起物としてお供えするという説などがあります。
お盆に素麺を食べるのには、七夕同様、無病息災を願うことに加え、地域によりさまざまな意味があります。その細長い形状から、「幸せや喜びが細く長く続く」という縁起を担ぐ意味。
ご先祖の魂がお土産を持ち帰るための背負い紐の役割。
また、ご先祖が精霊馬に乗って帰る時の手綱の役割をするというもの、などです。
素麺の日本三大産地のひとつである小豆島には「負い縄そうめん」という風習があります。乾燥させる前の生の素麺を“のれん”のように編んで仏壇の前にかけ、ご先祖様を迎えるというものです。
また、ご先祖様がこれを風呂敷代わりにお供え物を包んで持って帰るという意味もあります。戦前には多くの家庭で行われていましたが、今では民家数軒でこの独特の風習を守り受け継いでいるそうです。
※写真は、小豆島で今もお盆に負い縄そうめんをお供えされる川﨑様からのご提供
<参考サイト>
・何故お盆に「そうめん」なの?そうめんをお供えする意味と由来
https://nadesico-magazine.jp/obon-sohmen/
・お盆にちなんだ食べ物について
https://www.h-fureai.com/column/food-named-after-obon#chapter-13
・お盆飾りにそうめん編む 消えかけた小豆島の風習を復活し、4世代で続ける家
https://news.yahoo.co.jp/articles/59b11b3a8a0c651ae631dba51d182a7031be35e1
③ お中元にもお歳暮にも。高級感ある贈り物の定番
江戸時代、素麺は宮廷に献上されるような高級品だったためか、贈り物としても古くから選ばれてきました。
一昔前でしたら夏場のお中元には欠かせない存在だったのではないでしょうか。
現在はお中元という習慣が少なくなってきましたが、今なお、夏の贈り物の定番として人気は高いと思います。
細くて長い形状に「細くても長いお付き合いをお願いします」といった意味が込められています。
今でこそスーパーで気軽に購入できる素麺ですが、職人が手間暇かけて作る手延べ素麺は高級感があり味わいも格別なので、相手への思いを伝える贈り物として、多くの人に選ばれています。
保存性に優れており日持ちするため、備蓄品にも適しています。
短時間で茹で上がり、淡白な食味でいろんな味付けに合うため、多彩なアレンジが楽しめます。
手延べ素麺はコシが強くのびにくいので、温かいおつゆや鍋物など冬の食卓でも大活躍。
お中元だけでなくお歳暮や年始の挨拶品としても最適です。
<参考サイト>
・お中元でそうめんを贈るのってなんでなの?その理由を教えます。
https://niko-niko-blog.com/ochugen-soumen/
・お中元の定番がそうめんなのはなぜ?
意味ってあるの?
https://www.shop.post.japanpost.jp/column/ochugen/ochugen_teiban.html
④ 《産地紹介》兵庫県・播州素麺
日本の素麺三大産地のひとつで、生産高国内第1位。
室町時代初期、現在の兵庫県南部・播州にある斑鳩寺(いかるがでら)の古文書「鵤庄引付(いかるがのしょうひきつけ)」に「サウメン」という記述が見られ、約600年前から播州で素麺が食べられていたことが分かります。
素麺作りが本格化したのは江戸時代。
龍野藩の許可業種として奨励され、揖保川の水や播州平野で採れる良質な小麦、有名な赤穂の塩などの原材料にも恵まれ、農家の副業として発展を遂げました。
生産量が増えるとともに、粗製乱造で産地の信用を落とす事態も発生したため、龍野藩・林田藩・新宮藩内の素麺製造業者が集まり、厳しく品質などを管理しました。
この集まりが元になり、明治時代に「揖保乃糸」ブランドが誕生しました。
現在、「揖保乃糸」ブランドは兵庫県手延素麺協同組合が一括管理しています。
揖保川流域のたつの市や姫路市、宍粟市、太子町、佐用町で毎年限られた期間に生産されており、文字通り糸のような細く美しい形状や、なめらかな舌触り、コシのある食感と風味が特徴だそうです。
三代目:皆さんはご存知でしょうか?兵庫県たつの市に「大神神社(おおみわじんじゃ)」というところがあり、こちらは、農業の守護神として祀られるのと合わせて「揖保乃糸(播州素麺)」の守り神としても祀られ、その名も『素麺神社』と呼ばれているそうです。
主祭神は国津神の大物主大神で、奈良の官幣大社、大神神社の分祀だそうですが、「おお“みわ”」とお聞きすると、三輪神社との繋がりを勝手に想像してしまいます。
三輪素麺には三輪神社、播州素麺には大神神社がありますから小豆島手延べ素麺にもそういった素麺に関連した神社がないか調べてみたいものです(実はあって、私が知らないだけかもしれませんが)。
一度、こちらにも行ってみたいなと思っております。
<参考サイト>
・姫路・西はりま地場産業紹介
http://jibasan.or.jp/jibasan/soumen/index.html
・姫路みたい
https://www.himeji-mitai.com/feature/374539.html
・農林水産省HP
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_8_hyogo.html
⑤ 《美味しい素麺》手延べひじき麺 編
2022年の冬の目玉商品として『楽々膳・黒』シリーズを販売させていただきました。
香川県産の「きくらげ」を使用した『手延べきくらげ麺』。
小豆島ともご縁のある「黒ごま」を使用した『手延べ黒ごま麺』。
そして、今回ご紹介するのが、小豆島産の「ひじき(茎)」を使用した『手延べひじき麺』です。
ほのかに香るひじきの香りが、海に囲まれた小豆島ならではの素麺に仕上がっていると思います。
今回はご縁があり、小豆島池田漁協様とのコラボ製品として誕生しました。
小豆島や瀬戸内のものを使った製品づくりというのは理想なのですが、今回はそれだけでなく、「ひじき」の栄養価に着目して開発をおこないました。「ひじき」とは、薬膳で言うところの「黒」の食品に属し、冬に弱る体にとって良い食べ物とされています。
美味しいから毎日でも食べたい。
そう言っていただけるのは本当に嬉しい限りですが、せっかく毎日召し上がっていただけるなら体に良い麺は作れないだろうかと試行錯誤の内にたどり着いた手延べ麺です。
冬に食べると良いと言われる「黒」の食べ物の「ひじき」の入った麺ですから、やはり温かくして召し上がって頂くのがいちばんのおすすめです。とは言え、せっかくならお出汁と一緒に召し上がっていただく煮麺風も良いですが、せっかくならちょっとアレンジして、一緒にお野菜も食べていただける「ポトフ風麺」はいかがでしょうか。
お好みの具材を煮込んだポトフのスープに、ポキポキっと折って茹でた「ひじき麺」を食べる前に合わせるだけ。腹持ちも良くて、何より体が温まりますよね。少し生姜をおろして召し上がっていただいてもいいと思います。
ぜひ寒い冬の一品に『手延べひじき麺』をお召し上がりください。
『手延べひじき麺』の開発秘話については、こちらもご覧ください。
三代目:次回のブログは12/15ごろ、アップしたいと思います。
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
三代目ブログ
瀬戸内海に浮かぶ小豆島。
白波が立つこともめずらしい内海(うちのみ)湾。
そんな穏やかな海の近くに、工場をかまえて50年以上になります。
堤防越しに眺める海の景色は、季節や時間でその色彩を変えます。
子どもの頃は、何気なく眺めていた景色でしたが、
もしかしたら石井製麺所らしさって、この風景にあるのかもしれないと気づいたのは、
島に帰ってきてからしばらく経ったときでした。
手延べ素麺づくりは、小豆島の自然とは切っても切れない関係があります。
小麦粉を練って、延ばして、乾燥させて仕上げる麺づくりにとって、
年間を通じて比較的雨が少なく、やさしい海風が吹く環境はやはり適していたのでしょう。
弊社の麺づくりも、そんな恵まれた自然のなかで行われています。
そして、私が仕事を引き継ぐよりずっと前から、
「余計なものを加えない」麺づくりにもこだわってきました。
着色料で鮮やかに色づけられた手延べ麺が多いなか、
弊社の手延べ麺は、はっきりいって人目を惹くものではなかったと思います。
先代に話を聞いてみたことがありますが、
そのこだわりに、はっきりとした理由はなかったそうです。
ただなんとなく、自分たちのつくる麺に、余計なものを加えたくなかっただけなのだと思います。
明確な理由がなくても、
それがお客様のためになると信じていたのでしょうし、
それを私も三代目として、肌で感じています。
今回、新しく6束商品として展開する『瀬戸凪シリーズ』は、
そんな石井製麺所らしさをパッケージデザインに込めて発売いたしました。
これまでと変わらぬ麺づくりの姿勢と、
これまで以上に、お客様に喜んでいただける新しい手延べ麺づくりを目指して参ります。
三代目ブログ
「冬用の手延べ素麺」をコンセプトに、
“黒の食材”を練り込んだ3種の手延べ麺(ひじき、黒きくらげ、黒ごま)を発売しました。
素麺といえば暑い季節の食べ物と思われがちですが、
製麺所である我が家では季節を問わず、夕食の一品として、
あたたかいにゅうめんが食卓にのぼります。
味噌汁代わりのにゅうめんは、ぜひ皆様におすすめしたい「冬の素麺」です。
「小豆島手延べひじき麺」は、
小豆島産のひじきを粉末にして、独自製法で手延べ麺に仕上げた一品です。
ほんのりとした海の香りが感じられる麺になっており、
にゅうめんにすると香りが際立ちます。
特に栄養が優れているとされる、ひじきの茎の部分(長ひじき)を粉末にして麺に練り込んでいます。
(ひじきの茎の部分を食べる文化のない島にとって、実は食材の有効活用にもつながっている取り組みでもあります。)
今回、活用しているひじきは、
池田漁業協同組合様(以下、池田漁協)から仕入れさせていただいております。
実は小豆島の海でひじきが採れることが分かったのは最近のこと。
島外の方から、
「小豆島は足元に宝物がいっぱいあるのに、もったいない」
と声をかけられ、身近にあるひじきの存在に気づいたのだそうです。
池田漁協の中村さんが仰っていた「小豆島は宝島」という言葉に、
すごく共感しています。
島に帰ってきて5年目、これまでたくさんの食に携わる方々に出会ってきました。
自分のつくるものにこだわりを持って、美味しいものを届けたいとがんばっている人たちとの出会いを重ね、
「手延べ麺とともに、小豆島の“食財”も多くの人に知ってほしい」
と考えるようになりました。
「小豆島手延べひじき麺」は、そんな想いを形にすることができた素麺です。
小豆島の海の恵みを、伝統とこだわりの手延べ製法に込めて…
にゅうめんはもちろん、スープの具材などいろいろな料理でお試しくださいませ。
素麺の歴史・小豆島手延べ素麵の歴史
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.2
手間を惜しまない伝統の製法・手延べ素麺
素麺の作り方は大きく2つに分けられます。生地を細くのばしていく「手延べ製法」と、機械で生地を薄くのばし、細く切る「機械製麺」。
製法の違いが、食感や麺のコシ、のど越しを大きく左右します。ここでは小豆島で続く伝統的な手延べ製法での素麺作りについて、ご紹介します。
三代目:小豆島には大小約80軒の製麺所があると言われています。その各製麺所によって微妙に製法やこだわり、使用する機械なども異なりますので、ここでは石井製麺所をベースにお話しさせていただきます。
【目次】
① 手延べと機械、製法の違いによる味わいの違いとは
② 丹精込めて作られる手延べ素麺
③ 《産地紹介》奈良県・三輪素麺
④ 《美味しい素麺》うどん 編
① 手延べと機械、製法の違いによる味わいの違いとは
農林水産省が制定するJAS法によると、手延べ干し麺(手延べ素麺を含む)の製造法の定義は、「小麦粉に食塩、水等を加えて練り合わせた後、食用植物油又はでん粉を塗付してよりをかけながら順次引き延ばしてめんとし、それを乾燥したものであって、小引(こび)き工程又は門干(かどぼ)し工程においてめん線を引き延ばす行為を手作業によって行い、かつ、これらの工程において、一定期間以上の熟成が行われたもの」とされています。
機械製麺と大きく違う点は、①仕上げの工程が手作業であること、②生地を引きのばして麺にする各工程で熟成が繰り返し行われること、③植物油が用いられていることです。
小麦粉を練ってつくった生地を、のばして重ねて、のばして重ねて…を繰り返すことで、小麦粉に含まれるグルテンが一定方向に、まるで何層にも重なった地層のように組織されます。これをよりをかけながら細くのばすことで断面が丸くなり、なめらかな食感とコシ、つるつるとした喉越しが特徴の手延べ素麺になります。
時間が経っても伸びにくいのも特徴のひとつです。元々はすべての工程が文字通り人の手で行なわれていましたが、最近は一部の工程で機械化が進み、量産化が図られています。
一方、機械で生地を薄くのばし、細く切って乾燥させる「機械製法」で作られた素麺は、断面が四角く、大量生産に向き比較的安価でできますが、手延べ麺のようなツルツル感はありません。
<参考サイト>
・日本農林規格の改正について「手延べ干しめん」
https://www.maff.go.jp/j/jas/kaigi/pdf/140221_sokai_f.pdf
・植物油INFORMATION
https://www.oil.or.jp/info/70/
・肝臓公司
https://kanzo.jp/archives/24253
※写真はイメージです。
② 丹精込めて作られる手延べ素麺
日本三大素麺のひとつ・小豆島素麺(石井製麺所)を例にとり、手延べ製法の工程をご紹介します。
約400年前から続く伝統の製法で、小豆島特産の純正ごま油を塗りながら練った生地を、木箸を使って極細の糸状になるまで丁寧に引きのばし、天日でじっくり乾燥させて作ります。
油を塗るのは、麺の表面の乾燥や麺同士の付着を防ぐため。
ごま油を使うことで独特の風味が生まれ、他の産地で使用している綿実油に比べて酸化しにくいため麺が劣化しにくい特徴があります。
また室内乾燥が主流になる中、小豆島の自然環境の良さを活かして天日干しと室内干しを組み合わせることにより、麺がより白くなり、旨みも増すと言われます。
《工程1》おで(小麦粉をこねる)
その日の天候や温度・湿度に最適な小麦粉と食塩水の配合量で、30分ほど丁寧に練り合わせ、グルテンがしっかり形成された麺生地を作ります。
《工程2》いたぎ(板状に切り出し、圧延と複合を繰り返す)
麺圧機で生地をまとめ、板状に切り出し、圧力をかけて帯のようにのばします(圧延)。 “採桶(さいとう)”と呼ばれる金属製の桶に巻き取り、生地を重ね合わせ、再び圧力をかけながらのばします(複合)。これを何度か繰り返し、きめの細かいグルテン組織を作ります。
《工程3》油がえし(表面に油を塗る)
帯状になった生地を半分に折るようにして丸め、麺生地同士がくっつかないように、ごま油を塗りながら巻いていきます。油がえし後は、しばらく寝かせて生地を熟成させます。
《工程4》より(麺を少しずつ細める)
ごま油を塗った生地を熟成させた後、よりをかけながらだんだんと細めていきます。この時も採桶に巻きながらごま油を塗ります。熟成の時間を挟み、中より(なかより)、小より(こより)の二段階の工程を経て細くすることで、麺のコシが生まれます。
《工程5》かけば(2本の箸に、8の字にかける)
さらによりをかけながら細くのばした麺紐を2本の箸に8の字状に巻き付けます。
“寝櫃(ねびつ)”と呼ばれる熟成用の箱に入れてさらに熟成させます。
《工程6》こびき(のばしに備えて、少しのばす)
寝櫃で熟成させた生地を50cmほどの長さにのばします。
次の工程で大きくのばすための下準備です。
《工程7》のばし
生地を、機械を使って生地を背丈ほどの長さにのばしながら、8の字にかかった生地の間に箸を通し、生地同士のひっつきを分けていきます。
8の字にかけたことで、箸を通すだけで隣り合う生地を離すことができます。
《工程8》はしわけ
のばした麺を“はた”と呼ばれる干し台につけていきます。
その日の湿度に合わせて、手作業で箸を入れ、のばし上げた麺線のひっつきを一本一本丁寧に箸で分けていきます。
《工程9》乾燥
小豆島手延べ素麺の特徴のひとつ、天日干しを行います。
天日干しで表面をさっと乾かし余分な水分が取れたのを見計らって、室内乾燥に切り替えじっくり時間をかけて乾かします。
こうすることによって、麺の一本一本がよく締まり、舌触りがつるっとした、見た目もなめらかで美しい素麺になります。
《工程10》裁断
乾燥の終わった麺を切り台に並べ19cmの長さで切り揃えます。
併せて目視にて不良麺を取り除きます。
《工程11》てび(帯で束ねる)
19cmに切り揃えた麺を、一束一束、帯で束ねていきます。
一束は50gと決まっており、重さと不良麺の有無を確認しながら、丁寧に帯を巻いて完成品となります。
三代目:私の製麺所は、家族三人で製造しているので、誰が欠けても成り立ちません。その三人が阿吽の呼吸で製造を行なっています。当初、私が帰郷した際に製造現場に立ち会いましたが、もちろん最初は何から手伝えば良いのかわからず、右往左往していました。
しかしながら、今では箸わけをできるくらいに(これは高さがあって、大変なのと意外に重労働なんです)なり、すんなりと製造に加わっています。
「おで」と言われる練りの工程は経験値の必要なもので、過去の記録をノートに記し、それを素に毎日の小麦粉と水と塩の配合を決めています。今は父がその工程を担ってくれています。ノートの記録は私にとってまだまだチンプンカンプンですが、これを生かし私なりの製麺ができるよう学びの毎日です。
もちろんこういった学びは自社(実家)でしかできず(中には他社に修業に行くこともありますが)、製造の研修(修業)をできる場所が今の小豆島にはありません。
後進育成のためにもそういった学びや集まれる場所作りも今後の産地継続、技能伝承のためには大切なことかなと感じています。
<参考サイト>
・うどん県旅ネット
https://www.my-kagawa.jp/shodoshima/feature/shodoshima/beauty4
・QLIP
https://qlip-trip.com/jp/articles/79
③ 《産地紹介》奈良県・三輪素麺
素麺の三大産地のひとつであり、素麺発祥の地とされているのが三輪です。
827年、三輪山の大神神社で、神主であった大神朝臣狭井久佐(おおみわのあそんさいくさ)の次男・穀主(たねぬし)が神の啓示を賜り、三輪の地に適した小麦の栽培を行い、小麦と三輪山の清流で素麺作りを始めたと言われています。
後の江戸時代には、お伊勢参りの途中で多くの人が奈良を訪れ、旅籠で三輪名物として供される素麺を食べたことから、その評判が全国へと広まっていきました。
良質の小麦粉と塩、三輪の清水、三輪山から盆地に吹き下ろす北風「三輪おろし」などの気候風土が、素麺作りに適しています。三輪の手延べ製法が播州、小豆島、島原へと伝わったとされています。
<参考サイト>
・九州お取り寄せ本舗
https://blog.otoriyose.site/kyusyustroll/1805/
・大神神社HP
https://oomiwa.or.jp/jinja/kamigatari/
・奈良県観光公式サイト
http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/page/page_32.html
・三輪素麺振興会公式HP
https://miwa-soumen.net/
④ 《美味しい素麺》うどん 編
うどん?!って思いますよね。
小豆島手延べそうめんにも、うどんはあります。手延べうどんです。
そうめんの太さは、乾めん類品質表示基準(農林水産省告示488号)において直径1.3㎜未満と定められています。乾めん類品質表示基準はJAS法に基づく品質表示基準のひとつであり、この違反に対しては19条の14で定められた指示又は命令がなされ、その旨の公表がなされます(第19条の14の2)。ちなみに、その他にも以下のように厳密に規定されているんですよ。
破れば法律違反です(汗)。
第1号 名称
加工食品品質表示基準第4条第1項第1号本文の規定にかかわらず、次に定めるところにより記載すること。
ア 手延べ干しそば以外の干しそばにあっては「干しそば」又は「そば」と記載すること。
イ 手延べ干しめん以外の干しめんにあっては「干しめん」と記載すること。ただし、長径を1.7㎜以上に成形したものにあっては「干しうどん」又は「うどん」と、長径を1.3㎜以上1.7㎜未満に成形したものにあっては「干しひやむぎ」、「ひやむぎ」又は「細うどん」と、長径を1.3㎜未満に成形したものにあっては「干しそうめん」又は「そうめん」と、幅を4.5㎜以上とし、かつ、厚さを2.0㎜未満の帯状に成形したものにあっては「干しひらめん」、「ひらめん」、「きしめん」又は「ひもかわ」と、かんすいを使用したものにあっては「干し中華めん」又は「中華めん」と記載することができる。
ウ 手延べ干しそばにあっては「手延べ干しそば」又は「手延べそば」と記載すること。
エ 手延べ干しめんにあっては「手延べ干しめん」と記載すること。ただし、長径が1.7㎜以上に成形したものにあっては「手延べうどん」と、長径が1.7㎜未満に成形したものにあっては「手延べひやむぎ」又は「手延べそうめん」と、幅を4.5㎜以上とし、かつ、厚さを2.0㎜未満の帯状に成形したものにあっては「手延べひらめん」、「手延べきしめん」又は「手延べひもかわ」と、かんすいを使用したものにあっては「手延べ干し中華めん」又は「手延べ中華めん」と記載することができる。 ※「長径」とは、楕円の最も長い部分の半径
で、うどんですが、「長径を1.7㎜以上に整形したものはうどん」と規定されています。
製法は手延べでも、太さがあると『うどん』にしなければいけないんですね。
手延べうどんの特性は、しっかりと乾燥させているので、湯で伸びしにくく、長時間煮込んでも煮崩れを起こしません。ただ、茹で時間が生うどんなどに比べて長いので、ささっと作って食べることが難しいです。
その分、例えば、旨味の溶け出したスープなどでじっくり煮込めば、旨味たっぷりの美味しい煮込みうどんになります。ですから、鍋パーティの後の〆の一品や煮込みうどんとして召し上がっていただけると、手延べうどんのモチモチとした食感とツルンとした喉ごしが味わえ、たっぷりと出汁の旨味を吸った極上の食事になります。
鍋の〆の一品で召し上がる際は、事前に茹でておいて冷蔵庫で保存しておけば、食べる際にはすぐに調理いただけます。ぜひ、これからの寒い時期に「手延べうどん」を!
三代目:次回のブログは12/1ごろ、アップしたいと思います。
『お!いしい けんぶんろく』について
本ブログでは、色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本の素麺や麺類について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になればと考えています。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
素麺の歴史・小豆島手延べ素麵の歴史
【お!いしい けんぶんろく】 Vol.1
素麺1200年の歴史と、その三大産地について
【はじめに】
㈲石井製麺所のブログではこれまで、お客様やホームページをご覧くださる方とのコミュニケーションの場(ブログという一方的な発信ではありますが)の一環として、三代目の私が色々見聞したことを綴ってまいりました。
しかしながら、ここ最近、島の取り組みや島外でのイベントに参加させていただく中で、素麺のことをもっと知りたい、それをたくさんの方と共有して、叶うなら後進育成にも繋げていきたい…そういう思いが強くなってきました。
そこで、「素麺の歴史・小豆島手延べ素麵の歴史」を綴りながら『お!いしい けんぶんろく』として、これから色々な産地を調べたり、食べ方を探求したり、将来的には実際に産地に行って交流を深めたり…そんなことができれば良いなと考えています。
まずは勉強からと言うことで、小豆島もそのひとつですが、日本三大素麺の産地について調べながら、様々な素麺の情報を発信できれば良いなと考えています。もし、間違いなどあれば、ご指摘ください。たくさんの方の“素麺のデータベース”になれば。
色々な情報を紐解きながら…なので、間違いや勘違い、伝承だと色々な解釈があったりすると思いますので、優しい気持ちで見守っていただき、一緒に学べる場にできれば幸いです。
日本に数多くある麺の中でも、素麺の歴史は古く、9世紀頃に中国から伝わったものがそのルーツとされています。長い年月をかけて各地に広まりながら、産地ごとに独自の進化をとげ、多様な味わいを生み出してきました。そんな素麺の歴史と三大産地の特徴をご紹介します。
【目次】
① 素麺のルーツは中国のお菓子?
② 日本の素麺は神の啓示で生まれた?<三輪>
③ 厳しい品質管理でブランド化を推進<播州>
④ 三輪から持ち帰った技術で独自に発展<小豆島>
⑤ 《産地紹介》香川県・小豆島素麺
⑥ 《美味しい素麺》煮麺 編
① 素麺のルーツは中国のお菓子?
素麺の起源は、奈良時代に遣唐使が中国から持ち帰った「索餅(さくべい)」というお菓子にあると言われています。
小麦粉と米の粉を練って縄のような形にねじったもので、今も長崎県に伝えられている郷土菓子「麻花兒(マファール)」に似たものだったようです。
これをお供えすると疫病が鎮まったという言い伝えがあり、無病息災を祈る食べ物として、とても貴重な食物だったそうです。
927年に完成した、宮中の儀式・作法等を集大成した書物「延喜式」には、「索餅」が旧暦7月7日の七タの儀式に供え物の一つとして供えられた記録があります。
特に平安時代からは、宮中での七夕行事に欠かせない供物とされていました。
<参考サイト>
・島原そうめんの歴史
https://www.shimabara-soumen.com/category/1572537.html
・素麺の起源「索餅(さくべい)と索麺(さくめん)」
https://www.shimabara-soumen.com/article/14261528.html
② 日本の素麺は神の啓示で生まれた?
素麺の三大産地は「三輪(奈良県)」「播州(兵庫県)」「小豆島(香川県)」とされ、この中で最も歴史の古いのが三輪です。
827年、日本最古の神社である三輪山の大神神社で、神主であった大神朝臣狭井久佐(おおみわのあそんさいくさ)の次男・穀主(たねぬし)が、飢饉や疫病に苦しむ民の救済を祈願しました。
すると神から「肥沃な三輪の里に小麦をまいて、その実りを水車の石臼で粉に挽き、癒しの湧き水でこね延ばして糸状にしたもの」という啓示を賜り、三輪の地に適した小麦の栽培を行い、小麦と三輪山の清流で素麺作りを始めた
とされています。
後の江戸時代には、お伊勢参りの途中で多くの人が奈良を訪れ、旅籠で三輪名物として供される素麺を食べたことから、その評判が全国へと広まっていったそうです。
こうした伝承から、大神神社は素麺作りに携わる全国の人から篤く信仰されており、毎年2月5日には素麺の卸値相場を占う「卜定(ぼくじょう)祭」が行われています。
三代目:素麺は元々、神様へのお供え物や健康を祈願する食べ物だったんですよね。石井製麺所では、この考えを基本として原点に立ち返り、「身体に負担の少ない物」、「身体にとって美味しいものづくり」として取り組んでいます。
<参考サイト>
・九州お取り寄せ本舗
https://blog.otoriyose.site/kyusyustroll/1805/
・大神神社HP
https://oomiwa.or.jp/jinja/kamigatari/
・奈良県観光公式サイト
http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/page/page_32.html
③ 厳しい品質管理でブランド化を推進<播州>
鎌倉時代、中国から禅宗が伝わると同時に、寺院では点心と呼ばれる間食が広まりました。点心には、索餅から作り方が進歩した「索麺(さくめん)」が使われました。
室町時代初期の古文書「鵤庄引付(いかるがのしょうひきつけ)」に「サウメン」という記述が見られます。
この古文書は現在の兵庫県南部・播州にある斑鳩寺(いかるがでら)のもの。約600年前から播州で素麺が食べられていたことが分かります。当時、素麺は寺院や宮中で食べられるもので、庶民の口にはまだ入らなかったようです。
播州で素麺作りが本格化したのは江戸時代とされています。
龍野藩の許可業種として奨励され、揖保川の水や播州平野で採れる良質な小麦、有名な赤穂の塩などの原材料にも恵まれ、農家の副業として発展を遂げました。生産量が増えるとともに、粗製乱造で産地の信用を落とす事態も発生したため、龍野藩・林田藩・新宮藩内の素麺製造業者が集まり、厳しく品質などを管理しました。
この集まりが元になり、明治時代に「揖保の糸」ブランドが誕生しました。
三代目:2023年は、ぜひとも産地巡りをしたいと考えています。
<参考サイト>
・姫路・西はりま地場産業紹介
http://jibasan.or.jp/jibasan/soumen/index.html
・姫路みたい
https://www.himeji-mitai.com/feature/374539.html
④ 三輪から持ち帰った技術で独自に発展<小豆島>
小豆島の素麺作りは、1598年、小豆島池田村の島民がお伊勢参りの帰路、三輪に立ち寄り、素麺の製造技術を学んで島に持ち帰ったのがルーツとされています。
冬の農閑期に家族の労働だけで生産できるといった利点や、小麦の栽培に適した気候、瀬戸内海の塩や素麺作りに必要なごま油が豊富にとれる、などの環境から、素麺づくりがさかんに行われるようになりました。
現在、素麺の生産高が国内第2位である長崎県・島原へは、小豆島からの移住者が製麺技術を伝えたという説もあります。
小豆島の手延べ素麵の独自性としては、製法に「ごま油」を使うところでしょうか。
三代目:来月は、そのごま油で日本トップシェアを誇る小豆島を代表する「かどや製油」さんにお邪魔して、詳しくお話を伺ってきたいと思います。
なぜ、小豆島だけがごま油を使うのか?
なぜ、小豆島でごま油が盛んに使われたのか?
など、小豆島にとって切っても切り離せない「ごま油」についても知りたいことがたくさんありまして。
「ごま油」を使った独自製法が、小豆島手延べ素麵の美味しさの秘訣のひとつだと考えます。
三代目:日本三大産地の共通項は、水、空気(風や乾燥具合)だといわれています。もちろん、ルーツが同じでも時代と共に製法が進化してどんどん美味しく、たくさん生産されるようになってきました。私たち石井製麺所では、昔ながらの製法を大切にしつつ、「素麺の目的」をしっかりと見える化して、新しい素麺、これからの時代に必要とされる素麺をつくり続けていきたいなと感じました。
伝統産業といわれながら何も知らずにつくり続けるのではなく、これまでを振り返り、これからの美味しい素麺づくりに活かせることができればと考えています。
しばらくは産地について調べていきたいと思います。
この産地探求の旅が、また新しい素麺に繋がると期待しています。
<参考サイト>
・小豆島物語
https://shodoshima.npnp.jp/about/somen/
⑤ 《産地紹介》香川県・小豆島素麺
豊かな自然と温暖な気候に恵まれた小豆島。
瀬戸内における海上交通の要衝だったため、塩や小麦などの原料調達がしやすく、江戸時代にはその地の利を活かして素麺作りがさかんに行われるようになりました。
小豆島素麺の特徴は、特産の純正ごま油を塗りながら練った生地を、木の箸を使って極細の糸状になるまで丁寧に引き伸ばし、天日でじっくり乾燥させる、伝統的な手練りの手延べ法で作られること。
一般的な手延べ素麺では菜種油を使いますが、「ごま油」を使うことで素麺の酸化が抑えられ、油臭さを取り除く必要がありません。手間暇かけて作ることで、豊かな風味とコシが生まれます。
黄みがかった色も特徴の一つです。
<参考サイト>
・うどん県旅ネット
https://www.my-kagawa.jp/shodoshima/feature/shodoshima/beauty4
⑥ 《美味しい素麺》煮麺 編
お素麺は、シンプルなだけに色々な味付けや盛り付け、合わせるお出汁などで食べ方も色々変わりますよね。また、地域性の高い食べ方や季節的にも色々とあります。
最近では、素麺ブームといわれているので東京にたくさんの“素麺専門店”ができているそうで、たくさんの方に素麺を食べていただく機会も多くなってきたと感じます。
ネットで探せば、たくさんのレシピも出てきますし、「たくさん素麺をもらったけど、食べ方に困る」なんてお話や「余った素麺を美味しく食べるレシピ」というのもあったりして、素麺をつくるものとしては大変ありがたいお話ですが、余らせたり困ったりするものでなく、食事の“ピンチ”や“困った”時の一品としてご活用いただければと思います。
お湯が沸いて1分半(細麺タイプの場合)で美味しく頂けるので、時短メニューにもぴったりですし、小豆島手延べ素麺は麺の表面にごま油が塗られているので、茹で上がり後、水を切ってしばらく冷蔵庫に入れていても、つゆをかければさらさらっと麺がほぐれて美味しく召し上がっていただけます。
素麺の特徴を生かして、ぜひご家庭でも美味しい素麺を召し上がっていただきたいと思います。
今回は、美味しい『煮麺』の作り方について。
といっても、美味しいレシピは今の時代、ネットにたくさん出ていますので、私から「こうすれば美味しい!」というのはないんですけども、温かい麺として美味しく召し上がっていただける当製麺所の「煮麺におすすめの麺BEST3」を発表したいと思います。
第3位は!「手延べしょうどしま長命草素麺」です!
ゆでたての香りは抹茶のようなすがすがしい香りで、麺も少し太麺で温かいお出汁にも湯で伸びしにくくい点がおすすめです。着色料無添加なので、長命草の自然な緑色が見た目にも綺麗です。石井製麺所では、フォー風のスープと一緒にエビなどを盛り付けて食べるのが人気です。
長命草の栄養価を手軽に取り入れて、毎日食べていただきたいと開発した麺で、最近、人気急上昇の素麺です。
第2位は!「手延べ素麺 太麺」です!
一般的にはひやむぎといわれる太さです。小麦粉の香ばしい香りが口の中で広がって、太麺独特のシコシコとコシのある食感、噛み切った時の弾力感が美味しい麺です。
第1位は!「山芋素麺」です!
この麺の特徴は、何といってももちもちプリンとした食感で、寒い時期はスタンダードな素麺からこちらの「山芋素麺」を選ばれる方が大変多いです。真っ白の麺が見た目にも綺麗ですので、食べ方も色々とアレンジできそうです。個人的には、秋の味覚のキノコや山の幸などと合うと思っています。
皆様もぜひ、色々と試してみてくださいね。
皆様のレシピや食べ方、こんな麺が食べてみたいなどあれば、ぜひお聞かせください。
三代目:次回のブログは11/15ごろ、アップしたいと思います。
新着情報
冬季限定の手延べうどん「半生うどん」が、販売再開となりました。
おかげさまで、昨シーズンは約8,000袋の販売となりまして、大好評をいただいた手延べうどん。
お待ちいただいていたお客様のお手元に、届き始めた頃かと思います。
お買い求めいただきまして、誠にありがとうございます。
これまでも石井製麺所の冬の麺として定番だった半生うどんですが、
加工デンプンを使わない、無添加のうどんを目指してリニューアル。
使用している小麦粉は、製粉会社さんの技術と、開発担当者さんの熱意によって生まれた『瑞象(ずいしょう)』。
モチモチとした食感と、豊かな小麦の風味が特徴で、この小麦粉がなくては、この美味しさは生まれませんでした。
手延べ素麺もそうですが、余計な原料を加えることなく、小麦粉、塩、ごま油だけで作られる手延べ麺は、いわば自然食品と言えるもので、素材によって美味しさが大きく左右されます。
私たち製麺所は、伝統的なその技術を用いて、素材の「いいところ」「持ち味」を十分に生かしてあげることが、大切な役割だと考えています。
つい先日、我が家の食卓にも煮込みうどんが登場しました!
秋の訪れ、食欲の秋…
美味しいうどんで、身も心も温かくしてお過ごしくださいませ。
新着情報
朝晩とめっきり涼しくなりました。
石井製麺所では、すでに来年の夏に向けて素麺づくりが始まっており、
屋外での作業が楽になってくると「今年も秋が来たな」と感じます。
三寒四温のこの季節、服装えらびも大切ですね。
さて、本日はこの季節の変わり目に、期間限定特別セットのご案内です。
夏季限定で販売しており、もうすぐ販売終了となる『手延べレモン素麺』と、
もうすぐ販売再開の、冬季ならではの『手延べ半生うどん』のセットになります。
瀬戸内レモンの果皮を練り込んだレモン素麺は、さっぱりとした香りと爽やかなのど越しで、
夏の人気商品となりました。
すでに「いつから販売再開ですか?」とお問い合わせをいただいている半生うどんは、
昨冬のリニューアルを経て、そのツルツル、モチモチとした食感が大人気です。
夏と冬の人気ものが一緒になった、美味しく、お得なセットをお楽しみくださいませ。
※特別セットは、9/26~10/7の期間限定お届け品となります。
新着情報
観測史上最速の梅雨明けとなり、厳しい暑さが続いております。
小豆島の夏も昔にくらべて暑くなっているようで、
天日干しのために太陽の下に出ると、素麺より先に自分が乾いてしまいそうです…
夏休み、外で元気に遊んでいた子供の頃を懐かしいですね。
夏の訪れとともに、お素麺が美味しい季節となりました。
新商品の『瀬戸凪(せとなぎ)』は、スタンダードな手延べ素麺を中心に、
栄養豊富な長命草を練り込んだ「しょうどしま長命草素麺」と、
瀬戸内レモンの香りを楽しむ「レモン素麺」をセットにしています。
夏にぴったりな手延べ素麺で、暑い夏を涼しく彩っていただけます。
「めんつゆも入っているので、素早く食べられる」と贈り物にも喜ばれております。
日頃お世話になっている方へのご挨拶に、ぜひお素麺はいかがでしょうか。
※のし対応各種、承ります。名入れなどご指定がございましたら備考欄にご記載ください。
新着情報
5月より販売を開始しました夏限定セット『瀬戸凪(せとなぎ)』が、おかげさまでご好評をいただいております。
無添加・無着色にこだわった、夏におすすめ3種の手延べ素麺を、
石井製麺所から見える海、おだやかな瀬戸内の風景をモチーフにした、こだわりのパッケージでお届けします。
「父と小豆島を旅行したことがあるんです。」
そんな言葉とともに、父の日のプレゼントに『瀬戸凪(せとなぎ)』をお選びいただいたお客様もいらっしゃいます。
素麺の贈り物で、小豆島の風景とともに、楽しかった家族旅行を思い出していただけますように…
素麺は古くから、食べる方の健康を気づかう贈り物として重宝されてきました。
暑い夏には「涼」を届けることが、昔から変わることない感謝の形なのかもしれません。
ありがとうの気持ちを、おそうめんに込めて。
お父様へ、素麺の贈り物はいかがでしょうか?
※のし対応各種、承ります。名入れなどご指定がございましたら備考欄にご記載ください。